有価証券報告書-第33期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
インターネット接続サービスの状況
2023年3月期のインターネット接続サービスの売上高は前年同期比596百万円増(6.0%増)の10,601百万円となりました。
ISP「ASAHIネット」
ISP「ASAHIネット」においては、FTTH接続サービスの2023年3月末の契約数は前年同期末比7千ID増(1.5%増)の455千IDとなりました。FTTH接続サービスにおいては、光コラボレーションモデルの「AsahiNet 光」や提供エリアが拡大している10Gbpsのフレッツ 光クロスに加え、NTT東西と提携した「マンション全戸加入プラン」の受注が増加しております。一方で、電力会社や他キャリアなどフレッツ光以外のFTTH接続サービスと比較検討されるなど競争環境により純増数が鈍化傾向にあります。
モバイル接続サービスの2023年3月末の契約数は前年同期末比0千ID増(0.7%増)の47千IDとなりました。モバイル接続サービスはSIMカード型で従量制のLTEとモバイルWiFiルーター型で定額制のWiMAXを提供しております。利用場所に設置している機器に対してインターネット経由でアクセスするIoT利用を実現するために、LTEと固定IPアドレスオプションを組み合あわせた法人契約が増加しております。WiMAXは2023年3月期から5G対応サービスを開始しております。
ADSL接続サービスの2023年3月末の契約数は前年同期末比6千ID減(66.0%減)の3千IDとなりました。昨年サービス終了した「新超割ADSL」に加え、NTT東西のフレッツADSLにおける提供エリアが縮小する影響に伴い契約数が減少となりました。
第三者機関の調査により利用者満足度の高いインターネット通信サービスを選定する「RBB TODAY ブロードバンドアワード2022」においてプロバイダ部門総合の部で9年連続の最優秀賞を受賞したことに続き、「RBB TODAY テレワークアワード2023」でもプロバイダ部門総合満足度1位を3年連続で受賞しました。当社が対処すべき課題として掲げる「増加する費用を抑え、利益が出せる構造を維持すること」「お客様に満足いただける品質のサービスを今後も提供し続けること」の両面を評価いただけたと捉えております。
以上の結果、2023年3月期の「ASAHIネット」の売上高は前年同期比244百万円増(2.8%増)の8,865百万円となりました。
VNE「v6 コネクト」
VNE「v6 コネクト」の2023年3月末の提携事業者数は12社となりました。前年同期末比1社の増加となります。その結果、2023年3月期の「v6 コネクト」の売上高は前年同期比352百万円増(25.5%増)の1,735百万円となりました。
「v6 コネクト」はVNO事業者(電気通信事業者)に対してNTT東西が提供するフレッツ光を使ったIPoE方式によるIPv6インターネット接続を卸提供するサービスです。当社は主として基本料及びVNO事業者が利用したトラフィックに応じた従量課金額を売上として計上します。売上高の増収要因は主に2点から構成されます。1点目は提携事業者が取り扱うフレッツ光の回線数増加です。2点目は1回線当たりのトラフィック増加です。2023年3月期の売上高は、インターネット上で中継されたスポーツイベントの配信やオンラインゲームのアップデート等による1回線当たりのトラフィック増加が大きく寄与しております。
インターネット関連サービスの状況
2023年3月期のインターネット関連サービスの売上高は前年同期比3百万円減(0.2%減)の1,569百万円となりました。
教育支援サービス「manaba」
教育支援サービス「manaba(マナバ)」の2023年3月末の契約ID数は前年同期末比7千ID減(0.9%減)の818千IDとなりました。全学導入校数は前年同期末比1校減(1.0%減)の100大学となりました。東京情報デザイン専門職大学などが利用開始しましたが、2023年3月期の第1四半期に2大学が契約終了となったことにより契約ID数は減少しました。
売上高は前年同期比2百万円増(0.4%増)の766百万円となりました。
その他
「その他」はメールサービスやセキュリティサービス、その他関連サービスの売上高となります。2023年3月末の「その他」の売上高は前年同期比6百万円減(0.8%減)の803百万円となりました。
収益の状況
売上高は、ISP「ASAHIネット」、VNE「v6 コネクト」が増収したことにより11年連続で過去最高の売上高を更新しました。
ISP「ASAHIネット」は、NTT東西の光コラボレーションモデルを活用した「AsahiNet 光」の契約数が法人顧客からの受注により増加したことで増収となりました。VNE「v6 コネクト」は、提携事業者との取り扱い通信量の増加により増収となりました。
売上原価は、「AsahiNet 光」等の契約数増加に伴う回線仕入や、NTT東西との相互接続するIPv6ネットワークの契約による通信費及び通信品質を維持するための設備投資に伴う減価償却費に加え、当第2四半期にメールサービスをリリースしたことに伴う売上原価と減価償却費が増加しております。
以上の結果、2023年3月期の売上高は12,170百万円(前年同期比593百万円増、5.1%増)、営業利益は1,841百万円(同7百万円増、0.4%増)、経常利益は1,846百万円(同7百万円増、0.4%増)、当期純利益は1,285百万円(同30百万円増、2.4%増)となりました。
2023年3月期は特別利益として投資有価証券売却益474百万円を計上しております。特別損失としてNTT東西に支払う通信設備除却費用負担金66百万円、固定資産除却損22百万円、減損損失372百万円を計上しております。減損損失については、契約管理や他キャリアとのデータ連携など業務システムの更改を進めておりましたが、当期末時点で一部の計画の再策定が必要であることが判明しました。既に計上済の一部の資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき将来の回収可能性を検討した結果、減損損失として372百万円を計上することとなりました。
財政の状況
