有価証券報告書-第20期(2022/04/01-2023/03/31)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要については次のとおりであります。なお、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容については、各項目に含めて記載しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、一部に弱さがみられるものの個人消費や設備投資などを中心に緩やかな持ち直しがみられました。一方で、世界的な金融引締め等が続くなか、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっております。
新型コロナウイルス感染症の流行が長期化し、収束の兆しがみられるものの依然先行き不透明な状況のなか、当社グループにおいては、生命関連商品を取り扱う社会インフラとしての使命を果たすべく、感染再拡大防止の対策を行うとともに、お取引先様および当社グループ従業員の安全を確保しながら医薬品等の高品質かつ安定的な供給に努めてまいりました。
当社グループでは、今年度新たに「22-24中期経営計画 未来への躍進 ~進化するヘルスケアコンソーシアム®~ (以下「22-24中計」という。)」を策定し、グループ経営方針に掲げた「事業モデルの強化と新たな価値の創造」「グループ一体となった取り組みによる地域の健康・医療への貢献」「環境保全への取り組み等を通じたサステナブル社会への貢献」「ダイバーシティを中心とした人財戦略の推進」「コンプライアンスの遵守を最重要とする企業風土の醸成」に取り組んでおります。
2023年2月、当社は株式会社温仙堂(本社:長崎県諫早市)から、株式会社宮崎温仙堂商店(本社:長崎県諫早市)のすべての株式を取得し、完全子会社化いたしました。これにより、九州エリアにおける事業基盤強化を図ってまいります。
「新たな価値の創造」への取り組みとして、当社は、地域医療連携推進を目的とする株式会社ゲッカワークス(本社:東京都千代田区)を設立し、2022年11月、医師向け会員制Webサービス「ドクシル」の実証実験を開始いたしました。今後、ヘルスケアに携わる方々をつなぐ私たちの活動を新たなステージへ進め、地域医療連携に貢献してまいります。
また、連結子会社のアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区、以下「アルフレッサ」という。)は、再生医療等製品の安定供給に貢献することを目的に、セルリソーシズ株式会社(本社:東京都千代田区)を設立いたしました。同社は、福島県郡山市に建設した他家細胞のCPC(細胞培養加工施設)を通じ、創薬を行う製薬企業等に対して高品質なマスターセルを安定的に供給することを目指すとともに、事業譲受した川崎市川崎区のCPCにおいて自家細胞も取り扱うことで、自家細胞と他家細胞の両面から再生医療分野の製造機能の強化を図ってまいります。
当連結会計年度における当社グループの業績は、医療用医薬品等卸売事業の大幅な増収により売上高2兆6,960億69百万円(前期比4.3%増)、増収効果と売上総利益率維持により売上総利益は前期比46億17百万円の増加となりました。一方で販売費及び一般管理費は、貸倒引当金戻入額の計上があったものの、運送費、修繕費、水道光熱費、減価償却費および研究開発費の増加により前期比35億59百万円の増加となりました。これにより、営業利益は301億48百万円(同3.6%増)、経常利益は328億31百万円(同0.8%増)となりました。また、特別利益に投資有価証券売却益93億3百万円、特別損失に投資有価証券評価損11億59百万円、独占禁止法関連損失引当金繰入額9億93百万円を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は257億86百万円(同19.9%減)となりました。
なお、2023年3月、アルフレッサは、独立行政法人国立病院機構(NHO)または独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)が運営する九州エリアに所在する病院が調達する医薬品に関して独立行政法人国立病院機構本部が行う入札等において、公正取引委員会より独占禁止法に基づく排除措置命令および課徴金納付命令を受けております。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① セグメント別の業績
(A) 医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等卸売事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の流行が長期化するなか、医薬品の安定供給はもとより、新型コロナウイルスワクチンおよび治療薬の配送業務ならびに欠品や需給調整が続くジェネリック医薬品への対応に尽力してまいりました。
また、スペシャリティ領域ならびにメディカル品へのリソース集中とDXによる事業変革を図るべく、「22-24中計」の重点施策として掲げた「既存事業の強化」「事業変革による収益化」「グループ全体での最適化・効率化・標準化」に取り組んでおります。
2022年11月、連結子会社の東北アルフレッサ株式会社(本社:仙台市若林区、福島県郡山市)は、仙台市若林区へ仙台本社を新設し、従来の本社との2本社制へ移行いたしました。東北地方最大の都市である仙台市に本社を設置することで、お得意様への一層のサービス向上や製薬企業をはじめとするお取引先様とのさらなる連携強化を図り、東北地方の地域医療へこれまで以上に貢献してまいります。
