有価証券報告書-第36期(令和1年11月1日-令和2年10月31日)

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2021/01/18 13:54
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当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が一転し 、相次ぐ自然災害の発生や、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、厳しい状況で推移しました。緊急事態宣言の解除後は、感染拡大の措置を講じつつ、段階的に経済活動を再開していく動きとなっておりますが、当面極めて厳しい状況が続くと見込まれており、わが国の経済のみならず、世界経済も併せて先行きは不透明な状況となっております。
当社グループの事業環境につきましても、2019年10月に襲来した台風19号により、当社の運営する蔦屋書店東松山店が甚大な被害を受け休店しておりましたが、2019年12月27日より営業を再開いたしました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受け、2020年4月から5月にかけて東京都の2店舗を休業し、他74店舗につきましても営業時間の短縮等を行いました。
また、緊急事態宣言に伴う外出自粛要請を受け、商談や各種会議、店舗巡回もリモートで行い、店舗や事業所内での密閉・密集・密接の3つの密を避ける対策を実施し、お客様、従業員の安全確保に努めました。
出退店につきましては、蔦屋書店塩尻店が道路拡張工事の影響により、TSUTAYA町屋店が周辺地域の開発計画の影響により、いずれも2020年1月に閉店いたしました。また、蔦屋書店フレスポ府中店も2020年8月に閉店し、これによりグループ店舗数は75店舗となりました。
このような状況のもと、当社グループでは、「日常的エンターテイメント」を提供することで一人一人の暮らしを豊かにしたいというコンセプトを掲げ、お客様へ多様なライフスタイルを提案する店舗を作ってまいりました。コロナ禍の中で、感染防止対策を行いつつ、お客様に必要とされる衛生用品などを各店舗でいち早く販売すると同時に、特撰雑貨・文具を中心に新規商材を開拓し、大手メーカーとコラボした販売企画や、地域特産品のオリジナル販売企画などを多数行ってまいりました。同時に、店舗の運営力・収益力の強化対策として、売上構成比率の見直しや、営業時間の短縮、セルフレジの導入による店舗運営コストの削減を推進しております。また、当社グループが主要経営指標としている交差比率(売上総利益率×商品回転率)改善のため、システム投資によるIT化を進め、自社基幹システムによる在庫管理の改善を行いました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高30,127百万円(前年同期比96.6%)、営業利益436百万円(前年同期比250.6%)、経常利益476百万円(前年同期比308.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益371百万円(前年同期比273.1%)となりました。
売上面につきましては、緊急事態宣言に伴う外出自粛要請による巣篭り需要の高まりに応えるために、コミックや児童書等の書籍販売や、家でも楽しめるホビージャンル、食品ジャンル等の特撰雑貨・文具の販売を強化したことや、マスクや除菌グッズ等の衛生用品の販売を強化したことにより、主力である書籍、特撰雑貨・文具の売上が非常に好調でした。一方で、自然災害や新型コロナウイルスの感染拡大による一時的な休店、周辺地域の開発に伴う閉店等により、営業店舗数そのものが前期に比べて減少し、当社グループの主軸である蔦屋書店事業全体の売上高前年同期比は96.5%(既存店101.4%)となりました。
利益面につきましては、前述した主力商品の売上の伸長が奏功し、営業利益は前年同期比150.6%増加し436百万円となりました。また、休業中の固定費や将来に向けた一過性の投資的費用123百万円が発生したものの、閉店店舗の販管費については減少し、経営効率の改善にもつながりました。経常利益は受取補償金もあり、前年同期比208.9%増加し476百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比173.1%増加し371百万円となりました。

当連結会計年度の出店・改装店状況
閉店3店(蔦屋書店部門 3)
期末店舗数75店(蔦屋書店部門 73、古本市場トップブックス 2)
都県別内訳:
新潟 26、長野 13、神奈川 5、東京 11、群馬 6、埼玉 6、静岡 2、茨城 2
宮城 2、岩手 2

当連結会計年度におけるセグメントの状況は、次のとおりであります。
[蔦屋書店事業]
同事業の売上高は29,453百万円(前年同期比96.5%)となりました。主力商品の売上高前年同期比は、書籍102.4%(既存店107.2%)、特撰雑貨・文具102.6%(既存店105.5%)、レンタル78.5%(既存店84.6%)、ゲーム・リサイクル94.6%(既存店104.1%)、販売用CD66.2%(既存店70.6%)、販売用DVD75.0%(既存店80.1%減)、賃貸不動産収入100.2%(既存店100.0%)となりました。
[スポーツ関連事業]
同事業については例年であれば3月より繁忙期に入りますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため休業していたことも影響し、売上高198百万円(前年同期比87.4%)となりました。
[訪問看護事業]
同事業につきましては、事業所が2か所となり、利用者も順調に増加した結果、売上高90百万円(前年同期比225.0%)となりました。
[その他]
中古買取販売事業の売上高は401百万円(前年同期比102.0%)となっております。
(2) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における販売等の状況は、以下のとおりであります。
①商品別売上状況
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2018年11月1日 至 2019年10月31日)
当連結会計年度
(自 2019年11月1日 至 2020年10月31日)
前年同期比
(%)
売上高
(千円)
構成比
(%)
売上高
(千円)
構成比
(%)
蔦屋書店事業書籍15,932,77051.116,309,09054.1102.4
特撰雑貨・文具4,641,16114.94,762,84615.8102.6
レンタル3,812,57312.22,993,4979.978.5
ゲーム・リサイクル1,346,8944.31,273,9574.294.6
販売用CD1,411,5224.5934,6523.166.2
販売用DVD819,1752.6614,0302.175.0
賃貸不動産収入572,7201.9573,6661.9100.2
その他2,000,2536.41,991,8746.699.6
セグメント間の
内部売上高又は振替高
30,537,07197.929,453,61697.796.5
スポーツ関連
事業
外部顧客に対する売上高215,1890.7182,6490.684.9
セグメント間の
内部売上高又は振替高
12,5440.016,3430.1130.3
227,7330.7198,9920.787.4
訪問看護事業外部顧客に対する売上高40,0080.190,0080.3225.0
セグメント間の
内部売上高又は振替高
40,0080.190,0080.3225.0
その他外部顧客に対する売上高393,2611.3401,0381.3102.0
セグメント間の
内部売上高又は振替高
393,2611.3401,0381.3102.0
合計31,198,074100.030,143,655100.096.6

