有価証券報告書-第36期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
■業界動向と当社の状況
新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、罹患された方、不安で辛い日々を過ごされているすべての皆さまに心からお見舞い申し上げます。
また、感染拡大防止にご尽力されている皆さまには深く感謝申し上げます。
世の中を取り巻く環境は大きな変革期にあり、5G (第5世代移動通信システム)/IoT、AI・ビッグデータをはじめとした技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。また、政府は、これらの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会課題の解決を両立していくSociety 5.0(※1)の実現を目指しています。こうした中、通信業界においては、新規通信事業者の参入や電気通信事業法の改正等により競争が激化するとともに、通信・インターネットの活用で全ての産業が変革するデジタルトランスフォーメーション (以下「DX」) の進展など事業環境は大きく変化しています。さらに、今後5G/IoTが本格化し、さまざまな先端技術を活用した多様なサービスが生み出される新しい時代を迎えようとしています。
当社は、このような事業環境の変化に迅速に対応しながら持続的な成長を実現するため、この3カ年における「中期経営計画 (2019-21年度)」を策定しています。個人のお客さまには、通信とさまざまなライフデザインサービスを合わせてお使いいただくことで、エンゲージメントの深化を図り、グループお客さま数(グループID)×エンゲージメント×総合ARPUの総和である「ライフタイムバリュー」の最大化につなげていきます。また、本年3月には第5世代移動通信サービス「au 5G」の提供を開始しました。法人のお客さまには、当社の持つIoT・ICT関連の技術・ノウハウを生かしてDXをサポートすることで、お客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するとともに、パートナー企業とのオープンイノベーションにより新たなビジネスを創造し、ともに成長していくビジネスモデルを展開します。通信サービスを中心に、成長事業を拡大していくことで、事業戦略の核となる「通信とライフデザインの融合」をより一層推し進め、国内はもとよりグローバルにおいても、5G/IoT時代における新たな価値創造を実現していきます。
また当社は、全社でサステナビリティ活動を推進しています。さらに本年、「中期経営計画 (2019-21年度)」に連動した「KDDIが目指すSDGs(※2)」を、「社会課題の大きさ」と「当社が通信事業者としてより貢献できる事業領域」の観点から8つの社会課題領域へ見直しを行い、2030年へ向けた目標「KDDI Sustainable Action」を策定しました。5GやIoTなどを活用しながら社会の持続的な成長に貢献していきます。
なお、中期経営計画の詳細は当社ホームページをご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/kddi/ management-plan/
※1 日本の中長期的な成長戦略の一つで、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより目指すべき人間中心の社会のこと。
※2 「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標。
■連結業績
当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業やauじぶん銀行株式会社(以下「auじぶん銀行」)の連結子会社化による金融事業等、ライフデザイン領域の拡大による収入の増加等により、5,237,221百万円(3.1%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加に伴う売上総利益の増加等により、1,025,237百万円(1.1%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加等により、639,767百万円(3.6%増)となりました。
当社を取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症による影響が生じておりますが、事業戦略の推進および経営基盤の強化に引き続き取り組んできており、また当期末にかけて限定的な影響であることから、当期業績においては重要な影響を与えておりません。
b.セグメント別の状況
当期から、「通信とライフデザインの融合」をさらに推進するため、セグメントを従来の4つのセグメントから個人のお客さま向け事業の「パーソナルセグメント」、法人のお客さま向け事業の「ビジネスセグメント」の2つのセグメントに集約しました。
パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、従来の通信サービス(主に「au」ブランドによるスマートフォン・携帯電話、FTTH/CATVサービス等)を中心に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザインサービスを連携しながら拡充することで、新たな体験価値の提供を目指しています。
また、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーやモンゴルをはじめとするアジア地域を中心とした個人のお客さま向けビジネスにも積極的に取り組んでいます。
当社は、ライフタイムバリュー(グループお客さま数(グループID)×エンゲージメント×総合ARPU)の最大化を目指し、当期はあらためて「エンゲージメント」を中心に据えて戦略を推進しております。エンゲージメントとはお客さまとの信頼関係であり、エンゲージメントが向上すれば、当社サービスの利用頻度が上昇し、解約率の改善、グループID・総合ARPU向上につながります。
エンゲージメントの指標としてNPS(Net Promoter Score)の向上に継続して取り組んでおり、お客さまとの接点が増加すればNPSが向上する相関関係があります。通信とライフデザインのさまざまなサービスを重ね合わせ、お客さま接点の拡大に継続して取り組むことで、持続的成長を目指しております。