2023年2月、アルフレッサは、多様化する薬局業務への新たな価値提供を目指して資本提携先でありクラウド型電子薬歴のリーディングカンパニーである株式会社アクシス(本社:東京都千代田区)を傘下に持つアクシスルートホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区)との間で追加出資に関する契約を締結いたしました。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、2022年4月に実施された薬価改定のマイナス影響があったものの、市場の伸長、独占禁止法違反による医療機関における入札指名停止期間の終了および診断薬等の「メディカル品」の需要拡大等の影響により増収となりました。また、流通改善および売上総利益率維持に努めた結果、売上高2兆3,953億58百万円(前期比4.7%増)、営業利益269億70百万円(同8.6%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高168億27百万円(同6.9%増)を含んでおります。
(B) セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業におきましては、既存領域の高収益化と成長領域への挑戦を推進し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「高収益化への取り組み」「グループ連携強化」「事業変革による収益力強化」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染予防関連商品の需要の落ち込みや競合他社との競争激化による減収要因の一方で、訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要の回復や利益・コスト面の管理を徹底したこと等により、売上高2,466億79百万円(前期比0.8%増)、営業利益21億10百万円(同12.9%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高5億27百万円(同13.6%減)を含んでおります。
(C) 医薬品等製造事業
医薬品等製造事業におきましては、「次代の基盤創り」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「安心・安全・誠実なモノづくり」「トータルサプライチェーンサービスの実現に向けた取り組み」「デジタルを活用した新たな取り組み」を推進しております。
2022年12月、連結子会社のアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区、以下「アルフレッサ ファーマ」という。)およびサンノーバ株式会社(本社:群馬県太田市)は、アルフレッサ ファーマを存続会社とする吸収合併契約を締結し、2023年4月1日付で合併いたしました。本合併により新たな価値の創造を通じて顧客満足を追求し、当社グループが掲げる「健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアム®」の実現に貢献してまいります。
2023年3月、アルフレッサ ファーマは、株式会社ケイファーマ(本社:東京都港区)と筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬としてのロピニロール塩酸塩の国内開発権・製造販売権許諾契約を締結いたしました。本治療薬を新たな選択肢として患者様に一日でも早くお届けできるよう開発を加速してまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、製造販売権を承継した長期収載品の売上伸長および新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原迅速検査キット「アルソニック® COVID-19 Ag」の需要が拡大した一方で、受託製造における減収ならびに減価償却費の増加およびALS治療薬に係る契約一時金支出などの経費増により、売上高490億41百万円(前期比3.6%増)、営業利益4億20百万円(同77.5%減)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高138億58百万円(同8.7%増)を含んでおります。
(D) 医療関連事業
医療関連事業におきましては、予防からターミナルケアまでライフジャーニーにおけるすべてのステージに対応する「かかりつけ薬局」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「在宅医療への取り組みによる事業の成長」「DXによる事業変革」「未病予防への取り組み」を推進しております。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、薬価改定に伴う減収の一方で、連結子会社のアポクリート株式会社(本社:東京都豊島区)による同社子会社(非連結子会社)からの事業譲受に伴う増収等の影響により、売上高362億2百万円(前期比5.0%増)、営業利益3億30百万円(同80.7%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
(A) 生産実績及び受注実績
当社グループの生産実績および受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(B) 仕入実績
(注)1.金額は実際の仕入額によっております。
2.セグメント間の内部仕入高は308億52百万円(前期比107.5%)であり、上記金額に含めております。
(C) 販売実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前期末比358億61百万円増加し、1兆3,398億52百万円となりました。
流動資産は、180億56百万円増加し、1兆345億27百万円となりました。これは主として、売上債権が211億65百万円、「商品及び製品」が51億92百万円、「未収入金」が53億74百万円、「その他」が40億97百万円増加および「貸倒引当金」が18億32百万円減少した一方で「現金及び預金」が203億13百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、178億4百万円増加し、3,053億25百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資などに伴い有形固定資産が140億63百万円増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が42億71百万円増加したことによるものであります。
