有価証券報告書-第37期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/24 15:12
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
■業界動向と当社の状況
近年、5G/IoT、AI・ビッグデータなどの技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。これらの技術の浸透により、あらゆる産業においてデジタルトランスフォーメーション(以下 DX)の動きが加速するとともに、経済発展と社会課題の解決を両立する「Society 5.0(※1)for SDGs(※2)」の実現に期待が持たれています。また、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、生活や産業のあらゆる場面に「ニューノーマル(新常態)」が浸透し、感染症拡大防止と経済成長の両立を支えるレジリエントな社会基盤構築に向けたDXの加速が求められています。
こうした中、当社は昨年3月、第5世代移動通信サービス「au 5G」の提供を開始しました。
個人のお客さまには、「みんなの5G」をコンセプトに、より多くのお客さまに5Gをご利用いただけるよう、さまざまな業界のパートナー企業とともに、「ニューノーマル」におけるエンターテインメント、スポーツ、アートなどの新しい楽しみ方をご提案していきます。また、データ通信が使い放題(※3)となるauのスマートフォン向け新料金プラン「使い放題MAX 5G」「使い放題MAX 4G」、シンプルでおトクなUQ mobileの新料金プラン「くりこしプラン」、トッピングで自由に選べる新料金ブランド「povo」など、家族でも一人でも多様なニーズや生活スタイルに寄り添った、「わかりやすく」・「シンプル」・「選べる」、料金プランの提供を本年2月より順次開始しました。
法人のお客さまにおかれましては、さまざまな業界、利用シーンで企業のDXが加速し、ビジネスモデル自体が大きく変化しています。お客さまのDXを支援する5G/IoT時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」及び2030年を見据えた新たなライフスタイルを提案する調査・応用研究拠点「KDDI research atelier (リサーチ アトリエ)」において、さまざまなパートナー企業とともに5G時代ならではの新しい体験価値とビジネスの創造を進めるとともに、環境変化に強いレジリエントな基盤構築に貢献していきます。
昨年8月には、KDDI総合研究所とともに、ニューノーマル時代のレジリエントな未来社会構築を目指した「KDDI Accelerate 5.0」を策定しました。5Gネットワークをはじめとしたネットワークレイヤのみならず、プラットフォームレイヤ・ビジネスレイヤの進化、それを支える7つの分野のテクノロジー(※4)とオーケストレーション技術(※5)を駆使し、政府が推進する「Society 5.0」の実現を加速していきます。
当社は、SDGsの達成に向け、全社でサステナビリティ活動を推進しています。これからも事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組み続ける決意をこめて、昨年5月に2030年を見据えた「KDDI Sustainable Action」を新たに策定しました。2050年までにCO2排出量実質ゼロの実現に向けた取り組みを推進するとともに、5GやIoTなどを活用しながら、「命をつなぐ」、「暮らしをつなぐ」、「心をつなぐ」で、社会の持続的な成長に貢献していきます。
また、「KDDI Sustainable Action」の考え方に基づき、5つの方針を軸とした「新型コロナウイルス感染症対応に関するKDDIの基本方針」を発表しました。社会の基盤・ライフラインである通信サービスを維持するとともに、政府・自治体・公共団体などの取り組みに積極的に協力するなど、今後もグループの力を結集し、皆さまの生活や産業を支え続ける社会的使命に応えていきます。
※1 日本の中長期的な成長戦略の一つで、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより目指すべき人間中心の社会のこと。
※2 「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標。
※3 テザリング・データシェア・国際ローミング通信 (世界データ定額) をご利用の場合、「使い放題MAX 5G」「使い放題MAX 4G」は30GB/月の上限があります。大量のデータ通信のご利用時、混雑時間帯の通信速度を制限する場合があります。動画などの視聴時には通信速度を制限します。
※4 「ネットワーク」、「セキュリティ」、「IoT」、「プラットフォーム」、「AI」、「XR」、「ロボティクス」のこと。
※5 複数のシステム間で情報やデータが自動的に流れ、これらの情報やデータを複数のシステムで使う仕組みのこと。
■連結業績
(単位:百万円)
2020年3月期
自 2019年4月1日
至 2020年3月31日
2021年3月期
自 2020年4月1日
至 2021年3月31日
比較増減増減率
(%)
売上高5,237,2215,312,59975,3791.4
売上原価2,925,0002,928,1753,1750.1
売上総利益2,312,2212,384,42472,2043.1
販売費及び一般管理費1,299,5041,364,23464,7305.0
その他の損益(△損失)9,26412,3223,05833.0
持分法による投資利益3,2564,8841,62750.0
営業利益1,025,2371,037,39512,1581.2
金融損益(△損失)△6,049△1,7724,277-
その他の営業外損益(△損失)1,5122,43392261.0
税引前当期利益1,020,6991,038,05617,3571.7
法人所得税費用325,298331,4516,1521.9
当期利益695,401706,60511,2051.6
親会社の所有者639,767651,49611,7291.8
非支配持分55,63455,109△524△0.9

