有価証券報告書-第47期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日)におけるわが国経済は、日銀の金融緩和政策や政府の経済対策等により、総じて緩やかな景気回復が続きました。海外経済は、米国において着実に景気回復が続いているものの、アジアの一部の景気について弱い動きが見られるなど不確実な状況が続いております。先行きについては、国内は消費税率の引上げによる下期の経済減速が想定され、また、海外についても米国の政策に関する不確実性、中国経済の先行き、通商問題の動向、金融資本市場の変動のリスクに留意する必要があります。
一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会が2018年7月に発表した『第43回経営業務実態調査』によると、2017年度の国内マーケティング・リサーチ市場規模は2,147億円、前年の2,099億円と比較すると2.3%増加はしているものの、その伸び率は前年の7.9%と比較すると鈍化しております。また、調査の内容としては、パネル調査が688億円(前年比1.6%増)、アドホック調査(※1)は1,332億円(前年比3.9%増)となっております。
このような状況の中、当社グループは、第12次中期経営計画の2年目となる当連結会計年度において、引き続き「“Take the Initiative” ~データ活用の領域で先手を取れ~」をグループ基本方針として掲げ、グループの持続的成長や企業価値向上を目指して、次世代サービス開発ならびに積極的な事業投資及びR&D活動を継続して実行しております。
お客様のマーケティングアクションにおいて、多様なデータを駆使したリアルタイムな対応が求められるようになってきております。当社グループは、長年に渡り培ってきたデータハンドリング技術を基盤として、パネルデータを始めとする当社グループの持つ代表性の高いデータの更なる価値向上や、高品質な提供データのラインナップの充実化を図るとともに、外部データの価値化や活用ソリューションの開発を進めるなどのアクションを通じて、変化し続けるお客様のニーズに応える企業でありたいと考えております。
上記方針のもと、各セグメントにおいて既存事業の着実な案件獲得に努めた一方、成長や新たなサービス開発のための各種投資も開始しております。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業においては、当事業セグメントの中核を担う株式会社インテージにおいて、2019年1月にテストデータの提供、2020年以降にサービス開始予定であるSRI(全国小売店パネル調査)の進化版『SRI+』に係る設計及び開発等に注力したほか、シナジーの大きい外部企業との業務提携や協業を通じた新たなサービスや共同研究・検証などを次々と発表いたしました。(※2)
マーケティング支援(ヘルスケア)事業においては、統合によるシナジー効果の発揮あるいは新たな事業分野への投資を目的として、株式会社アンテリオと株式会社アスクレップの経営統合により新会社「株式会社インテージヘルスケア」が2019年4月1日に発足いたしました。また、本年度ヘルスケア事業ではM&Aによるアセットの充実化を図っており、2018年6月には株式会社アンテリオにおいて、医療機器分野における強みと医療経済分析のノウハウを持つジュニコン株式会社を子会社化し、10月に吸収合併したほか、2018年9月には、株式会社アスクレップにおいて、医療に係るプロモーション、エデュケーション、データソリューション、ヘルステックの各事業を展開する株式会社協和企画を子会社化しました。
ビジネスインテリジェンス事業においては、当該セグメントの拡張を目途として2018年3月にシステムの開発及び運用支援等を行う株式会社ビルドシステムを子会社化し、2018年10月には、製造業を中心としたさまざまな業種におけるシステム開発実績を保有し、これらの実績を通して蓄積されたシステム開発力及び生産・購買・販売・会計などの業務ノウハウを強みとしたソフトウェア事業を展開するエヌ・エス・ケイ株式会社を子会社化いたしました。
なお、昨年スタートした働き方改革についても、当社グループの最大の資産である人材の有効活用、付加価値向上、生産性向上を目指した取り組みを加速しております。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高53,986百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益4,268百万円(同6.1%増)、経常利益4,215百万円(同2.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,859百万円(同6.3%減)となりました。
事業分野別の状況は次のとおりであります。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業
マーケティング支援(消費財・サービス)事業の連結業績は、売上高33,815百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益2,211百万円(同2.2%増)となりました。
当事業では、主力事業であるパネル調査が堅調に推移しました。カスタムリサーチにつきましては、WEB調査の売上が前年実績に若干届かなかったものの、WEB調査以外のカスタムリサーチが好調で、特にプロダクト評価を主としたCLT(※3)や日系企業からの海外における調査、株式会社インテージリサーチにおける官公庁案件が売上に寄与しました。また、ここ近年株式会社インテージで取り組んでいる生活者を包括的に理解するためのデータ統合ソリューション開発やマーケティングPDCAの各段階を支援する各種ソリューション開発で成果が出始めております。
一方、急速に伸長するデジタルメディア広告の効果計測に関して、GDPR施行などの環境変化を受けて、新たな計測手法の開発も強化しております。引き続き、国内事業における着実な案件積上げの実施と併せて、新たな調査手法やサービス開発を見据えたR&D活動も実施していく予定です。
海外事業については、中国及びシンガポールが好調であった反面、香港、インドネシア、タイは計画に対し厳しい状況となりました。
