有価証券報告書-第203期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下の通りであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響により国内外の人々の移動や経済活動が著しく抑制されたことから、個人消費は外食・宿泊等のサービス消費を中心に大きく落ち込み、企業収益も大幅に悪化するなど、極めて厳しい状況が続きました。
当不動産業界におきましては、賃貸オフィス市場については、総じて堅調に推移しましたが、テレワークの普及等に伴い年度後半には空室率の上昇や募集賃料の頭打ち傾向が見られました。また、ホテル、商業施設、駐車場等においては、外出自粛等の影響により売上が大幅に減少しました。分譲住宅市場については、販売活動休止の影響もあり供給戸数が減少しましたが、住環境への関心の高まりを背景に都心・好立地の物件は好調な売れ行きが続き、郊外の物件も部屋数や広さ等を重視する顧客の需要を集めるなど、全般として堅調に推移しました。不動産投資市場については、ホテルや都心の一部エリアの商業施設の取引が停滞する一方、金融緩和の継続と新型コロナウイルス感染症の影響が相対的に小さかったわが国の不動産に対する旺盛な投資需要により、物流施設においては一部価格の上昇も見られました。
このような事業環境のもと、当社グループでは、2030年頃を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」と2020〜2024年度を対象期間とするグループ中期経営計画を策定し、その達成に向けた取組みを鋭意推進してまいりました。長年にわたり旧本社ビル周辺で推進してまいりました「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」(東京都中央区)は、権利変換計画の認可を受けて10月に既存建物の解体工事に着手いたしました。これに先立ち当社は、5月に本社機能の一時的な移転を行い、新たに整備した先進的なオフィス環境と併せて、かねて整備済みのリモートワーク環境を活用することで、お客様と従業員の健康・安全を最優先に感染拡大防止策を徹底しながら、事業の円滑な継続に努めるとともに多様な働き方の実践に取組みました。また、「事業ポートフォリオの最適化」を図るため、シニア事業の運営子会社株式と保有・運営してまいりました高齢者向け住宅の譲渡を実施いたしました。さらに、「ESG経営の高度化」を推進するため、「サステナビリティ委員会」の設置、気候関連財務情報開示タスクフォース「TCFD」の提言への賛同表明、超高層複合用途ビルにおける「ZEB Ready」認証取得の第1号案件である「Hareza Tower(ハレザタワー)」(東京都豊島区)の竣工、不動産セクター初となる「サステナビリティボンド」発行など、持続可能な社会の構築に向けた様々な取組みを展開いたしました。
当連結会計年度における当社グループの連結業績については、ビル事業及びクオリティライフ事業において投資家向け物件売却が増加した一方、前連結会計年度に計上した大型マンションの売上の剥落、新型コロナウイルス感染拡大による影響等により、営業収益は3,349億8千万円(前期3,230億3千6百万円、前期比3.7%増)、営業利益は496億3千1百万円(前期524億1千万円、前期比5.3%減)、事業利益は498億4千7百万円(前期516億6千8百万円、前期比3.5%減)となりました。また、営業外損益の改善により、経常利益は470億7千2百万円(前期446億1千1百万円、前期比5.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は317億9千5百万円(前期297億9千6百万円、前期比6.7%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、当連結会計年度を初年度とする中期経営計画において成長を見込む海外事業等の利益を反映するため、営業利益に持分法による投資損益を加えた「事業利益」を新たな利益指標として設定しております。
また、当連結会計年度において、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度の実績値については、新セグメントに組替えて表示しております。
各セグメントの業績の概況は以下の通りであります。
(a)ビル事業
ビル事業におきましては、「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」(東京都中央区)は、権利変換計画が認可され、既存建物の解体工事に着手いたしました。豊島区旧庁舎跡地活用事業は、「Hareza Tower(ハレザタワー)」が竣工し、開業済みの「東京建物Brillia HALL(ブリリアホール)」等とあわせた「Hareza(ハレザ)池袋」(東京都豊島区)が全体開業いたしました。また、投資家向け物件として、物流施設の第1号物件「T-LOGI(ティーロジ)久喜」(埼玉県久喜市)を竣工させたほか、中規模オフィスビル、都市型ホテル等、多様なアセットタイプの新規開発を推進いたしました。
当連結会計年度におきましては、「DNP五反田ビル」(東京都品川区)の通期稼働、「Hareza Tower」の竣工、「大手町フィナンシャルシティ ノースタワー」(東京都千代田区)の売却等により収益が増加いたしました。
