有価証券報告書-第116期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績は、営業収益が1,302,196百万円で前年度に比べ38,912百万円の増収(+3.1%)、営業利益は240,768百万円で11,590百万円の増益(+5.1%)、経常利益は219,572百万円で12,985百万円の増益(+6.3%)となりました。
特別損益につきましては、前年度において投資有価証券売却益6,072百万円、負ののれん発生益2,097百万円の
計8,170百万円を特別利益に、固定資産除却関連損3,818百万円を特別損失に計上したのに対して、当年度においては、固定資産売却益5,144百万円、投資有価証券売却益1,711百万円、負ののれん償却益14,915百万円、工事負担金等受入額4,480百万円の計26,251百万円を特別利益に、固定資産除却関連損5,445百万円、投資有価証券評価損
2,344百万円、事業譲渡損3,240百万円、減損損失10,844百万円の計21,874百万円を特別損失に計上しております。
この結果、税金等調整前当期純利益は223,949百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度に比べ
13,843百万円増益(+10.3%)の148,451百万円となりました。
当年度の業績及び各セグメントの業績は次の通りであります。
(a)ビル事業
・当年度においては、建物賃貸収益は2018年10月に竣工した「丸の内二重橋ビル」の収益が寄与したことや、物件売却に伴う収益を計上したこと等により、増収となりました。
なお、当社の2020年3月末の空室率は1.07%となっております。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ35,806百万円増収の565,501百万円となり、営業利益は5,194百万円増益の152,886百万円となりました。
・当年度は、当社が関与する「リンクスクエア新宿」が2019年8月に竣工し、「CO・MO・RE YOTSUYA(コモレ四谷)」が2020年1月に竣工しました。
・今後も「大手町・丸の内・有楽町地区」が“人・企業が可能性を感じ進化できる街”となることを目指した取り組みを進めながら、丸の内以外のエリアにおいてもそのノウハウと実績を最大限に活用しながら各エリアのまちづくりに貢献して参ります。
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(b)生活産業不動産事業
・当年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により商業施設・アウトレットモールの来場者・売上が減少したものの、保有する物件の売却に伴う収益を計上したこと等により、増収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ21,023百万円増収の127,205百万円となり、営業利益は3,181百万円増益の35,741百万円となりました。
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(c)住宅事業
・マンション事業の主な売上計上物件
「ザ・パークハウス 神戸タワー」 (兵庫県神戸市)
「ザ・パークハウス 代々木上原」 (東京都渋谷区)
「ザ・パークハウス 和光市」 (埼玉県和光市)
「ザ・パークハウス 福岡タワーズ WEST」 (福岡県福岡市)
「ザ・パークハウス オイコス 鎌倉大船」 (神奈川県鎌倉市)
・当年度においては、国内マンション事業の売上は、売上計上戸数が前年度に比べ減少したため減収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ31,396百万円減収の389,008百万円となり、営業利益は4,481百万円減益の25,946百万円となりました。
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
3. 他社との共同事業物件の売上計上戸数及び金額は当社持分によっております。
(d)海外事業
・当年度においては、不動産開発・賃貸事業は、米国のオフィスビルで大規模リニューアル工事が完了し稼働率が上昇したこと、及び英国・ロンドンにおいて保有していたオフィスビルの売却等により増収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ48,874百万円増収の130,718百万円となり、営業利益は17,617百万円増益の44,544百万円となりました。
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(e)投資マネジメント事業
・当年度においては、前年度に当社等が出資するファンドの物件売却に伴う分配収入を計上した反動等により、減収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ28,271百万円減収の21,316百万円となり、営業利益は4,763百万円減益の4,467百万円となりました。
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(f)ホテル・空港事業
・当年度においては、㈱ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツを中心に、「ロイヤルパークホテルズ」各ホテルの体質強化及び宿泊主体型ホテル事業の新規展開を図っており、前年度は3軒が開業し、2019年6月には「ザ ロイヤルパーク キャンバス 大阪北浜」、2020年3月には「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 大阪御堂筋」が開業しました。
また、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、稼働率が大幅に低下した影響により減収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ7,733百万円減収の36,438百万円となり、営業損益は5,369百万円悪化し、2,998百万円の損失を計上しました。
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(g)設計監理事業
・㈱三菱地所設計において、2018年1月に着工した「東京駅前常盤橋プロジェクト」A棟新築工事(東京都千代
田区)等の設計監理業務他の収益を計上しました。
