有価証券報告書-第157期(2024/04/01-2025/03/31)
世界経済は、中東情勢、米中対立等の地政学的リスクの高まり、欧米等のインフレ・金利の高止まりなど不透明な状況が継続しました。一方、国内経済は、サービス消費やインバウンド需要の回復を背景に、緩やかに成長しました。
海運市況は、自営事業のドライバルク事業、エネルギー資源輸送事業、並びに自動車船事業において、それぞれ順調な貨物需要により、堅調に推移しました。コンテナ船事業に関しても、旺盛な貨物需要と中東情勢の悪化に伴う喜望峰経由への迂回航行により、概ねタイトな船腹需給が継続し、市況は堅調に推移しました。
このような事業環境のなか、当社は2022年度から5か年の中期経営計画を着実に実行しています。低炭素・脱炭素社会の実現を事業機会として成長戦略を策定し、ポートフォリオ戦略に基づき、成長の牽引役となる3つの事業に対して経営資源を集中的に配分し、また、当社グループの重要な事業部門であるコンテナ船事業については、株主として持分法適用関連会社であるONE社の持続的な成長と発展のために支援を強化します。そのうえで最適資本構成を目指し、バランスのとれた成長投資と株主還元を軸としたキャッシュアロケーションも進めます。これらの取組みを通じて、環境負荷を軽減し、持続可能な社会の実現に向けて、企業価値を継続的に向上させることで、全てのステークホルダーに信頼され続ける会社を目指してまいります。
当期業績について、自営事業は全てのセグメントで黒字を確保しました。一過性要因によりエネルギー資源セグメントの業績が前期比で悪化したものの、ドライバルクセグメントと自動車船事業を中心とした製品物流セグメントの業績改善と為替影響により、自営事業全体としては前期を上回りました。また、ONE社の業績は旺盛な貨物需要を背景に前期比で改善しました。
株主還元政策に関しては、業績動向を見極め、最適資本構成を常に意識し、企業価値向上に必要な投資及び財務健全性を確保のうえ、適正資本を超える部分についてはキャッシュ・フローを踏まえて、自己株式取得を含めた株主還元を積極的に実施しました。
これらの結果、当期の連結売上高は1兆479億円、営業利益は1,028億円、経常利益は3,080億円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,053億円となりました。
なお、持分法による投資利益として2,020億円を計上しました。うち、当社の持分法適用関連会社であるONE社からの持分法による投資利益の計上額は2,012億円です。
経営計画の主な内容は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期的な会社の経営戦略、(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
事業環境が大きく変化しているなか、当社グループは2022年度から2026年度までの5か年の中期経営計画を公表しました。当社グループならではの強みである専門機能を磨き上げ、2050年に向けた自社と社会の低炭素・脱炭素化の実現と、収益成長を両立させるための長期経営ビジョンを達成していくため、中期経営計画で策定した施策を実行しています。
業績等の概要
(1)業績
為替レートと燃料油価格が経常利益に与えた影響は以下のとおりです。
<為替の推移(円/US$)> <消費燃料油価格の推移(US$/MT)>
(注)為替・消費燃料油価格(平均補油価格)とも、当社社内値です。
当連結会計年度の期首より、在外子会社等の収益及び費用は、決算日の直物為替相場により円貨に換算する方法から、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更し、遡及適用後の数値で前連結会計年度との比較を行っています。
また、当連結会計年度の事業セグメントごとの業績は、次のとおりです。
① ドライバルクセグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、年明けに鉄鉱石産地の雨季・荒天の影響による出荷の減退に伴い一時軟化しましたが、輸送需要に支えられ概ね堅調に推移しました。
中・小型船市況は、上半期は堅調に推移、下半期に中国向けのとうもろこし及び石炭の荷動き鈍化により軟化しましたが、期末に上昇に転じました。
このような状況下、ドライバルクセグメントでは、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減や配船効率向上に努めました。
ドライバルクセグメント全体では、前期比で増収増益となりました。
② エネルギー資源セグメント
[液化天然ガス輸送船事業・電力事業・油槽船事業・海洋事業]
LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は、中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
エネルギー資源セグメント全体では、一過性の要因により前期比で減収減益となりました。
③ 製品物流セグメント
[自動車船事業]
世界自動車販売市場は、半導体及び自動車部品の供給不足が概ね解消され、回復基調が継続しました。また、運賃修復及び運航効率の改善に引き続き取り組みました。
[物流事業]
国内物流・港湾事業では、コンテナ船ターミナル取扱量、曳船事業の作業数及び倉庫事業の取扱量はそれぞれ堅調に推移しました。国際物流事業では、フォワーディング事業における半導体関連や自動車関連貨物の荷量が前期比で増加、収益改善につながりました。完成車物流事業は、豪州各港での取扱量に影響を与える新車販売台数は高く推移し、第2四半期以降続いていた検疫問題による寄港隻数の減少等の影響も改善し、2025年初めから取扱台数も回復しました。
[近海・内航事業]
近海事業では、鋼材の新規契約獲得及び堅調なバイオマス燃料輸送により、輸送量は前期比で増加しました。内航事業では、定期船輸送での農水産物や建築部材等の荷動きが堅調に推移したものの、フェリー輸送の稼働減や一部航路の減便により輸送量は前期比で減少しました。不定期船は順調な稼働により輸送量は前期比で増加しました。
[コンテナ船事業]
当社持分法適用関連会社であるONE社の業績は、堅調な個人消費と中東情勢に起因する喜望峰ルート利用の長期化や港湾混雑による船腹需要の高まりを背景に好調に推移しました。
