有価証券報告書-第37期(令和2年11月1日-令和3年10月31日)

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2022/01/17 14:48
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154項目
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う度重なる緊急事態宣言により、経済活動は引き続き抑制され、非常に厳しい状況となりました。日本国内においても、ワクチン接種が進み、アフターコロナへの期待が高まっているものの、今後の経済活動については先行きが不透明な状態が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境につきましても、2020年4月の緊急事態宣言以降、全店舗にて営業時間の短縮を継続して行っており、感染症拡大を防ぐための新生活様式などの各種対策が、今後も店舗運営やお客様の消費活動にどのような影響を及ぼすか想定が難しくなっております。
このような状況のもと、当社グループは2021年7月開催の取締役会にて、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCCという)にFC加盟し事業展開しておりますレンタル事業(以下、当該事業という)から撤退することを決議いたしました。当社グループの主軸である蔦屋書店事業において、当該事業は創業以来主力として売上を牽引しておりましたが、近年のスマートフォンの普及や動画配信サイトの隆盛により、当該事業の売上は前年を下回り続け、コロナ禍による生活様式の変化も進み、特に近年大幅に減少しました。当社グループといたしましても、事業転換することで、更なる発展と収益性の向上を図っていくこととし、CCCと当該事業の撤退について協議を重ね、2023年10月期までに撤退することを決定しました。また、これに伴い当該事業の撤退に伴う事業撤退損失2,144百万円を特別損失に計上いたしました。
また、これらの施策を支える財務面において、自己資本の充実を図り、安定的な事業運営を行うために、2021年8月に臨時株主総会を開催し、第三者割当によるA種優先株式及びB種優先株式の発行、資本金及び資本準備金の額の減少、並びに定款の一部変更を実施することも決議いたしました。
前述したレンタル事業の撤退も見据えて、当社グループはコワーキングスペース事業に進出し、TSUTAYAの新業態である「SHARE LOUNGE」を展開してまいります。その事業転換の第1弾として、2021年8月に蔦屋書店新潟万代に北信越初となりますコワーキングスペース「SHARE LOUNGE」をオープンいたしました。仕事ができるスペースとして、また自主学習の場として、時にはカフェとして、様々なお客様にご利用いただきご好評いただいております。さらに、日用品・家庭用品の導入、特撰雑貨文具ジャンルの拡大、大手メーカーとコラボした企画販売や地域特産品のオリジナル企画販売等、既存の事業についても強化に努めてまいりました。
また、売上構成の見直しによる収益性の向上に加え、コスト面においても効率化を継続し、社内のDX化による徹底した商品・在庫管理の促進とセルフレジ拡大による販売管理費率の削減を進めております。
一方で、契約満了等に伴い、蔦屋書店豊栄店、蔦屋緑が丘店、蔦屋書店厚木戸室店、TSUTAYAアトレヴィ田端店、蔦屋書店小千谷店の5店舗が閉店いたしました。これによりグループ店舗数は70店舗となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高26,407百万円(前年同期比87.7%)、営業利益356百万円(前年同期比81.6%)、経常利益276百万円(前年同期比57.9%)、親会社株主に帰属する当期純損失1,939百万円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純利益371百万円)となりました。
売上面につきましては、前年末から1月中旬にかけての記録的な大雪による交通障害と、前年の新型コロナウイルス感染拡大に伴い発動された緊急事態宣言に影響を受けた巣籠り需要による売上の伸長や、マスク等の衛生用品の売上が拡大した反動が大きく影響し、当社グループの主軸である蔦屋書店事業全体の売上高前年同期比は87.3%(既存店90.0%)となりました。
利益面につきましては、セルフレジの利用促進や店舗オペレーションの見直しにより業務の効率化が進み、販管費の削減に繋がりましたが、売上の前年とのギャップを埋めるには至らず、営業利益は前年同期比18.4%減少し356百万円となりました。経常利益については、優先株式発行に伴う各種費用や、前年計上した受取補償金も影響し、前年同期比42.1%減少し276百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、前述したレンタル事業撤退に伴い計上した特別損失2,144百万円が大きく影響し、1,939百万円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純利益371百万円)となりました。
当連結会計年度の出店・改装店状況
閉店5店(蔦屋書店部門 5)
期末店舗数70店(蔦屋書店部門 68、古本市場トップブックス 2)
都県別内訳:
新潟 24、長野 13、神奈川 4、東京 10、群馬 6、埼玉 6、静岡 2、茨城 2
宮城 2、岩手 1