利益面については、売上高が微増にとどまったことや前述のSRIのリニューアルに係る設計及び開発の影響を受けております。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業
マーケティング支援(ヘルスケア)事業の連結業績は、売上高13,086百万円(前年同期比18.2%増)、営業利益1,604百万円(同13.6%増)となりました。
当事業では、株式会社アンテリオにおいて医療用医薬品に係るカスタムリサーチ及び一般用医薬品に係るパネル調査が好調に推移しており、売上だけでなく利益にも大きく寄与しました。その中でもプロモーション活動評価や医師に対するライトなWEBアンケートは活況を呈しております。
一方、株式会社アスクレップにおいては、メインの業務であるCRO(医薬品開発業務受託機関)の製造販売後調査に関して、前期末の受注残高が減少していたことを踏まえ、当期においては受注案件の積上げを図るべく安全性管理業務などの案件獲得に尽力しております。また、国や政府での医療費抑制やMID-NET(※4)導入などに見られる能動的なデータ収集の影響やそれらに伴う製薬メーカーの経営方針や開発内容の変化に伴い、同社のCRO事業分野の中長期的な成長に影響が生じることが予想されますが、引き続き外部環境の変化等に対応しRPA(Robotic Process Automation)の導入等業務効率化に伴う人件費の削減により収益性の向上を図ります。
また、前述のとおり新たに吸収合併したジュニコン株式会社、子会社化した株式会社協和企画が売上に貢献しております。
利益面については、株式会社アスクレップの売上減少に加え、医薬品の安全性情報管理や患者会支援サービスなどの新規事業に係る投資費用が増加したものの、株式会社アンテリオの売上増及び利益良化により増益となっております。
ビジネスインテリジェンス事業
ビジネスインテリジェンス事業の連結業績は、売上高7,084百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益452百万円(同1.4%増)となりました。
当事業では、生命保険分野での開発案件及び旅行分野での開発案件並びに運用案件増加に加え、子会社化した株式会社ビルドシステムおよびエヌ・エス・ケイ株式会社の貢献により売上が伸長しました。株式会社インテージテクノスフィアにおいては、製造業における異常検知などAIを使用した業務などの引き合いも増加し、また2018年6月にはNetBase Japan株式会社と連携しSNSのデータを活用したコーポレート・マーケティングや企業全体の事業戦略を支援するソーシャルインテリジェンス事業を共同で立ち上げる検討を開始するなど、新たな取り組みにも着手いたしました。
利益面については、一部不採算案件が発生したものの、売上の堅調な伸びが貢献し増益となりました。
※1 アドホック調査は、当社グループではカスタムリサーチと表現しています
※2 2018年4月10日 インテージ、リサーチ・アンド・イノベーションと資本業務提携 ~商品マスタ等の共同
構築の開始~
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180410.html
2018年5月8日 インテージ、Datorama Japanと業務提携で基本合意 ライブモニタリング領域での業務提携に向けて
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180508.html
2018年5月24日 インテージ、サイカと業務提携 複雑な分析をより簡単に 知識と技術の融合で働き方改革を支援する
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180524.html
2018年5月25日 インテージ、DataSignと生活者起点のパーソナルデータ流通・活用の共同研究・実証を開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180525.html
2018年6月12日 「INTAGE connect」経由でネットリサーチデータの提供開始 ~Post EvaluationからLive Monitoringで働き方改革を支援する~
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180612.html
2018年6月21日 NECとインテージ、食品ロス・廃棄の解決に向け、バリューチェーン全体で需給を最適化するビジネスで協業
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180621.html
2018年6月28日 インテージ、国立情報学研究所と提携し研究用データセットの提供を開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180628_1.html
2018年7月11日 インテージ、エム・データと協働で全国CMマスタを開発、販売
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180711.html
2018年8月22日 CyberBull、インテージ、リサーチ・アンド・イノベーションが連携し売上目標から逆算したWeb動画広告の必要出稿量を可視化する取り組みを開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180822.html
2018年8月29日 ビッグデータの利活用促進に向けて商品情報を一元化した「統合商品マスター」の構築開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180829.html
2018年9月19日 インテージ、マーケティング業務におけるデータ活用と意思決定を支援するアプリケーション「iTree®」を開発
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180919.html
2018年10月9日 インテージ、米DataRobot社とパートナー契約を締結
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20181009.html