<当期のトピックス>●昨年7月に、スマートフォン向け料金プラン「auデータMAXプラン」(※1)の提供を開始しました。これは、5G時代を見据えた、日本初(※2)の月間データ容量に上限がないプラン(※3)です。さらに本年2月に、5G時代に向け、最新のスマートフォンをお求めやすくすることを目的とし、国内通信事業者初(※4)となる残価設定型のスマホ購入プログラム「かえトクプログラム」の提供を開始しました。
●本年3月には、5Gの商用サービスとなる「au 5G」を、全国15都道府県の一部エリアから提供を開始しました。「au 5G」の提供開始にあわせて、4つの5Gスマートフォン向け料金プランの提供を開始するとともに、8Kなど高画質カメラを搭載するハイスペックモデルから、機能を厳選したミドルレンジまで幅広いラインアップとなる、au初の5G対応スマートフォン7機種を順次発売していきます。
●昨年9月に株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2019年 携帯電話サービス顧客満足度調査」(※5)において、4年連続となる「総合満足度第1位」を受賞しました。「電話機」「各種提供サービス」「各種費用」「電話機購入経験」「アフターサポート」の5つのファクターで最高評価を頂きました。
●5G時代の新たな体験価値の創造に向け、本年1月に「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」(※6)を始動し、au 5Gを活用したxR(※7)体験ブースを開設しました。また、本年3月には、株式会社テレビ朝日との共同出資会社による新たな動画配信プラットフォーム「TELASA」の開始やライブ体験を拡張する「au 5G LIVE」の始動を発表しました。
●当社は、昨年12月に株式会社ローソン及び株式会社ロイヤリティ マーケティングと資本業務提携契約を締結しました。本年5月以降、ポイントを共通ポイント「Ponta」に統一し、お客さまが保有するID間の連携を推進していきます。
●お客さまとの接点拡大のため、本年2月以降、決済・コマースサービスを「au PAY」ブランドへ統一するとともに、本年2月から3月にかけて、期間中「au PAY」をご利用いただいた全てのお客さま(※8)を対象とした「誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーン」を開催しました。
●KDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.がミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で行っているミャンマー通信事業では、電子マネーサービス「MPT Money」を本年1月に開始しました。ミャンマーのキャッシュレス決済の普及を促進し、手軽で信頼性の高い電子マネーサービスを実現していきます。
※1 昨年9月30日で新規受付終了。昨年9月13日から「auデータMAXプラン Netflixパック」、昨年10月1日から「auデータMAXプランPro」を提供開始。
※2 日本国内のMNOによる4G LTEスマートフォン向け料金プランとして。昨年7月23日時点、当社調べ。
※3 テザリングなどのデータ容量に上限があります。混雑時や動画などへの通信制御があります。
※4 日本国内のMNOによる残価設定型のスマートフォン向けプログラムとして。本年2月17日時点、当社調べ。
※5 出典:J.D. パワー 2016-2019年携帯電話サービス顧客満足度調査。jdpower-japan.com
※6 「au 5Gで渋谷の街を創造文化都市へ」という理念に賛同した企業が参画し、各社のアセットとau 5Gを融合することで、アート、音楽、ファッションといった渋谷が有するエンターテイメント文化を深化させる取り組み。
※7 AR(拡張現実)/MR(複合現実)/VR(仮想現実)などの技術の総称。
※8 au携帯電話をお持ちでないお客さまも含む。
パーソナルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業収入の増加に加えて、auじぶん銀行連結子会社化による金融事業収入の増加等により、4,568,003百万円(3.3%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、端末販売の粗利減少や減価償却費、販売関連費用の増加等により、872,721百万円(1.3%減)となりました。
ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク・クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
さらに、5GやIoT等の技術を活用し、パートナー企業との連携により、グローバル規模でお客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するソリューションをワンストップで提供することで、お客さまのDXを共創しています。
また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。
当社の持つIoT・ICT関連の技術・ノウハウを生かしてお客さまのDXをサポートすることで、お客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するとともに、5Gを積極的に展開し、パートナー企業とのオープンイノベーションにより新たなビジネスを創造し、ともに成長していくビジネスモデルを展開していきます。また、IoT世界基盤(※1)を通じて、国内だけでなく海外にもIoTをより一層拡大し、お客さまのグローバルビジネスをサポートしていきます。
<当期のトピックス>●2001年より提供している法人向けIoTデータ通信の累計回線数が、昨年11月に1,000万回線を突破しました。今後、5GやAIなどを組み合わせたサービスにより、既存分野でさらなる利活用を進めるとともに、IoT世界基盤を通じて、国内だけでなく海外にもIoTをさらに拡大していきます。
●昨年、株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2019年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査⦅大企業市場 セグメント⦆」(※2)「2019年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査⦅大企業・中堅企業市場セグメント⦆」(※3)、「2019年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査」(※4)の3部門で「総合満足度第1位」を受賞しました。今後もより一層お客さまにご満足いただけるよう、さらに質の高い商品・サービスの提供に取り組んでいきます。