当連結会計年度におけるセグメントの状況は、次のとおりであります。
[蔦屋書店事業]
同事業の売上高は25,727百万円(前年同期比87.3%・既存店前年同期比90.0%)となりました。主力商品の売上高前年同期比は、書籍92.4%(既存店95.3%)、特撰雑貨・文具80.9%(既存店82.7%)、レンタル64.4%(既存店67.0%)、ゲーム・リサイクル86.7%(既存店90.1%)、販売用CD80.7%(既存店81.9%)、販売用DVD76.4%(既存店78.0%)、賃貸不動産収入100.3%(既存店99.2%)となりました。
[スポーツ関連事業]
同事業については前年新型コロナウイルスの感染拡大防止のため一時的に休業していた反動もあり、売上高209百万円(前年同期比105.2%)となりました。
[訪問看護事業]
同事業につきましては、事業所が3か所となり、利用者も順調に増加した結果、売上高106百万円(前年同期比117.9%)となりました。
[その他]
中古買取販売事業の売上高は380百万円(前年同期比95.0%)となっております。
(2) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における販売等の状況は、以下のとおりであります。
①商品別売上状況
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2019年11月1日 至 2020年10月31日)
当連結会計年度
(自 2020年11月1日 至 2021年10月31日)
前年同期比
(%)
売上高
(千円)
構成比
(%)
売上高
(千円)
構成比
(%)
蔦屋書店事業書籍16,309,09054.115,067,25857.092.4
特撰雑貨・文具4,762,84615.83,853,00914.680.9
レンタル2,993,4979.91,926,7437.364.4
ゲーム・リサイクル1,273,9574.21,104,9834.286.7
販売用CD934,6523.1753,9932.980.7
賃貸不動産収入573,6661.9575,4862.2100.3
販売用DVD614,0302.1469,3281.876.4
その他1,991,8746.61,976,2187.499.2
セグメント間の
内部売上高又は振替高
29,453,61697.725,727,02297.487.3
スポーツ関連
事業
外部顧客に対する売上高182,6490.6193,0550.7105.7
セグメント間の
内部売上高又は振替高
16,3430.116,2450.199.4
198,9920.7209,3000.8105.2
訪問看護事業外部顧客に対する売上高90,0080.3106,1450.4117.9
セグメント間の
内部売上高又は振替高
90,0080.3106,1450.4117.9
その他外部顧客に対する売上高401,0381.3380,8631.495.0
セグメント間の
内部売上高又は振替高
401,0381.3380,8631.495.0
合計30,143,655100.026,423,332100.087.7

(注)1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
3 蔦屋書店事業の「その他」は、図書カード他であります。

