有価証券報告書-第34期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 13:38
【資料】
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【項目】
143項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が34,967百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,086百万円増加しました。一方、負債は14,548百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,582百万円増加しました。また、純資産は20,418百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,496百万円減少しました。
②経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境の改善や堅調な設備投資などを背景に概ね緩やかな回復基調であったものの、消費税増税による駆け込み需要の反動減に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、足元で大幅に下押しされており、極めて厳しい状況が懸念されます。
このような状況の下、当社グループにおける当連結会計年度の業績につきましては、車載や社会インフラ向けの組込み関連製品が堅調に推移した一方、半導体市況悪化の影響により主にメモリー向けのテストシステムが低迷した結果、売上高31,161百万円(前期比4.6%増)、営業利益1,670百万円(同14.6%減)、経常利益1,896百万円(同22.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,168百万円(同21.7%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、主に営業活動において3,116百万円(前期比180.9%増)、財務活動において288百万円(前期は649百万円の使用)の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)を得た一方、投資活動に1,713百万円(同8.8%増)を使用した結果、当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ1,886百万円増加し、6,174百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは創業以来の商社から、自社ソリューション及び自社製品を開発・販売するメーカーへの転換を図ってまいりました。その結果、当社グループにおける自社製品売上の比率は急激に上昇してきており、生産実績の重要性が増したことから、当連結会計年度より当該実績の開示を行うことといたしました。
なお、前年同期比の算定については、前連結会計年度まで社外への生産委託を商品仕入実績として開示していた自社ソリューション等に係る数値を生産実績として組み替えて算定しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業(千円)8,424,965135.51
プロダクトソリューション事業(千円)4,695,54763.55
合計(千円)13,120,51296.43

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.一部の自社製品については、社外へ委託生産を行っており、上表の金額は外部委託先からの仕入価格を基準に記載しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業(千円)7,537,950105.91
プロダクトソリューション事業(千円)859,517161.05
合計(千円)8,397,467109.75

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業24,353,648139.2812,600,889133.59
プロダクトソリューション事業10,420,205115.762,215,080125.07
合計34,773,853131.2914,815,969132.24

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
設計開発ソリューション事業(千円)21,185,572115.16
プロダクトソリューション事業(千円)9,976,21587.45
合計(千円)31,161,788104.55

