半期報告書-第41期(2024/04/01-2025/03/31)
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
業績等の概要
■業界動向と当社の状況
現代社会において、通信はあらゆるものに溶け込んでおり、通信の社会的役割がより一層重要になる中、AI技術の進化により、生活や産業など社会全般において新たな価値創造の時代が到来しつつあります。また、日本国内では、生産性向上や脱炭素化など、サステナブルな社会の実現に向け、産業構造の変革が期待されています。
当社は、データ及び生成AIによるデジタル社会インフラの進展など、社会全体を取り巻く急速な環境変化に対応するため、本年5月に事業戦略を「新サテライトグロース戦略」としてアップデートしました。アップデートした事業戦略の下、2022年5月に策定した「KDDI VISION 2030:「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」の実現に向けて、今後も『「命」「暮らし」「心」をつなぐ』を使命に、社会的に重要な役割を果たすとともに、お客さまの期待を超える感動をお届けすることで、引き続き社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。
新サテライトグロース戦略では、高品質・高信頼の「5G通信」をベースとし、「データドリブン」の実践と「生成AI」の社会実装を進めるコア事業を中心に、パートナーの皆さまとともに新たな価値を創造し、「つなぐチカラ」の進化を加速しています。生成AIの社会実装については、国内トップクラスのLLM(大規模言語モデル)の研究開発力を有するスタートアップ企業との提携や、当社グループの計算基盤及びネットワーク資源を活用し、付加価値の創出に取り組んでいます。
また、コア事業と連携し、当社の成長を牽引する事業領域(Orbit1)として、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「金融」「エネルギー」の3領域に注力し、パートナーの皆さまとの連携や通信事業とのシナジー最大化などに取り組み、引き続き成長を加速していきます。特に「DX」においては、本年5月に、AIが溶け込む時代の新たなビジネスプラットフォームとして「WAKONX(ワコンクロス)」を始動しました。
WAKONXでは、社会のDX加速に不可欠な、AI・データ基盤・ネットワーク・運用保守をワンストップで提供することで、社会課題・業界課題の解決や日本企業の事業成長を加速していきます。
加えて、新たな成長に挑戦する事業領域(Orbit2)には、「モビリティ」「宇宙」「ヘルスケア」「Web3・メタバース」「スポーツ・エンタメ」の5領域を設定しています。当社の強みである通信や新技術を活用するとともに、パートナリングによってお客さまのライフスタイルの変革に挑戦し、さらなる事業拡大を目指します。
また、当社は、新サテライトグロース戦略をリアルな消費生活シーンにおいて強力に推進するため、本年2月に株式会社ローソン(以下「ローソン」)及び三菱商事株式会社 (以下「三菱商事」)と資本業務提携契約を締結し、本年8月にはローソン株式取得のクロージングを経て、ローソンは、三菱商事と当社の出資比率が50%ずつとなる共同経営体制となりました。3社は、ローソンの「未来のコンビニ」への変革に向けて、三菱商事と当社が有する事業基盤やAI・DX技術を活用することで、「Real×Tech Convenience」の拡大を推進するとともに、自治体と連携してお店と地域が抱える社会的課題を解決し「マチのほっとステーション」としての役割をさらに深化していくことを目指します。なお、2025年春に当社本社の移転先として予定している「TAKANAWA GATEWAY CITY」には、「未来のコンビニ」への変革に向けたさまざまなリテールテックの実験ラボとして、ローソン2店舗(オフィスフロア・一般フロア)を開店します。そして今後、高輪での実証結果をもとに「Real×Tech Convenience」の仕組みを構築することで、他店舗への拡大も目指していきます。引き続き、データを活用したマーケティング高度化やPontaポイント経済圏の拡大等を推進し、社会の持続的成長と両社の企業価値の向上に取り組んでいきます。
さらに、当社は新サテライトグロース戦略の推進と併せて、「To Global」「With Life」「For Future」をテーマに未来への取組みも進めることで、「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」として、誰もが思いを実現できる社会をつくることを目指します。

また、地球規模で大きな課題となっている、カーボンニュートラルを始めとするサステナビリティ課題についても積極的に取り組んでいます。当社が重要課題(マテリアリティ)の一つとして掲げる「カーボンニュートラルの実現」については、本年5月に新たな目標を策定し、2040年度までにScope3を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を目指します。そして、この達成に向けて、当社グループ全体で2030年度のCO2排出量実質ゼロの実現を目指し、基地局・通信設備等の省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを強力に推し進めます。
変化の激しい事業環境の中で持続的成長を実現するには、「イノベーションの推進」及び社員や組織の高度な自律性と成長を促す「人財ファースト企業」への変革が不可欠です。「イノベーションの推進」においては、Beyond 5G/6Gを見据えた先端技術の研究開発に挑み続けるとともに、産学官連携によるオープンイノベーションや外部パートナーとのコラボレーションを推進しています。また、ソフトバンク株式会社とのインフラシェアリング等、競合他社との協調にも引き続き積極的に取り組んでいきます。
「人財ファースト企業」への変革については、「新人事制度の浸透」「KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成」「社員エンゲージメント向上」の三位一体改革に取り組んでおり、「KDDI DX University」の活用による全社員のDXスキル向上とプロフェッショナル人財の育成により、注力領域への要員シフトも実行しています。
引き続き当社は、経営層と従業員の共通の考え方・行動規範として掲げる「KDDIフィロソフィ」と、人権を尊重し、透明性・公正性を担保したコーポレート・ガバナンス体制との相乗効果により、リスクマネジメント・情報セキュリティ体制の強化を進め、グループ一体経営の推進に努めていきます。
■連結業績
中間連結会計期間
当中間連結会計期間より、組織変更に伴い当社事業、連結子会社及び関連会社の一部所管セグメントを見直しております。これに伴い、前中間連結会計期間のセグメント情報については、変更後のセグメント区分に基づき作成したものを開示しております。
また、前第4四半期連結会計期間に企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前中間連結会計期間の数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
