有価証券報告書-第157期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
(1) 経営成績の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、政府の経済政策や金融政策を背景に、緩やかな回復基調となりました。個人消費は、雇用・所得環境の改善が続いたものの、物価上昇による実質所得の伸び悩みのため、持ち直しは緩やかなものとなりました。また、相次いでいる自然災害が景気へ与える影響などが懸念される状況もありました。海外経済は、米国が高成長を維持し、ユーロ圏の実質GDPも緩やかな回復を持続しました。ただし、英国のEU離脱問題、中国経済の成長鈍化や米中貿易摩擦など実態経済に悪影響を及ぼす懸念材料も生じました。
旅客船業界におきましては、地方における人口の減少、観光ニーズの多様化等により、旅客輸送人員は減少傾向が続いております。また、燃料油価格の高騰、老朽船舶の代替えや海事産業に従事する人材の確保の課題など、依然として懸念材料が山積しております。
このような状況のもと当社は、①「安全運航の徹底」、②「お客様の減少傾向をとめる」、③「グループ会社の健全化に努める」の3項目を重点課題とし、当連結会計年度の輸送量目標を旅客輸送人員で1,480,000人、自動車航送換算台数は212,000台、貨物輸送トン数を159,000トンと見込み、目標達成に向けて営業を強化し、積極的に事業を展開いたしました。
旅客、自動車航送部門については、冬期間の荒天による欠航や7月~9月にかけての台風接近による旅行キャンセルの影響があったものの、平成29年4月1日より「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」に基づき、国及び関係自治体の補助を受けて佐渡市民旅客運賃(佐渡市民割引)を新設、実施したことにより、平成30年も引き続きジェットフォイル利用の増加傾向が続きました。
営業施策としては、SNSを活用した佐渡の魅力発信、様々な船内イベントやツアーの実施による船旅の魅力発信、インバウンド誘致や週末やシニアに限定した航送運賃の営業割引拡大など、積極的な営業展開を図りました。その結果、輸送量に占める割合はまだ少ないもののインバウンドは増加傾向が続いている他、マイカー利用による観光客も増加傾向となっており、旅客、自動車航送部門の輸送量は前年同期を上回りました。
貨物部門については、佐渡島内の高齢化に伴う人口減少により輸送量は減少傾向にありますが、人員配置の見直しや輸送器具の効率的な運用等により費用削減に努めております。
なお、前連結会計年度に掲げた寺泊赤泊航路の継続に関する課題については、関係者との協議の中で同航路の維持は難しく、廃止はやむを得ないことについて一定の理解が得られたと判断し、平成30年10月31日、北陸信越運輸局に寺泊赤泊航路の一般旅客定期航路事業の廃止届を提出し、平成31年5月1日、寺泊赤泊航路廃止の予定となっております。
当連結会計年度通期の旅客輸送人員は1,480,352人(前年同期比0.6%増)、自動車航送換算台数は224,431台(前年同期比7.0%増)、貨物輸送トン数は159,073トン(前年同期比0.1%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、11,942,413千円(前年同期比4.8%増)、営業利益は246,963千円(前年同期比184.9%増)、経常利益は152,135千円(前年同期は32,652千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は105,534千円(前年同期は201,824千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績等は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度から報告セグメントの区分を変更しており、従来の区分に「不動産賃貸」を加えております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(海運)
当連結会計年度においては、旅客、航送、貨物の主要3部門の内、旅客、航送部門において輸送量が前年同期を上回ったこと、佐渡観光が本格化する4月以降、燃料油価格変動調整金2ゾーンを適用(前年は通年で燃料油価格変動調整金1ゾーンを適用)したこと、また、平成29年4月1日より「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」に基づき、国及び地元自治体の補助を受けて佐渡市民旅客運賃(佐渡市民割引)を実施していることにより、ジェットフォイル利用の傾向が続いていることから、売上高は前年同期を上回りました。一方、費用面においては、原油価格の上昇に伴い船舶主燃料費が大幅に増加しましたが、売上高が増加したことからセグメント利益(営業利益)を確保しました。
当連結会計年度の売上高は8,283,775千円(前年同期比6.0%増)、セグメント利益(営業利益)は152,072千円(前年同期比61.8%増)となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、償却の進行により固定資産が減少し12,683,152千円(前年同期比1.1%減)となりました。
(一般貨物自動車運送)
当連結会計年度においては、前年の公共工事に伴う資材輸送等の反動があったものの、米等の農産物の輸送が堅調であったこと、また、車両整備収入が前年を上回ったことから、売上高は前年同期を上回りました。費用面では原油価格の上昇による燃料費の増加がありました。
当連結会計年度の売上高は1,632,073千円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益(営業利益)は32,841千円(前年同期比82.1%増)となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、無形固定資産の取得により2,406,716千円(前年同期比1.7%増)となりました。
(売店・飲食)
当連結会計年度においては、新潟港ターミナル内の食堂閉鎖に伴う売上高の減少があったものの、観光客の増加と、両津港ターミナル内の売店拡張に伴う売上高の増加が寄与し、売上高は前年同期を上回りました。
