有価証券報告書-第40期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/22 14:09
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188項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、賃上げの広がりを背景に実質賃金がプラス基調に転じ、個人消費は持ち直しの動きが続きました。設備投資につきましても、企業収益の改善や人手不足に対応したデジタル化・省人化投資の需要に支えられ、堅調に推移いたしました。一方、米国の通商政策の転換に伴う追加関税の影響は、自動車関連をはじめとする輸出企業の業績の重石となったほか、為替相場も振れの大きい展開となりました。さらに、中東情勢の緊迫化は、エネルギー供給の不安定化と原油価格の高騰を招き、国内の原材料価格や物流コストを一層押し上げる要因となり、日中関係は緊張が続くなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
国内BPO市場におきましては、企業では自社の事業リソースで不足したノンコア業務を中心に業務効率化やリソースの最適配分を志向する動きが一段と加速しており、AIを活用したDX推進などの需要も含め引き続き旺盛に推移しております。また、顧客満足度を高めることを目的に特定の分野における専門性と高品質なサービス提供を求め外注化する機運が高まっており、カスタマイズ可能なサービスや迅速な対応、業務領域に特化した専門知識・技術・ノウハウの保有などが求められております。
「エンドユーザー(消費者)のお困りごとを解決する」という1986年の創業以来のコンセプトのもと、当期において節目である第40期事業年度を迎えた中、「人ならではの高度な問題解決能力」の追求がエンドユーザーのUX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザーが製品やサービスを通じて得る体験の総称)の向上に貢献し、クライアント企業からの高い評価に繋がっております。物価高騰に伴う委託料改定も一部で時間を要しておりましたが、下期にかけて順次妥結に至るなど、業績を押し上げる重要な要因となりました。デジタル技術の活用につきましては、2025年10月に新設した「DX推進本部」を中核に据え、AI等のデジタル技術を活用したオペレーションの効率化や技術活用を一段と加速させております。また、国内における深刻な採用難や人件費上昇の環境下においても、当社グループは質の高いサービス提供の源泉となる人材の確保・定着を最重要課題と位置づけ、従業員の処遇改善を通期にわたり継続的に実施いたしました。さらに、採用地域を拡大すべく、2025年4月に開設した「青森BPO三沢ブランチ」の運営を本格化させ、東北地方における拠点網を「点」から「面」へと拡充するとともに、2026年夏季に稼働開始予定の「秋田BPO潟上キャンパス(仮称)」の開設準備を着実に進めるなど、安定的な運営体制の構築に努めました。こうした取り組みに伴うコストの増加につきましては、デジタル技術の導入による業務効率化や、クライアント企業への適正な価格転嫁によって吸収し、収益性の維持・向上、人的資本への投資を図ってまいりました。
売上高については、主要な事業セグメントにおいて、既存業務の拡大や新規クライアント企業の獲得などがけん引、また委託料改定なども寄与し前期比11.3%増の70,911百万円となりました。営業利益については、従業員の処遇改善による賃金上昇やオートモーティブ事業における協力会社への支払単価上昇のコスト増加などを売上の増加などにより吸収し、前期比11.4%増の8,869百万円となりました。経常利益につきましては、営業利益が増加したことに加え、為替差益が353百万円発生、持分法による投資利益が194百万円であったことなどにより、前期比16.1%増加の9,772百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、人的資本への投資で賃上げ促進税制の適用を受けたことにより、前期比21.6%増加し5,920百万円となりました。この結果、当社グループの第40期事業年度という節目であった当期において、売上高、各段階利益ともに過去最高の業績となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績及び受注実績
当社グループの提供するサービスの受注生産は僅少であるため、記載を省略しております。