当中間連結会計期間の売上高は、前年同期と比較し、子会社の一部取引において商流変更を行い、総額計上から純額計上となった影響等によるエネルギー事業収入の減少やローミング収入の減少等があったものの、端末販売収入や金融事業収入、IoT関連サービス・データセンター・デジタルBPO等で構成されるグロース領域の成長による収入の増加等により、2,855,713百万円(2.8%増)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、端末販売粗利やエネルギー事業利益の増加に加え、通信ARPU収入の増加、グロース領域の成長による収入の増加等により、573,086百万円(2.3%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する中間利益は、営業利益の増加があるものの、外貨建の債権債務の評価替えにおいて、主要通貨が前期は円安基調であったことから、主に為替差益が発生していたが、当期は円高基調になり、主に為替差損が発生していることや、前期の子会社・関連会社の組織再編に係る一過性影響等により、351,202百万円(4.7%減)となりました。
セグメント別の状況
パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドで提供する5G通信サービスを中心に、金融、エネルギー、LX(ライフトランスフォーメーション)等の各種サービスを連携し拡充することで、新たな付加価値・体験価値の提供を目指していることに加え、地域のパートナーの皆さまとともに、デジタルデバイド解消とサステナブルな地域共創の実現を目指しています。
海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、モンゴルとミャンマーの個人のお客さま向けに、通信サービス、金融サービス及び映像等のエンターテインメントサービスの提供にも取り組んでいます。また、日本から海外へ渡航されるお客さま、海外から日本に来られるお客さま向けの通信サービスについても利便性の向上に努めています。
<当中間のトピックス>●お客さま一人ひとりのニーズに合った料金を自由にお選びいただけるよう、ブランドスローガンの異なる3つのブランドを5Gにも対応して提供しています。「おもしろいほうの未来へ。」の「au」、「シンプルを、みんなに。」の「UQ mobile」、「君にピッタリの自由へ、一緒に。」の「povo」のマルチブランドで、ブランドごとの特長を生かした取組みを進めています。
auでは、昨年9月に開始した「auマネ活プラン」が本年7月に契約者数100万人を突破したほか、本年10月には、新設された、株式会社J.D.パワー ジャパンによる「スマートフォン金融・決済連携プラン顧客満足度調査」(※1)において、総合1位を獲得する等、お客さまにも大変ご好評をいただいております。また本年7月には、若年層のお客さまがご利用されるデータ通信量の増加をふまえた新たな取組みとして、30GBのデータ容量を安価に利用できる「スマホスタートプランベーシック」の提供を開始しました。さらに本年8月からは、au Style/auショップなどでの店頭サポートサービスを毎月定額で利用できる「au店頭サポート定額」の提供を開始しました。これにより、スマートフォンのデータ移行に加え、日常的なスマホ利用における操作やお困りごとについても、来店回数の制限なくお気軽にご相談いただけます。
UQ mobileでは、本年11月から既存の「コミコミプラン」のご利用料金を据え置いたままデータ容量を20GBから30GBへ増量した「コミコミプラン+」の開始を予定しており、競争力のある新料金プランを提供していきます。また、本年6月には、新しい機種への買い替えなしに端末返却のみで特典が利用でき、スマートフォンをおトクに購入できる「スマホトクするプログラム」を、従来のauのスマートフォンに加えて、新たにUQ mobileのスマートフォン向けにも提供開始し、お客さまに安心しておトクにご契約いただけるようになりました。さらに、本年7月には、お客さまがご利用されるデータ通信量の増加をふまえ、「コミコミプラン データもっと増量キャンペーン」の提供を開始したほか、UQ mobileをご利用中のお客さま及び他社からお乗り換えのお客さまを対象とした「大還元祭!」や、UQ mobile 契約数1,000万回線突破を記念した「UQ mobile 契約数1,000万回線突破 ありがとうキャンペーン」を実施し、ご好評をいただきました。
povoでは、お客さまのご利用形態に合わせて選べるさまざまなトッピングを引き続き多数提供しており、短時間でデータを自由に利用できる「データ使い放題(3時間)」や、データエリアの広さを活用し、電波の届きにくい山小屋でも安定した通信が可能となる「山小屋Wi-Fi」といった期間限定のトッピングを通じて、より柔軟な使い方の提案を行っています。また本年9月には、これらの取組みやお客さまへのサービス提供姿勢が評価され、株式会社J.D.パワー ジャパンによる「2024年携帯電話サービス顧客満足度調査」のオンライン専用ブランド/プラン部門において総合満足度1位を受賞しました。今後は、従来のオンライン専用プランの良さを生かしつつ、新たなお客さま接点であるローソンでの取扱いの開始を予定しています。さらに、ローソンに訪れるとギガチャージが出来る「povo Data Oasis」を本年内に開始を予定し、国内外のお客さまにスマートフォンにおける新体験を提供していきます。
●通信の基盤となるエリア構築においては、当社は業界最多の約9.4万局の5G基地局を展開し、Sub6基地局も約3.9万局となっています。本年1月比で、5Gの大容量・高速な通信を実現するSub6(3.7GHz帯/4.0GHz帯)エリアが、関東地方で2.8倍、全国では1.5倍に拡大しています。これは、衛星通信事業者さまのご協力により衛星干渉条件が緩和され、基地局の出力アップ及びアンテナ角度の最適化が可能となったことによるもので、Sub6エリアでは、通信速度が従来の5Gと比較して約3倍に向上(※2)しており、高画質動画の再生やゲームなどをより快適な通信環境でお楽しみいただけるようになりました。これらの取組みにより、本年10月にグローバル分析会社Opensignal社が発表した日本市場の「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」において、全18部門のうち13部門で1位を獲得しました。前回の本年4月に受賞した5部門に加え、新たに「一貫した品質」「信頼性エクスペリエンス」など8部門で受賞し、国内MNO事業者では最多受賞となりました。
当社では、お客さまの日常をつなぐため、鉄道路線や商業地域など、生活動線に沿ったエリア整備を積極的に行っています。また、お客さまの非日常をつなぐため、光回線を敷設しづらい山間部や野外イベントでは、車載型基地局やStarlinkを活用した通信対策を実施しているほか、本年内には、日本全土にauエリアを拡張するべく、衛星とスマートフォンの直接通信サービスの提供を予定しています。これらの取組みにより、「日常がつながる」「非日常がつながる」「空が見えればどこでもつながる」体験を提供します。
