四半期報告書-第82期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/13 11:22
【資料】
PDFをみる
【項目】
31項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は弱い動きとなりました。米中貿易摩擦の影響などから輸出は前年比でマイナスとなり、鉱工業生産の動きも鈍い状況が続きました。また、雇用情勢は逼迫しているものの給与増加の動きは鈍く、消費者マインドも低下傾向となり、消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率も前年同月比1%を下回って推移しました。国内景気が力強さに欠ける状況が続いたことから、日本銀行は金融緩和姿勢を維持しました。世界経済の減速懸念を背景に米国で利下げ観測が強まり、国内でも追加の金融緩和策が意識されたことから、10年国債利回りもマイナス圏での推移となりました。
こうした環境のなか、日経平均株価は、米中通商協議の動向を睨みながら21,000~22,000円を中心とするレンジで一進一退の展開となりました。4月末にかけては、米中協議の進展に対する期待が高まり、為替も1ドル=112円近辺まで円安ドル高が進行したことを受けて、22,000円台を回復、一時22,362円92銭の高値をつけました。しかし、ゴールデンウィーク期間中、トランプ米大統領が中国への追加関税に言及したことから、日経平均株価は下落に転じました。米中摩擦の再燃に加え、世界経済の減速や中東情勢の悪化などを巡る懸念なども重なったことから、6月上旬にかけて、為替は1ドル=108円近辺まで円高ドル安が進行し、日経平均株価も一時20,289円64銭の安値を付けました。その後、米国での早期利下げ観測台頭を受けて、世界経済が下支えされるとの思惑から世界的に株価が上昇するなか、日経平均株価も21,000円台まで値を戻し、21,275円92銭で6月の取引を終えました。一方、為替は、米国の利下げが日米金利差の縮小につながるとの懸念などから一時1ドル=106円台後半をつける場面もありましたが、6月末にかけて値を戻し、1ドル=108円近辺で6月の取引を終えました。
このような状況のもと、中核子会社の岡三証券株式会社においては、市況に即した投資情報と多様な商品ラインアップを活用した地域密着型の営業活動を引き続き展開しました。一方、インターネット取引専業の岡三オンライン証券株式会社においては、引き続き新規口座開設の拡大に注力するとともに、AI技術を用いたお客さま向け独自サービスの提供やグループ外企業との法人取次の受託拡大を図るなど、営業基盤の拡大に努めました。また、岡三アセットマネジメント株式会社においては、経済環境分析やリサーチ強化で運用パフォーマンス向上を図るとともに、販売会社を通じてお客さまへ分かりやすくタイムリーな情報提供を行い、運用資産の拡大に努めました。商品としては、「中国人民元ソブリンオープン(愛称:夢元(むげん))」や「北米リート・セレクトファンドA~Fコース(愛称:ほくと星)」などの純資産残高が増加しました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は157億30百万円(前年同期比87.0%)、純営業収益は155億9百万円(同86.9%)となりました。販売費・一般管理費は155億8百万円(同92.0%)となり、経常利益は2億21百万円(同19.8%)、親会社株主に帰属する四半期純損失は1億37百万円(前年同期は5億46百万円の利益)となりました。
当第1四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ36億44百万円減少し4,220億55百万円となりました。これは主に、トレーディング商品が117億74百万円増加した一方で、約定見返勘定が83億46百万円、預託金が30億13百万円、有価証券担保貸付金が27億85百万円減少したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ10億82百万円増加し2,515億99百万円となりました。これは主に、有価証券担保借入金が270億53百万円、約定見返勘定が25億21百万円、預り金が18億47百万円増加した一方で、トレーディング商品が156億48百万円、短期借入金が139億53百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ47億27百万円減少し1,704億56百万円となりました。これは主に、利益剰余金が30億93百万円、その他有価証券評価差額金が13億15百万円減少したことによるものであります。
2)経営成績
当第1四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は157億30百万円(前年同期比87.0%)、純営業収益は155億9百万円(同86.9%)となりました。販売費・一般管理費は155億8百万円(同92.0%)となり、経常利益は2億21百万円(同19.8%)、親会社株主に帰属する四半期純損失は1億37百万円(前年同期は5億46百万円の利益)となりました。
受入手数料
受入手数料の合計は93億50百万円(前年同期比84.6%)となりました。主な内訳は次のとおりです。
前第1四半期連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年6月30日)
