有価証券報告書-第33期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/21 15:56
【資料】
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【項目】
143項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が32,880百万円となり、前連結会計年度末に比べ392百万円増加しました。一方、負債は10,965百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,546百万円増加しました。また、純資産は21,915百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,153百万円減少しました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
②経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績や雇用環境の改善などを背景に概ね緩やかな回復基調にあるものの、米中貿易摩擦が世界経済に与える影響や中国をはじめとするアジア新興国における経済の減速懸念など、先行きについて不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社グループにおける当連結会計年度の業績につきましては、半導体や自動車関連向けを中心に自社製品・サービスの販売が概ね堅調に推移したことなどから、売上高29,804百万円(前期比3.7%増)、営業利益1,955百万円(同57.1%増)、経常利益2,459百万円(同103.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,493百万円(同107.1%増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、業績が概ね堅調に推移したことなどから、営業活動において1,109百万円(前期比44.8%減)の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)を得た一方、投資活動に1,575百万円(同77.4%増)、財務活動に649百万円(同21.6%増)を使用した結果、当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ1,164百万円減少し、4,288百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業(千円)8,016,543102.19
プロダクトソリューション事業(千円)4,508,20278.94
合計(千円)12,524,74692.39

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業17,485,349106.069,432,81491.19
プロダクトソリューション事業9,001,17169.731,771,09142.39
合計26,486,52190.1111,203,90577.15

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業(千円)18,396,581106.37
プロダクトソリューション事業(千円)11,408,03199.72
合計(千円)29,804,612103.72