●auスマートパスプレミアムは、本年10月にPontaパスへのリニューアルを行いました。Pontaパスでは、従来のauスマートパスプレミアムの特典に加え、新たに、ローソンで月額総額600円以上おトクになる無料・割引クーポンを提供する「ウィークリーLAWSON」、及びローソンでのau PAYを利用したお支払時にPontaポイント還元率が通常(0.5%)の最大4倍(2%)となる「Pontaパスブースト」の2つのサービスを追加しました。Pontaパスへのリニューアルを通して、引き続きローソンでのご利用がよりおトクになる特典強化や、さらなるPonta経済圏の拡大に寄与していきます。
●金融事業では、本年9月時点で、auじぶん銀行株式会社(以下「auじぶん銀行」)の口座数が639万口座、au PAYカード会員数が984万人となるなど、業容は順調に拡大しています。auじぶん銀行では、本年8月に株式会社oricon MEが発表したオリコン顧客満足度®調査において、主力商品である住宅ローンが「金利」「団体信用生命保険の充実さ」の2項目で第1位を獲得しました。「金利」は2021年から4年連続、「団体信用生命保険の充実さ」は2022年から3年連続の第1位獲得となります。このようにお客さまからご好評をいただき、住宅ローン残高は本年9月末時点で3.7兆円(前年同期比159.8%)まで増加しています。
今後もauフィナンシャルグループが取り揃えるフルラインアップの金融サービスとスマホ・セントリックな体験価値を通じて、全ての人にとって金融をもっと身近なものにする「つながる金融。」を実現していきます。
●エネルギー事業では、本年7月に、東京都(離島を除く)にお住まいのお客さまを対象に、初期費用・月額定額料無料で太陽光パネルと蓄電池をご自宅に導入し、発電した電気を割引価格でお使いいただける「じたく発電所サービス」のトライアル提供を開始しました。また同月に、当社はauリニューアブルエナジー株式会社(以下「auリニューアブルエナジー」)、東京電力ホールディングス株式会社及び株式会社エナリスと、auリニューアブルエナジーを事業主体とする蓄電池事業の2025年度下期からの開始を目指して、KDDI小山ネットワークセンター内にauリニューアブルエナジー初となる大型蓄電池を導入し、本年12月から蓄電池設備を建設することを発表しました。今後も継続して、再生可能エネルギーの導入促進、持続可能な社会づくりと、環境保全及び地域課題の解決の取組みを推進していきます。
●モンゴルでは、連結子会社であるMobicom Corporation LLCが、国内シェアNo.1(※3)を維持しており、事業は順調に推移しています。本年7月には、2021年から継続しているSmart Educationプロジェクトの第4弾を開始し、電子黒板などのデジタル教室の無償整備を通じて子供たちへの平等な教育機会の提供を推進しています。また、ミャンマー(※4)では、本年9月に発生した台風11号に伴う洪水に際し、被災者への無料通話と無料SMSの提供や必需品等の支援を行うなど、現地に寄り添った活動を続けています。引き続き現地情勢を注視しつつ、関係者の安全確保を念頭に、国民の生活に不可欠な通信サービスの維持に努めています。
※1 出典:J.D. パワー 2024年スマートフォン金融・決済連携プラン顧客満足度調査。携帯電話サービス会社が提供する金融・決済連携料金プランの利用者1,152名からの回答による。https://japan.jdpower.com/awards
※2 一般的な実効速度における5G(4G転用)と5G(Sub6)との比較。本年5月末時点。KDDI調べ。
※3 本年9月30日時点。出典元:GSMA Intelligence
※4 連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.が、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)の通信事業運営のサポートを行っています。
パーソナルセグメントにおける、当中間期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
中間連結会計期間
当中間連結会計期間の売上高は、前年同期と比較し、端末販売収入や金融事業収入の増加等があったものの、子会社の一部取引において商流変更を行い、総額計上から純額計上となった影響等によるエネルギー事業収入の減少やローミング収入の減少等により、2,323,922百万円(0.1%減)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、端末販売粗利やエネルギー事業利益の増加に加え、通信ARPU収入の増加等があったものの、ローミング収入の減少等により、455,191百万円(0.1%減)となりました。
ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク、クラウド等の多様なソリューションや、「Telehouse」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
またこれに加えて、AI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX」を立ち上げ、法人のお客さまが抱える業界特有の課題解消に取り組み、お客さまの事業成長と社会課題解決に貢献していきます。
引き続き、5G通信を中心にIoTやDX、生成AIなどを活用したソリューションを、パートナー企業との連携によってグローバルにワンストップで提供し、お客さまのビジネスの発展・拡大をサポートしていきます。
<当中間のトピックス>●当社は、アルティウスリンク株式会社(以下「アルティウスリンク」)及び株式会社ELYZAと、業務の効率化やデータ分析を高度化する「コンタクトセンター業務特化型LLMアプリケーション」を開発し、本年9月に、アルティウスリンクが提供するコンタクトセンター向けサービス「Altius ONE for Support」の標準機能として提供開始しました。本LLMアプリにより、対話要約や文章生成などの業務を効率化することができ、業務負荷軽減やサービス品質向上への貢献が見込まれます。今後もLLMアプリ開発を進め、音声認識エンジンなど周辺の各種コンタクトセンター関連システムと連携させることで、お客さまが問い合わせる理由(お困りごと)となるコンタクトリーズンの分析や応対品質評価などに活用し、アルティウスリンクにおけるコンタクトセンター運営サービスの品質強化や、データ分析の高度化を実現していきます。今後、3社の協業をさらに加速させ、WAKONXを通じてお客さまの事業成長と社会課題の解決に貢献するBPO事業を推進します。