(百万円)
当第1四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年6月30日)
(百万円)
委託手数料4,0183,335
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料20373
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料2,6202,210
その他の受入手数料4,2113,730
合計11,0549,350

委託手数料
当第1四半期連結累計期間における東証の1日平均売買高(内国普通株式)は15億89百万株(前年同期比81.3%)、売買代金は2兆6,555億円(同85.6%)となりました。こうしたなか、株式委託手数料は32億59百万円(同82.8%)となりました。また、債券委託手数料は0百万円(同5.8%)、その他の委託手数料は75百万円(同94.9%)となり、委託手数料の合計は33億35百万円(同83.0%)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
当第1四半期連結累計期間における株式の引受けは、公募増資の主幹事案件があったものの、引受けの件数が減少したことを受けて、引受金額も大幅に減少しました。一方、債券の引受けは、地方債や事業債の主幹事獲得などにより、引受金額が増加しました。
これらの結果、株式の手数料は16百万円(前年同期比10.2%)、債券の手数料は56百万円(同141.5%)となり、株式・債券を合わせた引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は73百万円(同36.1%)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料につきましては、投資信託関連収益がその大半を占めています。
当第1四半期連結累計期間においては、昨年度から続く市場の不透明感が払拭されないなかで、公募投資信託の販売額が前年同期で減少となりました。景気に左右されにくく成長が期待できる中小型株式ファンドや、インカム収入に重点を置くリート型や海外債券型のファンドで販売額は増加したものの、主に株式型のファンドで販売額が大きく減少しました。
これらの結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は22億10百万円(前年同期比84.4%)となりました。また、その他の受入手数料については、主に投資信託の信託報酬等により37億30百万円(同88.6%)となりました。
トレーディング損益
前第1四半期連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年6月30日)
(百万円)
当第1四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年6月30日)
(百万円)
株券等トレーディング損益4,2982,267
債券等トレーディング損益2,0523,503
その他のトレーディング損益769
合計6,4265,779

株券等トレーディング損益は主に米国株式を中心とした外国株式の国内店頭取引、債券等トレーディング損益は外国債券の顧客向け取扱いに伴う収益がその大半を占めています。
当第1四半期連結累計期間においては、米中摩擦を背景とする世界経済の先行きの不透明感が強まるなか、外国株式は国内店頭取引の売買が前年同期比で減少した一方、外国債券は社会貢献債の取扱いなども寄与し、販売額は前年同期比で増加しました。
これらの結果、株券等トレーディング損益は22億67百万円(前年同期比52.7%)、債券等トレーディング損益は35億3百万円(同170.7%)となり、その他のトレーディング損益9百万円(同12.1%)を含めたトレーディング損益の合計は57億79百万円(同89.9%)となりました。
金融収支
金融収益は3億76百万円(前年同期比96.7%)、金融費用は2億20百万円(同92.6%)となり、差引の金融収支は1億55百万円(同103.3%)となりました。
その他の営業収益
金融商品取引業及び同付随業務に係るもの以外の営業収益は、2億24百万円(前年同期比106.1%)となりました。
販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、人件費や取引関係費の減少等により、155億8百万円(前年同期比92.0%)となりました。
営業外損益及び特別損益
営業外収益は2億65百万円、営業外費用は45百万円となりました。また、特別利益は12百万円、特別損失は62百万円となりました。
b.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
証券ビジネス
証券ビジネスにおいては、債券等トレーディング損益は増加した一方、外国株式にかかるトレーディング損益や投資信託販売にかかる手数料等が減少し、当第1四半期連結累計期間における証券ビジネスの営業収益は137億40百万円(前年同期比85.7%)、セグメント損失は2億86百万円(前年同期は7億11百万円の利益)となりました。
アセットマネジメントビジネス