旧正月以降、荷動きの鈍化や船舶の供給過剰を受け運賃市況は下落傾向にあるものの、前期比では大幅な増収増益となりました。
製品物流セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。
④ その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、前期比で増収となるも減益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,015億円となり、前連結会計年度末より679億円減少しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益等により、当連結会計年度は2,731億円のプラス(前連結会計年度は2,024億円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得等により、当連結会計年度は1,261億円のマイナス(前連結会計年度は663億円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得、配当金の支払い及び長期借入金の返済等により、当連結会計年度は2,116億円のマイナス(前連結会計年度は2,231億円のマイナス)となりました。
生産、受注及び販売の状況
当社グループは、海運業を中核とする海運事業グループであり、ドライバルク事業、エネルギー資源事業、製品物流事業を行っています。このほか、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等を展開しています。したがって、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)の実績は、下記のとおりです。
当社(川崎汽船㈱)の営業収益実績(参考)
提出会社のセグメント別営業収益の実績は、下記のとおりです。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前年度に比べ9.4%増収の1兆479億円となりました。報告セグメント別では、ドライバルクセグメントは、前年度に比べ、9.8%増収の3,223億円となりました。エネルギー資源セグメントは、前年度に比べ、3.5%減収の1,019億円となり、製品物流セグメントは、前年度に比べ、11.7%増収の6,128億円となりました。その他の区分は、7.2%増収となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前年度の7,983億円から673億円増加し、8,656億円(前年度比8.4%増)となりました。営業収入に対する売上原価の比率は0.7ポイント減少して82.6%となりました。販売費及び一般管理費は39億円増加し、793億円(前年度比5.2%増)となりました。
③ 営業利益
売上総利益の増加により、前年度の841億円の営業利益に対し1,028億円の営業利益となりました。
④ 営業外収益(費用)
2,020億円の持分法による投資利益(前年度は491億円の持分法による投資利益)を計上したことが主な要因となり、営業外損益は2,052億円の利益(前年度は485億円の利益)となりました。
⑤ 税金等調整前当期純利益
固定資産売却益などにより特別利益は123億円となりました。また、訴訟損失引当金繰入額などにより特別損失は5億円となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は3,199億円(前年度は1,308億円の税金等調整前当期純利益)となりました。
⑥ 法人税等
法人税等は、主として法人税、住民税及び事業税の減少により、前年度の267億円から143億円減少し123億円となりました。
⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、日東物流㈱などの非支配株主に帰属する当期純利益が増加し、前年度の21億円に対し、22億円となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の1,019億円に対し、3,053億円となりました。1株当たり当期純利益は、前年度の141.37円に対し、460.11円となりました。
(注)2024年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合の株式分割を行っています。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり当期純利益金額を算定しています。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのドライバルク事業や自動車船事業の運営に関わる海運業費用です。この中には港費・貨物費・燃料費などの運航費、船員費・船舶修繕費などの船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては船舶投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に1,334億円の設備投資を実施しました。
③ 財務政策
当社グループの事業維持・拡大を支える低コストで安定的な資金の確保を重視しています。長期の資金需要に対しては金融機関からの長期借入金を中心に、社債発行、新株発行により調達しています。短期的な運転資金を銀行借入、コマーシャルペーパー(CP)発行等により調達し、一時的な余資は安定性・流動性の高い金融資産で運用しています。また、キャッシュマネージメントシステム等を利用して、国内・海外グループ会社の余剰資金を有効活用しています。
流動性の確保としまして、CP発行枠600億円に加え、国内金融機関と約1,400億円の複数年のコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要に備えています。
当社は日本格付研究所(JCR)から格付を取得しており、2025年3月31日現在の発行体格付は、「A-」となっています。また、短期債格付(CP格付)については「J-1」を取得しています。