(注)1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
3 蔦屋書店事業の「その他」は、図書カード他であります。

②商品別仕入実績
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2018年11月1日 至 2019年10月31日)
当連結会計年度
(自 2019年11月1日 至 2020年10月31日)
前年同期比
(%)
仕入高
(千円)
構成比
(%)
仕入高
(千円)
構成比
(%)
蔦屋書店事業書籍11,719,87156.111,758,05658.6100.3
特撰雑貨・文具3,057,17214.63,101,82315.4101.5
レンタル1,754,6518.31,518,3427.586.5
ゲーム・リサイクル1,141,7385.51,015,7305.189.0
販売用CD1,068,4545.1657,5713.361.5
販売用DVD643,7963.1398,3002.061.9
賃貸不動産原価252,9091.2246,8651.297.6
その他979,0594.7973,2994.999.4
セグメント間の
内部仕入高又は振替高
6570.02,9860.0454.2
20,618,31298.619,672,97598.095.4
スポーツ関連
事業
外部取引先からの仕入高18,1310.114,9570.082.5
セグメント間の
内部仕入高又は振替高
△6570.0
17,4740.114,9570.082.5
訪問介護事業外部取引先からの仕入高32,9540.260,5910.3183.9
セグメント間の
内部仕入高又は振替高
32,9540.260,5910.3183.9
その他外部取引先からの仕入高239,0541.1314,4821.6131.6
セグメント間の
内部仕入高又は振替高
△2,9860.0
239,0541.1311,4961.6131.6
合計20,907,796100.020,060,021100.095.9

(注)1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
3 蔦屋書店事業の「その他」は、図書カード他であります。
(3) 財政状態の分析
総資産につきましては、前年度比1,345百万円減少し、20,182百万円となりました。これは主に、以下の増減によるものです。
増加:現金及び預金967百万円、その他145百万円
減少:商品1,015百万円、未収入金421百万円、リース資産360百万円、敷金及び保証金303百万円
工具、器具及び備品147百万円、その他100百万円
負債につきましては、前年度比1,719百万円減少し、16,535百万円となりました。これは主に以下の増減によるものです。
増加:買掛金628百万円、未払金122百万円
減少:短期借入金1,700百万円、リース債務502百万円、(1年内返済予定を含む)長期借入金312百万円
純資産につきましては、3,646百万円(前年度比373百万円増加)となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ967百万円増加し、2,212百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりです。
当連結会計年度においては、期末最終日が金融機関休業日に当たるため、一部の支払が次年度へ繰り越されております。キャッシュ・フローについても期末の金融機関休業日の影響を受けており、その額は営業活動によるキャッシュ・フローにおいて484百万円、財務活動によるキャッシュ・フローにおいては56百万円の資金増加要因となっています。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金は、前年度比2,736百万円増加し、3,359百万円の獲得となりました。これは主に、たな卸資産の増減額が792百万円、災害損失が181百万円、それぞれ減少した一方で、前連結会計年度に比べて仕入債務の増減額が1,054百万円、補償金の受取額が305百万円、受取補償金が299百万円、税金等調整前当期純利益が254百万円、それぞれ増加したことによります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金は、前年度比90百万円減少し、124百万円の獲得となりました。これは主に、貸付による支出が150百万円、有形固定資産の取得による支出が144百万円、保険積立金の解約による収入が134百万円、それぞれ増加した一方で、投資有価証券の取得による支出が399百万円、投資有価証券の売却による収入が398百万円、それぞれ減少したことによります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金は、前年度比514百万円増加し、2,516百万円の支出となりました。これは主に、短期借入金の純増減額が1,400百万円、長期借入金の返済による支出が264百万円、それぞれ減少した一方で、長期借入による収入が1,586百万円増加したことによるものです。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの所要資金は、大きく分けて設備投資資金及び運転資金の2つとなっております。基本的には、営業活動によるキャッシュ・フローの増加を中心としながらも、新規出店数の増加に伴う多額の設備投資資金については、増資や長期借入金によって調達を行ってまいりました。今後、中期的な成長に向け出店を拡大していくにあたり、その所要資金については、これまで同様に、営業活動によるキャッシュ・フローの枠を基本としつつ、財務安全性や調達コストを勘案の上、資金調達を行ってまいります。
また運転資金については、近年多発している自然災害等の不測の事態にも対応できるよう、資金調達をしながらも一定の流動性預金の残高保持に努めてまいります。そのため、借入金純額よりも、流動性預金残高を差し引いたネットデットの残高管理に重点を置く財務政策をとってまいります。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当社経営陣による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要といたします。経営陣は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として店舗を基本単位として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストなどが含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 」において記載を行っておりますのでご参照ください。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク 」において詳細な分析を行なっておりますのでご参照ください。
(8) 経営戦略の状況と今後の見通し
当社における経営戦略の状況と今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 」にて詳細にご説明しておりますのでご参照ください。