この結果、営業収益は1,445億5千4百万円(前期1,209億4千万円、前期比19.5%増)、営業利益は404億2千4百万円(前期370億9千5百万円、前期比9.0%増)、事業利益は408億6千5百万円(前期375億3千4百万円、前期比8.9%増)となりました。
(b)住宅事業
住宅事業におきましては、お客様評価NO.1を目指し、分譲マンションブランド「Brillia(ブリリア)」の価値向上に努めるとともに、賃貸マンション「Brillia ist(ブリリア イスト)」の開発等にも積極的に取組んでまいりました。
当連結会計年度におきましては、住宅分譲で「Brillia Tower 高崎アルファレジデンシア」(群馬県高崎市)、「Brillia 東中野パークサイドヒルズ」(東京都中野区)、「Brillia City 千里津雲台」(大阪府吹田市)等を売上に計上いたしました。また、「Brillia ist 駒込」(東京都北区)、「Brillia ist 両国」(東京都墨田区)、「クラス青山」(東京都港区)等が新規稼働するとともに、「Arcade 荏原中延」(東京都品川区)、「ライトテラス錦糸町」(東京都墨田区)を売却し、売上に計上いたしました。
この結果、営業収益は991億6千4百万円(前期1,312億9千7百万円、前期比24.5%減)、営業利益及び事業利益は71億9千4百万円(前期158億4千6百万円、前期比54.6%減)となりました。
(c)アセットサービス事業
アセットサービス事業におきましては、法人のお客様との関係強化による仲介事業の強化、既存の収益不動産の価値を高めて販売するアセットソリューション事業等に引き続き注力するとともに、駐車場事業における新規大型物件の受注等により、更なる収益力の強化に取組みました。
当連結会計年度におきましては、アセットソリューション事業における投資家向け物件売却が増加した一方で、駐車場事業において新型コロナウイルス感染拡大による影響等により稼働率が低下した結果、営業収益は466億6千6百万円(前期441億9千2百万円、前期比5.6%増)、営業利益及び事業利益は26億8千6百万円(前期58億9千9百万円、前期比54.5%減)となりました。
(注)取得した不動産の付加価値を向上させて再販する買取再販業務を主に行っております。
(d)クオリティライフ事業
クオリティライフ事業におきましては、保育事業については、新規に「おはよう保育園関町南」(東京都練馬区)等の認可保育園3か所、初めての取組みとなる学童保育施設1か所を開設いたしました。また、シニア事業については、グループ中期経営計画に掲げる「事業ポートフォリオの最適化」を進めるため、高齢者向け住宅の運営子会社株式及び保有資産を譲渡いたしました。
この結果、営業収益は292億7千6百万円(前期84億9千万円、前期比244.8%増)、営業利益及び事業利益は76億5千2百万円(前期2億7千1百万円、前期比2,715.1%増)となりました。
(e)その他
リゾート事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により一時休業した施設もありましたが、年度後半は政策効果もあって稼働は持ち直しました。また、海外事業におきましては、中国(揚州市)において新たな分譲マンション事業に参画したほか、シンガポールにおいてオフィスビル再開発事業「79 ロビンソンロード」が竣工いたしました。
当連結会計年度におきましては、リゾート事業において新型コロナウイルス感染拡大による影響等により既存施設の稼働が低下したことなどから、営業収益は153億1千7百万円(前期181億1千5百万円、前期比15.4%減)、営業利益は12億3千5百万円(前期14億9千7百万円、前期比17.5%減)となりました。また、海外事業において持分法投資損益が改善したこと等により、事業利益は10億1千1百万円(前期3億1千5百万円、前期比220.2%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1兆6,246億4千万円となり、前連結会計年度末比で605億9千万円の増加となりました。これは、投資有価証券の減少があった一方で、現金及び預金、販売用不動産並びに有形固定資産及び無形固定資産の増加があったこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1兆2,255億1千万円となり、前連結会計年度末比で456億7千2百万円の増加となりました。これは、有利子負債の増加等によるものであります。なお、有利子負債残高(リース債務除く)は9,768億9千6百万円となり、前連結会計年度末比で520億4百万円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,991億2千9百万円となり、前連結会計年度末比で149億1千7百万円の増加となりました。これは、その他有価証券評価差額金の減少があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益による増加があったこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により435億2千4百万円増加、投資活動により667億2千4百万円減少、財務活動により383億7百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比で151億4千8百万円増加し、546億4千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、435億2千4百万円(前期比194億2千8百万円増加)となりました。