(4)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前年度末比1,006億円増加し2兆2,100億円となりました。流動資産は、現金及び預金の減少等により、前年度末比849億円減少し4,033億円となりました。
固定資産は前年度末比1,855億円増加し1兆8,066億円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、船舶の増加等により、前年度末比783億円増加し4,886億円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の増加等により、前年度末比1,059億円増加し1兆3,107億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前年度末比477億円増加し5,325億円となりました。支払手形及び営業未払金の減少等により、流動負債は2,054億円となり、長期借入金の増加等により、固定負債は3,271億円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末比528億円増加し、1兆6,774億円となりました。純資産のうち株主資本は、主に利益剰余金が698億円増加したことにより、1兆3,484億円となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が減少したことを主な要因として、前年度末比163億円減少し2,999億円となりました。
海運市況は、自営事業のドライバルク事業、エネルギー資源輸送事業、並びに自動車船事業において、それぞれ順調な貨物需要により、堅調に推移しました。コンテナ船事業に関しても、旺盛な貨物需要と中東情勢の悪化に伴う喜望峰経由への迂回航行により、概ねタイトな船腹需給が継続し、市況は堅調に推移しました。
このような事業環境のなか、当社は2022年度から5か年の中期経営計画を着実に実行しています。低炭素・脱炭素社会の実現を事業機会として成長戦略を策定し、ポートフォリオ戦略に基づき、成長の牽引役となる3つの事業に対して経営資源を集中的に配分し、また、当社グループの重要な事業部門であるコンテナ船事業については、株主として持分法適用関連会社であるONE社の持続的な成長と発展のために支援を強化します。そのうえで最適資本構成を目指し、バランスのとれた成長投資と株主還元を軸としたキャッシュアロケーションも進めます。これらの取組みを通じて、環境負荷を軽減し、持続可能な社会の実現に向けて、企業価値を継続的に向上させることで、全てのステークホルダーに信頼され続ける会社を目指してまいります。
当期業績について、自営事業は全てのセグメントで黒字を確保しました。一過性要因によりエネルギー資源セグメントの業績が前期比で悪化したものの、ドライバルクセグメントと自動車船事業を中心とした製品物流セグメントの業績改善と為替影響により、自営事業全体としては前期を上回りました。また、ONE社の業績は旺盛な貨物需要を背景に前期比で改善しました。
株主還元政策に関しては、業績動向を見極め、最適資本構成を常に意識し、企業価値向上に必要な投資及び財務健全性を確保のうえ、適正資本を超える部分についてはキャッシュ・フローを踏まえて、自己株式取得を含めた株主還元を積極的に実施しました。
これらの結果、当期の連結売上高は1兆479億円、営業利益は1,028億円、経常利益は3,080億円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,053億円となりました。
なお、持分法による投資利益として2,020億円を計上しました。うち、当社の持分法適用関連会社であるONE社からの持分法による投資利益の計上額は2,012億円です。
経営計画の主な内容は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期的な会社の経営戦略、(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
事業環境が大きく変化しているなか、当社グループは2022年度から2026年度までの5か年の中期経営計画を公表しました。当社グループならではの強みである専門機能を磨き上げ、2050年に向けた自社と社会の低炭素・脱炭素化の実現と、収益成長を両立させるための長期経営ビジョンを達成していくため、中期経営計画で策定した施策を実行しています。
業績等の概要
(1)業績
| (単位:億円) |
| 前連結会計年度 (2024年3月期) | 当連結会計年度 (2025年3月期) | 増減額 (増減率) | ||
| 売上高 | 9,579 | 10,479 | 900 | (9.4%) |
| 営業利益 | 841 | 1,028 | 187 | (22.2%) |
| 経常利益 | 1,327 | 3,080 | 1,753 | (132.1%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,019 | 3,053 | 2,033 | (199.4%) |
為替レートと燃料油価格が経常利益に与えた影響は以下のとおりです。
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 影響額 | ||
| 為替レート(円/US$) | 144 | 153 | 9 | 225 | 億円 |
| 燃料油価格(US$/MT) | 620 | 610 | △10 | △0 | 億円 |
<為替の推移(円/US$)> <消費燃料油価格の推移(US$/MT)>

(注)為替・消費燃料油価格(平均補油価格)とも、当社社内値です。当連結会計年度の期首より、在外子会社等の収益及び費用は、決算日の直物為替相場により円貨に換算する方法から、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更し、遡及適用後の数値で前連結会計年度との比較を行っています。
また、当連結会計年度の事業セグメントごとの業績は、次のとおりです。
| (単位:億円) | |||||
| 前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 増減額 (増減率) | |||