②販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
前期比
(%)
日本65,905111.4
米州・欧州3,308107.9
アジア・オセアニア1,697112.8
合計70,911111.3

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3)経営者の視点による経営成績などの状況に関する分析・検討内容
(a)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、連結決算日における資産、負債の報告金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益及び費用の報告金額に影響を与えるような見積り及び予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(b)当連結会計年度の経営成績などの状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態
当連結会計年度末における総資産は、82,244百万円となり前連結会計年度末に比べ10,653百万円増加となりました。流動資産は、現金及び預金が4,665百万円増加したことにより、流動資産合計では前連結会計年度末に比べて4,405百万円増加し、46,629百万円となりました。固定資産は、建設仮勘定が3,602百万円増加、無形固定資産のその他が1,114百万円増加、投資有価証券が1,017百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べて6,248百万円増加し、35,614百万円となりました。
負債に関しましては、短期借入金が6,000百万円増加、流動負債のその他が851百万円増加、賞与引当金が309百万円増加いたしました。これらにより負債合計では前連結会計年度末に比べて7,809百万円増加し、29,757百万円となりました。
また、純資産については、自己株式の取得、自己株式の消却、譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に加え、配当金の支払いを実施しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が5,920百万円であったため、前連結会計年度末に比べて2,844百万円増加し、52,486百万円となりました。
②経営成績
連結売上高につきましては、アシスタンスサービスの拡大によりプロパティ事業やグローバル事業は二桁成長となり、主力業務となるオートモーティブ事業とともに増収となりました。また金融保証事業も契約数の増加が増収を牽引し、連結売上高は70,911百万円(前期比11.3%増)となりました。営業利益につきましては、従業員の処遇改善による賃金上昇やオートモーティブ事業における協力会社への支払単価上昇のコスト増加があったものの、増収となったセグメントの収益によりこれを吸収し、8,869百万円(前期比11.4%増)となりました。経常利益につきましては、営業利益が増加したことに加え、為替差益が353百万円発生、持分法による投資利益が194百万円であったことなどにより9,772百万円(前期比16.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、人的資本への投資で賃上げ促進税制の適用を受けたことにより、5,920百万円(前期比21.6%増)となりました。
前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
増減
売上高(百万円)63,71970,9117,191
営業利益(百万円)7,9618,869908
経常利益(百万円)8,4169,7721,355
親会社株主に帰属する
当期純利益(百万円)
4,8705,9201,050

(注)記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
セグメントの業績は以下のとおりです。
(1)日本
日本国内においては、主力業務であるアシスタンスサービスの拡大による各セグメントでの増収に加え、金融保証事業も契約数の増加が増収を牽引し、売上高は65,905百万円(前期比11.4%増)となりました。
営業利益につきましては、従業員の処遇改善による賃金上昇やオートモーティブ事業における協力会社への支払単価上昇があったものの、増収となったセグメントの収益によりこれを吸収し、9,086百万円(前期比6.4%増)となりました。
