有価証券報告書-第41期(平成30年6月1日-令和1年5月31日)

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2019/08/22 14:11
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当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、政府による各種経済対策及び日本銀行による大規模な金融緩和策を背景に、企業収益の改善や個人消費が底堅く推移するなど緩やかに回復を続けてまいりました。一方で、米中間の貿易摩擦問題や中国及び新興国の経済成長の鈍化等により、依然として先行き不透明な状況となっております。
その状況の中、当社グループの主要顧客層である大学生マーケットにおきましては、2018年春の大学入学者数は62.8万人、大学生総数290.9万人(文部科学省「学校基本調査」による)といずれも過去最高水準を維持しております。引き続き、少子化時代にあっても安定的に推移する大学生市場においては、さまざまなサービス分野において学生の多様化するライフスタイルとニーズに応える低廉で高品質なサービスが求められていると言えます。
このような市場環境の中で当社グループは、2018年5月期を初年度とする『中期経営計画(2018年5月期~2020年5月期)』を策定し、2020年5月期に経常利益20億円を達成することを目標に掲げ、不動産デベロップメント部門、不動産マネジメント部門及びエネルギーマネジメント部門の3部門からなる「不動産ソリューション事業」と課外活動ソリューション部門と人材ソリューション部門の2部門からなる「学生生活ソリューション事業」の2事業(セグメント)計5部門で事業展開を図っております。
主力事業である不動産ソリューション事業においては、景気動向の影響を比較的受けにくい不動産マネジメント部門は、ますます高まる学生の安心・快適な住居ニーズに支えられ順調に推移し、不動産デベロップメント部門においても、計画どおり販売用不動産の売却が進みました。
その結果、当連結会計年度の売上高は17,411,644千円(前年同期比3.6%増)、営業利益は2,033,513千円(同15.0%増)、経常利益は1,925,003千円(同14.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,250,011千円(同14.9%増)となりました。
① 売上高
当連結会計年度の売上高は17,411,644千円(前年同期比3.6%増)となりました。
セグメント別の業績を示すと次のとおりであります。
(不動産ソリューション事業)
首都圏における学生賃貸住宅市場は、首都圏進学志向と女子大生比率の高まり、セキュリティ意識の浸透などにより、より安全性・快適性が求められており、学生向け賃貸住宅の需要は今後もますます高まるものと予想されます。
不動産デベロップメント部門におきましては、この需要の高さを背景に金融機関等との連携によるコンサルティング営業を強化し、個人オーナーのみならず、企業に対してもCRE戦略に応える事業プランを積極的に提案、物件開発に努めました。特に、食事付き寮タイプの学生向け賃貸住宅は、留学生確保を進める大学寮のニーズと相まって需要が高く開発を積極的に進めております。また、当社が不動産を仕入れ学生向け賃貸住宅を建設し、法人又は個人投資家等へ販売した後にサブリースで運営を受託する独自開発にも注力してまいりました。
その結果、自社保有物件(販売用不動産及び固定資産)においては、7件の開発及び2件の売却を行い、管理戸数は17棟1,048戸となりました。サブリース(転貸を目的とした当社による一括借上)物件においては、3件の開発を行い、上記の売却した2件及び1件の解約を含め、管理戸数は177棟7,827戸となりました。管理受託を含めた総管理戸数は203棟9,520戸(前期末比5.6%増)となりました。
一方、賃貸・管理業務を行う不動産マネジメント部門におきましては、インターネット情報提供の充実、大学との連携強化等により体制強化を継続し、安定した入居者確保を図りました。なお、サブリース物件及び自社保有物件につきましては、14年連続で4月入居率100.0%を達成しております。
その結果、不動産ソリューション事業の売上高は12,843,003千円(前年同期比3.9%増)となりました。また、部門別売上高は、不動産デベロップメント部門は1,777,674千円(同16.9%減)、不動産マネジメント部門は10,702,257千円(同8.4%増)、エネルギーマネジメント部門は363,071千円(同3.7%増)となりました。
なお、不動産デベロップメント部門における売上高の減少は、売却した販売用不動産の規模が前年同期に売却したものに比べ小さかったことによるものであります。
(学生生活ソリューション事業)
学生等を中心顧客とし、合宿・研修関連を主な事業とする課外活動ソリューション部門は、大学別・種目別マーケティングの推進により、新規顧客の開拓、リピーター化の促進に取り組み、当社グループの学生顧客ネットワークを活かした収益基盤の強化に努めてまいりました。
一方、学生生活の「出口」となる就職分野を担う人材ソリューション部門は、連結子会社の株式会社ワークス・ジャパンが提供する、中核商品である企業人事部向け「若年層人材ソリューション」コンサルティング等のサービス提供が、企業の旺盛な新卒採用活動に支えられ売上高は順調に推移いたしました。
その結果、学生生活ソリューション事業の売上高は4,568,640千円(前年同期比2.8%増)となりました。また、部門別売上高は、課外活動ソリューション部門は1,935,916千円(同3.3%減)、人材ソリューション部門は2,632,724千円(同7.7%増)となりました。
② 営業利益
当連結会計年度の不動産ソリューション事業の売上総利益は3,492,468千円(前年同期比10.3%増)、セグメント利益(営業利益)は2,256,149千円(同11.6%増)となりました。また、学生生活ソリューション事業の売上総利益は2,267,182千円(同4.4%増)、セグメント利益(営業利益)は557,708千円(同9.6%増)となりました。
その結果、各セグメントに配分していない全社費用780,344千円(同2.4%増)を調整し、全社の当連結会計年度の営業利益は2,033,513千円(同15.0%増)となりました。
③ 経常利益
当連結会計年度の営業外損益はマイナス108,509千円(前年同期はマイナス89,554千円)となり、その結果、当連結会計年度の経常利益は1,925,003千円(前年同期比14.6%増)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別損失に固定資産除却損667千円、法人税等に649,306千円及び非支配株主に帰属する当期純利益25,018千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1,250,011千円(前年同期比14.9%増)となりました。