当連結会計年度の売上高は1,061,890千円(前年同期比4.4%増)、セグメント利益(営業利益)は8,177千円(前年同期は19,485千円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、短期借入金の返済により現金及び預金が減少したことから259,961千円(前年同期比4.4%減)となりました。
(観光)
当連結会計年度においては、観光施設部門において入館者数が減少したため売上高は減少したものの、観光施設部門において前期に行った減損処理により減価償却費が減少したこと、パート等の削減により人件費が減少したことから、セグメント損失は前年同期より減少しました。
当連結会計年度の売上高は726,811千円(前年同期比0.7%減)、セグメント損失(営業損失)は2,228千円(前年同期は37,622千円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、セグメント損失の減少により現金及び預金が増加したことから550,277千円(前年同期比2.2%増)となりました。
(不動産賃貸)
当連結会計年度においては、入居テナントに一部変更があったため売上高は若干の減少となりました。一方、費用面において建物修繕費が減少したことにより、セグメント利益(営業利益)は増加しました。
当連結会計年度の売上高は、112,571千円(前年同期比1.8%減)、セグメント利益は26,960千円(前年同期比107.4%増)となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、費用の減少によるセグメント利益の増加に伴い現金及び預金が増加したことから278,738千円(12.3%増)となりました。
(その他)
当連結会計年度においては、建物サービス業において修繕工事の受注増加により売上高は増加しました。
当連結会計年度の売上高は125,293千円(前年同期比8.8%増)、セグメント利益(営業利益)は2,493千円(前年同期は3,669千円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、セグメント利益の増加により現金及び預金が増加したことから88,845千円(8.4%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ81,433千円減少し15,503,477千円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ25,264千円増加し3,914,713千円となりました。これは、その他流動資産が43,321千円減少したものの、現金及び預金が26,760千円、受取手形及び売掛金が47,479千円それぞれ増加したことが主な要因であります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ96,135千円減少し11,562,300千円となりました。これは、無形固定資産が54,592千円増加したものの、償却の進行により有形固定資産が130,761千円減少したことが主な要因であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ196,294千円減少し13,035,255千円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ335,749千円増加し4,063,481千円となりました。これは、支払手形及び買掛金が52,201千円減少したものの、短期借入金が135,000千円、1年以内返済予定の長期借入金が44,058千円、未払金が73,853千円、その他流動負債が98,698千円それぞれ増加したことが主な要因であります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ532,043千円減少し8,971,774千円となりました。これは、特別修繕引当金が76,264千円増加したものの、社債が410,040千円、長期借入金が204,828千円それぞれ減少したことが主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ114,860千円増加し2,468,222千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益105,534千円を計上したことが主な要因であります。
この結果、連結ベースの自己資本比率は前連結会計年度末の12.3%から13.1%に、また1株当たり純資産額は
135.55円から142.73円になりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、営業活動による資金の増加が1,125,607千円、投資活動による資金の減少が614,199千円、財務活動による資金の減少が488,051千円となり、前連結会計年度末に比べ23,357千円増加し、当連結会計年度末残高は1,681,293千円(前年同期比1.4%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は1,125,607千円(前年同期は429,394千円の増加)となりました。これは税金等調整前当期純利益が183,561千円、減価償却費が810,720千円、その他が131,7551千円であったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は614,199千円(前年同期は697,110千円の減少)となりました。補助金収入が83,446千円あったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出が709,126千円あったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は488,051千円(前年同期は871千円の増加)となりました。これは短期借入れによる収入が985,000千円あり、短期借入金の返済による支出が850,000千円であったものの、長期借入れによる収入が1,800,000千円あり、長期借入金の返済による支出が1,960,770千円であったこと、社債の償還による支出が420,040千円あったことが主な要因であります。