四半期報告書-第84期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/10 9:51
【資料】
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【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス変異株の影響などによる厳しい状態が続いたのち、徐々に緩和はしたものの、持ち直しの動きは弱いものにとどまりました。海外では、米国経済は引き続き底堅く推移しましたが、中国経済は電力不足や不動産セクターの債務問題などにより、回復の勢いは鈍化しました。このようななか、わが国の輸出や鉱工業生産は、人手不足や世界的な半導体不足の影響等による供給制約の影響もあって力強さに欠け、設備投資も持ち直しの動きに足踏みがみられました。一方で個人消費は、緊急事態宣言が解除されたことを受け、緩やかな回復となりました。物価については、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)はエネルギー価格上昇の影響もあり、前年同月比プラス圏で推移しました。
こうした環境のなか日経平均株価は、欧米市場の株価上昇を受けて4月に一時3万円台を回復しましたが、その後は米国のインフレ高進や金融緩和縮小への警戒感、更に国内での新型コロナウイルス感染再拡大による景気減速懸念などを受けて下落基調が継続し、8月には一時26,000円を割り込みました。しかし、9月に入ると、菅首相による自民党総裁選の不出馬表明を受けた新政権誕生への期待に加え、国内での新型コロナウイルスのワクチン接種進展を好感して相場は上昇に転じ、日経平均株価は31年ぶりの高値をつけました。秋以降は、中国不動産セクターの債務問題や資源価格上昇に伴う国内企業のコスト負担増といったマイナス要因と、岸田新内閣への期待感といったプラス要因とが拮抗する展開となりました。年末にかけては、オミクロン型変異株の感染拡大が相場の重しとなったものの、米国でコロナ治療薬が承認されたことなどを背景に底堅い展開となり、日経平均株価は28,791円71銭で年内の取引を終えました。
一方、為替市場では、日米金利差の縮小観測からドル円相場は4月下旬に一時1ドル=107円台半ばまで円高ドル安が進みました。その後は、米国での経済活動再開とコロナ変異株感染拡大懸念の綱引きで一進一退となりましたが、米国の量的緩和政策縮小の開始と加速の決定を受けて円安ドル高が進み、1ドル=115円台で年内の取引を終えました。
このような状況のもと当社グループ各社においては、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、引き続きグループ各社でお客さま並びに社員の健康・安全を確保しつつ営業活動を行いました。中核子会社の岡三証券株式会社では、多様化するお客さまのニーズに対応して最適な商品・ソリューションを提供する体制への組織改革を行ったほか、お客さまとの接点拡充のための店舗戦略として、都区内近隣4支店の統合拠点である「日本橋室町本店」や複数のサテライト拠点を開設しました。また、岡三オンライン証券株式会社(2022年1月1日付で岡三証券と経営統合)とともに、次世代の投資家層の長期的な資産形成への支援を目的として、25歳以下のお客さまの一部商品の取引手数料を実質無料化する取り組みを開始しました。岡三アセットマネジメント株式会社においては、経済環境分析やリサーチ強化で運用パフォーマンス向上を図るとともに、販売会社を通じてお客さまへ分かりやすい商品パンフレットや動画等の情報提供を行い、運用資産の拡大に努めました。商品としては、新規設定した「米国ネクストビジョンファンド」、また「米国バイオ&テクノロジー株オープン」などの公募投信において純資産残高が増加しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は566億18百万円(前年同期比116.5%)、純営業収益は557億63百万円(同116.9%)となりました。販売費・一般管理費は507億26百万円(同112.6%)となり、経常利益は62億27百万円(同169.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は39億54百万円(同166.2%)となりました。
当第3四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,240億23百万円減少し6,594億16百万円となりました。これは主に、信用取引資産が115億20百万円、預託金が67億75百万円、現金・預金が59億80百万円増加した一方で、有価証券担保貸付金が1,098億10百万円、トレーディング商品が381億84百万円減少したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ1,255億44百万円減少し4,675億91百万円となりました。これは主に、預り金が256億86百万円、信用取引負債が163億60百万円増加した一方で、約定見返勘定が753億82百万円、トレーディング商品が681億7百万円、短期借入金が195億12百万円、受入保証金が31億79百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ15億21百万円増加し1,918億25百万円となりました。これは主に、利益剰余金が9億87百万円、その他有価証券評価差額金が4億75百万円増加したことによるものであります。
2)経営成績
当第3四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は566億18百万円(前年同期比116.5%)、純営業収益は557億63百万円(同116.9%)となりました。販売費・一般管理費は507億26百万円(同112.6%)となり、経常利益は62億27百万円(同169.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は39億54百万円(同166.2%)となりました。
なお、第1四半期連結累計期間より、株式会社証券ジャパンについて損益計算書を連結しております。
受入手数料
