有価証券報告書-第29期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が見られ、円安を背景としたインバウンド需要も景気を下支えする状況が続きました。一方で、欧州・中東における地政学的リスクの高まりを受け、原材料価格を含む物価や各種コストの上昇、為替相場の不安定な動向など、先行きに対する不確実性が継続しております。インターネット業界においては、生成AIの活用が進展し、コンテンツ制作や業務効率化を含むデジタルトランスフォーメーション(DX)による新たな価値創出が期待される一方、IT人材不足やレガシーシステム対応といった構造的課題も依然として残っております。
こうした環境のもと、当社グループは動画ソリューション事業において、企業・団体の情報発信ニーズに応えるべく、インターネットライブ配信、オンデマンド動画配信、ならびにこれらに関連するシステム開発・運用受託等のサービス提供を継続してまいりました。AIを活用した機能開発および既存サービスへの組み込みを進めるとともに、主力サービスである「ライブ中継サービス」および「J-Stream Equipmedia」を中心に、顧客の多様なニーズに対応した提案活動を強化いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は13,135百万円となり、前連結会計年度末に比べ49百万円減少いたしました。
このうち流動資産は10,347百万円となり、前連結会計年度末より91百万円減少いたしました。これは主に子会社株式の取得により現金及び預金が減少したことに加え、受取手形、売掛金及び契約資産が減少したことによるものであります。
また、固定資産は2,787百万円となり、前連結会計年度末より41百万円増加いたしました。これは主にソフトウエアが減少したものの、のれん、顧客関連資産、繰延税金資産が増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,939百万円となり、前連結会計年度末より187百万円減少いたしました。これは主にリース債務が増加したものの、未払法人税等、未払消費税等、流動負債その他に含まれる契約負債が減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は11,196百万円となり、前連結会計年度末に比べ138百万円増加いたしました。これは主に剰余金の配当により348百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益485百万円を計上したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の業績は、連結売上高11,997百万円(前年同期比1.7%増)、連結営業利益826百万円(前年同期比9.9%減)、連結経常利益866百万円(前年同期比8.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益485百万円(前年同期比11.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ58百万円減少し、7,773百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と資金の増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,039百万円の収入(前年同期比50.2%減)となりました。これは主に法人税等の支払額が407百万円あったものの、税金等調整前当期純利益863百万円の計上、減価償却費686百万円の計上などの資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、588百万円の支出(前年同期比4.7%減)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出が511百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が58百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、510百万円の支出(前年同期比2.0%増)となりました。これは主に配当金の支払額が347百万円、長期借入金の返済による支出71百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度の受注状況を示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 動画ソリューション事業 | 12,860,043 | 103.2 | 4,149,564 | 105.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 動画ソリューション事業 | 11,997,825 | 101.7 |
(注)金額は販売価格によっております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
当連結会計年度における財政状況の分析につきましては「4 経営者による財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」を参照ください。当期利益の計上により資金は前年に比べ充実しており、積極的な事業展開と投資実施により事業の成長を図ります。
2) 経営成績
(売上高)
販売面においては、戦略市場を医薬業界のEVC(Enterprise Video Communication)領域、医薬以外の金融等各業種のEVC領域、放送・メディアコンテンツ業界を中心としたOTT領域、の3領域に区分して営業活動を展開しました。
EVC領域(医薬)においては、Web講演会用途のライブ配信や、集客広告等の関連業務の受注が継続しているものの、薬価改定や製剤の上市状況の影響により、製薬企業各社のマーケティング活動にはばらつきが見られました。講演会の発注先を複数に分散することで、リスク分散やコスト低減を図るマルチベンダー化の動きが広がっており、Web講演会を大規模に展開する企業における入札環境や単価動向にも影響が生じております。
当社グループでは、生成AIを活用した字幕生成等の映像施策の提案に加え、グループ会社による専門性の高いコンテンツ制作や、データ分析ツール「WebinarAnalytics」と広告施策等を組み合わせた総合提案により取引の維持を図りましたが、当社の大口取引先においては、顧客企業の業績動向等の影響もあり、外資系企業と比較して内資系企業における当社売上の前年比減少幅が大きくなる結果となりました。マルチベンダー化が進展するなか、新規顧客の獲得や中堅顧客の取引規模拡大は堅調に推移したものの、ライブ配信案件における単価下落や取引規模の面で、大口取引先の減少を補うには至らず、当社単体での当該領域の年度累計売上高は前年を下回りました。グループ子会社による売上動向もおおむね同様に推移しました。
EVC領域(医薬以外)においては、企業・団体内部での教育や情報共有を目的とした動画活用が進展しております。
