有価証券報告書-第48期(平成31年4月1日-令和2年6月30日)

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2020/09/29 15:31
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社は決算期変更に伴い、当連結会計年度は15か月間の変則決算となっております。このため、前連結会計年度との比較は記載しておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年6月30日)におけるわが国経済は、緩やかな景気回復が続きましたが、2020年1月に国内で初めて感染が確認された新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化いたしました。緊急事態宣言解除後も依然として先行きの見通せない状況が続いております。当社グループが事業を展開するアジア地域においても各国の経済活動が大幅に縮小しており、大変厳しい状況が続いております。
新型コロナウイルス感染症は当社グループのビジネスにも影響を及ぼし、オフライン調査を中心に調査の中止や縮小を余儀なくされましたが、調査手法のオンライン化など業務の見直しを進めました。一方以前より働き方改革の一環で進めておりました従業員のリモートワークへの移行をより進展させ、在宅による業務の生産性を担保する取り組みによりビジネスを安定的に継続させてまいりました。
このような状況の中、第12次中期経営計画の最終年となる当連結会計年度において、引き続き「“Take the Initiative” ~データ活用の領域で先手を取れ~」をグループ基本方針として掲げ、グループの持続的成長や企業価値向上を目指して、次世代サービス開発ならびに積極的な事業投資及びR&D活動も継続して実行してまいりました。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業においては、当事業セグメントの中核を担う株式会社インテージにおいて、SRI(全国小売店パネル調査)の進化版『SRI+』に関し、2021年のサービス本リリースに向け開発を進めてまいりました。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業においては、2019年4月1日に株式会社アスクレップと株式会社アンテリオを経営統合して発足した「株式会社インテージヘルスケア」をセグメントの中核と位置づけ、セグメントに属する各社が保有するアセットやソリューションを駆使した新たな事業分野拡大を目指しております。
ビジネスインテリジェンス事業においては、長年に渡り培ってきたデータハンドリングノウハウやAI等の新たな技術をベースにお客様の課題解決につながる価値提供の実現を重点課題として事業の展開を図っております。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高66,880百万円、営業利益3,779百万円、経常利益3,739百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,683百万円となりました。
事業分野別の状況は次のとおりであります。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業
マーケティング支援(消費財・サービス)事業の連結業績は、売上高41,435百万円、営業利益1,395百万円となりました。
当事業では、主力事業であるパネル調査が堅調に推移しました。カスタムリサーチにおいても、提案活動の強化により、オンライン調査は好調な水準で推移したものの、オフライン調査では新型コロナウイルス感染症の拡大により、一部の業務中止や実施延期の影響を受けました。影響を最小限にとどめるべく、定性調査のオンライン化等を推進しました。
コミュニケーション分野は、株式会社インテージが独自に開発した技術(Dynamic Panel技術)(※1)を活用した新たなテレビ視聴計測データ(Media Gauge Dynamic Panel)の販売が伸長しました。
海外事業については、第4四半期までは売上が好調に推移したものの、第5四半期(2020年4月1日~同年6月30日)以降は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、中国をはじめとするアジア各国の売上が低調に推移するなど厳しい状況でありました。
利益面については、前述の新型コロナウイルス感染症による売上減少や『SRI+』のリニューアルに係る開発投資増加等の影響を受けております。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業
マーケティング支援(ヘルスケア)事業の連結業績は、売上高16,390百万円、営業利益1,687百万円となりました。
当事業では、株式会社インテージヘルスケアにおいて、医師に対するWEBアンケート調査などの医療用医薬品・医療機器に係るカスタムリサーチや、一般用医薬品に係るパネル調査が堅調に推移する一方で、プロジェクトの小型化及び新型コロナウイルス感染症の影響によるMR活動の自粛などが影響しCRO(医薬品開発業務受託機関)の製造販売後調査の売上が減少しました。
また、昨年度に子会社化した株式会社協和企画におけるプロモーション事業(※2)は、第5四半期以降新型コロナウイルス感染症の影響を受け売上は苦戦したものの、当社グループ内企業との協働案件の受注や新規顧客からの受注があるなど復調の兆しが見られました。
利益面については、CRO事業の売上減少やプロモーション事業の売上不振の影響を受けております。
ビジネスインテリジェンス事業
ビジネスインテリジェンス事業の連結業績は、売上高9,054百万円、営業利益697百万円となりました。
当事業では、株式会社インテージテクノスフィアにおいて、第4四半期までは既存業界向けソリューションが堅調に推移しました。第5四半期は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、旅行業界を中心に売上は減少しました。
一方で、昨年度に子会社化した株式会社ビルドシステムとエヌ・エス・ケイ株式会社の売上は堅調に推移しました。なお、AIソリューションについては、自動車・公共分野等の重点顧客への深耕が図れ次年度の案件獲得を進めています。
利益面については、売上が堅調なことにより、好調に推移しました。
※1 Dynamic Panel技術は、スマートテレビなどの機器ログデータを個人を特定することなく人単位に推計分解する技術です。特許出願中。
※2 プロモーション事業は、医療に関する広告媒体の取扱い、医薬品販売促進資材の制作、医学・薬学に関する学会の運営などを行う事業をいいます。
財政状態の状況は次のとおりであります。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,507百万円減少し、24,315百万円となりました。これは、仕掛品が819百万円増加したものの、受取手形及び売掛金が4,811百万円減少したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ527百万円減少し、17,173百万円となりました。これは、繰延税金資産が180百万円増加したものの、投資有価証券が300百万円、のれんが318百万円減少したことなどによるものです。
この結果、総資産は4,034百万円減少し、41,489百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ3,176百万円減少し、10,785百万円となりました。これは、短期借入金が3,124百万円減少したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ206百万円減少し、2,367百万円となりました。これは、リース債務が135百万円、退職給付に係る負債が58百万円減少したことなどによるものです。
この結果、負債合計は3,383百万円減少し、13,153百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ651百万円減少し、28,335百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が104百万円増加したものの、自己株式が210百万円増加したことに加え、退職給付に係る調整累計額が320百万円、利益剰余金が120百万円減少したことなどによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、売上債権の減少額等による収入額が法人税等の支払額等の支出額を上回ったことにより、7,032百万円の純収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等の支出額が投資有価証券の売却による収入等の収入額を上回ったことにより、1,402百万円の純支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払額等の支出額が、短期借入れによる収入等の収入額を上回ったことにより、5,518百万円の純支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ59百万円増加し、11,779百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)
マーケティング支援(消費財・サービス)29,301,568
マーケティング支援(ヘルスケア)11,533,989
ビジネスインテリジェンス7,136,362
合計47,971,920

