四半期報告書-第81期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

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2018/08/13 9:07
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文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末(前事業年度末)の数値で比較を行っております。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、緩やかな景気拡大の動きが続きました。世界的な貿易摩擦への懸念が高まるなかでも輸出は比較的堅調な伸びを続け、設備投資も堅調に推移しました。一方、雇用情勢が改善し人手不足が深刻になるなかでも賃金の伸びは鈍く、個人消費の動きは引き続き鈍いものとなりました。原油高の影響もあり消費者物価は前年同月比プラス圏で推移しましたが、依然として低い伸びが続きました。
為替市場では、5月に一時1ドル=111円台まで円安ドル高が進みました。その後、米中貿易摩擦問題の激化懸念など意識され、リスク回避の動きから円高ドル安が進む場面もありましたが、米国で利上げが実施されたことなどから、徐々に円安ドル高基調となり、1ドル=110円台半ばで6月の取引を終えました。他方、ユーロ円相場はイタリアの政局不安などから一時1ユーロ=124円台まで円高ユーロ安が進んだものの、欧州中央銀行(ECB)の金融政策正常化への期待などから相場は反転し、1ユーロ=129円程度で6月の取引を終了しました。
株式市場では、2月の世界同時株安が一服し、為替も円安ドル高基調となったことなどを受けて、日経平均株価は戻りを試す展開となりました。しかし、5月以降は国内企業の好業績や北朝鮮リスクの後退を好感した一方、世界的な貿易摩擦問題や欧州の政局不安への懸念が株価の上値を抑える要因となりました。日経平均株価は主に海外情勢に一喜一憂する形で22,000円から23,000円のレンジ内でのもみ合い推移となり、22,304円51銭で6月の取引を終えました。
債券市場では日銀の金融緩和政策に支えられて、国債利回りは低位での安定推移を続けました。米国債利回りの上昇や円安進行を受けて、10年国債利回りが上昇する場面もみられましたが、債券市場の良好な需給環境に変化はなく、利回り上昇は一時的にとどまりました。一方、低金利政策の長期化による副作用への懸念や、国債買入れ額減額への警戒感から、積極的に上値を買い進む動きもみられず、10年国債利回りは狭いレンジでのもみ合いが続き、0.03%で6月の取引を終えました。
このような状況のもと、中核子会社の岡三証券株式会社においては、店舗の移転リニューアルなど営業機能の強化による引き続き地域密着型の営業活動を展開したほか、ウェブサイトで投資セミナーの動画配信を開始するなど市況に即した投資情報の迅速な提供に努めました。一方、インターネット取引専業の岡三オンライン証券株式会社においては、商品ごとに発信していたお客さま向け投資情報サイトを集約し、情報鮮度と使いやすさを重視した「投資情報局」としてリニューアルするなど、お客さま向けサービスの向上を通じた営業基盤の拡大に努めました。また、岡三アセットマネジメント株式会社においては、運用パフォーマンス向上のため、経済環境分析や企業調査等に注力したほか、投資先企業の企業価値向上に資するため投資先との対話(エンゲージメント)や議決権行使に取り組む一方、「ニッポン創業経営者ファンド」、「次世代モビリティオープン」などの公募投信の展開や機関投資家向けに私募投信、投資一任の提案を行い運用資産の拡大に努めました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は180億81百万円(前年同期比92.4%)、純営業収益は178億43百万円(同92.5%)となりました。販売費・一般管理費は168億50百万円(同98.9%)となり、経常利益は11億16百万円(同46.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5億46百万円(同41.0%)となりました。
当第1四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ156億91百万円減少し4,594億71百万円となりました。これは主に、現金・預金が85億65百万円、トレーディング商品が32億47百万円増加した一方で、有価証券担保貸付金が173億65百万円、約定見返勘定が96億88百万円減少したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ123億24百万円減少し2,827億90百万円となりました。これは主に、約定見返勘定が120億24百万円、預り金が95億19百万円、有価証券担保借入金が80億29百万円増加した一方で、短期借入金が299億58百万円、トレーディング商品が66億41百万円、信用取引負債が26億16百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ33億67百万円減少し1,766億81百万円となりました。これは主に、非支配株主持分が4億91百万円、その他有価証券評価差額金が2億75百万円増加した一方で、利益剰余金が43億65百万円減少したことによるものであります。
2)経営成績
当第1四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は180億81百万円(前年同期比92.4%)、純営業収益は178億43百万円(同92.5%)となりました。販売費・一般管理費は168億50百万円(同98.9%)となり、経常利益は11億16百万円(同46.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5億46百万円(同41.0%)となりました。
