有価証券報告書-第38期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、2023年5月の新型コロナウイルス感染症5類移行に伴う行動制限の解除及びインバウンド需要の回復により、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、世界的なインフレの拡大、不安定な情勢の緊迫化等により、依然として先行き不透明な状況が続きました。
国内BPO市場においては、労働人口減少によるリソース不足や多くの企業における働き方改革の推進を背景に、業務オペレーションの見直しや、コア業務や新規ビジネスに向けたリソースの再配置等に伴う抜本的な事業体制の見直しが進んでおり、ノンコア業務や専門知識を必要とする業務のアウトソース需要が高まっていることなどから、BPO市場規模は拡大基調で推移しております。
連結売上高につきましては、ワクチン関連業務収束の影響を受けたものの、金融保証事業、オートモーティブ事業、グローバル事業の成長が減収分を吸収し、58,738百万円(前期比7.7%増)となりました。
営業利益につきましては、ワクチン関連業務収束に伴う一時的な収益低下の影響や、給与テーブル改定等により原価が上昇したものの、売上高の成長により、7,921百万円(前期比1.0%増)となりました。経常利益に関しましては、8,458百万円(前期比1.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券の売却による特別利益の計上や賃上げ促進税制の適用を受け、5,791百万円(前期比8.9%増)となりました。
引き続き、BPO拠点を事業運営の中心に据え「価値創造」に取り組み、社会的責任を果たすとともに、ステークホルダーとの良好な関係を構築し、皆様からのご期待に応えられるよう努めてまいります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループの提供するサービスの受注生産は僅少であるため、記載を省略しております。
② 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3)経営者の視点による経営成績などの状況に関する分析・検討内容
a. 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、連結決算日における資産、負債の報告金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益及び費用の報告金額に影響を与えるような見積り及び予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
b. 当連結会計年度の経営成績などの状況に関する認識及び分析・検討内容
① 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、67,836百万円となり前連結会計年度末に比べ7,563百万円増加となりました。流動資産は、立替金が3,023百万円増加、現金及び預金が1,118百万円増加し、流動資産合計では前連結会計年度末に比べて4,847百万円増加し、40,740百万円となりました。固定資産に関しましては、投資有価証券が1,231百万円増加、建設仮勘定が1,163百万円増加し、前連結会計年度末に比べて2,715百万円増加し、27,096百万円となりました。
負債に関しましては、流動負債のその他が2,510百万円増加、契約負債が1,661百万円減少いたしました。これらにより負債合計では前連結会計年度末に比べて2,156百万円増加し、20,611百万円となりました。
また、純資産については、配当の支払いが2023年6月及び12月に発生いたしましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が5,791百万円であったため、前連結会計年度末に比べて5,406百万円増加し、47,224百万円となりました。
② 経営成績
連結売上高に関しては、ワクチン関連業務収束の影響を受けたものの、オートモーティブ事業、グローバル事業、金融保証事業の成長が減収分を吸収し、58,738百万円(前期比7.7%増)となりました。営業利益につきましては、ワクチン関連業務収束に伴う一時的な収益低下の影響や、給与テーブル改定等により原価が上昇したものの、売上高の成長により、7,921百万円(前期比1.0%増)となりました。経常利益につきましては、8,458百万円(前期比1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券の売却による特別利益の計上や賃上げ促進税制の適用を受け、5,791百万円(前期比8.9%増)となりました。
(注)記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
セグメントの業績は以下のとおりです。
(1)日本
日本国内においては、ワクチン関連業務収束の影響を受けたものの、オートモーティブ事業、金融保証事業など、既存事業が減収分を吸収し、売上高は54,527百万円(前期比6.5%増)となりました。
営業利益につきましては、ワクチン関連業務収束に伴う一時的な収益低下の影響や、給与テーブル改定等により原価が上昇し、7,945百万円(前期比11.4%減)となりました。
(2)米州・欧州
米州・欧州においては、米国クレジットカードビジネスにおける円安が寄与し、売上高は3,028百万円(前期比12.8%増)となりました。営業利益につきましては、クレジットカードビジネスにおいて、現地提携銀行への支払手数料の増加及びインフレの影響に伴う個人消費減少等の影響により490百万円(前期比14.0%減)となりました。
(3)アジア・オセアニア
コロナ禍からの回復による海外旅行者や海外駐在員の増加基調で推移し、東南アジアやインドを中心に海外旅行保険付帯サービスや現地ビジネス(医療機関内における受診サポート、現地法人契約型医療サポート)のサービス利用増加が寄与し、売上高は1,182百万円(前期比71.5%増)となりました。営業利益につきましては、売上の増加に加え円安の影響も有り、349百万円(前期比154.1%増)となりました。