(注) 1.金額は売上原価によっており、消費税等は含まれておりません。
2.決算期変更に伴い、当連結会計年度は15か月決算となっておりますので、前期比については記載しておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)受注残高(千円)
マーケティング支援(消費財・サービス)42,924,06713,442,400
マーケティング支援(ヘルスケア)16,392,4068,060,616
ビジネスインテリジェンス9,004,5963,823,261
合計68,321,07025,326,278

(注) 1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.決算期変更に伴い、当連結会計年度は15か月決算となっておりますので、前期比については記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)
マーケティング支援(消費財・サービス)41,435,651
マーケティング支援(ヘルスケア)16,390,965
ビジネスインテリジェンス9,054,319
合計66,880,935

(注) 1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.決算期変更に伴い、当連結会計年度は15か月決算となっておりますので、前期比については記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の分析については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源及び資金の流動性に係る情報ついては、次のとおりであります。
当社グループは、中長期的な成長による持続的かつ安定的な企業価値の向上を目指しており、そのためには健全な経営基盤確立が不可欠だと考えております。それを支える財務戦略の基本方針は、「財務体質の強化を図りつつ、営業キャッシュ・フローを成長のための投資と株主還元にバランス良く配分していくこと」です。
成長投資については、2021年6月期を初年度とする第13次中期経営計画においても、引き続き積極的な事業投資とM&Aの実行は継続していくものとし、「お客様におけるデジタル環境の変化に対応するための投資」「パネルデータなど長年継続的に取得しているインテージグループのデータの価値向上に関する投資」を基本方針とし、経営環境を考慮しながら実施してまいります。
株主還元については経営における重要課題の一つと考えており連結配当性向35%の維持を目標としております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。そのため、当社は取引銀行3行との間に、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。また、当社は将来の緊急事態発生時に備え、2020年5月に相対型コミットメントラインの契約を追加で締結しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りついては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
a.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
なお、当連結会計年度においては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※3 減損損失」に記載の通り、減損損失(560,608千円)を計上しております。
b.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、課税所得の額を合理的に見積ることにより判断しております。
将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。