当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入(ローミング収入等含む)やソリューション収入の増加等により、5,312,599百万円(1.4%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加等により、1,037,395百万円(1.2%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加等により、651,496百万円(1.8%増)となりました。
当社を取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症による影響が生じておりますが、事業戦略の推進及び経営基盤の強化に引き続き取り組んできており、当期における業績においては重要な影響を与えておりません。また、ミャンマー連邦共和国での2021年2月に発生した政変の影響につきましては、当期業績において重要な影響を与えておりませんが、今後の動向を引き続き注視してまいります。
b.セグメント別の状況
パーソナルセグメント

パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、従来の通信サービス(主に「au」ブランドによるスマートフォン・携帯電話、FTTH/CATVサービス等)を中心に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザインサービスを連携しながら拡充することで、新たな体験価値の提供を目指しています。「au」及びシンプルでお手頃価格の「UQ mobile」に加え、本年3月に新料金ブランド「povo」を開始し、マルチブランドで市場環境やお客さまニーズに即した機動的なサービスの提供を進めていきます。
また、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーやモンゴルをはじめとするアジア地域を中心とした個人のお客さま向けビジネスにも積極的に取り組んでいます。
<当期のトピックス>●当社は、安心・使い放題の「au」に加え、昨年10月に「UQ mobile」を事業承継し、本年2月にシンプル・お手頃価格の「くりこしプラン」を開始しました。さらに本年3月からは新料金ブランド「povo」の提供を開始しました。「povo」は月額2,480円(税込2,728円)で使えるデータ容量20GBに加えて、お客さまのニーズに合わせて自由に選択可能な、「5分以内通話かけ放題」「データ使い放題24時間」などのさまざまなトッピングをご利用いただけます。当社はお客さまの多種多様なニーズ、生活スタイルにきめ細かくお応えできるよう、マルチブランドでのモバイル通信サービスの提供を進めています。また、5Gの利用拡大にあたっては「みんなの5G」を掲げ、端末からサービスまでより身近な5Gの利用促進を積極的に進めており、5G端末の累計販売台数は本年3月末で240万台を突破しました。
●5G本格稼働に合わせた動画系サービスの充実を図り、昨年10月にSHOWROOM株式会社との協業のもと、プロ仕様の縦型動画サービス「smash.」を開始し、auスマートパスプレミアムではマルチアングル動画や360度VR動画配信などの提供を開始しました。また、渋谷区と連携した「バーチャル渋谷」、横浜DeNAベイスターズや名古屋グランパスと提携したスポーツ観戦の高度化など、5GやIoTをはじめとするさまざまなテクノロジーを活用した新たな体験価値をいち早くお客さまに届ける取り組みを行いました。
●昨年5月のau WALLETポイントとPontaポイントの統合以降、au PAYの新規ご登録及びご利用に対し、Pontaポイントの還元を行うキャンペーンを継続的に行ってきました。また、獲得したPontaポイントを増量してau PAYマーケットで使うことができる「お得なポイント交換所」の提供など、au経済圏のさらなる魅力化と拡大を進めました。なおau PAYは、本年3月に発表された、株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2021年 QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査」(※1) において、総合満足度第1位を受賞しました。
●本年2月以降、au PAYゴールドカードでのau通信料支払い特典の強化、auじぶん銀行住宅ローン金利優遇施策の開始など、当社グループ一体で金融事業の拡大を進めてきました。この結果、2020年度の決済・金融取扱高は期初目標を大きく上回り、2019年度の6.5兆円から9.0兆円に伸長しています。
●昨年8月には店頭での安心感にオンラインの手軽さを加えた新しい体験を提供するショップを導入したほか、昨年12月にはauオンラインショップにオンラインで本人確認手続きが完結するeKYC(electronic Know Your Customer)の仕組みを導入しました。さらに本年3月の「povo」の新規契約手続きではeKYCに加えてeSIM(embedded Subscriber Identity Module)を導入するなど、お客さまの利便性・体験価値向上にも取り組んでいます。
●昨年7月に、ケーブルテレビ局向けに提供しているケーブルプラスSTB-2がNetflix、Amazon Prime VideoのVODサービスに対応しました。本年3月にはTVerにも対応し、更なるご利用者の増加に取り組んでいます。
●ミャンマーについては(※2)、本年2月の政変後、現地の情勢を見守りながら、関係者の安全確保を最優先としつつ、通信サービスの維持に努めています。 また、モンゴルでは(※3)、収益の一部で110の小学校に浄水器を設置したWater Purifier Distribution Projectが評価され、モンゴルのMongolian Youth Associationから、社会的影響力が大きいGolden Rose賞を受賞しました。
※1 出典:J.D. パワー 2021年 QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査(3,000名からの回答による。jdpower-japan.com) QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
※2 連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.が、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で、ミャンマー国内の通信事業を行っています。
※3 連結子会社であるMobiCom Corporation LLCが、モンゴル国内の通信事業を行っています。
パーソナルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
(単位:百万円)
2020年3月期
自 2019年4月1日
至 2020年3月31日
2021年3月期
自 2020年4月1日
至 2021年3月31日
比較増減増減率
(%)
売上高4,547,9084,585,11637,2080.8
営業利益871,606862,858△8,748△1.0