●本年8月、当社と株式会社椿本チエインの合弁会社である株式会社Nexa Wareは、物流倉庫内データを活用し、物流2024年問題、労働人口不足解決に貢献する物流倉庫向けデータ分析サービス「Nexa Warehouse-Optimizer」の提供を開始しました。本サービスは、倉庫内データの分析・活用を通した作業工程全体最適化に加え、人・作業量・時間を考慮した作業員シフトを自動作成し、Webダッシュボードを通じて可視化・提案することで、デジタル化による倉庫内業務の効率化を実現します。当社は本年8月に、当社物流センターで本サービスを先行導入しており、今後、WAKONX Logisticsのアセットとして展開していきます。ロボット活用による作業効率化からデータ分析による最適化まで、一気通貫で実現する倉庫DXの推進とともに、庫内業務のみならずフィジカルインターネット(※1)の活用による配送の効率化にも関わり、サプライチェーン全体での最適化に貢献します。
●本年9月、新オフィスのコンセプト策定から運用までを一括で支援する「ファシリティソリューション」の提供を開始しました。本ソリューションは、当社がこれまで提供してきたLAN工事などの電気通信工事に加え、課題のヒアリング、新オフィスのコンセプト策定、什器の仕様確定から、レイアウト変更の対応などのオフィス運用開始後のサポートまでを一気通貫に提供します。これにより、オフィス構築時の運送業者・設計業者・工事業者など個々の業者への依頼が不要となり、スケジュールやコストの一元管理が可能となります。
なお、当社は、2025年春を目途に「TAKANAWA GATEWAY CITY」への本社移転を予定しており、そこで得たスマートビル・スマートシティの知見を活用することで、職場での業務効率化、コスト最適化などのさらなるお客さま価値向上につなげていきます。
当社は、お客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただくことを目指し、事業の拡大に取り組んでまいります。
※1 荷物や倉庫、車両の空き情報等を、業種を超えた企業間で共有し、最適な輸送ルートを選んで効率よく貨物を運ぶ共同配送の仕組み。
ビジネスセグメントにおける、当中間期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
中間連結会計期間
当中間連結会計期間の売上高は、前年同期と比較し、IoT関連サービス・データセンター・デジタルBPO等で構成されるグロース領域の成長による収入の増加等により、672,430百万円(13.1%増)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、売上高の増加等により、113,669百万円(11.1%増)となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態
(資産)
資産は、その他の長期金融資産等が減少したものの、金融事業の貸出金、持分法で会計処理されている投資等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、1,662,585百万円増加し、15,808,645百万円となりました。
(負債)
負債は、コールマネー等が減少したものの、借入金及び社債、金融事業の預金等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、1,801,411百万円増加し、10,150,244百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の減少等により、5,658,400百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の37.1%から32.5%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前年同期と比較し、金融事業の借入金の増加幅が大きくなったこと等により、185,415百万円増加し、892,073百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前年同期と比較し、ローソン等の関連会社株式の取得による支出等により、239,110百万円増加し、715,007百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前年同期と比較し、社債発行及び長期借入による収入の増加等により、292,522百万円増加し、74,056百万円の収入となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により4,195百万円減少した結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、246,926百万円増加し、1,134,133百万円となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、12,226百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
業績等の概要
■業界動向と当社の状況
現代社会において、通信はあらゆるものに溶け込んでおり、通信の社会的役割がより一層重要になる中、AI技術の進化により、生活や産業など社会全般において新たな価値創造の時代が到来しつつあります。また、日本国内では、生産性向上や脱炭素化など、サステナブルな社会の実現に向け、産業構造の変革が期待されています。
当社は、データ及び生成AIによるデジタル社会インフラの進展など、社会全体を取り巻く急速な環境変化に対応するため、本年5月に事業戦略を「新サテライトグロース戦略」としてアップデートしました。アップデートした事業戦略の下、2022年5月に策定した「KDDI VISION 2030:「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」の実現に向けて、今後も『「命」「暮らし」「心」をつなぐ』を使命に、社会的に重要な役割を果たすとともに、お客さまの期待を超える感動をお届けすることで、引き続き社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。
新サテライトグロース戦略では、高品質・高信頼の「5G通信」をベースとし、「データドリブン」の実践と「生成AI」の社会実装を進めるコア事業を中心に、パートナーの皆さまとともに新たな価値を創造し、「つなぐチカラ」の進化を加速しています。生成AIの社会実装については、国内トップクラスのLLM(大規模言語モデル)の研究開発力を有するスタートアップ企業との提携や、当社グループの計算基盤及びネットワーク資源を活用し、付加価値の創出に取り組んでいます。
また、コア事業と連携し、当社の成長を牽引する事業領域(Orbit1)として、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「金融」「エネルギー」の3領域に注力し、パートナーの皆さまとの連携や通信事業とのシナジー最大化などに取り組み、引き続き成長を加速していきます。特に「DX」においては、本年5月に、AIが溶け込む時代の新たなビジネスプラットフォームとして「WAKONX(ワコンクロス)」を始動しました。
WAKONXでは、社会のDX加速に不可欠な、AI・データ基盤・ネットワーク・運用保守をワンストップで提供することで、社会課題・業界課題の解決や日本企業の事業成長を加速していきます。
