有価証券報告書-第38期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/25 16:08
【資料】
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【項目】
133項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が47,833百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,204百万円増加しました。一方、負債は22,511百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,472百万円増加しました。また、純資産は25,322百万円となり、前連結会計年度末に比べ732百万円増加しました。
②経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善が進むなか、個人消費や設備投資を中心に緩やかな回復基調で推移したものの、円安の進行や物価上昇の影響が懸念されるほか、ウクライナや中東情勢、米中摩擦など地政学的リスクの高まり、中国経済の減速や欧米での金融引き締めによる景気後退懸念など、先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社グループにおける当連結会計年度の業績につきましては、半導体設計関連事業が前期実績に及ばず、テストソリューション事業も減益となった一方、システム・サービス事業は概ね好調に推移したことなどから、売上高41,358百万円(前期比7.1%増)、営業利益2,474百万円(同6.7%増)、経常利益2,880百万円(同16.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,477百万円(同11.3%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、投資活動において1,444百万円(前期比14.6%減)を使用した一方、営業活動により2,621百万円(同56.0%増)、財務活動において808百万円(前期は517百万円の使用)の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)を得た結果、当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ2,108百万円増加し、8,243百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
テストソリューション事業(千円)9,954,961101.85
半導体設計関連事業(千円)2,948,22699.21
システム・サービス事業(千円)7,333,502114.20
合計(千円)20,236,690105.58

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.一部の自社製品については、社外へ委託生産を行っており、上表の金額は外部委託先からの仕入価格を基準に記載しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
テストソリューション事業(千円)27,961920.52
半導体設計関連事業(千円)6,974,82494.69
システム・サービス事業(千円)1,676,57896.37
合計(千円)8,679,36595.28

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
テストソリューション事業17,136,838120.293,993,832145.65
半導体設計関連事業14,672,721101.0414,256,279114.35
システム・サービス事業14,075,959115.255,320,194138.78
合計45,885,519111.9723,570,306123.77

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
テストソリューション事業(千円)15,885,082113.97
半導体設計関連事業(千円)12,884,03796.96
システム・サービス事業(千円)12,589,264110.39
合計(千円)41,358,384107.06

