有価証券報告書-第17期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要については次のとおりであります。なお、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容については、各項目に含めて記載しております。
なお、前連結会計年度において行われた企業結合に係る暫定的な会計処理が当連結会計年度において確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続く一方、雇用および所得環境の改善により緩やかに回復しておりましたが、第4四半期に発生した新型コロナウイルス感染症の影響により足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。
このようななか、当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大に対し、グループ各社において感染拡大防止の対策を行うとともに、お得意様、お取引先様、当社グループ従業員およびその家族の安全を確保しながら、医薬品等の安定供給に努めております。
当社グループでは、「19-21中期経営計画 さらなる成長への挑戦 ~健康とともに、地域とともに~」(以下「19-21中計」という。)に掲げたグループ経営方針「グループ連携体制の構築」「事業モデルの変革」「地域の人々の健康への貢献」「さらなる生産性の向上」「人づくり」に取り組んでおります。
当社は、「事業モデルの変革」の取り組みとして、2019年11月にヒューマンライフコード株式会社(本社:東京都千代田区)と資本業務提携いたしました。同社は、先天的な難治性疾患や加齢に伴って後天的に組織修復が必要となった患者様に向けた「再生・細胞医療」に特化した企業であり、当社グループは、同社が開発を進めている国産の臍帯由来の間葉系細胞製品の安定的な流通体制の確立を目指してまいります。
また、当社は、「地域の人々の健康への貢献」の取り組みとして、2020年3月に株式会社エクスメディオ(本社:東京都千代田区)と資本業務提携いたしました。当社グループは、同社が提供する医師向けの情報共有プラットフォームをお得意様に紹介するとともに、地域包括ケア時代を視野に入れた新サービスを同社と共同開発してまいります。
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高2兆6,985億11百万円(前期比2.2%増)、営業利益476億45百万円(同6.4%増)、経常利益571億70百万円(同3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益402億73百万円(同3.5%減)となりました。
① セグメント別の業績
(A) 医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品市場におきましては、抗悪性腫瘍薬の需要拡大等の影響により、市場は2.5%の成長となりました(クレコンリサーチ&コンサルティング株式会社推定)。
当社グループでは、厚生労働省より公表され2018年4月からスタートしました「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」の遵守を重点課題として、「経済合理性に立った取引の推進」「単品単価契約の推進」「早期妥結の推進」に引き続き取り組んでおります。
あわせて、当社グループは医療用医薬品NO.1卸※として勝ち続けるために「19-21中計」の重点施策として掲げた「MS機能のさらなる進化」「スペシャリティ商品への注力」「グループ物流の高度化、効率化と標準化」に取り組んでおります。
「スペシャリティ商品への注力」への取り組みとしては、アルフレッサ株式会社(以下「アルフレッサ」という。)が2019年10月にスペシャリティ製品事業の推進体制を構築するため「スペシャリティ事業推進部」を新設し、グループ会社であるエス・エム・ディ株式会社(本社:東京都千代田区)と一体となって一元流通の積極的な展開を図っております。
「グループ物流の高度化」への取り組みとしては、アルフレッサが2019年7月に静岡物流センター(仮称)(所在地:静岡県藤枝市)の建築に着工いたしました。同センターは、2021年5月稼働予定で静岡県における物流の中核拠点として、厳格な温度管理等が可能な高機能物流センターとなる予定です。
また、アルフレッサは2019年9月にヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区)と「調剤薬局向け在宅医療支援サービス」を共同開発いたしました。
さらに、事業領域の拡大を視野に入れたベンチャー企業への投資として、アルフレッサは2019年9月に乳房用超音波画像診断装置の開発を目指すベンチャー企業である株式会社Lily MedTech(本社:東京都文京区)へ出資いたしました。同社が手掛ける本装置は現在の乳がん検診の課題を解決する医療機器として期待されています。
また、アルフレッサは株式会社クォンタムオペレーション(本社:東京都中央区)へ出資いたしました。アルフレッサは同社が開発するウォッチ型バイタルバンドの製品化を支援するとともに、今後の上市後の流通に向けた業務提携へ協議を進めてまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、売上高2兆3,755億39百万円(前期比2.1%増)、営業利益417億9百万円(同3.6%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高151億99百万円(同4.3%減)を含んでおります。
※ 出典:「2020最新オール・データ&ランキング」 卸グループ別医療用医薬品事業シェア(株式会社ドラッグマガジン)