セグメント別の総資産は、以下のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業のセグメント資産は、前期末比207億33百万円増加し、1兆1,390億33百万円となりました。これは主として、売上債権等の流動資産が増加、物流センター等の設備投資に伴い「土地」等の有形固定資産が増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が増加したことによるものであります。
セルフメディケーション卸売事業のセグメント資産は、67億21百万円増加し、897億17百万円となりました。これは主として、売上債権等の流動資産が増加および保有株式の株価上昇に伴い「投資有価証券」が増加したことによるものであります。
医薬品等製造事業のセグメント資産は、4億43百万円減少し、700億82百万円となりました。これは主として、「商品及び製品」等の流動資産が増加した一方で、製造販売権等の無形固定資産が減少したことによるものであります。
医療関連事業のセグメント資産は、3億83百万円減少し、163億32百万円となりました。これは主として、関係会社の清算によるものであります。
当連結会計年度末における当社グループの負債は、前期末比193億60百万円増加し、8,515億17百万円となりました。
流動負債は、229億19百万円増加し、8,257億32百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が250億93百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、35億58百万円減少し、257億84百万円となりました。これは主として、「独占禁止法関連損失引当金」の流動負債への振り替えに伴い39億94百万円減少したことによるものであります。
結果として、当連結会計年度末における当社グループの純資産は、165億円増加し、4,883億35百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が146億34百万円増加および保有株式の株価上昇に伴い「その他有価証券評価差額金」が23億74百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物は、前期末比203億32百万円減少し、1,587億76百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、「税金等調整前当期純利益」が385億91百万円と前期と比べ95億88百万円の減益となったことに加えて、「法人税等の支払額」が増加したこと等により、130億86百万円の増加(前期は365億46百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、保有株式の縮減を目的とした投資有価証券の売却による収入が減少したことに加えて、物流センターの建設等の設備投資に伴う支出が増加したこと等により、205億39百万円の減少(前期は23億4百万円の増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払があったものの前期は「自己株式の取得による支出」があったこと等により、129億18百万円の減少(前期は291億51百万円の減少)となりました。
〈資本の財源および資金の流動性〉
アルフレッサグループは、日本の社会インフラである医薬品サプライチェーンを製造、卸売、調剤薬局等の各事業領域で支え、必要な時に、必要な医薬品を、必要な場所へ、安定的に供給することに貢献しております。
社会的責任の遂行と持続的な企業価値の向上には、財務の健全性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元の最適バランスを追求し、さらなる企業価値を追求することが当社グループの財務・資本戦略の基本となっております。
当連結会計年度末における純資産のうち当社の持分は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がり、配当金の支払いやその他の包括利益の増減により、4,880億90百万円(前期末比164億97百万円増加)となり、この結果、自己資本比率は36.4%となりました。
また、株式会社格付投資情報センターの発行体格付は「A+」(2022年8月格付)を2023年5月末時点で維持しております。
財務健全性のさらなる向上には財務基盤・収益基盤の強化が不可欠であるため、当社グループの資本配分計画に基づき、事業拡大投資・事業強化投資を実行してまいります。
株主還元を含むこれら資本配分の財源(資金の調達方法)は、主に営業活動により得られるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金によっております。なお、当連結会計年度における主要な使途等については前記「(3) キャッシュ・フロー」を、翌連結会計年度以降については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度末における「現金及び預金」残高は1,601億22百万円であり、連結ベースの流動比率は125.3%、総資産に対する流動資産の比率は77.2%、流動負債の比率は61.6%であることから、十分な流動性を確保しているものと認識しております。また、当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により、グループ内の資金需要と運用の最適化および資金の効率的な活用を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定について検討いたしましたが、当該見積り等に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があるものの、経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、一部に弱さがみられるものの個人消費や設備投資などを中心に緩やかな持ち直しがみられました。一方で、世界的な金融引締め等が続くなか、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっております。