財政状態といたしましては、貯蔵品の増加などにより、当事業年度末の総資産は13,660百万円(前年同期末比5.6%増)となりました。
負債は、未払法人税等の増加などにより1,699百万円(同2.4%増)となりました。
純資産は、利益剰余金の増加などにより11,961百万円(同6.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前期末より345百万円減少し、3,647百万円となりました。
なお、当期における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は1,363百万円(前年同期は1,428百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,858百万円、減価償却費が895百万円あったことに対し、法人税等の支払額が546百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は1,093百万円(前年同期は1,116百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が661百万円、無形固定資産の取得による支出が1,081百万円あったことに対し、投資有価証券の売却による収入が649百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は615百万円(前年同期は558百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額が615百万円あったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を製品及びサービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注)インターネット接続サービスには、新規会員獲得に関わる提携電気通信事業者からの報奨金を含んでおります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の記載のうち将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 当事業年度の財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態の分析
当事業年度末の流動資産合計は9,336百万円(前事業年度末比485百万円増)となりました。また、固定資産合計は4,324百万円(同234百万円増)となりました。
以上の結果、当事業年度末の資産合計は13,660百万円(同719百万円増)となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債合計は1,698百万円(同39百万円増)となりました。
以上の結果、当事業年度末の負債合計は1,699百万円(同39百万円増)となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は11,961百万円(同680百万円増)となりました。
以上の結果、自己資本比率は87.6%となりました。
b.経営成績の分析
当事業年度の売上高は、12,170百万円(前年同期比593百万円増)となりました。ISP「ASAHIネット」は「AsahiNet 光」、「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」などのFTTH接続サービスやLTEやWiMAXなどのモバイル接続サービスの拡販、VNE「v6 コネクト」は取り扱い通信量の増加、が主な増収要因となります。
営業利益は1,841百万円(同7百万円増)となりました。売上原価は、「AsahiNet 光」等の契約数増加に連動する回線仕入の増加やNTT東西と相互接続するIPv6ネットワークの追加契約による通信費及び通信品質を維持するための設備投資に伴う減価償却費が増加しました。
以上の結果、当期純利益は1,285百万円(同30百万円増)となりました。2023年3月期は特別利益として投資有価証券売却益474百万円を計上しております。特別損失として、NTT東西に支払う通信設備除却費用負担金66百万円、固定資産除却損22百万円、減損損失372百万円を計上しております。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、無借金による財務体質を維持しており、高い自己資本により事業運営を行っております。事業活動にかかる運営資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源とし、設備投資及び配当原資としております。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、ROE10%以上の収益力を経営上の目標としております。さらに1株当たり純利益の継続的な成長により、株主還元の充実を図る事を重要な経営方針としております。
過去5年間のROE及び1株当たり純利益の推移は以下のとおりです。
2022年3月期以降は「ASAHIネット」会員当たりの通信トラフィックが将来に向けて増大する中においても通信品質を維持し収益性を高めていくための設備投資をおこなっております。この影響により通信費ならびに減価償却費が増加しております。
ISP「ASAHIネット」につきましては、FTTH接続サービス並びに、モバイル接続サービスの契約数、平均退会率、第三者による顧客満足度調査などを重要な指標としております。
過去5年間の推移は以下のとおりです。 (単位:千ID)
「ASAHIネット」契約数は順調に増加しております。トラフィックの増加によりFTTHの需要が増加する中で、接続料金、通信の安定性、通信速度等により当社接続サービスの契約数が増加しております。IoTの進展や働き方改革による法人契約の需要が増加していることに加え、マンション全体での一括契約を前提とした「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」も引き続き契約数が増加する要因にあげられます。