2018年10月16日 インテージ、MDパートナーズとキャンペーン施策の実行と効果検証領域で共同取り組みを開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20181016.html
2018年10月18日 インテージ、エム・データと協働で開発した「全国CMマスタ」の販売開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20181018.html
2019年2月8日 デジタルメディアの利用状況をデバイス横断で把握できるサービス「デジタル統合視聴率(ベータ版)」を開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2019/20190208.html
2019年2月15日 「電子タグを用いた情報共有システムの実験」に参画 ~生活者を含むサプライチェーンの連携、分析を通じ、社会課題解決につなげる~
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2019/20190215.html
2019年2月18日 インテージとサイバーリンクス 商品マスター情報の管理運用の効率化と相互利用に向けた連携検討を開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2019/20190218.html
2019年3月14日 マーケターの時間創出、生産性向上のためにチェック業務をスマートに ~ 消費財メーカー向けアプリケーション「iTree®」を提供開始 ~
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2019/20190314.html
※3 CLTはCentral Location Testの略語で、会場に対象者を集めて調査する手法
※4 MID-NET(Medical Information Database Network)は、国の事業で構築されたデータベースシステムで、国内の協力医療機関が保有する電子カルテやレセプト等の電子診療情報をデータベース化して、それらを解析するためのシステム
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は売上原価によっており、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,183百万円増加し、27,822百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が749百万円、現金及び預金が189百万円、仕掛品が116百万円増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,854百万円増加し、17,701百万円となりました。これは、投資有価証券が1,764百万円、のれんが469百万円、繰延税金資産が166百万円増加したことなどによるものです。
この結果、総資産は4,037百万円増加し、45,524百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ2,360百万円増加し、13,962百万円となりました。これは、短期借入金が1,115百万円、買掛金が419百万円、賞与引当金が286百万円、未払法人税等が210百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ118百万円増加し、2,574百万円となりました。これは、長期借入金が107百万円、退職給付に係る負債が107百万円減少したものの、リース債務が127百万円、資産除去債務が96百万円、役員退職慰労引当金が76百万円増加したことなどによるものです。
この結果、負債合計は2,478百万円増加し、16,536百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,558百万円増加し、28,987百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が220百万円、退職給付に係る調整累計額が133百万円減少したものの、利益剰余金が2,030百万円増加したことなどによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動にて4,279百万円獲得し、投資活動にて4,087百万円、財務活動にて58百万円使用した結果、前連結会計年度末に比べ98百万円増加し、11,720百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金収支は4,279百万円と前連結会計期間に比べ1,091百万円の収入増加となりました。これは、売上債権の減少額が増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金収支は△4,087百万円と前連結会計期間に比べ1,672百万円の支出増加となりました。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金収支は△58百万円と前連結会計期間に比べ457百万円の支出増加となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入が減少したことなどによるものです。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、財務体質の健全性・安全性の維持のため、直接金融・間接金融をミックスし、有効な資金調達手段を選択しております。
当社は、機動的かつ安定的な資金調達を図るため、コミットメントライン契約を締結しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日)におけるわが国経済は、日銀の金融緩和政策や政府の経済対策等により、総じて緩やかな景気回復が続きました。海外経済は、米国において着実に景気回復が続いているものの、アジアの一部の景気について弱い動きが見られるなど不確実な状況が続いております。先行きについては、国内は消費税率の引上げによる下期の経済減速が想定され、また、海外についても米国の政策に関する不確実性、中国経済の先行き、通商問題の動向、金融資本市場の変動のリスクに留意する必要があります。