(2)米州・欧州
米国クレジットカードビジネスにおいて、新規加入及び旧カードから新カードへの切替数の増加、カード利用額の増加並びに円安が寄与し、売上高は3,308百万円(前期比7.9%増)となりました。営業利益につきましては、現地提携銀行への支払手数料の減少や円安が貢献し、628百万円(前期比8.7%増)となりました。
欧州につきましては、海外旅行保険の付帯サービスが前期比116%増となり、赴任者向けのヘルスケアプログラムは新規企業の導入も寄与し、前期比176%増となりました。医療機関内での通訳・院内サポートサービスにおいては、ネットワークの整備と拡充が今後の重要な鍵となります。
(3)アジア・オセアニア
東南アジアにおける医療機関内での通訳・院内サポートサービスが、シンガポール、バンコク、ベトナムなど新たな拠点展開と利用者の間での認知度向上により取り扱い件数が増加し、売上高は1,697百万円(前期比12.8%増)、営業利益は507百万円(前期比10.9%増)となりました。
事業別の業績は次のとおりであります。
(1)オートモーティブ事業
主に損害保険会社や自動車メーカー向けロードサービス等を提供しているオートモーティブ事業は、一部のダイレクト系自動車保険の契約台数増加や、既存クライアント企業との委託料改定の進捗や新規クライアント企業獲得などにより、売上高は29,930百万円(前期比9.8%増)となりました。営業利益につきましては、物価上昇に伴い協力会社への外注費の上昇や従業員の待遇改善に伴う人件費の増加を、単価見直しなど委託料改定の効果や新規業務などで吸収し、前期とほぼ同じ水準の3,449百万円となりました。
(2)プロパティ事業
分譲・賃貸マンション・戸建ての修繕と、コインパーキングのメンテナンス等を提供するプロパティ事業は当期においては、コインパーキング向けのパークアシスト事業で品質の低下を改善するための人員増や、価格交渉が進まないなどの影響が出て、収益性が低下いたしましたが、ホームアシストでは昨年度下期より開始した賃貸物件向けの駆けつけサービスが一巡したものの、価格の見直しや効率化を進めることにより、プロパティ事業全体では増益となりました。この結果、売上高は9,860百万円(前期比14.0%増)、営業利益は806百万円(前期比10.4%増)となりました。
(3)グローバル事業
海外旅行保険のクレームエージェント、駐在員向けの医療サポート(ヘルスケアプログラム)業務等を行うグローバル事業は、主力のヘルスケアプログラムが引き続き堅調に拡大しており、新規クライアント企業の獲得やエリア拡大による会員数の増加に加え、大手損保からの流入による海外旅行保険の査定件数の増加が寄与しました。また、価格の見直しも進み収益に寄与した効果もあり、売上高は10,484百万円(前期比17.3%増)、営業利益につきましては1,263百万円(前期比10.9%増)となり、増収増益となりました。
(4)カスタマー事業
カスタマーサポートサービスを展開しているカスタマー事業は、クレジットカード関連業務を始めとする既存クライアント企業の業務拡大もありましたが、同事業においては規模拡大を追わず、受託している各プロジェクトの収益管理を徹底、取捨選択を進めるなど売上高による大きな成長は無かったものの、収益性改善を優先した取り組みの成果がでております。この結果、売上高が前年とほぼ同水準の6,655百万円、営業利益につきましては1,037百万円(前期比30.1%増)となりました。
(5)金融保証事業
家賃や医療費等、生活に関わる金融保証サービスを提供する金融保証事業は、グループ会社の株式会社イントラスト(証券コード:7191)が展開する家賃債務保証事業の契約件数が10%伸長しました。また、医療費用保証や介護費用保証などの新たな保証分野も広がりを見せており、前期に買収した事業用不動産の家賃債務保証事業の収益性も改善し、売上高は12,282百万円(前期比16.2%増)、営業利益は2,766百万円(前期比18.4%増)となりました。
(6)IT事業
ITソリューションを提供するIT事業は、サプライチェーンマネジメントシステム提供において先行売上が収れんし、プログラム開発者への先行投資を実施したことにより、減収減益となりました。
(7)ソーシャル事業