当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入(ローミング収入等含む)の増加等により、4,585,116百万円(0.8%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高が増加したものの、減価償却費の増加やエネルギー事業粗利の減少等により、862,858百万円(1.0%減)となりました。
ビジネスセグメント

ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク・クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
さらに、5GやIoT等の技術を活用し、パートナー企業との連携により、グローバル規模でお客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するソリューションをワンストップで提供することで、お客さまのDXを支援しています。
また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。
<当期のトピックス>●株式会社J.D.パワー ジャパンによる「2020年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査」において、大企業・中堅企業市場部門における総合満足度5年連続第1位に加えて、当社として初めて中小企業市場部門において総合満足度第1位を受賞しました。さらに、「2020年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査」<大企業市場部門>において総合満足度第1位を2年連続、「2020年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査」において総合満足度第1位を8年連続で受賞しました。
●当社は、コネクティッドカーに関するトヨタ自動車株式会社との提携に始まり、昨年秋以降、世界各国で順次発売されているマツダ株式会社の車両にも、高品質で安定した通信を実現する「IoT世界基盤」の「グローバル通信プラットフォーム」に対応した車載通信機を搭載頂きました。また、株式会社SUBARUとは、「つながる安全」におけるパートナーシップを構築しました。2001年より提供している法人向けIoT累計回線数は、電力スマートメーターに続きガススマートメーターも順調に伸長し、国内・海外合わせて、2021年3月末には1,800万回線を突破しました。
●昨年12月、Amazon Web Services, Inc.(以下 AWS)と「AWS Wavelength」の提供を東京で開始し、2月には大阪でも開始しました。au5Gネットワーク内にAWSのエッジコンピューティング環境を配置しデータを処理することで、5Gの特性である超低遅延の実現を可能とし、お客さまが5Gのもたらす新たなビジネスチャンスを探索するのに最適です。国内の5Gキャリアとしては、当社が唯一提供しております(本年3月時点)。また、本年3月には、株式会社デンソーと、交通事故や交通渋滞のない安心・安全なモビリティ社会の実現に向け、高精細車載カメラや路側センサーなどを用いた自動運転への5G活用に関する共同検証を開始しており、「AWS Wavelength」を活用した技術検証を行っていく予定です。
●昨年12月、東日本旅客鉄道株式会社と、交通と通信の融合により、場所や時間に捉われない多様な働き方やくらしを創出する新しい分散型まちづくり「空間自在プロジェクト」の実現に向け、基本合意書を締結しました。今後両社は、本プロジェクトに基づくまちづくりのコアシティとなる品川開発プロジェクトの共同推進、分散拠点としてのサテライトシティ(日本各地)の開発、コアシティとその周辺におけるモビリティサービスの開発を検討し、共同事業化を目指します。これは当社が掲げる「KDDI Accelerate 5.0」の取り組みの一つでもあり、両社が持つインフラを活用・連携して、場所や時間に捉われない多様な働き方や豊かなくらしの創出に取り組んでいきます。
今後も、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただけることを目指し、事業の変革に取り組んでいきます。
ビジネスセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
(単位:百万円)
2020年3月期
自 2019年4月1日
至 2020年3月31日
2021年3月期
自 2020年4月1日
至 2021年3月31日
比較増減増減率
(%)
売上高941,576991,63450,0585.3
営業利益149,012166,67517,66311.9

当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入やソリューション収入の増加等により、991,634百万円(5.3%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加に加えて、通信設備使用料等の減少により、166,675百万円(11.9%増)となりました。
c. 財政状態の状況
2020年3月期2021年3月期比較増減
資産合計(百万円)9,580,14910,535,326955,177
負債合計(百万円)4,721,0415,275,857554,816
資本合計(百万円)4,859,1085,259,469400,362
親会社の所有者に帰属する持分(百万円)4,384,4244,759,720375,296
親会社所有者帰属持分比率(%)45.845.2△0.6
1株当たり親会社所有者帰属持分(円)1,906.352,091.82185.47
有利子負債残高(百万円)1,680,3671,645,481△34,886

