有価証券報告書-第69期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/25 15:01
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142項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財務状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善を背景に景気は緩やかな回復基調で推移したものの、国内各地で相次いだ自然災害の影響や、米中の通商問題等により世界経済の不確実性が高まるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。食品流通業界におきましては、生活者の根強い低価格志向や業種・業態を越えた競争の激化、人手不足に起因する人件費や物流コストの上昇等により経営環境は引き続き厳しい状況で推移しております。
このような状況下、当社グループは令和2年3月期を目標年度とする中期経営計画「変革2019 ~日本の中のマルイチを目指して~」で掲げた「成長戦略」と「経営基盤の再整備」を基軸とする5つの戦略課題を推進しております。成長戦略につきましては、基本戦略に「メーカー型卸事業の加速」「業務提携事業の拡大」を掲げ、当社グループの原料調達力とフルラインでの事業展開を活かした高付加価値商品の開発と販売や、業務提携先との協業による販路拡大に取り組んでおります。経営基盤の再整備につきましては「経営品質向上のための標準業務の確立」「全員活躍企業を実現する制度/働き方改革」の実現を目指し、事業構造改革に当社グループを挙げて取り組んでおります。「グループ企業におけるシナジー創出」につきましては、商品開発や物流等でグループ企業間の連携強化を進めております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は573億93百万円となり、前連結会計年度末と比較して7億69百万円の減少となりました。
当連結会計年度末における負債は360億41百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億82百万円の減少となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は213億51百万円となり、前連結会計年度末と比較して2億86百万円の減少となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は2,256億39百万円(前期比3.0%増)、営業利益は17億73百万円(同15.9%減)、経常利益は23億37百万円(同13.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は11億87百万円(同15.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
※ 各セグメントの売上高については、セグメント間の内部売上高を除いて記載しております。
水産事業セグメントは、売上高1,334億61百万円(前期比4.7%増)、営業利益8億66百万円(同11.5%減)となりました。
一般食品事業セグメントは、売上高293億36百万円(前期比1.1%増)、営業利益は2億9百万円(同23.0%増)となりました。
畜産事業セグメントは、売上高は326億35百万円(前期比3.5%増)、営業利益は4億71百万円(同15.0%減)となりました。
丸水長野県水グループセグメントは、売上高は288億81百万円(前期比2.8%減)、営業利益は1億58百万円(同49.8%減)となりました。
その他(物流・冷蔵倉庫事業、OA機器・通信機器販売及び保険代理店事業)は、売上高は13億23百万円(前期比2.6%減)、営業利益は66百万円(同24.6%減)となりました。
(注)上記の記載金額及びこれ以降に記載しております売上高、仕入高等には消費税等は含まれておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は100億53百万円となり、前連結会計年度末と比較して12億円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は14億40百万円となりました(前連結会計年度に増加した資金は45億69百万円)。これは主に、税金等調整前当期純利益が19億47百万円、減価償却費が6億94百万円となり、売上債権・たな卸資産・仕入債務からなる運転資金が10億54百万円減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は2億26百万円となりました(前連結会計年度に減少した資金は36百万円)。これは主に、有形固定資産の売却による収入が1億8百万円となる一方で、有形固定資産の取得による支出が2億95百万円、無形固定資産の取得による支出が25百万円となったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は24億14百万円となりました(前連結会計年度に減少した資金は4億51百万円)。これは主に、自己株式の取得による支出が10億68百万円、短期借入金の減少額が3億48百万円、長期借入金の返済による支出が3億49百万円、リース債務の返済による支出が2億53百万円、配当金の支払額が3億43百万円となったことによります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、食品卸売事業の補完機能として製造加工業務を行っており、生産実績は仕入実績に含めて記載しております。なお、受注生産は行っておりません。
