有価証券報告書-第26期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当期における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期における我が国経済は、下半期こそ実質GDP成長率がマイナスとなったものの、通年ではプラス2%近くとなり回復基調が見られました。また2024年2月22日に日経平均株価が史上最高値となる3万8,915円を更新し、3月には4万円を突破するなど、株式市場は極めて好調でした。一方でゼロ金利政策の解除による長期的な金利上昇や、日米の金利格差などを要因とする円安の進行とそれに伴う輸入価格の上昇が引き起こすインフレなど、今後の動向を注視すべき状況にあります。
このような状況下で、当社の当連結会計年度における連結業績は、収益が前期比26.5%増の1兆2,105億円となり過去最高を更新しました。金融サービス事業の収益が前期比22.0%増の1兆314億円となったことが大きく貢献しています。
利益面については、金融サービス事業が堅調であったことに加え、前期において一部取引先破綻の影響もあり税引前損失約184億円を計上していた暗号資産事業が、税引前利益約84億円と大きく好転したことも寄与し、連結での税引前利益は前期比38.6%増の1,416億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同146.1%増の872億円となりました。
当企業グループにおいて、収益および利益の両面で最大かつ安定的な貢献をしている金融サービス事業につきましては、SBI証券は、2023年9月30日注文受付分からオンラインでの国内株式売買手数料を無料にするゼロ革命を開始したにもかかわらず、4年超をかけて準備してきた収益源の多様化等の諸施策が奏功し、当連結会計年度の業績は前期比で増収増益を達成しました。また、金利上昇局面を見据え経営資源を傾斜配分してきた銀行事業は、既に連結業績に対する寄与度の点で証券事業を上回る規模となっており、その中核となるSBI新生銀行は、銀証連携を中心とする当企業グループとの連携諸施策で既に一定の成果を挙げ、当連結会計年度の業績は、2011年3月期以来13年ぶりに実質業務純益が1,000億円を突破するなど、前期比で大幅な増収増益を達成しています。
当企業グループは、「金融サービス事業」や「資産運用事業」、「投資事業」に加え、今後も成長領域として期待される「暗号資産事業」、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業のほかWeb3関連の先進的な分野に取り組む事業等が含まれる「次世代事業」の5つの事業セグメントを報告セグメントとしております。
なお、従来「非金融事業」としていたセグメントを「次世代事業」に名称変更しております。これは、当該セグメントに含まれているデジタルアセット領域の事業に関して、セキュリティトークンなどの形で金融の領域とも密接に関係していくことから、より実態を反映した名称に変更すべく実施しております。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(%表示は対前期増減率)
(金融サービス事業)
国内外における証券関連事業、銀行事業、保険事業を中核とした多様な金融関連事業を行っております。
当期における収益は1,031,439百万円(前期比22.0%増加)、税引前利益は164,981百万円(同8.5%増加)となりました。これは主に、銀行事業における「償却原価で測定される金融資産から生じる受取利息」の増加等の要因によるものであります。
(資産運用事業)
投資信託の設定、募集、運用などの投資運用や投資助言、金融商品の情報提供等を行っております。
当期における収益は29,449百万円(同5.3%増加)、税引前利益は4,843百万円(同52.2%減少)となりました。これは主に、前期において、Morningstar, Inc.に「モーニングスター」ブランドを返還することによる収益を8,000百万円計上したこと等の要因によるものであります。
(投資事業)
国内外のIT、フィンテック、ブロックチェーン、金融及びバイオ関連のベンチャー企業等への投資に関する事業等を行っております。
当期における収益は88,353百万円(同140.8%増加)、税引前利益は8,288百万円の損失(前期は16,661百万円の損失)となりました。これは主に、企業への投資において認識される「FVTPLで測定する金融資産から生じる収益」の増加等の要因によるものであります。
(暗号資産事業)
暗号資産の交換・取引サービスを提供する暗号資産交換業等を行っております。
当期における収益は57,142百万円(同88.5%増加)、税引前利益は8,428百万円(前期は18,429百万円の損失)となりました。これは主に、暗号資産価格の上昇等の要因によるものであります。
(次世代事業)