| ドライバルク | 売上高 | 2,935 | 3,223 | 288 | (9.8%) |
| セグメント損益 | 35 | 135 | 100 | (278.4%) | |
| エネルギー 資源 | 売上高 | 1,056 | 1,019 | △37 | (△3.5%) |
| セグメント損益 | 75 | 49 | △25 | (△33.5%) | |
| 製品物流 | 売上高 | 5,486 | 6,128 | 641 | (11.7%) |
| セグメント損益 | 1,286 | 2,943 | 1,657 | (128.8%) | |
| その他 | 売上高 | 100 | 108 | 7 | (7.2%) |
| セグメント損益 | 14 | 9 | △4 | (△32.4%) | |
① ドライバルクセグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、年明けに鉄鉱石産地の雨季・荒天の影響による出荷の減退に伴い一時軟化しましたが、輸送需要に支えられ概ね堅調に推移しました。
中・小型船市況は、上半期は堅調に推移、下半期に中国向けのとうもろこし及び石炭の荷動き鈍化により軟化しましたが、期末に上昇に転じました。
このような状況下、ドライバルクセグメントでは、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減や配船効率向上に努めました。
ドライバルクセグメント全体では、前期比で増収増益となりました。
② エネルギー資源セグメント
[液化天然ガス輸送船事業・電力事業・油槽船事業・海洋事業]
LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は、中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
エネルギー資源セグメント全体では、一過性の要因により前期比で減収減益となりました。
③ 製品物流セグメント
[自動車船事業]
世界自動車販売市場は、半導体及び自動車部品の供給不足が概ね解消され、回復基調が継続しました。また、運賃修復及び運航効率の改善に引き続き取り組みました。
[物流事業]
国内物流・港湾事業では、コンテナ船ターミナル取扱量、曳船事業の作業数及び倉庫事業の取扱量はそれぞれ堅調に推移しました。国際物流事業では、フォワーディング事業における半導体関連や自動車関連貨物の荷量が前期比で増加、収益改善につながりました。完成車物流事業は、豪州各港での取扱量に影響を与える新車販売台数は高く推移し、第2四半期以降続いていた検疫問題による寄港隻数の減少等の影響も改善し、2025年初めから取扱台数も回復しました。
[近海・内航事業]
近海事業では、鋼材の新規契約獲得及び堅調なバイオマス燃料輸送により、輸送量は前期比で増加しました。内航事業では、定期船輸送での農水産物や建築部材等の荷動きが堅調に推移したものの、フェリー輸送の稼働減や一部航路の減便により輸送量は前期比で減少しました。不定期船は順調な稼働により輸送量は前期比で増加しました。
[コンテナ船事業]
当社持分法適用関連会社であるONE社の業績は、堅調な個人消費と中東情勢に起因する喜望峰ルート利用の長期化や港湾混雑による船腹需要の高まりを背景に好調に推移しました。
旧正月以降、荷動きの鈍化や船舶の供給過剰を受け運賃市況は下落傾向にあるものの、前期比では大幅な増収増益となりました。
製品物流セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。
④ その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、前期比で増収となるも減益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,015億円となり、前連結会計年度末より679億円減少しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益等により、当連結会計年度は2,731億円のプラス(前連結会計年度は2,024億円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得等により、当連結会計年度は1,261億円のマイナス(前連結会計年度は663億円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得、配当金の支払い及び長期借入金の返済等により、当連結会計年度は2,116億円のマイナス(前連結会計年度は2,231億円のマイナス)となりました。
生産、受注及び販売の状況
当社グループは、海運業を中核とする海運事業グループであり、ドライバルク事業、エネルギー資源事業、製品物流事業を行っています。このほか、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等を展開しています。したがって、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)の実績は、下記のとおりです。
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 比率(%) | 金額(百万円) | 比率(%) | |
| ドライバルク | 293,516 | 30.6 | 322,357 | 30.8 |
| エネルギー資源 | 105,662 | 11.0 | 101,917 | 9.7 |
| 製品物流 | 548,671 | 57.3 | 612,857 | 58.5 |
| その他 | 10,089 | 1.1 | 10,812 | 1.0 |
| 合計 | 957,939 | 100.0 | 1,047,944 | 100.0 |
当社(川崎汽船㈱)の営業収益実績(参考)
提出会社のセグメント別営業収益の実績は、下記のとおりです。
| 区分 | 前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 比率(%) | 金額(百万円) | 比率(%) | |
| (ドライバルク) | 280,797 | 36.7 | 307,207 | 36.5 |
| (エネルギー資源) | 84,810 | 11.1 | 84,585 | 10.1 |
