四半期報告書-第82期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

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2020/02/13 9:10
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34項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は弱い動きとなりました。世界経済の減速を背景に輸出は前年比マイナスで推移し、鉱工業生産の動きも鈍い状況が続きました。また、雇用情勢は引き続き逼迫しているものの給与増加の動きは乏しく、個人消費の伸びも特に10月の消費税増税以降陰りが見られました。
日銀短観においても製造業を中心に景況感の悪化が示されるなど、国内景気が力強さに欠ける状況が続いたことから、日本銀行は金融緩和姿勢を維持しました。各国の中央銀行も金融緩和姿勢を継続し、先進国の国債金利が低下基調となるなか、日本の10年国債利回りも、過度のマイナス幅拡大やその反動といった動きは見られたものの、ほぼすべての期間においてマイナス水準での推移となりました。
こうした環境のなか、日経平均株価は、米中通商協議の動向や先進国の金融政策を意識しながら、概ね20,000~22,000円を中心とするレンジで推移したのち、年末にかけて高値を目指す展開となりました。年度当初の日経平均株価は、米中協議の進展に対する期待や為替が1ドル=112円近辺まで円安ドル高が進行したことなどから一時22,000円台をつけましたが、米中摩擦の再燃などをきっかけに、5月以降は上値の重い展開が続きました。米中協議の動向や世界経済の先行きなどに一喜一憂する状況が続くなか、米国をはじめとする各国中央銀行の金融緩和姿勢が日経平均株価の下支えとなりました。日経平均株価は8月前半に20,110円76銭の安値をつけたものの、9月以降は米国での段階的な利下げや米中協議の進展などから上昇基調に転じました。年末にかけては、米中協議の部分合意が形成されたことが伝わり、約1年2ヶ月ぶりに24,000円台の高値をつける場面も見られ、23,656円62銭の高値圏で年内の取引を終えました。一方為替も、8月後半に1ドル=104円台半ばの円高ドル安水準を付けて以降、円安ドル高に転じましたが、米国での段階的な利下げによる日米金利差の縮小などから相場の上値は重く、10月以降は概ね1ドル=108~110円でのレンジ推移に終始しました。
このような状況のもと、中核子会社の岡三証券株式会社においては、市況に即した投資情報と多様な商品ラインアップを活用した地域密着型の営業活動を引き続き展開しました。一方、インターネット取引を主体とする岡三オンライン証券株式会社においては、新規口座開設の拡大に注力するとともに、マーケティング技術を用いたサービスの提供や取引所FX・CFDの対面サポートコース開始などにより、営業収益の拡大に努めました。また、岡三アセットマネジメント株式会社においては、経済環境分析やリサーチ強化で運用パフォーマンス向上を図るとともに、販売会社を通じてお客さまへ分かりやすくタイムリーな情報提供を行い、運用資産の拡大に努めました。商品としては、「ワールド・リート・セレクション(アジア)」や「優良好配当・日本株式ファンド(愛称:投資の原点)」などの公募投信と私募投信において純資産残高が増加しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は482億83百万円(前年同期比92.8%)、純営業収益は475億52百万円(同92.9%)となりました。販売費・一般管理費は463億89百万円(同94.4%)となり、経常利益は39億99百万円(同150.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は39億37百万円(同401.9%)となりました。
当第3四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ154億80百万円増加し4,411億80百万円となりました。これは主に、信用取引資産が133億82百万円、トレーディング商品が61億40百万円、投資有価証券が46億34百万円増加した一方で、現金・預金が53億41百万円、約定見返勘定が25億7百万円減少したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ224億51百万円増加し2,729億68百万円となりました。これは主に、預り金が111億51百万円、トレーディング商品が106億84百万円、信用取引負債が51億85百万円、受入保証金が49億98百万円増加した一方で、短期借入金が86億71百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ69億71百万円減少し1,682億12百万円となりました。これは主に、資本剰余金が71億56百万円、利益剰余金が9億81百万円増加した一方で、非支配株主持分が156億21百万円減少したことによるものであります。
2)経営成績
当第3四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は482億83百万円(前年同期比92.8%)、純営業収益は475億52百万円(同92.9%)となりました。販売費・一般管理費は463億89百万円(同94.4%)となり、経常利益は39億99百万円(同150.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は39億37百万円(同401.9%)となりました。