・当年度においては、設計監理収益は売上件数が増加したものの1件当たりの金額が減少したこと等により減収となりました。また、内装工事収益は売上件数が減少したことにより減収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ3,082百万円減収の21,589百万円となり、営業利益は753百万円減益の1,268百万円となりました。
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(h)不動産サービス事業
・当年度においては、取扱件数及び1件当たりの手数料が減少したこと等により、不動産仲介事業は減収となり
ました。
・一方その他事業においては、前年度新規に連結子会社化を行ったこと等により、増収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ1,953百万円増収の35,540百万円となりましたが、営業利益は1,463百万円減益の1,139百万円となりました。
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
② キャッシュ・フローの状況
当年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、税金等調整前当期純利益、たな卸資産
の減少、長期借入れ等による収入、有形固定資産の取得、長期借入金の返済等による支出により、前年度末に比
べ33,699百万円増加し、213,008百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、341,766百万円の資金の増加(前年度比△4,187百万円)
となりました。これは、税金等調整前当期純利益223,949百万円に非資金損益項目である減価償却費84,941百万
円等を調整した資金の増加に、たな卸資産の減少、法人税等の支払、エクイティ出資の増加等による資金の増減
を加えたものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、277,440百万円の資金の減少(前年度比△6,356百万円)
となりました。これは有形固定資産の取得等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、28,886百万円の資金の減少(前年度比+163,586百万円)
となりました。これは長期借入金の返済、自己株式の取得等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、本項における将来に関する事項は、当年度末現在において当社グループが判断したものであります。
2020年3月期の業績は営業利益が2,407億円で、期初の対外公表予想値に比べて107億円の増益(+4.7%)となり、計画を上回る成果を挙げることができました。わが国経済の緩やかな回復基調のもと、オフィスビル賃貸市場では空室率が低水準で推移し、東京都心部を中心に賃料が堅調な状態が続く中、新規ビルのリーシングの進捗や既存ビルの増額改定が計画を上回るペースで実現でき、また不動産市場の活況を着実に捉え、計画以上の物件売却益を獲得できました。2017年度から2019年度までの中期経営計画は前計画までの収益基盤強化の成果を利益として具現化する3年間と位置付けており、同期間においては「丸の内二重橋ビル」・「msb Tamachi 田町ステーションタワーS」・「CO・MO・RE YOTSUYA (コモレ四谷)」等の大型プロジェクトが順調に竣工を迎えました。また、英国ロンドンにおいて51階建ての新たなランドマークとなる「(仮称)8 Bishopsgate」の開発や、ハイブリッド・モデル投資、新興国の開発事業を進めるなど、海外事業の拡大・進化を図りました。更に、回転型投資の展開を通じた売却益の獲得及びフィービジネスの拡大を図るべく、当社グループで運営するファンドやREITへの売却を推進し、バリューチェーンを強化しています。これらの成果が計画以上の利益を計上し、中期経営計画で掲げた計数目標を達成しました。セグメントごとの経営成績に関しては次の通りです。ビル事業においては、新規に竣工したビルや既存ビルの賃貸利益の増加及び物件売却益の増加により営業利益は1,528億円となりましたが、期初の予想値からは1億円の減益となりました。生活産業不動産事業は、物件売却益の増加などにより営業利益は357億円となり、期初の予想値よりも7億円の増益となりました。住宅事業においては、分譲マンションの利益や賃貸マンションの売却益の増加などにより、営業利益は259億円となり、期初の予想値よりも59億円の増益となりました。海外事業においては、英国における「8 Finsbury Circus」の売却や、米国事業の物件売却益の増加などにより営業利益は445億円となり、期初の予想値よりも75億円の増益となりました。投資マネジメント事業においては、三菱地所投資顧問㈱の運用するファンドで扱う物件数の増加などにより、営業利益は44億円となり、期初の予想値よりも24億円の増益となりました。その他のセグメントについても、概ね計画通りに利益を計上することができました。
≪セグメント別営業利益≫
当社グループは、中期的な視点から強みを活かした投資により得られる利益の拡大を通じた企業価値の向上を図るため、成長投資を推進する一方で、財務健全性の維持も重要な経営目標としており、成長に向けた事業投資を行うにあたっては、高格付けの維持を前提とした最適な資本構成を図っています。当社グループの財源については、ビル賃貸事業が主力事業であることから、引き続き長期・固定資金を主体に調達しております。今後も期間中の金利状況や、調達済有利子負債の償還期間等とのバランスも考慮しながら、調達手段に柔軟性を持たせつつ運営を行って参る所存であります。事業等のリスクに対しては、当社グループでは「三菱地所グループリスクマネジメント規程」を制定し、すべての事業活動を対象にリスクマネジメントを整備、運用しています。当社グループのリスクマネジメントを統括する機関として「リスク・コンプライアンス委員会」を、またリスクマネジメントに関する情報の集約など、実務的な合議体として「リスク・コンプライアンス協議会」をそれぞれ位置付けるほか、取締役会の決議より任命されたリスクマネジメント担当役員を統括責任者として、ラインスタッフ部署、コーポレート部署、DX推進部並びにグループ各社に責任者を置き、それを推進事務局である法務・コンプライアンス部が支援する形でリスクマネジメント活動を推進しています。更に、重要な投資案件の意思決定にあたっては「経営会議」での審議の前に「投資委員会」で審議を行い、リスクの内容や対応等をチェックしています。また、緊急事態発生時の行動指針や連絡・初動体制、事業継続計画等についても整備、運用しています。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、業界最上位の格付に裏打ちされた強固な財務基盤は、重要な経営資源の一つであると位置づけ、財務健全性の維持と高格付を活かした適時最適な調達の実現を財務戦略の基本方針としております。