女子スポーツチーム「アランマーレ」の運営、保育事業及び地方創生事業を行うソーシャル事業は、女子スポーツチーム「アランマーレ」の認知度向上によるスポンサー収入の増加や、保育事業の計画通りの推移により増収となりました。営業利益につきましては、スポーツ事業における体制・戦力強化を目的とした人件費の増加があったものの、保育事業の収益回復もあり、収益が改善いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、10,466百万円の収入となりました。主なプラス要因としては、税金等調整前当期純利益が9,812百万円、減価償却費が2,526百万円、貸倒引当金の増加額が679百万円、主なマイナス要因としては、法人税等の支払額3,039百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、6,912百万円の支出となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が6,361百万円、投資有価証券の取得による支出が1,993百万円、投資有価証券の償還による収入が1,751百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、776百万円の収入となりました。主な要因は、短期借入金の純増額が6,000百万円、配当金の支払額が3,159百万円、自己株式の取得による支出が1,471百万円、非支配株主への配当金の支払額が296百万円、長期借入金の返済による支出が191百万円等によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて4,664百万円増加し、28,061百万円となりました。
④経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループを取り巻く環境においては、少子高齢化による労働人口減少に伴う採用難や賃金の上昇、物価高が続いております。また、米国の通商政策に伴う追加関税の影響により自動車関連を中心に輸出企業の業績への影響が生じているほか、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰や円安の進行、生成AIをはじめとする技術革新の急速な進展など、世界経済を取り巻く環境は依然として多くの不確実性を抱えており、不透明な情勢が続くと思われます。このような環境下において、各企業はサプライチェーンの見直しやコスト削減策など抜本的な事業体制の見直しを進めており、コア業務を含めワンストップでアウトソースする機運がこれまで以上に高まっていることなどから、当社グループへの潜在的なニーズは引き続き高い水準で推移すると考えております。
一方、物価高騰や賃金上昇に伴う価格転嫁の動きは広がりつつあるものの、急速な価格転嫁はクライアント企業からの理解を得にくいケースも多く、委託料の引上げや業務の効率化・省力化にとどまらない対応が求められております。具体的には、AIを含むDXを活用した新たなビジネスモデルの創出やサービスの付加価値向上が不可欠であり、当社グループとしても、品質のさらなる向上に加え、2025年10月に新設した「DX推進本部」を中核に据えたデジタル技術への投資と開発体制の強化を通じて、既存事業の高度化と新たな価値創造の双方に取り組んでいく必要があると認識しております。
こうした背景のもと、主に国内向けに事業を展開する当社グループにおいては、第8次中期経営計画のスローガンである「成長を繋ぐ~Origin/Next 50」に示されている「成長余力の創出」の全体戦略に基づき、付加価値が高くサービス優位性があるアシスタンスサービスにフォーカスするべく、業務の選択と集中を行っております。同時に、高い専門性を持った人材の育成や、人材定着のための職場環境の整備・待遇の改善などを行い、一人ひとりの生産性向上に取り組んでおります。また、サービス提供の中心であるBPO拠点を複数の地方都市に置くことで安定的に雇用を創出し、確実にサービスを提供し、BPO市場の旺盛な需要に対応しております。第8次中期経営計画にて掲げている「機動的な拠点展開」に関しては、2025年4月に開設した「青森BPO三沢ブランチ」の運営を本格化させるとともに、2026年夏季に稼働開始予定の「秋田BPO潟上キャンパス(仮称)」の建設を着実に進めるなど、受託能力の中長期的な向上を図っております。さらに、2025年10月に「DX推進本部」を新設し、AIを含むデジタル技術を活用したオペレーションの効率化や新たな価値創出を一段と加速させております。