新型コロナウイルス感染症の流行が長期化し、収束の兆しがみられるものの依然先行き不透明な状況のなか、当社グループにおいては、生命関連商品を取り扱う社会インフラとしての使命を果たすべく、感染再拡大防止の対策を行うとともに、お取引先様および当社グループ従業員の安全を確保しながら医薬品等の高品質かつ安定的な供給に努めてまいりました。
当社グループでは、今年度新たに「22-24中期経営計画 未来への躍進 ~進化するヘルスケアコンソーシアム®~ (以下「22-24中計」という。)」を策定し、グループ経営方針に掲げた「事業モデルの強化と新たな価値の創造」「グループ一体となった取り組みによる地域の健康・医療への貢献」「環境保全への取り組み等を通じたサステナブル社会への貢献」「ダイバーシティを中心とした人財戦略の推進」「コンプライアンスの遵守を最重要とする企業風土の醸成」に取り組んでおります。
2023年2月、当社は株式会社温仙堂(本社:長崎県諫早市)から、株式会社宮崎温仙堂商店(本社:長崎県諫早市)のすべての株式を取得し、完全子会社化いたしました。これにより、九州エリアにおける事業基盤強化を図ってまいります。
「新たな価値の創造」への取り組みとして、当社は、地域医療連携推進を目的とする株式会社ゲッカワークス(本社:東京都千代田区)を設立し、2022年11月、医師向け会員制Webサービス「ドクシル」の実証実験を開始いたしました。今後、ヘルスケアに携わる方々をつなぐ私たちの活動を新たなステージへ進め、地域医療連携に貢献してまいります。
また、連結子会社のアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区、以下「アルフレッサ」という。)は、再生医療等製品の安定供給に貢献することを目的に、セルリソーシズ株式会社(本社:東京都千代田区)を設立いたしました。同社は、福島県郡山市に建設した他家細胞のCPC(細胞培養加工施設)を通じ、創薬を行う製薬企業等に対して高品質なマスターセルを安定的に供給することを目指すとともに、事業譲受した川崎市川崎区のCPCにおいて自家細胞も取り扱うことで、自家細胞と他家細胞の両面から再生医療分野の製造機能の強化を図ってまいります。
当連結会計年度における当社グループの業績は、医療用医薬品等卸売事業の大幅な増収により売上高2兆6,960億69百万円(前期比4.3%増)、増収効果と売上総利益率維持により売上総利益は前期比46億17百万円の増加となりました。一方で販売費及び一般管理費は、貸倒引当金戻入額の計上があったものの、運送費、修繕費、水道光熱費、減価償却費および研究開発費の増加により前期比35億59百万円の増加となりました。これにより、営業利益は301億48百万円(同3.6%増)、経常利益は328億31百万円(同0.8%増)となりました。また、特別利益に投資有価証券売却益93億3百万円、特別損失に投資有価証券評価損11億59百万円、独占禁止法関連損失引当金繰入額9億93百万円を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は257億86百万円(同19.9%減)となりました。
なお、2023年3月、アルフレッサは、独立行政法人国立病院機構(NHO)または独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)が運営する九州エリアに所在する病院が調達する医薬品に関して独立行政法人国立病院機構本部が行う入札等において、公正取引委員会より独占禁止法に基づく排除措置命令および課徴金納付命令を受けております。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① セグメント別の業績
(A) 医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等卸売事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の流行が長期化するなか、医薬品の安定供給はもとより、新型コロナウイルスワクチンおよび治療薬の配送業務ならびに欠品や需給調整が続くジェネリック医薬品への対応に尽力してまいりました。
また、スペシャリティ領域ならびにメディカル品へのリソース集中とDXによる事業変革を図るべく、「22-24中計」の重点施策として掲げた「既存事業の強化」「事業変革による収益化」「グループ全体での最適化・効率化・標準化」に取り組んでおります。
2022年11月、連結子会社の東北アルフレッサ株式会社(本社:仙台市若林区、福島県郡山市)は、仙台市若林区へ仙台本社を新設し、従来の本社との2本社制へ移行いたしました。東北地方最大の都市である仙台市に本社を設置することで、お得意様への一層のサービス向上や製薬企業をはじめとするお取引先様とのさらなる連携強化を図り、東北地方の地域医療へこれまで以上に貢献してまいります。
2023年2月、アルフレッサは、多様化する薬局業務への新たな価値提供を目指して資本提携先でありクラウド型電子薬歴のリーディングカンパニーである株式会社アクシス(本社:東京都千代田区)を傘下に持つアクシスルートホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区)との間で追加出資に関する契約を締結いたしました。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、2022年4月に実施された薬価改定のマイナス影響があったものの、市場の伸長、独占禁止法違反による医療機関における入札指名停止期間の終了および診断薬等の「メディカル品」の需要拡大等の影響により増収となりました。また、流通改善および売上総利益率維持に努めた結果、売上高2兆3,953億58百万円(前期比4.7%増)、営業利益269億70百万円(同8.6%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高168億27百万円(同6.9%増)を含んでおります。
