有価証券報告書-第56期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/18 12:07
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134項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により景気は低迷し、国内外における経済活動の長期的な停滞により、先行きは極めて不透明な状況が続いております。
不動産関連サービス業界におきましては、新型コロナウイルス感染症対策としてのテレワーク導入や郊外のサテライトオフィス設置などにより、都市集中型から分散型へ変わりつつあり、オフィスや商業ビルの空室率は、一部の地域を除き上昇に転じております。また、契約先のコスト削減意識が高まる懸念もあり、今後は厳しい経営環境が継続すると予想されます。
このような事業環境のもと、当社グループにおきましては、顧客ニーズに応えた良質なサービスを継続的に提供するため、先進的な技術と対応力で「最適な建物管理」を追求し続け、建物の資産価値の向上に努めております。
また、主力のビル管理業務の一層の強化・向上を図るとともに、PFI事業や公共施設マネジメント事業などの周辺業務にも積極的な展開を図っております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a 財政状態
当連結会計年度末の資産の合計は817億59百万円(前連結会計年度末比6.1%増)、負債の合計は246億16百万円(前連結会計年度末比2.6%増)、純資産の合計は571億43百万円(前連結会計年度末比7.8%増)となりました。
b 経営成績
当連結会計年度の売上高は1,041億24百万円(前年同期比2.0%減)、営業利益は75億46百万円(前年同期比10.1%増)、経常利益は81億27百万円(前年同期比12.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は52億84百万円(前年同期比21.6%増)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
なお、セグメント利益は連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
(建物管理運営事業)
建物管理運営事業につきましては、当連結会計年度の売上高は737億68百万円(前年同期比1.9%減)、セグメント利益は98億91百万円(前年同期比5.1%増)となりました。
(住宅管理運営事業)
住宅管理運営事業につきましては、当連結会計年度の売上高は162億27百万円(前年同期比3.9%減)、セグメント利益は15億66百万円(前年同期比5.0%増)となりました。
(環境施設管理事業)
環境施設管理事業につきましては、当連結会計年度の売上高は113億49百万円(前年同期比6.7%増)、セグメント利益は14億76百万円(前年同期比11.2%増)となりました。
(不動産ファンドマネジメント事業)
不動産ファンドマネジメント事業につきましては、当連結会計年度の売上高は16億51百万円(前年同期比7.7%増)、セグメント利益は45百万円(前年同期比52.9%減)となりました。
(その他の事業)
その他の事業につきましては、当連結会計年度の売上高は15億3百万円(前年同期比38.5%減)、セグメント利益は2億38百万円(前年同期比1.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ44億87百万円(15.8%増)増加し、残高は328億30百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は74億81百万円であり、前連結会計年度に比べ32億17百万円収入が増加いたしました。
その主なものは、法人税等の支払額の減少(前年同期比10億60百万円資金増)や、たな卸資産の増減額の減少(前年同期比7億10百万円資金増)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は17百万円であり、前連結会計年度に比べ30億32百万円支出が減少いたしました。
その主なものは、投資有価証券の取得による支出の減少(前年同期比19億59百万円資金増)、投資有価証券の売却による収入の増加(前年同期比10億20百万円資金増)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は30億53百万円であり、前連結会計年度と比べ46億27百万円支出が増加いたしました。
その主なものは、新株予約権の行使による自己株式の処分による収入の減少(前年同期比39億96百万円資金減)や長期ノンリコースローンの返済による支出の増加(前年同期比5億97百万円資金減)であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a 生産実績
当社グループの業務内容は、役務提供を主体としているため、該当事項はありません。
b 外注費及び商品仕入実績
当連結会計年度の外注費及び商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
建物管理運営事業(324
30,444
)(101.0
93.3
)
住宅管理運営事業(34
7,594
)(94.0
89.8
)
環境施設管理事業(80
2,705
)(101.9
129.2
)
不動産ファンドマネジメント事業(
46
)(
104.8
)
その他の事業(
1,009
)(
54.5
)
合計(439
41,800
)(100.6
92.7
)

(注) 1 本表中の( )内は、商品仕入額で、( )外記載の内数であります。
2 外注仕入は、当社グループの管理受託業務の一部又は全部を下請(外注)業者に作業委託しているものであります。
3 商品仕入は、主として衛生・清掃用消耗品の仕入であります。
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 受注の状況
当社グループの業務内容は、役務提供を主体としているため、該当事項はありません。
d 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
建物管理運営事業(11,637
73,768
)(83.3
98.1
)
住宅管理運営事業(2,830
16,227
)(80.4
96.1
)
環境施設管理事業(868
11,349
)(218.6
106.7
)
不動産ファンドマネジメント事業(
1,651
)(
107.7
)
その他の事業(
1,127
)(
56.0
)
合計(15,337
104,124
)(85.7
98.0
)

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 本表中の( )内は、工事関連業務に係る売上高で、( )外記載の内数であります。
3 工事関連業務に係る売上高は、建物修繕・設備更新工事等に係る売上高であります。
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ47億35百万円(6.1%増)増加し、817億59百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ46億85百万円(9.6%増)増加し534億83百万円、固定資産は前連結会計年度末に比べ50百万円(0.2%増)増加し282億76百万円となりました。
増加の主な要因は、売上債権の回収や販売用不動産の売却に伴う現金及び預金の増加(前連結会計年度末比44億87百万円増)によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ6億21百万円(2.6%増)増加し246億16百万円となりました。