●2018年6月に発表したIoT世界基盤として、初のパッケージサービスである「グローバルIoTパッケージ」を本年3月から提供開始しました。本サービスは、東芝デジタルソリューションズ株式会社および株式会社ソラコムとの協業で実現し、IoTのグローバル展開を推進する企業向けに、データの収集から蓄積、見える化、活用までをワンストップで提供します。
●当社とJFEスチール株式会社は、JFEスチール東日本製鉄所(千葉地区)に、「au 5G」を本年4月から導入し、4K映像などの活用を通して、製鉄所の安定操業やスマートファクトリー化を推進することを本年3月に発表しました。
今後も、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただけることを目指し、事業の変革に取り組んでいきます。
※1 コネクティビティサービス、データサービス、プロフェッショナルサービスを中心にさまざまなパートナー企業のアセットを組み合わせ、お客さまのグローバル展開を推進するビジネスプラットフォームのこと。
※2 出典:J.D. パワー 2019年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査。
※3 4年連増受賞。出典:J.D. パワー 2016-2019年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査。
※4 7年連続受賞。出典:J.D. パワー 2013-2019年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査。jdpower-japan.com
ビジネスセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
当期の売上高は、前期と比較し、採算性の低い事業の整理等により収入が減少したものの、ソリューション収入、エネルギー事業収入等の増加により、923,474百万円(4.2%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加に加えて、通信設備使用料、アクセスチャージ、端末販売原価等の減少により、147,535百万円(20.8%増)となりました。
c. 財政状態の状況
※2020年3月期の有利子負債残高は、IFRS第16号の適用により297,393百万円増加しております。
(資産)
資産は、棚卸資産等が減少したものの、金融事業の貸出金、金融事業の有価証券等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、2,249,733百万円増加し、9,580,149百万円となりました。
(負債)
負債は、営業債務及びその他の債務等が減少したものの、金融事業の預金、借入金及び社債等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、2,003,558百万円増加し、4,721,041百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、4,859,108百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の57.1%から45.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前期と比較し、減価償却費及び償却費の増加等により293,749百万円増加し、1,323,356百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、子会社の支配獲得による収入の増加等により、103,628百万円減少し、610,950百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、社債発行及び長期借入による収入の減少等により、235,430百万円増加し、546,381百万円の支出となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額1,419百万円の減少を加味した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、164,605百万円増加し、369,202百万円となりました。
③ 営業実績
当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」に記載しております。
当期の連結財務諸表の作成にあたって、2020年度上期に新型コロナウイルス感染症の影響が継続するものとして見通せる影響を会計上の見積り及び仮定の設定において検討しておりますが、構造改革や事業環境の変化に応じた施策を考慮することで、現時点において重要な影響を与えるものではないと判断しております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業やauじぶん銀行株式会社(以下「auじぶん銀行」)の連結子会社化による金融事業等、ライフデザイン領域の拡大による収入の増加等により、5,237,221百万円(3.1%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 25.売上高」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
前期と比較し、端末販売コスト、通信設備使用料、アクセスチャージは減少したものの、エネルギー事業原価、減価償却費の増加により4,224,504百万円(3.6%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 26.費用の性質別内訳」をご参照ください。
(その他の収益及びその他の費用)
前期と比較し、雑収入の増加等により9,264百万円の利益(43.0%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 27.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。
(持分法による投資利益)
