有価証券報告書-第44期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 10:21
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、内需に牽引される形で緩やかな回復基調が続いたものの、米中貿易摩擦や中東情勢等の地政学リスクの高まりに加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景にインバウンド需要の減少や経済活動が停滞する動きもあり、先行きが不透明な状況が一段と高まり推移しております。国内の個人消費につきましては、消費税増税や相次ぐ自然災害の影響による消費マインドの低下に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛等により、消費需要が回復するには一定の時間を要すると考えられます。通信販売業界におきましては、電子商取引(EC)による市場の拡大は依然として続いているものの、天候不順、自然災害の頻発に加え、足元では新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けており、商品カテゴリ毎に影響度はまだら模様の様相を呈しております。
このような環境下におきまして、当社グループは引き続き主力4事業(総合通販事業・専門通販事業・店舗販売事業・プロパティ事業)の強化に取り組んでまいりました。その結果、当連結会計年度の売上高は179,948百万円(前年同期比1.3%増)となりました。一方で、カタログ用紙代の値上げによる影響や、前期に取得したさが美グループホールディングス㈱において、費用が先行する第1四半期の損益が当期より反映されている影響などで営業利益は10,311百万円(同14.1%減)となりました。また、為替相場の変動による損益が前期とは逆にマイナスとなり、経常利益は10,365百万円(同32.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,862百万円(同43.3%減)となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
[総合通販事業]
用紙代の値上げに伴うカタログ等の発行部数抑制の影響などにより、売上高は73,378百万円(同5.4%減)となり、セグメント利益は1,713百万円(同55.1%減)となりました。
[専門通販事業]
化粧品事業、ワイン事業を中心に好調に推移し、売上高は49,774百万円(同4.0%増)となり、セグメント利益は3,906百万円(同19.8%増)となりました。
[店舗販売事業]
前期に取得したさが美グループホールディングス㈱において、費用が先行する第1四半期の損益が当期より反映される影響などで、売上高は30,402百万円(同8.0%増)となったものの、セグメント利益は310百万円(同68.9%減)となりました。
[ソリューション事業]
通販代行サービス事業及び封入・同送サービス事業が共に好調に推移し、売上高は8,330百万円(同33.1%増)となり、セグメント利益は2,652百万円(同16.7%増)となりました。
[ファイナンス事業]
国内消費者金融事業の貸付金残高を伸ばしたことにより、売上高は4,396百万円(同14.8%増)となり、セグメント利益は1,874百万円(同6.5%増)となりました。
[プロパティ事業]
前期に開業したホテルが売上に寄与したことなどにより、売上高は8,690百万円(同7.7%増)となり、セグメント利益は658百万円(同168.7%増)となりました。
[その他の事業]
衣裳レンタル事業を展開する㈱マイムにおいて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い多くの卒業式が中止となりキャンセルが増加した影響などにより、売上高は5,943百万円(同14.0%減)、セグメント損失は392百万円(前年同期は237百万円のセグメント利益)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末比4,438百万円増加し、103,683百万円となりました。これは主に営業貸付金が3,532百万円、仕掛販売用不動産が1,928百万円増加したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末比4,903百万円増加し、119,445百万円となりました。これは主に建設仮勘定が2,698百万円、投資有価証券が1,333百万円減少した一方で、機械装置及び運搬具が7,244百万円増加したことによるものであります。この結果、資産合計は、前連結会計年度末比9,341百万円増加し、223,128百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比3,327百万円減少し、50,135百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が1,132百万円増加した一方で、短期借入金が2,321百万円、未払法人税等が2,503百万円減少したことによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末比10,677百万円増加し、70,467百万円となりました。これは主に、長期借入金が10,435百万円増加したことによるものであります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末比7,349百万円増加し、120,602百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比1,992百万円増加し、102,525百万円となりました。この結果、自己資本比率は45.7%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比941百万円増の22,292百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、6,624百万円(前年同期は8,558百万円の増加)となりました。主たる増加要因は、税金等調整前当期純利益9,557百万円、減価償却費3,151百万円、その他の増減1,110百万円などであります。一方で、営業貸付金の増加3,523百万円、販売用不動産の増加2,238百万円、法人税等の支払額6,254百万円などが主な減少要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、11,108百万円(前年同期は12,724百万円の減少)となりました。主たる増加要因は、定期預金の払戻による収入1,500百万円、投資有価証券の売却による収入2,531百万円などであります。一方で、定期預金の預入による支出1,332百万円、有形固定資産の取得による支出9,438百万円、投資有価証券の取得による支出2,978百万円、子会社株式の取得による支出1,220百万円などが主な減少要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、5,712百万円(前年同期は3,577百万円の増加)となりました。主たる増加要因は、短期借入金の増加1,180百万円、長期借入れによる収入24,564百万円などであります。一方で、長期借入金の返済による支出17,734百万円、配当金の支払額1,501百万円などが主な減少要因であります。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは、主にカタログ等を媒体とする通信販売により一般顧客を対象に小売販売を行っており、製品の製造は行っておりません。従って生産実績の記載は行っておりません。また、通信販売の特質上受注から商品発送までのリードタイムは極めて短いものであり受注状況の記載を行っておりません。
(1) 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(百万円)前年同期比(%)
総合通販事業33,45892.6
専門通販事業23,63499.8
店舗販売事業13,159107.2
プロパティ事業1,35987.7
その他の事業2,60995.8
合計74,22197.2