事業別の業績は次のとおりであります。
(1)オートモーティブ事業
主に損害保険会社や自動車メーカー向けロードサービス等を提供しているオートモーティブ事業は、自転車向けロードサービス、事故受付業務、国内外自動車メーカー向けサービス等の既存及び新規事業の成長により、売上高は25,300百万円(前期比8.7%増)となりました。営業利益に関しては、売上高の成長及び価格改定の進捗に伴い、3,542百万円(前期比23.8%増)となりました。
(2)プロパティ事業
分譲・賃貸マンション・戸建ての修繕とコインパーキングのメンテナンス等を提供するプロパティ事業は、ホームアシストにおいて一部既存サービスの縮小・変更やオペレーションの人員適正配置等に伴う原価上昇があったものの、パークアシストの事業地拡大及び前期に実行した先行投資の効果により、売上高は7,061百万円(前期比8.9%増)、営業利益は502百万円(前期比17.0%増)となりました。
(3)グローバル事業
海外旅行保険のクレームエージェント、駐在員向けの医療サポート(ヘルスケアプログラム)業務等を行うグローバル事業は、米国クレジットカードビジネスにおいて、現地提携銀行への支払手数料の高止まり及びインフレの影響に伴う個人消費減少等の影響を受けたものの、ヘルスケアプログラムの会員増加及びクレームエージェント業務の対応エリア拡大等、既存サービスの成長が寄与し、売上高は8,105百万円(前期比20.4%増)、営業利益は805百万円(前期比16.0%増)となりました。
(4)カスタマー事業
カスタマーサポートサービスを展開しているカスタマー事業は、ワクチン関連業務の収束により、売上高は7,949百万円(前期比17.1%減)、営業利益は1,218百万円(前期比49.1%減)となりました。
(5)金融保証事業
家賃や医療費等、生活に関わる金融保証サービスを提供する金融保証事業は、グループ会社の株式会社イントラストが展開する家賃債務保証事業等において、新規契約数の増加に伴い新規保証料及び更新保証料が大幅に増加し、売上高は8,971百万円(前期比29.3%増)、営業利益は2,073百万円(前期比38.1%増)となりました。
(6)IT事業
ITソリューションを提供するIT事業は、サプライチェーンマネジメントシステムのライセンスの解約に加え、前年度に検収が集中した反動により、売上高は665百万円(前期比24.2%減)、営業利益は133百万円(前期比27.5%減)となりました。
(7)ソーシャル事業
「アランマーレ」のスポンサー収入増加等により売上高は683百万円(前期比3.3%増)となりましたが、保育事業「オランジェリー」における人件費増加、「アランマーレ」各チームにおける戦力強化及び活動費用の増加等により、営業利益は366百万円の赤字となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、5,883百万円の収入となりました。主なプラス要因としては、税金等調整前当期純利益が9,093百万円、その他の負債の増加額が3,481百万円、減価償却費が1,974百万円、主なマイナス要因としては、法人税等の支払額が2,711百万円、立替金の増加額が2,643百万円、売上債権の増加額が1,020百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,614百万円の支出となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が3,140百万円、投資有価証券の取得による支出が825百万円、投資有価証券の売却による収入が894百万円、補助金の受取による収入が368百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,377百万円の支出となりました。主な要因は、配当金の支払額が1,533百万円、自己株式の取得による支出が499百万円、非支配株主への配当金の支払額が159百万円、長期借入金の返済による支出が125百万円等によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて1,127百万円増加し、22,779百万円となりました。
④ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営者の問題認識と今後の方針について
2023年に新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行したことを受け、社会経済活動の正常化が進みましたが、物価高による内需の低迷を背景に景気は足踏みしており、実質賃金低迷の影響に加え、コロナ禍の収束によるサービス需要の回復も一巡し、個人消費は弱含んでいると思われます。しかしながら、春闘などによる2024年春以降の賃上げが実現したことで賃金上昇率は明確に高まることが予想され、減少傾向が続いた実質賃金も2024年後半にはプラス転化、個人消費も緩やかに持ち直すと思われます。また、企業活動は急速な円安の進行やコスト負担の高まりが収益環境を悪化させ、能登半島地震や一部メーカー系の工場稼働停止の影響により生産は弱含んでおりますが、所得環境の改善に伴い、景気は再び緩やかな回復軌道に復帰する見込みであります。加えて、企業の設備投資意欲は底堅く、今後は持ち直し傾向で推移すると期待されております。
アウトソーシング・BPO市場においては、2020年以降のコロナ禍におけるリモートワークの普及や働き方改革、また、労働力不足やDX推進など様々な状況を受け、業務改革の必要性が高まっております。人材の再配置を含め、業務オペレーションの抜本的な見直しの過程において、戦略的なアウトソーシングが有効であると考えられています。さらに、ECサイトや通販による販売機会が増加している一方、企業と顧客の直接的な接点は減少傾向にあり、コールセンターにおける顧客への対応が企業イメージや満足度に繋がるため、顧客の声を直接拾い上げるコールセンターの役割は重要であり、専門的な知識やスキルを備えたオペレーターの対応による高品質な顧客体験の提供が求められております。こうした背景から、今後もアウトソーシング・BPO市場では、堅調な成長が続くと予想されています。また、このような状況は、クライアント企業の業務拡大や追加業務委託、さらに新規クライアント企業によるアウトソーシングの要請等、当社グループへの需要が高まり好影響である一方、昨今の労働力不足による採用難の影響で、需要に対応できる水準までの人材採用が進まなかった場合、当社グループの成長機会の大きな阻害要因となる可能性があります。
