有価証券報告書-第52期(2023/07/01-2024/06/30)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2023年7月1日から2024年6月30日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、当社グループのお客様を取り巻く環境は注意が必要な状況にあります。
また、当社グループが事業を展開するアジア地域の経済は、回復の動きがみられます。
当社グループは当連結会計年度である2024年6月期を初年度とする第14次中期経営計画(3か年)を策定いたしました。本計画のグループ基本方針を「Data+Technology企業としてのNewPortfolioへ-新たな価値発揮の創出-」としております。人口減少・高齢化社会、そして、デジタル社会の進展を機会ととらえ、社会的ロスをなくし、便利で豊かな社会の実現に向けてマーケティングインテリジェンス(以下MI)、ビジネスインテリジェンス(以下BI)の単体機能提供からMIとBIを融合させたサービスを提供する企業=Data+Technology企業として、新たな価値発揮を創出してまいります。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業においては、国内は既存事業の伸長及び新規事業によるドメインの拡張に加え、CXマーケティングプラットフォーム確立に向けた推進、SCIの刷新、及び株式会社リサーチ・アンド・イノベーションの次世代リサーチの拡販による黒字化を目指しております。海外はGlobalFutureLab(※1)との連携等によるマーケティング及び営業体制の強化、事業基盤確立を推進しております。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業においては、ヘルスケアにおける意思決定パートナーの実現に向けて、リアルワールドデータなどを通じて得られる事実ベースのデータに、医療消費者の意識や行動のデータを加えることで、生活者の理解をより深めてまいります。また、高い専門性(プロフェッショナル)をもつ人材を育成することで、お客様の課題解決に貢献するソリューションを提供してまいります。また、営業体制強化についても継続して推進してまいります。
ビジネスインテリジェンス事業においては、10年先も選ばれ続けるDXパートナーの実現に向けて、これまで培ったデータ解析力やユーザービジネスに対する理解を強みとしたデータの価値創造に取り組んでまいります。また、現在取り組んでいるデータ活用ソリューションを発展させ、業界共通ソリューションを確立・提供することで、顧客のビジネス変革を支援してまいります。
さらに、当社グループの中長期的な成長戦略の一環として、株式会社NTTドコモ(以下ドコモ)との資本業務提携を発表し、2023年10月に公開買付けが成立しております。経営の自主性・独立性を重視した上で、両社の連携を深めていくため、当社グループは上場を維持したままでのドコモの連結子会社となりました。この資本業務提携により、ドコモが有する約1億人(※2)の顧客基盤と豊富な行動データを、当社グループが持つデータ収集から集計・分析・可視化等のデータハンドリング力を通じて、データの価値の最大化に取り組んでまいります。また、両社が持つデータとその価値化を掛け合わせることによるシナジー効果を発揮していくことで、今後の大きな成長を見込むとともに社会課題の解決に貢献してまいります。
2024年2月に早期のシナジー創出を図るため「シナジー戦略部」を発足させ、5つのシナジー(※3)の実現を目指して、双方メンバーが参加する各分科会の設置やセールス連携、データ連携に係る分科会を設置し、相互理解や事業計画の具体化などの検討を進めております。
グループ全体としては、一部顧客の予算引き締めの影響により計画水準を下回るものの、主力パネル調査は堅調に推移しており、消費財メーカーおよびヘルスケアのリサーチ事業で業績の回復が見られました。一方、引き続き取り組んでいる主力事業の業容拡大を見込んだ体制強化に伴う人件費・経費増と領域拡大を目指した投資の増加や、ドコモとの資本業務提携に関連する費用の発生が、当社グループの業績に影響を与えておりますが、これまで通り、安定的な財務基盤に基づく資本政策の強化、グループ間連携のビジネス創出、人的資本を始めとした非財務資本増加のための施策実施、及びサステナビリティの強化等を推進しております。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高63,279百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益3,289百万円(同13.1%減)、経常利益3,543百万円(同13.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,456百万円(同29.9%減)となりました。
事業分野別の状況は次のとおりであります。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業
マーケティング支援(消費財・サービス)事業の連結業績は、売上高41,176百万円(前年同期比2.5%増)、営業利益1,160百万円(同29.4%減)の増収減益となりました。