これは主に、たな卸資産の増加による資金の減少があった一方、税金等調整前当期純利益及び減価償却費による資金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、667億2千4百万円(前期比26億4千2百万円減少)となりました。これは主に、固定資産の取得による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、383億7百万円(前期比96億9千3百万円減少)となりました。これは主に、長期借入れによる資金の増加があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績については、「① 経営成績の状況」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年度に策定したグループ中期経営計画(2020~2024年度)において、最終年度である2024年度の利益目標として、連結事業利益750億円を掲げております。また、D/Eレシオ2.4倍程度、有利子負債/EBITDA倍率12倍程度を目標達成に向けた財務指針として設定しております。
なお、当連結会計年度における達成状況は次の通りであります。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの連結業績については、ビル事業及びクオリティライフ事業において投資家向け物件売却が増加した一方、前連結会計年度に計上した大型マンションの売上の剥落、新型コロナウイルス感染拡大による影響等により、営業収益は3,349億8千万円(前期3,230億3千6百万円、前期比3.7%増)、営業利益は496億3千1百万円(前期524億1千万円、前期比5.3%減)、事業利益は498億4千7百万円(前期516億6千8百万円、前期比3.5%減)となりました。また、営業外損益の改善により、経常利益は470億7千2百万円(前期446億1千1百万円、前期比5.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は317億9千5百万円(前期297億9千6百万円、前期比6.7%増)となりました。
各セグメントの業績概要については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載の通りであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は主に不動産の取得・開発資金であり、これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行等により資金調達を行っております。また、当社及び主要な連結子会社は、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入することにより、各社の余剰資金を当社へ集約し、一元管理を行うことで、資金の効率化を図っております。
なお、資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に、財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載の通りであります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって当社グループが採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載の通りであります。連結財務諸表の作成における見積りについては、過去の実績、現在の状況並びに今後の見通しを勘案のうえ、合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、当社グループが特に重要と考えるものは以下の通りであります。なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う会計上の見積りは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載の通りであります。
(a)固定資産の評価
資産又は資産グループに、減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)があり、投資額の回収が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として特別損失に計上しております。減損の兆候は、資産等の営業活動から生じる損益、使用範囲又は方法の変化、経営環境の変化、市場価格の下落等を踏まえ総合的に判断しており、回収可能価額は、資産等の正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額としております。
回収可能価額については、不動産鑑定評価額又は実績及び今後の市場動向等を踏まえた事業計画に基づく将来キャッシュ・フローの見積額及び割引率により算定しております。
事業環境の変化等により、見積額及び割引率の前提条件等に変更が生じた際は、翌年度以降に追加の減損損失の計上が必要となる可能性があります。
(b)たな卸資産(販売用不動産等)の評価