前期に持分法適用関連会社であったauじぶん銀行の当期連結子会社化による投資利益の減少等により、3,256百万円(31.9%減)となりました。
(営業利益)
以上の結果、営業利益は1,025,237百万円(1.1%増)となりました。なお、営業利益率は、19.6%(0.4ポイント減)となりました。
(金融収益及び金融費用)
支払利息8,133百万円、受取配当金4,052百万円の計上等により、6,049百万円の損失となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.金融収益及び金融費用」をご参照ください。
(その他の営業外損益)
段階取得に係る差損益1,426百万円の計上等により、1,512百万円(49.2%減)の利益となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 29.その他の営業外損益」をご参照ください。
(法人所得税費用)
課税所得の増加等の影響により325,298百万円(5.2%増)となりました。なお、2020年3月期の法人税等負担率は31.9%となりました。法人所得税費用に関する詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 16.繰延税金及び法人所得税」をご参照ください。
(非支配持分に帰属する当期利益)
主にUQコミュニケーションズ株式会社の利益減少等の影響により、55,634百万円(33.3%減)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
上記の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は639,767百万円(3.6%増)となりました。
なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備投資については、自己資金及び借入金等により資金調達することとしております。このうち、借入金等による資金調達に関しては、通常の運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は固定金利の長期借入金及び社債で調達することを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金等を含む有利子負債の残高は1,680,367百万円、現金及び現金同等物の残高は369,202百万円となっております。
流動性リスクとその管理方法につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記32.金融商品」に記載しております。
c.経営上の財務目標の達成状況について
当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」に貢献するため、中期経営計画(2019-21年度)を策定しております。財務目標において、営業利益については、持続的な成長を目指し、EPSについては、2024年度1.5倍(2018年度比)の実現、株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は40%超を掲げております。
当連結会計年度においては、通信サービスを中心に、成長事業の拡大としてエネルギー事業やauじぶん銀行の連結子会社化による金融事業等、「通信とライフデザインの融合」を進めたことにより、利益成長は着実に目標通り遂行しております。また、株主還元においても連結配当性向40%超を継続いたしました。
今後も持続的成長と株主還元強化の両立を目指してまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
■業界動向と当社の状況
新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、罹患された方、不安で辛い日々を過ごされているすべての皆さまに心からお見舞い申し上げます。
また、感染拡大防止にご尽力されている皆さまには深く感謝申し上げます。
世の中を取り巻く環境は大きな変革期にあり、5G (第5世代移動通信システム)/IoT、AI・ビッグデータをはじめとした技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。また、政府は、これらの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会課題の解決を両立していくSociety 5.0(※1)の実現を目指しています。こうした中、通信業界においては、新規通信事業者の参入や電気通信事業法の改正等により競争が激化するとともに、通信・インターネットの活用で全ての産業が変革するデジタルトランスフォーメーション (以下「DX」) の進展など事業環境は大きく変化しています。さらに、今後5G/IoTが本格化し、さまざまな先端技術を活用した多様なサービスが生み出される新しい時代を迎えようとしています。
当社は、このような事業環境の変化に迅速に対応しながら持続的な成長を実現するため、この3カ年における「中期経営計画 (2019-21年度)」を策定しています。個人のお客さまには、通信とさまざまなライフデザインサービスを合わせてお使いいただくことで、エンゲージメントの深化を図り、グループお客さま数(グループID)×エンゲージメント×総合ARPUの総和である「ライフタイムバリュー」の最大化につなげていきます。また、本年3月には第5世代移動通信サービス「au 5G」の提供を開始しました。法人のお客さまには、当社の持つIoT・ICT関連の技術・ノウハウを生かしてDXをサポートすることで、お客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するとともに、パートナー企業とのオープンイノベーションにより新たなビジネスを創造し、ともに成長していくビジネスモデルを展開します。通信サービスを中心に、成長事業を拡大していくことで、事業戦略の核となる「通信とライフデザインの融合」をより一層推し進め、国内はもとよりグローバルにおいても、5G/IoT時代における新たな価値創造を実現していきます。
また当社は、全社でサステナビリティ活動を推進しています。さらに本年、「中期経営計画 (2019-21年度)」に連動した「KDDIが目指すSDGs(※2)」を、「社会課題の大きさ」と「当社が通信事業者としてより貢献できる事業領域」の観点から8つの社会課題領域へ見直しを行い、2030年へ向けた目標「KDDI Sustainable Action」を策定しました。5GやIoTなどを活用しながら社会の持続的な成長に貢献していきます。