このような環境ではありますが、当社グループにおける経営の根幹の一つは、「人」によるサービスと考えております。安定的なサービス提供の実現に向け、一定数の採用が見込まれる地域において数年に渡る採用活動を実施し、同時に、離職を抑制しながらもBPO拠点を展開してまいりました。具体的には、2003年に秋田県秋田市へ大規模なBPO拠点を開設して以来、増設を重ねながら東北地方及び北陸地方に拠点を開設し、現在ではおよそ5,000名近い従業員が就業しております。特に、女性従業員比率が約70%と高く、結婚や出産・育児等、様々なライフスタイルの変化を迎えても働き続けることができる職場環境の創造に向けた取り組みを実施し、その結果、2022年6月に女性活躍推進企業として「えるぼし認定」2つ星を取得、2023年3月には子育てサポート企業として「くるみん認定」を取得いたしました。また、従業員の健康への意識醸成を目的とした活動にも取り組んでおり、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されております。このような取り組みは、離職防止と採用促進の助力になり、新たな事業の成長や拡大に繋がることから重要な施策であると捉え、今後も様々な取り組みを進めてまいります。
b. 中期経営計画に関して
当社グループは、2021年5月に発表した第7次中期経営計画(2022年3月から3年間)に基づき、経営活動を推進した結果、概ね目標に近い数値を達成することが出来ました。これを踏まえ、2025年3月期を始期とする新(第8次)中期経営計画を策定し、2024年5月に発表を行いました。新(第8次)中期経営計画では、最終年度である2027年3月期に創業40周年を迎えることから、本テーマを「成長を繋ぐ~Origin/Next50」とし、単なるセレモニーで終わらせることなく、「過去と未来の結節点」と位置づけ、自分たちの「原点」「強み」「将来のビジョン」などを見つめ直す機会とし、これまで継続的に企業として成長してきたことを次の50年に繋げるため様々な機会を通じて活用する方針です。さらに、従来から、従業員・株主・地域社会など、全てのステークホルダーの利害を尊重し、良好な関係を築くべく取り組んでまいりましたが、これまで以上にステークホルダーの皆様から「信頼と共感を得る企業」であり続けることも新中期経営計画への継続課題としております。社会から求められる次の50年企業へ向け、当社グループらしくニッチでユニークな事業展開を進め、自社の強みに磨きをかけ、持続可能な社会の実現に寄与するとともに、グループ全体の持続的な成長を目指してまいります。
第7次中期経営計画
新(第8次)中期経営計画
新(第8次)中期経営計画 全体
(1)成長余力の創出
徹底した受託業務(プロジェクト)別収支管理、低収益プロジェクトからの撤退を含む取捨選択、AI等を活用したDX推進による工数削減&生産性向上により、一人あたりの利益額を3年後20%増へ
(2)サービスプラットフォーム利用型の収益モデルの開発
従来のストック型ビジネスモデルを維持拡大しつつ、人的資本に頼らないフロー型ビジネスモデルの開発
(3)機動的な拠点展開
当社グループのメインシナリオである大規模BPOセンター新設や既存拠点の拡充、ロードアシストやホームアシストの駆けつけサービスの出動拠点拡大などの投資を継続しつつ、機動的にサテライト拠点を設置、開設し、受託能力の拡大を急ぐ
(オートモーティブ事業)
自動車産業は100年に一度の変革期と言われており、自動運転やコネクテッドなどの技術の発達、MaaSやSaaSなどの車の利用方法の多様化が進んでいます。当社グループもこれまで、ドライブレコーダーを通じて事故の映像を即時に受信して緊急通報するなどのサービスを提供していますが、今後はMaaSなどにも活用してまいります。具体的には、運転手不足に悩む地方の公共交通機関、自動運転のバスやタクシーに本サービスを導入してトラブルや防犯にドライブレコーダーを活用し、万が一何かあった場合駆け付けるなどのサービス導入を進めるとともに、自動車の販売についても、オンラインショールーム、商談、納車など、これまでと違ったユーザー体験の再設計、新たなユーザー接点に対して取り組む方針です。さらに、昨年以降、自動車の事故に対しての損害保険の査定厳格化が進み、この分野におけるニーズが高まっております。従来受託していた事故受付などのオペレーションに加え、損害査定、保険金支払いのサポートなどのオペレーションの拡大を目指します。加えて、AIの画像判定技術を活用し、損害額の見積算出等のシステム開発も進めており、人的資本に頼らないフロー型のビジネスを開発し収益化を進めてまいります。
(プロパティ事業)
主に水、電気などのトラブルで駆け付けるホームアシストについては、これまで分譲マンション向けサービスを中心に提供してきましたが、これに加え、賃貸マンション向けサービスの拡大、管理人不足に対応した次世代管理サービス、これらを含んだ統合カスタマーサービスオペレーションの3つの施策を進めてまいります。また、従来は水や鍵、電気ガスなどのトラブルに向けたサービスを提供しておりましたが、サービスの視点を「住まい」から「暮らし」へ変換し、大型家電の修理やペット向けサービスなどの開発、提供してまいります。また、昨今分譲マンションの管理人の担い手不足により、従来の管理体制が継続困難になっております。こうした課題、ニーズについて、スマートフォンアプリやタブレット、タッチ式サイネージによる案内・受付・立会などマンション管理業務のIoT化と、当社グループの強みである駆けつけサービス、定期巡回、点検などの人でしかできないオペレーションサービスを組み合わせ、新たなマンション管理のサービスを提供してまいります。