2017年に策定した前中期経営計画の計数目標を全て達成し、営業利益2,407億円、総資産利益率(ROA)4.1%での着地となり、ネット有利子負債/EBITDA倍率についてもハイブリッド考慮前で6.6倍(ハイブリッド考慮後で6.1倍)にて着地いたしました。
2020年4月から開始した「長期経営計画2030」においても、ROAの向上を通じたROEの向上に主眼を置き、レバレッジについては現状の格付水準が維持可能な範囲で適切にコントロールすることを基本方針としており、不動産市況に応じた、成長投資・資産売却・株主還元・資金調達の最適な組み合わせによる企業価値向上を実現して参ります。新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済の先行きは不透明な状況が継続することが想定されますが、10年という長期にわたる経営計画の策定においては、事業環境が変動する可能性を織り込んでおり、直ちに目標の見直しが必要な状況ではないと考えております。環境の変化を見極めつつ、柔軟な資本政策を組み合わせながら、事業機会獲得の機会を的確に捉え、2030年の目標実現に向け、着実に各種施策を推進して参ります。
2)経営資源の配分と資金需要の主な内容
当社グループは、事業により獲得した営業キャッシュ・フローと資金調達余力に応じたキャッシュインを、株主還元、事業投資・回収(ネット投資額=投資決定済案件への投資-物件売却への回収)、不動産市況に応じて柔軟に行う戦略的アロケーションの3点に配分します。戦略的アロケーションは、株主価値向上に資する案件への厳選投資、追加の株主還元、負債抑制等のうち、その時々の状況に応じて柔軟に判断して参ります。
今後の主な資金需要としては「長期経営計画2030」に基づき、有楽町エリア及び常盤橋エリアを重点更新エリアとし、2030年までに総額6,000~7,000億円程度を投じ、再開発やリノベーションを推進して参ります。また、2021年3月期から2023年3月期までの直近3か年で、約1.5兆円のベース投資と約1.1兆円の物件売却による回収を計画すると共に、効率性の改善に向けてさらに1,000~2,000億円程度の低効率資産の売却を見込んでおります。
3)資金調達手段
当社グループは、事業展開に伴う資金需要を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を有効に活用しております。
内部資金については、主要グループ会社では原則として金融機関など外部からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメント・サービスの活用により、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図っています。
外部資金については、財務健全性の維持が可能な範囲において金融機関からの借入や社債発行等を活用しており、資金需要・金融市況・調達コスト・償還バランスなどを総合的に勘案した上で、適切なファイナンスを実施しております。なお、当社グループは長期の開発期間を伴う事業が中心であるため、いずれの調達手段であっても10年以上の長期資金を中心とした資金調達を行うと共に、負債の年度別償還額の集中を避けることでリファイナンスリスクの低減を図っています。
主要な取引先金融機関とは、良好な取引関係を維持構築することで、円滑な資金調達を可能としております。また、国内金融機関においてコミットメントライン枠やスポット借入枠を設定しており、緊急時の流動性を確保しております。
社債発行については、国内外3社の格付機関から取得している信用格付(※1)をもとに、近年は劣後特約付社債(ハイブリッド社債)に加え、東京駅前常盤橋プロジェクトA棟建設資金を使途とするグリーンボンド、国内の公募債市場で最長かつ初となる50年債の発行など、投資家需要や起債環境を見極めたうえで最適な起債に努めており、今後も資金調達手段の多様化を図って参ります。
尚、新型コロナウイルス感染症の影響として、2021年3月期の営業利益が450億円程度影響を受けると試算しておりますが、減益に伴う営業キャッシュ・フローの減少については、財務キャッシュ・フローで賄うことを想定しており、上記の通り金融機関からの借入金や社債発行を適切に組み合わせて、調達を実施して参ります。また、当社は劣後特約付公募社債を含む、全ての社債を無担保で発行していること、金融機関からの借入金についても財務制限条項は付されていないことから、安定した資金調達が可能と考えております。
※1 本報告書提出時点において、格付投資情報センターの格付はAAマイナス(安定的)、スタンダード&プアーズの格付はAプラス(安定的)、ムーディーズの格付はA2(安定的)となっております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。作成にあたり経営者は、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合、作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出するため見積り及び仮定を用いております。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは以下の通りです。
1)固定資産の評価
減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。回収可能価額には正味売却価額と使用価値のいずれか高い方を用いており、使用価値については、将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算出しています。将来キャッシュ・フローについては、これまでの運営実績、将来の賃貸市場を考慮した事業計画に基づき見積りを行っております。当該見積りには、市場の賃料水準、空室率、割引率などの仮定を用いております。
なお、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、翌年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
2)棚卸資産の評価
販売目的で保有する棚卸資産は、収益性の低下等により期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としています。正味売却価額の算定に当たっては、直近の販売実績、将来の売買市場の動向、近隣地域の開発計画、建設コストの動向等を考慮した事業計画に基づき見積りを行っております。当該見積りには販売エリアの販売単価、工事単価、販売経費等の仮定を用いております。