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の営業形態はサービス業であるため、生産、受注及び販売の実績については、「① 経営成績の状況」における報告セグメントの業績に関連付けて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損処理、退職給付債務の認識、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等に関しては、過去の実績や当該取引の状況等に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループの売上高は11,942,413千円(前年同期比4.8%増)となりました。これは、当社において、平成30年4月以降、燃料油価格変動調整金2ゾーンを適用(前年は通年で燃料油価格変動調整金1ゾーンを適用)したこと、また、平成29年4月1日より「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」に基づき、国及び地元自治体の補助を受けて佐渡市民旅客運賃(佐渡市民割引)を実施していることにより、ジェットフォイル利用の傾向が続いていること、また、「⑤経営上の目標の達成状況について」に記載のとおり当社の輸送実績が前年同期を上回ったことにより、観光産業に付帯するサービスを展開する連結子会社の売上高が増加したことから、グループ全体の売上高も増加しました。
(船舶主燃料費の推移)
売上原価は10,751,676千円(前年同期比3.9%増)、販売費及び一般管理費は943,774千円(前年同期比1.4%減)となりました。これについては、上記のとおり原油価格の高騰に伴う船舶主燃料費の増加により、費用全体としては前連結会計年度から増加となりました。なお、当社では燃料油価格の高騰に対応するため燃料油価格変動調整金を導入しておりますが、燃料油価格の著しく急騰した場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす恐れ(「2 事業等のリスク」参照)があるため、燃料油価格の動向を注視しております。
燃料油価格の上昇に伴う費用の増加があったものの売上高の増加により、営業利益は246,963千円(前年同期比184.9%増)、経常利益は152,135千円(前年同期は32,652千円の経常損失)となりました。
特別利益は、前連結会計年度に当社において新株予約権戻入益24,984千円がありましたが、当連結会計年度は当社において固定資産受贈益43,900千円を計上したこと等により前年同期並みとなりました。また、特別損失は前連結会計年度において当社及び一部の連結子会社における減損損失がありましたが、当連結会計年度は無かったため減少しました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は183,561千円(前年同期は150,419千円の税金等調整前当期純損失)となり、税効果会計適用による税金等調整後の親会社株主に帰属する当期純利益は105,534千円(前年同期は201,824千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
財政状態の状況につきましては「(1) 経営成績の状況の概要 ②財政状態の状況」に、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績の状況の概要 ①経営成績の状況」にそれぞれ記載しております。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは海運業を主体とした事業を行っており、本土と佐渡島を結ぶ生活航路の要素と、佐渡島への観光客を輸送する観光航路の要素を併せ持っております。このことから、低廉な運賃でサービスを提供する公共交通機関としての使命と、営利を目的とする企業としての使命の二律背反の環境にあります。そのため、航路運営施策や観光客誘致施策に対する行政の支援の状況、景気低迷による観光需要の減少、及び風水害などの自然災害、気象・海象の悪化による欠航等の外的要因による輸送量の減少が経営成績に重要な影響を与える要因となっております。
この他、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「2 事業等のリスク」をご参照願います。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金は、主に海上運送事業に係る船舶燃料費、船舶修繕費、人件費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応しております。また、当社及び当社より分社した連結子会社2社との間において、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「(1) 経営成績の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑤経営上の目標の達成状況について
(平成30年度の当社輸送実績)
当社及び当社グループの経営は、当社の輸送量に大きく左右されることから、輸送量を経営上の重要な指標としております。
当連結会計年度の当社の輸送実績は上記のとおり、旅客、航送部門において前年度及び目標を上回りました。高齢化に伴い佐渡島内の人口が減少を続ける中で輸送量を確保するため、当社では観光客の増加を重要な課題としております。その対策として、SNSを活用した佐渡の魅力発信、インバウンド誘致等に積極的に取り組んでまいりましたが、その成果が輸送実績に表れつつあるものと考えております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、政府の経済政策や金融政策を背景に、緩やかな回復基調となりました。個人消費は、雇用・所得環境の改善が続いたものの、物価上昇による実質所得の伸び悩みのため、持ち直しは緩やかなものとなりました。また、相次いでいる自然災害が景気へ与える影響などが懸念される状況もありました。海外経済は、米国が高成長を維持し、ユーロ圏の実質GDPも緩やかな回復を持続しました。ただし、英国のEU離脱問題、中国経済の成長鈍化や米中貿易摩擦など実態経済に悪影響を及ぼす懸念材料も生じました。