平均退会率については、安定して低減傾向にあり、2023年3月期は0.75%という結果となりました。
第三者による顧客満足度調査では、2023年1月に発表されたブロードバンド時代のベストプロバイダを選ぶ「RBB TODAY ブロードバンドアワード」において「プロバイダ部門 総合満足度第1位」を獲得しました。同受賞は9年連続通算12回目となります。また、2023年3月に発表されたテレワークで注目を集めたサービスを表彰する「RBB TODAYテレワークアワード」においても「プロバイダ部門 総合満足度第1位」を3年連続で受賞しました。
今後も高品質なサービスを提供していくことで、会員数の増大を図り企業価値を高めてまいります。
インターネット関連サービスにおいては、教育支援サービス「manaba」の契約ID数、全学導入校数を重要な指標としております。
過去5年間の推移は以下のとおりです。 (単位:千ID)
(※)2021年3月末から全学導入校の集計対象を大学・短期大学のみとしました。
2021年3月期は新型コロナウイルス感染症に対処することを目的として大学がオンライン授業の対応を行ったため「manaba」契約ID数及び全学導入校数が増加しております。2023年3月期は一部大学の解約が発生したことと新規で契約する全学導入校数が少なかったことにより減少しております。
④ 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、当事業年度末日時点の資産・負債及び当事業年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。当社が採用しております重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「重要な会計方針」に記載のとおりでありますが、見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、下記の2項目が重要であると判断しております。
なお、新型コロナウイルス感染症については不確実な部分もありますが、財務諸表における会計上の見積りに及ぼす重要な影響は生じておりません。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
インターネット接続サービスの状況
2023年3月期のインターネット接続サービスの売上高は前年同期比596百万円増(6.0%増)の10,601百万円となりました。
ISP「ASAHIネット」
ISP「ASAHIネット」においては、FTTH接続サービスの2023年3月末の契約数は前年同期末比7千ID増(1.5%増)の455千IDとなりました。FTTH接続サービスにおいては、光コラボレーションモデルの「AsahiNet 光」や提供エリアが拡大している10Gbpsのフレッツ 光クロスに加え、NTT東西と提携した「マンション全戸加入プラン」の受注が増加しております。一方で、電力会社や他キャリアなどフレッツ光以外のFTTH接続サービスと比較検討されるなど競争環境により純増数が鈍化傾向にあります。
モバイル接続サービスの2023年3月末の契約数は前年同期末比0千ID増(0.7%増)の47千IDとなりました。モバイル接続サービスはSIMカード型で従量制のLTEとモバイルWiFiルーター型で定額制のWiMAXを提供しております。利用場所に設置している機器に対してインターネット経由でアクセスするIoT利用を実現するために、LTEと固定IPアドレスオプションを組み合あわせた法人契約が増加しております。WiMAXは2023年3月期から5G対応サービスを開始しております。
ADSL接続サービスの2023年3月末の契約数は前年同期末比6千ID減(66.0%減)の3千IDとなりました。昨年サービス終了した「新超割ADSL」に加え、NTT東西のフレッツADSLにおける提供エリアが縮小する影響に伴い契約数が減少となりました。
第三者機関の調査により利用者満足度の高いインターネット通信サービスを選定する「RBB TODAY ブロードバンドアワード2022」においてプロバイダ部門総合の部で9年連続の最優秀賞を受賞したことに続き、「RBB TODAY テレワークアワード2023」でもプロバイダ部門総合満足度1位を3年連続で受賞しました。当社が対処すべき課題として掲げる「増加する費用を抑え、利益が出せる構造を維持すること」「お客様に満足いただける品質のサービスを今後も提供し続けること」の両面を評価いただけたと捉えております。
以上の結果、2023年3月期の「ASAHIネット」の売上高は前年同期比244百万円増(2.8%増)の8,865百万円となりました。
VNE「v6 コネクト」
VNE「v6 コネクト」の2023年3月末の提携事業者数は12社となりました。前年同期末比1社の増加となります。その結果、2023年3月期の「v6 コネクト」の売上高は前年同期比352百万円増(25.5%増)の1,735百万円となりました。
「v6 コネクト」はVNO事業者(電気通信事業者)に対してNTT東西が提供するフレッツ光を使ったIPoE方式によるIPv6インターネット接続を卸提供するサービスです。当社は主として基本料及びVNO事業者が利用したトラフィックに応じた従量課金額を売上として計上します。売上高の増収要因は主に2点から構成されます。1点目は提携事業者が取り扱うフレッツ光の回線数増加です。2点目は1回線当たりのトラフィック増加です。2023年3月期の売上高は、インターネット上で中継されたスポーツイベントの配信やオンラインゲームのアップデート等による1回線当たりのトラフィック増加が大きく寄与しております。
インターネット関連サービスの状況
2023年3月期のインターネット関連サービスの売上高は前年同期比3百万円減(0.2%減)の1,569百万円となりました。
教育支援サービス「manaba」
教育支援サービス「manaba(マナバ)」の2023年3月末の契約ID数は前年同期末比7千ID減(0.9%減)の818千IDとなりました。全学導入校数は前年同期末比1校減(1.0%減)の100大学となりました。東京情報デザイン専門職大学などが利用開始しましたが、2023年3月期の第1四半期に2大学が契約終了となったことにより契約ID数は減少しました。