なお、中期経営計画の詳細は当社ホームページをご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/kddi/ management-plan/
※1 日本の中長期的な成長戦略の一つで、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより目指すべき人間中心の社会のこと。
※2 「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標。
■連結業績
(単位:百万円) | |||||||
2019年3月期 自 2018年4月1日 至 2019年3月31日 | 2020年3月期 自 2019年4月1日 至 2020年3月31日 | 比較増減 | 増減率 (%) | ||||
売上高 | 5,080,353 | 5,237,221 | 156,868 | 3.1 | |||
売上原価 | 2,867,413 | 2,925,000 | 57,587 | 2.0 | |||
売上総利益 | 2,212,940 | 2,312,221 | 99,280 | 4.5 | |||
販売費及び一般管理費 | 1,210,470 | 1,299,504 | 89,035 | 7.4 | |||
その他の損益(△損失) | 6,479 | 9,264 | 2,785 | 43.0 | |||
持分法による投資利益 | 4,780 | 3,256 | △1,523 | △31.9 | |||
営業利益 | 1,013,729 | 1,025,237 | 11,508 | 1.1 | |||
金融損益(△損失) | △6,430 | △6,049 | 380 | - | |||
その他の営業外損益 | 2,975 | 1,512 | △1,463 | △49.2 | |||
税引前当期利益 | 1,010,275 | 1,020,699 | 10,424 | 1.0 | |||
法人所得税費用 | 309,149 | 325,298 | 16,150 | 5.2 | |||
当期利益 | 701,126 | 695,401 | △5,725 | △0.8 | |||
親会社の所有者 | 617,669 | 639,767 | 22,098 | 3.6 | |||
非支配持分 | 83,457 | 55,634 | △27,823 | △33.3 |
当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業やauじぶん銀行株式会社(以下「auじぶん銀行」)の連結子会社化による金融事業等、ライフデザイン領域の拡大による収入の増加等により、5,237,221百万円(3.1%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加に伴う売上総利益の増加等により、1,025,237百万円(1.1%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加等により、639,767百万円(3.6%増)となりました。
当社を取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症による影響が生じておりますが、事業戦略の推進および経営基盤の強化に引き続き取り組んできており、また当期末にかけて限定的な影響であることから、当期業績においては重要な影響を与えておりません。
b.セグメント別の状況
当期から、「通信とライフデザインの融合」をさらに推進するため、セグメントを従来の4つのセグメントから個人のお客さま向け事業の「パーソナルセグメント」、法人のお客さま向け事業の「ビジネスセグメント」の2つのセグメントに集約しました。
パーソナルセグメント |
パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、従来の通信サービス(主に「au」ブランドによるスマートフォン・携帯電話、FTTH/CATVサービス等)を中心に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザインサービスを連携しながら拡充することで、新たな体験価値の提供を目指しています。
また、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーやモンゴルをはじめとするアジア地域を中心とした個人のお客さま向けビジネスにも積極的に取り組んでいます。
当社は、ライフタイムバリュー(グループお客さま数(グループID)×エンゲージメント×総合ARPU)の最大化を目指し、当期はあらためて「エンゲージメント」を中心に据えて戦略を推進しております。エンゲージメントとはお客さまとの信頼関係であり、エンゲージメントが向上すれば、当社サービスの利用頻度が上昇し、解約率の改善、グループID・総合ARPU向上につながります。
エンゲージメントの指標としてNPS(Net Promoter Score)の向上に継続して取り組んでおり、お客さまとの接点が増加すればNPSが向上する相関関係があります。通信とライフデザインのさまざまなサービスを重ね合わせ、お客さま接点の拡大に継続して取り組むことで、持続的成長を目指しております。
<当期のトピックス>●昨年7月に、スマートフォン向け料金プラン「auデータMAXプラン」(※1)の提供を開始しました。これは、5G時代を見据えた、日本初(※2)の月間データ容量に上限がないプラン(※3)です。さらに本年2月に、5G時代に向け、最新のスマートフォンをお求めやすくすることを目的とし、国内通信事業者初(※4)となる残価設定型のスマホ購入プログラム「かえトクプログラム」の提供を開始しました。
●本年3月には、5Gの商用サービスとなる「au 5G」を、全国15都道府県の一部エリアから提供を開始しました。「au 5G」の提供開始にあわせて、4つの5Gスマートフォン向け料金プランの提供を開始するとともに、8Kなど高画質カメラを搭載するハイスペックモデルから、機能を厳選したミドルレンジまで幅広いラインアップとなる、au初の5G対応スマートフォン7機種を順次発売していきます。
●昨年9月に株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2019年 携帯電話サービス顧客満足度調査」(※5)において、4年連続となる「総合満足度第1位」を受賞しました。「電話機」「各種提供サービス」「各種費用」「電話機購入経験」「アフターサポート」の5つのファクターで最高評価を頂きました。
