有価証券報告書-第18期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 14:35
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142項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要については次のとおりであります。なお、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容については、各項目に含めて記載しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるなか、設備投資や企業収益に持ち直しの動きが続いているものの個人消費や雇用情勢など一部に弱さがみられる状況となっております。
このようななか、当社グループでは、生命関連商品を取り扱う社会インフラとしての使命を果たすべく、感染拡大防止の対策を行うとともに、お取引先様および当社グループ従業員の安全を確保しながら医薬品等の安定供給に努めてまいりました。
また、2019年5月に策定した「19-21中期経営計画 さらなる成長への挑戦 ~健康とともに、地域とともに~」(以下「19-21中計」という。)に掲げたグループ経営方針「グループ連携体制の構築」「事業モデルの変革」「地域の人々の健康への貢献」「さらなる生産性の向上」「人づくり」に引き続き取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループの業績は、新型コロナウイルス感染拡大等による市場のマイナス成長の影響などから、売上高2兆6,031億69百万円(前期比3.5%減)、営業利益206億72百万円(同56.6%減)、経常利益319億18百万円(同44.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益245億1百万円(同39.2%減)となりました。
なお、連結子会社のアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区、以下「アルフレッサ」という。)が、2020年12月、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)を発注者とする医療用医薬品の入札における独占禁止法違反容疑で東京地方検察庁より起訴されました。
① セグメント別の業績
(A) 医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等卸売事業におきましては、2019年10月と2020年4月の二度の薬価改定および新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関における外来受診抑制や手術件数の減少等の影響により市場は縮小しており、厳しい事業環境で推移いたしました。また、お得意先様を取り巻く経済状況の悪化に伴い納入価格交渉が厳しくなっていることや、医療機関への訪問規制によりプロモーション活動が制限されていることも当社グループの業績に影響を及ぼしております。このようななか、当社グループでは、感染予防に十分配慮しながら医薬品の安定供給を最優先に事業活動を行ってまいりました。
なお、国が推進する新型コロナウイルスワクチンの流通体制の構築(2021年1月、厚生労働省健康局)にあたり、当社の連結子会社6社(アルフレッサ、東北アルフレッサ株式会社(本社:福島県郡山市、以下「東北アルフレッサ」という。)、明祥株式会社(本社:石川県金沢市)、ティーエスアルフレッサ株式会社(本社:広島市西区)、四国アルフレッサ株式会社(本社:香川県高松市)および株式会社琉薬(本社:沖縄県浦添市))が担当卸に選定されております。新型コロナウイルスワクチンおよび関連商品の流通を通じて、円滑なワクチン接種への協力、ひいては人々の命を守ることへ貢献してまいります。
当社グループは、医療用医薬品NO.1卸※1として勝ち続けるために「19-21中計」の重点施策として掲げた「MS機能のさらなる進化」「スペシャリティ商品への注力」「グループ物流の高度化、効率化と標準化」に引き続き取り組んでおります。
「グループ物流の高度化、効率化と標準化」への取り組みとして、アルフレッサは、2020年7月、ヤマトホールディングス株式会社(本社:東京都中央区)の連結子会社であるヤマトロジスティクス株式会社(現ヤマト運輸株式会社、本社:東京都中央区)と、医療用医薬品、一般用医薬品、医療機器、医療材料および診断薬等の「ヘルスケア商品」の共同配送スキームの構築に向けた業務提携契約を締結いたしました。これにより、ヘルスケア商品の配送業務効率化および配送能力増強を目指しております。
東北アルフレッサは、2020年9月、南東北エリアにおける最新鋭の物流拠点として「郡山物流センター」を稼働いたしました。同センターはGDPガイドラインに準拠し、約2万7千品目の豊富な在庫を有するほか、免震構造の採用、72時間稼働の非常用発電機や屋上ヘリポートの設置等により、大規模災害時でも安定的な医薬品供給が可能なだけではなく、営業エリアを超えた緊急対応も可能となっております。東北アルフレッサでは同センターを東北地方における物流の中核拠点として活用することで、今後も地域医療に貢献してまいります。
再生医療等製品に関する取り組みとして、アルフレッサは、2018年8月に保管・輸送拠点として「殿町再生医療流通ステーション(川崎市川崎区)」を設置・運用しておりましたが、2020年10月に「神戸再生医療流通ステーション(神戸市中央区)」を開設し、2021年1月には同社の物流センター3か所(埼玉物流センター、愛知物流センター、大阪物流センター)に保管庫を設置し、再生医療等製品をさらに安心・安全に保管・輸送できる体制へ強化しております。今後は、当社グループの他の医療用医薬品等卸売事業会社も含めて、2021年度内に6か所の主要な物流センターに同様の設備を設置する予定です。当社グループは殿町と神戸の2か所の再生医療流通ステーションと9か所の保管庫を用いて、同社が培ってきた再生医療等製品の保管・輸送に関するノウハウを活かした全国流通ネットワークを構築してまいります。