売上高は前年同期比2百万円増(0.4%増)の766百万円となりました。
その他
「その他」はメールサービスやセキュリティサービス、その他関連サービスの売上高となります。2023年3月末の「その他」の売上高は前年同期比6百万円減(0.8%減)の803百万円となりました。
収益の状況
売上高は、ISP「ASAHIネット」、VNE「v6 コネクト」が増収したことにより11年連続で過去最高の売上高を更新しました。
ISP「ASAHIネット」は、NTT東西の光コラボレーションモデルを活用した「AsahiNet 光」の契約数が法人顧客からの受注により増加したことで増収となりました。VNE「v6 コネクト」は、提携事業者との取り扱い通信量の増加により増収となりました。
売上原価は、「AsahiNet 光」等の契約数増加に伴う回線仕入や、NTT東西との相互接続するIPv6ネットワークの契約による通信費及び通信品質を維持するための設備投資に伴う減価償却費に加え、当第2四半期にメールサービスをリリースしたことに伴う売上原価と減価償却費が増加しております。
以上の結果、2023年3月期の売上高は12,170百万円(前年同期比593百万円増、5.1%増)、営業利益は1,841百万円(同7百万円増、0.4%増)、経常利益は1,846百万円(同7百万円増、0.4%増)、当期純利益は1,285百万円(同30百万円増、2.4%増)となりました。
2023年3月期は特別利益として投資有価証券売却益474百万円を計上しております。特別損失としてNTT東西に支払う通信設備除却費用負担金66百万円、固定資産除却損22百万円、減損損失372百万円を計上しております。減損損失については、契約管理や他キャリアとのデータ連携など業務システムの更改を進めておりましたが、当期末時点で一部の計画の再策定が必要であることが判明しました。既に計上済の一部の資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき将来の回収可能性を検討した結果、減損損失として372百万円を計上することとなりました。
財政の状況
財政状態といたしましては、貯蔵品の増加などにより、当事業年度末の総資産は13,660百万円(前年同期末比5.6%増)となりました。
負債は、未払法人税等の増加などにより1,699百万円(同2.4%増)となりました。
純資産は、利益剰余金の増加などにより11,961百万円(同6.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前期末より345百万円減少し、3,647百万円となりました。
なお、当期における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は1,363百万円(前年同期は1,428百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,858百万円、減価償却費が895百万円あったことに対し、法人税等の支払額が546百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は1,093百万円(前年同期は1,116百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が661百万円、無形固定資産の取得による支出が1,081百万円あったことに対し、投資有価証券の売却による収入が649百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は615百万円(前年同期は558百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額が615百万円あったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を製品及びサービスごとに示すと、次のとおりであります。
製品及びサービスの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
ISP事業 | ||
インターネット接続サービス | 10,601 | 106.0 |
インターネット関連サービス | 1,569 | 99.8 |
合計 | 12,170 | 105.1 |
(注)インターネット接続サービスには、新規会員獲得に関わる提携電気通信事業者からの報奨金を含んでおります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の記載のうち将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 当事業年度の財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態の分析
当事業年度末の流動資産合計は9,336百万円(前事業年度末比485百万円増)となりました。また、固定資産合計は4,324百万円(同234百万円増)となりました。
以上の結果、当事業年度末の資産合計は13,660百万円(同719百万円増)となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債合計は1,698百万円(同39百万円増)となりました。
以上の結果、当事業年度末の負債合計は1,699百万円(同39百万円増)となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は11,961百万円(同680百万円増)となりました。
以上の結果、自己資本比率は87.6%となりました。
b.経営成績の分析
当事業年度の売上高は、12,170百万円(前年同期比593百万円増)となりました。ISP「ASAHIネット」は「AsahiNet 光」、「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」などのFTTH接続サービスやLTEやWiMAXなどのモバイル接続サービスの拡販、VNE「v6 コネクト」は取り扱い通信量の増加、が主な増収要因となります。