(B) セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業におきましては、「トータルヘルスケア・マーチャンダイジング・ホールセラー」を推進し、新たな付加価値による差別化と創造性を持つオンリーワン卸を目指し、「19-21中計」の重点施策として掲げた「安定的かつ持続的な事業基盤の確立」「消費者視点に立った商品提案」「専売メーカー・専売商品の取り組み強化」「将来に向けた投資」「各事業セグメントとの連携強化」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、インバウンド需要の減少や物流費等の高騰などマイナス要因があったものの、新型コロナウイルス感染拡大の状況下における衛生材料や除菌関連商品等の売上増大およびコスト管理の徹底等により、売上高2,689億44百万円(前期比1.5%増)、営業利益28億86百万円(同6.4%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高7億51百万円(同52.4%減)を含んでおります。
(C) 医薬品等製造事業
医薬品等製造事業におきましては、グループシナジーの強化とさらなる規模拡大を推進するため、「19-21中計」の重点施策として掲げた「安心・安全・誠実なモノづくりの推進」「グループニーズに沿った製品の拡充」「製造受託・医薬品原薬事業の拡大」「海外事業の拡充」に取り組んでおります。
「グループニーズに沿った製品の拡充」の取り組みとして、アルフレッサ ファーマ株式会社(以下「アルフレッサ ファーマ」という。)が2019年6月27日付で放射線治療用吸収性組織スペーサ「ネスキープ®」を新発売いたしました。悪性腫瘍の治療のために行われる放射線治療の中でも粒子線を用いた治療が近年注目されていますが、本製品を使用することでより多くの治療機会を提供できるものと考えております。
また、アルフレッサ ファーマは2019年10月25日付で潰瘍性大腸炎の病態把握の補助に使用されるカルプロテクチンキット「ネスコート® Cp オート」を体外診断用医薬品として新発売いたしました(2019年6月5日付製造販売承認を取得)。本製品により、従来よりも大腸内視鏡検査の回数を減らし、患者様の身体的な負担だけでなく経済的な負担軽減が期待されます。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、第一三共株式会社(本社:東京都中央区)および同社の子会社である第一三共エスファ株式会社(本社:東京都中央区)から承継した長期収載品の売上増大等により、売上高459億49百万円(前期比12.8%増)、営業利益23億49百万円(同49.4%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高116億10百万円(同17.9%増)を含んでおります。
(D) 医療関連事業
医療関連事業におきましては、収益改善を目指した効率化と環境変化に対応した機能強化を推進するため、「19-21中計」の重点施策として掲げた「機能に応じた店舗の再編」「収益改善を目指した効率化・高度化」「多機能化による地域社会への貢献」「各事業セグメントとの連携強化」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、調剤報酬加算の獲得増加等の影響により、売上高356億38百万円(前期比2.4%増)、営業利益4億28百万円(同44.8%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
(A) 生産実績及び受注実績
当社グループの生産実績および受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(B) 仕入実績
(注)1.金額は実際の仕入額によっており、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部仕入高は274億4百万円(前期比101.0%)であり、上記金額に含めております。
(C) 販売実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前期末比96億54百万円増加し、1兆3,516億19百万円となりました。
流動資産は、23億72百万円減少し、1兆344億11百万円となりました。これは主として、「現金及び預金」が42億47百万円増加および「商品及び製品」が148億79百万円増加した一方で、「受取手形及び売掛金」が187億31百万円減少および「未収入金」が25億10百万円減少したことによるものです。
固定資産は、120億27百万円増加し、3,172億7百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資などに伴い有形固定資産が106億50百万円増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が49億15百万円増加した一方で、「のれん」等の無形固定資産が21億6百万円減少したことによるものです。
セグメント別の総資産は、以下のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業のセグメント資産は、前期末比64億5百万円減少し、1兆1,486億円となりました。これは主として、「受取手形及び売掛金」等の金銭債権が減少した一方で、物流センター等の設備投資に伴い有形固定資産が増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が増加したことによるものです。
セルフメディケーション卸売事業のセグメント資産は、8億45百万円増加し、935億9百万円となりました。これは主として、「商品及び製品」が増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が増加した一方で、「受取手形及び売掛金」等の金銭債権が減少したことによるものです。
医薬品等製造事業のセグメント資産は、1億54百万円減少し、627億25百万円となりました。これは主として、「未収入金」が減少した一方で、機械装置等の製造設備を取得したことに伴い有形固定資産が増加したことによるものです。
医療関連事業のセグメント資産は、10億42百万円減少し、185億40百万円となりました。これは主として、「建物及び構築物」等の有形固定資産が減少および「投資有価証券」等の投資その他の資産が減少したことによるものです。
当連結会計年度末における当社グループの負債は、前期末比231億62百万円減少し、8,767億20百万円となりました。
流動負債は、229億32百万円減少し、8,369億78百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が186億98百万円減少および「未払法人税等」が21億2百万円減少したことによるものです。