(グローバル事業)
コロナ禍において大きく影響を受け、直近は円安による海外旅行者数の戻りは鈍いものの、企業の駐在員数はコロナ禍前の水準に戻りつつあります。足元の状況としては、コロナ禍で駐在員の医療に関する危機意識の高まりを受け、当社グループが提供しているヘルスケアプログラムが2024年3月期は5社で導入され、2025年3月期は7~8社ほどの導入を見込んでおり、主要クライアントは約50社、サービス対象となる駐在員及びそのご家族は3万人を超えております。引き続き海外進出企業向けに提案を進めまいります。加えて、従来は現地での医療サポートを中心にサービスを提供してきましたが、駐在員が渡航前・帰国後に利用するトラベルクリニック、一時帰国時の際の健診等、タッチポイントを増やすサービススキームを提供、深堀をすることで駐在員向けの医療サポートにおける収益機会を拡大してまいります。また、海外では現地の病院にヘルプデスクを設け通訳や書類作成の案内をしており、現在アジアを中心に53カ所設置しております(2024年3月末時点)。また日本人向けクリニックも開設しており、今後も現地におけるサービス拡充を進め、収益機会の拡大を図ってまいります。
(カスタマー事業)
ワクチン関連業務等が新型コロナウイルス感染症の収束に伴い縮小し、2024年3月期中において完全に終了いたしました。一方、労働人口の減少や人材不足によるカスタマーサービスのアウトソーシング需要は旺盛で、既存・新規クライアントから新規業務の開始や業務拡大等、当社グループへの依頼が増加していることから、強みである地方での安定したオペレーションやバックアップ体制などの付加価値の向上に努め、事業成長を目指してまいります。
(金融保証事業)
グループ会社の株式会社イントラストを中心にした保証関連事業は、賃貸不動産分野の保証サービスが堅調に推移していることに加え、医療・介護分野の保証サービスについても順調に拡大しております。特に、医療費用保証については、従来の未収リスクに加え、インバウンドなどによる医療費用の未収も増加傾向にあり、潜在的なニーズも高いことから拡大を進めてまいります。また、介護費用保証についても、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)をはじめ、一定の契約不履行等もあるため拡大してまいります。
c. 資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、BPO拠点の建設や設置、オートモーティブ事業やプロパティ事業における駆けつけサービスに使用する車両等の購入になります。2024年3月期においては、受注能力の拡大を目的とし2024年6月に開設した岩手BPOフォートレスの建設費用や、2026年に秋田県潟上市に開設予定のBPO拠点の準備室設置、秋田県大仙市にサテライト拠点の開設などの設備投資を行いました。また、業務効率化を目的としたシステム開発や電気自動車向けのポータブル給電機など、オペレーション及び駆けつけサービスの拡大にも投資を実行いたしました。2025年3月期においても、旺盛な需要に対応すべく機動的なサテライト拠点の開設やAIを含むシステム開発などの投資を計画しております。
② 資本政策
2023年3月に東京証券取引所が発表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等」において、今後の企業価値向上の実現に向け、各上場企業へ経営者の資本コストや株価に対する意識改革が促されており、これまでの事業損益を中心とした経営計画にバランスシートをベースにした資本の効率性などを加え、資本収益性を意識した経営の実践を求められております。当社グループにおいては、これまで資金需要に対しては原則として内部資金を充当することとしておりましたが、結果的に有利子負債が少ないこともあり、自己資本比率が高くなっております。これらを踏まえ、今後は、投資を継続しながら還元も同時に増やしていくことを前提に、適度に借入を増やし、自己資本を大きく増やさないような取り組みを行ってまいります。
③ 株主還元、配当政策
当社グループは株主の皆様に対しての利益還元を経営の重要な課題の一つとして位置付けています。配当につきましては、今後の事業計画や事業規模の拡大に向けた資金の充実を勘案しつつ、連結ベースの利益水準及びキャッシュ・フローの状況を踏まえ、総還元性向30%以上の目標を掲げておりました。
新(第8次)中期経営計画では、当社グループが成長し続けるためには、有形・無形の経営資源の将来価値を見極めた上で、より成長を見込める事業分野への資源再配分を迅速に行っていくことが必要と考え、営業活動により獲得したキャッシュ・フローは、重点的に成長投資に充てる方針であります。一方で、資本の効率性を意識した経営の一環として、現在の自己資本及び自己資本比率の水準の見直しなどを行い、ROEを向上させていくことも企業価値向上に向けた長期的な課題、目標として捉えております。
以上のことから、新(第8次)中期経営計画では初年度である2025年3月期には2024年3月期実績の1株あたり配当金12円であったものを倍である24円とし、2026年3月期に配当性向を60%以上まで引き上げ、最終年度までに自己株式の取得を含む総還元性向70%以上とする方針を掲げ、投資対象として魅力ある企業になるため、収益はもとより株主還元策を拡大いたします。
当連結会計年度におけるわが国経済は、2023年5月の新型コロナウイルス感染症5類移行に伴う行動制限の解除及びインバウンド需要の回復により、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、世界的なインフレの拡大、不安定な情勢の緊迫化等により、依然として先行き不透明な状況が続きました。
国内BPO市場においては、労働人口減少によるリソース不足や多くの企業における働き方改革の推進を背景に、業務オペレーションの見直しや、コア業務や新規ビジネスに向けたリソースの再配置等に伴う抜本的な事業体制の見直しが進んでおり、ノンコア業務や専門知識を必要とする業務のアウトソース需要が高まっていることなどから、BPO市場規模は拡大基調で推移しております。