営業利益は1,841百万円(同7百万円増)となりました。売上原価は、「AsahiNet 光」等の契約数増加に連動する回線仕入の増加やNTT東西と相互接続するIPv6ネットワークの追加契約による通信費及び通信品質を維持するための設備投資に伴う減価償却費が増加しました。
以上の結果、当期純利益は1,285百万円(同30百万円増)となりました。2023年3月期は特別利益として投資有価証券売却益474百万円を計上しております。特別損失として、NTT東西に支払う通信設備除却費用負担金66百万円、固定資産除却損22百万円、減損損失372百万円を計上しております。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、無借金による財務体質を維持しており、高い自己資本により事業運営を行っております。事業活動にかかる運営資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源とし、設備投資及び配当原資としております。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、ROE10%以上の収益力を経営上の目標としております。さらに1株当たり純利益の継続的な成長により、株主還元の充実を図る事を重要な経営方針としております。
過去5年間のROE及び1株当たり純利益の推移は以下のとおりです。
2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | |
ROE | 9.6% | 11.6% | 12.6% | 11.3% | 11.1% |
1株当たり純利益 | 32.17円 | 40.92円 | 46.67円 | 44.92円 | 45.92円 |
2022年3月期以降は「ASAHIネット」会員当たりの通信トラフィックが将来に向けて増大する中においても通信品質を維持し収益性を高めていくための設備投資をおこなっております。この影響により通信費ならびに減価償却費が増加しております。
ISP「ASAHIネット」につきましては、FTTH接続サービス並びに、モバイル接続サービスの契約数、平均退会率、第三者による顧客満足度調査などを重要な指標としております。
過去5年間の推移は以下のとおりです。 (単位:千ID)
2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | |
FTTH(光接続)サービス契約数 | 392 | 408 | 424 | 448 | 455 |
モバイル接続サービス契約数 | 41 | 44 | 46 | 47 | 47 |
平均退会率 | 0.83% | 0.74% | 0.79% | 0.71% | 0.75% |
第三者による顧客満足度調査 | RBB TODAY ISP部門 総合第1位 | RBB TODAY ISP部門 総合第1位 | RBB TODAY ISP部門 総合第1位等 | RBB TODAY ISP部門 総合第1位等 | RBB TODAY ISP部門 総合第1位等 |
「ASAHIネット」契約数は順調に増加しております。トラフィックの増加によりFTTHの需要が増加する中で、接続料金、通信の安定性、通信速度等により当社接続サービスの契約数が増加しております。IoTの進展や働き方改革による法人契約の需要が増加していることに加え、マンション全体での一括契約を前提とした「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」も引き続き契約数が増加する要因にあげられます。
平均退会率については、安定して低減傾向にあり、2023年3月期は0.75%という結果となりました。
第三者による顧客満足度調査では、2023年1月に発表されたブロードバンド時代のベストプロバイダを選ぶ「RBB TODAY ブロードバンドアワード」において「プロバイダ部門 総合満足度第1位」を獲得しました。同受賞は9年連続通算12回目となります。また、2023年3月に発表されたテレワークで注目を集めたサービスを表彰する「RBB TODAYテレワークアワード」においても「プロバイダ部門 総合満足度第1位」を3年連続で受賞しました。
今後も高品質なサービスを提供していくことで、会員数の増大を図り企業価値を高めてまいります。
インターネット関連サービスにおいては、教育支援サービス「manaba」の契約ID数、全学導入校数を重要な指標としております。
過去5年間の推移は以下のとおりです。 (単位:千ID)
2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | |
「manaba」契約ID数 | 654 | 698 | 793 | 825 | 818 |
全学導入校数(※) | - (90校) | - (97校) | 98校 (110校) | 101校 - | 100校 - |
(※)2021年3月末から全学導入校の集計対象を大学・短期大学のみとしました。
2021年3月期は新型コロナウイルス感染症に対処することを目的として大学がオンライン授業の対応を行ったため「manaba」契約ID数及び全学導入校数が増加しております。2023年3月期は一部大学の解約が発生したことと新規で契約する全学導入校数が少なかったことにより減少しております。
④ 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、当事業年度末日時点の資産・負債及び当事業年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。当社が採用しております重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「重要な会計方針」に記載のとおりでありますが、見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、下記の2項目が重要であると判断しております。
なお、新型コロナウイルス感染症については不確実な部分もありますが、財務諸表における会計上の見積りに及ぼす重要な影響は生じておりません。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。