●5G時代の新たな体験価値の創造に向け、本年1月に「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」(※6)を始動し、au 5Gを活用したxR(※7)体験ブースを開設しました。また、本年3月には、株式会社テレビ朝日との共同出資会社による新たな動画配信プラットフォーム「TELASA」の開始やライブ体験を拡張する「au 5G LIVE」の始動を発表しました。
●当社は、昨年12月に株式会社ローソン及び株式会社ロイヤリティ マーケティングと資本業務提携契約を締結しました。本年5月以降、ポイントを共通ポイント「Ponta」に統一し、お客さまが保有するID間の連携を推進していきます。
●お客さまとの接点拡大のため、本年2月以降、決済・コマースサービスを「au PAY」ブランドへ統一するとともに、本年2月から3月にかけて、期間中「au PAY」をご利用いただいた全てのお客さま(※8)を対象とした「誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーン」を開催しました。
●KDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.がミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で行っているミャンマー通信事業では、電子マネーサービス「MPT Money」を本年1月に開始しました。ミャンマーのキャッシュレス決済の普及を促進し、手軽で信頼性の高い電子マネーサービスを実現していきます。
※1 昨年9月30日で新規受付終了。昨年9月13日から「auデータMAXプラン Netflixパック」、昨年10月1日から「auデータMAXプランPro」を提供開始。
※2 日本国内のMNOによる4G LTEスマートフォン向け料金プランとして。昨年7月23日時点、当社調べ。
※3 テザリングなどのデータ容量に上限があります。混雑時や動画などへの通信制御があります。
※4 日本国内のMNOによる残価設定型のスマートフォン向けプログラムとして。本年2月17日時点、当社調べ。
※5 出典:J.D. パワー 2016-2019年携帯電話サービス顧客満足度調査。jdpower-japan.com
※6 「au 5Gで渋谷の街を創造文化都市へ」という理念に賛同した企業が参画し、各社のアセットとau 5Gを融合することで、アート、音楽、ファッションといった渋谷が有するエンターテイメント文化を深化させる取り組み。
※7 AR(拡張現実)/MR(複合現実)/VR(仮想現実)などの技術の総称。
※8 au携帯電話をお持ちでないお客さまも含む。
パーソナルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
(単位:百万円) | ||||||
2019年3月期 自 2018年4月1日 至 2019年3月31日 | 2020年3月期 自 2019年4月1日 至 2020年3月31日 | 比較増減 | 増減率 (%) | |||
売上高 | 4,421,726 | 4,568,003 | 146,277 | 3.3 | ||
営業利益 | 884,348 | 872,721 | △11,627 | △1.3 |
当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業収入の増加に加えて、auじぶん銀行連結子会社化による金融事業収入の増加等により、4,568,003百万円(3.3%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、端末販売の粗利減少や減価償却費、販売関連費用の増加等により、872,721百万円(1.3%減)となりました。
ビジネスセグメント |
ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク・クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
さらに、5GやIoT等の技術を活用し、パートナー企業との連携により、グローバル規模でお客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するソリューションをワンストップで提供することで、お客さまのDXを共創しています。
また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。
当社の持つIoT・ICT関連の技術・ノウハウを生かしてお客さまのDXをサポートすることで、お客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するとともに、5Gを積極的に展開し、パートナー企業とのオープンイノベーションにより新たなビジネスを創造し、ともに成長していくビジネスモデルを展開していきます。また、IoT世界基盤(※1)を通じて、国内だけでなく海外にもIoTをより一層拡大し、お客さまのグローバルビジネスをサポートしていきます。
<当期のトピックス>●2001年より提供している法人向けIoTデータ通信の累計回線数が、昨年11月に1,000万回線を突破しました。今後、5GやAIなどを組み合わせたサービスにより、既存分野でさらなる利活用を進めるとともに、IoT世界基盤を通じて、国内だけでなく海外にもIoTをさらに拡大していきます。
●昨年、株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2019年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査⦅大企業市場 セグメント⦆」(※2)「2019年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査⦅大企業・中堅企業市場セグメント⦆」(※3)、「2019年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査」(※4)の3部門で「総合満足度第1位」を受賞しました。今後もより一層お客さまにご満足いただけるよう、さらに質の高い商品・サービスの提供に取り組んでいきます。