連結売上高につきましては、ワクチン関連業務収束の影響を受けたものの、金融保証事業、オートモーティブ事業、グローバル事業の成長が減収分を吸収し、58,738百万円(前期比7.7%増)となりました。
営業利益につきましては、ワクチン関連業務収束に伴う一時的な収益低下の影響や、給与テーブル改定等により原価が上昇したものの、売上高の成長により、7,921百万円(前期比1.0%増)となりました。経常利益に関しましては、8,458百万円(前期比1.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券の売却による特別利益の計上や賃上げ促進税制の適用を受け、5,791百万円(前期比8.9%増)となりました。
引き続き、BPO拠点を事業運営の中心に据え「価値創造」に取り組み、社会的責任を果たすとともに、ステークホルダーとの良好な関係を構築し、皆様からのご期待に応えられるよう努めてまいります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループの提供するサービスの受注生産は僅少であるため、記載を省略しております。
② 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前期比 (%) |
| 日本 | 54,527 | 106.5 |
| 米州・欧州 | 3,028 | 112.8 |
| アジア・オセアニア | 1,182 | 171.5 |
| 合計 | 58,738 | 107.7 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3)経営者の視点による経営成績などの状況に関する分析・検討内容
a. 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、連結決算日における資産、負債の報告金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益及び費用の報告金額に影響を与えるような見積り及び予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
b. 当連結会計年度の経営成績などの状況に関する認識及び分析・検討内容
① 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、67,836百万円となり前連結会計年度末に比べ7,563百万円増加となりました。流動資産は、立替金が3,023百万円増加、現金及び預金が1,118百万円増加し、流動資産合計では前連結会計年度末に比べて4,847百万円増加し、40,740百万円となりました。固定資産に関しましては、投資有価証券が1,231百万円増加、建設仮勘定が1,163百万円増加し、前連結会計年度末に比べて2,715百万円増加し、27,096百万円となりました。
負債に関しましては、流動負債のその他が2,510百万円増加、契約負債が1,661百万円減少いたしました。これらにより負債合計では前連結会計年度末に比べて2,156百万円増加し、20,611百万円となりました。
また、純資産については、配当の支払いが2023年6月及び12月に発生いたしましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が5,791百万円であったため、前連結会計年度末に比べて5,406百万円増加し、47,224百万円となりました。
② 経営成績
連結売上高に関しては、ワクチン関連業務収束の影響を受けたものの、オートモーティブ事業、グローバル事業、金融保証事業の成長が減収分を吸収し、58,738百万円(前期比7.7%増)となりました。営業利益につきましては、ワクチン関連業務収束に伴う一時的な収益低下の影響や、給与テーブル改定等により原価が上昇したものの、売上高の成長により、7,921百万円(前期比1.0%増)となりました。経常利益につきましては、8,458百万円(前期比1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券の売却による特別利益の計上や賃上げ促進税制の適用を受け、5,791百万円(前期比8.9%増)となりました。
| 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 増減 | |
| 売上高(百万円) | 54,562 | 58,738 | 4,175 |
| 営業利益(百万円) | 7,840 | 7,921 | 80 |
| 経常利益(百万円) | 8,378 | 8,458 | 79 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益(百万円) | 5,318 | 5,791 | 472 |
(注)記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
セグメントの業績は以下のとおりです。
(1)日本
日本国内においては、ワクチン関連業務収束の影響を受けたものの、オートモーティブ事業、金融保証事業など、既存事業が減収分を吸収し、売上高は54,527百万円(前期比6.5%増)となりました。
営業利益につきましては、ワクチン関連業務収束に伴う一時的な収益低下の影響や、給与テーブル改定等により原価が上昇し、7,945百万円(前期比11.4%減)となりました。
(2)米州・欧州
米州・欧州においては、米国クレジットカードビジネスにおける円安が寄与し、売上高は3,028百万円(前期比12.8%増)となりました。営業利益につきましては、クレジットカードビジネスにおいて、現地提携銀行への支払手数料の増加及びインフレの影響に伴う個人消費減少等の影響により490百万円(前期比14.0%減)となりました。
(3)アジア・オセアニア
コロナ禍からの回復による海外旅行者や海外駐在員の増加基調で推移し、東南アジアやインドを中心に海外旅行保険付帯サービスや現地ビジネス(医療機関内における受診サポート、現地法人契約型医療サポート)のサービス利用増加が寄与し、売上高は1,182百万円(前期比71.5%増)となりました。営業利益につきましては、売上の増加に加え円安の影響も有り、349百万円(前期比154.1%増)となりました。