当社グループでは、この領域における動画活用事例の開拓に加え、社内外向けウェブセミナーやオンラインイベント関連の受注獲得に注力いたしました。バーチャル株主総会関連の受注については、特に6月の集中期において、上場廃止企業の増加やリアル開催とのハイブリッド化に伴う運営負担の増加等を背景に、市場全体で実施企業数が減少いたしまし た。一方、その他の用途では、顧客のWebサイト構築や社内チャンネル構築に加え、広告運用に係る大口案件の受注等がありました。これらの結果、オンデマンド配信やWeb制作、システム関連売上は前年並みで推移したものの、前年に比較的大口の受注があったメーカー向け販促イベントライブ配信や、シリーズ型映像制作案件の反動減の影響を受け、当社単体での当該領域の年度累計売上高は前年を若干下回りました。グループ子会社においては、成長性の高い教育系SaaSの売上増やM&Aによる一般企業向け動画配信プラットフォームの売上増があり、売上伸長となりました。
OTT領域においては、放送局やコンテンツ事業者によるコンテンツ配信の規模が拡大傾向にあります。
当社グループでは、放送・メディア業界向けのシステム開発、サイト運用、関連する制作・運用業務、ならびに配信ネットワークの提供に注力いたしました。顧客各社における動画配信サービスの拡大を背景に、システム開発や高度なノウハウを要する運用業務については、引き続き安定した需要が見られました。前年に納品したシステム機器関連の運用案件や、配信システム更新に伴うシステム開発、視聴用アプリケーションの保守業務等が売上増に寄与しました。一方で、放送局や専門チャンネル事業者の一部顧客において、サービス終了やシステム移行が発生したことから、ネットワーク関連売上が減少いたしました。放送局向け売上は、配信データ量の増加や随時発生する追加開発案件への対応により比較的安定して推移したものの、コンテンツ事業者向けの配信システムやCDN提供案件の獲得が計画を下回り、当社単体での当該領域全体の年度累計売上高は前年を下回りました。グループ子会社においては、放送関連事業者向けのSI案件の受注が順調に推移した結果、売上伸長となりました。
これらの結果、前連結会計年度に比べ1.7%増の11,997百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
費用面においては、新卒採用を除いた新規増員を抑制するとともに、経費節減および組織運営の効率化に注力いたしました。EVC領域(医薬)においては、グループ子会社を中心に内製比率の高いコンテンツ制作が好調に推移したことから外注費が減少したほか、サービス開発の一巡および内製化の進展により、業務委託手数料についても削減することができました。一方で、サービス開発の進展に伴うソフトウエアを中心とした減価償却費の増加に加え、クラウドインフラ利用の拡大や円安の影響による外貨建てロイヤリティ支出等については増加がみられました。これらの結果、全体では前年同期を若干上回り、7,319百万円(前年比0.8%増)となりました。売上増加幅が原価の上昇を上回ったことから、売上総利益率は前年比0.5ポイント向上しました。
販売費及び一般管理費については、営業支援に係る活動費用、グループ連携での実施を含むイベント出展やセミナー開催、広告出稿および関連するデジタルマーケティング等の各種販売促進活動に加え、企業買収に伴う手数料、社内業務システムのライセンス費用、ならびにグループ会社のオフィス関連費用等が増加いたしました。販売費及び一般管理費は3,852百万円(前年比6.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の経常利益は866百万円と前連結会計年度に比べ8.9%の減少となりました。税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ9.2%減の863百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ11.9%減の485百万円となりました。
3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
4) 資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、受注から開発納品、顧客からの支払受領までの期間と、外注支払等とのギャップ部分の運転資金に加え、各事業についての一般管理費などがあります。設備資金の需要としては、サーバ等の設備、比較的少額のオフィス等の機器に関する設備資金需要があります。無形固定資産に関連するものでは、サービスソフトウエア関連の開発投資、サービス開発投資に加え、社内のシステムに関する開発投資に関する資金需要があります。この他、企業や事業の買収に関する資金需要があります。
(財務政策)
近年の売上増大に伴う運転資金需要の増加や、ソフトウエア開発等の資金需要は自己資金で賄っております。運転資金につきましてはグループ企業を含め事業拡大に伴い需要が増加しておりますため、借入等短期資金を効率的に確保する手法を検討いたします。M&Aによる人材・開発能力の確保や新規事業開拓等に伴う資金については、2021年3月期におきまして自己株式の処分による調達を実施し、その後の投資環境、実績を鑑み、2023年3月期第4四半期において、その支出時期を2028年3月までと延長いたしました。こうした状況を鑑み、当面不足は発生しないものと判断しております。
5) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおいては、インターネット動画を利用したマーケティング活動や情報発信、情報共有や、各種コンテンツ配信市場は成長基調にあると認識しております。こうした環境下においては、導入顧客の動画利用を促進する知識や情報を提供し、利用実績を積み重ねることで目的達成への効果を実感頂き、取引規模を順次拡大していくことが重要であると判断しております。この方針の達成状況を判断するために重視している指標は、特に継続的売上と利益が期待できる配信系のプラットフォーム売上高や取引先数(サービスによっては同一企業に複数アカウントを発行する場合もあるため、アカウント数)、既存取引先の維持率、また新規の取引先獲得数であります。また、構築した配信基盤を利用して、こうした顧客に適切なサービスを提供して利益を上げられているかの目安として、営業利益率を重要な指標としております。営業利益率については、営業支援に係る活動費用や、企業買収に伴う手数料支払等の影響が大きく、当連結会計年度において6.9%となり、前期比0.9ポイント低下しております。
当社の主力サービスである「J-Stream Equipmedia」については、競合企業対策、顧客への配慮から現時点での契約アカウント数は公開しておりませんが、サービス利用の累計アカウント数を随時公表しております。2025年9月末時点で4,500件を超えており、イベントによるスポット的利用には波があるものの、企業内コミュニケーションのインフラとしての定常利用は着実に獲得が進んでおります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。