特殊医薬品の個別化医療支援※2に関する取り組みとして、アルフレッサは、2020年11月、PHC株式会社(本社:東京都港区)および富士通Japan株式会社(本社:東京都港区)と、RFID、クラウド型インフラ基盤およびIoT技術等を活用した個別化医療支援プラットフォーム「NOVUMN(ノヴァム)」を共同開発し、医療機関に対する商用サービスの提供を開始いたしました。「NOVUMN」は、微細・微小な温度等の変化によって有効成分が変質してしまう可能性のある特殊医薬品に関して、製品流通の全ての段階にわたる厳格な温度管理や、医薬品の製品一つひとつのトレーサビリティの把握に加え、医薬品卸売企業や医療機関における特殊医薬品のより適切な在庫管理機能等を実現しております。
事業領域の拡大を視野に入れたベンチャー企業への投資として、アルフレッサは、再生医療等製品の開発および開発製造受託を行うファーマバイオ株式会社(本社:名古屋市西区)、日本発の遺伝子治療技術の研究開発および治療薬の開発、製造などを行う株式会社遺伝子治療研究所(本社:川崎市川崎区)ならびに慢性心不全を対象とした再生医療等製品の開発を行う株式会社メトセラ(本社:山形県鶴岡市)へ出資いたしました。また、オンライン診療システムを医療機関へ提供する株式会社インテグリティ・ヘルスケア(本社:東京都中央区)にも出資し、スマートフォンアプリを使った頭痛管理プログラムを共同開発いたしました。
また、アルフレッサは、2020年10月、同社の出資先である株式会社Lily MedTech(本社:東京都文京区)との間で、同社が開発する乳房用超音波画像診断装置の日本国内の医療機関に対する総販売代理店契約を締結いたしました。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、薬価改定および新型コロナウイルス感染拡大の影響等による市場のマイナス成長ならびに価格競争の激化等により、売上高2兆2,906億24百万円(前期比3.6%減)、営業利益183億8百万円(同56.1%減)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高150億48百万円(同1.0%減)を含んでおります。
※1 出典:「2021最新オール・データ&ランキング」 卸グループ別医療用医薬品事業シェア(株式会社ドラッグマガジン)
※2 個別化医療:悪性腫瘍をはじめとする様々な疾病の治療において、特殊医薬品が高い治療効果を発揮するためには、患者様一人ひとりの体質や病気のタイプに合わせた個別化医療が有効であると注目が高まっています。
(B) セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業におきましては、「トータルヘルスケア・マーチャンダイジング・ホールセラー」を推進し、新たな付加価値による差別化と創造性を持つオンリーワン卸を目指し、「19-21中計」の重点施策として掲げた「安定的かつ持続的な事業基盤の確立」「消費者視点に立った商品提案」「専売メーカー・専売商品の取り組み強化」「将来に向けた投資」「各事業セグメントとの連携強化」に引き続き取り組んでおります。
連結子会社のアルフレッサ ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区)と同社の完全子会社である株式会社茂木薬品商会(本社:東京都中央区)は、2021年1月、アルフレッサ ヘルスケア株式会社を存続会社とする吸収合併契約を締結し、同年4月1日付で合併いたしました。今後は両社の経営資源を有効かつ効率的に活用して、経営基盤のさらなる強化を図ってまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染拡大による感染予防関連商品の売上増加の一方で、インバウンド需要の大幅な減少ならびに物流関連費用およびテレワーク推進等の環境整備費用の増加等により、売上高2,616億24百万円(前期比2.7%減)、営業利益24億1百万円(同16.8%減)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高5億25百万円(同30.1%減)を含んでおります。
(C) 医薬品等製造事業
医薬品等製造事業におきましては、グループシナジーの強化とさらなる規模拡大を推進するため、「19-21中計」の重点施策として掲げた「安心・安全・誠実なモノづくりの推進」「グループニーズに沿った製品の拡充」「製造受託・医薬品原薬事業の拡大」「海外事業の拡充」に引き続き取り組んでおります。
「グループニーズに沿った製品の拡充」への取り組みとして、連結子会社のアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区、以下「アルフレッサ ファーマ」という。)において潰瘍性大腸炎の病態把握の補助として製造販売承認を取得し、2019年10月に販売を開始したカルプロテクチンキット「ネスコート® Cp オート」が、2020年5月1日付で保険適用されました。本製品により、従来よりも大腸内視鏡検査の回数を減らし、患者様の身体的な負担だけでなく経済的な負担軽減が期待され、本保険適用を機に、医療機関での潰瘍性大腸炎の診断および治療に貢献できるよう、本製品のさらなる普及に努めております。
2021年2月、アルフレッサ ファーマは、第一三共株式会社(本社:東京都中央区)が製造販売する長期収載品11製品19品目の製造販売承認および資産等を同社から譲り受けることについて合意し、資産等承継契約を締結いたしました。
さらに、2021年2月、アルフレッサ ファーマは小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区)が製造販売する「キネダック錠」の製造販売承認を同社から譲り受けいたしました。今後は、製品ラインナップの拡充による既存製品とのシナジーを発揮することで医薬品等製造事業の強化を図ってまいります。