生体内に存在するアミノ酸の一種である5-アミノレブリン酸(5-ALA)を活用した医薬品・健康食品・化粧品の開発・販売や、がん及び免疫分野等における抗体医薬・核酸医薬の研究開発に関する事業、医療・健康情報のデジタル化や医療ビッグデータの活用を推進するソリューション・サービスの提供及び医療金融に関する事業等を行うバイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業のほか、Web3関連の先進的な分野に取り組む事業や再生可能エネルギー事業、アフリカをはじめとした海外新市場で展開する事業等を行っております。
当期における収益は26,637百万円(同1.5%増加)、税引前利益は4,952百万円の損失(前期は3,253百万円の損失)となりました。
なお、当期末の総資産は27,139,391百万円となり、前期末の22,301,975百万円から4,837,416百万円の増加となりました。また、資本は前期末に比べ155,364百万円増加し、1,907,346百万円となりました。
② キャッシュ・フロー
当期末の現金及び現金同等物残高は4,580,335百万円となり、前期末の3,200,916百万円から1,379,419百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,345,740百万円の収入(前期は960,743百万円の収入)となりました。
これは主に、「営業債権及びその他の債権の増減」が936,261百万円の支出となった一方で、「顧客預金の増減」が1,397,222百万円の収入及び「社債及び借入金(銀行業)の増減」が678,701百万円の収入となったこと等の要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、65,116百万円の支出(前期は1,075,054百万円の支出)となりました。
これは主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」が1,843,947百万円となった一方で、「投資有価証券の取得による支出」が1,834,145百万円となったこと等の要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、29,172百万円の収入(前期は810,425百万円の収入)となりました。
これは主に、「社債の償還による支出」が1,747,111百万円、「長期借入金の返済による支出」が157,131百万円及び「短期借入金の純増減額」が146,991百万円の支出となった一方で、「社債の発行による収入」が2,098,864百万円となったこと等の要因によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産及び受注の実績については、該当する情報がないため記載しておりません。また、販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」に各セグメントの収益として記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積もり
当企業グループの連結財務諸表はIFRS会計基準に準拠して作成しております。IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、他の情報源から直ちに明らかにならない資産及び負債の帳簿価額について、見積もり、判断及び仮定の設定を行う必要があります。見積もり及びそれに関する仮定は、関係が深いと思われる過去の経験及びその他の要素に基づいております。実績はこれらの見積もりと異なる場合があります。
当企業グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」に記載のとおりであります。また、当該会計方針のうち、将来に関する仮定及び報告期間末における見積もりの不確実性の要因となる事項で、特に重要性があるものについては、「(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2 作成の基礎 (4) 見積もり及び判断の利用」に記載しております。これらは、当期及び来期以降に資産や負債の帳簿価額に対して重大な調整をもたらすリスクを含んでおります。
② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当期における当企業グループを取り巻く事業環境は、我が国の実質GDP成長率が下半期こそマイナスとなったものの、通年ではプラス2%近くとなり回復基調が見られたほか、2024年2月22日に日経平均株価が史上最高値となる3万8,915円を更新し、3月には4万円を突破するなど、株式市場が好調でした。一方でゼロ金利政策の解除による長期的な金利上昇や、日米の金利格差などを要因とする円安の進行とそれに伴う輸入価格の上昇が引き起こすインフレなど、今後の動向を注視すべき状況にあります。
(金融サービス事業)