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.金額は仕入価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(2) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
総合通販事業72,91694.6
専門通販事業49,652104.0
店舗販売事業30,402108.0
ソリューション事業8,166134.9
ファイナンス事業4,396114.8
プロパティ事業8,585107.5
その他の事業5,82785.2
合計179,948101.3

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.金額は販売実績によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、主力4事業(総合通販事業・専門通販事業・店舗販売事業・プロパティ事業)の強化に取り組んだ結果、売上高は179,948百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益は10,311百万円(前年同期比14.1%減)となりました。なお、第四次経営計画の初年度である当連結会計年度の目標は、売上高1,850億円、営業利益140億円、ROE10.1%としておりました。また、2020年1月31日に業績予想を修正し、売上高1,800億円、営業利益110億円、ROE6.7%としておりました。売上高は修正後予算をほぼ達成したものの、当初目標比は3.7%減となりました。営業利益については総合通販事業において原価率の改善が想定を下回ったこと、店舗販売事業のさが美グループホールディングス㈱において催事販売中止の影響があったこと、衣装レンタル事業を展開する㈱マイムにおいて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い多くの卒業式が中止となりキャンセルが増加したこと等により修正後予算比6.3%減、当初目標比は26.4%減となりました。経常利益は為替相場の変動による損益が前期とは逆にマイナスとなったことにより10,365百万円(同32.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、5,862百万円(同43.3%減)となりました。
今後につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に対応し、事業の継続性・安定性・成長性・収益性の確保を図るため、ポートフォリオ経営を推進し、内部体制を強化することで第四次経営計画の最終年度目標達成を目指します。
主力事業の取り組みは次のとおりであります。
[総合通販事業]
総合通販事業は、カタログ用紙代の値上げや運賃の値上げにより、カタログ発行部数の抑制や原価率の改善に努めたものの減収減益となりました。
今後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けることが予想されますが、「ネットの強化」を進めると共に、幅広い世代に向けた商品を提供し、「メンズ」「インナー」の商品力及び新規顧客の獲得を強化し、持続的成長のための土壌作りを進めてまいります。
[専門通販事業]
専門通販事業は、化粧品事業、ワイン事業などで新規顧客獲得拡大と既存顧客の高リピートを実現しており、増収増益基調が続いております。今後も商品開発力を磨くとともにEC比率を高めることで、成長性と収益性を両立させてまいります。その中でも化粧品事業は、台湾での展開において増収増益傾向を継続しており、アジア各国への進出を推進してまいります。
また、食品事業においては今後、巣ごもり需要の高まりによる増収増益を見込んでおり、看護師向け事業においては衛生関連商材の需要の高まりによる増収増益をそれぞれ見込んでおります。
[店舗販売事業]
店舗販売事業は、さが美グループホールディングス㈱において、費用が先行する第1四半期の損益が当期より反映される影響や台風による一部催事販売の中止の影響などで、増収減益となりました。
今後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けることが予想されます。政府の対応方針、ディベロッパーの対応方針に則り、コスト削減を重視した運営を行ってまいります。
中期においては、和装店舗では㈱BANKANわものやとさが美グループホールディングス㈱にてシナジー効果を発揮し、圧倒的業界№1を目指してまいります。アパレル店舗では、着実な成長を目指し、既存店の営業利益率10%以上を目指します。
[プロパティ事業]
プロパティ事業は、前期に開業したホテルが売上に寄与したことなどにより、増収増益となりました。
今後は国内賃貸事業で安定した収益を獲得しつつ、開発事業とホテル事業で増収を実現してまいります。
財政状態の分析
当連結会計年度末における財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュフローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
財務政策
当社グループは、更なる成長を目指すために、主力4事業を中心とした設備や不動産開発・取得への投資を行っており、財務の健全性や資本効率など当社グループにとって最適な資本構成を追及するとともに、将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元とのバランスを保つことに努めております。
資金の調達源としては、営業キャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務・社債を含む有利子負債の残高は78,550百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は22,292百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産、負債の報告数値、並びに報告期間における収入、費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行う必要があります。当社グループは連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の実績や状況に応じ、合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この差異は、当社グループの連結財務諸表及びセグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、連結財務諸表作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化等、今後の見通しには不確実性が含まれておりますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証を行っております。
・固定資産減損
当社グループは、総合通販事業、店舗販売事業、プロパティ事業等で重要な資産を有しており営業活動から生ずる損益が継続してマイナスである資産グループについては回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能額の算定にあたっては、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、新型コロナウイルスの影響等、将来の不確実な経済条件の変動により、利益計画の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
・繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りと実行可能なタックスプランニングを考慮し、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能額の算定にあたっては、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが新型コロナウイルスの影響等、将来の不確実な経済条件の変動により、利益計画及び課税所得の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。