●2018年6月に発表したIoT世界基盤として、初のパッケージサービスである「グローバルIoTパッケージ」を本年3月から提供開始しました。本サービスは、東芝デジタルソリューションズ株式会社および株式会社ソラコムとの協業で実現し、IoTのグローバル展開を推進する企業向けに、データの収集から蓄積、見える化、活用までをワンストップで提供します。
●当社とJFEスチール株式会社は、JFEスチール東日本製鉄所(千葉地区)に、「au 5G」を本年4月から導入し、4K映像などの活用を通して、製鉄所の安定操業やスマートファクトリー化を推進することを本年3月に発表しました。
今後も、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただけることを目指し、事業の変革に取り組んでいきます。
※1 コネクティビティサービス、データサービス、プロフェッショナルサービスを中心にさまざまなパートナー企業のアセットを組み合わせ、お客さまのグローバル展開を推進するビジネスプラットフォームのこと。
※2 出典:J.D. パワー 2019年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査。
※3 4年連増受賞。出典:J.D. パワー 2016-2019年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査。
※4 7年連続受賞。出典:J.D. パワー 2013-2019年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査。jdpower-japan.com
ビジネスセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
(単位:百万円) | ||||||
2019年3月期 自 2018年4月1日 至 2019年3月31日 | 2020年3月期 自 2019年4月1日 至 2020年3月31日 | 比較増減 | 増減率 (%) | |||
売上高 | 886,406 | 923,474 | 37,068 | 4.2 | ||
営業利益 | 122,150 | 147,535 | 25,384 | 20.8 |
当期の売上高は、前期と比較し、採算性の低い事業の整理等により収入が減少したものの、ソリューション収入、エネルギー事業収入等の増加により、923,474百万円(4.2%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加に加えて、通信設備使用料、アクセスチャージ、端末販売原価等の減少により、147,535百万円(20.8%増)となりました。
c. 財政状態の状況
2019年3月期 | 2020年3月期 | 比較増減 | |
資産合計(百万円) | 7,330,416 | 9,580,149 | 2,249,733 |
負債合計(百万円) | 2,717,484 | 4,721,041 | 2,003,558 |
資本合計(百万円) | 4,612,932 | 4,859,108 | 246,176 |
親会社の所有者に帰属する持分(百万円) | 4,183,492 | 4,384,424 | 200,932 |
親会社所有者帰属持分比率(%) | 57.1 | 45.8 | △11.3 |
1株当たり親会社所有者帰属持分(円) | 1,779.41 | 1,906.35 | 126.93 |
有利子負債残高(百万円) (※) | 1,275,711 | 1,680,367 | 404,656 |
※2020年3月期の有利子負債残高は、IFRS第16号の適用により297,393百万円増加しております。
(資産)
資産は、棚卸資産等が減少したものの、金融事業の貸出金、金融事業の有価証券等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、2,249,733百万円増加し、9,580,149百万円となりました。
(負債)
負債は、営業債務及びその他の債務等が減少したものの、金融事業の預金、借入金及び社債等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、2,003,558百万円増加し、4,721,041百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、4,859,108百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の57.1%から45.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円) | |||
2019年3月期 | 2020年3月期 | 比較増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,029,607 | 1,323,356 | 293,749 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △714,578 | △610,950 | 103,628 |
フリー・キャッシュ・フロー ※ | 315,028 | 712,406 | 397,377 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △310,951 | △546,381 | △235,430 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △314 | △1,419 | △1,105 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 3,763 | 164,605 | 160,842 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 200,834 | 204,597 | 3,763 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 204,597 | 369,202 | 164,605 |