通常の販売目的で保有する販売用不動産等は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、収益性の低下により正味売却価額が取得原価よりも下落している場合は、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、差額を簿価切下額として営業原価に計上しております。正味売却価額については、販売実績、周辺事例及び今後の市場動向等を踏まえた事業計画に基づき、販売見込額から今後発生原価及び販売経費の見積額を控除して算定しております。
事業環境の変化等により、販売見込額及び見積額の前提条件等に変更が生じた際は、翌年度以降に追加の簿価切下額の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下の通りであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響により国内外の人々の移動や経済活動が著しく抑制されたことから、個人消費は外食・宿泊等のサービス消費を中心に大きく落ち込み、企業収益も大幅に悪化するなど、極めて厳しい状況が続きました。
当不動産業界におきましては、賃貸オフィス市場については、総じて堅調に推移しましたが、テレワークの普及等に伴い年度後半には空室率の上昇や募集賃料の頭打ち傾向が見られました。また、ホテル、商業施設、駐車場等においては、外出自粛等の影響により売上が大幅に減少しました。分譲住宅市場については、販売活動休止の影響もあり供給戸数が減少しましたが、住環境への関心の高まりを背景に都心・好立地の物件は好調な売れ行きが続き、郊外の物件も部屋数や広さ等を重視する顧客の需要を集めるなど、全般として堅調に推移しました。不動産投資市場については、ホテルや都心の一部エリアの商業施設の取引が停滞する一方、金融緩和の継続と新型コロナウイルス感染症の影響が相対的に小さかったわが国の不動産に対する旺盛な投資需要により、物流施設においては一部価格の上昇も見られました。
このような事業環境のもと、当社グループでは、2030年頃を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」と2020〜2024年度を対象期間とするグループ中期経営計画を策定し、その達成に向けた取組みを鋭意推進してまいりました。長年にわたり旧本社ビル周辺で推進してまいりました「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」(東京都中央区)は、権利変換計画の認可を受けて10月に既存建物の解体工事に着手いたしました。これに先立ち当社は、5月に本社機能の一時的な移転を行い、新たに整備した先進的なオフィス環境と併せて、かねて整備済みのリモートワーク環境を活用することで、お客様と従業員の健康・安全を最優先に感染拡大防止策を徹底しながら、事業の円滑な継続に努めるとともに多様な働き方の実践に取組みました。また、「事業ポートフォリオの最適化」を図るため、シニア事業の運営子会社株式と保有・運営してまいりました高齢者向け住宅の譲渡を実施いたしました。さらに、「ESG経営の高度化」を推進するため、「サステナビリティ委員会」の設置、気候関連財務情報開示タスクフォース「TCFD」の提言への賛同表明、超高層複合用途ビルにおける「ZEB Ready」認証取得の第1号案件である「Hareza Tower(ハレザタワー)」(東京都豊島区)の竣工、不動産セクター初となる「サステナビリティボンド」発行など、持続可能な社会の構築に向けた様々な取組みを展開いたしました。
当連結会計年度における当社グループの連結業績については、ビル事業及びクオリティライフ事業において投資家向け物件売却が増加した一方、前連結会計年度に計上した大型マンションの売上の剥落、新型コロナウイルス感染拡大による影響等により、営業収益は3,349億8千万円(前期3,230億3千6百万円、前期比3.7%増)、営業利益は496億3千1百万円(前期524億1千万円、前期比5.3%減)、事業利益は498億4千7百万円(前期516億6千8百万円、前期比3.5%減)となりました。また、営業外損益の改善により、経常利益は470億7千2百万円(前期446億1千1百万円、前期比5.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は317億9千5百万円(前期297億9千6百万円、前期比6.7%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、当連結会計年度を初年度とする中期経営計画において成長を見込む海外事業等の利益を反映するため、営業利益に持分法による投資損益を加えた「事業利益」を新たな利益指標として設定しております。
また、当連結会計年度において、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度の実績値については、新セグメントに組替えて表示しております。
各セグメントの業績の概況は以下の通りであります。
(a)ビル事業
ビル事業におきましては、「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」(東京都中央区)は、権利変換計画が認可され、既存建物の解体工事に着手いたしました。豊島区旧庁舎跡地活用事業は、「Hareza Tower(ハレザタワー)」が竣工し、開業済みの「東京建物Brillia HALL(ブリリアホール)」等とあわせた「Hareza(ハレザ)池袋」(東京都豊島区)が全体開業いたしました。また、投資家向け物件として、物流施設の第1号物件「T-LOGI(ティーロジ)久喜」(埼玉県久喜市)を竣工させたほか、中規模オフィスビル、都市型ホテル等、多様なアセットタイプの新規開発を推進いたしました。
