有価証券報告書-第32期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/22 11:51
【資料】
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【項目】
109項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が325億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億85百万円増加いたしました。一方、負債は74億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億36百万円増加いたしました。また、純資産は250億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億48百万円増加いたしました。
②経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績や雇用環境の改善、底堅い個人消費などに支えられ、概ね緩やかな拡大基調で推移いたしました。
このような状況の下、当社グループにおける当連結会計年度の業績につきましては、半導体や自動車関連向けを中心に自社製品・サービスの販売が堅調に推移したものの、ハードディスクドライブ販売事業を譲渡した影響などから、売上高287億35百万円(前期比0.4%減)、営業利益12億44百万円(同24.5%増)、経常利益12億8百万円(同3.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7億21百万円(同10.6%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、業績が概ね堅調に推移したことなどから、営業活動において20億9百万円(前期比19.2%減)の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)を得た一方、有形固定資産の取得などの投資活動に8億87百万円(同6.4%増)、配当金の支払いや自己株式の取得などの財務活動に5億33百万円(同84.2%増)を使用した結果、当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ6億8百万円増加し、54億53百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業(千円)7,844,75299.44
プロダクトソリューション事業(千円)5,711,10489.04
合計(千円)13,555,85694.78

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業16,486,68785.5110,344,04592.75
プロダクトソリューション事業12,908,047110.464,177,950154.17
合計29,394,73594.9214,521,996104.75

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業(千円)17,295,646100.97
プロダクトソリューション事業(千円)11,440,04397.49
合計(千円)28,735,69099.56

