有価証券報告書-第23期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/15 15:22
【資料】
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【項目】
143項目
(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
2020年のインターネット広告市場は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け前年比0.5%増(注)が見込まれております。
このような環境のもと、当社グループは、スマートフォン市場の成長を取り込む一方で、中長期の柱に育てるため「ABEMA」への投資をしつつ、当連結会計年度における売上高は478,566百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益は33,880百万円(前年同期比9.9%増)、経常利益は33,863百万円(前年同期比11.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,608百万円(前年同期比289.9%増)となりました。
出所(注)日経広告研究所「2020年度の広告費予想/2020年度を見直し(2020年7月公表)」
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しておりますので、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
①メディア事業
メディア事業には、「ABEMA」、「Ameba」、「タップル」等が属しております。
「ABEMA」への投資をしつつ、既存メディア事業にてもマーケティングを強化し、売上高は57,098百万円(前年同期比22.6%増)、営業損益は18,267百万円の損失計上(前年同期間16,862百万円の損失計上)となりました。
②ゲーム事業
ゲーム事業には、㈱Cygames、㈱Craft Egg、㈱サムザップ等が属しております。
既存タイトルが堅調に推移しつつ、新規タイトルのヒットもあり、売上高は155,861百万円(前年同期比2.4%増)、営業損益は30,337百万円の利益計上(前年同期比16.5%増)となりました。
③インターネット広告事業
インターネット広告事業には、インターネット広告事業本部、㈱CyberZ等が属しております。
新型コロナウイルスの感染拡大による広告需要減の影響を受けるも、売上高は269,396百万円(前年同期比5.0%増)、営業損益は21,071百万円の利益計上(前年同期比7.3%増)となりました。
④投資育成事業
投資育成事業にはコーポレートベンチャーキャピタル、㈱サイバーエージェント・キャピタルにおけるファンド運営等が属しており、売上高は4,092百万円(前年同期比36.3%減)、営業損益は3,068百万円の利益計上(前年同期比33.2%減)となりました。
⑤その他事業
その他事業には、㈱CAM、㈱マクアケ、㈱ゼルビア等が属しており、売上高は19,599百万円(前年同期比3.4%増)、営業損益は1,300百万円の利益計上(前年同期比43.3%増)となりました。
財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は260,766百万円(前連結会計年度末比35,889百万円の増加)となりました。これは、主に事業拡大に伴う流動資産の増加によるものであります。
負債は133,088百万円(前連結会計年度末比18,564百万円の増加)となりました。これは、主に買掛金及び未払法人税の増加によるものであります。
純資産は127,678百万円(前連結会計年度末比17,325百万円の増加)となりました。これは、主にその他有価証券評価差額金及び非支配株主持分の増加によるものであります。
自己資本比率は34.3%(前連結会計年度末比0.9ポイント減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて17,804百万円増加し、102,368百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは37,028百万円の増加(前年同期間は14,917百万円の増加)となりました。これは、主に利益の計上及び法人税等の支払によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは16,621百万円の減少(前年同期間は18,000百万円の減少)となりました。これは、主に固定資産の取得によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは2,590百万円の減少(前年同期間は4,662百万円の減少)となりました。これは、主に配当金の支払によるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績及び受注実績
当社グループの事業内容は多岐にわたっており、受注生産形態をとらない事業も多いことから、セグメント別に生産の規模及び受注の規模を金額あるいは数量で示すことが馴染まないため、記載しておりません。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
メディア事業57,098+22.6
ゲーム事業155,861+2.4
インターネット広告事業269,396+5.0
投資育成事業4,092△36.3
その他事業19,599+3.4
セグメント間取引△27,481
合計478,566+5.5

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(百万円)前年同期比(%)
メディア事業45,692+12.2
ゲーム事業38,866+11.9
インターネット広告事業225,944+9.4
投資育成事業1,875△38.0
その他事業4,731△32.3
セグメント間取引△26,682
合計290,427+6.7

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積もりについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大が会計上の見積りに与える影響ついては、当事業年度末時点において当社グループの事業活動に重要な影響を与えていないことから、当社に与える影響は軽微であり、重要な影響はないものとして見積りを行っております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度における売上高は、インターネット広告事業にて新型コロナウイルスの感染拡大による広告需要減の影響を受けるも、前年比で増収を維持、ゲーム事業では既存タイトルが堅調に推移しつつ、新規タイトルのヒットもあり、478,566百万円(5.5%増加)となりました。営業利益は、中長期の柱に育てるため「ABEMA」への先行投資をしつつマネタイズを強化し、33,880百万円(9.9%増加)、経常利益は33,863百万円(11.1%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、ソフトウェアの減損、税金費用及び非支配株主に帰属する当期純利益等の計上により6,608百万円(289.9%増加)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、102,368百万円となっております。
既存メディア事業、インターネット広告事業及びゲーム事業の拡大に伴う運転資金、「ABEMA」への先行投資、投資育成事業における投資や将来的なM&A等の可能性に備えております。
なお、当社グループは資金調達の機動性及び安定性の確保を目的として、複数の取引金融機関と当座貸越契約を締結しております。
(5) 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題と認識しており、事業の成長、資本効率の改善等による中長期的な株主価値の向上とともに、配当を継続的に実施していきたいと考えております。
現在、中長期の柱に育てるべく2016年9月期よりテレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA」に先行投資をしており、投資期においても株主のみなさまに中長期でご支援いただけるよう2017年9月期より「DOE5%以上」を経営指標の目安といたしました。それに伴い2020年9月期の期末配当金を33円から34円に増配し、経営指標の目安としている「DOE5%以上」を達成いたします。引き続き、ガバナンスを強化しながら、中長期で応援いただけるよう企業価値向上に努めてまいります。