(B) セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業におきましては、既存領域の高収益化と成長領域への挑戦を推進し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「高収益化への取り組み」「グループ連携強化」「事業変革による収益力強化」に取り組んでおります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染予防関連商品の需要の落ち込みや競合他社との競争激化による減収要因の一方で、訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要の回復や利益・コスト面の管理を徹底したこと等により、売上高2,466億79百万円(前期比0.8%増)、営業利益21億10百万円(同12.9%増)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高5億27百万円(同13.6%減)を含んでおります。
(C) 医薬品等製造事業
医薬品等製造事業におきましては、「次代の基盤創り」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「安心・安全・誠実なモノづくり」「トータルサプライチェーンサービスの実現に向けた取り組み」「デジタルを活用した新たな取り組み」を推進しております。
2022年12月、連結子会社のアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区、以下「アルフレッサ ファーマ」という。)およびサンノーバ株式会社(本社:群馬県太田市)は、アルフレッサ ファーマを存続会社とする吸収合併契約を締結し、2023年4月1日付で合併いたしました。本合併により新たな価値の創造を通じて顧客満足を追求し、当社グループが掲げる「健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアム®」の実現に貢献してまいります。
2023年3月、アルフレッサ ファーマは、株式会社ケイファーマ(本社:東京都港区)と筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬としてのロピニロール塩酸塩の国内開発権・製造販売権許諾契約を締結いたしました。本治療薬を新たな選択肢として患者様に一日でも早くお届けできるよう開発を加速してまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、製造販売権を承継した長期収載品の売上伸長および新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原迅速検査キット「アルソニック® COVID-19 Ag」の需要が拡大した一方で、受託製造における減収ならびに減価償却費の増加およびALS治療薬に係る契約一時金支出などの経費増により、売上高490億41百万円(前期比3.6%増)、営業利益4億20百万円(同77.5%減)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高138億58百万円(同8.7%増)を含んでおります。
(D) 医療関連事業
医療関連事業におきましては、予防からターミナルケアまでライフジャーニーにおけるすべてのステージに対応する「かかりつけ薬局」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「在宅医療への取り組みによる事業の成長」「DXによる事業変革」「未病予防への取り組み」を推進しております。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、薬価改定に伴う減収の一方で、連結子会社のアポクリート株式会社(本社:東京都豊島区)による同社子会社(非連結子会社)からの事業譲受に伴う増収等の影響により、売上高362億2百万円(前期比5.0%増)、営業利益3億30百万円(同80.7%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
(A) 生産実績及び受注実績
当社グループの生産実績および受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(B) 仕入実績
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
医療用医薬品等卸売事業 | 2,258,293 | 105.1 |
セルフメディケーション卸売事業 | 222,209 | 100.5 |
医薬品等製造事業 | 15,198 | 114.1 |
医療関連事業 | 22,504 | 101.7 |
合計 | 2,518,206 | 104.6 |
(注)1.金額は実際の仕入額によっております。
2.セグメント間の内部仕入高は308億52百万円(前期比107.5%)であり、上記金額に含めております。
(C) 販売実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前期末比358億61百万円増加し、1兆3,398億52百万円となりました。
流動資産は、180億56百万円増加し、1兆345億27百万円となりました。これは主として、売上債権が211億65百万円、「商品及び製品」が51億92百万円、「未収入金」が53億74百万円、「その他」が40億97百万円増加および「貸倒引当金」が18億32百万円減少した一方で「現金及び預金」が203億13百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、178億4百万円増加し、3,053億25百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資などに伴い有形固定資産が140億63百万円増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が42億71百万円増加したことによるものであります。