なお、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、翌年度以降の連結財務諸表において追加の評価損が発生する可能性があります。
3)エクイティ出資の評価
時価のないエクイティ出資については、実質価額が著しく低下した場合には相当の減額をなし、当該減少額をエクイティ出資評価損として計上しております。
実質価額の算出にあたっては、出資先が保有する資産について、その保有目的ごとに評価しています。当該資産についての仮定は 1)固定資産の評価、2)棚卸資産の評価をご参照ください。
なお、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、翌年度以降の連結財務諸表において追加の評価損が発生する可能性があります。
4)新型コロナウィルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについて
当連結会計年度においては、2020年2月及び3月にかけて新型コロナウィルス感染症拡大により当社グループのホテル・商業施設等の事業に影響がみられ、翌連結会計年度においても当該事業等を中心に、当社グループの事業推進、業績に影響が及ぶおそれがあります。当該感染症拡大の状況を鑑み、緊急事態宣言が5月末まで継続し、その後9月末、一部事業では年度末に向けて徐々に事業環境が回復することを仮定して会計上の見積りを行っております。
■新型コロナウィルス感染症に関連する会計上の見積りの仮定
固定資産の評価、棚卸資産の評価、エクイティ出資の評価などの会計上の見積りを行うにあたっては、上述の仮定を会計上の見積りに反映させております。
なお、新型コロナウィルス感染症拡大の収束時期やその影響の程度を正確に予測することは困難であり、上述の前提から回復が遅れた場合には、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績は、営業収益が1,302,196百万円で前年度に比べ38,912百万円の増収(+3.1%)、営業利益は240,768百万円で11,590百万円の増益(+5.1%)、経常利益は219,572百万円で12,985百万円の増益(+6.3%)となりました。
特別損益につきましては、前年度において投資有価証券売却益6,072百万円、負ののれん発生益2,097百万円の
計8,170百万円を特別利益に、固定資産除却関連損3,818百万円を特別損失に計上したのに対して、当年度においては、固定資産売却益5,144百万円、投資有価証券売却益1,711百万円、負ののれん償却益14,915百万円、工事負担金等受入額4,480百万円の計26,251百万円を特別利益に、固定資産除却関連損5,445百万円、投資有価証券評価損
2,344百万円、事業譲渡損3,240百万円、減損損失10,844百万円の計21,874百万円を特別損失に計上しております。
この結果、税金等調整前当期純利益は223,949百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度に比べ
13,843百万円増益(+10.3%)の148,451百万円となりました。
当年度の業績及び各セグメントの業績は次の通りであります。
| (単位:百万円) |
| 区分 | 前年度 | 当年度 | 増減 |
| 営業収益 | 1,263,283 | 1,302,196 | 38,912 |
| 営業利益 | 229,178 | 240,768 | 11,590 |
| 経常利益 | 206,587 | 219,572 | 12,985 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 134,608 | 148,451 | 13,843 |
| (単位:百万円) | ||||
| 前年度 | 当年度 | |||
| 営業収益 | 営業利益又は 営業損失(△) | 営業収益 | 営業利益又は 営業損失(△) | |
| ビル事業 | 529,695 | 147,691 | 565,501 | 152,886 |
| 生活産業不動産事業 | 106,182 | 32,560 | 127,205 | 35,741 |
| 住宅事業 | 420,405 | 30,428 | 389,008 | 25,946 |
| 海外事業 | 81,844 | 26,927 | 130,718 | 44,544 |
| 投資マネジメント事業 | 49,588 | 9,231 | 21,316 | 4,467 |
| ホテル・空港事業 | 44,171 | 2,371 | 36,438 | △2,998 |
| 設計監理事業 | 24,671 | 2,021 | 21,589 | 1,268 |
| 不動産サービス事業 | 33,586 | 2,603 | 35,540 | 1,139 |
| その他の事業 | 8,106 | △196 | 8,622 | 199 |
| 調整額 | △34,969 | △24,459 | △33,745 | △22,426 |
| 合 計 | 1,263,283 | 229,178 | 1,302,196 | 240,768 |
(a)ビル事業
・当年度においては、建物賃貸収益は2018年10月に竣工した「丸の内二重橋ビル」の収益が寄与したことや、物件売却に伴う収益を計上したこと等により、増収となりました。
なお、当社の2020年3月末の空室率は1.07%となっております。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ35,806百万円増収の565,501百万円となり、営業利益は5,194百万円増益の152,886百万円となりました。
・当年度は、当社が関与する「リンクスクエア新宿」が2019年8月に竣工し、「CO・MO・RE YOTSUYA(コモレ四谷)」が2020年1月に竣工しました。
・今後も「大手町・丸の内・有楽町地区」が“人・企業が可能性を感じ進化できる街”となることを目指した取り組みを進めながら、丸の内以外のエリアにおいてもそのノウハウと実績を最大限に活用しながら各エリアのまちづくりに貢献して参ります。
| (単位:百万円) | ||||||||||||
| 摘 要 | 前年度 | 当年度 | ||||||||||
| 貸付面積等 | 営業収益 | 貸付面積等 | 営業収益 | |||||||||
| 建物賃貸 | 貸付面積 | 409,643 | 貸付面積 | 426,922 | ||||||||
| (所有) | 2,423,179 | ㎡ | (所有) | 2,479,045 | ㎡ | |||||||
