四半期報告書-第83期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

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2021/02/10 9:58
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31項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は大きく落ち込んだ後、持ち直しの動きとなりました。鉱工業生産指数は4月・5月に大きく下振れましたが、6月以降は上向きとなり、生産稼働率指数は10月には新型コロナ前の水準まで回復しました。他方、個人消費は在宅時間の増加を受けてスーパー販売額などは堅調でしたが、百貨店販売は不調が続くなどまだら模様となりました。政府の「GoToトラベル」事業による宿泊料下落の影響などから、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は年末にかけて前年比でのマイナス幅が拡大するなか、日本銀行が大規模な金融緩和政策を継続していることもあり、10年国債利回りはゼロ%近辺で推移しました。
こうした環境のなか株式相場は、世界各国の政府による財政出動や主要中央銀行による大規模な金融緩和策などに支えられ、上昇基調となりました。年度当初は国内の新型コロナウイルス感染者数急増や緊急事態宣言の発令による先行き不透明感から、日経平均株価は一時17,000円台を付けたものの、米連邦準備制度理事会(FRB)による資産購入の拡大や日本銀行による社債買入れ増額などを好感したほか、5月以降、海外の一部主要国で経済活動が再開され、また国内においても政府の新型コロナ対策を主とした補正予算の策定や緊急事態宣言の全面解除など、経済活動再開への期待が高まり、6月上旬には一時23,000円台を回復しました。
その後、日経平均株価は、新型コロナ感染の第2波到来などが相場の重しとなった一方、菅新政権の経済政策や経済活動再開による企業業績回復への期待などが下支え要因となり、一進一退の動きが続きました。しかし11月以降は、米大統領選挙でバイデン氏が勝利したことや新型コロナワクチンの開発進展などを受けてリスク選好の動きが強まり、さらに12月には英米でワクチン接種が開始されたほか、米国で9,000億ドル規模の追加経済対策が合意されたことなどを好感して世界的に株価は一段高となりました。米主要3指数が史上最高値を更新したほか、日経平均株価も1991年以来、30年ぶりとなる高値水準をつけ、27,444円17銭で年内の取引を終えました。
一方為替相場では、米国で強力な金融緩和政策が実施され、日米金利差が縮小した状態が続いたことなどから、ドル円相場は緩やかな円高基調での推移となりました。6月頃までは1ドル=107~109円を中心としたレンジで推移しましたが、夏場以降は緩やかに円高が進行し、1ドル=103円台前半の水準で年内の取引を終えました。
このような状況のもと当社グループ各社においては、新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、お客さま並びに社員の健康・安全を確保しつつ営業活動を行いました。中核子会社の岡三証券株式会社では、4月にスタートした新中期経営計画のもと、お客さまの中長期・安定的な資産形成に資する運用商品の導入を進めたほか、サテライトオフィスの設置やチーム制営業の試験導入など、お客さまの体験価値(カスタマー・エクスペリエンス=CX)を高める営業活動を展開しました。一方、インターネット取引を主体とする岡三オンライン証券株式会社においては、Webサポートの強化、株主優待ページの拡充を含むWebサイトの改善、グループ企業との共同オンラインセミナー開催などにより口座数が増加し、預り資産は過去最高を更新しました。また、岡三アセットマネジメント株式会社においては、経済環境分析やリサーチ強化で運用パフォーマンス向上を図るとともに、販売会社を通じてお客さまへ分かりやすくタイムリーな情報提供を行い、運用資産の拡大に努めました。商品としては、新規設定した「PIMCOダイナミック・マルチアセット戦略ファンド(愛称:世界のマイスター)」や「米国バイオ&テクノロジー株オープン」などの公募投信と私募投信において純資産残高が増加しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は485億79百万円(前年同期比100.6%)、純営業収益は477億1百万円(同100.3%)となりました。販売費・一般管理費は450億40百万円(同97.1%)となり、経常利益は36億78百万円(同92.0%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は23億79百万円(同60.4%)となりました。
当第3四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,809億61百万円増加し6,214億14百万円となりました。これは主に、有価証券担保貸付金が1,013億65百万円、トレーディング商品が612億88百万円増加したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ1,736億10百万円増加し4,496億16百万円となりました。これは主に、トレーディング商品が570億74百万円、短期借入金が330億89百万円、有価証券担保借入金が328億47百万円、預り金が260億20百万円、約定見返勘定が210億95百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ73億50百万円増加し1,717億98百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が63億12百万円増加したことによるものであります。
2)経営成績
当第3四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は485億79百万円(前年同期比100.6%)、純営業収益は477億1百万円(同100.3%)となりました。販売費・一般管理費は450億40百万円(同97.1%)となり、経常利益は36億78百万円(同92.0%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は23億79百万円(同60.4%)となりました。
受入手数料
受入手数料の合計は318億41百万円(前年同期比106.5%)となりました。主な内訳は次のとおりです。
前第3四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
(百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
(百万円)
委託手数料10,63816,700
引受け・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の手数料
328316
募集・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の取扱手数料
7,8584,823
その他の受入手数料11,06610,002
合計29,89231,841