その結果、1株当たり当期純利益は69円44銭となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度の資産合計は25,693,043千円となり前連結会計年度に比べ2,641,112千円増加いたしました。この増加の主な要因は、現金及び預金が289,447千円の増加、受取手形及び売掛金が58,341千円の増加、販売用不動産が2,820,616千円の増加、差入保証金が27,716千円の増加、流動資産その他が396,784千円の減少、機械装置及び運搬具が113,830千円の減少及びリース資産(純額)が53,623千円減少したことによるものであります。
負債合計は16,836,460千円となり前連結会計年度に比べ1,755,390千円増加いたしました。この増加の主な要因は、未払法人税等が181,656千円の増加、流動負債その他が219,883千円の増加、長期借入金(1年内返済予定分を含む)が1,878,561千円の増加、長期預り敷金が62,494千円の増加、短期借入金が96,000千円の減少、社債(1年内償還予定分を含む)が432,400千円の減少及びリース債務(1年内返済予定分を含む)が70,547千円減少したことによるものであります。
また、純資産合計は8,856,582千円となり前連結会計年度に比べ885,721千円増加いたしました。この増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,250,011千円、前期の剰余金処分による配当金251,998千円、中間配当金143,999千円、その他有価証券評価差額金6,690千円及び非支配株主持分25,018千円を計上したことによるものであります。
その結果、1株当たり純資産額は485円81銭となり前連結会計年度に比べ47円82銭増加いたしました。また、自己資本比率は前連結会計年度の34.2%から34.0%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ309,447千円増加し6,387,390千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は376,391千円(前年同期は使用した資金は911,971千円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,924,335千円、非資金項目である減価償却費537,522千円、たな卸資産の増加による支出1,687,779千円、その他の資産の増加による支出665,444千円、未払消費税等の減少による支出264,179千円、法人税等の支払による支出493,075千円及びその他の負債の増加による収入308,070千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は199,675千円(前年同期は使用した資金は143,795千円)となりました。これは有形固定資産の取得による支出74,553千円、無形固定資産の取得による支出161,366千円、担保預金の減少による収入20,000千円及び貸付金の回収による収入16,244千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は885,514千円(前年同期は得られた資金は2,893,407千円)となりました。これは長期借入金の純増額による収入1,878,561千円、短期借入金の純減額による支出96,000千円、社債の償還による支出432,400千円、リース債務の返済による支出70,547千円及び配当金の支払による支出394,099千円によるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
該当事項はありません。
② 受注実績
該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称(部門)販売高(千円)前年同期比(%)
不動産ソリューション事業(不動産デベロップメント部門)1,777,674△16.9
(不動産マネジメント部門)10,702,2578.4
(エネルギーマネジメント部門)363,0713.7
小計12,843,0033.9
学生生活ソリューション事業(課外活動ソリューション部門)1,935,916△3.3
(人材ソリューション部門)2,632,7247.7
小計4,568,6402.8
合計17,411,6443.6

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択及び適用を行い、決算日における資産、負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。
経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、主力事業である不動産ソリューション事業において、販売用不動産の売却が計画どおりに進み、また、管理戸数が順調に増加し入居者を安定して確保できたことにより、前年同期並びに中期経営計画の第2年度計画を上回り過去最高益を更新いたしました。中期経営計画の最終年度である2020年5月期計画も当初計画を上回る計画となっており、3ヶ年の中期経営計画は無事達成できる見込みであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性について
当社は、不動産ソリューション事業における学生向け賃貸住宅開発において、建設用地としての土地の取得及び学生向け賃貸住宅の建設を行っており、資金については主に金融機関からの借入により調達しております。そのため、2017年12月26日付で株式会社みずほ銀行をアレンジャーとする総額100億円のタームアウトオプション付コミットメントライン契約を締結しており、安定的かつ長期的な資金が確保できているため、当面の間は経済・金融情勢にとらわれない形で、自社開発物件の開発が可能となっております。
また、手元流動性資金(現預金残高)も一定額を保持する方針でありますので、資金の流動性は十分に確保できていると考えております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。また、現時点において、将来にわたって事業活動の継続に支障をきたすような事象や状況は生じておりませんが、引き続き、リスク管理委員会や事業現場等との連携を強化し、それらの状況等が発生しうる可能性がある場合には、即座に対応できる体制を整えてまいります。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。
今後につきましても、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 会社の対処すべき課題」に記載した対処すべき課題を認識しつつ、第一には不動産ソリューション事業を成長の中軸として、引き続き経営資源の集中投資を行います。第二には学生生活ソリューション事業においては、学生が充実した学生生活を過ごすためのさまざまなサービスを提供する課外活動ソリューション部門と、新卒採用支援を行う人材ソリューション部門を連携させ、就職率向上を目指す大学までも含めた新卒採用の課題解決をはかる学生生活ソリューションビジネスへと発展させてまいります。また、現在の中期経営計画が最終年度となり、順調に推移することが見込まれることを踏まえ、次期中期経営計画(2021年5月期~2023年5月期)の策定に取り組んでまいりたいと思います。