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準により作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって、経営者が採用した会計基準や、資産・負債及び収益・費用の計上並びに開示に影響を与える見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、17,400百万円となり、前連結会計年度末に比べ414百万円減少しました。これは主に、商品及び製品や仕掛品が増加したものの、現金及び預金が減少したためであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、15,480百万円となり、前連結会計年度末に比べ806百万円増加しました。これは主に、機械装置及び運搬具や投資有価証券を取得したためであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、7,155百万円となり、前連結会計年度末に比べ292百万円増加しました。これは主に、前受金が減少したものの、短期借入金や1年内返済予定の長期借入金が増加したためであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、3,810百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,253百万円増加しました。これは主に、社債や長期借入金が増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、21,915百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,153百万円減少しました。これは主に、「資本政策に関する基本方針」に則した施策として資本効率の向上のために実施した自己株式の取得によるものであります。この結果、自己資本比率は63.9%となり、前連結会計年度末に比べ10.6ポイント減少しております。
2)経営成績
(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に実施したハードディスクドライブ販売事業の譲渡の影響があったものの、自社製テスターが大幅に伸長したことに加え、子会社の事業も引き続き堅調に推移したことなどから29,804百万円となり、前連結会計年度に比べ3.7%増加しました。一方、利益率は自社製テスターの大幅伸長や、STAr Technologies, Inc.などの収益性が向上したことなどにより改善し、売上高に対する売上原価の比率は前連結会計年度に比べ2.6ポイント減少し、68.2%となりました。また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ5.2%増加し、7,519百万円となりました。これは主に新製品開発のための研究開発費の増加や、事業拡大に伴う減価償却費の増加などによるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ57.1%増加し、1,955百万円となりました。
なお、報告セグメント別の業績は次のとおりであります。また、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
[設計開発ソリューション事業]
設計開発ソリューション事業は、高付加価値製商品及びサービスの提供により、新規顧客開拓や既存顧客との関係強化を図るなど積極的な営業活動に努めてまいりました。主力商品の半導体設計用(EDA)ソフトウェアは、既存顧客からの受注や新規顧客開拓及び新規製品の販売が順調に推移しました。自社製CPUボードなどの組込み製品も社会インフラや飲食業向けシステムを中心に好調に推移しました。モデルベース開発は、自動車関連からの引き合い増加などにより収益性の向上が見られました。また、ガイオ・テクノロジー株式会社の組込みソフト検証ツール及びエンジニアリングサービスも、検証ツールの販売堅調と車載関連向けエンジニアリングサービスの需要増などにより引き続き好調に推移しました。アイティアクセス株式会社は、既存事業のライセンス販売及び受託開発が堅調に推移したことに加え、新規事業である決済端末の販売も増加しました。画像処理関連事業を手掛ける株式会社レグラスは、一般消費者向けロボットや建機、農業等様々な分野において自社製AIカメラシステムの採用が広がりつつあり、受注が増加しました。一方、三栄ハイテックス株式会社のLSI設計受託ビジネスは、受託プロジェクトの開始時期の遅れや主力顧客からの大幅な需要減に対応し代替受注は確保したものの、収益面では前期実績に及びませんでした。
その結果、当事業の売上高は18,396百万円(前期比6.4%増)、セグメント利益は1,390百万円(同16.9%増)となりました。
[プロダクトソリューション事業]
プロダクトソリューション事業は、半導体メモリー市場、モバイルデバイス市場等の顧客を中心に当社グループのエンジニアリング力を活かし、高付加価値製商品及びサービスの提供、新規アプリケーションの開拓に注力するとともに、顧客ニーズに対応した製品の開発、商品の開拓に積極的に取り組んでまいりました。自社製テストシステムは、半導体市況悪化の影響により第4四半期にメモリーテスターの販売が停滞したものの、通期では前期実績を大幅に上回りました。STAr Technologies, Inc.は、テストシステムが伸長したことに加え、顧客ファウンドリの需要増により引き続きプローブカード販売が好調に推移しました。しかしながら、前期に実施したハードディスクドライブ販売事業の譲渡の影響により、当事業の売上高はほぼ前期並みとなりました。
その結果、当事業の売上高は11,408百万円(同0.3%減)、セグメント利益は1,096百万円(同132.2%増)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の不動産賃貸料は、テナントの入居率をほぼ維持できたことなどから458百万円となり、前連結会計年度に比べ5.0%増加しました。一方、不動産賃貸費用は経費節減に努め、前連結会計年度に比べ0.2%増加の307百万円となりました。また、Fenox Innotech Venture Company VI, L.P.に係る投資事業組合運用益を計上したことなどから、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ103.5%増加し、2,459百万円となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は前連結会計年度に比べ73.8%増加し、1百万円となりました。一方、特別損失は投資有価証券評価損を計上したことにより203百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ86.6%増加し、2,256百万円となりました。
(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は前連結会計年度に比べ52.1%増加し、676百万円となりました。
この結果、当期純利益は前連結会計年度に比べ106.7%増加し、1,580百万円となりました。
また、法人税等の税金等調整前当期純利益に対する比率は30.0%となり、前連結会計年度に比べ6.8ポイント減少しました。
(非支配株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、主にSTAr Technologies, Inc.の業績が好調だったことなどから前連結会計年度に比べ100.1%増加し、86百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ107.1%増加し、1,493百万円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ1,164百万円減少し、4,288百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は1,109百万円(前期比44.8%減)となりました。これは主に、たな卸資産及び前渡金が604百万円増加し、前受金が529百万円減少したものの、税金等調整前当期純利益を2,256百万円計上したことなどにより資金を得たためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は1,575百万円(同77.4%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得に611百万円、無形固定資産の取得に436百万円、投資有価証券の取得に391百万円の資金を使用したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は649百万円(同21.6%増)となりました。これは主に、社債の発行により2,200百万円、長期借入れにより1,500百万円を得たものの、配当金の支払に615百万円、自己株式の取得に3,871百万円の資金を使用したことなどによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品や原材料等の仕入代金や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は経常的に発生するものではありませんが、生産設備を有する一部の子会社の設備投資や事業買収に係る費用等があります。これらの資金需要に対しては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を使用し、不足分について金融機関からの借入などによる調達を実施することとしております。長期借入金や社債などの長期資金の調達につきましては、金利動向などの調達環境を考慮の上、調達規模や調達手段を適宜判断して実施することとしております。
また、自己株式につきましては、財政状態や株価などの状況に応じ、取得について機動的に検討することとしております。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年2月に2019年度から2023年度を対象とした中期経営計画を新たに公表しました。新しい中期経営計画では、「利益成長に伴う企業価値の拡大」を目指します。
具体的には、ROE8%超を最低限の目標とし、利益・キャッシュフローの拡大と同時に「資本政策に関する基本方針」に基づいた適切な資本政策の実行により資本効率の向上を図り、両面からROE目標の達成を目指してまいります。目標達成には連結営業利益で30から35億円程度を計上することが目安となると試算しております。
当社グループが中期経営計画において掲げている主な数値目標は以下のとおりであります。
・自己資本当期純利益率(ROE):中期8%超(目標を達成するための営業利益の目安:30~35億円)
・投下資本利益率(ROIC):ROICと加重平均資本コスト(WACC)のスプレッド拡大を実現し、8%を目指す
・負債資本倍率(D/Eレシオ):有利子負債による資金調達を行う場合においては0.5倍以下を目安とする
・配当性向:連結配当性向30%を下回らないこととし、急激な業績変化等が起こらなければ50%程度を目安とする。また、自己株式取得を機動的に行い、総還元性向を高め、自己資本額を適正に保つ