セグメント別の総資産は、以下のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業のセグメント資産は、前期末比207億33百万円増加し、1兆1,390億33百万円となりました。これは主として、売上債権等の流動資産が増加、物流センター等の設備投資に伴い「土地」等の有形固定資産が増加および保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が増加したことによるものであります。
セルフメディケーション卸売事業のセグメント資産は、67億21百万円増加し、897億17百万円となりました。これは主として、売上債権等の流動資産が増加および保有株式の株価上昇に伴い「投資有価証券」が増加したことによるものであります。
医薬品等製造事業のセグメント資産は、4億43百万円減少し、700億82百万円となりました。これは主として、「商品及び製品」等の流動資産が増加した一方で、製造販売権等の無形固定資産が減少したことによるものであります。
医療関連事業のセグメント資産は、3億83百万円減少し、163億32百万円となりました。これは主として、関係会社の清算によるものであります。
当連結会計年度末における当社グループの負債は、前期末比193億60百万円増加し、8,515億17百万円となりました。
流動負債は、229億19百万円増加し、8,257億32百万円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が250億93百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、35億58百万円減少し、257億84百万円となりました。これは主として、「独占禁止法関連損失引当金」の流動負債への振り替えに伴い39億94百万円減少したことによるものであります。
結果として、当連結会計年度末における当社グループの純資産は、165億円増加し、4,883億35百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が146億34百万円増加および保有株式の株価上昇に伴い「その他有価証券評価差額金」が23億74百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物は、前期末比203億32百万円減少し、1,587億76百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、「税金等調整前当期純利益」が385億91百万円と前期と比べ95億88百万円の減益となったことに加えて、「法人税等の支払額」が増加したこと等により、130億86百万円の増加(前期は365億46百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、保有株式の縮減を目的とした投資有価証券の売却による収入が減少したことに加えて、物流センターの建設等の設備投資に伴う支出が増加したこと等により、205億39百万円の減少(前期は23億4百万円の増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払があったものの前期は「自己株式の取得による支出」があったこと等により、129億18百万円の減少(前期は291億51百万円の減少)となりました。
〈資本の財源および資金の流動性〉
アルフレッサグループは、日本の社会インフラである医薬品サプライチェーンを製造、卸売、調剤薬局等の各事業領域で支え、必要な時に、必要な医薬品を、必要な場所へ、安定的に供給することに貢献しております。
社会的責任の遂行と持続的な企業価値の向上には、財務の健全性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元の最適バランスを追求し、さらなる企業価値を追求することが当社グループの財務・資本戦略の基本となっております。
当連結会計年度末における純資産のうち当社の持分は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がり、配当金の支払いやその他の包括利益の増減により、4,880億90百万円(前期末比164億97百万円増加)となり、この結果、自己資本比率は36.4%となりました。
また、株式会社格付投資情報センターの発行体格付は「A+」(2022年8月格付)を2023年5月末時点で維持しております。
財務健全性のさらなる向上には財務基盤・収益基盤の強化が不可欠であるため、当社グループの資本配分計画に基づき、事業拡大投資・事業強化投資を実行してまいります。
株主還元を含むこれら資本配分の財源(資金の調達方法)は、主に営業活動により得られるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金によっております。なお、当連結会計年度における主要な使途等については前記「(3) キャッシュ・フロー」を、翌連結会計年度以降については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度末における「現金及び預金」残高は1,601億22百万円であり、連結ベースの流動比率は125.3%、総資産に対する流動資産の比率は77.2%、流動負債の比率は61.6%であることから、十分な流動性を確保しているものと認識しております。また、当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により、グループ内の資金需要と運用の最適化および資金の効率的な活用を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定について検討いたしましたが、当該見積り等に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があるものの、経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。