旅客船業界におきましては、地方における人口の減少、観光ニーズの多様化等により、旅客輸送人員は減少傾向が続いております。また、燃料油価格の高騰、老朽船舶の代替えや海事産業に従事する人材の確保の課題など、依然として懸念材料が山積しております。
このような状況のもと当社は、①「安全運航の徹底」、②「お客様の減少傾向をとめる」、③「グループ会社の健全化に努める」の3項目を重点課題とし、当連結会計年度の輸送量目標を旅客輸送人員で1,480,000人、自動車航送換算台数は212,000台、貨物輸送トン数を159,000トンと見込み、目標達成に向けて営業を強化し、積極的に事業を展開いたしました。
旅客、自動車航送部門については、冬期間の荒天による欠航や7月~9月にかけての台風接近による旅行キャンセルの影響があったものの、平成29年4月1日より「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」に基づき、国及び関係自治体の補助を受けて佐渡市民旅客運賃(佐渡市民割引)を新設、実施したことにより、平成30年も引き続きジェットフォイル利用の増加傾向が続きました。
営業施策としては、SNSを活用した佐渡の魅力発信、様々な船内イベントやツアーの実施による船旅の魅力発信、インバウンド誘致や週末やシニアに限定した航送運賃の営業割引拡大など、積極的な営業展開を図りました。その結果、輸送量に占める割合はまだ少ないもののインバウンドは増加傾向が続いている他、マイカー利用による観光客も増加傾向となっており、旅客、自動車航送部門の輸送量は前年同期を上回りました。
貨物部門については、佐渡島内の高齢化に伴う人口減少により輸送量は減少傾向にありますが、人員配置の見直しや輸送器具の効率的な運用等により費用削減に努めております。
なお、前連結会計年度に掲げた寺泊赤泊航路の継続に関する課題については、関係者との協議の中で同航路の維持は難しく、廃止はやむを得ないことについて一定の理解が得られたと判断し、平成30年10月31日、北陸信越運輸局に寺泊赤泊航路の一般旅客定期航路事業の廃止届を提出し、平成31年5月1日、寺泊赤泊航路廃止の予定となっております。
当連結会計年度通期の旅客輸送人員は1,480,352人(前年同期比0.6%増)、自動車航送換算台数は224,431台(前年同期比7.0%増)、貨物輸送トン数は159,073トン(前年同期比0.1%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、11,942,413千円(前年同期比4.8%増)、営業利益は246,963千円(前年同期比184.9%増)、経常利益は152,135千円(前年同期は32,652千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は105,534千円(前年同期は201,824千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績等は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度から報告セグメントの区分を変更しており、従来の区分に「不動産賃貸」を加えております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(海運)
当連結会計年度においては、旅客、航送、貨物の主要3部門の内、旅客、航送部門において輸送量が前年同期を上回ったこと、佐渡観光が本格化する4月以降、燃料油価格変動調整金2ゾーンを適用(前年は通年で燃料油価格変動調整金1ゾーンを適用)したこと、また、平成29年4月1日より「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」に基づき、国及び地元自治体の補助を受けて佐渡市民旅客運賃(佐渡市民割引)を実施していることにより、ジェットフォイル利用の傾向が続いていることから、売上高は前年同期を上回りました。一方、費用面においては、原油価格の上昇に伴い船舶主燃料費が大幅に増加しましたが、売上高が増加したことからセグメント利益(営業利益)を確保しました。
当連結会計年度の売上高は8,283,775千円(前年同期比6.0%増)、セグメント利益(営業利益)は152,072千円(前年同期比61.8%増)となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、償却の進行により固定資産が減少し12,683,152千円(前年同期比1.1%減)となりました。
(一般貨物自動車運送)
当連結会計年度においては、前年の公共工事に伴う資材輸送等の反動があったものの、米等の農産物の輸送が堅調であったこと、また、車両整備収入が前年を上回ったことから、売上高は前年同期を上回りました。費用面では原油価格の上昇による燃料費の増加がありました。
当連結会計年度の売上高は1,632,073千円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益(営業利益)は32,841千円(前年同期比82.1%増)となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、無形固定資産の取得により2,406,716千円(前年同期比1.7%増)となりました。
(売店・飲食)
当連結会計年度においては、新潟港ターミナル内の食堂閉鎖に伴う売上高の減少があったものの、観光客の増加と、両津港ターミナル内の売店拡張に伴う売上高の増加が寄与し、売上高は前年同期を上回りました。
当連結会計年度の売上高は1,061,890千円(前年同期比4.4%増)、セグメント利益(営業利益)は8,177千円(前年同期は19,485千円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、短期借入金の返済により現金及び預金が減少したことから259,961千円(前年同期比4.4%減)となりました。
(観光)