当事業では、主力事業であるパネル調査は堅調に推移しました。一方でカスタムリサーチは前年同水準で推移したものの、特定のお客様のマーケティング予算引き締めの影響を受け、計画を下回る水準で進捗しました。コミュニケーション分野は前年を下回る水準で推移しました。株式会社インテージリサーチは大型統計調査獲得により売上が伸長しました。海外事業はタイ、シンガポールは好調に推移しました。引き続き販売拡大の為に、各国での着実な案件獲得、及び拠点間連携を推進しております。
投資活動においては、CXマーケティングプラットフォームの確立、及びSCIの刷新に向けて計画通り進捗しました。
利益面については、投資費用の増加、及び売上拡大を見込んだ人員体制強化などにより費用が増加した一方で、売上計画未達によりコスト増を吸収できず減益となっております。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業
マーケティング支援(ヘルスケア)事業の連結業績は、売上高14,336百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益1,698百万円(同5.2%減)の増収減益となりました。
当事業では、株式会社インテージヘルスケアの主力事業であるリサーチ事業において、昨年同期の大型案件の反動減の影響があったものの、医療領域のカスタムリサーチは回復基調にあり前年同水準を上回って推移しました。CRO(医療品開発業務受託機関)につきましては、前年を下回る水準で推移しておりますが、学会への参画やwebページを活用した営業活動などにより新たな案件創出を推進して参ります。
株式会社協和企画においては、新薬上市案件と大型案件の獲得に伴い売上が伸長しました。引き続き利益面の改善を進めて参ります。
利益面については、リサーチ事業の復調や協和企画の増収等がありましたが、CRO事業の売上減少の影響を受けて減益となっております。
ビジネスインテリジェンス事業
ビジネスインテリジェンス事業の連結業績は、売上高7,766百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益431百万円(同23.3%増)の増収増益となりました。
当事業では、株式会社インテージテクノスフィアにおいて、SIやプラットフォームビジネスで新規大型案件の獲得があり、前年を上回る水準で推移しました。また、DX支援領域や健康情報領域も堅調に推移しました。株式会社ビルドシステムについても前年を上回る水準で推移しました。
利益面については、売上の増加により増益となっております。
※1 GlobalFutureLab:海外の事業拡張を目指し、マーケティング及び新サービス開発を推進する組織
※2 2024年3月末時点
※3 5つのシナジー
①日用消費財メーカーに向けたIDベースかつ一気通貫型の生活者中心マーケティング支援
②流通小売におけるバリューチェーントータル支援
③顧客満足度(CS)、従業員満足度(ES)領域における新規事業領域への進出
④耐久消費財メーカー・サービス企業に向けた生活者中心のフルファネルマーケティング支援
⑤ヘルスケア関連産業における社会課題解決力の強化
財政状態の状況は次のとおりであります。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,592百万円増加し、28,005百万円となりました。これは、現金及び預金が575百万円、仕掛品が326百万円減少したものの、売掛金が1,812百万円、契約資産が209百万円増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ665百万円減少し、17,313百万円となりました。これは、退職給付に係る資産が586百万円増加したものの、リース資産が259百万円、繰延税金資産が882百万円減少したことなどによるものです。
この結果、総資産は927百万円増加し、45,318百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ88百万円増加し、11,890百万円となりました。これは、短期借入金が224百万円、未払法人税等が272百万円減少したものの、契約負債が191百万円、その他が372百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ596百万円減少し、988百万円となりました。これは、リース債務が87百万円、退職給付に係る負債が439百万円減少したことなどによるものです。
この結果、負債合計は507百万円減少し、12,878百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,434百万円増加し、32,439百万円となりました。これは、利益剰余金が840百万円、退職給付に係る調整額が447百万円増加したことなどによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費等による収入額が売上債権の増加額、法人税等の支払額等の支出額を上回ったことにより、1,972百万円の純収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出等の支出額が投資有価証券の売却による収入等の収入額を上回ったことにより、705百万円の純支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による支出、長期借入金の返済による支出、配当金の支払額等の支出額が、短期借入れによる収入等の収入額を上回ったことにより、2,159百万円の純支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ596百万円減少し、11,940百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、売上原価によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の分析については、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源及び資金の流動性に係る情報については、次のとおりであります。