受入手数料
受入手数料の合計は298億92百万円(前年同期比92.3%)となりました。主な内訳は次のとおりです。
前第3四半期連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
(百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
(百万円)
委託手数料11,08910,638
引受け・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の手数料
641328
募集・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の取扱手数料
8,3027,858
その他の受入手数料12,35011,066
合計32,38429,892

委託手数料
当第3四半期連結累計期間における東証の1日平均売買高(内国普通株式)は15億80百万株(前年同期比82.9%)、売買代金は2兆5,977億円(同83.4%)となりました。こうしたなか、株式委託手数料は103億61百万円(同96.3%)となりました。また、債券委託手数料は0百万円(同5.2%)、その他の委託手数料は2億77百万円(同83.4%)となり、委託手数料の合計は106億38百万円(同95.9%)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
当第3四半期連結累計期間における株式の引受けは、前年同期に大型の新規公開案件があった反動から引受金額が大きく減少しました。一方、債券の引受けは、主幹事獲得や個人投資家向け債券の引受けなどにより、主に事業債を中心に引受金額が増加しました。
これらの結果、株式の手数料は1億19百万円(前年同期比21.7%)、債券の手数料は2億9百万円(同228.7%)となり、株式・債券を合わせた引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は3億28百万円(同51.2%)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料につきましては、投資信託関連収益がその大半を占めています。
当第3四半期連結累計期間における公募投資信託の販売額は、期間の後半にかけて回復傾向となったものの、前年同期比では減少となりました。インカム収入に重点を置くリートや高配当株式などを投資対象とするファンドや景気に左右されにくく成長期待のある中小型株式ファンドのほか、複数の資産に投資するバランス型ファンドで販売額が増加した一方、主に新興国を投資対象とする外国株式型ファンドなどで販売額が大きく減少しました。
これらの結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は78億58百万円(前年同期比94.7%)となりました。また、その他の受入手数料については、主に投資信託の信託報酬等により110億66百万円(同89.6%)となりました。
トレーディング損益
前第3四半期連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
(百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
(百万円)
株券等トレーディング損益10,4927,331
債券等トレーディング損益7,1279,392
その他のトレーディング損益52△284
合計17,67216,439

株券等トレーディング損益は主に米国株式を中心とした外国株式の国内店頭取引、債券等トレーディング損益は外国債券の顧客向け取扱いに伴う収益がその大半を占めています。
当第3四半期連結累計期間においては、米中摩擦を背景とする世界経済の先行き不透明感が意識される状況が続いたことから、外国株式の国内店頭取引にかかる個人の売買は前年同期比で減少しました。一方で、外国債券はESG債の取扱いなども寄与し、個人向けの販売額が前年同期比で増加しました。
これらの結果、株券等トレーディング損益は73億31百万円(前年同期比69.9%)、債券等トレーディング損益は93億92百万円(同131.8%)となり、その他のトレーディング損益2億84百万円の損失(前年同期は52百万円の利益)を含めたトレーディング損益の合計は164億39百万円(前年同期比93.0%)となりました。
金融収支
金融収益は12億70百万円(前年同期比96.4%)、金融費用は7億31百万円(同87.8%)となり、差引の金融収支は5億39百万円(同111.0%)となりました。
その他の営業収益
金融商品取引業及び同付随業務に係るもの以外の営業収益は、6億80百万円(前年同期比104.9%)となりました。
販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、人件費や取引関係費の減少等により、463億89百万円(前年同期比94.4%)となりました。
営業外損益及び特別損益
営業外収益は持分法による投資利益の計上等により29億41百万円、営業外費用は1億5百万円となりました。また、特別利益は投資有価証券売却益の計上等により16億33百万円、特別損失は91百万円となりました。
b.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
証券ビジネス
証券ビジネスにおいては、株券等トレーディング損益や投資信託関連収益の減少等が影響し、当第3四半期連結累計期間における証券ビジネスの営業収益は425億19百万円(前年同期比92.5%)、セグメント利益は2億77百万円(同26.2%)となりました。