一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会が2018年7月に発表した『第43回経営業務実態調査』によると、2017年度の国内マーケティング・リサーチ市場規模は2,147億円、前年の2,099億円と比較すると2.3%増加はしているものの、その伸び率は前年の7.9%と比較すると鈍化しております。また、調査の内容としては、パネル調査が688億円(前年比1.6%増)、アドホック調査(※1)は1,332億円(前年比3.9%増)となっております。
このような状況の中、当社グループは、第12次中期経営計画の2年目となる当連結会計年度において、引き続き「“Take the Initiative” ~データ活用の領域で先手を取れ~」をグループ基本方針として掲げ、グループの持続的成長や企業価値向上を目指して、次世代サービス開発ならびに積極的な事業投資及びR&D活動を継続して実行しております。
お客様のマーケティングアクションにおいて、多様なデータを駆使したリアルタイムな対応が求められるようになってきております。当社グループは、長年に渡り培ってきたデータハンドリング技術を基盤として、パネルデータを始めとする当社グループの持つ代表性の高いデータの更なる価値向上や、高品質な提供データのラインナップの充実化を図るとともに、外部データの価値化や活用ソリューションの開発を進めるなどのアクションを通じて、変化し続けるお客様のニーズに応える企業でありたいと考えております。
上記方針のもと、各セグメントにおいて既存事業の着実な案件獲得に努めた一方、成長や新たなサービス開発のための各種投資も開始しております。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業においては、当事業セグメントの中核を担う株式会社インテージにおいて、2019年1月にテストデータの提供、2020年以降にサービス開始予定であるSRI(全国小売店パネル調査)の進化版『SRI+』に係る設計及び開発等に注力したほか、シナジーの大きい外部企業との業務提携や協業を通じた新たなサービスや共同研究・検証などを次々と発表いたしました。(※2)
マーケティング支援(ヘルスケア)事業においては、統合によるシナジー効果の発揮あるいは新たな事業分野への投資を目的として、株式会社アンテリオと株式会社アスクレップの経営統合により新会社「株式会社インテージヘルスケア」が2019年4月1日に発足いたしました。また、本年度ヘルスケア事業ではM&Aによるアセットの充実化を図っており、2018年6月には株式会社アンテリオにおいて、医療機器分野における強みと医療経済分析のノウハウを持つジュニコン株式会社を子会社化し、10月に吸収合併したほか、2018年9月には、株式会社アスクレップにおいて、医療に係るプロモーション、エデュケーション、データソリューション、ヘルステックの各事業を展開する株式会社協和企画を子会社化しました。
ビジネスインテリジェンス事業においては、当該セグメントの拡張を目途として2018年3月にシステムの開発及び運用支援等を行う株式会社ビルドシステムを子会社化し、2018年10月には、製造業を中心としたさまざまな業種におけるシステム開発実績を保有し、これらの実績を通して蓄積されたシステム開発力及び生産・購買・販売・会計などの業務ノウハウを強みとしたソフトウェア事業を展開するエヌ・エス・ケイ株式会社を子会社化いたしました。
なお、昨年スタートした働き方改革についても、当社グループの最大の資産である人材の有効活用、付加価値向上、生産性向上を目指した取り組みを加速しております。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高53,986百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益4,268百万円(同6.1%増)、経常利益4,215百万円(同2.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,859百万円(同6.3%減)となりました。
事業分野別の状況は次のとおりであります。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業
マーケティング支援(消費財・サービス)事業の連結業績は、売上高33,815百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益2,211百万円(同2.2%増)となりました。
当事業では、主力事業であるパネル調査が堅調に推移しました。カスタムリサーチにつきましては、WEB調査の売上が前年実績に若干届かなかったものの、WEB調査以外のカスタムリサーチが好調で、特にプロダクト評価を主としたCLT(※3)や日系企業からの海外における調査、株式会社インテージリサーチにおける官公庁案件が売上に寄与しました。また、ここ近年株式会社インテージで取り組んでいる生活者を包括的に理解するためのデータ統合ソリューション開発やマーケティングPDCAの各段階を支援する各種ソリューション開発で成果が出始めております。
一方、急速に伸長するデジタルメディア広告の効果計測に関して、GDPR施行などの環境変化を受けて、新たな計測手法の開発も強化しております。引き続き、国内事業における着実な案件積上げの実施と併せて、新たな調査手法やサービス開発を見据えたR&D活動も実施していく予定です。
海外事業については、中国及びシンガポールが好調であった反面、香港、インドネシア、タイは計画に対し厳しい状況となりました。
利益面については、売上高が微増にとどまったことや前述のSRIのリニューアルに係る設計及び開発の影響を受けております。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業
マーケティング支援(ヘルスケア)事業の連結業績は、売上高13,086百万円(前年同期比18.2%増)、営業利益1,604百万円(同13.6%増)となりました。
当事業では、株式会社アンテリオにおいて医療用医薬品に係るカスタムリサーチ及び一般用医薬品に係るパネル調査が好調に推移しており、売上だけでなく利益にも大きく寄与しました。その中でもプロモーション活動評価や医師に対するライトなWEBアンケートは活況を呈しております。