加えて、新たな成長に挑戦する事業領域(Orbit2)には、「モビリティ」「宇宙」「ヘルスケア」「Web3・メタバース」「スポーツ・エンタメ」の5領域を設定しています。当社の強みである通信や新技術を活用するとともに、パートナリングによってお客さまのライフスタイルの変革に挑戦し、さらなる事業拡大を目指します。
また、当社は、新サテライトグロース戦略をリアルな消費生活シーンにおいて強力に推進するため、本年2月に株式会社ローソン(以下「ローソン」)及び三菱商事株式会社 (以下「三菱商事」)と資本業務提携契約を締結し、本年8月にはローソン株式取得のクロージングを経て、ローソンは、三菱商事と当社の出資比率が50%ずつとなる共同経営体制となりました。3社は、ローソンの「未来のコンビニ」への変革に向けて、三菱商事と当社が有する事業基盤やAI・DX技術を活用することで、「Real×Tech Convenience」の拡大を推進するとともに、自治体と連携してお店と地域が抱える社会的課題を解決し「マチのほっとステーション」としての役割をさらに深化していくことを目指します。なお、2025年春に当社本社の移転先として予定している「TAKANAWA GATEWAY CITY」には、「未来のコンビニ」への変革に向けたさまざまなリテールテックの実験ラボとして、ローソン2店舗(オフィスフロア・一般フロア)を開店します。そして今後、高輪での実証結果をもとに「Real×Tech Convenience」の仕組みを構築することで、他店舗への拡大も目指していきます。引き続き、データを活用したマーケティング高度化やPontaポイント経済圏の拡大等を推進し、社会の持続的成長と両社の企業価値の向上に取り組んでいきます。
さらに、当社は新サテライトグロース戦略の推進と併せて、「To Global」「With Life」「For Future」をテーマに未来への取組みも進めることで、「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」として、誰もが思いを実現できる社会をつくることを目指します。

また、地球規模で大きな課題となっている、カーボンニュートラルを始めとするサステナビリティ課題についても積極的に取り組んでいます。当社が重要課題(マテリアリティ)の一つとして掲げる「カーボンニュートラルの実現」については、本年5月に新たな目標を策定し、2040年度までにScope3を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を目指します。そして、この達成に向けて、当社グループ全体で2030年度のCO2排出量実質ゼロの実現を目指し、基地局・通信設備等の省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを強力に推し進めます。
変化の激しい事業環境の中で持続的成長を実現するには、「イノベーションの推進」及び社員や組織の高度な自律性と成長を促す「人財ファースト企業」への変革が不可欠です。「イノベーションの推進」においては、Beyond 5G/6Gを見据えた先端技術の研究開発に挑み続けるとともに、産学官連携によるオープンイノベーションや外部パートナーとのコラボレーションを推進しています。また、ソフトバンク株式会社とのインフラシェアリング等、競合他社との協調にも引き続き積極的に取り組んでいきます。
「人財ファースト企業」への変革については、「新人事制度の浸透」「KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成」「社員エンゲージメント向上」の三位一体改革に取り組んでおり、「KDDI DX University」の活用による全社員のDXスキル向上とプロフェッショナル人財の育成により、注力領域への要員シフトも実行しています。
引き続き当社は、経営層と従業員の共通の考え方・行動規範として掲げる「KDDIフィロソフィ」と、人権を尊重し、透明性・公正性を担保したコーポレート・ガバナンス体制との相乗効果により、リスクマネジメント・情報セキュリティ体制の強化を進め、グループ一体経営の推進に努めていきます。
■連結業績
中間連結会計期間
(単位:百万円) | |||||||
前中間 連結会計期間 自 2023年4月1日 至 2023年9月30日 | 当中間 連結会計期間 自 2024年4月1日 至 2024年9月30日 | 比較増減 | 増減率(%) | ||||
売上高 | 2,778,967 | 2,855,713 | 76,745 | 2.8 | |||
売上原価 | 1,556,562 | 1,592,190 | 35,628 | 2.3 | |||
売上総利益 | 1,222,405 | 1,263,522 | 41,118 | 3.4 | |||
販売費及び一般管理費 | 685,193 | 708,218 | 23,025 | 3.4 | |||
その他の損益(△損失) | 19,775 | 3,924 | △15,851 | △80.2 | |||
持分法による投資利益 | 3,288 | 13,857 | 10,569 | 321.4 | |||
営業利益 | 560,274 | 573,086 | 12,811 | 2.3 | |||
金融損益(△損失) | 11,720 | △11,460 | △23,179 | - | |||
その他の営業外損益(△損失) | 11,219 | 1,928 | △9,291 | △82.8 | |||
税引前中間利益 | 583,213 | 563,554 | △19,659 | △3.4 | |||
法人所得税費用 | 176,149 | 174,290 | △1,860 | △1.1 | |||
中間利益 | 407,064 | 389,264 | △17,800 | △4.4 | |||
親会社の所有者 | 368,680 | 351,202 | △17,478 | △4.7 | |||
非支配持分 | 38,383 | 38,062 | △321 | △0.8 |
当中間連結会計期間より、組織変更に伴い当社事業、連結子会社及び関連会社の一部所管セグメントを見直しております。これに伴い、前中間連結会計期間のセグメント情報については、変更後のセグメント区分に基づき作成したものを開示しております。
また、前第4四半期連結会計期間に企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前中間連結会計期間の数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
当中間連結会計期間の売上高は、前年同期と比較し、子会社の一部取引において商流変更を行い、総額計上から純額計上となった影響等によるエネルギー事業収入の減少やローミング収入の減少等があったものの、端末販売収入や金融事業収入、IoT関連サービス・データセンター・デジタルBPO等で構成されるグロース領域の成長による収入の増加等により、2,855,713百万円(2.8%増)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、端末販売粗利やエネルギー事業利益の増加に加え、通信ARPU収入の増加、グロース領域の成長による収入の増加等により、573,086百万円(2.3%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する中間利益は、営業利益の増加があるものの、外貨建の債権債務の評価替えにおいて、主要通貨が前期は円安基調であったことから、主に為替差益が発生していたが、当期は円高基調になり、主に為替差損が発生していることや、前期の子会社・関連会社の組織再編に係る一過性影響等により、351,202百万円(4.7%減)となりました。
