有価証券報告書-第155期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/23 14:52
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世界経済は、中国のゼロコロナ政策解除など新型コロナウイルス感染症の影響から回復しつつありますが、ロシア・ウクライナ情勢の影響によるエネルギー資源価格の上昇などによるインフレ圧力や、米中対立を中心とした世界経済の分断による影響の懸念が継続しています。一方、国内経済は、新型コロナウイルス感染症による活動制限の緩和を背景に、緩やかな成長となりました。海運市況は、一時的な貨物需要の落ち込みによりコンテナ市況が軟化しましたが、自動車船事業をはじめとして、ドライバルク事業、エネルギー資源輸送事業などで貨物需要が安定して推移したことにより、安定的な市況を保ちました。このような事業環境のなか、当社は2022年5月に、2022年度から5か年の中期経営計画を発表しました。低炭素・脱炭素社会の実現に貢献する事業領域への挑戦を事業機会として成長戦略を策定し、ポートフォリオ戦略に基づき、成長の牽引役となる3つの事業に対して経営資源を集中的に配分、また、当社グループの重要な事業部門であるコンテナ船事業については、株主として当社持分法適用関連会社であるONE社の持続的な成長と発展のために支援を強化してまいります。そのうえで最適資本構成を目指し、バランスのとれた成長投資と株主還元を軸としたキャッシュアロケーションも進めてまいります。これらの取組みを通じて、環境負荷を軽減し、持続可能な社会の実現に向けて、企業価値を継続的に向上させることで、全てのステークホルダーに信頼され続ける会社を目指してまいります。
自営事業では構造改革の完遂による船隊適正化、効率的な運航・配船の実施継続による運航コストの削減、顧客密着の営業体制強化による中長期契約の新規獲得、グループ内事業とのシナジー創出に向けた取組み継続などにより、前期に引き続き全てのセグメントで黒字となりました。また、ONE社の業績は、上半期において市況が高水準で推移した一方、米国の金利引き上げなどによる消費の減退と季節要因が重なり、下半期以降は一時的な貨物需要の落ち込みにより市況は軟化しました。当社は、中期経営計画に則った企業価値向上へ向けた取組みによる効果及び市況・荷況などの外的要因から、自営事業を中心として収益が改善しました。また、営業・財務キャッシュ・フロー双方で得たキャッシュを企業価値向上に必要な事業投資に配分したうえでの、積極的な株主還元を実施しました。
これらの結果、当期の連結売上高は9,426億円、営業利益は788億円、経常利益は6,908億円、親会社株主に帰属する当期純利益は6,949億円となりました。
なお、ONE社の業績好調などにより、持分法による投資利益として6,277億円を計上しました。うち、ONE社からの持分法による投資利益計上額は累計期間6,206億円、当第4四半期連結会計期間においては536億円となります。
経営計画の主な内容は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期的な会社の経営戦略、(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
事業環境が大きく変化しているなか、当社グループは2022年度から2026年度までの5か年の中期経営計画を公表しました。当社グループならではの強みである専門機能を磨き上げ、2050年に向けた自社と社会の低炭素・脱炭素化の実現と、収益成長を両立させるための長期経営ビジョンを達成していくため、中期経営計画で策定した施策を実行しています。
業績等の概要
(1)業績
(単位:億円)

前連結会計年度
(2022年3月期)
当連結会計年度
(2023年3月期)
増減額 (増減率)
売上高7,5699,4261,856(24.5%)
営業利益176788611(346.4%)
経常利益6,5756,908333(5.1%)
親会社株主に帰属する当期純利益6,4246,949524(8.2%)

為替レートと燃料油価格が経常利益に与えた影響は以下のとおりです。
前連結会計年度当連結会計年度増減額影響額
為替レート(円/US$)11213523717億円
燃料油価格(US$/MT)551769218△12億円