| (製品物流) | 398,676 | 52.2 | 448,785 | 53.4 |
| 海運業収益 | 764,284 | 100.0 | 840,578 | 100.0 |
| (その他) | 49 | 0.0 | 50 | 0.0 |
| その他事業収益 | 49 | 0.0 | 50 | 0.0 |
| 合計 | 764,334 | 100.0 | 840,628 | 100.0 |
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前年度に比べ9.4%増収の1兆479億円となりました。報告セグメント別では、ドライバルクセグメントは、前年度に比べ、9.8%増収の3,223億円となりました。エネルギー資源セグメントは、前年度に比べ、3.5%減収の1,019億円となり、製品物流セグメントは、前年度に比べ、11.7%増収の6,128億円となりました。その他の区分は、7.2%増収となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前年度の7,983億円から673億円増加し、8,656億円(前年度比8.4%増)となりました。営業収入に対する売上原価の比率は0.7ポイント減少して82.6%となりました。販売費及び一般管理費は39億円増加し、793億円(前年度比5.2%増)となりました。
③ 営業利益
売上総利益の増加により、前年度の841億円の営業利益に対し1,028億円の営業利益となりました。
④ 営業外収益(費用)
2,020億円の持分法による投資利益(前年度は491億円の持分法による投資利益)を計上したことが主な要因となり、営業外損益は2,052億円の利益(前年度は485億円の利益)となりました。
⑤ 税金等調整前当期純利益
固定資産売却益などにより特別利益は123億円となりました。また、訴訟損失引当金繰入額などにより特別損失は5億円となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は3,199億円(前年度は1,308億円の税金等調整前当期純利益)となりました。
⑥ 法人税等
法人税等は、主として法人税、住民税及び事業税の減少により、前年度の267億円から143億円減少し123億円となりました。
⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、日東物流㈱などの非支配株主に帰属する当期純利益が増加し、前年度の21億円に対し、22億円となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の1,019億円に対し、3,053億円となりました。1株当たり当期純利益は、前年度の141.37円に対し、460.11円となりました。
(注)2024年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合の株式分割を行っています。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり当期純利益金額を算定しています。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのドライバルク事業や自動車船事業の運営に関わる海運業費用です。この中には港費・貨物費・燃料費などの運航費、船員費・船舶修繕費などの船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては船舶投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に1,334億円の設備投資を実施しました。
③ 財務政策
当社グループの事業維持・拡大を支える低コストで安定的な資金の確保を重視しています。長期の資金需要に対しては金融機関からの長期借入金を中心に、社債発行、新株発行により調達しています。短期的な運転資金を銀行借入、コマーシャルペーパー(CP)発行等により調達し、一時的な余資は安定性・流動性の高い金融資産で運用しています。また、キャッシュマネージメントシステム等を利用して、国内・海外グループ会社の余剰資金を有効活用しています。
流動性の確保としまして、CP発行枠600億円に加え、国内金融機関と約1,400億円の複数年のコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要に備えています。
当社は日本格付研究所(JCR)から格付を取得しており、2025年3月31日現在の発行体格付は、「A-」となっています。また、短期債格付(CP格付)については「J-1」を取得しています。
(4)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前年度末比1,006億円増加し2兆2,100億円となりました。流動資産は、現金及び預金の減少等により、前年度末比849億円減少し4,033億円となりました。
固定資産は前年度末比1,855億円増加し1兆8,066億円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、船舶の増加等により、前年度末比783億円増加し4,886億円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の増加等により、前年度末比1,059億円増加し1兆3,107億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前年度末比477億円増加し5,325億円となりました。支払手形及び営業未払金の減少等により、流動負債は2,054億円となり、長期借入金の増加等により、固定負債は3,271億円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末比528億円増加し、1兆6,774億円となりました。純資産のうち株主資本は、主に利益剰余金が698億円増加したことにより、1兆3,484億円となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が減少したことを主な要因として、前年度末比163億円減少し2,999億円となりました。