アセットマネジメントビジネスにおいては、運用資産の拡大に努めましたが、運用資産平均残高の減少により、当第1四半期連結累計期間におけるアセットマネジメントビジネスの営業収益は27億25百万円(前年同期比96.2%)、セグメント利益は2億43百万円(同95.7%)となりました。
サポートビジネス
当第1四半期連結累計期間におけるサポートビジネスの営業収益は30億81百万円(前年同期比99.7%)、セグメント利益は2億91百万円(同110.7%)となりました。
なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
② 会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
基本方針の内容の概要
当社は、上場企業である以上、本来、当社株券等の大規模買付行為は自由であり、誰が当社を支配するかは、最終的には当社株主の皆さまの判断に委ねられるべきもので、当社の経営方針とそれにより実現される企業価値をご理解いただいた上で、当社株主の皆さまに、適切に判断いただくべきものであると考えます。また、当社株券等に対する大規模な買付行為が行われた場合には、その大規模買付行為の内容、大規模買付行為が当社及び当社グループに与える影響、大規模買付者が考える当社及び当社グループの経営方針や事業計画の内容、お客さま、従業員等の当社及び当社グループを取り巻く多くの利害関係者に対する影響、そして、大規模買付行為以外の代替案の有無等について、大規模買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、かつ提供された情報を十分に検討するための期間と機会が確保されることが必要だと考えます。
そのためには、大規模買付行為に際して、a.大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、b.当社取締役会が当該情報を検討するために必要な一定の評価期間が経過した後にのみ、大規模買付者は大規模買付行為を開始することができるという「大規模買付ルール」を設けるとともに、当該ルールが有効に機能するために必要な方策を整え、明らかに当社の企業価値及び当社株主の皆さまの共同の利益を害するような濫用的買収に対して、会社として対抗策をとることができなければならないと考えております。
基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
当社は、上記基本方針実現のための取組みとして、次に掲げる内容の「大規模買付行為への対応方針」を導入し、2019年6月28日開催の当社第81期定時株主総会において承認決議されております。
a.大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合は、以下の「大規模買付ルール」に従わなければならないこと。
(ア)大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなけれ ばならないこと。
(イ)必要な情報提供を受けた後、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のた めの期間(以下、「評価期間」といいます。)として、60日間又は90日間が与えられること。
(ウ)大規模買付行為は、評価期間経過後にのみ開始されるべきこと。
b.大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に対しては、新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
c.大規模買付ルールが遵守されても、大規模買付者による会社の支配が会社に回復しがたい損害をもたらすとき等には、当社は新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
d.当社取締役会は、対抗策の発動については社外取締役又は社外有識者等により構成される独立委員会の勧告に原則として従うこと。
具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
a.当該取組みが基本方針に沿うものであること
(ア)大規模買付ルールが遵守される限り、原則として対抗策はとらないこととなっており、誰が会社を支配するかは当社株主の皆さまにおいて決める仕組みとなっております。
(イ)大規模買付者に十分な情報の提供を求めるとともに、情報の提供をしない大規模買付者には対抗策を発動することを警告することによって、情報提供のインセンティブを与えております。
(ウ)濫用的買収に対しては、会社は対抗策をとりうる制度設計となっております。
b.当該取組みが株主共同の利益を損なうものではないこと
対抗策をとりうるのは、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないか、会社に回復しがたい損害をもたらすなどの濫用的買収の場合に限定されており、対抗策は基本的には情報提供のインセンティブを与えるものであります。
c.当該取組みが当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
対抗策をとりうる場合が厳しく限定されており、しかも、当社取締役会は独立委員会の勧告に原則として従わなければならないため、当社取締役会の恣意的判断が排除される仕組みとなっております。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。