固定負債は、2億29百万円減少し、397億42百万円となりました。これは主として、「リース債務」が7億49百万円増加および保有株式の株価上昇等に伴い「繰延税金負債」が4億61百万円増加した一方で、「長期借入金」が3億20百万円減少および「退職給付に係る負債」が11億25百万円減少したことによるものです。
結果として、当連結会計年度末における当社グループの純資産は、328億17百万円増加し、4,748億98百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が295億98百万円増加および保有株式の株価上昇等に伴い「その他有価証券評価差額金」が37億34百万円増加したことによるものです。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末比41億79百万円増加し、2,092億64百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、338億28百万円の増加(前期は468億80百万円の増加)となりました。これは主として、「税金等調整前当期純利益」592億33百万円および「減価償却費」108億85百万円の計上があった一方で、前連結会計年度の末日(2019年3月31日)が休日であったこと等により仕入債務の支払額および「法人税等の支払額」が増加したことによるものであり、前期に比べてキャッシュ・イン・フローは130億52百万円減少しております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、170億24百万円の減少(前期は129億47百万円の減少)となりました。これは主として、物流センター建設等の物流設備投資および製造事業強化のための製造設備投資を中心とした有形固定資産の取得による支出189億92百万円があった一方で、保有株式の縮減を目的とした投資有価証券の売却収入33億53百万円があったことによるものであり、前期に比べてキャッシュ・アウト・フローは40億77百万円増加しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、126億17百万円の減少(前期は248億60百万円の減少)となりました。これは主として、利益還元の充実を図るため、前期に比べ9億58百万円(1株当たり5円)増配となる103億72百万円の剰余金の配当を実施したことによるものです。なお、前期は自己株式133億40百万円を取得しております。そのため、前期に比べてキャッシュ・アウト・フローは122億42百万円減少しております。
〈資本の財源および資金の流動性〉
アルフレッサグループは、日本の社会インフラである医薬品サプライチェーンを製造、卸売、調剤薬局等の各事業領域で支え、必要な時に、必要な医薬品を、必要な場所へ、安定的に供給することに貢献しております。
社会的責任の遂行と持続的な企業価値の向上には、財務の健全性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元の最適バランスを追求し、さらなる企業価値を追求することが当社グループの財務・資本戦略の基本となっております。
当連結会計年度末における純資産のうち当社の持分は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がり、配当金の支払いやその他の包括利益額の増減により、4,737億2百万円(前期末比327億78百万円増加)となり、この結果、自己資本比率は35.0%となりました。
また、株式会社格付投資情報センターの発行体格付は「A+」(2019年6月格付)を2020年5月末時点で維持しております。
財務健全性の更なる向上には財務基盤・収益基盤の強化が不可欠であるため、当社グループの資本配分計画に基づき、事業拡大投資・事業強化投資を実行してまいります。
株主還元を含むこれら資本配分の財源(資金の調達方法)は、主に営業活動により得られるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金によっております。なお、当連結会計年度における主要な使途等については前記「(3) キャッシュ・フロー」を、翌連結会計年度以降については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度末における「現金及び預金」残高は2,105億47百万円であり、連結ベースの流動比率は123.6%、総資産に対する流動資産の比率は76.5%、流動負債の比率は61.9%であることから、十分な流動性を確保しているものと認識しております。また、当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により、グループ内の資金需要と運用の最適化および資金の効率的な活用を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定について検討いたしましたが、当該見積り等に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があるものの、純資産額や総資産額などの経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。当社グループが採用している会計上の見積り等を含む会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当連結会計年度の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症の影響が継続するものと仮定し、当連結会計年度末時点において入手可能な情報に基づき会計上の見積り等への反映を検討いたしましたが、先行きの不透明性はあるものの、その影響は限定的であると判断しております。また、当該感染症の収束時期は未だ不明であるため、今後の状況の変化によっては翌連結会計年度以降の連結財務諸表に影響を与える可能性がありますが、現時点において入手可能な情報に基づき検討した結果、経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。