また、アルフレッサ ファーマは、2021年3月12日付で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原迅速検査キット「アルソニック® COVID-19 Ag」について体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得し、同年3月18日から販売を開始いたしました。本キットは特別な分析機器を必要とせず、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原について試料滴下後5分で判定可能であり、新型コロナウイルス感染症の検査体制の拡充へ貢献いたします。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、受託製造および医薬品原薬製造が順調に推移した一方で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関等の外来受診抑制や手術件数の減少による自社製品の売上減少、インフルエンザ診断キットの販売不振および医療機関等への営業活動の自粛等の影響により、売上高425億95百万円(前期比7.3%減)、営業損失1億44百万円(前期は営業利益23億49百万円)となりました。
なお、売上高には、セグメント間の内部売上高94億2百万円(同19.0%減)を含んでおります。
(D) 医療関連事業
医療関連事業におきましては、「19-21中計」の重点施策として掲げた「機能に応じた店舗の再編」「収益改善を目指した効率化・高度化」「多機能化による地域社会への貢献」「各事業セグメントとの連携強化」を引き続き推進する一方、前連結会計年度に発覚した調剤報酬請求に係る不適切行為の再発防止策を徹底するため、新たな管理ソフトウェアの導入および適正な人員配置等の対策を講じました。
連結子会社のアポロメディカルホールディングス株式会社(本社:東京都豊島区、以下「アポロメディカル」という。)および株式会社日本アポック(本社:埼玉県川越市)ならびに当社の完全子会社の株式会社中日ファーマシー(本社:名古屋市中区)は、2021年1月、アポロメディカルを存続会社とする吸収合併契約を締結し、同年4月1日付で合併いたしました。なお、存続会社のアポロメディカルはアポクリート株式会社へ商号変更しております。この3社が経営統合することで、調剤薬局事業の経営基盤の強化と効率化を図り、これまで以上にコンプライアンスへの取り組みを強化するとともに顧客視点に立った新たな価値の創造を目指してまいります。
当セグメントの当連結会計年度の業績は、薬価改定および新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関の外来受診抑制等の影響により、売上高333億円(前期比6.6%減)、営業損失3億69百万円(前期は営業利益4億28百万円)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
(A) 生産実績及び受注実績
当社グループの生産実績および受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(B) 仕入実績
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
医療用医薬品等卸売事業2,163,30896.8
セルフメディケーション卸売事業233,60296.1
医薬品等製造事業12,617111.3
医療関連事業21,14494.4
合計2,430,67296.8

(注)1.金額は実際の仕入額によっており、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部仕入高は247億19百万円(前期比90.2%)であり、上記金額に含めております。
(C) 販売実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前期末比349億61百万円減少し、1兆3,166億58百万円となりました。
流動資産は、419億31百万円減少し、9,924億80百万円となりました。これは主として、「未収入金」が23億43百万円増加した一方で、「現金及び預金」が402億70百万円、「受取手形及び売掛金」が30億31百万円および「商品及び製品」が11億94百万円減少したことによるものです。
固定資産は、69億69百万円増加し、3,241億77百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資などに伴い有形固定資産が67億64百万円増加および「退職給付に係る資産」が12億51百万円増加した一方で、株式の売却等に伴い「投資有価証券」が9億1百万円減少したことによるものです。
セグメント別の総資産は、以下のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業のセグメント資産は、前期末比373億67百万円減少し、1兆1,112億33百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資に伴い有形固定資産が増加した一方で、「現金及び預金」等の流動資産が減少ならびに株式の売却に伴い「投資有価証券」が減少したことによるものです。
セルフメディケーション卸売事業のセグメント資産は、55億17百万円減少し、879億92百万円となりました。これは主として、保有株式の株価上昇等に伴い「投資有価証券」が増加した一方で、「受取手形及び売掛金」が減少および「商品及び製品」が減少したことによるものです。
医薬品等製造事業のセグメント資産は、28億52百万円増加し、655億77百万円となりました。これは主として、「商品及び製品」が増加および「退職給付に係る資産」等の投資その他の資産が増加したことによるものです。
医療関連事業のセグメント資産は、10億77百万円減少し、174億62百万円となりました。これは主として、「のれん」等の無形固定資産が減少および「投資有価証券」等の投資その他の資産が減少したことによるものです。