| (転貸) | 1,430,538 | ㎡ | (転貸) | 1,526,323 | ㎡ | |||||||
| 合計 | 3,853,717 | ㎡ | 合計 | 4,005,368 | ㎡ | |||||||
| ビル運営管理受託 | 管理受託面積 | 2,373,627 | ㎡ | 23,533 | 管理受託面積 | 2,730,294 | ㎡ | 24,480 | ||||
| 営繕請負工事 | 受注件数 | 4,673 | 件 | 19,859 | 受注件数 | 4,753 | 件 | 17,989 | ||||
| 完成件数 | 4,698 | 件 | 完成件数 | 4,696 | 件 | |||||||
| 地域冷暖房 | 供給先 オフィスビル87棟 ホテル5棟 地下鉄16駅舎 | 9,014 | 供給先 オフィスビル91棟 ホテル5棟 地下鉄17駅舎 | 9,386 | ||||||||
| その他 | - | 67,644 | - | 86,722 | ||||||||
| 合 計 | - | 529,695 | - | 565,501 | ||||||||
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(b)生活産業不動産事業
・当年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により商業施設・アウトレットモールの来場者・売上が減少したものの、保有する物件の売却に伴う収益を計上したこと等により、増収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ21,023百万円増収の127,205百万円となり、営業利益は3,181百万円増益の35,741百万円となりました。
| (単位:百万円) | ||
| 摘 要 | 営 業 収 益 | |
| 前年度 | 当年度 | |
| 生活産業不動産 | 106,182 | 127,205 |
| 合 計 | 106,182 | 127,205 |
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(c)住宅事業
・マンション事業の主な売上計上物件
「ザ・パークハウス 神戸タワー」 (兵庫県神戸市)
「ザ・パークハウス 代々木上原」 (東京都渋谷区)
「ザ・パークハウス 和光市」 (埼玉県和光市)
「ザ・パークハウス 福岡タワーズ WEST」 (福岡県福岡市)
「ザ・パークハウス オイコス 鎌倉大船」 (神奈川県鎌倉市)
・当年度においては、国内マンション事業の売上は、売上計上戸数が前年度に比べ減少したため減収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ31,396百万円減収の389,008百万円となり、営業利益は4,481百万円減益の25,946百万円となりました。
| (単位:百万円) | ||||||||||||
| 摘 要 | 前年度 | 当年度 | ||||||||||
| 販売数量等 | 営業収益 | 販売数量等 | 営業収益 | |||||||||
| マンション | 売上計上戸数 | 4,007 | 戸 | 238,924 | 売上計上戸数 | 3,214 | 戸 | 202,876 | ||||
| 住宅管理業務受託 | 受託件数 | 349,649 | 件 | 52,085 | 受託件数 | 352,365 | 件 | 54,980 | ||||
| 注文住宅 | - | 39,143 | - | 36,101 | ||||||||
| その他 | - | 90,251 | - | 95,049 | ||||||||
| 合 計 | - | 420,405 | - | 389,008 | ||||||||
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
3. 他社との共同事業物件の売上計上戸数及び金額は当社持分によっております。
(d)海外事業
・当年度においては、不動産開発・賃貸事業は、米国のオフィスビルで大規模リニューアル工事が完了し稼働率が上昇したこと、及び英国・ロンドンにおいて保有していたオフィスビルの売却等により増収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ48,874百万円増収の130,718百万円となり、営業利益は17,617百万円増益の44,544百万円となりました。
| (単位:百万円) | ||||||||||||
| 摘 要 | 前年度 | 当年度 | ||||||||||
| 貸付面積等 | 営業収益 | 貸付面積等 | 営業収益 | |||||||||
| 不動産開発・賃貸 | 貸付面積 | 472,592 | ㎡ | 79,857 | 貸付面積 | 666,013 | ㎡ | 127,537 | ||||
| 管理受託面積 | 97,527 | ㎡ | 管理受託面積 | 97,527 | ㎡ | |||||||
| その他 | - | 1,987 | - | 3,181 | ||||||||
| 合 計 | - | 81,844 | - | 130,718 | ||||||||
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(e)投資マネジメント事業
・当年度においては、前年度に当社等が出資するファンドの物件売却に伴う分配収入を計上した反動等により、減収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ28,271百万円減収の21,316百万円となり、営業利益は4,763百万円減益の4,467百万円となりました。
| (単位:百万円) | ||
| 摘 要 | 営 業 収 益 | |
| 前年度 | 当年度 | |
| 投資マネジメント | 49,588 | 21,316 |
| 合 計 | 49,588 | 21,316 |
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(f)ホテル・空港事業
・当年度においては、㈱ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツを中心に、「ロイヤルパークホテルズ」各ホテルの体質強化及び宿泊主体型ホテル事業の新規展開を図っており、前年度は3軒が開業し、2019年6月には「ザ ロイヤルパーク キャンバス 大阪北浜」、2020年3月には「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 大阪御堂筋」が開業しました。