(1)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
前年同期比(%)
水産事業(百万円)117,893104.3
一般食品事業(百万円)26,097100.4
畜産事業(百万円)30,385103.1
丸水長野県水グループ(百万円)22,75394.9
報告セグメント計(百万円)197,129102.4
その他(百万円)4,34190.2
合計(百万円)201,471102.1

(2)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
前年同期比(%)
水産事業(百万円)133,461104.7
一般食品事業(百万円)29,336101.1
畜産事業(百万円)32,635103.5
丸水長野県水グループ(百万円)28,88197.2
報告セグメント計(百万円)224,315103.0
その他(百万円)1,32397.4
合計(百万円)225,639103.0

(注)1.総販売実績に対して10%以上に該当する販売先はありません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.各事業の主な内容
水産事業…水産物、水産加工品、日配品及び冷凍食品の販売事業
一般食品事業…一般のドライ食品、一般加工食品及び菓子の販売事業
畜産事業…畜産物及び畜産加工品の販売事業
丸水長野県水グループ…長野県内エリアを中心とする食品卸売事業
その他…物流・冷蔵倉庫事業、OA機器・通信機器販売・保険の代理店事業
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析が行われております。この連結財務諸表作成に当たる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における総資産は573億93百万円となり、前連結会計年度末と比較して7億69百万円の減少となりました。主な要因は、自己株式の取得等により現金及び預金が11億90百万円減少したことによります。
(負債合計)
負債は360億41百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億82百万円の減少となりました。主な要因は、短期借入金が3億48百万円、長期借入金が3億70百万円減少したことによります。
(純資産合計)
純資産合計は213億51百万円となり、前連結会計年度末と比較して2億86百万円の減少となりました。主な要因は、自己株式の取得によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は36.5%となりました。
2)経営成績
(売上高)
メーカー型卸機能を活かした高付加価値商品の供給やオリジナル開発商品の拡売により売上高は2,256億39百万円(前期比3.0%増)となりました。
(利益面)
水産物等の相場高を主因とする仕入価格の上昇を競争激化等のため販売価格に転嫁し切れず、一方コスト面では事業構造改革の推進による生産性向上への取り組みを進めておりますが、一定の改善効果を得るには今しばらく時間を要することから、営業利益は17億73百万円(同15.9%減)、経常利益は23億37百万円(同13.1%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、当社グループのさらなる成長の基礎となる財務健全性を強化する目的で資産の見直しを実施した結果、固定資産の減損損失4億28百万円等を計上したことから11億87百万円(同15.8%減)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「2 事業等のリスク」に記載しております。
当社グループの経営戦略の現状と見直しにつきましては、経営戦略として令和2年3月期を目標年度とする中期経営計画「変革2019 ~日本の中のマルイチを目指して~」を平成30年3月期に策定し、目指す姿として「価値ある食品流通機能の創造に向け、変化に挑戦し続けている全員活躍企業」を掲げ、当社グループにおける戦略課題を推進しております。中期経営計画の最終年度であります令和2年3月期は、営業部門の重要戦略として「グループシナジー戦略」「重点得意先戦略」「全社物流戦略」を掲げ、それぞれに担当役員を置くことで諸施策を着実に実行してまいります。事業構造改革につきましては基幹システムの刷新など経営基盤の再整備に引き続き取り組んでまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、商品・原材料の購入費、及び販売運賃・人件費等の営業費用によるものであります。
(財務政策)
当社グループでは、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金調達を行っております。
長期借入金等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、売上高および経常利益を重要な経営指標として位置付けております。当連結会計年度における売上高は2,256億39百万円となり、前期比では3.0%増となりましたが、平成30年5月11日に開示しております売上高目標2,280億円に対しては23億61百万円の減収となりました。経常利益は23億37百万円となり、前期比で13.1%減、経常利益目標27億50百万円に対して4億13百万円の減益となりました。引き続き当該指標の改善に邁進してまいります。
e.セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識及び検討内容
<水産事業セグメント>主力魚種でありますサンマの水揚げ量が前期と比較して回復したものの、国内天然魚の水揚げ量の減少傾向が続く中、新たな養殖魚流通ビジネスモデルの構築や、市場ニーズに対応した付加価値商品の開発などメーカー型卸事業を推進いたしました。