当連結会計年度においては、観光施設部門において入館者数が減少したため売上高は減少したものの、観光施設部門において前期に行った減損処理により減価償却費が減少したこと、パート等の削減により人件費が減少したことから、セグメント損失は前年同期より減少しました。
当連結会計年度の売上高は726,811千円(前年同期比0.7%減)、セグメント損失(営業損失)は2,228千円(前年同期は37,622千円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、セグメント損失の減少により現金及び預金が増加したことから550,277千円(前年同期比2.2%増)となりました。
(不動産賃貸)
当連結会計年度においては、入居テナントに一部変更があったため売上高は若干の減少となりました。一方、費用面において建物修繕費が減少したことにより、セグメント利益(営業利益)は増加しました。
当連結会計年度の売上高は、112,571千円(前年同期比1.8%減)、セグメント利益は26,960千円(前年同期比107.4%増)となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、費用の減少によるセグメント利益の増加に伴い現金及び預金が増加したことから278,738千円(12.3%増)となりました。
(その他)
当連結会計年度においては、建物サービス業において修繕工事の受注増加により売上高は増加しました。
当連結会計年度の売上高は125,293千円(前年同期比8.8%増)、セグメント利益(営業利益)は2,493千円(前年同期は3,669千円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当連結会計年度のセグメント資産は、セグメント利益の増加により現金及び預金が増加したことから88,845千円(8.4%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ81,433千円減少し15,503,477千円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ25,264千円増加し3,914,713千円となりました。これは、その他流動資産が43,321千円減少したものの、現金及び預金が26,760千円、受取手形及び売掛金が47,479千円それぞれ増加したことが主な要因であります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ96,135千円減少し11,562,300千円となりました。これは、無形固定資産が54,592千円増加したものの、償却の進行により有形固定資産が130,761千円減少したことが主な要因であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ196,294千円減少し13,035,255千円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ335,749千円増加し4,063,481千円となりました。これは、支払手形及び買掛金が52,201千円減少したものの、短期借入金が135,000千円、1年以内返済予定の長期借入金が44,058千円、未払金が73,853千円、その他流動負債が98,698千円それぞれ増加したことが主な要因であります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ532,043千円減少し8,971,774千円となりました。これは、特別修繕引当金が76,264千円増加したものの、社債が410,040千円、長期借入金が204,828千円それぞれ減少したことが主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ114,860千円増加し2,468,222千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益105,534千円を計上したことが主な要因であります。
この結果、連結ベースの自己資本比率は前連結会計年度末の12.3%から13.1%に、また1株当たり純資産額は
135.55円から142.73円になりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、営業活動による資金の増加が1,125,607千円、投資活動による資金の減少が614,199千円、財務活動による資金の減少が488,051千円となり、前連結会計年度末に比べ23,357千円増加し、当連結会計年度末残高は1,681,293千円(前年同期比1.4%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は1,125,607千円(前年同期は429,394千円の増加)となりました。これは税金等調整前当期純利益が183,561千円、減価償却費が810,720千円、その他が131,7551千円であったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は614,199千円(前年同期は697,110千円の減少)となりました。補助金収入が83,446千円あったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出が709,126千円あったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は488,051千円(前年同期は871千円の増加)となりました。これは短期借入れによる収入が985,000千円あり、短期借入金の返済による支出が850,000千円であったものの、長期借入れによる収入が1,800,000千円あり、長期借入金の返済による支出が1,960,770千円であったこと、社債の償還による支出が420,040千円あったことが主な要因であります。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の営業形態はサービス業であるため、生産、受注及び販売の実績については、「① 経営成績の状況」における報告セグメントの業績に関連付けて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損処理、退職給付債務の認識、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等に関しては、過去の実績や当該取引の状況等に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループの売上高は11,942,413千円(前年同期比4.8%増)となりました。