有価証券報告書-第94期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 9:48
【資料】
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【項目】
118項目
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度の当社グループは、競争に打ち勝ち、さらなる成長を遂げるため、策定した「関西電力グループ中期経営計画(2016-2018)」に基づく諸施策に、グループの総力を結集して取り組んだ。
当社グループの主たる事業である電気事業では、当連結会計年度の販売電力量は、契約電力が減少したことなどから、1,152億4千万kWhと前連結会計年度に比べて5.1%の減少となった。その内訳を見ると、「電灯」については、
417億7千万kWhと前連結会計年度を4.4%下回った。また、「電力」についても、734億8千万kWhと前連結会計年度を5.6%下回った。
収入面では、電気事業において、販売電力量の減少や電気料金の値下げなどにより電灯電力料収入は減少したものの、託送収益や他社販売電力料などの増加があったことに加え、その他事業において、ガス・その他エネルギー事業や情報通信事業の売上高が増加したことなどから、売上高は3,133,632百万円と、前連結会計年度に比べて122,295百万円の増収(+4.1%)となった。
一方、支出面では、徹底した経営効率化に努めたことに加え、原子力プラントの運転再開による費用の低減効果があったものの、燃料価格が上昇したことなどから、営業費用は2,906,081百万円と、前連結会計年度に比べて112,492百万円の増加(+4.0%)となった。
この結果、当連結会計年度の営業利益は227,551百万円と前連結会計年度に比べて9,803百万円の増益
(+4.5%)、経常利益は217,104百万円と前連結会計年度に比べて20,978百万円の増益(+10.7%)、親会社株主
に帰属する当期純利益は151,880百万円と前連結会計年度に比べて11,091百万円の増益(+7.9%)となった。
セグメントの業績(相殺消去前)は、次のとおりである。
セグメント前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
比較増減
金額(百万円)金額(百万円)増減金額
(百万円)
増減率
(%)
電気事業売上高2,569,4872,612,97943,4911.7
営業費用2,404,2082,442,64438,4351.6
営業利益165,279170,3355,0563.1
ガス・その他
エネルギー事業
売上高117,438174,15856,71948.3
営業費用111,423173,21661,79255.5
営業利益6,014941△5,072△84.3
情報通信事業売上高226,857243,41016,5527.3
営業費用207,373217,1419,7684.7
営業利益19,48426,2696,78434.8
その他売上高405,910423,23217,3224.3
営業費用380,514392,80112,2863.2
営業利益25,39530,4315,03519.8

(注) 本表の金額には、消費税等を含まない。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要は、次のとおりである。
科目前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
比較増減
金額(百万円)金額(百万円)増減金額
(百万円)
増減率
(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー485,669623,266137,59628.3
投資活動によるキャッシュ・フロー△345,749△447,237△101,48729.4
財務活動によるキャッシュ・フロー△130,359△162,277△31,91824.5
現金及び現金同等物の期末残高130,820144,17613,35510.2

生産、受注及び販売の状況
当社及び連結子会社における主たる事業は電気事業である。電気事業以外の事業には多種多様な事業が含まれており、生産、受注、販売といった画一的な区分による表示が困難であるため、生産規模及び受注規模等を金額あるいは数量で示すことはしていない。
主たる事業である電気事業の状況は以下のとおりである。
(1)需給実績
種別平成28年度
(平成28年4月~
平成29年3月)
(百万kWh)
平成29年度
(平成29年4月~
平成30年3月)
(百万kWh)
前年度比
(%)
発受電電力量自社水力発電電力量13,36213,761103.0
火力発電電力量81,52367,78783.1
原子力発電電力量△44212,865-
新エネルギー発電電力量938085.9
他社送受電電力量34,89927,52678.9
揚水発電所の揚水用電力量△1,653△1,49090.2
合計127,783120,52994.3
販売電力量121,500115,24494.9
出水率(%)99.1107.2-