一方、株式会社アスクレップにおいては、メインの業務であるCRO(医薬品開発業務受託機関)の製造販売後調査に関して、前期末の受注残高が減少していたことを踏まえ、当期においては受注案件の積上げを図るべく安全性管理業務などの案件獲得に尽力しております。また、国や政府での医療費抑制やMID-NET(※4)導入などに見られる能動的なデータ収集の影響やそれらに伴う製薬メーカーの経営方針や開発内容の変化に伴い、同社のCRO事業分野の中長期的な成長に影響が生じることが予想されますが、引き続き外部環境の変化等に対応しRPA(Robotic Process Automation)の導入等業務効率化に伴う人件費の削減により収益性の向上を図ります。
また、前述のとおり新たに吸収合併したジュニコン株式会社、子会社化した株式会社協和企画が売上に貢献しております。
利益面については、株式会社アスクレップの売上減少に加え、医薬品の安全性情報管理や患者会支援サービスなどの新規事業に係る投資費用が増加したものの、株式会社アンテリオの売上増及び利益良化により増益となっております。
ビジネスインテリジェンス事業
ビジネスインテリジェンス事業の連結業績は、売上高7,084百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益452百万円(同1.4%増)となりました。
当事業では、生命保険分野での開発案件及び旅行分野での開発案件並びに運用案件増加に加え、子会社化した株式会社ビルドシステムおよびエヌ・エス・ケイ株式会社の貢献により売上が伸長しました。株式会社インテージテクノスフィアにおいては、製造業における異常検知などAIを使用した業務などの引き合いも増加し、また2018年6月にはNetBase Japan株式会社と連携しSNSのデータを活用したコーポレート・マーケティングや企業全体の事業戦略を支援するソーシャルインテリジェンス事業を共同で立ち上げる検討を開始するなど、新たな取り組みにも着手いたしました。
利益面については、一部不採算案件が発生したものの、売上の堅調な伸びが貢献し増益となりました。
※1 アドホック調査は、当社グループではカスタムリサーチと表現しています
※2 2018年4月10日 インテージ、リサーチ・アンド・イノベーションと資本業務提携 ~商品マスタ等の共同
構築の開始~
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180410.html
2018年5月8日 インテージ、Datorama Japanと業務提携で基本合意 ライブモニタリング領域での業務提携に向けて
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180508.html
2018年5月24日 インテージ、サイカと業務提携 複雑な分析をより簡単に 知識と技術の融合で働き方改革を支援する
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180524.html
2018年5月25日 インテージ、DataSignと生活者起点のパーソナルデータ流通・活用の共同研究・実証を開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180525.html
2018年6月12日 「INTAGE connect」経由でネットリサーチデータの提供開始 ~Post EvaluationからLive Monitoringで働き方改革を支援する~
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180612.html
2018年6月21日 NECとインテージ、食品ロス・廃棄の解決に向け、バリューチェーン全体で需給を最適化するビジネスで協業
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180621.html
2018年6月28日 インテージ、国立情報学研究所と提携し研究用データセットの提供を開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180628_1.html
2018年7月11日 インテージ、エム・データと協働で全国CMマスタを開発、販売
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180711.html
2018年8月22日 CyberBull、インテージ、リサーチ・アンド・イノベーションが連携し売上目標から逆算したWeb動画広告の必要出稿量を可視化する取り組みを開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180822.html
2018年8月29日 ビッグデータの利活用促進に向けて商品情報を一元化した「統合商品マスター」の構築開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180829.html
2018年9月19日 インテージ、マーケティング業務におけるデータ活用と意思決定を支援するアプリケーション「iTree®」を開発
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20180919.html
2018年10月9日 インテージ、米DataRobot社とパートナー契約を締結
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20181009.html
2018年10月16日 インテージ、MDパートナーズとキャンペーン施策の実行と効果検証領域で共同取り組みを開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20181016.html
2018年10月18日 インテージ、エム・データと協働で開発した「全国CMマスタ」の販売開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2018/20181018.html
2019年2月8日 デジタルメディアの利用状況をデバイス横断で把握できるサービス「デジタル統合視聴率(ベータ版)」を開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2019/20190208.html
