四半期報告書-第18期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/12 11:37
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32項目
(1) 経営成績
当社グループでは、2019年5月に策定した「19-21中期経営計画 さらなる成長への挑戦 ~健康とともに、地域とともに~」(以下「19-21中計」という。)に掲げたグループ経営方針「グループ連携体制の構築」「事業モデルの変革」「地域の人々の健康への貢献」「さらなる生産性の向上」「人づくり」に引き続き取り組んでおります。
当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症の流行が続くなか、当社グループでは、生命関連商品を取り扱う社会インフラとしての使命を果たすべく、感染拡大防止の対策を行うとともに、お取引先様および当社グループ従業員の安全を確保しながら医薬品等の安定供給に努めてまいりました。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高1兆9,854億63百万円(前年同期比3.8%減)、営業利益148億65百万円(同57.0%減)、経常利益234億30百万円(同43.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益190億84百万円(同31.8%減)となりました。
なお、連結子会社のアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区、以下「アルフレッサ」という。)が、2020年12月、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)を発注者とする医療用医薬品の入札における独占禁止法違反容疑で、東京地方検察庁より起訴されました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① 医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等卸売事業におきましては、2019年10月と2020年4月の二度の薬価改定および新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関における患者様の外来受診抑制や手術件数の減少等の影響により市場は縮小しており、厳しい事業環境で推移いたしました。また、お得意先様を取り巻く経済状況の悪化に伴い納入価格交渉が厳しくなっていることや、医療機関への訪問規制によりプロモーション活動が制限されていることも当社グループの業績に影響を及ぼしております。このようななか、当社グループでは、感染予防に十分配慮しながら医薬品の安定供給を最優先に事業活動を行っております。
当社グループは、医療用医薬品NO.1卸※1として勝ち続けるために「19-21中計」の重点施策として掲げた「MS機能のさらなる進化」「スペシャリティ商品への注力」「グループ物流の高度化、効率化と標準化」に引き続き取り組んでおります。
「グループ物流の高度化、効率化と標準化」への取り組みとして、アルフレッサは、2020年7月、ヤマトホールディングス株式会社(本社:東京都中央区)の連結子会社であるヤマトロジスティクス株式会社(本社:東京都中央区)と、医療用医薬品、一般用医薬品、医療機器、医療材料および診断薬等の「ヘルスケア商品」の共同配送スキームの構築に向けた業務提携契約を締結いたしました。これにより、ヘルスケア商品の配送業務効率化および配送能力増強を目指しております。
連結子会社の東北アルフレッサ株式会社(本社:福島県郡山市、以下「東北アルフレッサ」という。)は、2020年9月、南東北エリアにおける最新鋭の物流拠点として「郡山物流センター」を稼働いたしました。同センターはGDPガイドラインに準拠し、約2万7千品目の豊富な在庫を有するほか、免震構造の採用、72時間稼働の非常用発電機や屋上ヘリポートの設置等により、大規模災害時でも安定的な医薬品供給が可能なだけではなく、営業エリアを超えた緊急対応も可能となっております。東北アルフレッサでは同センターを東北地方における物流の中核拠点として活用することで、今後も地域医療に貢献してまいります。
再生医療等製品に関する取り組みとしてアルフレッサは、2020年10月、新たな再生医療等製品の保管・輸送拠点となる神戸再生医療流通ステーションを開設いたしました。同施設は、2018年に同社が神奈川県川崎市に開設した殿町再生医療流通ステーションと同様、液体窒素を用いた設備機器等を導入して超低温(摂氏マイナス150度以下等)の保管・輸送環境を整備し、お客様のご要望に応じた保管・輸送業務をご提供することが可能となっております。同社はこれまで培ってきた再生医療等製品の保管・輸送に関するノウハウを活かして、アルフレッサグループの主要な物流拠点に同様の設備を設置し、再生医療等製品に対応した全国流通ネットワークを構築する予定です。