当連結会計年度末における当社グループの負債は、前期末比500億20百万円減少し、8,267億円となりました。
流動負債は、530億49百万円減少し、7,839億29百万円となりました。これは主として、仕入高の減少等に伴い「支払手形及び買掛金」が448億90百万円減少および「未払法人税等」が66億47百万円減少したことによるものです。
固定負債は、30億28百万円増加し、427億71百万円となりました。これは主として、「独占禁止法関連損失引当金」45億67百万円の計上および保有株式の株価上昇等に伴い「繰延税金負債」が16億14百万円増加した一方で、「退職給付に係る負債」が25億31百万円減少したことによるものです。
結果として、当連結会計年度末における当社グループの純資産は、150億59百万円増加し、4,899億57百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が137億6百万円、保有株式の株価上昇等に伴い「その他有価証券評価差額金」が10億81百万円および「退職給付に係る調整累計額」が15億35百万円増加した一方で、アポロメディカルを完全子会社化したこと等により「非支配株主持分」が9億75百万円減少および「資本剰余金」が2億98百万円減少したことによるものです。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物は、前期末比402億4百万円減少し、1,690億60百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、「税金等調整前当期純利益」が365億31百万円と前期と比べ227億2百万円の減益となったことに加えて、仕入高の減少等に伴い「仕入債務の増減額」が減少したこと等により、211億91百万円の減少(前期は338億28百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、保有株式の縮減を目的とした投資有価証券の売却による収入が増加したことに加えて、有形固定資産の取得による支出が減少したこと等により、47億32百万円の減少(前期は170億24百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、増配に伴い「配当金の支払額」が増加したことに加えて、アポロメディカルの完全子会社化に伴う子会社株式の取得による支出があったこと等により、144億72百万円の減少(前期は126億17百万円の減少)となりました。
〈資本の財源および資金の流動性〉
アルフレッサグループは、日本の社会インフラである医薬品サプライチェーンを製造、卸売、調剤薬局等の各事業領域で支え、必要な時に、必要な医薬品を、必要な場所へ、安定的に供給することに貢献しております。
社会的責任の遂行と持続的な企業価値の向上には、財務の健全性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元の最適バランスを追求し、さらなる企業価値を追求することが当社グループの財務・資本戦略の基本となっております。
当連結会計年度末における純資産のうち当社の持分は、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がり、配当金の支払いやその他の包括利益額の増減により、4,897億36百万円(前期末比160億34百万円増加)となり、この結果、自己資本比率は37.2%となりました。
また、株式会社格付投資情報センターの発行体格付は「A+」(2020年8月格付)を2021年5月末時点で維持しております。
財務健全性の更なる向上には財務基盤・収益基盤の強化が不可欠であるため、当社グループの資本配分計画に基づき、事業拡大投資・事業強化投資を実行してまいります。
株主還元を含むこれら資本配分の財源(資金の調達方法)は、主に営業活動により得られるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金によっております。なお、当連結会計年度における主要な使途等については前記「(3) キャッシュ・フロー」を、翌連結会計年度以降については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度末における「現金及び預金」残高は1,702億77百万円であり、連結ベースの流動比率は126.6%、総資産に対する流動資産の比率は75.4%、流動負債の比率は59.5%であることから、十分な流動性を確保しているものと認識しております。また、当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により、グループ内の資金需要と運用の最適化および資金の効率的な活用を図っております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定について検討いたしましたが、当該見積り等に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があるものの、純資産額や総資産額などの経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
新型コロナウイルスの感染拡大は、経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、当社グループにおきましても、得意先である医療機関における受診抑制や手術件数の減少および営業活動の制限等、厳しい事業環境となっており当社グループの業績に一定の影響が及んでおります。
新型コロナウイルス感染症の収束時期やその影響の程度を、現時点において入手可能な情報および合理的であると判断される一定の条件に基づき、今後、2022年3月期の年間を通じて当該影響が継続するものと仮定して、固定資産の減損会計等の会計上の見積りを行っております。
なお、当該見積りに用いた仮定には不確実性があり、新型コロナウイルス感染症の収束時期および経済環境に変化が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。