当社グループは、中長期的な成長による持続的かつ安定的な企業価値の向上を目指しており、それを支える財務戦略の基本方針は、最適資本構成の下、純利益から生じるキャッシュ・フローを成長投資と株主還元にバランス良く配分していくこととしております。
成長投資については、2024年6月期を初年度とする第14次中期経営計画において、「Data + Technology企業としてのNew Portfolioへ」というグループ基本方針のもと、MIとBIを融合させたサービスを提供する企業として新たな価値発揮を創出するための事業投資やM&A等の実行をしてまいります。
株主還元については、経営における重要課題の一つと考えており、配当については、第14次中期経営計画期間(2024年6月期~2026年6月期)の配当は累進的とし、最終年度の2026年6月期の連結配当性向は50%を目指し、ROE(自己資本利益率)は12%を目標にしております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。また、自己株式の取得につきましても、機動的に対応し、資本効率の向上を図ってまいります。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。そのため、当社は取引銀行3行との間に、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2023年7月1日から2024年6月30日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、当社グループのお客様を取り巻く環境は注意が必要な状況にあります。
また、当社グループが事業を展開するアジア地域の経済は、回復の動きがみられます。
当社グループは当連結会計年度である2024年6月期を初年度とする第14次中期経営計画(3か年)を策定いたしました。本計画のグループ基本方針を「Data+Technology企業としてのNewPortfolioへ-新たな価値発揮の創出-」としております。人口減少・高齢化社会、そして、デジタル社会の進展を機会ととらえ、社会的ロスをなくし、便利で豊かな社会の実現に向けてマーケティングインテリジェンス(以下MI)、ビジネスインテリジェンス(以下BI)の単体機能提供からMIとBIを融合させたサービスを提供する企業=Data+Technology企業として、新たな価値発揮を創出してまいります。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業においては、国内は既存事業の伸長及び新規事業によるドメインの拡張に加え、CXマーケティングプラットフォーム確立に向けた推進、SCIの刷新、及び株式会社リサーチ・アンド・イノベーションの次世代リサーチの拡販による黒字化を目指しております。海外はGlobalFutureLab(※1)との連携等によるマーケティング及び営業体制の強化、事業基盤確立を推進しております。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業においては、ヘルスケアにおける意思決定パートナーの実現に向けて、リアルワールドデータなどを通じて得られる事実ベースのデータに、医療消費者の意識や行動のデータを加えることで、生活者の理解をより深めてまいります。また、高い専門性(プロフェッショナル)をもつ人材を育成することで、お客様の課題解決に貢献するソリューションを提供してまいります。また、営業体制強化についても継続して推進してまいります。
ビジネスインテリジェンス事業においては、10年先も選ばれ続けるDXパートナーの実現に向けて、これまで培ったデータ解析力やユーザービジネスに対する理解を強みとしたデータの価値創造に取り組んでまいります。また、現在取り組んでいるデータ活用ソリューションを発展させ、業界共通ソリューションを確立・提供することで、顧客のビジネス変革を支援してまいります。
さらに、当社グループの中長期的な成長戦略の一環として、株式会社NTTドコモ(以下ドコモ)との資本業務提携を発表し、2023年10月に公開買付けが成立しております。経営の自主性・独立性を重視した上で、両社の連携を深めていくため、当社グループは上場を維持したままでのドコモの連結子会社となりました。この資本業務提携により、ドコモが有する約1億人(※2)の顧客基盤と豊富な行動データを、当社グループが持つデータ収集から集計・分析・可視化等のデータハンドリング力を通じて、データの価値の最大化に取り組んでまいります。また、両社が持つデータとその価値化を掛け合わせることによるシナジー効果を発揮していくことで、今後の大きな成長を見込むとともに社会課題の解決に貢献してまいります。