セグメント別の状況
パーソナルセグメント |
パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドで提供する5G通信サービスを中心に、金融、エネルギー、LX(ライフトランスフォーメーション)等の各種サービスを連携し拡充することで、新たな付加価値・体験価値の提供を目指していることに加え、地域のパートナーの皆さまとともに、デジタルデバイド解消とサステナブルな地域共創の実現を目指しています。
海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、モンゴルとミャンマーの個人のお客さま向けに、通信サービス、金融サービス及び映像等のエンターテインメントサービスの提供にも取り組んでいます。また、日本から海外へ渡航されるお客さま、海外から日本に来られるお客さま向けの通信サービスについても利便性の向上に努めています。
<当中間のトピックス>●お客さま一人ひとりのニーズに合った料金を自由にお選びいただけるよう、ブランドスローガンの異なる3つのブランドを5Gにも対応して提供しています。「おもしろいほうの未来へ。」の「au」、「シンプルを、みんなに。」の「UQ mobile」、「君にピッタリの自由へ、一緒に。」の「povo」のマルチブランドで、ブランドごとの特長を生かした取組みを進めています。
auでは、昨年9月に開始した「auマネ活プラン」が本年7月に契約者数100万人を突破したほか、本年10月には、新設された、株式会社J.D.パワー ジャパンによる「スマートフォン金融・決済連携プラン顧客満足度調査」(※1)において、総合1位を獲得する等、お客さまにも大変ご好評をいただいております。また本年7月には、若年層のお客さまがご利用されるデータ通信量の増加をふまえた新たな取組みとして、30GBのデータ容量を安価に利用できる「スマホスタートプランベーシック」の提供を開始しました。さらに本年8月からは、au Style/auショップなどでの店頭サポートサービスを毎月定額で利用できる「au店頭サポート定額」の提供を開始しました。これにより、スマートフォンのデータ移行に加え、日常的なスマホ利用における操作やお困りごとについても、来店回数の制限なくお気軽にご相談いただけます。
UQ mobileでは、本年11月から既存の「コミコミプラン」のご利用料金を据え置いたままデータ容量を20GBから30GBへ増量した「コミコミプラン+」の開始を予定しており、競争力のある新料金プランを提供していきます。また、本年6月には、新しい機種への買い替えなしに端末返却のみで特典が利用でき、スマートフォンをおトクに購入できる「スマホトクするプログラム」を、従来のauのスマートフォンに加えて、新たにUQ mobileのスマートフォン向けにも提供開始し、お客さまに安心しておトクにご契約いただけるようになりました。さらに、本年7月には、お客さまがご利用されるデータ通信量の増加をふまえ、「コミコミプラン データもっと増量キャンペーン」の提供を開始したほか、UQ mobileをご利用中のお客さま及び他社からお乗り換えのお客さまを対象とした「大還元祭!」や、UQ mobile 契約数1,000万回線突破を記念した「UQ mobile 契約数1,000万回線突破 ありがとうキャンペーン」を実施し、ご好評をいただきました。
povoでは、お客さまのご利用形態に合わせて選べるさまざまなトッピングを引き続き多数提供しており、短時間でデータを自由に利用できる「データ使い放題(3時間)」や、データエリアの広さを活用し、電波の届きにくい山小屋でも安定した通信が可能となる「山小屋Wi-Fi」といった期間限定のトッピングを通じて、より柔軟な使い方の提案を行っています。また本年9月には、これらの取組みやお客さまへのサービス提供姿勢が評価され、株式会社J.D.パワー ジャパンによる「2024年携帯電話サービス顧客満足度調査」のオンライン専用ブランド/プラン部門において総合満足度1位を受賞しました。今後は、従来のオンライン専用プランの良さを生かしつつ、新たなお客さま接点であるローソンでの取扱いの開始を予定しています。さらに、ローソンに訪れるとギガチャージが出来る「povo Data Oasis」を本年内に開始を予定し、国内外のお客さまにスマートフォンにおける新体験を提供していきます。
●通信の基盤となるエリア構築においては、当社は業界最多の約9.4万局の5G基地局を展開し、Sub6基地局も約3.9万局となっています。本年1月比で、5Gの大容量・高速な通信を実現するSub6(3.7GHz帯/4.0GHz帯)エリアが、関東地方で2.8倍、全国では1.5倍に拡大しています。これは、衛星通信事業者さまのご協力により衛星干渉条件が緩和され、基地局の出力アップ及びアンテナ角度の最適化が可能となったことによるもので、Sub6エリアでは、通信速度が従来の5Gと比較して約3倍に向上(※2)しており、高画質動画の再生やゲームなどをより快適な通信環境でお楽しみいただけるようになりました。これらの取組みにより、本年10月にグローバル分析会社Opensignal社が発表した日本市場の「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」において、全18部門のうち13部門で1位を獲得しました。前回の本年4月に受賞した5部門に加え、新たに「一貫した品質」「信頼性エクスペリエンス」など8部門で受賞し、国内MNO事業者では最多受賞となりました。
当社では、お客さまの日常をつなぐため、鉄道路線や商業地域など、生活動線に沿ったエリア整備を積極的に行っています。また、お客さまの非日常をつなぐため、光回線を敷設しづらい山間部や野外イベントでは、車載型基地局やStarlinkを活用した通信対策を実施しているほか、本年内には、日本全土にauエリアを拡張するべく、衛星とスマートフォンの直接通信サービスの提供を予定しています。これらの取組みにより、「日常がつながる」「非日常がつながる」「空が見えればどこでもつながる」体験を提供します。
●auスマートパスプレミアムは、本年10月にPontaパスへのリニューアルを行いました。Pontaパスでは、従来のauスマートパスプレミアムの特典に加え、新たに、ローソンで月額総額600円以上おトクになる無料・割引クーポンを提供する「ウィークリーLAWSON」、及びローソンでのau PAYを利用したお支払時にPontaポイント還元率が通常(0.5%)の最大4倍(2%)となる「Pontaパスブースト」の2つのサービスを追加しました。Pontaパスへのリニューアルを通して、引き続きローソンでのご利用がよりおトクになる特典強化や、さらなるPonta経済圏の拡大に寄与していきます。