アセットマネジメントビジネス
アセットマネジメントビジネスにおいては、運用資産の拡大に努めましたが、運用資産平均残高の減少により、当第3四半期連結累計期間におけるアセットマネジメントビジネスの営業収益は79億10百万円(前年同期比94.2%)、セグメント利益は6億80百万円(同91.8%)となりました。
サポートビジネス
当第3四半期連結累計期間におけるサポートビジネスの営業収益は92億95百万円(前年同期比100.4%)、セグメント利益は8億75百万円(同106.3%)となりました。
なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
② 会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
基本方針の内容の概要
当社は、上場企業である以上、本来、当社株券等の大規模買付行為は自由であり、誰が当社を支配するかは、最終的には当社株主の皆さまの判断に委ねられるべきもので、当社の経営方針とそれにより実現される企業価値をご理解いただいた上で、当社株主の皆さまに、適切に判断いただくべきものであると考えます。また、当社株券等に対する大規模な買付行為が行われた場合には、その大規模買付行為の内容、大規模買付行為が当社及び当社グループに与える影響、大規模買付者が考える当社及び当社グループの経営方針や事業計画の内容、お客さま、従業員等の当社及び当社グループを取り巻く多くの利害関係者に対する影響、そして、大規模買付行為以外の代替案の有無等について、大規模買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、かつ提供された情報を十分に検討するための期間と機会が確保されることが必要だと考えます。
そのためには、大規模買付行為に際して、a.大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、b.当社取締役会が当該情報を検討するために必要な一定の評価期間が経過した後にのみ、大規模買付者は大規模買付行為を開始することができるという「大規模買付ルール」を設けるとともに、当該ルールが有効に機能するために必要な方策を整え、明らかに当社の企業価値及び当社株主の皆さまの共同の利益を害するような濫用的買収に対して、会社として対抗策をとることができなければならないと考えております。
基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
当社は、上記基本方針実現のための取組みとして、次に掲げる内容の「大規模買付行為への対応方針」を導入し、2019年6月27日開催の当社第81期定時株主総会において承認決議されております。
a.大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合は、以下の「大規模買付ルール」に従わなければならないこと。
(ア)大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならないこと。
(イ)必要な情報提供を受けた後、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間(以下、「評価期間」といいます。)として、60日間又は90日間が与えられること。
(ウ)大規模買付行為は、評価期間経過後にのみ開始されるべきこと。
b.大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に対しては、新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
c.大規模買付ルールが遵守されても、大規模買付者による会社の支配が会社に回復しがたい損害をもたらすとき等には、当社は新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
d.当社取締役会は、対抗策の発動については社外取締役又は社外有識者等により構成される独立委員会の勧告に原則として従うこと。
具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
a.当該取組みが基本方針に沿うものであること
(ア)大規模買付ルールが遵守される限り、原則として対抗策はとらないこととなっており、誰が会社を支配するかは当社株主の皆さまにおいて決める仕組みとなっております。
(イ)大規模買付者に十分な情報の提供を求めるとともに、情報の提供をしない大規模買付者には対抗策を発動することを警告することによって、情報提供のインセンティブを与えております。
(ウ)濫用的買収に対しては、会社は対抗策をとりうる制度設計となっております。
b.当該取組みが株主共同の利益を損なうものではないこと
対抗策をとりうるのは、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないか、会社に回復しがたい損害をもたらすなどの濫用的買収の場合に限定されており、対抗策は基本的には情報提供のインセンティブを与えるものであります。
c.当該取組みが当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
対抗策をとりうる場合が厳しく限定されており、しかも、当社取締役会は独立委員会の勧告に原則として従わなければならないため、当社取締役会の恣意的判断が排除される仕組みとなっております。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。