受入手数料
受入手数料の合計は110億54百万円(前年同期比91.9%)となりました。主な内訳は次のとおりです。
前第1四半期連結累計期間
(自 平成29年4月1日
至 平成29年6月30日)
(百万円)
当第1四半期連結累計期間
(自 平成30年4月1日
至 平成30年6月30日)
(百万円)
委託手数料4,3864,018
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料80203
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料3,3382,620
その他の受入手数料4,2214,211
合計12,02711,054

委託手数料
当第1四半期連結累計期間における東証の1日平均売買高(内国普通株式)は19億55百万株(前年同期比79.7%)、売買代金は3兆1,025億円(同105.1%)となりました。こうしたなか、株式委託手数料は39億38百万円(同91.9%)となりました。また、債券委託手数料は1百万円(同303.4%)、その他の委託手数料は79百万円(同78.8%)となり、委託手数料の合計は40億18百万円(同91.6%)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
当第1四半期連結累計期間における株式の引受けは、新規上場や市場変更の案件において主幹事を務めたことや引受け件数の増加により、引受金額が大幅に増加しました。また、債券の引受けは、地方債や事業債で主幹事を務めたことや事業債の大口の引受けが寄与し、引受手数料が前年同期比で増加しました。
これらの結果、株式の手数料は1億63百万円(前年同期比336.9%)、債券の手数料は40百万円(同124.7%)となり、株式・債券を合わせた引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は2億3百万円(同252.2%)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料につきましては、投資信託関連収益がその大半を占めています。
当第1四半期連結累計期間においては、長期的な成長期待のある投資テーマを持つファンドに注目が集まりました。中でも世界のeコマース関連企業に投資するファンドや強いリーダーシップを発揮する創業者に着目した日本株ファンド、経済成長が特に著しいアジアの株式に投資するファンドの販売が堅調でした。また、世界的なインフラ投資拡大の恩恵を受ける日本企業に投資するファンドを新規設定するなど、品揃えの拡充を図りましたが、投資信託販売額は前年同期で減少となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は26億20百万円(前年同期比78.5%)となりました。また、その他の受入手数料については、主に投資信託の信託報酬等により42億11百万円(同99.8%)となりました。
トレーディング損益
前第1四半期連結累計期間
(自 平成29年4月1日
至 平成29年6月30日)
(百万円)
当第1四半期連結累計期間
(自 平成30年4月1日
至 平成30年6月30日)
(百万円)
株券等トレーディング損益4,3714,298
債券等トレーディング損益2,6452,052
その他のトレーディング損益△9776
合計6,9196,426

株券等トレーディング損益は主に米国株式を中心とした外国株式の国内店頭取引、債券等トレーディング損益は外国債券の顧客向け取扱いに伴う収益がその大半を占めています。
当第1四半期連結累計期間においては、2月の世界的な相場急変から持ち直す動きが優勢となり、株式や為替の相場は概ね円安、株高基調となったものの、世界的な貿易摩擦拡大への懸念などから、やや不安定な推移となりました。
これらの結果、株券等トレーディング損益は42億98百万円(前年同期比98.3%)、債券等トレーディング損益は20億52百万円(同77.6%)となり、その他のトレーディング損益76百万円(前年同期は97百万円の損失)を含めたトレーディング損益の合計は64億26百万円(前年同期比92.9%)となりました。
金融収支
金融収益は3億88百万円(前年同期比89.5%)、金融費用は2億38百万円(同84.1%)となり、差引の金融収支は1億50百万円(同99.5%)となりました。
その他の営業収益
金融商品取引業及び同付随業務に係るもの以外の営業収益は、2億11百万円(前年同期比107.7%)となりました。
販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、事務費や減価償却費等の減少により、168億50百万円(前年同期比98.9%)となりました。
営業外損益及び特別損益
営業外収益は2億9百万円、営業外費用は85百万円となりました。また、特別利益は金融商品取引責任準備金戻入の計上等により1億37百万円、特別損失は2百万円となりました。
b.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
証券ビジネス
証券ビジネスにおいては、外国株式取扱いに伴う株券等トレーディング損益は増加した一方、投資信託販売にかかる手数料国内株式委託手数料等が減少し、当第1四半期連結累計期間における証券ビジネスの営業収益は160億24百万円(前年同期比92.7%)、セグメント利益は7億11百万円(同31.0%)となりました。
アセットマネジメントビジネス
