四半期報告書-第36期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

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2019/08/06 15:04
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19項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
業績等の概要
■業界動向と当社の状況
世の中を取り巻く環境は大きな変革期にあり、5G (第5世代移動通信システム)/IoT、AI・ビッグデータをはじめとした技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。また、政府は、これらの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会課題の解決を両立していくSociety 5.0(※1)の実現を目指しています。こうした中、通信業界においては、新規通信事業者の参入や電気通信事業法の改正等により競争が激化するとともに、通信・インターネットの活用で全ての産業が変革するデジタルトランスフォーメーション (以下「DX」) の進展など事業環境は大きく変化しています。さらに、本年は5Gトライアルサービスが始まり、今後5G/IoTが本格化し、さまざまな先端技術を活用した多様なサービスが生み出される新しい時代を迎えようとしています。
当社は、このような事業環境の変化に迅速に対応しながら持続的な成長を実現するため、この3カ年における「中期経営計画 (2019-21年度)」を策定しています。個人のお客さまには、通信とさまざまなライフデザインサービスを合わせてお使いいただくことで、エンゲージメントの深化を図り、グループ会社を含むお客さま数 (ID)×総合ARPA×ご利用期間 (継続率) の総和である「ライフタイムバリュー」の最大化につなげていきます。法人のお客さまには、当社の持つIoT・ICT関連の技術・ノウハウを生かしてDXをサポートすることで、お客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するとともに、パートナー企業とのオープンイノベーションにより新たなビジネスを創造し、ともに成長していくビジネスモデルを展開します。通信サービスを中心に、成長事業を拡大していくことで、事業戦略の核となる「通信とライフデザインの融合」をより一層推し進め、国内はもとよりグローバルにおいても、5G/IoT時代における新たな価値創造を実現していきます。
また、社会の持続的な成長に貢献するため全社でサステナビリティ活動を推進しており、「中期経営計画 (2019-21年度)」では、「KDDIが目指すSDGs(※2)」として、通信、グローバル、地方創生、教育、金融などの事業戦略に連動する目標と、人財育成、女性活躍推進、人権・D&I(※3)、地球環境などの企業活動に連動する目標を策定しています。本年5月には、地域と一体となった地方創生の実現に向け、地方創生を推進する地元企業やベンチャー企業への出資を目的とした「KDDI Regional Initiatives Fund 1号」を独立系ベンチャーキャピタル大手のグローバル・ブレイン株式会社と共同で設立しました。全国の地方自治体、学術機関や地元企業との連携により、地域社会と企業がともに継続的に成長・発展できる社会の実現に取り組んでいきます。
なお、中期経営計画の詳細は当社ホームページをご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/kddi/vision/
※1 日本の中長期的な成長戦略の一つで、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより目指すべき人間中心の社会のこと。
※2 「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標。
※3 ダイバーシティ&インクルージョン。
■連結業績
第1四半期連結累計期間
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
自 2018年4月1日
至 2018年6月30日
当第1四半期
連結累計期間
自 2019年4月1日
至 2019年6月30日
比較増減増減率(%)
売上高1,221,7161,246,10124,3852.0
売上原価643,898680,33436,4365.7
売上総利益577,818565,767△12,051△2.1
販売費及び一般管理費291,103311,98020,8777.2
その他の損益(△損失)1,7221,248△474△27.5
持分法による投資利益42576534079.9
営業利益288,862255,800△33,062△11.4
金融損益(△損失)△299△2,729△2,430-
その他の営業外損益(△損失)-1,3471,347-
税引前四半期利益288,562254,419△34,144△11.8
法人所得税費用88,56778,166△10,401△11.7
四半期利益199,995176,253△23,743△11.9
親会社の所有者178,666162,553△16,114△9.0
非支配持分21,32913,700△7,629△35.8

当第1四半期連結累計期間の売上高は、端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入の増加、「au経済圏」の最大化に向けたエネルギー事業、コマース事業、決済事業などの事業の拡大による収入の増加に加えて、株式会社じぶん銀行(以下「じぶん銀行」)の連結子会社化による金融事業収入の増加等により、1,246,101百万円(前年同期比 2.0%増)となりました。
営業利益は、売上高は増加したものの、端末販売の粗利減少、販売費及び一般管理費等の増加により、255,800百万円(同 11.4%減)となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益の減少等により、162,553百万円(同 9.0%減)となりました。
セグメント別の状況
当期から、「通信とライフデザインの融合」をさらに推進するため、セグメントを従来の4つのセグメントから個人のお客さま向け事業の「パーソナルセグメント」、法人のお客さま向け事業の「ビジネスセグメント」の2つのセグメントに集約しました。
パーソナルセグメント

パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、従来の通信サービス(主に「au」ブランドによるスマートフォン・携帯電話、FTTH/CATVサービス等)を中心に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザインサービスを連携しながら拡充することで、新たな体験価値の提供を目指しています。
また、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーやモンゴルをはじめとするアジア地域を中心とした個人のお客さま向けビジネスにも積極的に取り組んでいます。
<当第1四半期のトピックス>●お客さまの様々なニーズに応じた新料金プラン、低容量の「新auピタットプラン」、中容量の「auフラットプラン7プラス」、及び5G時代に向けた、日本初(※1)、データ容量に上限なしの「auデータMAXプラン」、さらに、本プランに連動した新割引サービス「家族割プラス」の提供開始を本年5月に発表しました。
●決済事業では、本年4月にスマホ決済サービス「au PAY」を開始し、本年6月には登録者数が300万人、利用できる箇所は100万カ所を突破しました。金融事業では、スマホセントリックな金融サービス拡充に向け、本年4月にじぶん銀行を子会社化、その他金融関係子会社をauフィナンシャルホールディングス株式会社傘下へ移管しました。本年6月にはカブドットコム証券株式会社の株式を取得し持分法適用会社としました。
●「auスマートパスプレミアム」会員向けに、本年4月には「au PAY」のポイントを通常の3倍還元・三太郎の日はさらに20%還元となるキャンペーンを、本年6月には「迷惑メッセージ・電話ブロック」(※2)を開始しました。
●コマース事業では、本年4月にWowma!(※3)事業を運営するKDDIコマースフォワード株式会社とLUXA事業を運営する株式会社ルクサ(存続会社)が合併し、社名を「auコマース&ライフ株式会社」に改称しました。また、楽天株式会社との物流分野における協争により、Wowma!出店店舗に楽天の総合物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」を提供開始しました。本年6月にはWowma!のIDとポイントを「au ID」「au WALLET ポイント」に統一し、利便性の向上を図りました。エネルギー事業では、本年5月に「auでんき」契約数の200万突破を発表、また株式会社エナリスの子会社化関連の手続が完了しました。
●本年6月には、今後の5G時代を見据え「キリンチャレンジカップ2019」において、お客さまの応援体験をより価値あるものにすることを目的に、VRを用いてサッカー日本代表の新しい観戦体験を提供しました。
●ミャンマー通信事業については、住友商事株式会社と共同でミャンマーに設立したゲーム配信会社「FUNCREATE MYANMAR LTD.」が、本年4月よりモバイルゲームの配信を開始しました。モンゴルのMobiCom Corporation LLCは、本年5月に「Forbes Mongolia Awards 2019」にて、社会的発展に貢献する企業に贈られる「Corporate Social Responsibility」賞を受賞しました。
●連結子会社である株式会社イーオンホールディングスでは、「通信とライフデザインの融合」の取り組みのひとつ「EdTech(※4)」を推進する「イーオン デジタルトランスフォーメーションAEON DX」の第2弾として、「AEON NOTE(※5)」を全国のイーオン各校に本年5月より導入しています。また、UQコミュニケーションズ株式会社は、本年5月に、J.D. パワー 「2019年格安スマートフォンサービス/格安SIMカードサービス顧客満足度調査」(※6)において顧客満足度第1位を受賞しました。
※1 日本国内のMNOによる4G LTEスマートフォン向け料金プランとして。2019年5月13日時点 当社調べ
※2 「auスマートパス」会員も利用できます。
※3 本年7月に「au Wowma!」に名称変更
※4 Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、テクノロジーを使って教育にイノベーショ
ンを起こす取り組みのこと。
※5 生徒の自宅学習状況やスクールでのレッスンの進捗などをデータベース化し、取得したデータの分析結果に
基づきレッスンやカウンセリングを生徒個別に最適化するタブレット端末用アプリケーション
※6 出典:株式会社J.Dパワーアジア・パシフィックによる「2019年格安スマートフォンサービス/格安SIMカー
ドサービス顧客満足度調査」
パーソナルセグメントにおける、当第1四半期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
第1四半期連結累計期間
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
自 2018年4月1日
至 2018年6月30日
当第1四半期
連結累計期間
自 2019年4月1日
至 2019年6月30日
比較増減増減率
(%)
売上高1,059,1271,089,86030,7332.9
営業利益256,429217,871△38,558△15.0