また、アルフレッサは、2020年11月、特殊医薬品の個別化医療支援※2に関する取り組みとして、PHC株式会社(本社:東京都港区)および富士通Japan株式会社(本社:東京都港区)と個別化医療支援プラットフォーム「NOVUMN(ノヴァム)」のパイロット運用を開始いたしました。特殊医薬品は、サプライチェーンの全工程で、厳格に温度を管理し、製品一つひとつのトレーサビリティを確立して、適切な在庫量を維持することが製品の安定供給上、重要となっております。
「NOVUMN」では、医薬品に貼付したRFIDタグと紐づけた電子情報(医薬品名、用量、使用期限等)により、在庫数のみならず温度も含めたスマートな在庫情報管理を実現するとともに、IoT(Internet of Things)技術を組み込んだプラットフォームには患者様の治療計画・投与スケジュール等の情報が連動し、医薬品トレーサビリティを一元的に管理することが可能となります。アルフレッサは、PHC株式会社、富士通Japan株式会社とともに業界標準のプラットフォームとして「NOVUMN」の普及を目指し、個別化医療のDX(Digital Transformation)を推進してまいります。
事業領域の拡大を視野に入れたベンチャー企業への投資として、アルフレッサは、当第3四半期連結累計期間において、再生医療等製品の開発および開発製造受託を行うファーマバイオ株式会社(本社:愛知県名古屋市)、日本発の遺伝子治療技術の研究開発および治療薬の開発、製造などを行う株式会社遺伝子治療研究所(本社:神奈川県川崎市)、オンライン診療システムを医療機関へ提供する株式会社インテグリティ・ヘルスケア(本社:東京都中央区)ならびに慢性心不全を対象とした再生医療等製品の開発を行う株式会社メトセラ(本社:山形県鶴岡市)へ出資いたしました。
あわせて、アルフレッサは、2020年10月、同社の出資先である株式会社Lily MedTech(本社:東京都文京区)との間で、同社が開発する乳房用超音波画像診断装置の日本国内の医療機関に対する総販売代理店契約を締結いたしました。
当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、薬価改定および新型コロナウイルス感染拡大等の影響による市場のマイナス成長ならびに価格競争の激化等により、売上高1兆7,464億77百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益121億39百万円(同60.4%減)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高117億6百万円(同1.0%減)を含んでおります。
※1 出典:「2020最新オール・データ&ランキング」 卸グループ別医療用医薬品事業シェア(株式会社ドラッグマガジン)
※2 個別化医療:悪性腫瘍をはじめとする様々な疾病の治療において、特殊医薬品が高い治療効果を発揮するためには、患者様一人ひとりの体質や病気のタイプに合わせた個別化医療が有効であると注目が高まっています。
② セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業におきましては、「トータルヘルスケア・マーチャンダイジング・ホールセラー」を推進し、新たな付加価値による差別化と創造性を持つオンリーワン卸を目指し、「19-21中計」の重点施策として掲げた「安定的かつ持続的な事業基盤の確立」「消費者視点に立った商品提案」「専売メーカー・専売商品の取り組み強化」「将来に向けた投資」「各事業セグメントとの連携強化」に引き続き取り組んでおります。
連結子会社のアルフレッサ ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区)と同社の完全子会社である株式会社茂木薬品商会(本社:東京都中央区)は、2021年1月、アルフレッサ ヘルスケア株式会社を存続会社とする吸収合併契約を締結いたしました(効力発生日:2021年4月1日)。今後は両社の経営資源を有効かつ効率的に活用して、経営基盤のさらなる強化を図ってまいります。
当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、新型コロナウイルス感染拡大によるインバウンド需要の大幅な減少の一方で、感染予防関連商品の売上増加および物流を起点とした全社改革の推進によるコスト管理や利益管理の徹底等により、売上高2,011億99百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益21億84百万円(同16.4%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高4億29百万円(同24.0%減)を含んでおります。
③ 医薬品等製造事業
医薬品等製造事業におきましては、グループシナジーの強化とさらなる規模拡大を推進するため、「19-21中計」の重点施策として掲げた「安心・安全・誠実なモノづくりの推進」「グループニーズに沿った製品の拡充」「製造受託・医薬品原薬事業の拡大」「海外事業の拡充」に引き続き取り組んでおります。