なお、前連結会計年度において行われた企業結合に係る暫定的な会計処理が当連結会計年度において確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続く一方、雇用および所得環境の改善により緩やかに回復しておりましたが、第4四半期に発生した新型コロナウイルス感染症の影響により足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。
このようななか、当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大に対し、グループ各社において感染拡大防止の対策を行うとともに、お得意様、お取引先様、当社グループ従業員およびその家族の安全を確保しながら、医薬品等の安定供給に努めております。
当社グループでは、「19-21中期経営計画 さらなる成長への挑戦 ~健康とともに、地域とともに~」(以下「19-21中計」という。)に掲げたグループ経営方針「グループ連携体制の構築」「事業モデルの変革」「地域の人々の健康への貢献」「さらなる生産性の向上」「人づくり」に取り組んでおります。
当社は、「事業モデルの変革」の取り組みとして、2019年11月にヒューマンライフコード株式会社(本社:東京都千代田区)と資本業務提携いたしました。同社は、先天的な難治性疾患や加齢に伴って後天的に組織修復が必要となった患者様に向けた「再生・細胞医療」に特化した企業であり、当社グループは、同社が開発を進めている国産の臍帯由来の間葉系細胞製品の安定的な流通体制の確立を目指してまいります。
また、当社は、「地域の人々の健康への貢献」の取り組みとして、2020年3月に株式会社エクスメディオ(本社:東京都千代田区)と資本業務提携いたしました。当社グループは、同社が提供する医師向けの情報共有プラットフォームをお得意様に紹介するとともに、地域包括ケア時代を視野に入れた新サービスを同社と共同開発してまいります。
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高2兆6,985億11百万円(前期比2.2%増)、営業利益476億45百万円(同6.4%増)、経常利益571億70百万円(同3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益402億73百万円(同3.5%減)となりました。
① セグメント別の業績
(A) 医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品市場におきましては、抗悪性腫瘍薬の需要拡大等の影響により、市場は2.5%の成長となりました(クレコンリサーチ&コンサルティング株式会社推定)。
当社グループでは、厚生労働省より公表され2018年4月からスタートしました「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」の遵守を重点課題として、「経済合理性に立った取引の推進」「単品単価契約の推進」「早期妥結の推進」に引き続き取り組んでおります。
あわせて、当社グループは医療用医薬品NO.1卸※として勝ち続けるために「19-21中計」の重点施策として掲げた「MS機能のさらなる進化」「スペシャリティ商品への注力」「グループ物流の高度化、効率化と標準化」に取り組んでおります。
「スペシャリティ商品への注力」への取り組みとしては、アルフレッサ株式会社(以下「アルフレッサ」という。)が2019年10月にスペシャリティ製品事業の推進体制を構築するため「スペシャリティ事業推進部」を新設し、グループ会社であるエス・エム・ディ株式会社(本社:東京都千代田区)と一体となって一元流通の積極的な展開を図っております。
「グループ物流の高度化」への取り組みとしては、アルフレッサが2019年7月に静岡物流センター(仮称)(所在地:静岡県藤枝市)の建築に着工いたしました。同センターは、2021年5月稼働予定で静岡県における物流の中核拠点として、厳格な温度管理等が可能な高機能物流センターとなる予定です。
また、アルフレッサは2019年9月にヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区)と「調剤薬局向け在宅医療支援サービス」を共同開発いたしました。
さらに、事業領域の拡大を視野に入れたベンチャー企業への投資として、アルフレッサは2019年9月に乳房用超音波画像診断装置の開発を目指すベンチャー企業である株式会社Lily MedTech(本社:東京都文京区)へ出資いたしました。同社が手掛ける本装置は現在の乳がん検診の課題を解決する医療機器として期待されています。
また、アルフレッサは株式会社クォンタムオペレーション(本社:東京都中央区)へ出資いたしました。アルフレッサは同社が開発するウォッチ型バイタルバンドの製品化を支援するとともに、今後の上市後の流通に向けた業務提携へ協議を進めてまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、売上高2兆3,755億39百万円(前期比2.1%増)、営業利益417億9百万円(同3.6%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高151億99百万円(同4.3%減)を含んでおります。
※ 出典:「2020最新オール・データ&ランキング」 卸グループ別医療用医薬品事業シェア(株式会社ドラッグマガジン)
(B) セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業におきましては、「トータルヘルスケア・マーチャンダイジング・ホールセラー」を推進し、新たな付加価値による差別化と創造性を持つオンリーワン卸を目指し、「19-21中計」の重点施策として掲げた「安定的かつ持続的な事業基盤の確立」「消費者視点に立った商品提案」「専売メーカー・専売商品の取り組み強化」「将来に向けた投資」「各事業セグメントとの連携強化」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、インバウンド需要の減少や物流費等の高騰などマイナス要因があったものの、新型コロナウイルス感染拡大の状況下における衛生材料や除菌関連商品等の売上増大およびコスト管理の徹底等により、売上高2,689億44百万円(前期比1.5%増)、営業利益28億86百万円(同6.4%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高7億51百万円(同52.4%減)を含んでおります。