②商品別仕入実績
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2019年11月1日 至 2020年10月31日)
当連結会計年度
(自 2020年11月1日 至 2021年10月31日)
前年同期比
(%)
仕入高
(千円)
構成比
(%)
仕入高
(千円)
構成比
(%)
蔦屋書店事業書籍11,758,05658.611,206,42461.295.3
特撰雑貨・文具3,101,82315.42,875,39715.792.7
ゲーム・リサイクル1,015,7305.1967,4065.395.2
レンタル1,518,3427.5716,2333.947.2
販売用CD657,5713.3526,3912.980.1
販売用DVD398,3002.0336,8381.884.6
賃貸不動産原価246,8651.2246,2041.399.7
その他973,2994.91,050,9325.8108.0
セグメント間の
内部仕入高又は振替高
2,9860.0
19,672,97598.017,925,82997.991.1
スポーツ関連
事業
外部取引先からの仕入高14,9570.022,1850.1148.3
セグメント間の
内部仕入高又は振替高
14,9570.022,1850.1148.3
訪問介護事業外部取引先からの仕入高60,5910.362,6890.4103.5
セグメント間の
内部仕入高又は振替高
60,5910.362,6890.4103.5
その他外部取引先からの仕入高314,4821.6300,0291.695.4
セグメント間の
内部仕入高又は振替高
△2,9860.0
311,4961.6300,0291.695.4
合計20,060,021100.018,310,734100.091.3

(注)1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
3 蔦屋書店事業の「その他」は、図書カード他であります。
(3) 財政状態の分析
総資産につきましては、前年度比1,856百万円減少し、18,325百万円となりました。これは主に、以下の増減によるものです。
増加:投資有価証券11百万円
減少:現金及び預金897百万円、リース資産372百万円、建物及び構築物189百万円、敷金及び保証金
172百万円、短期貸付金150百万円
負債につきましては、前年度比2,019百万円減少し、14,516百万円となりました。これは主に以下の増減によるものです。
増加:短期借入金1,400百万円
減少:長期借入金1,655百万円、買掛金923百万円、リース債務468百万円
純資産につきましては、3,809百万円(前年度比162百万円増加)となりました。これは主に以下の増減によるものです。
増加:新株の発行:2,100百万円
減少:事業撤退損失の計上による親会社株主に帰属する当期純損失の計上:1,939百万円
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ897百万円減少し、1,314百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金は、前年度比5,771百万円減少し、2,411百万円の支出となりました。これは主に、仕入債務の増減額が1,551百万円、補償金の受取額が305百万円、未払消費税等の増減額が169百万円、事業撤退に伴う支払額が2,144百万円、たな卸資産の増減額が918百万円、それぞれ減少したことによります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金は、前年度比80百万円増加し、204百万円の獲得となりました。これは主に、貸付けによる支出が150百万円、貸付金の回収による収入が150百万円、それぞれ増加した一方で、敷金及び保証金の回収による収入が138百万円、保険積立金の解約による収入が134百万円、投資有価証券の売却による収入が102百万円、それぞれ減少したことによります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金は、前年度比3,825百万円増加し、1,308百万円の獲得となりました。これは主に、長期借入による収入が1,586百万円減少した一方で、短期借入金の純増減額が3,100百万円、株式の発行による収入が2,039百万円、それぞれ増加したことによるものです。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの所要資金は、大きく分けて設備投資資金及び運転資金の2つとなっております。基本的には、営業活動によるキャッシュ・フローの増加を中心としながらも、新規出店数の増加に伴う多額の設備投資資金については、増資や長期借入金によって調達を行ってまいりました。今後、中期的な成長に向け出店を拡大していくにあたり、その所要資金については、これまで同様に、営業活動によるキャッシュ・フローの枠を基本としつつ、財務安全性や調達コストを勘案の上、資金調達を行ってまいります。
また運転資金については、近年多発している自然災害等の不測の事態にも対応できるよう、資金調達をしながらも一定の流動性預金の残高保持に努めてまいります。そのため、借入金純額よりも、流動性預金残高を差し引いたネットデットの残高管理に重点を置く財務政策をとってまいります。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当社経営陣による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要といたします。経営陣は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として店舗を基本単位として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストなどが含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 」において記載を行っておりますのでご参照ください。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク 」において詳細な分析を行なっておりますのでご参照ください。
(8) 経営戦略の状況と今後の見通し
当社における経営戦略の状況と今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 」にて詳細にご説明しておりますのでご参照ください。