事業別の業績は次のとおりであります。
(1)オートモーティブ事業
主に損害保険会社や自動車メーカー向けロードサービス等を提供しているオートモーティブ事業は、自転車向けロードサービス、事故受付業務、国内外自動車メーカー向けサービス等の既存及び新規事業の成長により、売上高は25,300百万円(前期比8.7%増)となりました。営業利益に関しては、売上高の成長及び価格改定の進捗に伴い、3,542百万円(前期比23.8%増)となりました。
(2)プロパティ事業
分譲・賃貸マンション・戸建ての修繕とコインパーキングのメンテナンス等を提供するプロパティ事業は、ホームアシストにおいて一部既存サービスの縮小・変更やオペレーションの人員適正配置等に伴う原価上昇があったものの、パークアシストの事業地拡大及び前期に実行した先行投資の効果により、売上高は7,061百万円(前期比8.9%増)、営業利益は502百万円(前期比17.0%増)となりました。
(3)グローバル事業
海外旅行保険のクレームエージェント、駐在員向けの医療サポート(ヘルスケアプログラム)業務等を行うグローバル事業は、米国クレジットカードビジネスにおいて、現地提携銀行への支払手数料の高止まり及びインフレの影響に伴う個人消費減少等の影響を受けたものの、ヘルスケアプログラムの会員増加及びクレームエージェント業務の対応エリア拡大等、既存サービスの成長が寄与し、売上高は8,105百万円(前期比20.4%増)、営業利益は805百万円(前期比16.0%増)となりました。
(4)カスタマー事業
カスタマーサポートサービスを展開しているカスタマー事業は、ワクチン関連業務の収束により、売上高は7,949百万円(前期比17.1%減)、営業利益は1,218百万円(前期比49.1%減)となりました。
(5)金融保証事業
家賃や医療費等、生活に関わる金融保証サービスを提供する金融保証事業は、グループ会社の株式会社イントラストが展開する家賃債務保証事業等において、新規契約数の増加に伴い新規保証料及び更新保証料が大幅に増加し、売上高は8,971百万円(前期比29.3%増)、営業利益は2,073百万円(前期比38.1%増)となりました。
(6)IT事業
ITソリューションを提供するIT事業は、サプライチェーンマネジメントシステムのライセンスの解約に加え、前年度に検収が集中した反動により、売上高は665百万円(前期比24.2%減)、営業利益は133百万円(前期比27.5%減)となりました。
(7)ソーシャル事業
「アランマーレ」のスポンサー収入増加等により売上高は683百万円(前期比3.3%増)となりましたが、保育事業「オランジェリー」における人件費増加、「アランマーレ」各チームにおける戦力強化及び活動費用の増加等により、営業利益は366百万円の赤字となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、5,883百万円の収入となりました。主なプラス要因としては、税金等調整前当期純利益が9,093百万円、その他の負債の増加額が3,481百万円、減価償却費が1,974百万円、主なマイナス要因としては、法人税等の支払額が2,711百万円、立替金の増加額が2,643百万円、売上債権の増加額が1,020百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,614百万円の支出となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が3,140百万円、投資有価証券の取得による支出が825百万円、投資有価証券の売却による収入が894百万円、補助金の受取による収入が368百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,377百万円の支出となりました。主な要因は、配当金の支払額が1,533百万円、自己株式の取得による支出が499百万円、非支配株主への配当金の支払額が159百万円、長期借入金の返済による支出が125百万円等によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて1,127百万円増加し、22,779百万円となりました。
④ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営者の問題認識と今後の方針について
2023年に新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行したことを受け、社会経済活動の正常化が進みましたが、物価高による内需の低迷を背景に景気は足踏みしており、実質賃金低迷の影響に加え、コロナ禍の収束によるサービス需要の回復も一巡し、個人消費は弱含んでいると思われます。しかしながら、春闘などによる2024年春以降の賃上げが実現したことで賃金上昇率は明確に高まることが予想され、減少傾向が続いた実質賃金も2024年後半にはプラス転化、個人消費も緩やかに持ち直すと思われます。また、企業活動は急速な円安の進行やコスト負担の高まりが収益環境を悪化させ、能登半島地震や一部メーカー系の工場稼働停止の影響により生産は弱含んでおりますが、所得環境の改善に伴い、景気は再び緩やかな回復軌道に復帰する見込みであります。加えて、企業の設備投資意欲は底堅く、今後は持ち直し傾向で推移すると期待されております。
アウトソーシング・BPO市場においては、2020年以降のコロナ禍におけるリモートワークの普及や働き方改革、また、労働力不足やDX推進など様々な状況を受け、業務改革の必要性が高まっております。人材の再配置を含め、業務オペレーションの抜本的な見直しの過程において、戦略的なアウトソーシングが有効であると考えられています。さらに、ECサイトや通販による販売機会が増加している一方、企業と顧客の直接的な接点は減少傾向にあり、コールセンターにおける顧客への対応が企業イメージや満足度に繋がるため、顧客の声を直接拾い上げるコールセンターの役割は重要であり、専門的な知識やスキルを備えたオペレーターの対応による高品質な顧客体験の提供が求められております。こうした背景から、今後もアウトソーシング・BPO市場では、堅調な成長が続くと予想されています。また、このような状況は、クライアント企業の業務拡大や追加業務委託、さらに新規クライアント企業によるアウトソーシングの要請等、当社グループへの需要が高まり好影響である一方、昨今の労働力不足による採用難の影響で、需要に対応できる水準までの人材採用が進まなかった場合、当社グループの成長機会の大きな阻害要因となる可能性があります。