また、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、稼働率が大幅に低下した影響により減収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ7,733百万円減収の36,438百万円となり、営業損益は5,369百万円悪化し、2,998百万円の損失を計上しました。
| (単位:百万円) | ||
| 摘 要 | 営 業 収 益 | |
| 前年度 | 当年度 | |
| 宿泊部門 | 19,313 | 18,197 |
| レストラン・バー部門 | 6,429 | 6,207 |
| 宴会部門 | 7,018 | 6,418 |
| その他 | 11,409 | 5,614 |
| 合 計 | 44,171 | 36,438 |
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(g)設計監理事業
・㈱三菱地所設計において、2018年1月に着工した「東京駅前常盤橋プロジェクト」A棟新築工事(東京都千代
田区)等の設計監理業務他の収益を計上しました。
・当年度においては、設計監理収益は売上件数が増加したものの1件当たりの金額が減少したこと等により減収となりました。また、内装工事収益は売上件数が減少したことにより減収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ3,082百万円減収の21,589百万円となり、営業利益は753百万円減益の1,268百万円となりました。
| (単位:百万円) | ||||||||||||
| 摘 要 | 前年度 | 当年度 | ||||||||||
| 売上件数等 | 営業収益 | 売上件数等 | 営業収益 | |||||||||
| 設計監理 | 受注件数 | 1,366 | 件 | 22,151 | 受注件数 | 1,293 | 件 | 19,547 | ||||
| 売上件数 | 1,316 | 件 | 売上件数 | 1,375 | 件 | |||||||
| 内装工事 | 受注件数 | 202 | 件 | 2,520 | 受注件数 | 177 | 件 | 2,042 | ||||
| 売上件数 | 208 | 件 | 売上件数 | 177 | 件 | |||||||
| 合 計 | - | 24,671 | - | 21,589 | ||||||||
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
(h)不動産サービス事業
・当年度においては、取扱件数及び1件当たりの手数料が減少したこと等により、不動産仲介事業は減収となり
ました。
・一方その他事業においては、前年度新規に連結子会社化を行ったこと等により、増収となりました。
・この結果、当セグメントの営業収益は前年度に比べ1,953百万円増収の35,540百万円となりましたが、営業利益は1,463百万円減益の1,139百万円となりました。
| (単位:百万円) | ||||||||||||
| 摘 要 | 前年度 | 当年度 | ||||||||||
| 売上件数等 | 営業収益 | 売上件数等 | 営業収益 | |||||||||
| 不動産仲介 | 取扱件数 | 1,129 | 件 | 9,871 | 取扱件数 | 1,095 | 件 | 8,598 | ||||
| その他 | - | 23,715 | - | 26,942 | ||||||||
| 合 計 | - | 33,586 | - | 35,540 | ||||||||
(注)1. 金額は消費税等抜きで表示しております。
2. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。
② キャッシュ・フローの状況
当年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、税金等調整前当期純利益、たな卸資産
の減少、長期借入れ等による収入、有形固定資産の取得、長期借入金の返済等による支出により、前年度末に比
べ33,699百万円増加し、213,008百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、341,766百万円の資金の増加(前年度比△4,187百万円)
となりました。これは、税金等調整前当期純利益223,949百万円に非資金損益項目である減価償却費84,941百万
円等を調整した資金の増加に、たな卸資産の減少、法人税等の支払、エクイティ出資の増加等による資金の増減
を加えたものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、277,440百万円の資金の減少(前年度比△6,356百万円)
となりました。これは有形固定資産の取得等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、28,886百万円の資金の減少(前年度比+163,586百万円)
となりました。これは長期借入金の返済、自己株式の取得等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、本項における将来に関する事項は、当年度末現在において当社グループが判断したものであります。
2020年3月期の業績は営業利益が2,407億円で、期初の対外公表予想値に比べて107億円の増益(+4.7%)となり、計画を上回る成果を挙げることができました。わが国経済の緩やかな回復基調のもと、オフィスビル賃貸市場では空室率が低水準で推移し、東京都心部を中心に賃料が堅調な状態が続く中、新規ビルのリーシングの進捗や既存ビルの増額改定が計画を上回るペースで実現でき、また不動産市場の活況を着実に捉え、計画以上の物件売却益を獲得できました。2017年度から2019年度までの中期経営計画は前計画までの収益基盤強化の成果を利益として具現化する3年間と位置付けており、同期間においては「丸の内二重橋ビル」・「msb Tamachi 田町ステーションタワーS」・「CO・MO・RE YOTSUYA (コモレ四谷)」等の大型プロジェクトが順調に竣工を迎えました。また、英国ロンドンにおいて51階建ての新たなランドマークとなる「(仮称)8 Bishopsgate」の開発や、ハイブリッド・モデル投資、新興国の開発事業を進めるなど、海外事業の拡大・進化を図りました。更に、回転型投資の展開を通じた売却益の獲得及びフィービジネスの拡大を図るべく、当社グループで運営するファンドやREITへの売却を推進し、バリューチェーンを強化しています。これらの成果が計画以上の利益を計上し、中期経営計画で掲げた計数目標を達成しました。セグメントごとの経営成績に関しては次の通りです。ビル事業においては、新規に竣工したビルや既存ビルの賃貸利益の増加及び物件売却益の増加により営業利益は1,528億円となりましたが、期初の予想値からは1億円の減益となりました。生活産業不動産事業は、物件売却益の増加などにより営業利益は357億円となり、期初の予想値よりも7億円の増益となりました。住宅事業においては、分譲マンションの利益や賃貸マンションの売却益の増加などにより、営業利益は259億円となり、期初の予想値よりも59億円の増益となりました。海外事業においては、英国における「8 Finsbury Circus」の売却や、米国事業の物件売却益の増加などにより営業利益は445億円となり、期初の予想値よりも75億円の増益となりました。投資マネジメント事業においては、三菱地所投資顧問㈱の運用するファンドで扱う物件数の増加などにより、営業利益は44億円となり、期初の予想値よりも24億円の増益となりました。その他のセグメントについても、概ね計画通りに利益を計上することができました。