2024年2月に早期のシナジー創出を図るため「シナジー戦略部」を発足させ、5つのシナジー(※3)の実現を目指して、双方メンバーが参加する各分科会の設置やセールス連携、データ連携に係る分科会を設置し、相互理解や事業計画の具体化などの検討を進めております。
グループ全体としては、一部顧客の予算引き締めの影響により計画水準を下回るものの、主力パネル調査は堅調に推移しており、消費財メーカーおよびヘルスケアのリサーチ事業で業績の回復が見られました。一方、引き続き取り組んでいる主力事業の業容拡大を見込んだ体制強化に伴う人件費・経費増と領域拡大を目指した投資の増加や、ドコモとの資本業務提携に関連する費用の発生が、当社グループの業績に影響を与えておりますが、これまで通り、安定的な財務基盤に基づく資本政策の強化、グループ間連携のビジネス創出、人的資本を始めとした非財務資本増加のための施策実施、及びサステナビリティの強化等を推進しております。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高63,279百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益3,289百万円(同13.1%減)、経常利益3,543百万円(同13.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,456百万円(同29.9%減)となりました。
事業分野別の状況は次のとおりであります。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業
マーケティング支援(消費財・サービス)事業の連結業績は、売上高41,176百万円(前年同期比2.5%増)、営業利益1,160百万円(同29.4%減)の増収減益となりました。
当事業では、主力事業であるパネル調査は堅調に推移しました。一方でカスタムリサーチは前年同水準で推移したものの、特定のお客様のマーケティング予算引き締めの影響を受け、計画を下回る水準で進捗しました。コミュニケーション分野は前年を下回る水準で推移しました。株式会社インテージリサーチは大型統計調査獲得により売上が伸長しました。海外事業はタイ、シンガポールは好調に推移しました。引き続き販売拡大の為に、各国での着実な案件獲得、及び拠点間連携を推進しております。
投資活動においては、CXマーケティングプラットフォームの確立、及びSCIの刷新に向けて計画通り進捗しました。
利益面については、投資費用の増加、及び売上拡大を見込んだ人員体制強化などにより費用が増加した一方で、売上計画未達によりコスト増を吸収できず減益となっております。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業
マーケティング支援(ヘルスケア)事業の連結業績は、売上高14,336百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益1,698百万円(同5.2%減)の増収減益となりました。
当事業では、株式会社インテージヘルスケアの主力事業であるリサーチ事業において、昨年同期の大型案件の反動減の影響があったものの、医療領域のカスタムリサーチは回復基調にあり前年同水準を上回って推移しました。CRO(医療品開発業務受託機関)につきましては、前年を下回る水準で推移しておりますが、学会への参画やwebページを活用した営業活動などにより新たな案件創出を推進して参ります。
株式会社協和企画においては、新薬上市案件と大型案件の獲得に伴い売上が伸長しました。引き続き利益面の改善を進めて参ります。
利益面については、リサーチ事業の復調や協和企画の増収等がありましたが、CRO事業の売上減少の影響を受けて減益となっております。
ビジネスインテリジェンス事業
ビジネスインテリジェンス事業の連結業績は、売上高7,766百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益431百万円(同23.3%増)の増収増益となりました。
当事業では、株式会社インテージテクノスフィアにおいて、SIやプラットフォームビジネスで新規大型案件の獲得があり、前年を上回る水準で推移しました。また、DX支援領域や健康情報領域も堅調に推移しました。株式会社ビルドシステムについても前年を上回る水準で推移しました。
利益面については、売上の増加により増益となっております。
※1 GlobalFutureLab:海外の事業拡張を目指し、マーケティング及び新サービス開発を推進する組織
※2 2024年3月末時点
※3 5つのシナジー
①日用消費財メーカーに向けたIDベースかつ一気通貫型の生活者中心マーケティング支援
②流通小売におけるバリューチェーントータル支援
③顧客満足度(CS)、従業員満足度(ES)領域における新規事業領域への進出
④耐久消費財メーカー・サービス企業に向けた生活者中心のフルファネルマーケティング支援
⑤ヘルスケア関連産業における社会課題解決力の強化
財政状態の状況は次のとおりであります。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,592百万円増加し、28,005百万円となりました。これは、現金及び預金が575百万円、仕掛品が326百万円減少したものの、売掛金が1,812百万円、契約資産が209百万円増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ665百万円減少し、17,313百万円となりました。これは、退職給付に係る資産が586百万円増加したものの、リース資産が259百万円、繰延税金資産が882百万円減少したことなどによるものです。