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、19,243百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,843百万円増加しました。これは主に、営業キャッシュ・フローの改善により現金及び預金が増加したためであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、15,723百万円となり、前連結会計年度末に比べ242百万円増加しました。これは主に、子会社における土地の購入や当社における投資有価証券の取得によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、10,120百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,965百万円増加しました。これは主に、大口契約の更新期等により前受金が減少した一方で、自社製品の販売拡大に伴い支払手形及び買掛金が増加したことや自己株式の取得により短期借入金、1年内返済予定の長期借入金が増加したためであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、4,427百万円となり、前連結会計年度末に比べ617百万円増加しました。これは主に、自己株式の取得により長期借入金が増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、20,418百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,496百万円減少しました。これは主に、「資本政策に関する基本方針」に則した施策として資本効率の向上のために実施した自己株式の取得によるものであります。この結果、自己資本比率は55.5%となり、前連結会計年度末に比べ8.4ポイント減少しております。
b.経営成績
(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上高は、半導体市況の影響により主にメモリー向けのテストシステムが低迷したものの、車載や社会インフラ向けの組込み関連製品が堅調に推移したことに加え、連結子会社の新規事業である決済端末の販売が大幅に増加したことなどから31,161百万円となり、前連結会計年度に比べ4.6%増加しました。一方、利益率は連結子会社のアイティアクセス株式会社やSTAr Technologies, Inc.などの収益性が向上したものの、メモリー向けテスターの大幅減収の影響などにより若干悪化し、売上高に対する売上原価の比率は前連結会計年度に比べ1.0ポイント増加の69.2%となりました。また、販売費及び一般管理費は、新製品開発のための研究開発費の増加や業容拡大に伴う給与手当の増加などにより前連結会計年度に比べ5.4%増加し、7,925百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ14.6%減少し、1,670百万円となりました。
なお、報告セグメント別の経営成績は次のとおりであります。また、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
[設計開発ソリューション事業]
設計開発ソリューション事業は、高付加価値製商品及びサービスの提供により、新規顧客開拓や既存顧客との関係強化を図るなど積極的な営業活動を行い、売上拡大及び収益の安定化に努めてまいりました。主力商品の半導体設計用(EDA)ソフトウェアは、既存顧客からの受注や新規顧客開拓及び新規製品の販売が堅調に推移いたしました。自社製CPUボードなどの組込み製品は、流通向けが伸び悩んだものの、社会インフラ向けや防衛向けが堅調に推移いたしました。また、ガイオ・テクノロジー株式会社は、組込みソフト検証ツールが若干減収となったものの、自動車関連の底堅い開発需要に支えられ引き続き堅調に推移いたしました。アイティアクセス株式会社は、組込みソフトウェアのライセンス販売が伸び悩みましたが、新規事業である決済端末の販売が大幅に増加いたしました。株式会社レグラスは、画像処理関連の受託開発や自社製AIカメラシステム関連の受託開発、販売が堅調に推移いたしました。一方、モデルベース開発は、主力顧客における一部プロジェクトの見送りなどにより減収となりました。また、三栄ハイテックス株式会社のLSI設計受託ビジネスは、国内主力顧客の需要低迷の影響を海外事業の増収により補ったものの、前期実績に及びませんでした。
その結果、当事業の売上高は21,185百万円(前期比15.2%増)、セグメント利益は1,462百万円(同5.2%増)となりました。
[プロダクトソリューション事業]
プロダクトソリューション事業は、半導体メモリー市場、モバイルデバイス市場等の顧客を中心に当社グループのエンジニアリング力を活かし、高付加価値製商品及びサービスの提供、新規アプリケーションの開拓に注力するとともに、顧客ニーズに対応した製品の開発、商品の開拓に積極的に取り組んでまいりました。自社製テストシステムは、市況悪化に伴う顧客の投資抑制が依然として続いていることから、メモリーテスターの販売が低迷し大幅な減収となりました。一方、台湾のSTAr Technologies, Inc.は、信頼性テストシステムの販売が堅調だったことに加え、顧客ファウンドリ向けのプローブカード販売も伸長したことにより引き続き好調に推移いたしました。
その結果、当事業の売上高は9,976百万円(同12.6%減)、セグメント利益は646百万円(同41.0%減)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の不動産賃貸料は、テナントの入居率をほぼ維持できたことなどから464百万円となり、前連結会計年度に比べ1.3%増加しました。一方、不動産賃貸費用は経費節減に努め、前連結会計年度に比べ1.5%減少の302百万円となりました。また、前連結会計年度に計上したFenox Innotech Venture Company VI, L.P.に係る投資事業組合運用益が大幅に減少したことなどから、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ22.9%減少し、1,896百万円となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は前連結会計年度に比べ75.6%減少し、0百万円となりました。一方、特別損失は固定資産売却損を計上し、0百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ16.0%減少し、1,895百万円となりました。
(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は、減益により前連結会計年度に比べ11.3%減少し、600百万円となりました。
この結果、当期純利益は前連結会計年度に比べ18.0%減少し、1,294百万円となりました。
また、法人税等の税金等調整前当期純利益に対する比率は31.7%となり、前連結会計年度に比べ1.7ポイント増加しました。
(非支配株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアイティアクセス株式会社の業績が好調だったことなどから前連結会計年度に比べ45.2%増加し、126百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ21.7%減少し、1,168百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ1,886百万円増加し、6,174百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は3,116百万円(前期比180.9%増)となりました。これは主に、前受金が482百万円減少したものの、仕入債務が766百万円増加したことに加え、減価償却費を985百万円、税金等調整前当期純利益を1,895百万円それぞれ計上したことなどにより資金を得たためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は1,713百万円(同8.8%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得に678百万円、無形固定資産の取得に473百万円、投資有価証券の取得に470百万円の資金を使用したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果得られた資金は288百万円(前期は649百万円の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得に2,203百万円、配当金の支払に529百万円、長期借入金の返済に366百万円の資金を使用したものの、短期借入金の増加により2,409百万円、長期借入れにより1,000百万円を得たことなどによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品や原材料等の仕入代金や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は経常的に発生するものではありませんが、生産設備を有する一部の子会社の設備投資や事業買収に係る費用等があります。これらの資金需要に対しては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を使用し、不足分について金融機関からの借入などによる調達を実施することとしております。長期借入金や社債などの長期資金の調達につきましては、金利動向などの調達環境を考慮の上、調達規模や調達手段を適宜判断して実施することとしております。
また、自己株式の取得につきましては、「資本政策に関する基本方針」に基づき、実行の是非を判断することとしております。
③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況、1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準により作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって、経営者が採用した会計基準や、資産・負債及び収益・費用の計上並びに開示に影響を与える見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」にそれぞれ記載しております。