アセットマネジメントビジネスにおいては、運用パフォーマンス向上のため、経済環境分析や企業調査等に注力したほか、投資先企業の企業価値向上に資するため、投資先との対話(エンゲージメント)や議決権行使に取り組みました。また、「ニッポン創業経営者ファンド」、「次世代モビリティオープン」などの公募投信の展開や機関投資家向けに私募投信、投資一任の提案を行い、運用資産の拡大に努めました。これらの結果、当第1四半期連結累計期間におけるアセットマネジメントビジネスの営業収益は28億33百万円(前年同期比90.9%)、セグメント利益は2億54百万円(同74.6%)となりました。
サポートビジネス
当第1四半期連結累計期間におけるサポートビジネスの営業収益は30億91百万円(前年同期比103.3%)、セグメント利益は2億63百万円(前年同期は3億8百万円の損失)となりました。
なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
② 会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
基本方針の内容の概要
当社は、上場企業である以上、本来、当社株券等の大規模買付行為は自由であり、誰が当社を支配するかは、最終的には当社株主の皆さまの判断に委ねられるべきもので、当社の経営方針とそれにより実現される企業価値をご理解いただいた上で、当社株主の皆さまに、適切に判断いただくべきものであると考えます。また、当社株券等に対する大規模な買付行為が行われた場合には、その大規模買付行為の内容、大規模買付行為が当社及び当社グループに与える影響、大規模買付者が考える当社及び当社グループの経営方針や事業計画の内容、お客さま、従業員等の当社及び当社グループを取り巻く多くの利害関係者に対する影響、そして、大規模買付行為以外の代替案の有無等について、大規模買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、かつ提供された情報を十分に検討するための期間と機会が確保されることが必要だと考えます。
そのためには、大規模買付行為に際して、a.大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、b.当社取締役会が当該情報を検討するために必要な一定の評価期間が経過した後にのみ、大規模買付者は大規模買付行為を開始することができるという「大規模買付ルール」を設けるとともに、当該ルールが有効に機能するために必要な方策を整え、明らかに当社の企業価値及び当社株主の皆さまの共同の利益を害するような濫用的買収に対して、会社として対抗策をとることができなければならないと考えております。
基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
当社は、上記基本方針実現のための取組みとして、次に掲げる内容の「大規模買付行為への対応方針」を導入し、平成28年6月29日開催の当社第78期定時株主総会において承認決議されております。
a.大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合は、以下の「大規模買付ルール」に従わなければならないこと。
(ア)大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならないこと。
(イ)必要な情報提供を受けた後、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間(以下、「評価期間」といいます。)として、60日間又は90日間が与えられること。
(ウ)大規模買付行為は、評価期間経過後にのみ開始されるべきこと。
b.大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に対しては、新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
c.大規模買付ルールが遵守されても、大規模買付者による会社の支配が会社に回復しがたい損害をもたらすとき等には、当社は新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
d.当社取締役会は、対抗策の発動については社外取締役又は社外有識者等により構成される独立委員会の勧告に原則として従うこと。
具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
a.当該取組みが基本方針に沿うものであること
(ア)大規模買付ルールが遵守される限り、原則として対抗策はとらないこととなっており、誰が会社を支配するかは当社株主の皆さまにおいて決める仕組みとなっております。
(イ)大規模買付者に十分な情報の提供を求めるとともに、情報の提供をしない大規模買付者には対抗策を発動することを警告することによって、情報提供のインセンティブを与えております。
(ウ)濫用的買収に対しては、会社は対抗策をとりうる制度設計となっております。
b.当該取組みが株主共同の利益を損なうものではないこと
対抗策をとりうるのは、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないか、会社に回復しがたい損害をもたらすなどの濫用的買収の場合に限定されており、対抗策は基本的には情報提供のインセンティブを与えるものであります。
c.当該取組みが当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
対抗策をとりうる場合が厳しく限定されており、しかも、当社取締役会は独立委員会の勧告に原則として従わなければならないため、当社取締役会の恣意的判断が排除される仕組みとなっております。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。