(C) 医薬品等製造事業
医薬品等製造事業におきましては、グループシナジーの強化とさらなる規模拡大を推進するため、「19-21中計」の重点施策として掲げた「安心・安全・誠実なモノづくりの推進」「グループニーズに沿った製品の拡充」「製造受託・医薬品原薬事業の拡大」「海外事業の拡充」に取り組んでおります。
「グループニーズに沿った製品の拡充」の取り組みとして、アルフレッサ ファーマ株式会社(以下「アルフレッサ ファーマ」という。)が2019年6月27日付で放射線治療用吸収性組織スペーサ「ネスキープ®」を新発売いたしました。悪性腫瘍の治療のために行われる放射線治療の中でも粒子線を用いた治療が近年注目されていますが、本製品を使用することでより多くの治療機会を提供できるものと考えております。
また、アルフレッサ ファーマは2019年10月25日付で潰瘍性大腸炎の病態把握の補助に使用されるカルプロテクチンキット「ネスコート® Cp オート」を体外診断用医薬品として新発売いたしました(2019年6月5日付製造販売承認を取得)。本製品により、従来よりも大腸内視鏡検査の回数を減らし、患者様の身体的な負担だけでなく経済的な負担軽減が期待されます。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、第一三共株式会社(本社:東京都中央区)および同社の子会社である第一三共エスファ株式会社(本社:東京都中央区)から承継した長期収載品の売上増大等により、売上高459億49百万円(前期比12.8%増)、営業利益23億49百万円(同49.4%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高116億10百万円(同17.9%増)を含んでおります。
(D) 医療関連事業
医療関連事業におきましては、収益改善を目指した効率化と環境変化に対応した機能強化を推進するため、「19-21中計」の重点施策として掲げた「機能に応じた店舗の再編」「収益改善を目指した効率化・高度化」「多機能化による地域社会への貢献」「各事業セグメントとの連携強化」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、調剤報酬加算の獲得増加等の影響により、売上高356億38百万円(前期比2.4%増)、営業利益4億28百万円(同44.8%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
(A) 生産実績及び受注実績
当社グループの生産実績および受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(B) 仕入実績
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
医療用医薬品等卸売事業 | 2,235,344 | 102.6 |
セルフメディケーション卸売事業 | 243,152 | 102.0 |
医薬品等製造事業 | 11,338 | 114.3 |
医療関連事業 | 22,394 | 97.6 |
合計 | 2,512,229 | 102.6 |
(注)1.金額は実際の仕入額によっており、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部仕入高は274億4百万円(前期比101.0%)であり、上記金額に含めております。
(C) 販売実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前期末比96億54百万円増加し、1兆3,516億19百万円となりました。
流動資産は、23億72百万円減少し、1兆344億11百万円となりました。これは主として、「現金及び預金」が42億47百万円増加および「商品及び製品」が148億79百万円増加した一方で、「受取手形及び売掛金」が187億31百万円減少および「未収入金」が25億10百万円減少したことによるものです。
固定資産は、120億27百万円増加し、3,172億7百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資などに伴い有形固定資産が106億50百万円増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が49億15百万円増加した一方で、「のれん」等の無形固定資産が21億6百万円減少したことによるものです。
セグメント別の総資産は、以下のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業のセグメント資産は、前期末比64億5百万円減少し、1兆1,486億円となりました。これは主として、「受取手形及び売掛金」等の金銭債権が減少した一方で、物流センター等の設備投資に伴い有形固定資産が増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が増加したことによるものです。
セルフメディケーション卸売事業のセグメント資産は、8億45百万円増加し、935億9百万円となりました。これは主として、「商品及び製品」が増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が増加した一方で、「受取手形及び売掛金」等の金銭債権が減少したことによるものです。
医薬品等製造事業のセグメント資産は、1億54百万円減少し、627億25百万円となりました。これは主として、「未収入金」が減少した一方で、機械装置等の製造設備を取得したことに伴い有形固定資産が増加したことによるものです。
医療関連事業のセグメント資産は、10億42百万円減少し、185億40百万円となりました。これは主として、「建物及び構築物」等の有形固定資産が減少および「投資有価証券」等の投資その他の資産が減少したことによるものです。
当連結会計年度末における当社グループの負債は、前期末比231億62百万円減少し、8,767億20百万円となりました。