金融サービス事業の収益は、前期比22.0%増加の1,031,439百万円、税引前利益は前期比8.5%増加の164,981百万円となりました。
株式会社SBI証券は、2023年9月30日発注分から日本で初となる「ゼロ革命」(オンラインでの国内株式売買手数料の無料化)を開始したことで、約158億円もの逸失収益が有ったにもかかわらず、4年超にわたり進めてきた収益源の多様化が奏功し収益減少をオフセットしたことで、営業収益、営業利益のいずれも過去最高となりました。
株式会社SBI新生銀行は、法人業務での貸出残高増加に伴う利鞘や手数料収益の増加、アプラスの割賦収益の増加等に伴い、前期比で大幅な増収増益となりました。持分法適用関連会社の住信SBIネット銀行株式会社は、住宅ローン事業が堅調に拡大したものの、2023年3月の同社株式の上場時に持分の一部を売却し所有比率が減少した影響で、当社におけるIFRS会計基準取り込みベースの持分法による投資利益は減益となりました。韓国の株式会社SBI貯蓄銀行は、基礎的収支は堅調に推移したものの、引き続き韓国国内の景況悪化に伴う信用悪化と延滞増加による貸出償却負担の増加などが影響し減益となりました。
SBIインシュアランスグループ株式会社は、保有契約件数の堅調な増加により増収増益となりました。
(資産運用事業)
資産運用事業の収益は、前期比5.3%増加の29,449百万円、税引前利益は前期比52.2%減少の4,843百万円となりました。
2022年11月に当企業グループ入りしたSBI岡三アセットマネジメント株式会社の業績が通期で寄与したことにより、前期比で増収を達成し過去最高となった一方で、SBIグローバルアセットマネジメント株式会社が前期に「モーニングスター」ブランドを返還したことにより受け取った対価80億円分の利益が剥落したことが減益に影響しています。
(投資事業)
投資事業の収益は、前期比140.8%増加の88,353百万円、税引前利益は8,288百万円の損失(前期は16,661百万円の損失)となりました。投資先企業の公正価値評価について、上場銘柄において評価益及び売却益を計上したものの、一部未上場銘柄において前期の反動から評価損を計上したことや、SBIリーシングサービス株式会社が運営する匿名組合における外貨建借入から生じる為替差損を計上したことが影響しています。
(暗号資産事業)
暗号資産事業の収益は、前期比88.5%増加の57,142百万円、税引前利益は8,428百万円(前期は18,429百万円の損失)となりました。2024年1月にビットコイン(BTC)の現物ETFが承認された影響などで、BTC価格が史上最高値を更新する環境下で、取引所事業が好調だったことに加え、マーケットメーカーのB2C2 Limitedが海外における暗号資産取引の拡大をうまく取り込めたことが大きく貢献しました。
(次世代事業)
次世代事業の収益は、前期比1.5%増加の26,637百万円、税引前利益は4,952百万円の損失(前期は3,253百万円の損失)となりました。
バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業で、5-ALA関連事業において健康食品事業用の原料在庫の評価替えに伴う特別損失を計上したことに加え、Web3・デジタルアセット等の先端技術領域において、グローバルでの事業拡大が進む中で先行投資が増加したことが影響しています。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載しております。
④ 戦略的事業展開について
戦略的事業展開については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(a) 資金需要及び資金の調達源
当企業グループの事業活動における主な資金需要としては、証券関連事業における信用取引に係る顧客への貸付資金、銀行関連事業及び海外金融サービス事業における貸付資金、投資事業における投資資金等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、銀行借入による間接金融、社債やエクイティファイナンス等の直接金融、証券会社や証券金融会社との取引、コールマネー、顧客預金の受入及び貸出金その他の資産の流動化等により資金を調達しております。
(b) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」に記載しております。
当期における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期における我が国経済は、下半期こそ実質GDP成長率がマイナスとなったものの、通年ではプラス2%近くとなり回復基調が見られました。また2024年2月22日に日経平均株価が史上最高値となる3万8,915円を更新し、3月には4万円を突破するなど、株式市場は極めて好調でした。一方でゼロ金利政策の解除による長期的な金利上昇や、日米の金利格差などを要因とする円安の進行とそれに伴う輸入価格の上昇が引き起こすインフレなど、今後の動向を注視すべき状況にあります。