また、当社グループにおける経営の根幹の一つは、「人」によるサービスと考えております。安定的なサービス提供の実現に向け、一定数の採用が見込まれる地域において継続的な採用活動を実施し、同時に、離職を抑制しながらもBPO拠点を展開してまいりました。特に、女性従業員比率が約70%と高く、結婚や出産・育児等、様々なライフスタイルの変化を迎えても働き続けることができる職場環境の創造に向けた取り組みを実施し、女性活躍推進企業として「えるぼし認定」を取得しているほか、子育てサポート企業として「くるみん認定」を取得しております。また、従業員の健康への意識醸成を目的とした活動にも取り組んでおり、2022年以降5年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されております。当連結会計年度においては、職務・役割定義書の導入と評価・報酬体系の刷新を含む人事制度の抜本的改定にも着手いたしました。これらの取り組みは、離職防止と採用促進の助力になり、新たな事業の成長や拡大に繋がる重要な施策と捉え、今後も様々な取り組みを進めてまいります。
(b)中期経営計画に関して
当社グループは、2024年5月に発表した第8次中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)に基づき、低収益プロジェクトからの撤退を含む取捨選択、青森県三沢市・秋田県潟上市における拠点展開を含む受託能力の向上、AI技術の積極活用によるDX推進などに取り組んでまいりました。これらの取り組みの結果、中期経営計画の2年目である2026年3月期は、売上高70,911百万円(前期比11.3%増、5期連続の増収)、営業利益8,869百万円(同11.4%増、13期連続の増益)となり、売上高、各段階利益ともに過去最高の業績となりました。最終年度である2027年3月期の売上高につきましては、旺盛なアウトソーシング需要を背景とした既存業務の拡大、新規クライアント企業の獲得及び委託料改定の進展により、中期経営計画の目標値を上回る76,000百万円を見込んでおります。
一方、利益面につきましては、営業利益9,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,920百万円と、中期経営計画の目標値を下回る見込みであります。これは主に、計画策定時の想定を上回る採用難と社会全体の賃金上昇が続くなか、質の高いサービス提供の源泉となる人材の確保・定着を最重要課題と位置付け、従業員の処遇改善をはじめとする人的資本への投資を継続的に実施していること、物価上昇に伴い協力会社への支払単価が上昇していること、ならびに秋田BPO潟上キャンパス(仮称)の開設に伴う先行費用や次世代共通プラットフォームをはじめとするデジタル・IT投資を実行していることによるものであります。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2026年3月期に計上した為替差益や賃上げ促進税制の適用といった一過性の押し上げ要因が剥落することも、前期比横ばいにとどまる主な要因となっております。
当社グループを取り巻く経営環境は、引き続き多くの不確実性を抱えて推移しております。国内では、少子高齢化に伴う労働人口の減少が採用難と賃金上昇を招き、物価高と相まって企業経営の重い負担となっております。世界経済においても、米国の通商政策に起因するサプライチェーンの分断リスクが継続する一方、中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギー価格の高騰が物流コストを押し上げております。主要各国のインフレ圧力は根強く、円安の進行も加わり、輸入コストの増加が国内企業の収益を圧迫している状況です。国内経済においては「賃金と物価の好循環」の兆しが見られるものの、2026年春闘における高水準の賃上げや原材料費高騰に伴う物価上昇圧力は依然として解消されておりません。これらは当社グループの事業活動において大きな影響を及ぼす可能性があり、今後の業績に対する不透明感が一層増しております。加えて、生成AIをはじめとするデジタル技術の革新が急速に進展しており、BPO事業においてもその活用が競争力を左右する重要なテーマとなっております。
このような環境の下、中期経営計画の最終年度として、引き続き「成長余力の創出」、「サービスプラットフォーム利用型の収益モデルの開発」、「機動的な拠点展開」の3つの施策を中心に取り組んでまいります。また、「応対の効率化」のみならず、当社グループに蓄積された膨大なデータを利活用した予測モデルによる適正リソースの配置や、ユーザーの要望を先回りした対応を通じ、NPSの向上をLTV(顧客生涯価値)の伸長に結びつけるなど、「CX・UX(顧客体験)の高度化」にシフトし、DXとホスピタリティが融合したオペレーションによる差別化を進め、グループ全体の持続的な成長を目指してまいります。