このような環境ではありますが、当社グループにおける経営の根幹の一つは、「人」によるサービスと考えております。安定的なサービス提供の実現に向け、一定数の採用が見込まれる地域において数年に渡る採用活動を実施し、同時に、離職を抑制しながらもBPO拠点を展開してまいりました。具体的には、2003年に秋田県秋田市へ大規模なBPO拠点を開設して以来、増設を重ねながら東北地方及び北陸地方に拠点を開設し、現在ではおよそ5,000名近い従業員が就業しております。特に、女性従業員比率が約70%と高く、結婚や出産・育児等、様々なライフスタイルの変化を迎えても働き続けることができる職場環境の創造に向けた取り組みを実施し、その結果、2022年6月に女性活躍推進企業として「えるぼし認定」2つ星を取得、2023年3月には子育てサポート企業として「くるみん認定」を取得いたしました。また、従業員の健康への意識醸成を目的とした活動にも取り組んでおり、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されております。このような取り組みは、離職防止と採用促進の助力になり、新たな事業の成長や拡大に繋がることから重要な施策であると捉え、今後も様々な取り組みを進めてまいります。
b. 中期経営計画に関して
当社グループは、2021年5月に発表した第7次中期経営計画(2022年3月から3年間)に基づき、経営活動を推進した結果、概ね目標に近い数値を達成することが出来ました。これを踏まえ、2025年3月期を始期とする新(第8次)中期経営計画を策定し、2024年5月に発表を行いました。新(第8次)中期経営計画では、最終年度である2027年3月期に創業40周年を迎えることから、本テーマを「成長を繋ぐ~Origin/Next50」とし、単なるセレモニーで終わらせることなく、「過去と未来の結節点」と位置づけ、自分たちの「原点」「強み」「将来のビジョン」などを見つめ直す機会とし、これまで継続的に企業として成長してきたことを次の50年に繋げるため様々な機会を通じて活用する方針です。さらに、従来から、従業員・株主・地域社会など、全てのステークホルダーの利害を尊重し、良好な関係を築くべく取り組んでまいりましたが、これまで以上にステークホルダーの皆様から「信頼と共感を得る企業」であり続けることも新中期経営計画への継続課題としております。社会から求められる次の50年企業へ向け、当社グループらしくニッチでユニークな事業展開を進め、自社の強みに磨きをかけ、持続可能な社会の実現に寄与するとともに、グループ全体の持続的な成長を目指してまいります。
第7次中期経営計画
| 第7次中期経営計画 目標 2024年3月期 | 実績 2024年3月期 | |
| 売上高 | 600億円 | 587億円 |
| 営業利益 | 80億円 | 79億円 |
| ROE | 13% | 13.9% |
| 総還元性向 | 30%以上 | 35.1% |
新(第8次)中期経営計画
| 2024年3月期 実績 | 2027年3月期 目標 (新中期経営計画最終年度) | |
| 売上高 | 587億円 | 750億円 |
| 営業利益 | 79億円 | 100億円 |
| 親会社持分利益 | 57億円 | 65億円 |
| ROE | 13.9% | 15% |
| 配当性向 | 26.5% | 60%以上 |
| 総還元性向 | 35.1% | 70%以上 |
新(第8次)中期経営計画 全体
(1)成長余力の創出
徹底した受託業務(プロジェクト)別収支管理、低収益プロジェクトからの撤退を含む取捨選択、AI等を活用したDX推進による工数削減&生産性向上により、一人あたりの利益額を3年後20%増へ
(2)サービスプラットフォーム利用型の収益モデルの開発
従来のストック型ビジネスモデルを維持拡大しつつ、人的資本に頼らないフロー型ビジネスモデルの開発
(3)機動的な拠点展開
当社グループのメインシナリオである大規模BPOセンター新設や既存拠点の拡充、ロードアシストやホームアシストの駆けつけサービスの出動拠点拡大などの投資を継続しつつ、機動的にサテライト拠点を設置、開設し、受託能力の拡大を急ぐ
(オートモーティブ事業)
自動車産業は100年に一度の変革期と言われており、自動運転やコネクテッドなどの技術の発達、MaaSやSaaSなどの車の利用方法の多様化が進んでいます。当社グループもこれまで、ドライブレコーダーを通じて事故の映像を即時に受信して緊急通報するなどのサービスを提供していますが、今後はMaaSなどにも活用してまいります。具体的には、運転手不足に悩む地方の公共交通機関、自動運転のバスやタクシーに本サービスを導入してトラブルや防犯にドライブレコーダーを活用し、万が一何かあった場合駆け付けるなどのサービス導入を進めるとともに、自動車の販売についても、オンラインショールーム、商談、納車など、これまでと違ったユーザー体験の再設計、新たなユーザー接点に対して取り組む方針です。さらに、昨年以降、自動車の事故に対しての損害保険の査定厳格化が進み、この分野におけるニーズが高まっております。従来受託していた事故受付などのオペレーションに加え、損害査定、保険金支払いのサポートなどのオペレーションの拡大を目指します。加えて、AIの画像判定技術を活用し、損害額の見積算出等のシステム開発も進めており、人的資本に頼らないフロー型のビジネスを開発し収益化を進めてまいります。
(プロパティ事業)