受入手数料の合計は352億14百万円(前年同期比110.6%)となりました。主な内訳は次のとおりです。
前第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
(百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
(百万円)
委託手数料16,70014,721
引受け・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の手数料
316749
募集・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の取扱手数料
4,8238,098
その他の受入手数料10,00211,644
合計31,84135,214

委託手数料
当第3四半期連結累計期間における東証の1日平均売買高(内国普通株式)は16億65百万株(前年同期比89.9%)、売買代金は3兆3,058億円(同111.8%)となりましたが、中核子会社である岡三証券株式会社において、株価上昇を背景に取引額が急増した前年同期と比較して、個人のお客さまを中心に委託売買代金は減少しました。
この結果、株式委託手数料は143億9百万円(同88.7%)となりました。また、債券委託手数料は0百万円(同4.9%)、その他の委託手数料は4億11百万円(同74.5%)となり、委託手数料の合計は147億21百万円(同88.2%)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
当第3四半期連結累計期間における株式の引受けは、新規公開株式の主幹事案件の寄与に加え、引受件数が前年同期比で増加したことで、引受金額・手数料ともに増加しました。また債券の引受けも、事業債や地方債、財投機関債において主幹事実績を積み上げ、主に事業債の引受金額が増加しました。
これらの結果、株式の手数料は4億48百万円(前年同期比245.5%)、債券の手数料は3億円(同225.0%)となり、株式・債券を合わせた引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は7億49百万円(同236.9%)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料につきましては、投資信託関連収益がその大半を占めています。
当第3四半期連結累計期間における公募投資信託の販売額は、新型コロナウイルスのワクチン接種進展や治療薬の開発・普及による世界経済の正常化への期待から前年同期比で増加しました。引き続きヘルスケアやテクノロジー分野への注目が集まるなか、新規に導入した米国のテクノロジー関連企業へ投資するファンドを中心に販売額が増加しました。
これらの結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は80億98百万円(前年同期比167.9%)となりました。また、その他の受入手数料については、主に投資信託の信託報酬等により116億44百万円(同116.4%)となりました。
トレーディング損益
前第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
(百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
(百万円)
株券等トレーディング損益9,41612,298
債券等トレーディング損益5,5286,844
その他のトレーディング損益△116△107
合計14,82819,035

株券等トレーディング損益は主に米国株式を中心とした外国株式の国内店頭取引、債券等トレーディング損益は外国債券の顧客向け取扱いに伴う収益がその大半を占めています。
当第3四半期連結累計期間においては、外国株式は国内店頭取引の売買が前年同期比で増加し、また外国債券も前年同期比で個人向け・法人向けともに販売額が増加しました。
これらの結果、株券等トレーディング損益は122億98百万円(前年同期比130.6%)、債券等トレーディング損益は68億44百万円(同123.8%)となり、その他のトレーディング損益1億7百万円の損失(前年同期は1億16百万円の損失)を含めたトレーディング損益の合計は190億35百万円(前年同期比128.4%)となりました。
金融収支
金融収益は16億33百万円(前年同期比131.6%)、金融費用は8億54百万円(同97.3%)となり、差引の金融収支は7億78百万円(同214.3%)となりました。
その他の営業収益
金融商品取引業及び同付随業務に係るもの以外の営業収益は、7億34百万円(前年同期比110.0%)となりました。
販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、人件費や事務費の増加等により、507億26百万円(前年同期比112.6%)となりました。
営業外損益及び特別損益
営業外収益は12億91百万円、営業外費用は1億1百万円となりました。また、特別利益は3億83百万円、特別損失は1億15百万円となりました。
b.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
証券ビジネス
証券ビジネスにおいては、株式委託手数料等が減少した一方、株券等トレーディング損益や投資信託に係る収益が増加し、当第3四半期連結累計期間における証券ビジネスの営業収益は513億76百万円(前年同期比116.9%)、セグメント利益は53億19百万円(同253.9%)となりました。
アセットマネジメントビジネス
アセットマネジメントビジネスにおいては、公募株式投信の運用資産平均残高の増加により、当第3四半期連結累計期間におけるアセットマネジメントビジネスの営業収益は72億11百万円(前年同期比109.4%)、セグメント利益は3億16百万円(同132.8%)となりました。
サポートビジネス
当第3四半期連結累計期間におけるサポートビジネスの営業収益は99億64百万円(前年同期比106.3%)、セグメント利益は2億59百万円(同28.7%)となりました。
なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。