「グループニーズに沿った製品の拡充」への取り組みとして、連結子会社のアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区)において潰瘍性大腸炎の病態把握の補助として製造販売承認を取得し、2019年10月に販売を開始したカルプロテクチンキット「ネスコート® Cp オート」が、2020年5月1日付で保険適用されました。本製品により、従来よりも大腸内視鏡検査の回数を減らし、患者様の身体的な負担だけでなく経済的な負担軽減が期待され、本保険適用を機に、医療機関での潰瘍性大腸炎の診断および治療に貢献できるよう、本製品のさらなる普及に努めてまいります。
当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関等の外来受診抑制や手術件数の減少による自社製品の売上減少および医療機関等への営業活動の自粛等の影響により、売上高313億98百万円(前年同期比6.7%減)、営業利益3億57百万円(同76.0%減)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高66億7百万円(同22.9%減)を含んでおります。
④ 医療関連事業
医療関連事業におきましては、「19-21中計」の重点施策として掲げた「機能に応じた店舗の再編」「収益改善を目指した効率化・高度化」「多機能化による地域社会への貢献」「各事業セグメントとの連携強化」を引き続き推進する一方、前連結会計年度に発覚した調剤報酬請求に係る不適切行為の再発防止策を徹底するため、新たな管理ソフトウェアの導入および適正な人員配置等の対策を講じました。
連結子会社のアポロメディカルホールディングス株式会社(本社:東京都豊島区、以下「アポロメディカル」という。)および株式会社日本アポック(本社:埼玉県川越市)ならびに当社の完全子会社の株式会社中日ファーマシー(本社:愛知県名古屋市)は、2021年1月、アポロメディカルを存続会社とする吸収合併契約を締結いたしました(効力発生日:2021年4月1日)。この3社が経営統合することで、調剤薬局事業の強化と効率化を図り、これまで以上にコンプライアンスへの取り組みを強化するとともに顧客視点に立った新たな価値の創造を行える調剤薬局を目指してまいります。
当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、薬価改定および新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関の外来受診抑制等の影響により、売上高251億31百万円(前年同期比6.3%減)、営業損失3億46百万円(前年同期は営業利益2億64百万円)となりました。
(2) 財政状態
① 資産の部
資産は、前連結会計年度末と比較して706億55百万円増加し、1兆4,222億75百万円となりました。
流動資産は、662億69百万円増加し、1兆1,006億81百万円となりました。これは主として、「受取手形及び売掛金」が517億10百万円増加および「商品及び製品」が179億95百万円増加した一方で、「現金及び預金」が87億53百万円減少したことによるものです。
固定資産は、43億86百万円増加し、3,215億94百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資などに伴い有形固定資産が60億55百万円増加した一方で、「のれん」等の無形固定資産が15億46百万円減少したことによるものです。
② 負債の部
負債は、前連結会計年度末と比較して637億65百万円増加し、9,404億86百万円となりました。
流動負債は、600億17百万円増加し、8,969億96百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が746億44百万円増加した一方で、「未払法人税等」が96億58百万円減少および「賞与引当金」が44億26百万円減少したことによるものです。
固定負債は、37億47百万円増加し、434億90百万円となりました。これは主として、独占禁止法関連損失引当金等の「その他」が46億円増加した一方で、「退職給付に係る負債」が6億72百万円減少したことによるものです。
③ 純資産の部
純資産は、前連結会計年度末と比較して68億90百万円増加し、4,817億89百万円となりました。
これは主として、「利益剰余金」が82億74百万円増加した一方で、アポロメディカルを完全子会社化したこと等により「非支配株主持分」が9億56百万円減少および「資本剰余金」が2億98百万円減少したことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響については「第4 経理の状況 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は10億65百万円(前年同期比1.8%増)であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。