(資産)
資産は、コールローン等が減少したものの、現金及び現金同等物、金融事業の貸出金等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、955,177百万円増加し、10,535,326百万円となりました。
(負債)
負債は、借入金及び社債等が減少したものの、金融事業の預金、営業債務及びその他の債務等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、554,816百万円増加し、5,275,857百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、5,259,469百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の45.8%から45.2%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2020年3月期2021年3月期比較増減
営業活動によるキャッシュ・フロー1,323,3561,682,166358,810
投資活動によるキャッシュ・フロー△610,950△658,925△47,975
フリー・キャッシュ・フロー ※712,4061,023,241310,835
財務活動によるキャッシュ・フロー△546,381△585,571△39,190
現金及び現金同等物に係る換算差額△1,4192,9304,349
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)164,605440,600275,995
現金及び現金同等物の期首残高204,597369,202164,605
現金及び現金同等物の期末残高369,202809,802440,600

※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前期と比較し、金融事業の貸出金の増加幅や営業債権及びその他の営業債権の増加幅が小さくなったこと等により、358,810百万円増加し、1,682,166百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、金融事業の有価証券の取得による支出の増加や、子会社の支配獲得による収入の減少等により、47,975百万円増加し、658,925百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、社債発行及び長期借入による収入の減少等により、39,190百万円増加し、585,571百万円の支出となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額2,930百万円の増加を加味した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、440,600百万円増加し、809,802百万円となりました。
③ 営業実績
当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
パーソナル4,585,1160.8
ビジネス991,6345.3
その他78,329△2.7
セグメント間の内部売上高△342,479-
合計5,312,5991.4

(注)1.金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」に記載しております。
第2四半期連結会計期間においては、新型コロナウイルス感染症による影響は、少なくとも2020年度を通して影響を及ぼすとの仮定をおいておりましたが、当社を取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続いていることから、当期の連結財務諸表の作成にあたって、今般の状況を踏まえ現時点で入手可能な情報に基づき、少なくとも2021年度を通して影響を及ぼすとの仮定に変更し、会計上の見積りを行っております。なお、当該変更による当期連結財務諸表への影響は軽微です。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入(ローミング収入等含む)やソリューション収入の増加等により、5,312,599百万円(1.4%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 24.売上高」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
前期と比較し、端末販売コストは減少したものの、エネルギー事業原価、減価償却費の増加等により4,292,410百万円(1.6%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 25.費用の性質別内訳」をご参照ください。
(その他の収益及びその他の費用)
前期と比較し、補助金収入の増加等により12,322百万円の利益(33.0%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 26.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。
(持分法による投資利益)
持分法適用関連会社の京セラコミュニケーションシステム株式会社における投資利益の増加等により、4,884百万円(50.0%増)となりました。
(営業利益)
以上の結果、営業利益は1,037,395百万円(1.2%増)となりました。なお、営業利益率は、19.5%(0.1ポイント減)となりました。
(金融収益及び金融費用)
支払利息6,929百万円、受取配当金3,148百万円の計上等により、1,772百万円の損失となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 27.金融収益及び金融費用」をご参照ください。
(その他の営業外損益)
持分変動損益1,418百万円の計上等により、2,433百万円(61.0%増)の利益となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.その他の営業外損益」をご参照ください。
(法人所得税費用)
課税所得の増加等の影響により331,451百万円(1.9%増)となりました。なお、2021年3月期の法人税等負担率は31.9%となりました。法人所得税費用に関する詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.繰延税金及び法人所得税」をご参照ください。
(非支配持分に帰属する当期利益)
主に株式会社エナリスの利益減少等の影響により、55,109百万円(0.9%減)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
上記の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は651,496百万円(1.8%増)となりました。
なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備投資については、自己資金及び借入金等により資金調達することとしております。このうち、借入金等による資金調達に関しては、通常の運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は固定金利の長期借入金及び社債で調達することを基本としております。また金融事業については、資金調達やリスクアセットの削減を目標として、債権流動化を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金等を含む有利子負債の残高は1,645,481百万円、現金及び現金同等物の残高は809,802百万円となっております。
流動性リスクとその管理方法につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記31.金融商品」に記載しております。
c.経営上の財務目標の達成状況について
当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」に貢献するため、中期経営計画(2019-21年度)を策定しております。財務目標において、営業利益については、持続的な成長を目指し、EPSについては、2024年度1.5倍(2018年度比)の実現、株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は40%超を掲げております。
当連結会計年度においては、中期経営計画の2年目として、通信サービスを中心に、成長事業を拡大していくことで、事業戦略の中核となる「通信とライフデザインの融合」をより一層進めてまいりました。この結果、業績面におきましては期初予想の営業利益1兆300億円及び配当性向40%超を達成いたしました。
今後も環境変化を事業機会と捉え、持続的成長と株主還元強化の両立を目指してまいります。