増加の主な要因は、未払法人税等の増加(前連結会計年度末比7億80百万円増)によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ41億13百万円(7.8%増)増加し571億43百万円となりました。
増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加(前連結会計年度末比34億15百万円増)によるものであります。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末の67.23%と比べ1.09ポイント増加し68.32%となりました。
当社グループは、経営に必要な流動性の確保と健全なバランスシートの維持を財務方針としております。
b 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高につきましては、工事関連業務や臨時業務の受注が伸び悩んだことにより、前連結会計年度に比べ21億76百万円減少し、1,041億24百万円となりました。
(売上原価)
売上原価につきましては、料金改定や仕様内容・作業効率の見直しを行ったことにより、原価率は前連結会計年度に比べ1.4ポイント減少し、78.5%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費につきましては、組織体制強化による人件費の増加により、前連結会計年度に比べ3億42百万円増加し、148億7百万円となりました。
(営業外損益)
営業外収益につきましては、為替差益の計上等により、前連結会計年度に比べ1億90百万円増加し、7億49百万円となりました。
営業外費用につきましては、為替差損の減少等により、前連結会計年度に比べ11百万円減少し、1億68百万円となりました。
(特別損益)
特別利益につきましては、投資有価証券売却益の増加等により、前連結会計年度に比べ3億66百万円増加し、4億28百万円となりました。
特別損失につきましては、退職給付制度の移行に伴う退職給付制度改定損の減少等により、前連結会計年度に比べ3億38百万円減少し、27百万円となりました。
(法人税等)
法人税等の合計につきましては、前連結会計年度と比べ6億56百万円増加し、31億30百万円となりました。税効果会計適用後の法人税等の負担率につきましては、評価性引当額の増加等により、前連結会計年度に比べ1.0ポイント増加し、36.7%となりました。
c セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析
(建物管理運営事業)
主たる業務であるビル管理業務及び保安警備の建物管理運営事業につきましては、工事関連業務の受注が伸び悩んだことにより、当連結会計年度の売上高は737億68百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
利益面におきましては、料金改定や継続的なコスト削減等の原価管理を徹底したことにより、セグメント利益は98億91百万円(前年同期比5.1%増)となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、売上債権の増加等により、前連結会計年度末に比べ13億33百万円(5.2%増)増加し268億12百万円となりました。
(住宅管理運営事業)
マンション及び公営住宅の管理を主体とする住宅管理運営事業につきましては、工事関連業務の受注が減少したことにより、当連結会計年度の売上高は162億27百万円(前年同期比3.9%減)となりました。
利益面におきましては、収益性の高い業務の受託の増加や料金改定などにより、セグメント利益は15億66百万円(前年同期比5.0%増)となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ1億98百万円(1.7%増)増加し118億85百万円となりました。
(環境施設管理事業)
上下水道処理施設等の生活環境全般にかかる公共施設管理を主体とする環境施設管理事業につきましては、ゴミ焼却施設等を中心に新規管理案件の受託や契約更改が堅調であったことに加え、工事関連業務等の受注が増加したことにより、当連結会計年度の売上高は113億49百万円(前年同期比6.7%増)となりました。
利益面におきましても、料金改定による原価率の改善に加え、適正な人員配置を中心にコスト削減に努めたことにより、セグメント利益は14億76百万円(前年同期比11.2%増)となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、現金及び預金や売上債権の増加等により、前連結会計年度末に比べ2億77百万円(6.9%増)増加し、43億12百万円となりました。
(不動産ファンドマネジメント事業)
不動産ファンドの組成・資産運用を行うアセットマネジメント及び匿名組合への出資を主体とする不動産ファンドマネジメント事業につきましては、運用資産の売却等により、当連結会計年度の売上高は16億51百万円(前年同期比7.7%増)となりました。
利益面におきましては、運用資産の売却に伴う利益の増加はあったものの、ホテル関係のマスターリース契約による賃料収入が減少したことにより、セグメント利益は45百万円(前年同期比52.9%減)となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、運用資産の売却に伴う販売用不動産の減少等により、前連結会計年度末に比べ7億73百万円(14.2%減)減少し、46億84百万円となりました。
(その他の事業)
イベントの企画・運営、印刷、デザインを主体としたその他の事業は、イベント業務等の減少により、当連結会計年度の売上高は15億3百万円(前年同期比38.5%減)、セグメント利益は2億38百万円(前年同期比1.2%減)となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、イベント業務の延期や中止に伴う前払費用の減少等により、前連結会計年度末に比べ1億19百万円(12.8%減)減少し、8億14百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、現場の運営にかかる人件費や外注費とこれらを管理するための販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、業容拡大に向けたM&A、投資有価証券の取得や設備投資等によるものであります。
運転資金及び投資資金につきましては、主に営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金を活用することを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等、最適な資金調達を選択しております。
また、当社グループ内におきましては、資金を一括して管理し、資金調達・運用を効率化することを目的として、資金集中管理(CMS)を導入しております。
なお、当連結会計年度末における借入金、ノンリコースローン及びリース債務等の有利子負債の残高は37億58百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は328億30百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産、負債の報告数値、偶発債務等の予測並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因等に基づき継続的に行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。