受託能力の増強としては、2026年夏季に開設を予定している秋田BPO潟上キャンパス(仮称)においては800席の受託能力を有することになり、事業拡大を加速させてまいります。また、ロードアシストやホームアシストの駆けつけサービスの出動拠点拡大などの投資も計画しており、今後も各拠点の拡大、投資を進めてまいります。加えて、DXなどのデジタル・IT投資においては、CTI(高性能電話システム)にAI機能を実装させ省人化や業務効率の向上などを推進するとともに、各事業セグメントを横断した次世代共通プラットフォームの開発にも着手、これまでオートモーティブ事業やプロパティ事業などで蓄積されたデータやエージェンティックAIを活用した次世代システムへ今後数年間にわたり投資を実行してまいります。
第8次中期経営計画
経営指標中期経営計画目標
(2027年3月期)
2026年3月期実績2027年3月期業績予想(注)
売上高75,000百万円70,911百万円76,000百万円
営業利益10,000百万円8,869百万円9,600百万円
親会社株主に帰属する当期純利益6,500百万円5,920百万円5,920百万円
ROE15%12.5%-
配当性向60%以上55.4%59.2%
総還元性向70%以上80.0%-

(注)2027年3月期の業績予想は、2026年5月13日公表の「2026年3月期決算短信」に記載の数値であります。
総還元性向は、自己株式取得の実施状況等により変動いたします。
第8次中期経営計画 全体
「成長を繋ぐ~Origin/Next 50」において、以下の戦略を掲げております。引き続き、経営目標の達成に向け取り組んでまいります。
(1)成長余力の創出
徹底した受託業務(プロジェクト)別収支管理、低収益プロジェクトからの撤退を含む取捨選択、AI等を活用したDX推進による工数削減&生産性向上により、一人あたりの利益額を3年後20%増へ
(2)サービスプラットフォーム利用型の収益モデルの開発
従来のストック型ビジネスモデルを維持拡大しつつ、人的資本に頼らないフロー型ビジネスモデルの開発
(3)機動的な拠点展開
当社グループのメインシナリオである大規模BPOセンター新設や既存拠点の拡充、ロードアシストやホームアシストの駆けつけサービスの出動拠点拡大などの投資を継続しつつ、機動的にサテライト拠点を設置、開設し、受託能力の拡大を急ぐ
(オートモーティブ事業)
自動車産業は100年に一度の変革期と言われており、自動運転やコネクテッド、EV化などの技術の発達、MaaSやSaaSなどの車の利用方法の多様化が進んでおります。一方で、米国の関税政策や世界的な需要変動により生産・販売台数が減少に転じているほか、円安による海外調達コストの上昇も重なり、収益環境は厳しさを増しております。各自動車メーカー及び関連事業者においては抜本的なコスト削減が喫緊の課題となる一方、EV化や自動運転技術の進展、車両の予兆診断・コネクテッド技術を活用した新たなアフターサービスへの需要も急速に拡大しており、アフターサービスやロードサービスを含む周辺業務のアウトソーシングニーズが高まっております。加えて、損害保険業界においては、損害査定をはじめとする専門業務を担う人材の高齢化と人手不足が深刻化しており、損害サービス関連業務へのアウトソーシングニーズが一段と高まっております。当社グループは、従来受託している事故受付などのオペレーションに加え、損害査定・保険金支払いサポート等の業務拡大を進めるとともに、人的資本に頼らないフロー型のビジネスとしての収益化を目指しております。
こうした中、AI等の活用によるDX化を進めておりますが、自動応答などは顧客ロイヤルティに繋がりにくく、複雑で高度な判断を要する対応や感情的な寄り添いが必要な対応はAIではまだ難しい状況にあり、人によるオペレーションを希望されるクライアントと、省人化によるコスト低減を求めるクライアントとの二極化も進んでおります。こうした状況を踏まえ、今後に向けては、「AIを含むDXに何をさせ、人に何をさせるか」の境界線をデザインしながら品質向上と効率化の両立を進めるとともに、都内近郊を中心に進むロードサービス協力会社の減少(人手不足・事業承継等が背景)に対応するため、当社グループの駆けつけ専門子会社によるサービスセンターの新規出店、EV給電可能なレッカー車を含む車両投資、協力会社とのコミュニケーション強化を通じ、サービスネットワークの維持・拡充を図ってまいります。
(プロパティ事業)
