有価証券報告書-第80期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/30 10:03
【資料】
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【項目】
139項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は、北海道江別市、宮城県大崎市、群馬県伊勢崎市、滋賀県長浜市、滋賀県日野町及び岡山県瀬戸内市に倉庫を新増設し、東京都中央区に賃貸等不動産を取得、栃木県宇都宮市、群馬県伊勢崎市、群馬県太田市、富山県高岡市及び大阪府茨木市に事業用地を取得するなど業容の拡大に向けて積極的な設備投資や営業活動を行ってまいりました。しかしながら、当社グループにおいても国内外で新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けることとなりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高1,825億36百万円(前期比8.5%減)、営業利益181億91百万円(同12.9%減)、経常利益205億72百万円(同8.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益145億44百万円(同13.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
運送事業
新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより貨物取扱量が減少した結果、売上高は845億53百万円(前期比9.7%減)となりました。営業利益は、人件費、燃料費及び外注費等の減少はありましたが、売上高減少の影響を受け46億86百万円(前期比9.9%減)となりました。
倉庫事業
新型コロナウイルス感染症拡大の影響はありましたが、継続的に行ってきた倉庫の新増設の効果等により保管貨物量が増加した結果、売上高は320億83百万円(前期比3.3%増)となりました。営業利益は、減価償却費等が増加し75億49百万円(前期比2.6%減)となりました。
梱包事業
新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより業務量が大幅に減少した結果、売上高は401億36百万円(前期比14.4%減)となりました。営業利益は、人件費や外注費等の減少がありましたが、売上高減少の影響を受け23億65百万円(前期比36.2%減)となりました。
テスト事業
新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより業務量が減少した結果、売上高は204億63百万円(前期比7.9%減)となりました。営業利益は、売上高の減少に加え昨年4月に稼働した研究開発棟の減価償却費の増加などにより28億9百万円(前期比29.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は303億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億53百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は232億29百万円となり、前連結会計年度に比べ26億71百万円減少しました。これは主に、減少要因として税金等調整前当期純利益が30億4百万円、売上債権の増減額によるキャッシュ・フローが18億34百万円それぞれ減少した一方、増加要因として、法人税等の支払額が10億64百万円減少、その他の負債の増減額によるキャッシュ・フローが4億93百万円、賞与引当金の増減額によるキャッシュ・フローが4億48百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は254億2百万円となり、前連結会計年度に比べ55億35百万円増加しました。これは主に、増加要因として有形固定資産の取得による支出が35億44百万円増加、投資有価証券の売却による収入が7億55百万円、有形固定資産の売却による収入が4億69百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は14億73百万円となり、前連結会計年度に比べ20億57百万円増加しました。これは主に、増加要因として自己株式の取得による支出が14億74百万円、配当金の支払額が1億51百万円それぞれ減少、長期借入による収入が1億30百万円増加したことによるものです。
③販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
金額(百万円)構成比(%)前年同期比(%)
運送事業84,55346.390.3
倉庫事業32,08317.6103.3
梱包事業40,13622.085.6
テスト事業20,46311.292.1
その他事業5,3002.992.7
合計182,536100.091.5

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
本田技研工業㈱17,1178.629,05515.9

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は745億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億77百万円増加しました。これは主に受取手形及び売掛金が9億17百万円増加したことによるものであります。固定資産は2,475億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ235億72百万円増加しました。これは主に、北海道江別市、宮城県大崎市、群馬県伊勢崎市、滋賀県長浜市、滋賀県日野町及び岡山県瀬戸内市に倉庫を新増設、東京都中央区に賃貸等不動産を取得、栃木県宇都宮市、群馬県伊勢崎市、群馬県太田市、富山県高岡市及び大阪府茨木市に事業用地を取得したことなどにより有形固定資産が182億14百万円、政策保有株式の時価が上昇したことなどに伴い投資有価証券が47億7百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、総資産は3,221億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ246億50百万円増加しました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は462億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億5百万円減少しました。これは主に社債の償還により1年内償還予定の社債が100億円、一部の子会社において電子手形による支払いを導入したことに伴い、設備関係支払手形が26億30百万円、支払手形及び買掛金が14億66百万円それぞれ減少した一方、電子記録債務が12億98百万円、営業外電子記録債務が54億27百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は675億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ178億60百万円増加しました。これは主に社債償還資金及び設備資金を社債により200億円調達したことによるものであります。
この結果、負債合計は1,138億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ96億55百万円増加しました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は2,082億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ149億94百万円増加しました。これは主に利益剰余金が98億77百万円、その他有価証券評価差額金が33億47百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は64.5%(前連結会計年度末は64.8%)となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は1,825億36百万円(前期比8.5%減)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループの主要顧客である自動車関連をはじめとして各業種において貨物取扱量及び業務量が大きく減少しました。セグメント別の売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は181億91百万円(前期比12.9%減)となりました。コストの削減や業務の効率化に努めましたが、売上高の減少の影響を回避するには至りませんでした。セグメント別の営業利益につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は27億80百万円(前期比19.6%増)となりました。これは主に土地収用等に伴う受取補償金が大幅に増加したこと及び為替差益の計上があったことによるものです。営業外費用は3億98百万円(前期比42.3%減)となりました。これは主に為替が円安に振れたことに伴い前連結会計年度に発生した為替差損がなくなったことによるものであります。
この結果、経常利益は205億72百万円(前期比8.7%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は9億56百万円となり、前期に比べ9億74百万円減少しました。これは主に固定資産売却益が4億77百万円、投資有価証券売却益が6億64百万円それぞれ減少したことによるものであります。特別損失は1億31百万円となり、前期に比べ76百万円増加しました。これは主に建物取り壊しに係る固定資産除却損が増加したことによります。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は145億44百万円(前期比13.0%減)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における資金需要としては、事業を行うための費用や一般管理費などの営業費用としての運転資金と主に倉庫、作業所及び事業用車両等の固定資産購入のための設備資金があります。
当社グループでは、運転資金につきましては内部資金のほか必要に応じてコマーシャルペーパーや金融機関からの借入金で賄い、設備資金につきましては内部資金のほか必要に応じて固定金利の普通社債及び金融機関からの借入金で賄うことを基本としております。当連結会計年度末における普通社債の残高は400億円、借入金の残高は188億76百万円であります。
e.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年4月1日から3か年の中期経営計画「第12次中期経営計画(Challenge12)」をスタートさせ、最終年度である2023年3月期の目標として売上高2,300億円、営業利益230億円、営業利益率10.0%、自己資本当期純利益率(ROE)8.0%を掲げております。
その初年度である当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が当初の想定より長引いていることから、売上高は1,825億36百万円、営業利益は181億91百万円となり中期経営計画1年目の目標には至りませんでした。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果とは異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.減損会計における将来キャッシュ・フロー
「第5 経理の状況 1連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b.退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
退職給付債務及び退職給付費用の算定において、主要な仮定の変化が当連結会計年度末の退職給付債務及び退職給付費用に与える感応度は以下のとおりであります。マイナス(△)は退職給付債務の減少を、プラスは退職給付債務の増加を表しております。感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としております。
当連結会計年度末(2021年3月31日)
数理計算上の仮定の変化退職給付債務に与える影響(百万円)
割引率0.5%の上昇△872
0.5%の低下944
数理計算上の仮定の変化退職給付費用に与える影響(百万円)
期待運用収益率0.5%の上昇△52
0.5%の低下52

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。