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準により作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって、経営者が採用した会計基準や、資産・負債及び収益・費用の計上並びに開示に影響を与える見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、179億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億3百万円増加しました。これは主に、現金及び預金や受取手形及び売掛金、商品及び製品が増加したためであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、145億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億81百万円増加しました。これは主に、機械装置及び運搬具や投資有価証券を取得したためであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、68億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億84百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金や前受金が増加したためであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、6億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ51百万円増加しました。これは主に、役員退職慰労引当金や退職給付に係る負債が増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、250億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億48百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が増加したためであります。この結果、自己資本比率は74.3%となり、前連結会計年度末に比べ5.0ポイント減少しております。
2) 経営成績
(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上高は子会社を中心に堅調に推移したものの、ハードディスクドライブ販売事業の譲渡の影響もあったことなどから287億35百万円となり、前連結会計年度に比べ0.4%減少しました。一方、当該事業譲渡や、ガイオ・テクノロジー、STAr Technologies, Inc.などの収益性が向上したことなどにより利益率は改善、売上高に対する売上原価の比率は前連結会計年度に比べ1.2ポイント減少し、70.8%となりました。また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ1.0%増加し、71億45百万円となりました。これは主にSTAr Technologies, Inc.において事業拡大に伴う経費が増加したものの、主に提出会社の人件費などが減少したことにより、ほぼ横ばいとなったものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ24.5%増加し、12億44百万円となりました。
なお、報告セグメント別の業績は次のとおりであります。また、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
[設計開発ソリューション事業]
設計開発ソリューション事業は、高付加価値製商品及びサービスの提供により、新規顧客開拓や既存顧客との関係強化を図るなど積極的な営業活動に努めてまいりました。主力商品の半導体設計用(EDA)ソフトウェアは、新規顧客開拓や新規製品の販売が順調に進捗したものの、大手顧客向け販売権を移管した影響などにより前期実績には及びませんでした。一方、自社製CPUボードなどの組込み製品は、社会インフラ向けを中心に好調に推移いたしました。新規事業のモデルベース開発も、自動車関連からの引き合い増加などにより収益性の向上が見られました。また、ガイオ・テクノロジー株式会社の組込みソフト検証ツール及びエンジニアリングサービスは、検証ツールの販売堅調と車載関連向けエンジニアリングサービスの需要増などにより引き続き好調に推移いたしました。三栄ハイテックス株式会社のLSI設計受託ビジネスも、車載関連向けを中心に高い稼働率を維持できたことなどにより堅調に推移いたしました。アイティアクセス株式会社は、新規事業である決済端末や肌センサーの量産対応に遅れが生じたものの、既存事業のライセンス販売及び受託開発が堅調に推移したほか、2018年2月に買収した株式会社ビッグバレーも業績に貢献いたしました。
その結果、当事業の売上高は172億95百万円(前期比1.0%増)、セグメント利益は11億89百万円(同12.6%増)となりました。
[プロダクトソリューション事業]
プロダクトソリューション事業は、半導体メモリー市場、OA・FA市場の既存顧客を中心に当社グループのエンジニアリング力を活かし、高付加価値製商品及びサービスの提供、新規アプリケーションの開拓に注力してまいりました。また、顧客ニーズに対応した製品の開発、商品の開拓に積極的に取り組んでまいりました。自社製テストシステムは、イメージセンサー向けテスターの販売が一巡し、海外向け需要も伸び悩んだものの、メモリー向けテスターの国内需要が回復し、売上高は堅調に推移いたしました。STAr Technologies, Inc.は、顧客ファウンドリの需要堅調により、テストシステム及びプローブカード販売ともに好調に推移いたしました。一方、電子部品部門は、当社グループのビジネスの方向性などを考慮し、経営資源の選択と集中を強化するため、ハードディスクドライブ販売事業を2017年11月1日付で佐鳥電機株式会社に譲渡した影響に加え、IoT関連の新規事業の立ち上げ遅延もあり低調な推移となりました。
その結果、当事業の売上高は114億40百万円(同2.5%減)、セグメント利益は4億72百万円(同29.1%増)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の不動産賃貸料は、テナントの入居率が一時的ながら若干低下したことなどから4億36百万円となり、前連結会計年度に比べ2.6%減少しました。また、不動産賃貸費用も計画的な修繕や経費節減に努めたことなどから前連結会計年度に比べ2.9%減少し、3億6百万円となりました。一方、主に海外子会社において為替差損が発生したことや、Fenox Innotech Venture Company VI, L.P.に係る投資事業組合運用損を計上したことなどから、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ3.4%減少し、12億8百万円となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は前連結会計年度に比べ88.8%減少し、0百万円となりました。これは当連結会計年度においては新株予約権戻入益のみの計上であったことによるものです。なお、特別損失の計上はありませんでした。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ1.5%減少し、12億9百万円となりました。
(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は前連結会計年度に比べ11.9%増加し、4億44百万円となりました。
この結果、当期純利益は前連結会計年度に比べ7.9%減少し、7億64百万円となりました。
また、法人税等の税金等調整前当期純利益に対する比率は36.8%となり、前連結会計年度に比べ4.4ポイント増加しました。
(非支配株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、主にSTAr Technologies, Inc.の業績が好調だったことなどから前連結会計年度に比べ87.7%増加し、43百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ10.6%減少し、7億21百万円となりました。
3) キャッシュ・フローの状況
当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ6億8百万円増加し、54億53百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は20億9百万円(前期比19.2%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を12億9百万円計上したことに加え、前受金が11億44百万円増加したことなどにより資金を得たためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は8億87百万円(同6.4%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得に6億77百万円、投資有価証券の取得に3億13百万円の資金を使用したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は5億33百万円(同84.2%増)となりました。これは主に、非支配株主からの払込みにより2億28百万円を得たものの、配当金の支払に3億15百万円、自己株式の取得に4億4百万円の資金を使用したことなどによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品や原材料等の仕入代金や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は経常的に発生するものではありませんが、主に事業買収に係る費用や生産設備を有する一部の子会社の設備投資等であります。これらの資金需要に対しては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を使用し、不足分について金融機関からの借入などによる調達を実施することとしております。長期借入金や社債などの長期資金の調達につきましては、金利動向などの調達環境を考慮の上、調達規模や調達手段を適宜判断して実施することとしております。
また、自己株式につきましては、財政状態や株価などの状況に応じ、取得について機動的に検討することとしております。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、環境変化のなかで持続的な成長を果たすべく、2014年11月に発表した中期経営計画のもと、大胆な事業構造改革を推進してまいりました。当連結会計年度はこの計画の3年目にあたります。
計画最終年度(2018年度)の目標値である売上高350~400億円、営業利益25~30億円、自己資本当期純利益率(ROE) 短期5.0%以上、中期8.0%以上に対し、計画発表からの3年間、商社型ビジネスからコンサルティングを軸としたソリューションビジネスへの転換を図ってまいりましたが、一部の事業からの撤退による売上高の減少や、新規事業の立ち上げの遅れなどにより、当連結会計年度においては売上高287億35百万円、営業利益12億44百万円、ROE3.0%に留まっており、数値目標の達成は厳しい状況にあります。しかしながら、事業ポートフォリオ改革による収益体質の改善は着実に進んでおり、計画の最終年度となる翌連結会計年度での数値目標達成に向け、最後まで努力する所存であります。
また、当社グループは企業価値を持続的に高めていくための指針として、「資本政策に関する基本方針」を2018年2月に発表いたしました。今後、本方針に沿った施策を実行することにより、まずはROE5%の早期達成を目指してまいります。