主に水・電気などのトラブルで駆け付けるホームアシストにつきましては、これまで首都圏中心の分譲マンション向けサービスを中心に提供しておりました。昨今の建築資材や人件費の高騰を背景に分譲マンションの販売価格は上昇を続けており、新規分譲販売は減少し、対象戸数の増加による収益機会を得にくい環境にあるものの、既存物件を長く大切に使う市場ニーズの顕在化を受け、修繕やリペアなど物件価値の維持・向上に資するサービスの拡大に取り組んでまいります。また、これまで首都圏中心の分譲マンションを主要顧客としてサービスを展開してまいりましたが、全国規模で賃貸物件向けサービスが拡大していることから、オートモーティブ事業と同様、駆けつけ出動拠点の拡充を進めてサービスネットワークを強化してまいります。さらに、通信キャリア向けの暮らしのサービスなど会員制サービスの会員数増加や、高齢者・子どもの見守り需要の顕在化を踏まえ、ホームIoT機器・システムの開発、ペット向けサービス等、暮らしの安心と便利を支えるサービスを多角的に拡大してまいります。
(グローバル事業)
当社グループによる海外の駐在員向けに提供しているヘルスケアプログラムが、2026年3月期は8社で導入され、2027年3月期は6社超の導入を見込んでおります。主要クライアントは約100社にのぼり、サービス対象となる駐在員及びそのご家族は32,000人を超え、引き続き海外進出企業向けに提案を進めてまいります。加えて、従来は現地での医療サポートを中心にサービスを提供しておりましたが、駐在の前後に利用するトラベルクリニック、一時帰国時の健診など、サービスメニューを増やすことで、駐在員向けの医療サポートにおける収益機会を拡大しております。また、提携した病院内にヘルプデスク(アジアを中心に82カ所設置:2026年3月末時点)を設け、通訳や書類作成の案内をするサービスを展開し、日本人向けクリニックも開設しております。
2027年3月期においては86カ所まで拡大する計画をしております。また、クレジットカードビジネスにおいても、新たな特典を付加したクレジットカード商品投入を行いながら安定的な運用を継続しており、カードメンバー数が43,600人となっております(2026年3月末時点)。
(カスタマー事業)
当事業は当社グループの中でもAIによるDX化が最も進む領域であると認識しております。AI・ボイスボット・FAQ自動化等が普及することで「誰でも、安く、同等の品質」を提供しやすくなり、他社に対する優位性が失われやすく、クライアント側での内製化も進みやすい、いわゆるコモディティ化が進む領域であります。現時点ではAI関連のコストはまだ高水準にあるものの、今後は価格競争や低価格化が加速していくものと見ております。こうした認識のもと、当社グループでは規模拡大を追わず、受託している各プロジェクトの収益管理を徹底し、案件の取捨選択を進めるとともに、DXによる省力化・効率化により捻出した人員を、他の事業セグメントや、クレーム対応・解約阻止・アップセル/クロスセルといった高度で人の判断が必要なオペレーションへ再配置することで、グループ全体の付加価値向上を目指す方針を継続しております。
(金融保証事業)
グループ会社の株式会社イントラスト(証券コード:7191)を中心にした保証関連事業は、賃貸不動産分野の保証サービスが堅調に推移していることに加え、医療・介護分野の保証サービスについても順調に拡大しております。賃貸不動産市場は成熟期に入りつつあり、保証利用の一般化と管理会社の多角化が進む一方、医療・介護・養育費等の保証分野はブルーオーシャンとして成長余地が大きいと認識しております。特に、医療費用保証については、従来の未収リスクに加え、インバウンドなどによる医療費用の未収も増加傾向にあり、潜在的なニーズも高いことから拡大を進めてまいります。また、介護費用保証についても、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)をはじめ、一定の契約不履行等もあるため拡大してまいります。あわせて、中古自動車購入の割賦販売保証(カーUP応援保証)やリース保証等、新商品の開発・拡大も進めてまいります。
家賃債務保証における新規・更新契約の成長を維持しつつ、既存取引先の回復と新規獲得を重視するとともに、利益率の安定化を継続的に図る方針です。あわせて、医療・介護分野等のブルーオーシャン分野での市場拡大、中古車マーケット向け保証やリース保証等の新商品開発を推進し、さらなる成長を目指してまいります。
(c)資本の財源及び資金の流動性