これは、当社において、平成30年4月以降、燃料油価格変動調整金2ゾーンを適用(前年は通年で燃料油価格変動調整金1ゾーンを適用)したこと、また、平成29年4月1日より「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」に基づき、国及び地元自治体の補助を受けて佐渡市民旅客運賃(佐渡市民割引)を実施していることにより、ジェットフォイル利用の傾向が続いていること、また、「⑤経営上の目標の達成状況について」に記載のとおり当社の輸送実績が前年同期を上回ったことにより、観光産業に付帯するサービスを展開する連結子会社の売上高が増加したことから、グループ全体の売上高も増加しました。
(船舶主燃料費の推移)
| 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | |
| 船舶主燃料費(千円) | 1,016,430 | 1,286,599 | 1,649,234 |
| 連結売上原価に占める船舶 主燃料費の割合(%) | 10.0 | 12.4 | 15.3 |
売上原価は10,751,676千円(前年同期比3.9%増)、販売費及び一般管理費は943,774千円(前年同期比1.4%減)となりました。これについては、上記のとおり原油価格の高騰に伴う船舶主燃料費の増加により、費用全体としては前連結会計年度から増加となりました。なお、当社では燃料油価格の高騰に対応するため燃料油価格変動調整金を導入しておりますが、燃料油価格の著しく急騰した場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす恐れ(「2 事業等のリスク」参照)があるため、燃料油価格の動向を注視しております。
燃料油価格の上昇に伴う費用の増加があったものの売上高の増加により、営業利益は246,963千円(前年同期比184.9%増)、経常利益は152,135千円(前年同期は32,652千円の経常損失)となりました。
特別利益は、前連結会計年度に当社において新株予約権戻入益24,984千円がありましたが、当連結会計年度は当社において固定資産受贈益43,900千円を計上したこと等により前年同期並みとなりました。また、特別損失は前連結会計年度において当社及び一部の連結子会社における減損損失がありましたが、当連結会計年度は無かったため減少しました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は183,561千円(前年同期は150,419千円の税金等調整前当期純損失)となり、税効果会計適用による税金等調整後の親会社株主に帰属する当期純利益は105,534千円(前年同期は201,824千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
財政状態の状況につきましては「(1) 経営成績の状況の概要 ②財政状態の状況」に、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績の状況の概要 ①経営成績の状況」にそれぞれ記載しております。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは海運業を主体とした事業を行っており、本土と佐渡島を結ぶ生活航路の要素と、佐渡島への観光客を輸送する観光航路の要素を併せ持っております。このことから、低廉な運賃でサービスを提供する公共交通機関としての使命と、営利を目的とする企業としての使命の二律背反の環境にあります。そのため、航路運営施策や観光客誘致施策に対する行政の支援の状況、景気低迷による観光需要の減少、及び風水害などの自然災害、気象・海象の悪化による欠航等の外的要因による輸送量の減少が経営成績に重要な影響を与える要因となっております。
この他、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「2 事業等のリスク」をご参照願います。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金は、主に海上運送事業に係る船舶燃料費、船舶修繕費、人件費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応しております。また、当社及び当社より分社した連結子会社2社との間において、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「(1) 経営成績の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑤経営上の目標の達成状況について
(平成30年度の当社輸送実績)
| 平成30年度 | 平成29年度 | 輸送目標 | 前年度差 | 輸送目標差 | |
| 旅客輸送人員(人) (うち、インバウンド) | 1,480,352 (9,077) | 1,472,144 (7,584) | 1,480,000 (-) | 8,208 (1,493) | 352 (-) |
| 自動車航送換算台数(台) | 224,431 | 209,778 | 212,000 | 14,563 | 12,431 |
| 貨物輸送トン数(トン) | 159,073 | 159,261 | 159,000 | △188 | 73 |
当社及び当社グループの経営は、当社の輸送量に大きく左右されることから、輸送量を経営上の重要な指標としております。
当連結会計年度の当社の輸送実績は上記のとおり、旅客、航送部門において前年度及び目標を上回りました。高齢化に伴い佐渡島内の人口が減少を続ける中で輸送量を確保するため、当社では観光客の増加を重要な課題としております。その対策として、SNSを活用した佐渡の魅力発信、インバウンド誘致等に積極的に取り組んでまいりましたが、その成果が輸送実績に表れつつあるものと考えております。