≪セグメント別営業利益≫
| (単位:百万円) | |||
| 2019年度 | |||
| 期初予想値 | 決算値 | 増減 | |
| ビル事業 | 153,000 | 152,886 | △114 |
| 生活産業不動産事業 | 35,000 | 35,741 | 741 |
| 住宅事業 | 20,000 | 25,946 | 5,946 |
| 海外事業 | 37,000 | 44,544 | 7,544 |
| 投資マネジメント事業 | 2,000 | 4,467 | 2,467 |
| ホテル・空港事業 | 3,000 | △2,998 | △5,998 |
| 設計監理事業 | 500 | 1,268 | 768 |
| 不動産サービス事業 | 2,500 | 1,139 | △1,361 |
| その他の事業 | 0 | 199 | 199 |
| 調整額 | △23,000 | △22,426 | 574 |
| 合 計 | 230,000 | 240,768 | 10,768 |
当社グループは、中期的な視点から強みを活かした投資により得られる利益の拡大を通じた企業価値の向上を図るため、成長投資を推進する一方で、財務健全性の維持も重要な経営目標としており、成長に向けた事業投資を行うにあたっては、高格付けの維持を前提とした最適な資本構成を図っています。当社グループの財源については、ビル賃貸事業が主力事業であることから、引き続き長期・固定資金を主体に調達しております。今後も期間中の金利状況や、調達済有利子負債の償還期間等とのバランスも考慮しながら、調達手段に柔軟性を持たせつつ運営を行って参る所存であります。事業等のリスクに対しては、当社グループでは「三菱地所グループリスクマネジメント規程」を制定し、すべての事業活動を対象にリスクマネジメントを整備、運用しています。当社グループのリスクマネジメントを統括する機関として「リスク・コンプライアンス委員会」を、またリスクマネジメントに関する情報の集約など、実務的な合議体として「リスク・コンプライアンス協議会」をそれぞれ位置付けるほか、取締役会の決議より任命されたリスクマネジメント担当役員を統括責任者として、ラインスタッフ部署、コーポレート部署、DX推進部並びにグループ各社に責任者を置き、それを推進事務局である法務・コンプライアンス部が支援する形でリスクマネジメント活動を推進しています。更に、重要な投資案件の意思決定にあたっては「経営会議」での審議の前に「投資委員会」で審議を行い、リスクの内容や対応等をチェックしています。また、緊急事態発生時の行動指針や連絡・初動体制、事業継続計画等についても整備、運用しています。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、業界最上位の格付に裏打ちされた強固な財務基盤は、重要な経営資源の一つであると位置づけ、財務健全性の維持と高格付を活かした適時最適な調達の実現を財務戦略の基本方針としております。
2017年に策定した前中期経営計画の計数目標を全て達成し、営業利益2,407億円、総資産利益率(ROA)4.1%での着地となり、ネット有利子負債/EBITDA倍率についてもハイブリッド考慮前で6.6倍(ハイブリッド考慮後で6.1倍)にて着地いたしました。
2020年4月から開始した「長期経営計画2030」においても、ROAの向上を通じたROEの向上に主眼を置き、レバレッジについては現状の格付水準が維持可能な範囲で適切にコントロールすることを基本方針としており、不動産市況に応じた、成長投資・資産売却・株主還元・資金調達の最適な組み合わせによる企業価値向上を実現して参ります。新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済の先行きは不透明な状況が継続することが想定されますが、10年という長期にわたる経営計画の策定においては、事業環境が変動する可能性を織り込んでおり、直ちに目標の見直しが必要な状況ではないと考えております。環境の変化を見極めつつ、柔軟な資本政策を組み合わせながら、事業機会獲得の機会を的確に捉え、2030年の目標実現に向け、着実に各種施策を推進して参ります。
2)経営資源の配分と資金需要の主な内容
当社グループは、事業により獲得した営業キャッシュ・フローと資金調達余力に応じたキャッシュインを、株主還元、事業投資・回収(ネット投資額=投資決定済案件への投資-物件売却への回収)、不動産市況に応じて柔軟に行う戦略的アロケーションの3点に配分します。戦略的アロケーションは、株主価値向上に資する案件への厳選投資、追加の株主還元、負債抑制等のうち、その時々の状況に応じて柔軟に判断して参ります。
今後の主な資金需要としては「長期経営計画2030」に基づき、有楽町エリア及び常盤橋エリアを重点更新エリアとし、2030年までに総額6,000~7,000億円程度を投じ、再開発やリノベーションを推進して参ります。また、2021年3月期から2023年3月期までの直近3か年で、約1.5兆円のベース投資と約1.1兆円の物件売却による回収を計画すると共に、効率性の改善に向けてさらに1,000~2,000億円程度の低効率資産の売却を見込んでおります。
3)資金調達手段
当社グループは、事業展開に伴う資金需要を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を有効に活用しております。
内部資金については、主要グループ会社では原則として金融機関など外部からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメント・サービスの活用により、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図っています。