2019年2月15日 「電子タグを用いた情報共有システムの実験」に参画 ~生活者を含むサプライチェーンの連携、分析を通じ、社会課題解決につなげる~
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2019/20190215.html
2019年2月18日 インテージとサイバーリンクス 商品マスター情報の管理運用の効率化と相互利用に向けた連携検討を開始
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2019/20190218.html
2019年3月14日 マーケターの時間創出、生産性向上のためにチェック業務をスマートに ~ 消費財メーカー向けアプリケーション「iTree®」を提供開始 ~
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2019/20190314.html
※3 CLTはCentral Location Testの略語で、会場に対象者を集めて調査する手法
※4 MID-NET(Medical Information Database Network)は、国の事業で構築されたデータベースシステムで、国内の協力医療機関が保有する電子カルテやレセプト等の電子診療情報をデータベース化して、それらを解析するためのシステム
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
マーケティング支援(消費財・サービス) | 22,907,491 | 100.7 |
マーケティング支援(ヘルスケア) | 9,396,443 | 118.6 |
ビジネスインテリジェンス | 5,587,565 | 110.5 |
合計 | 37,891,500 | 106.0 |
(注) 金額は売上原価によっており、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
マーケティング支援 (消費財・サービス) | 33,519,474 | 99.9 | 11,953,984 | 97.6 |
マーケティング支援 (ヘルスケア) | 12,958,045 | 133.7 | 7,098,828 | 113.3 |
ビジネスインテリジェンス | 6,800,781 | 92.4 | 3,696,601 | 95.3 |
合計 | 53,278,301 | 105.3 | 22,749,414 | 101.6 |
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
マーケティング支援(消費財・サービス) | 33,815,047 | 101.9 |
マーケティング支援(ヘルスケア) | 13,086,763 | 118.2 |
ビジネスインテリジェンス | 7,084,387 | 113.5 |
合計 | 53,986,198 | 106.9 |
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,183百万円増加し、27,822百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が749百万円、現金及び預金が189百万円、仕掛品が116百万円増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,854百万円増加し、17,701百万円となりました。これは、投資有価証券が1,764百万円、のれんが469百万円、繰延税金資産が166百万円増加したことなどによるものです。
この結果、総資産は4,037百万円増加し、45,524百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ2,360百万円増加し、13,962百万円となりました。これは、短期借入金が1,115百万円、買掛金が419百万円、賞与引当金が286百万円、未払法人税等が210百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ118百万円増加し、2,574百万円となりました。これは、長期借入金が107百万円、退職給付に係る負債が107百万円減少したものの、リース債務が127百万円、資産除去債務が96百万円、役員退職慰労引当金が76百万円増加したことなどによるものです。
この結果、負債合計は2,478百万円増加し、16,536百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,558百万円増加し、28,987百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が220百万円、退職給付に係る調整累計額が133百万円減少したものの、利益剰余金が2,030百万円増加したことなどによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動にて4,279百万円獲得し、投資活動にて4,087百万円、財務活動にて58百万円使用した結果、前連結会計年度末に比べ98百万円増加し、11,720百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金収支は4,279百万円と前連結会計期間に比べ1,091百万円の収入増加となりました。これは、売上債権の減少額が増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金収支は△4,087百万円と前連結会計期間に比べ1,672百万円の支出増加となりました。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金収支は△58百万円と前連結会計期間に比べ457百万円の支出増加となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入が減少したことなどによるものです。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、財務体質の健全性・安全性の維持のため、直接金融・間接金融をミックスし、有効な資金調達手段を選択しております。
当社は、機動的かつ安定的な資金調達を図るため、コミットメントライン契約を締結しております。