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、30,305百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,347百万円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加や、今後の需要拡大に向けた部材の確保等による棚卸資産の増加によるものであります。なお、現金及び預金の増加要因については「②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載のとおりであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、17,528百万円となり、前連結会計年度末に比べ143百万円減少しました。これは主に、退職給付に係る資産が増加した一方、連結子会社が保有する投資有価証券を減損処理したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、20,260百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,192百万円増加しました。これは主に、1年内償還予定の社債を償還した一方、短期借入金や前受金が増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、2,250百万円となり、前連結会計年度末に比べ279百万円増加しました。これは主に、長期借入金の調達を実行したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、25,322百万円となり、前連結会計年度末に比べ732百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことや、新株予約権の行使等により自己株式が減少したことによるものであります。この結果、自己資本比率は51.6%となり、前連結会計年度末に比べ2.5ポイント減少しております。
b.経営成績
(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上高は、信頼性評価装置や半導体設計用(EDA)ソフトウェア、クラウド決済サービスの販売が堅調に推移したことなどから41,358百万円となり、前連結会計年度に比べ7.1%増加しました。一方、売上高に対する売上原価の比率は、各セグメントにおける利益率に大きな変化は見られなかったため、ほぼ前期並みの68.2%となりました。また、販売費及び一般管理費は、新製品の開発や業容拡大に伴い研究開発費や給与手当が増加したことなどにより前連結会計年度に比べ7.7%増加し、10,685百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ6.7%増加し、2,474百万円となりました。
報告セグメント別の経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
[テストソリューション事業]
テストソリューション事業は、半導体メモリー市場等の顧客を中心に当社グループのエンジニアリング力を活かし、高付加価値製品の提供に注力するとともに、顧客ニーズに対応した製品の開発やメモリー以外の周辺ソリューションの拡大に積極的に取り組んでまいりました。自社製テストシステムは、後工程用検査ボードの販売が堅調だったことにより一定の収益は確保したものの、半導体市況低迷に伴い顧客の投資抑制が続きメモリー向けテスターの需要が回復しなかったことから大幅な減収となりました。台湾のSTAr Technologies, Inc.は、市況低迷によりプローブカードの販売が伸び悩んだものの、信頼性評価装置の販売が堅調に推移し増収増益となりました。
その結果、当事業の売上高は15,885百万円(前期比14.0%増)、セグメント利益は812百万円(同15.2%減)となりました。
[半導体設計関連事業]
半導体設計関連事業は、新規顧客の開拓や既存顧客との関係強化を図るなど積極的な営業活動を行い、売上拡大及び収益の安定化に努めてまいりました。EDA他は、一部商品の取り扱い終了の影響により減収となりましたが、主力商品である半導体設計用(EDA)ソフトウェアについては、既存顧客との長期契約の更新が概ね順調だったことや新規顧客向け販売が堅調に推移したことなどから増収となりました。三栄ハイテックス株式会社のLSI設計受託ビジネスは、市況悪化により中国での事業は低調だったものの、国内事業やベトナム子会社は概ね堅調に推移し、ほぼ前期並みの実績となりました。株式会社モーデックのシミュレーションモデル製品販売や設計支援サービスは、半導体や自動車関連向けの受注が伸び悩み前期実績には及びませんでした。
その結果、当事業の売上高は12,884百万円(前期比3.0%減)、セグメント利益は575百万円(同8.9%減)となりました。
[システム・サービス事業]
システム・サービス事業は、当社グループのエンジニアリング力を活かし、特徴ある製品の開発やサービスの提供に注力するとともに、展示会やWEBを活用し新規顧客の獲得を図るなど積極的な営業活動を行ってまいりました。自社製CPUボードやBOX型コンピューターなどの組込み製品は、社会インフラや産業機械向けなどを中心とした需要が引き続き高いことに加え、防衛やセキュリティ関連向けも伸長し増収となりました。アイティアクセス株式会社は、決済端末の需要が増加したことに伴いクラウド決済サービスも堅調に推移し増収増益となりました。ガイオ・テクノロジー株式会社の車載向け組込みソフト検証ツール販売及びエンジニアリングサービスは、自動車関連の需要が回復傾向となったことなどにより増収増益となりました。株式会社レグラスは、受託開発が概ね順調に推移したものの、建機やフォークリフト向けAIカメラシステムの立ち上がりが遅れたことなどにより減収となりました。
その結果、当事業の売上高は12,589百万円(前期比10.4%増)、セグメント利益は1,616百万円(同21.3%増)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の不動産賃貸料は、テナントの入居率をほぼ維持できたことなどから480百万円となり、前連結会計年度に比べ7.5%増加しました。また、主に債権債務の評価替えによる為替差益も増加しました。一方、不動産賃貸費用は、本社ビル維持管理費の増加などにより前連結会計年度に比べ5.2%増加の353百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ16.1%増加し、2,880百万円となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は、国内子会社において補助金収入を計上したことなどにより3百万円となりました。一方、特別損失は、海外子会社において投資有価証券評価損を計上したことなどから、534百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ5.4%減少し、2,349百万円となりました。
(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は、国内子会社の業績が好調だったことなどから、前連結会計年度に比べ6.5%増加し、817百万円となりました。
この結果、当期純利益は、前連結会計年度に比べ10.7%減少し、1,532百万円となりました。
また、法人税等の税金等調整前当期純利益に対する比率は34.8%となり、前連結会計年度に比べ3.9ポイント増加しました。
(非支配株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、主に連結子会社のアイティアクセス株式会社が増益となったことから、前連結会計年度に比べ12.9%増加し、54百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ11.3%減少し、1,477百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ2,108百万円増加し、8,243百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は2,621百万円(前期比56.0%増)となりました。これは主に、棚卸資産及び前渡金が999百万円増加したものの、税金等調整前当期純利益を2,349百万円、減価償却費を1,288百万円それぞれ計上したことなどにより資金を得たためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は1,444百万円(同14.6%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得に704百万円、無形固定資産の取得に499百万円の資金を使用したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果得られた資金は808百万円(前期は517百万円の使用)となりました。これは主に、社債の償還に2,200百万円を使用したものの、短期借入れにより4,055百万円、長期借入れにより1,000百万円を得たことなどによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品や原材料等の仕入代金や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は経常的に発生するものではありませんが、生産設備を有する一部の子会社の設備投資や事業買収に係る費用等があります。これらの資金需要に対しては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を使用し、不足分について金融機関からの借入などによる調達を実施することとしております。長期借入金や社債などの長期資金の調達につきましては、金利動向などの調達環境を考慮のうえ、調達規模や調達手段を適宜判断して実施することとしております。
また、自己株式の取得につきましては、「資本政策に関する基本方針」に基づき、実行の是非を判断することとしております。
③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準により作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって、経営者が採用した会計基準や、資産・負債及び収益・費用の計上並びに開示に影響を与える見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。