当連結会計年度におきましては、「DNP五反田ビル」(東京都品川区)の通期稼働、「Hareza Tower」の竣工、「大手町フィナンシャルシティ ノースタワー」(東京都千代田区)の売却等により収益が増加いたしました。
この結果、営業収益は1,445億5千4百万円(前期1,209億4千万円、前期比19.5%増)、営業利益は404億2千4百万円(前期370億9千5百万円、前期比9.0%増)、事業利益は408億6千5百万円(前期375億3千4百万円、前期比8.9%増)となりました。
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||||
数量等 | 営業収益 (百万円) | 数量等 | 営業収益 (百万円) | |||
ビル賃貸 | 建物賃貸面積 | 799,622㎡ | 73,902 | 建物賃貸面積 | 884,827㎡ | 74,950 |
(うち転貸面積 | 97,737㎡) | (うち転貸面積 | 96,667㎡) | |||
不動産売上 | 3件 | 12,380 | 6件 | 32,860 | ||
管理受託等 | - | 34,658 | - | 36,744 | ||
営業収益計 | - | 120,940 | - | 144,554 | ||
営業利益 | - | 37,095 | - | 40,424 | ||
事業利益 | - | 37,534 | - | 40,865 |
(b)住宅事業
住宅事業におきましては、お客様評価NO.1を目指し、分譲マンションブランド「Brillia(ブリリア)」の価値向上に努めるとともに、賃貸マンション「Brillia ist(ブリリア イスト)」の開発等にも積極的に取組んでまいりました。
当連結会計年度におきましては、住宅分譲で「Brillia Tower 高崎アルファレジデンシア」(群馬県高崎市)、「Brillia 東中野パークサイドヒルズ」(東京都中野区)、「Brillia City 千里津雲台」(大阪府吹田市)等を売上に計上いたしました。また、「Brillia ist 駒込」(東京都北区)、「Brillia ist 両国」(東京都墨田区)、「クラス青山」(東京都港区)等が新規稼働するとともに、「Arcade 荏原中延」(東京都品川区)、「ライトテラス錦糸町」(東京都墨田区)を売却し、売上に計上いたしました。
この結果、営業収益は991億6千4百万円(前期1,312億9千7百万円、前期比24.5%減)、営業利益及び事業利益は71億9千4百万円(前期158億4千6百万円、前期比54.6%減)となりました。
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||||
数量等 | 営業収益 (百万円) | 数量等 | 営業収益 (百万円) | |||
住宅分譲 | 1,316戸 | 98,397 | 1,196戸 | 64,442 | ||
宅地等売上 | - | 8,149 | - | 8,842 | ||
住宅賃貸 | 建物賃貸面積 | 87,277㎡ | 4,352 | 建物賃貸面積 | 158,230㎡ | 5,515 |
マンション管理受託 | 管理戸数 | 94,319戸 | 10,751 | 管理戸数 | 95,720戸 | 11,892 |
その他 | - | 9,646 | - | 8,471 | ||
営業収益計 | - | 131,297 | - | 99,164 | ||
営業利益 | - | 15,846 | - | 7,194 | ||
事業利益 | - | 15,846 | - | 7,194 |
(c)アセットサービス事業
アセットサービス事業におきましては、法人のお客様との関係強化による仲介事業の強化、既存の収益不動産の価値を高めて販売するアセットソリューション事業等に引き続き注力するとともに、駐車場事業における新規大型物件の受注等により、更なる収益力の強化に取組みました。
当連結会計年度におきましては、アセットソリューション事業における投資家向け物件売却が増加した一方で、駐車場事業において新型コロナウイルス感染拡大による影響等により稼働率が低下した結果、営業収益は466億6千6百万円(前期441億9千2百万円、前期比5.6%増)、営業利益及び事業利益は26億8千6百万円(前期58億9千9百万円、前期比54.5%減)となりました。
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||||
数量等 | 営業収益 (百万円) | 数量等 | 営業収益 (百万円) | |||
仲介 | 1,081件 | 3,840 | 1,018件 | 3,456 | ||
アセットソリューション(注) | - | 14,389 | - | 20,096 | ||
賃貸管理等 | - | 4,202 | - | 4,274 | ||
駐車場運営 | 車室数 | 69,401室 | 21,758 | 車室数 | 76,173室 | 18,839 |
営業収益計 | - | 44,192 | - | 46,666 | ||
営業利益 | - | 5,899 | - | 2,686 | ||
事業利益 | - | 5,899 | - | 2,686 |