水産部門ではブリ、カンパチ、鯛などの養殖魚の生産と販売の拡大や、昨年10月に東町漁業協同組合と地域漁業活性化包括業務連携に関する協定を締結するなど産地や生産者との連携により商品調達力の強化を図りました。デイリー部門では洋日配・和日配の自社オリジナル商品の開発と主要顧客との商品開発により販売を拡大しました。フードサービス事業部では素材から惣菜化という市場ニーズに対応した商品開発を水産部門と連携して行い、小売業の惣菜部門や外食産業を中心に販路を拡大しました。
業績につきましては、売上高は1,334億61百万円(前期比4.7%増)、営業利益は構内物流業務の改善等に継続して取り組んだものの、生鮮魚の仕入価格上昇や調達コストの増加等の影響により8億66百万円(同11.5%減)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は254億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億15百万円の増加となりました。セグメント負債は163億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ78百万円の減少となりました。
<一般食品事業セグメント>小売店頭での価格競争の激化と、原材料費の高騰や物流コストの増加等を背景に商品の値上げが相次ぐ厳しい事業環境の中、食品事業部では商品開発力の強化と事業エリアや販売ルートの拡大に取り組みました。
事業エリアの拡大に向けては北陸、中越、山梨、北関東における新規顧客の開拓と重点顧客の深耕化を進め、販売ルートの拡大に向けては自社開発商品や子会社信田缶詰㈱の缶詰製品の拡売により全国へと販路を拡大しました。
業績につきましては、売上高は293億36百万円(前期比1.1%増)、営業利益は受発注業務の集約など生産性向上への取り組みと、前期に増加した県外物流拠点新設に伴う一過性のコストが減少したことにより2億9百万円(同23.0%増)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は85億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億72百万円の増加となりました。セグメント負債は64億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億40百万円の増加となりました。
<畜産事業セグメント>国産牛肉の枝肉相場価格が高値で推移する一方、豚肉と鶏肉相場は輸入品の取り扱い増加等による供給過剰傾向を背景に総じて軟調で推移するなど不安定な相場状況の中、畜産事業部では商品供給基盤の確保と販売エリアの拡大に取り組みました。
商品調達面では、昨年6月に産地や生産者との連携による新たなブランド牛肉「信州白樺若牛」を立ち上げたほか、仕入先との関係強化による調達確保など畜産物の安定的な供給基盤の構築を推進しました。販売面では商品調達力をベースに関東・東海・北陸エリアへの販売拡大を図りました。
業績につきましては、売上高は326億35百万円(前期比3.5%増)となりました。営業利益はコスト低減に向けた業務改善を推進したものの、国産牛肉の枝肉相場価格の高値推移の影響や、物量の増加に伴う調達・販売コストの増加等により4億71百万円(同15.0%減)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は70億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億72百万円の増加となりました。セグメント負債は43億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億25百万円の増加となりました。
<丸水長野県水グループセグメント>丸水長野県水グループではフルライン卸事業の拡大により持続的成長に向けた取り組みを進めております。水産事業では重点商品の主要顧客への集中販売、畜産事業では増産対応と生産安定化に向けた工場体制の再構築、冷食事業では主要顧客の惣菜部門への提案強化を推進いたしました。
業績につきましては、売上高は一部取引先の仕入調達ルート変更等もあり288億81百万円(前期比2.8%減)、営業利益は年金資産運用方法の変更に伴う退職給付費用の増加等により1億58百万円(同49.8%減)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は64億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億32百万円の減少となりました。セグメント負債は56億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億20百万円の減少となりました。
<その他(物流・冷蔵倉庫事業、OA機器・通信機器販売及び保険代理店事業)>子会社マルイチ・ロジスティクス・サービス㈱は、当社グループの物流業務・冷蔵倉庫事業の品質向上とローコスト体制の構築をグループ内の各事業と連携しながら推進いたしました。
業績につきましては、売上高は13億23百万円(前期比2.6%減)、営業利益は66百万円(同24.6%減)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は15億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ50百万円の増加となりました。セグメント負債は5億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ22百万円の増加となりました。