①資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、BPO拠点の建設や設置、オートモーティブ事業やプロパティ事業における駆けつけサービスに使用する車両等の購入になります。2026年3月期においては、2026年夏季に開設予定の「秋田BPO潟上キャンパス(仮称)」の建設に伴い建設仮勘定が3,602百万円増加するなど、当連結会計年度末の有形固定資産は19,947百万円(前期比3,726百万円増)となりました。また、2025年4月に開設した「青森BPO三沢ブランチ」の運営本格化、業務効率化を目的としたシステム開発、EV給電可能なレッカー車を含む駆けつけサービス拡大のための車両等への投資、キャロルシステム株式会社の株式取得を含む金融保証事業のM&Aも実行いたしました。これらに伴うのれん等により無形固定資産は3,765百万円(前期比1,446百万円増)となっております。2027年3月期においても、旺盛な需要に対応すべく機動的なサテライト拠点の開設やAIを含むシステム開発などの投資を計画しております。
②資本政策
2023年3月に東京証券取引所が発表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等」において、今後の企業価値向上の実現に向け、各上場企業へ経営者の資本コストや株価に対する意識改革が促されており、これまでの事業損益を中心とした経営計画にバランスシートをベースにした資本の効率性などを加え、資本収益性を意識した経営の実践を求められております。当社グループにおいては、これまで資金需要に対しては原則として内部資金を充当することとしておりましたが、結果的に有利子負債が少ないこともあり、自己資本比率が高くなっておりました。これらを踏まえ、今後は、投資を継続しながら還元も同時に増やしていくことを前提に、適度に借入を増やし、自己資本を大きく増やさないような取り組みを行ってまいります。当連結会計年度においては、BPO拠点の建設費用等を主目的に有利子負債を6,000百万円増加させたことで、有利子負債残高は6,166百万円となり、また、当連結会計年度末の総資産は82,244百万円(前期比10,653百万円増)、自己資本比率は58.8%となっております。
③株主還元、配当政策
当社グループは株主の皆様に対しての利益還元を経営の重要な課題の一つとして位置付けております。配当につきましては、今後の事業計画や事業規模の拡大に向けた資金の充実を勘案しつつ、連結ベースの利益水準及びキャッシュ・フローの状況を踏まえ、第8次中期経営計画における方針として、配当性向は中期経営計画の2年度目までに60%程度に引き上げ、最終年度までに総還元性向70%以上、自己株式の取得を含め3年間で総額約130億円の株主還元を行うこととしております。
第8次中期経営計画では、当社グループが成長し続けるためには、有形・無形の経営資源の将来価値を見極めた上で、より成長を見込める事業分野への資源再配分を迅速に行っていくことが必要と考え、営業活動により獲得したキャッシュ・フローは、重点的に成長投資に充てる方針であります。一方で、資本の効率性を意識した経営の一環として、現在の自己資本及び自己資本比率の水準の見直しなどを行い、ROEを向上させていくことも企業価値向上に向けた長期的な課題、目標として捉えております。
以上の方針に基づき、2026年3月期につきましては、第8次中期経営計画の発表時にお示しした計画通り、1株当たり配当金を前期24円から2円増配し26円(中間13円・期末13円)といたしました。賃上げ促進税制の適用や為替差益等により親会社株主に帰属する当期純利益が当初計画を上回り、1株当たり当期純利益が38.28円から46.97円へ増加したことに伴い配当性向は55.4%となりましたが、自己株式の取得とあわせた総還元性向は80.0%となり、目標水準を超過する水準で着地しております。
2027年3月期につきましては、配当を2円増配し年間28円(中間14円・期末14円)を予定しており、自己株式の取得も含め3年間で約130億円の株主還元を着実に実行してまいります。あわせて、当社グループはクライアント企業の黒子として存在していることもあり、消費財のような商材を提供している企業と比べ知名度が広まりにくい面があり、これが株式市場における認知度にも影響していると認識していることから、個人投資家層への訴求と株式市場における取引活発化を目的に、2027年3月期より株主優待制度を再導入することを決定いたしました。投資対象として魅力ある企業であり続けるため、ROEや配当利回りなどを向上させ、収益はもとより株主還元策を拡大してまいります。

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