(注)取得した不動産の付加価値を向上させて再販する買取再販業務を主に行っております。
(d)クオリティライフ事業
クオリティライフ事業におきましては、保育事業については、新規に「おはよう保育園関町南」(東京都練馬区)等の認可保育園3か所、初めての取組みとなる学童保育施設1か所を開設いたしました。また、シニア事業については、グループ中期経営計画に掲げる「事業ポートフォリオの最適化」を進めるため、高齢者向け住宅の運営子会社株式及び保有資産を譲渡いたしました。
この結果、営業収益は292億7千6百万円(前期84億9千万円、前期比244.8%増)、営業利益及び事業利益は76億5千2百万円(前期2億7千1百万円、前期比2,715.1%増)となりました。
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||||
数量等 | 営業収益 (百万円) | 数量等 | 営業収益 (百万円) | |||
賃貸収益 | - | 3,068 | - | 3,054 | ||
不動産売上 | - | - | 11件 | 20,458 | ||
介護サービス等 | - | 4,218 | - | 4,155 | ||
保育 | - | 1,203 | - | 1,608 | ||
営業収益計 | - | 8,490 | - | 29,276 | ||
営業利益 | - | 271 | - | 7,652 | ||
事業利益 | - | 271 | - | 7,652 |
(e)その他
リゾート事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により一時休業した施設もありましたが、年度後半は政策効果もあって稼働は持ち直しました。また、海外事業におきましては、中国(揚州市)において新たな分譲マンション事業に参画したほか、シンガポールにおいてオフィスビル再開発事業「79 ロビンソンロード」が竣工いたしました。
当連結会計年度におきましては、リゾート事業において新型コロナウイルス感染拡大による影響等により既存施設の稼働が低下したことなどから、営業収益は153億1千7百万円(前期181億1千5百万円、前期比15.4%減)、営業利益は12億3千5百万円(前期14億9千7百万円、前期比17.5%減)となりました。また、海外事業において持分法投資損益が改善したこと等により、事業利益は10億1千1百万円(前期3億1千5百万円、前期比220.2%増)となりました。
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||||
営業収益 (百万円) | 営業収益 (百万円) | |||||
リゾート事業 | 14,779 | 11,381 | ||||
その他 | 3,336 | 3,936 | ||||
営業収益計 | 18,115 | 15,317 | ||||
営業利益 | 1,497 | 1,235 | ||||
事業利益 | 315 | 1,011 |
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1兆6,246億4千万円となり、前連結会計年度末比で605億9千万円の増加となりました。これは、投資有価証券の減少があった一方で、現金及び預金、販売用不動産並びに有形固定資産及び無形固定資産の増加があったこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1兆2,255億1千万円となり、前連結会計年度末比で456億7千2百万円の増加となりました。これは、有利子負債の増加等によるものであります。なお、有利子負債残高(リース債務除く)は9,768億9千6百万円となり、前連結会計年度末比で520億4百万円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,991億2千9百万円となり、前連結会計年度末比で149億1千7百万円の増加となりました。これは、その他有価証券評価差額金の減少があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益による増加があったこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により435億2千4百万円増加、投資活動により667億2千4百万円減少、財務活動により383億7百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比で151億4千8百万円増加し、546億4千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、435億2千4百万円(前期比194億2千8百万円増加)となりました。これは主に、たな卸資産の増加による資金の減少があった一方、税金等調整前当期純利益及び減価償却費による資金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、667億2千4百万円(前期比26億4千2百万円減少)となりました。これは主に、固定資産の取得による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、383億7百万円(前期比96億9千3百万円減少)となりました。これは主に、長期借入れによる資金の増加があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績については、「① 経営成績の状況」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年度に策定したグループ中期経営計画(2020~2024年度)において、最終年度である2024年度の利益目標として、連結事業利益750億円を掲げております。また、D/Eレシオ2.4倍程度、有利子負債/EBITDA倍率12倍程度を目標達成に向けた財務指針として設定しております。