※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前期と比較し、減価償却費及び償却費の増加等により293,749百万円増加し、1,323,356百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、子会社の支配獲得による収入の増加等により、103,628百万円減少し、610,950百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、社債発行及び長期借入による収入の減少等により、235,430百万円増加し、546,381百万円の支出となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額1,419百万円の減少を加味した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、164,605百万円増加し、369,202百万円となりました。
③ 営業実績
当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
パーソナル | 4,568,003 | 3.3 |
ビジネス | 923,474 | 4.2 |
その他 | 84,651 | △14.6 |
セグメント間の内部売上高 | △338,907 | - |
合計 | 5,237,221 | 3.1 |
(注)1.金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」に記載しております。
当期の連結財務諸表の作成にあたって、2020年度上期に新型コロナウイルス感染症の影響が継続するものとして見通せる影響を会計上の見積り及び仮定の設定において検討しておりますが、構造改革や事業環境の変化に応じた施策を考慮することで、現時点において重要な影響を与えるものではないと判断しております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業やauじぶん銀行株式会社(以下「auじぶん銀行」)の連結子会社化による金融事業等、ライフデザイン領域の拡大による収入の増加等により、5,237,221百万円(3.1%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 25.売上高」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
前期と比較し、端末販売コスト、通信設備使用料、アクセスチャージは減少したものの、エネルギー事業原価、減価償却費の増加により4,224,504百万円(3.6%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 26.費用の性質別内訳」をご参照ください。
(その他の収益及びその他の費用)
前期と比較し、雑収入の増加等により9,264百万円の利益(43.0%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 27.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。
(持分法による投資利益)
前期に持分法適用関連会社であったauじぶん銀行の当期連結子会社化による投資利益の減少等により、3,256百万円(31.9%減)となりました。
(営業利益)
以上の結果、営業利益は1,025,237百万円(1.1%増)となりました。なお、営業利益率は、19.6%(0.4ポイント減)となりました。
(金融収益及び金融費用)
支払利息8,133百万円、受取配当金4,052百万円の計上等により、6,049百万円の損失となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.金融収益及び金融費用」をご参照ください。
(その他の営業外損益)
段階取得に係る差損益1,426百万円の計上等により、1,512百万円(49.2%減)の利益となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 29.その他の営業外損益」をご参照ください。
(法人所得税費用)
課税所得の増加等の影響により325,298百万円(5.2%増)となりました。なお、2020年3月期の法人税等負担率は31.9%となりました。法人所得税費用に関する詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 16.繰延税金及び法人所得税」をご参照ください。
(非支配持分に帰属する当期利益)
主にUQコミュニケーションズ株式会社の利益減少等の影響により、55,634百万円(33.3%減)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
上記の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は639,767百万円(3.6%増)となりました。
なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備投資については、自己資金及び借入金等により資金調達することとしております。このうち、借入金等による資金調達に関しては、通常の運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は固定金利の長期借入金及び社債で調達することを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金等を含む有利子負債の残高は1,680,367百万円、現金及び現金同等物の残高は369,202百万円となっております。
流動性リスクとその管理方法につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記32.金融商品」に記載しております。
c.経営上の財務目標の達成状況について
当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」に貢献するため、中期経営計画(2019-21年度)を策定しております。財務目標において、営業利益については、持続的な成長を目指し、EPSについては、2024年度1.5倍(2018年度比)の実現、株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は40%超を掲げております。
当連結会計年度においては、通信サービスを中心に、成長事業の拡大としてエネルギー事業やauじぶん銀行の連結子会社化による金融事業等、「通信とライフデザインの融合」を進めたことにより、利益成長は着実に目標通り遂行しております。また、株主還元においても連結配当性向40%超を継続いたしました。
今後も持続的成長と株主還元強化の両立を目指してまいります。