<為替の推移(円/US$)> <消費燃料油価格の推移(US$/MT)>0102010_004.png0102010_005.png(注)為替・消費燃料油価格(平均補油価格)とも、当社社内値です。
また、当連結会計年度の事業セグメントごとの業績は、次のとおりです。
(単位:億円)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
増減額 (増減率)
ドライバルク売上高2,7643,122357(12.9%)
セグメント損益237216△21(△9.0%)
エネルギー
資源
売上高8971,002104(11.7%)
セグメント損益479850(106.6%)
製品物流売上高3,8015,1971,395(36.7%)
セグメント損益6,4086,700292(4.6%)
その他売上高105103△2(△2.5%)
セグメント損益△189(-)

① ドライバルクセグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、期首には新型コロナウイルス感染症対策に伴う港湾の混雑による滞船の影響で船腹供給が引き締まったことにより高水準で推移しました。期央から年末にかけては、こうした影響の緩和に加えて中国のゼロコロナ政策による内需減退に起因した中国向け輸送需要減少により市況は軟化しました。期末にかけては、同政策終了後の景気刺激策による鉄鋼需要回復への期待感から、市況は上昇しました。
中・小型船市況は、期首にはインド向け石炭輸送や欧州向け鋼材輸送需要等の減少に加え、中国における滞船緩和の影響を受け軟化しました。期央から年末にかけては、中国向け穀物輸送需要増加と石炭輸送需要減少により市況は上下しましたが、年始以降は大型船同様に上昇しました。
このような状況下、ドライバルクセグメントでは、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減及び配船効率向上に努めました。
以上の結果、ドライバルクセグメント全体では、前期比で増収となるも減益となりました。
② エネルギー資源セグメント
[液化天然ガス輸送船事業・電力事業・油槽船事業・海洋事業]
LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
以上の結果、エネルギー資源セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。
③ 製品物流セグメント
[自動車船事業]
世界自動車販売市場は、半導体及び自動車部品の供給不足、ロシア・ウクライナ情勢の長期化などにより、一部で生産・出荷への影響があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調が継続しました。また、運賃修復及び運航効率の改善に継続的に取り組みました。
[物流事業]
国内物流・港湾事業では、北米西岸貨物減少により国内コンテナターミナル取扱量は減少となり、前期を下回りました。曳船事業では作業数が堅調に推移しました。倉庫事業の取扱量は継続して堅調に推移しました。国際物流事業では、フォワーディング事業において、海上及び航空貨物輸送需要の減少傾向が継続しました。完成車物流事業では、豪州向け自動車需要増加に伴い、陸送取扱台数及び保管台数が前年比で増加しました。
[近海・内航事業]
近海事業では、ロシア・ウクライナ情勢により石炭輸送量は前期を下回りましたが、鋼材やバイオマス燃料需要が堅調に推移したことにより、全体的な市況は好調に推移しました。内航事業では、貨物輸送量は前期と同水準となりましたが、乗用車・旅客の輸送量は新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限解除により回復基調が継続しました。
[コンテナ船事業]
当社持分法適用関連会社であるONE社の業績は、上半期は高水準の運賃市況により好調に推移しました。下半期はサプライチェーンの正常化による船腹供給量の回復と輸送需要の減退により短期運賃市況は下落したものの、通期では前年に引き続き好調な業績となりました。
以上の結果、製品物流セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。
なお、ONE社は米国時間2023年3月28日に、同社を含むコンソーシアムによるAtlas Corp.社の株式取得を完了しました。
④ その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期業績は前期比で減収となるも黒字に転換しました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,468億円となり、前連結会計年度末より1,025億円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益等により、当連結会計年度は4,560億円のプラス(前連結会計年度は2,264億円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得等により、当連結会計年度は467億円のマイナス(前連結会計年度は58億円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済、自己株式の取得及び配当金の支払い等により、当連結会計年度は3,007億円のマイナス(前連結会計年度は1,160億円のマイナス)となりました。
生産、受注及び販売の状況
当社グループは、海運業を中核とする海運事業グループであり、ドライバルク事業、エネルギー資源事業、製品物流事業を行っています。この他、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等を展開しています。従って、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)の実績は、下記のとおりです。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)
ドライバルク276,47836.5312,26733.1
エネルギー資源89,72611.9100,22510.6
製品物流380,19650.2519,79455.1
その他10,5801.410,3181.1
合計756,983100.0942,606100.0