流動負債は、229億32百万円減少し、8,369億78百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が186億98百万円減少および「未払法人税等」が21億2百万円減少したことによるものです。
固定負債は、2億29百万円減少し、397億42百万円となりました。これは主として、「リース債務」が7億49百万円増加および保有株式の株価上昇等に伴い「繰延税金負債」が4億61百万円増加した一方で、「長期借入金」が3億20百万円減少および「退職給付に係る負債」が11億25百万円減少したことによるものです。
結果として、当連結会計年度末における当社グループの純資産は、328億17百万円増加し、4,748億98百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が295億98百万円増加および保有株式の株価上昇等に伴い「その他有価証券評価差額金」が37億34百万円増加したことによるものです。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末比41億79百万円増加し、2,092億64百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、338億28百万円の増加(前期は468億80百万円の増加)となりました。これは主として、「税金等調整前当期純利益」592億33百万円および「減価償却費」108億85百万円の計上があった一方で、前連結会計年度の末日(2019年3月31日)が休日であったこと等により仕入債務の支払額および「法人税等の支払額」が増加したことによるものであり、前期に比べてキャッシュ・イン・フローは130億52百万円減少しております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、170億24百万円の減少(前期は129億47百万円の減少)となりました。これは主として、物流センター建設等の物流設備投資および製造事業強化のための製造設備投資を中心とした有形固定資産の取得による支出189億92百万円があった一方で、保有株式の縮減を目的とした投資有価証券の売却収入33億53百万円があったことによるものであり、前期に比べてキャッシュ・アウト・フローは40億77百万円増加しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、126億17百万円の減少(前期は248億60百万円の減少)となりました。これは主として、利益還元の充実を図るため、前期に比べ9億58百万円(1株当たり5円)増配となる103億72百万円の剰余金の配当を実施したことによるものです。なお、前期は自己株式133億40百万円を取得しております。そのため、前期に比べてキャッシュ・アウト・フローは122億42百万円減少しております。
〈資本の財源および資金の流動性〉
アルフレッサグループは、日本の社会インフラである医薬品サプライチェーンを製造、卸売、調剤薬局等の各事業領域で支え、必要な時に、必要な医薬品を、必要な場所へ、安定的に供給することに貢献しております。
社会的責任の遂行と持続的な企業価値の向上には、財務の健全性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元の最適バランスを追求し、さらなる企業価値を追求することが当社グループの財務・資本戦略の基本となっております。
当連結会計年度末における純資産のうち当社の持分は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がり、配当金の支払いやその他の包括利益額の増減により、4,737億2百万円(前期末比327億78百万円増加)となり、この結果、自己資本比率は35.0%となりました。
また、株式会社格付投資情報センターの発行体格付は「A+」(2019年6月格付)を2020年5月末時点で維持しております。
財務健全性の更なる向上には財務基盤・収益基盤の強化が不可欠であるため、当社グループの資本配分計画に基づき、事業拡大投資・事業強化投資を実行してまいります。
株主還元を含むこれら資本配分の財源(資金の調達方法)は、主に営業活動により得られるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金によっております。なお、当連結会計年度における主要な使途等については前記「(3) キャッシュ・フロー」を、翌連結会計年度以降については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度末における「現金及び預金」残高は2,105億47百万円であり、連結ベースの流動比率は123.6%、総資産に対する流動資産の比率は76.5%、流動負債の比率は61.9%であることから、十分な流動性を確保しているものと認識しております。また、当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により、グループ内の資金需要と運用の最適化および資金の効率的な活用を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定について検討いたしましたが、当該見積り等に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があるものの、純資産額や総資産額などの経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。当社グループが採用している会計上の見積り等を含む会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当連結会計年度の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症の影響が継続するものと仮定し、当連結会計年度末時点において入手可能な情報に基づき会計上の見積り等への反映を検討いたしましたが、先行きの不透明性はあるものの、その影響は限定的であると判断しております。また、当該感染症の収束時期は未だ不明であるため、今後の状況の変化によっては翌連結会計年度以降の連結財務諸表に影響を与える可能性がありますが、現時点において入手可能な情報に基づき検討した結果、経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。