なお、当連結会計年度における達成状況は次の通りであります。
2020年12月期 実績 | |
連結事業利益 | 498億円 |
D/Eレシオ | 2.5倍 |
有利子負債/EBITDA倍率 | 13.4倍 |
② 経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの連結業績については、ビル事業及びクオリティライフ事業において投資家向け物件売却が増加した一方、前連結会計年度に計上した大型マンションの売上の剥落、新型コロナウイルス感染拡大による影響等により、営業収益は3,349億8千万円(前期3,230億3千6百万円、前期比3.7%増)、営業利益は496億3千1百万円(前期524億1千万円、前期比5.3%減)、事業利益は498億4千7百万円(前期516億6千8百万円、前期比3.5%減)となりました。また、営業外損益の改善により、経常利益は470億7千2百万円(前期446億1千1百万円、前期比5.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は317億9千5百万円(前期297億9千6百万円、前期比6.7%増)となりました。
各セグメントの業績概要については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載の通りであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は主に不動産の取得・開発資金であり、これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行等により資金調達を行っております。また、当社及び主要な連結子会社は、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入することにより、各社の余剰資金を当社へ集約し、一元管理を行うことで、資金の効率化を図っております。
なお、資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に、財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載の通りであります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって当社グループが採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載の通りであります。連結財務諸表の作成における見積りについては、過去の実績、現在の状況並びに今後の見通しを勘案のうえ、合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、当社グループが特に重要と考えるものは以下の通りであります。なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う会計上の見積りは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載の通りであります。
(a)固定資産の評価
資産又は資産グループに、減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)があり、投資額の回収が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として特別損失に計上しております。減損の兆候は、資産等の営業活動から生じる損益、使用範囲又は方法の変化、経営環境の変化、市場価格の下落等を踏まえ総合的に判断しており、回収可能価額は、資産等の正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額としております。
回収可能価額については、不動産鑑定評価額又は実績及び今後の市場動向等を踏まえた事業計画に基づく将来キャッシュ・フローの見積額及び割引率により算定しております。
事業環境の変化等により、見積額及び割引率の前提条件等に変更が生じた際は、翌年度以降に追加の減損損失の計上が必要となる可能性があります。
(b)たな卸資産(販売用不動産等)の評価
通常の販売目的で保有する販売用不動産等は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、収益性の低下により正味売却価額が取得原価よりも下落している場合は、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、差額を簿価切下額として営業原価に計上しております。正味売却価額については、販売実績、周辺事例及び今後の市場動向等を踏まえた事業計画に基づき、販売見込額から今後発生原価及び販売経費の見積額を控除して算定しております。
事業環境の変化等により、販売見込額及び見積額の前提条件等に変更が生じた際は、翌年度以降に追加の簿価切下額の計上が必要となる可能性があります。