当社(川崎汽船㈱)の営業収益実績(参考)
提出会社のセグメント別営業収益の実績は、下記のとおりです。
区分前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)
(ドライバルク)260,45647.2294,27340.5
(エネルギー資源)69,28812.682,47811.4
(製品物流)221,57540.2349,46348.1
海運業収益551,320100.0726,215100.0
(その他)520.0500.0
その他事業収益520.0500.0
合計551,372100.0726,266100.0

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前年度に比べ24.5%増収の9,426億円となりました。報告セグメント別では、ドライバルクセグメントは、前年度に比べ、12.9%増収の3,122億円となりました。エネルギー資源セグメントは、前年度に比べ、11.7%増収の1,002億円となり、製品物流セグメントは、前年度に比べ、36.7%増収の5,197億円となりました。その他の区分は、2.5%減収となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前年度の6,816億円から1,182億円増加し、7,998億円(前年度比17.4%増)となりました。営業収入に対する売上原価の比率は5.2ポイント減少して84.9%となりました。販売費及び一般管理費は61億円増加し、638億円(前年度比10.7%増)となりました。
③ 営業利益
売上総利益の増加により、前年度の176億円の営業利益に対し788億円の営業利益となりました。
④ 営業外収益(費用)
6,277億円の持分法による投資利益(前年度は6,409億円の持分法による投資利益)を計上したことが主な要因となり、営業外損益は6,119億円の利益(前年度は6,398億円の利益)となりました。
⑤ 税金等調整前当期純利益
固定資産売却益などにより特別利益は47億円となりました。また、独占禁止法関連損失引当金繰入額などにより特別損失は27億円となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は6,928億円(前年度は6,590億円の税金等調整前当期純利益)となりました。
⑥ 法人税等
法人税等は、主として法人税等調整額の減少により、前年度の124億円から185億円減少し△61億円となりました。
⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、川崎近海汽船㈱などの非支配株主に帰属する当期純利益が減少し、前年度の42億円から1億円減少し、40億円となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の6,424億円に対し、6,949億円となりました。1株当たり当期純利益は、前年度の2,295.85円(株式分割後基準)に対し、2,571.02円となりました。
(注)2022年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っています。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのドライバルク事業や自動車船事業の運営に関わる海運業費用です。この中には港費・貨物費・燃料費などの運航費、船員費・船舶修繕費などの船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては船舶投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に718億円の設備投資を実施しました。
③ 財務政策
当社グループの事業維持・拡大を支える低コストで安定的な資金の確保を重視しています。長期の資金需要に対しては金融機関からの長期借入金を中心に、社債発行、新株発行により調達しています。短期的な運転資金を銀行借入、コマーシャルペーパー(CP)発行等により調達し、一時的な余資は安定性・流動性の高い金融資産で運用しています。また、キャッシュマネージメントシステム等を利用して、国内・海外グループ会社の余剰資金を有効活用しています。
流動性の確保としまして、CP発行枠600億円に加え、国内金融機関と約1,400億円の複数年のコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要に備えています。
当社は日本格付研究所(JCR)から格付を取得しており、2023年3月31日現在の発行体格付は、「A-」となっています。また、短期債格付(CP格付)については「J-1」を取得しています。
(4)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前年度末比4,776億円増加し2兆526億円となりました。流動資産は、有価証券の増加等により、前年度末比1,038億円増加し5,348億円となりました。
固定資産は前年度末比3,738億円増加し1兆5,177億円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、船舶の減少等により、前年度末比98億円減少し3,721億円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の増加等により、前年度末比3,834億円増加し1兆1,417億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前年度末比841億円減少し5,059億円となりました。短期借入金及び長期借入金の減少等により、流動負債は1,853億円となり、固定負債は3,205億円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末比5,617億円増加し、1兆5,466億円となりました。純資産のうち株主資本は、主に利益剰余金が5,256億円増加したことにより、1兆4,007億円となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が増加したことを主な要因として、前年度末比944億円増加し1,146億円となりました。

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