(注)1 自社の発電電力量については、送電端電力量を記載している。
2 火力は汽力と内燃力の合計である。
3 新エネルギー発電電力量は、汽力発電設備におけるバイオマスと新エネルギー等発電設備における太陽光に
よる発電電力量である。
4 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。
5 販売電力量の中には自社事業用電力量(平成28年度 173百万kWh、平成29年度 205百万kWh)を含んでいる。
6 平成28年度出水率は、昭和60年度から平成26年度までの30カ年平均に対する比である。平成29年度出水率
は、昭和61年度から平成27年度までの30カ年平均に対する比である。
7 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。
(2)販売実績
① 販売電力量
平成28年度平成29年度前年度比
(%)
(平成28年4月~平成29年3月) (百万kWh)(平成29年4月~平成30年3月) (百万kWh)
電灯43,68941,76795.6
電力77,81173,47794.4
合計121,500115,24494.9

(注)1 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。
2 本表には、他社販売及び電力会社融通(送電分)を含まない。
② 料金収入
平成28年度平成29年度前年度比(%)
(平成28年4月~平成29年3月) (百万円)(平成29年4月~平成30年3月) (百万円)
電灯999,811995,95999.6
電力1,296,8321,240,66195.7
合計2,296,6432,236,62197.4

(注)1 本表には、他社販売及び電力会社融通(送電分)を含まない。
2 本表には、消費税等を含まない。
(3)生産能力
自社発電認可最大出力
区分水力
(kW)
火力
(kW)
原子力
(kW)
新エネルギー
(kW)
合計
(kW)
平成29年3月31日現在8,225,54519,413,9008,928,00011,00036,578,445
平成30年3月31日現在8,226,44519,430,4006,578,00011,00034,245,845

(4)資材の状況
主要燃料の受払状況
区分重油(kl)原油(kl)LNG(t)石炭(t)
平成28年3月末在庫量70,831480,138254,063413,378
平成28年度受入量342,7151,096,0659,357,5224,649,844
払出量298,2801,359,0209,337,2244,433,789
平成29年3月末在庫量115,266217,183274,361629,433
平成29年度受入量179,597296,1228,059,6474,069,609
払出量175,434375,4687,945,7654,511,578
平成30年3月末在庫量119,428137,838388,243187,464