●金融事業では、本年9月時点で、auじぶん銀行株式会社(以下「auじぶん銀行」)の口座数が639万口座、au PAYカード会員数が984万人となるなど、業容は順調に拡大しています。auじぶん銀行では、本年8月に株式会社oricon MEが発表したオリコン顧客満足度®調査において、主力商品である住宅ローンが「金利」「団体信用生命保険の充実さ」の2項目で第1位を獲得しました。「金利」は2021年から4年連続、「団体信用生命保険の充実さ」は2022年から3年連続の第1位獲得となります。このようにお客さまからご好評をいただき、住宅ローン残高は本年9月末時点で3.7兆円(前年同期比159.8%)まで増加しています。
今後もauフィナンシャルグループが取り揃えるフルラインアップの金融サービスとスマホ・セントリックな体験価値を通じて、全ての人にとって金融をもっと身近なものにする「つながる金融。」を実現していきます。
●エネルギー事業では、本年7月に、東京都(離島を除く)にお住まいのお客さまを対象に、初期費用・月額定額料無料で太陽光パネルと蓄電池をご自宅に導入し、発電した電気を割引価格でお使いいただける「じたく発電所サービス」のトライアル提供を開始しました。また同月に、当社はauリニューアブルエナジー株式会社(以下「auリニューアブルエナジー」)、東京電力ホールディングス株式会社及び株式会社エナリスと、auリニューアブルエナジーを事業主体とする蓄電池事業の2025年度下期からの開始を目指して、KDDI小山ネットワークセンター内にauリニューアブルエナジー初となる大型蓄電池を導入し、本年12月から蓄電池設備を建設することを発表しました。今後も継続して、再生可能エネルギーの導入促進、持続可能な社会づくりと、環境保全及び地域課題の解決の取組みを推進していきます。
●モンゴルでは、連結子会社であるMobicom Corporation LLCが、国内シェアNo.1(※3)を維持しており、事業は順調に推移しています。本年7月には、2021年から継続しているSmart Educationプロジェクトの第4弾を開始し、電子黒板などのデジタル教室の無償整備を通じて子供たちへの平等な教育機会の提供を推進しています。また、ミャンマー(※4)では、本年9月に発生した台風11号に伴う洪水に際し、被災者への無料通話と無料SMSの提供や必需品等の支援を行うなど、現地に寄り添った活動を続けています。引き続き現地情勢を注視しつつ、関係者の安全確保を念頭に、国民の生活に不可欠な通信サービスの維持に努めています。
※1 出典:J.D. パワー 2024年スマートフォン金融・決済連携プラン顧客満足度調査。携帯電話サービス会社が提供する金融・決済連携料金プランの利用者1,152名からの回答による。https://japan.jdpower.com/awards
※2 一般的な実効速度における5G(4G転用)と5G(Sub6)との比較。本年5月末時点。KDDI調べ。
※3 本年9月30日時点。出典元:GSMA Intelligence
※4 連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.が、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)の通信事業運営のサポートを行っています。
パーソナルセグメントにおける、当中間期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
中間連結会計期間
(単位:百万円) | ||||
前中間 連結会計期間 自 2023年4月1日 至 2023年9月30日 | 当中間 連結会計期間 自 2024年4月1日 至 2024年9月30日 | 比較増減 | 増減率 (%) | |
売上高 | 2,325,787 | 2,323,922 | △1,866 | △0.1 |
営業利益 | 455,817 | 455,191 | △626 | △0.1 |
当中間連結会計期間の売上高は、前年同期と比較し、端末販売収入や金融事業収入の増加等があったものの、子会社の一部取引において商流変更を行い、総額計上から純額計上となった影響等によるエネルギー事業収入の減少やローミング収入の減少等により、2,323,922百万円(0.1%減)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、端末販売粗利やエネルギー事業利益の増加に加え、通信ARPU収入の増加等があったものの、ローミング収入の減少等により、455,191百万円(0.1%減)となりました。
ビジネスセグメント |
ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク、クラウド等の多様なソリューションや、「Telehouse」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
またこれに加えて、AI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX」を立ち上げ、法人のお客さまが抱える業界特有の課題解消に取り組み、お客さまの事業成長と社会課題解決に貢献していきます。
引き続き、5G通信を中心にIoTやDX、生成AIなどを活用したソリューションを、パートナー企業との連携によってグローバルにワンストップで提供し、お客さまのビジネスの発展・拡大をサポートしていきます。
<当中間のトピックス>●当社は、アルティウスリンク株式会社(以下「アルティウスリンク」)及び株式会社ELYZAと、業務の効率化やデータ分析を高度化する「コンタクトセンター業務特化型LLMアプリケーション」を開発し、本年9月に、アルティウスリンクが提供するコンタクトセンター向けサービス「Altius ONE for Support」の標準機能として提供開始しました。本LLMアプリにより、対話要約や文章生成などの業務を効率化することができ、業務負荷軽減やサービス品質向上への貢献が見込まれます。今後もLLMアプリ開発を進め、音声認識エンジンなど周辺の各種コンタクトセンター関連システムと連携させることで、お客さまが問い合わせる理由(お困りごと)となるコンタクトリーズンの分析や応対品質評価などに活用し、アルティウスリンクにおけるコンタクトセンター運営サービスの品質強化や、データ分析の高度化を実現していきます。今後、3社の協業をさらに加速させ、WAKONXを通じてお客さまの事業成長と社会課題の解決に貢献するBPO事業を推進します。
●本年8月、当社と株式会社椿本チエインの合弁会社である株式会社Nexa Wareは、物流倉庫内データを活用し、物流2024年問題、労働人口不足解決に貢献する物流倉庫向けデータ分析サービス「Nexa Warehouse-Optimizer」の提供を開始しました。本サービスは、倉庫内データの分析・活用を通した作業工程全体最適化に加え、人・作業量・時間を考慮した作業員シフトを自動作成し、Webダッシュボードを通じて可視化・提案することで、デジタル化による倉庫内業務の効率化を実現します。当社は本年8月に、当社物流センターで本サービスを先行導入しており、今後、WAKONX Logisticsのアセットとして展開していきます。ロボット活用による作業効率化からデータ分析による最適化まで、一気通貫で実現する倉庫DXの推進とともに、庫内業務のみならずフィジカルインターネット(※1)の活用による配送の効率化にも関わり、サプライチェーン全体での最適化に貢献します。