当第1四半期連結累計期間の売上高は、端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業収入、モバイル通信料収入の増加に加えて、じぶん銀行連結子会社化による金融事業収入の増加により、1,089,860百万円(前年同期比 2.9%増)となりました。
営業利益は、端末販売の粗利減少や販売促進費の増加等により、217,871百万円(同 15.0%減)となりました。
ビジネスセグメント

ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、お客さまのIoTビジネスを支えるKDDI「IoT世界基盤」を含むネットワーク・クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。
5GやIoT等の技術を活用し、パートナー企業との連携により、グローバル規模でお客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するソリューション等をワンストップで提供することで、お客さまのDXをサポートしています。
<当第1四半期のトピックス>●株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社とともに、KDDI「IoT世界基盤」と東芝「SPINEX™」を連携し、IoT機器の通信接続からデータの収集、蓄積、見える化、分析とその活用までをワンストップで提供することを本年4月に発表しました。これにより、企業のビジネス変革を3社で推進し、グローバルIoT事業における競争力を強化していきます。
●本年4月に、アイレット株式会社、Rackspace Hosting, Inc.とマルチクラウド環境におけるマネージドサービスの日本市場への提供に係る戦略的提携に向けて基本合意し、今後、最高品質のクラウドサービスの提供に向けて協議していくこととしました。
●スマートフォン位置情報を利用した過去・現在・未来のau人口動態データを本年8月下旬より法人のお客さまへ提供開始することを本年6月に発表しました。このサービスは、auスマートフォンユーザー(※1)の位置情報ビッグデータから生成するため、特定エリアや時刻毎の人口、人の流れを把握することが可能です。au人口動態データと法人のお客さまが保有されているデータやその他の外部データなどと組み合わせることで、新たなビジネスモデルの開発や新しい体験価値の創出に活用いただけます。
今後も、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただけることを目指し、事業の変革に取り組んでいきます。
※1 データ利用許諾がとれたお客さまのみです。
ビジネスセグメントにおける、当第1四半期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
第1四半期連結累計期間
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
自 2018年4月1日
至 2018年6月30日
当第1四半期
連結累計期間
自 2019年4月1日
至 2019年6月30日
比較増減増減率
(%)
売上高213,372217,0523,6791.7
営業利益31,11336,9795,86618.9

当第1四半期連結累計期間の売上高は、採算性の低い事業の整理等により収入が減少したものの、エネルギー事業収入やモバイル通信収入等の増加により、217,052百万円(前年同期比 1.7%増)となりました。
営業利益は、売上高の増加に加えて、通信設備利用料、アクセスチャージ、ソリューション機器原価や端末販売原価等の減少により、36,979百万円(同 18.9%増)となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態
前連結会計年度
2019年3月31日
当第1四半期
連結会計期間
2019年6月30日
比較増減
資産合計(百万円)7,330,4168,976,7291,646,314
負債合計(百万円)2,717,4844,359,2191,641,735
資本合計(百万円)4,612,9324,617,5104,578
親会社の所有者に帰属する持分(百万円)4,183,4924,183,766274
親会社所有者帰属持分比率(%)57.146.6△10.5

(資産)
資産は、営業債権及びその他の債権、棚卸資産等が減少したものの、金融事業の貸出金、金融事業の有価証券、有形固定資産等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、1,646,314百万円増加し、8,976,729百万円となりました。
(負債)
負債は、営業債務及びその他の債務等が減少したものの、金融事業の預金、借入金及び社債等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、1,641,735百万円増加し、4,359,219百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、4,617,510百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の57.1%から46.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
自 2018年4月1日
至 2018年6月30日
当第1四半期
連結累計期間
自 2019年4月1日
至 2019年6月30日
比較増減
営業活動によるキャッシュ・フロー195,945134,557△61,388
投資活動によるキャッシュ・フロー△173,215△159,99513,220
フリー・キャッシュ・フロー ※22,730△25,439△48,168
財務活動によるキャッシュ・フロー△54,77497,797152,571
現金及び現金同等物に係る換算差額△206△1,133△927
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△32,25171,225103,476
現金及び現金同等物の期首残高200,834204,5973,763
現金及び現金同等物の期末残高168,583275,822107,239

※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益254,419百万円、減価償却費及び償却費169,899百万円、法人所得税の支払157,767百万円、金融事業の貸出金の増加86,745百万円、営業債務及びその他の債務の減少67,209百万円等により134,557百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出107,662百万円、無形資産の取得による支出78,817百万円等により159,995百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増251,500百万円、社債発行及び長期借入による収入100,000百万円、配当金の支払128,159百万円等により97,797百万円の収入となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、71,225百万円増加し、275,822百万円となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、5,788百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。