このような状況下で、当社の当連結会計年度における連結業績は、収益が前期比26.5%増の1兆2,105億円となり過去最高を更新しました。金融サービス事業の収益が前期比22.0%増の1兆314億円となったことが大きく貢献しています。
利益面については、金融サービス事業が堅調であったことに加え、前期において一部取引先破綻の影響もあり税引前損失約184億円を計上していた暗号資産事業が、税引前利益約84億円と大きく好転したことも寄与し、連結での税引前利益は前期比38.6%増の1,416億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同146.1%増の872億円となりました。
当企業グループにおいて、収益および利益の両面で最大かつ安定的な貢献をしている金融サービス事業につきましては、SBI証券は、2023年9月30日注文受付分からオンラインでの国内株式売買手数料を無料にするゼロ革命を開始したにもかかわらず、4年超をかけて準備してきた収益源の多様化等の諸施策が奏功し、当連結会計年度の業績は前期比で増収増益を達成しました。また、金利上昇局面を見据え経営資源を傾斜配分してきた銀行事業は、既に連結業績に対する寄与度の点で証券事業を上回る規模となっており、その中核となるSBI新生銀行は、銀証連携を中心とする当企業グループとの連携諸施策で既に一定の成果を挙げ、当連結会計年度の業績は、2011年3月期以来13年ぶりに実質業務純益が1,000億円を突破するなど、前期比で大幅な増収増益を達成しています。
当企業グループは、「金融サービス事業」や「資産運用事業」、「投資事業」に加え、今後も成長領域として期待される「暗号資産事業」、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業のほかWeb3関連の先進的な分野に取り組む事業等が含まれる「次世代事業」の5つの事業セグメントを報告セグメントとしております。
なお、従来「非金融事業」としていたセグメントを「次世代事業」に名称変更しております。これは、当該セグメントに含まれているデジタルアセット領域の事業に関して、セキュリティトークンなどの形で金融の領域とも密接に関係していくことから、より実態を反映した名称に変更すべく実施しております。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
収益 | 税引前利益 | ||||||||
前期 | 当期 | 前期 | 当期 | ||||||
百万円 | 百万円 | % | 百万円 | 百万円 | % | ||||
金融サービス事業 | 845,166 | 1,031,439 | 22.0 | 152,040 | 164,981 | 8.5 | |||
資産運用事業 | 27,966 | 29,449 | 5.3 | 10,123 | 4,843 | (52.2) | |||
投資事業 | 36,684 | 88,353 | 140.8 | (16,661) | (8,288) | - | |||
暗号資産事業 | 30,320 | 57,142 | 88.5 | (18,429) | 8,428 | - | |||
次世代事業 | 26,238 | 26,637 | 1.5 | (3,253) | (4,952) | - | |||
計 | 966,374 | 1,233,020 | 27.6 | 123,820 | 165,012 | 33.3 | |||
消去又は全社 | (9,397) | (22,516) | - | (21,680) | (23,443) | - | |||
連結 | 956,977 | 1,210,504 | 26.5 | 102,140 | 141,569 | 38.6 |
(%表示は対前期増減率)
(金融サービス事業)
国内外における証券関連事業、銀行事業、保険事業を中核とした多様な金融関連事業を行っております。
当期における収益は1,031,439百万円(前期比22.0%増加)、税引前利益は164,981百万円(同8.5%増加)となりました。これは主に、銀行事業における「償却原価で測定される金融資産から生じる受取利息」の増加等の要因によるものであります。
(資産運用事業)
投資信託の設定、募集、運用などの投資運用や投資助言、金融商品の情報提供等を行っております。
当期における収益は29,449百万円(同5.3%増加)、税引前利益は4,843百万円(同52.2%減少)となりました。これは主に、前期において、Morningstar, Inc.に「モーニングスター」ブランドを返還することによる収益を8,000百万円計上したこと等の要因によるものであります。
(投資事業)
国内外のIT、フィンテック、ブロックチェーン、金融及びバイオ関連のベンチャー企業等への投資に関する事業等を行っております。