委託手数料
当第3四半期連結累計期間における東証の1日平均売買高(内国普通株式)は18億52百万株(前年同期比117.2%)、売買代金は2兆9,556億円(同113.8%)となりました。こうしたなか、中核子会社である岡三証券株式会社においては、国内株式、外国株式ともに委託売買代金が前年同期比で増加しました。
これらの結果、株式委託手数料は161億36百万円(同155.7%)となりました。また、債券委託手数料は11百万円(同105.8倍)、その他の委託手数料は5億52百万円(同199.4%)となり、委託手数料の合計は167億円(同157.0%)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
当第3四半期連結累計期間における株式の引受けは、大型案件の引受け等により前年同期比で引受金額が増加しました。一方、債券の引受けは、地方債等の公共債の引受金額は増加したものの、個人投資家向け社債の大口の引受けがあった前年同期と比較して事業債の引受金額が減少しました。
これらの結果、株式の手数料は1億82百万円(前年同期比152.9%)、債券の手数料は1億33百万円(同64.0%)となり、株式・債券を合わせた引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は3億16百万円(同96.3%)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料につきましては、投資信託関連収益がその大半を占めています。
当第3四半期連結累計期間における公募投資信託の販売額は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済の先行き不透明感から前年同期比で減少しました。アフターコロナを見据え、テクノロジーやヘルスケアに投資するファンドやリスクの抑制・分散が期待できるバランス型ファンドなどの販売額が増加した一方、高配当株式や外国債券など相対的に高いインカムが期待できる商品を投資対象とするファンドを中心に販売額が減少しました。
これらの結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は48億23百万円(前年同期比61.4%)となりました。また、その他の受入手数料については、主に投資信託の信託報酬等により100億2百万円(同90.4%)となりました。
トレーディング損益
前第3四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
(百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
(百万円)
株券等トレーディング損益7,3319,416
債券等トレーディング損益9,3925,528
その他のトレーディング損益△284△116
合計16,43914,828

株券等トレーディング損益は主に米国株式を中心とした外国株式の国内店頭取引、債券等トレーディング損益は外国債券の顧客向け取扱いに伴う収益がその大半を占めています。
当第3四半期連結累計期間においては、外国株式は国内店頭取引の売買が前年同期比で増加した一方、外国債券は個人向けESG債の販売が好調だった前年同期と比較して販売額は減少しました。
これらの結果、株券等トレーディング損益は94億16百万円(前年同期比128.4%)、債券等トレーディング損益は55億28百万円(同58.9%)となり、その他のトレーディング損益1億16百万円の損失(前年同期は2億84百万円の損失)を含めたトレーディング損益の合計は148億28百万円(前年同期比90.2%)となりました。
金融収支
金融収益は12億41百万円(前年同期比97.7%)、金融費用は8億78百万円(同120.1%)となり、差引の金融収支は3億63百万円(同67.4%)となりました。
その他の営業収益
金融商品取引業及び同付随業務に係るもの以外の営業収益は、6億67百万円(前年同期比98.1%)となりました。
販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、取引関係費や人件費の減少等により、450億40百万円(前年同期比97.1%)となりました。
営業外損益及び特別損益
営業外収益は11億72百万円、営業外費用は1億55百万円となりました。また、特別利益は2億24百万円、特別損失は2億61百万円となりました。
b.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
証券ビジネス
証券ビジネスにおいては、株式委託手数料や株券等トレーディング損益が増加した一方、主に外国債券にかかるトレーディング損益や投資信託に係る収益が減少し、当第3四半期連結累計期間における証券ビジネスの営業収益は439億55百万円(前年同期比103.4%)、セグメント利益は20億94百万円(同753.8%)となりました。
アセットマネジメントビジネス
アセットマネジメントビジネスにおいては、運用資産の拡大に努めましたが、運用資産平均残高の減少により、当第3四半期連結累計期間におけるアセットマネジメントビジネスの営業収益は65億89百万円(前年同期比83.3%)、セグメント利益は2億37百万円(同35.0%)となりました。
サポートビジネス
当第3四半期連結累計期間におけるサポートビジネスの営業収益は93億74百万円(前年同期比100.9%)、セグメント利益は9億6百万円(同103.5%)となりました。
なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。