●本年9月、新オフィスのコンセプト策定から運用までを一括で支援する「ファシリティソリューション」の提供を開始しました。本ソリューションは、当社がこれまで提供してきたLAN工事などの電気通信工事に加え、課題のヒアリング、新オフィスのコンセプト策定、什器の仕様確定から、レイアウト変更の対応などのオフィス運用開始後のサポートまでを一気通貫に提供します。これにより、オフィス構築時の運送業者・設計業者・工事業者など個々の業者への依頼が不要となり、スケジュールやコストの一元管理が可能となります。
なお、当社は、2025年春を目途に「TAKANAWA GATEWAY CITY」への本社移転を予定しており、そこで得たスマートビル・スマートシティの知見を活用することで、職場での業務効率化、コスト最適化などのさらなるお客さま価値向上につなげていきます。
当社は、お客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただくことを目指し、事業の拡大に取り組んでまいります。
※1 荷物や倉庫、車両の空き情報等を、業種を超えた企業間で共有し、最適な輸送ルートを選んで効率よく貨物を運ぶ共同配送の仕組み。
ビジネスセグメントにおける、当中間期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
中間連結会計期間
(単位:百万円) | ||||
前中間 連結会計期間 自 2023年4月1日 至 2023年9月30日 | 当中間 連結会計期間 自 2024年4月1日 至 2024年9月30日 | 比較増減 | 増減率 (%) | |
売上高 | 594,663 | 672,430 | 77,767 | 13.1 |
営業利益 | 102,301 | 113,669 | 11,368 | 11.1 |
当中間連結会計期間の売上高は、前年同期と比較し、IoT関連サービス・データセンター・デジタルBPO等で構成されるグロース領域の成長による収入の増加等により、672,430百万円(13.1%増)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、売上高の増加等により、113,669百万円(11.1%増)となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態
前連結会計年度 2024年3月31日 | 当中間 連結会計期間 2024年9月30日 | 比較増減 | |
資産合計(百万円) | 14,146,060 | 15,808,645 | 1,662,585 |
負債合計(百万円) | 8,348,833 | 10,150,244 | 1,801,411 |
資本合計(百万円) | 5,797,226 | 5,658,400 | △138,826 |
親会社の所有者に帰属する持分(百万円) | 5,253,362 | 5,132,055 | △121,307 |
親会社所有者帰属持分比率(%) | 37.1 | 32.5 | △4.7 |
(資産)
資産は、その他の長期金融資産等が減少したものの、金融事業の貸出金、持分法で会計処理されている投資等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、1,662,585百万円増加し、15,808,645百万円となりました。
(負債)
負債は、コールマネー等が減少したものの、借入金及び社債、金融事業の預金等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、1,801,411百万円増加し、10,150,244百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の減少等により、5,658,400百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の37.1%から32.5%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円) | |||
前中間 連結会計期間 自 2023年4月1日 至 2023年9月30日 | 当中間 連結会計期間 自 2024年4月1日 至 2024年9月30日 | 比較増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 706,657 | 892,073 | 185,415 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △475,897 | △715,007 | △239,110 |
フリー・キャッシュ・フロー ※ | 230,760 | 177,066 | △53,694 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △218,467 | 74,056 | 292,522 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 7,434 | △4,195 | △11,629 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 19,728 | 246,926 | 227,199 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 480,252 | 887,207 | 406,955 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 499,979 | 1,134,133 | 634,154 |
※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前年同期と比較し、金融事業の借入金の増加幅が大きくなったこと等により、185,415百万円増加し、892,073百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前年同期と比較し、ローソン等の関連会社株式の取得による支出等により、239,110百万円増加し、715,007百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前年同期と比較し、社債発行及び長期借入による収入の増加等により、292,522百万円増加し、74,056百万円の収入となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により4,195百万円減少した結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、246,926百万円増加し、1,134,133百万円となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、12,226百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。