外部資金については、財務健全性の維持が可能な範囲において金融機関からの借入や社債発行等を活用しており、資金需要・金融市況・調達コスト・償還バランスなどを総合的に勘案した上で、適切なファイナンスを実施しております。なお、当社グループは長期の開発期間を伴う事業が中心であるため、いずれの調達手段であっても10年以上の長期資金を中心とした資金調達を行うと共に、負債の年度別償還額の集中を避けることでリファイナンスリスクの低減を図っています。
主要な取引先金融機関とは、良好な取引関係を維持構築することで、円滑な資金調達を可能としております。また、国内金融機関においてコミットメントライン枠やスポット借入枠を設定しており、緊急時の流動性を確保しております。
社債発行については、国内外3社の格付機関から取得している信用格付(※1)をもとに、近年は劣後特約付社債(ハイブリッド社債)に加え、東京駅前常盤橋プロジェクトA棟建設資金を使途とするグリーンボンド、国内の公募債市場で最長かつ初となる50年債の発行など、投資家需要や起債環境を見極めたうえで最適な起債に努めており、今後も資金調達手段の多様化を図って参ります。
尚、新型コロナウイルス感染症の影響として、2021年3月期の営業利益が450億円程度影響を受けると試算しておりますが、減益に伴う営業キャッシュ・フローの減少については、財務キャッシュ・フローで賄うことを想定しており、上記の通り金融機関からの借入金や社債発行を適切に組み合わせて、調達を実施して参ります。また、当社は劣後特約付公募社債を含む、全ての社債を無担保で発行していること、金融機関からの借入金についても財務制限条項は付されていないことから、安定した資金調達が可能と考えております。
※1 本報告書提出時点において、格付投資情報センターの格付はAAマイナス(安定的)、スタンダード&プアーズの格付はAプラス(安定的)、ムーディーズの格付はA2(安定的)となっております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。作成にあたり経営者は、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合、作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出するため見積り及び仮定を用いております。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは以下の通りです。
1)固定資産の評価
減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。回収可能価額には正味売却価額と使用価値のいずれか高い方を用いており、使用価値については、将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算出しています。将来キャッシュ・フローについては、これまでの運営実績、将来の賃貸市場を考慮した事業計画に基づき見積りを行っております。当該見積りには、市場の賃料水準、空室率、割引率などの仮定を用いております。
なお、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、翌年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
2)棚卸資産の評価
販売目的で保有する棚卸資産は、収益性の低下等により期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としています。正味売却価額の算定に当たっては、直近の販売実績、将来の売買市場の動向、近隣地域の開発計画、建設コストの動向等を考慮した事業計画に基づき見積りを行っております。当該見積りには販売エリアの販売単価、工事単価、販売経費等の仮定を用いております。
なお、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、翌年度以降の連結財務諸表において追加の評価損が発生する可能性があります。
3)エクイティ出資の評価
時価のないエクイティ出資については、実質価額が著しく低下した場合には相当の減額をなし、当該減少額をエクイティ出資評価損として計上しております。
実質価額の算出にあたっては、出資先が保有する資産について、その保有目的ごとに評価しています。当該資産についての仮定は 1)固定資産の評価、2)棚卸資産の評価をご参照ください。
なお、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、翌年度以降の連結財務諸表において追加の評価損が発生する可能性があります。
4)新型コロナウィルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについて
当連結会計年度においては、2020年2月及び3月にかけて新型コロナウィルス感染症拡大により当社グループのホテル・商業施設等の事業に影響がみられ、翌連結会計年度においても当該事業等を中心に、当社グループの事業推進、業績に影響が及ぶおそれがあります。当該感染症拡大の状況を鑑み、緊急事態宣言が5月末まで継続し、その後9月末、一部事業では年度末に向けて徐々に事業環境が回復することを仮定して会計上の見積りを行っております。
■新型コロナウィルス感染症に関連する会計上の見積りの仮定
| 商業施設 | • 緊急事態宣言中(5月末までを想定)は一部施設・店舗を除き原則として休館とすることの影響を織込み。 • 上期末に向けて徐々に事業環境が回復することを想定。 |
| ホテル | • ホテル運営事業においては、年度末までは一定の影響が継続することを想定。 |
| オフィス | • 空室床(テナント未決定。発生予定を含む)について一定の空室期間を織込み。 |
| 国内分譲住宅等 | • コロナ影響織込み前の分譲マンション売上予想に対し、約6割が契約済。 • 緊急事態宣言中(5月末までを想定)の新規契約をゼロと仮定。 • 6月以降の新規契約については、新型コロナウィルス対策を踏まえた来場者数の制限等を加味し、一定程度の減少を想定。 • 工期遅延等による引渡し遅延リスクの織込み。 |
| その他 | • 海外事業における住宅販売スケジュール等の一部見直し。 • 投資マネジメント事業・不動産サービス事業における不動産売買市場の停滞リスクの織込み。 • 設計監理事業における受注ペースの鈍化。 |
固定資産の評価、棚卸資産の評価、エクイティ出資の評価などの会計上の見積りを行うにあたっては、上述の仮定を会計上の見積りに反映させております。
なお、新型コロナウィルス感染症拡大の収束時期やその影響の程度を正確に予測することは困難であり、上述の前提から回復が遅れた場合には、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。