主に水、電気などのトラブルで駆け付けるホームアシストについては、これまで分譲マンション向けサービスを中心に提供してきましたが、これに加え、賃貸マンション向けサービスの拡大、管理人不足に対応した次世代管理サービス、これらを含んだ統合カスタマーサービスオペレーションの3つの施策を進めてまいります。また、従来は水や鍵、電気ガスなどのトラブルに向けたサービスを提供しておりましたが、サービスの視点を「住まい」から「暮らし」へ変換し、大型家電の修理やペット向けサービスなどの開発、提供してまいります。また、昨今分譲マンションの管理人の担い手不足により、従来の管理体制が継続困難になっております。こうした課題、ニーズについて、スマートフォンアプリやタブレット、タッチ式サイネージによる案内・受付・立会などマンション管理業務のIoT化と、当社グループの強みである駆けつけサービス、定期巡回、点検などの人でしかできないオペレーションサービスを組み合わせ、新たなマンション管理のサービスを提供してまいります。
(グローバル事業)
コロナ禍において大きく影響を受け、直近は円安による海外旅行者数の戻りは鈍いものの、企業の駐在員数はコロナ禍前の水準に戻りつつあります。足元の状況としては、コロナ禍で駐在員の医療に関する危機意識の高まりを受け、当社グループが提供しているヘルスケアプログラムが2024年3月期は5社で導入され、2025年3月期は7~8社ほどの導入を見込んでおり、主要クライアントは約50社、サービス対象となる駐在員及びそのご家族は3万人を超えております。引き続き海外進出企業向けに提案を進めまいります。加えて、従来は現地での医療サポートを中心にサービスを提供してきましたが、駐在員が渡航前・帰国後に利用するトラベルクリニック、一時帰国時の際の健診等、タッチポイントを増やすサービススキームを提供、深堀をすることで駐在員向けの医療サポートにおける収益機会を拡大してまいります。また、海外では現地の病院にヘルプデスクを設け通訳や書類作成の案内をしており、現在アジアを中心に53カ所設置しております(2024年3月末時点)。また日本人向けクリニックも開設しており、今後も現地におけるサービス拡充を進め、収益機会の拡大を図ってまいります。
(カスタマー事業)
ワクチン関連業務等が新型コロナウイルス感染症の収束に伴い縮小し、2024年3月期中において完全に終了いたしました。一方、労働人口の減少や人材不足によるカスタマーサービスのアウトソーシング需要は旺盛で、既存・新規クライアントから新規業務の開始や業務拡大等、当社グループへの依頼が増加していることから、強みである地方での安定したオペレーションやバックアップ体制などの付加価値の向上に努め、事業成長を目指してまいります。
(金融保証事業)
グループ会社の株式会社イントラストを中心にした保証関連事業は、賃貸不動産分野の保証サービスが堅調に推移していることに加え、医療・介護分野の保証サービスについても順調に拡大しております。特に、医療費用保証については、従来の未収リスクに加え、インバウンドなどによる医療費用の未収も増加傾向にあり、潜在的なニーズも高いことから拡大を進めてまいります。また、介護費用保証についても、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)をはじめ、一定の契約不履行等もあるため拡大してまいります。
c. 資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、BPO拠点の建設や設置、オートモーティブ事業やプロパティ事業における駆けつけサービスに使用する車両等の購入になります。2024年3月期においては、受注能力の拡大を目的とし2024年6月に開設した岩手BPOフォートレスの建設費用や、2026年に秋田県潟上市に開設予定のBPO拠点の準備室設置、秋田県大仙市にサテライト拠点の開設などの設備投資を行いました。また、業務効率化を目的としたシステム開発や電気自動車向けのポータブル給電機など、オペレーション及び駆けつけサービスの拡大にも投資を実行いたしました。2025年3月期においても、旺盛な需要に対応すべく機動的なサテライト拠点の開設やAIを含むシステム開発などの投資を計画しております。
② 資本政策
2023年3月に東京証券取引所が発表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等」において、今後の企業価値向上の実現に向け、各上場企業へ経営者の資本コストや株価に対する意識改革が促されており、これまでの事業損益を中心とした経営計画にバランスシートをベースにした資本の効率性などを加え、資本収益性を意識した経営の実践を求められております。当社グループにおいては、これまで資金需要に対しては原則として内部資金を充当することとしておりましたが、結果的に有利子負債が少ないこともあり、自己資本比率が高くなっております。これらを踏まえ、今後は、投資を継続しながら還元も同時に増やしていくことを前提に、適度に借入を増やし、自己資本を大きく増やさないような取り組みを行ってまいります。
③ 株主還元、配当政策
当社グループは株主の皆様に対しての利益還元を経営の重要な課題の一つとして位置付けています。配当につきましては、今後の事業計画や事業規模の拡大に向けた資金の充実を勘案しつつ、連結ベースの利益水準及びキャッシュ・フローの状況を踏まえ、総還元性向30%以上の目標を掲げておりました。
新(第8次)中期経営計画では、当社グループが成長し続けるためには、有形・無形の経営資源の将来価値を見極めた上で、より成長を見込める事業分野への資源再配分を迅速に行っていくことが必要と考え、営業活動により獲得したキャッシュ・フローは、重点的に成長投資に充てる方針であります。一方で、資本の効率性を意識した経営の一環として、現在の自己資本及び自己資本比率の水準の見直しなどを行い、ROEを向上させていくことも企業価値向上に向けた長期的な課題、目標として捉えております。
以上のことから、新(第8次)中期経営計画では初年度である2025年3月期には2024年3月期実績の1株あたり配当金12円であったものを倍である24円とし、2026年3月期に配当性向を60%以上まで引き上げ、最終年度までに自己株式の取得を含む総還元性向70%以上とする方針を掲げ、投資対象として魅力ある企業になるため、収益はもとより株主還元策を拡大いたします。