この結果、総資産は927百万円増加し、45,318百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ88百万円増加し、11,890百万円となりました。これは、短期借入金が224百万円、未払法人税等が272百万円減少したものの、契約負債が191百万円、その他が372百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ596百万円減少し、988百万円となりました。これは、リース債務が87百万円、退職給付に係る負債が439百万円減少したことなどによるものです。
この結果、負債合計は507百万円減少し、12,878百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,434百万円増加し、32,439百万円となりました。これは、利益剰余金が840百万円、退職給付に係る調整額が447百万円増加したことなどによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費等による収入額が売上債権の増加額、法人税等の支払額等の支出額を上回ったことにより、1,972百万円の純収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出等の支出額が投資有価証券の売却による収入等の収入額を上回ったことにより、705百万円の純支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による支出、長期借入金の返済による支出、配当金の支払額等の支出額が、短期借入れによる収入等の収入額を上回ったことにより、2,159百万円の純支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ596百万円減少し、11,940百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
マーケティング支援(消費財・サービス) | 25,464,137 | 1.8 |
マーケティング支援(ヘルスケア) | 9,646,790 | 2.2 |
ビジネスインテリジェンス | 6,168,955 | 9.6 |
合計 | 41,279,883 | 3.0 |
(注) 金額は、売上原価によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
マーケティング支援 (消費財・サービス) | 42,153,559 | 4.1 | 16,340,655 | 6.4 |
マーケティング支援 (ヘルスケア) | 15,063,408 | 5.5 | 7,717,271 | 10.4 |
ビジネスインテリジェンス | 7,516,514 | △ 1.0 | 3,800,087 | △ 6.2 |
合計 | 64,733,482 | 3.8 | 27,858,013 | 5.5 |
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
マーケティング支援(消費財・サービス) | 41,176,814 | 2.5 |
マーケティング支援(ヘルスケア) | 14,336,393 | 1.3 |
ビジネスインテリジェンス | 7,766,010 | 9.7 |
合計 | 63,279,218 | 3.1 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の分析については、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源及び資金の流動性に係る情報については、次のとおりであります。
当社グループは、中長期的な成長による持続的かつ安定的な企業価値の向上を目指しており、それを支える財務戦略の基本方針は、最適資本構成の下、純利益から生じるキャッシュ・フローを成長投資と株主還元にバランス良く配分していくこととしております。
成長投資については、2024年6月期を初年度とする第14次中期経営計画において、「Data + Technology企業としてのNew Portfolioへ」というグループ基本方針のもと、MIとBIを融合させたサービスを提供する企業として新たな価値発揮を創出するための事業投資やM&A等の実行をしてまいります。
株主還元については、経営における重要課題の一つと考えており、配当については、第14次中期経営計画期間(2024年6月期~2026年6月期)の配当は累進的とし、最終年度の2026年6月期の連結配当性向は50%を目指し、ROE(自己資本利益率)は12%を目標にしております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。また、自己株式の取得につきましても、機動的に対応し、資本効率の向上を図ってまいります。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。そのため、当社は取引銀行3行との間に、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。