当期における収益は88,353百万円(同140.8%増加)、税引前利益は8,288百万円の損失(前期は16,661百万円の損失)となりました。これは主に、企業への投資において認識される「FVTPLで測定する金融資産から生じる収益」の増加等の要因によるものであります。
(暗号資産事業)
暗号資産の交換・取引サービスを提供する暗号資産交換業等を行っております。
当期における収益は57,142百万円(同88.5%増加)、税引前利益は8,428百万円(前期は18,429百万円の損失)となりました。これは主に、暗号資産価格の上昇等の要因によるものであります。
(次世代事業)
生体内に存在するアミノ酸の一種である5-アミノレブリン酸(5-ALA)を活用した医薬品・健康食品・化粧品の開発・販売や、がん及び免疫分野等における抗体医薬・核酸医薬の研究開発に関する事業、医療・健康情報のデジタル化や医療ビッグデータの活用を推進するソリューション・サービスの提供及び医療金融に関する事業等を行うバイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業のほか、Web3関連の先進的な分野に取り組む事業や再生可能エネルギー事業、アフリカをはじめとした海外新市場で展開する事業等を行っております。
当期における収益は26,637百万円(同1.5%増加)、税引前利益は4,952百万円の損失(前期は3,253百万円の損失)となりました。
なお、当期末の総資産は27,139,391百万円となり、前期末の22,301,975百万円から4,837,416百万円の増加となりました。また、資本は前期末に比べ155,364百万円増加し、1,907,346百万円となりました。
② キャッシュ・フロー
当期末の現金及び現金同等物残高は4,580,335百万円となり、前期末の3,200,916百万円から1,379,419百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,345,740百万円の収入(前期は960,743百万円の収入)となりました。
これは主に、「営業債権及びその他の債権の増減」が936,261百万円の支出となった一方で、「顧客預金の増減」が1,397,222百万円の収入及び「社債及び借入金(銀行業)の増減」が678,701百万円の収入となったこと等の要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、65,116百万円の支出(前期は1,075,054百万円の支出)となりました。
これは主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」が1,843,947百万円となった一方で、「投資有価証券の取得による支出」が1,834,145百万円となったこと等の要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、29,172百万円の収入(前期は810,425百万円の収入)となりました。
これは主に、「社債の償還による支出」が1,747,111百万円、「長期借入金の返済による支出」が157,131百万円及び「短期借入金の純増減額」が146,991百万円の支出となった一方で、「社債の発行による収入」が2,098,864百万円となったこと等の要因によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産及び受注の実績については、該当する情報がないため記載しておりません。また、販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」に各セグメントの収益として記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積もり
当企業グループの連結財務諸表はIFRS会計基準に準拠して作成しております。IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、他の情報源から直ちに明らかにならない資産及び負債の帳簿価額について、見積もり、判断及び仮定の設定を行う必要があります。見積もり及びそれに関する仮定は、関係が深いと思われる過去の経験及びその他の要素に基づいております。実績はこれらの見積もりと異なる場合があります。
当企業グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」に記載のとおりであります。また、当該会計方針のうち、将来に関する仮定及び報告期間末における見積もりの不確実性の要因となる事項で、特に重要性があるものについては、「(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2 作成の基礎 (4) 見積もり及び判断の利用」に記載しております。これらは、当期及び来期以降に資産や負債の帳簿価額に対して重大な調整をもたらすリスクを含んでおります。
② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当期における当企業グループを取り巻く事業環境は、我が国の実質GDP成長率が下半期こそマイナスとなったものの、通年ではプラス2%近くとなり回復基調が見られたほか、2024年2月22日に日経平均株価が史上最高値となる3万8,915円を更新し、3月には4万円を突破するなど、株式市場が好調でした。一方でゼロ金利政策の解除による長期的な金利上昇や、日米の金利格差などを要因とする円安の進行とそれに伴う輸入価格の上昇が引き起こすインフレなど、今後の動向を注視すべき状況にあります。
(金融サービス事業)
金融サービス事業の収益は、前期比22.0%増加の1,031,439百万円、税引前利益は前期比8.5%増加の164,981百万円となりました。
株式会社SBI証券は、2023年9月30日発注分から日本で初となる「ゼロ革命」(オンラインでの国内株式売買手数料の無料化)を開始したことで、約158億円もの逸失収益が有ったにもかかわらず、4年超にわたり進めてきた収益源の多様化が奏功し収益減少をオフセットしたことで、営業収益、営業利益のいずれも過去最高となりました。
株式会社SBI新生銀行は、法人業務での貸出残高増加に伴う利鞘や手数料収益の増加、アプラスの割賦収益の増加等に伴い、前期比で大幅な増収増益となりました。持分法適用関連会社の住信SBIネット銀行株式会社は、住宅ローン事業が堅調に拡大したものの、2023年3月の同社株式の上場時に持分の一部を売却し所有比率が減少した影響で、当社におけるIFRS会計基準取り込みベースの持分法による投資利益は減益となりました。韓国の株式会社SBI貯蓄銀行は、基礎的収支は堅調に推移したものの、引き続き韓国国内の景況悪化に伴う信用悪化と延滞増加による貸出償却負担の増加などが影響し減益となりました。
SBIインシュアランスグループ株式会社は、保有契約件数の堅調な増加により増収増益となりました。
(資産運用事業)
資産運用事業の収益は、前期比5.3%増加の29,449百万円、税引前利益は前期比52.2%減少の4,843百万円となりました。
2022年11月に当企業グループ入りしたSBI岡三アセットマネジメント株式会社の業績が通期で寄与したことにより、前期比で増収を達成し過去最高となった一方で、SBIグローバルアセットマネジメント株式会社が前期に「モーニングスター」ブランドを返還したことにより受け取った対価80億円分の利益が剥落したことが減益に影響しています。
(投資事業)
投資事業の収益は、前期比140.8%増加の88,353百万円、税引前利益は8,288百万円の損失(前期は16,661百万円の損失)となりました。投資先企業の公正価値評価について、上場銘柄において評価益及び売却益を計上したものの、一部未上場銘柄において前期の反動から評価損を計上したことや、SBIリーシングサービス株式会社が運営する匿名組合における外貨建借入から生じる為替差損を計上したことが影響しています。
(暗号資産事業)
暗号資産事業の収益は、前期比88.5%増加の57,142百万円、税引前利益は8,428百万円(前期は18,429百万円の損失)となりました。2024年1月にビットコイン(BTC)の現物ETFが承認された影響などで、BTC価格が史上最高値を更新する環境下で、取引所事業が好調だったことに加え、マーケットメーカーのB2C2 Limitedが海外における暗号資産取引の拡大をうまく取り込めたことが大きく貢献しました。
(次世代事業)
次世代事業の収益は、前期比1.5%増加の26,637百万円、税引前利益は4,952百万円の損失(前期は3,253百万円の損失)となりました。
バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業で、5-ALA関連事業において健康食品事業用の原料在庫の評価替えに伴う特別損失を計上したことに加え、Web3・デジタルアセット等の先端技術領域において、グローバルでの事業拡大が進む中で先行投資が増加したことが影響しています。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載しております。
④ 戦略的事業展開について
戦略的事業展開については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(a) 資金需要及び資金の調達源
当企業グループの事業活動における主な資金需要としては、証券関連事業における信用取引に係る顧客への貸付資金、銀行関連事業及び海外金融サービス事業における貸付資金、投資事業における投資資金等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、銀行借入による間接金融、社債やエクイティファイナンス等の直接金融、証券会社や証券金融会社との取引、コールマネー、顧客預金の受入及び貸出金その他の資産の流動化等により資金を調達しております。
(b) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」に記載しております。