(注)四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成し
ている。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の計上額に影響を与え
る見積りを行う必要がある。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断して
いるが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載してい
る。
(2)経営成績
① 営業利益(セグメントの業績)
[電気事業]
収入面では、販売電力量の減少や電気料金の値下げなどにより電灯電力料収入は減少したものの、託送収益や他社販売電力料などが増加したことから、外部顧客への売上高は2,596,114百万円と、前連結会計年度に比べて39,522百万円の増収(+1.5%)となった。
一方、支出面では、徹底した経営効率化に努めたことに加え、原子力プラントの運転再開による費用の低減効果があったものの、燃料価格が上昇したことなどから、営業費用は増加した。
この結果、営業利益は170,335百万円と、前連結会計年度に比べて5,056百万円の増益(+3.1%)となった。
[ガス・その他エネルギー事業]
ガスなどのエネルギー販売やユーティリティサービスなどを提案し、お客さまにとって最適なエネルギー・ソリューションを提供している。
収入面では、ガス販売量が増加したことや、ガス販売価格が上昇したことなどから、外部顧客への売上高は141,240百万円と、前連結会計年度に比べて48,020百万円の増収(+51.5%)となった。
一方、支出面では、ガス事業費用が増加したことなどから、営業費用が増加した。
この結果、営業利益は941百万円と、前連結会計年度に比べて5,072百万円の減益(△84.3%)となった。
[情報通信事業]
関西一円に整備された光ファイバー網を活用し、お客さまのニーズに応じた幅広いメニューを取り揃え、家庭向け、企業向けに総合的な情報通信サービスを提供している。
主力となるFTTHサービスについては、近畿2府4県の90%を超えるエリアカバー率の強みを活かしながら、「光インターネット+光電話+光テレビ」の3つのサービスを「eo光」ブランドで提供している。
収入面では、FTTHサービス「eo光」、携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」および電力小売サービス「eo電気」の加入者が拡大していることなどから、外部顧客への売上高は203,167百万円と、前連結会計年度に比べて17,506百万円の増収(+9.4%)となった。
一方、支出面では、「mineo」および「eo電気」の加入者獲得に向けた販売促進費等の営業費用が増加した。
この結果、営業利益は26,269百万円と、前連結会計年度に比べて6,784百万円の増益(+34.8%)となった。
[その他]
不動産・暮らし事業では、省エネルギーに配慮したマンションやビルの開発をはじめとする不動産関連サービスと、ホームセキュリティやヘルスケア・介護関連など、お客さまの安心・快適・便利な暮らしをサポートする暮らし関連サービスを提供している。
また、電気事業をはじめ各事業の円滑かつ効率的な遂行をサポートするとともに、培った技術・ノウハウを活かしグループ外のお客さまへの販売を展開する会社などがある。
収入面では、不動産・暮らし事業において、マンションの他事業者への卸売により販売戸数が増加したこと、また、グループ事業をサポートする会社において、大型工事を受注したことなどから、外部顧客への売上高は193,110百万円と、前連結会計年度に比べて17,245百万円の増収(+9.8%)となった。
一方、支出面では、不動産・暮らし事業において、新規ビルの取得・開業などにより営業費用が増加した。
この結果、営業利益は30,431百万円と、前連結会計年度に比べて5,035百万円の増益(+19.8%)となった。
② 経常利益
営業外収益は、前連結会計年度に比べて20,954百万円減少(△36.9%)の35,869百万円となった。これに売上高を合わせた経常収益合計は、前連結会計年度に比べて101,341百万円増収(+3.3%)の3,169,502百万円となった。
営業外費用は、前連結会計年度に比べて32,129百万円減少(△41.0%)の46,316百万円となった。これに営業費用を合わせた経常費用合計は前連結会計年度に比べて80,362百万円増加(+2.8%)の2,952,398百万円となった。
以上の結果、経常利益は217,104百万円と、前連結会計年度に比べて20,978百万円の増益(+10.7%)となった。
③ 親会社株主に帰属する当期純利益
当期は、渇水準備引当金を1,495百万円引当てたことから、税金等調整前当期純利益は215,608百万円となった。ここから法人税等合計と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引きした親会社株主に帰属する当期純利益は151,880百万円となり、前連結会計年度に比べて11,091百万円の増益(+7.9%)となった。
(3)財政状態
① 資産・負債の状況
資産は、設備投資額が減価償却費を上回ったことなどから、前連結会計年度末に比べて131,906百万円増加(+1.9%)し、6,985,088百万円となった。
負債は、有利子負債は減少したものの、未払費用などの流動負債が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べて3,804百万円増加(+0.1%)し、5,512,290百万円となった。
② 純資産の状況
純資産は、配当金の支払いなどによる減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益を151,880百万円計上したことなどから、前連結会計年度末に比べて128,101百万円増加(+9.5%)し、1,472,797百万円となった。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて1.5%上昇し、20.8%となった。
また、1株当たりの純資産は、前連結会計年度末に比べて147円20銭増加し、1,627円66銭となった。
(4)資本の財源および資金の流動性
① 資金調達
当社グループは、電気事業等を行うための設備投資や債務償還などに必要な資金を可能な限り自己資金にて賄い、不足する資金については主に社債や借入金によって資金調達を行い、コマーシャル・ペーパー等により短期的な運転資金を調達することにより、流動性を確保している。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローについては、電灯電力料収入が減少したものの、消費税の支出が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて収入が137,596百万円増加(+28.3%)し、623,266百万円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べて支出が101,487百万円増加(+29.4%)し、447,237百万円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金支払により支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べて支出が31,918百万円増加(+24.5%)し、162,277百万円の支出となった。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて13,355百万円増加(+10.2%)し、144,176百万円となった。