四半期報告書-第36期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

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2020/02/05 15:10
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19項目
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
業績等の概要
■業界動向と当社の状況
世の中を取り巻く環境は大きな変革期にあり、5G (第5世代移動通信システム)/IoT、AI・ビッグデータをはじめ
とした技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容
しています。また、政府は、これらの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会課題の解決を
両立していくSociety 5.0(※1)の実現を目指しています。こうした中、通信業界においては、新規通信事業者の参入
や電気通信事業法の改正等により競争が激化するとともに、通信・インターネットの活用で全ての産業が変革するデ
ジタルトランスフォーメーション (以下「DX」) の進展など事業環境は大きく変化しています。さらに、今後5G/IoT
が本格化し、さまざまな先端技術を活用した多様なサービスが生み出される新しい時代を迎えようとしています。
当社は、このような事業環境の変化に迅速に対応しながら持続的な成長を実現するため、この3カ年における
「中期経営計画 (2019-21年度)」を策定しています。個人のお客さまには、通信とさまざまなライフデザインサービ
スを合わせてお使いいただくことで、エンゲージメントの深化を図り、グループID×エンゲージメント×総合ARPAの
総和である「ライフタイムバリュー」の最大化につなげていきます。法人のお客さまには、当社の持つIoT・ICT関連
の技術・ノウハウを生かしてDXをサポートすることで、お客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するとともに、パー
トナー企業とのオープンイノベーションにより新たなビジネスを創造し、ともに成長していくビジネスモデルを展開
します。通信サービスを中心に、成長事業を拡大していくことで、事業戦略の核となる「通信とライフデザインの融
合」をより一層推し進め、国内はもとよりグローバルにおいても、5G/IoT時代における新たな価値創造を実現してい
きます。
また、社会の持続的な成長に貢献するため全社でサステナビリティ活動を推進しており、「中期経営計画 (2019-
21年度)」では、「KDDIが目指すSDGs(※2)」として、通信、グローバル、地方創生、教育、金融などの事業戦略に連
動する目標と、人財育成、女性活躍推進、人権・D&I(※3)、地球環境などの企業活動に連動する目標を策定していま
す。
なお、中期経営計画の詳細は当社ホームページをご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/kddi/ management-plan/
※1 日本の中長期的な成長戦略の一つで、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより目指すべき人間中心の社会のこと。
※2 「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標。
※3 ダイバーシティ&インクルージョン。
■連結業績
第3四半期連結累計期間
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
自 2018年4月1日
至 2018年12月31日
当第3四半期
連結累計期間
自 2019年4月1日
至 2019年12月31日
比較増減増減率(%)
売上高3,771,6593,902,576130,9163.5
売上原価2,078,7962,120,83442,0382.0
売上総利益1,692,8631,781,74288,8795.3
販売費及び一般管理費878,738947,12468,3867.8
その他の損益(△損失)5,0636,0701,00819.9
持分法による投資利益3,2943,181△113△3.4
営業利益822,481843,86921,3882.6
金融損益(△損失)△4,240△4,827△587-
その他の営業外損益(△損失)3,0771,502△1,575△51.2
税引前四半期利益821,318840,54419,2262.3
法人所得税費用253,275263,54410,2694.1
四半期利益568,044577,0008,9571.6
親会社の所有者505,771530,87625,1055.0
非支配持分62,27346,124△16,148△25.9

当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期と比較し、端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業や株式会社じぶん銀行(以下「じぶん銀行」)の連結子会社化による金融事業等、ライフデザイン領域の拡大による収入の増加等により3,902,576百万円(3.5%増)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、売上高の増加に伴う売上総利益の増加等により、843,869百万円(2.6%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、530,876百万円(5.0%増)となりました。
セグメント別の状況
当期から、「通信とライフデザインの融合」をさらに推進するため、セグメントを従来の4つのセグメントから個人のお客さま向け事業の「パーソナルセグメント」、法人のお客さま向け事業の「ビジネスセグメント」の2つのセグメントに集約しました。
パーソナルセグメント

パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、従来の通信サービス(主に「au」ブランドによるスマートフォン・携帯電話、FTTH/CATVサービス等)を中心に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザインサービスを連携しながら拡充することで、新たな体験価値の提供を目指しています。
また、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーやモンゴルをはじめとするアジア地域を中心とした個人のお客さま向けビジネスにも積極的に取り組んでいます。
<当第3四半期のトピックス>●昨年12月に新料金プランとして、月額4,292円(税抜)で月間データ容量に上限がない(※1) Wi-Fiルーター向けプラ
ンの他、4G LTEケータイ・ジュニアケータイ向けプランの提供を開始しました。
●昨年11月に25歳以下のお客さまのご利用料金を1年間割り引く「auの学割」の提供を開始しました。さらに、本年
1月より15歳以下のお客さまは最大12か月間月額980円(税抜)で2GBのデータ容量をご利用いただけるプランを追
加しました。
●5G時代の新たな体験価値の創造に向け、昨年11月には「auスマートパスプレミアム」のエンターテインメント領域
のコンテンツを大幅に拡充し、12月には株式会社テレビ朝日と新たな動画配信サービスに向けた準備会社を設立し
ました。また、昨年10月から12月にかけて「渋谷エンタメテック推進プロジェクト(※2)」においてXRや音のARを
活用した新たな拡張体験を提供しました。
●お客さまとの接点拡大のため、昨年12月に株式会社ローソン及び株式会社ロイヤリティ マーケティングと資本業
務提携契約を締結、「auスマートパスプレミアム」ではauをご利用でないお客さまにも提供を開始しました。ま
た、「スマートマネー構想」をさらに加速させるため、昨年12月にグループ内の金融事業の組織再編(※3)を完了
しました。
●ミャンマー通信事業では、エンターテインメントコンテンツの充実を図り、VAS(※4)(動画・ゲーム)とデータ
のバンドルパックの提供や、ミャンマーの人気コンテスト“Myanmar Idol”のオフィシャルパートナーになるな
ど、お客さまのデジタルライフ体験価値の向上に取り組んでいます。また、モンゴルのMobiCom Corporation LLC
は、モンゴル通信情報技術庁、通信規制委員会共催の「ICT EXPO 2019」で、最上位の「The best player of ICT
EXPO 2019」を受賞しました。
●連結子会社のUQコミュニケーションズ株式会社では、UQ mobileの「スマホプラン」において、国内通話がかけ放
題(※5)の通話オプション「かけ放題(24時間いつでも)」を昨年12月より提供開始しました。
※1 直近3日間に「WiMAX 2+」「4G LTE」のご利用の通信量合計が10GB以上の場合、ネットワーク混雑時間帯 (18時~翌2時 順次解除) の通信速度が概ね1Mbpsへ制限されます。
※2 昨年8月に始動した渋谷の街を音楽、アートなどのエンターテインメント領域を中心に、新たな渋谷の魅力を発見、発信していくプロジェクト。
※3 当社が保有するauカブコム証券株式会社、au損害保険株式会社、ライフネット生命保険株式会社の株式をauフィナンシャルホールディングス株式会社に承継。
※4 Value Added Service(付加価値サービス)
※5 一部対象外の通話があります。
パーソナルセグメントにおける、当第3四半期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
第3四半期連結累計期間
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
自 2018年4月1日
至 2018年12月31日
当第3四半期
連結累計期間
自 2019年4月1日
至 2019年12月31日
比較増減増減率
(%)
売上高3,284,8483,412,300127,4523.9
営業利益721,548720,228△1,319△0.2

当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期と比較し、端末販売収入が減少したものの、エネルギー事業収入の増加に加えて、じぶん銀行連結子会社化による金融事業収入の増加等により、3,412,300百万円(3.9%増)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、端末販売の粗利減少や減価償却費、販売関連費用の増加等により、720,228百万円(0.2%減)となりました。
ビジネスセグメント

ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク・クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
さらに、5GやIoT等の技術を活用し、パートナー企業との連携により、グローバル規模でお客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するソリューションをワンストップで提供することで、お客さまのDXを共創しています。
また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。
<当第3四半期のトピックス>●昨年10月に株式会社J.D.パワー ジャパンによる「2019年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査」におい
て総合満足度第1位を受賞しました。2019年の調査結果において、法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査<
大企業・中堅企業市場セグメント>、法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査に次いで3調査目の第
1位受賞です。
●昨年10月よりシスコシステムズ合同会社とクラウド型の電話システム「Cisco Webex Calling」を法人のお客さま
に提供開始しました。同システムでは、外出先やテレワーク先において、スマートフォンやパソコンなどスマー
トデバイスから固定電話番号の発着信が可能となります。当社は、Cisco Webex基盤の進化による新たな価値体
験とセキュアで柔軟なコミュニケーションインフラを提供し、お客さまの働き方改革とDXを強力にサポートしま
す。
●昨年12月に当社とAmazon Web Services, Inc.(AWS)は5Gの低遅延サービス実現へ向け、AWSの新たなコンピューテ
ィング・ストレージサービス「AWS Wavelength」を用いて、エッジコンピューティング(※)環境を構築すること
を発表しました。5GとAWS Wavelengthを組み合わせることで、AWSの利用者に低遅延のアプリケーションを開発
できる基盤を提供し、これまでにないお客さま体験価値の提供の実現を目指します。
今後も、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただけることを目指し、事業の変革に取り組んでいきます。
※ 利用者により近い場所にサーバーやストレージなどの装置を配置しデータ処理することで、クラウドサービスを利用したアプリケーションよりも応答時間の低遅延化や回線帯域の削減を実現する手法。
ビジネスセグメントにおける、当第3四半期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
第3四半期連結累計期間
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
自 2018年4月1日
至 2018年12月31日
当第3四半期
連結累計期間
自 2019年4月1日
至 2019年12月31日
比較増減増減率
(%)
売上高649,839679,94330,1044.6
営業利益96,118118,62822,51023.4

当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期と比較し、採算性の低い事業の整理等により収入が減少したものの、ソリューション収入、エネルギー事業収入等の増加により、679,943百万円(4.6%増)となりました。
営業利益は、前年同期と比較し、売上高の増加に加えて、通信設備使用料、アクセスチャージ、端末販売原価等の減少により、118,628百万円(23.4%増)となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態
前連結会計年度
2019年3月31日
当第3四半期
連結会計期間
2019年12月31日
比較増減
資産合計(百万円)7,330,4169,397,3602,066,944
負債合計(百万円)2,717,4844,614,2771,896,793
資本合計(百万円)4,612,9324,783,083170,151
親会社の所有者に帰属する持分(百万円)4,183,4924,314,483130,991
親会社所有者帰属持分比率(%)57.145.9△11.2

(資産)
資産は、棚卸資産等が減少したものの、金融事業の貸出金、金融事業の有価証券、有形固定資産等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、2,066,944百万円増加し、9,397,360百万円となりました。
(負債)
負債は、営業債務及びその他の債務等が減少したものの、金融事業の預金、借入金及び社債等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、1,896,793百万円増加し、4,614,277百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、4,783,083百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の57.1%から45.9%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前第3四半期
連結累計期間
自 2018年4月1日
至 2018年12月31日
当第3四半期
連結累計期間
自 2019年4月1日
至 2019年12月31日
比較増減
営業活動によるキャッシュ・フロー719,384855,443136,059
投資活動によるキャッシュ・フロー△571,354△424,351147,003
フリー・キャッシュ・フロー ※148,030431,091283,062
財務活動によるキャッシュ・フロー△156,683△285,499△128,817
現金及び現金同等物に係る換算差額△547△352194
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△9,200145,240154,439
現金及び現金同等物の期首残高200,834204,5973,763
現金及び現金同等物の期末残高191,634349,837158,202

※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前年同期と比較し、減価償却費及び償却費の増加等により、136,059百万円増加し、855,443百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前年同期と比較し、子会社の支配獲得による収入の増加等により、147,003百万円減少し、424,351百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前年同期と比較し、社債発行及び長期借入金による収入の減少等により、128,817百万円増加し、285,499百万円の支出となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額352百万円の減少を加味した結果、当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、145,240百万円増加し、349,837百万円となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、16,353百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。