有価証券報告書-第53期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/25 14:46
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における売上高は32,524百万円と前連結会計年度に比べて111百万円(0.3%)の増加となっております。
営業利益は2,653百万円と前連結会計年度に比べて331百万円(11.1%)の減少、経常利益は5,833百万円と前連結会計年度に比べて617百万円(9.6%)の減少となり、親会社株主に帰属する当期純利益は固定資産除売却損446百万円、減損損失11百万円を計上したこと等から、4,566百万円と前連結会計年度に比べて358百万円(7.3%)の減少となりました。
当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。
(a) CRO事業
売上高は31,277百万円と前連結会計年度に比べて317百万円(1.0%)の減少となり、営業利益は、6,909百万円と前連結会計年度に比べて348百万円(4.8%)の減少となりました。
(b) トランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)
売上高は108百万円と前連結会計年度に比べて54百万円(99.8%)の増加となり、営業損失は4,028百万円(前連結会計年度:営業損失3,680百万円)となりました。
(c) メディポリス事業
売上高は804百万円と前連結会計年度に比べて239百万円(42.4%)の増加となり、営業損失は65百万円(前連結会計年度:営業損失422百万円)となりました。
(d) 米国不動産事業
売上高は184百万円と前連結会計年度に比べて138百万円(301.0%)の増加となり、営業損失は1百万円(前連結会計年度:営業損失60百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて6,527百万円(55.1%)増加して、18,371百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は8,327百万円と前連結会計年度に比べて1,291百万円(18.4%)の増加となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益6,247百万円、減価償却費3,318百万円、持分法による投資利益2,780百万円、売上債権の増加額596百万円、棚卸資産の増加額2,408百万円、前受金の増加額3,764百万円、利息及び配当金の受取額2,447百万円及び法人税等の支払額2,175百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6,790百万円と前連結会計年度に比べて4,900百万円(41.9%)支出が減少となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出5,173百万円及び投資有価証券の取得による支出1,521百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は4,514百万円と前連結会計年度に比べて1,399百万円(23.7%)の減少となりました。
主な内訳は、短期借入金の純増加額が6,200百万円、長期借入れによる収入が10,000百万円あったことに対し、長期借入金の返済による支出9,457百万円を行ったこと及び配当金の支払を2,083百万円行ったためであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
CRO事業31,099,31782.9
トランスレーショナルリサーチ事業105,514194.8
メディポリス事業717,061152.4
米国不動産事業184,402401.0
報告セグメント 計32,106,29584.3
その他事業1,010,73076.7
合計33,117,02584.1

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)
CRO事業35,539,368111.640,967,202118.9
トランスレーショナル
リサーチ事業
96,334152.1--
メディポリス事業717,061152.4--
米国不動産事業184,402401.0--
報告セグメント 計36,537,167112.740,967,202118.8
その他事業117,95017.41,020,57883.9
合計36,655,117110.741,987,781117.6

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
CRO事業31,204,87299.0
トランスレーショナルリサーチ事業105,514194.8
メディポリス事業717,061152.4
米国不動産事業184,402401.0
報告セグメント 計32,211,850100.4
その他事業313,10995.2
合計32,524,960100.3

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
(a) 概要
医薬品業界は、研究開発のスピード向上やコスト効率化、規制対応の簡素化を背景に、CRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)へのアウトソーシング需要が国内外で引き続き拡大しております。加えて核酸医薬、次世代抗体医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、細胞治療、再生医療などの新規創薬モダリティ(治療手段)の研究開発が本格化しております。このような事業環境のもと、当社は新規創薬モダリティの研究開発支援に強みを持つ“オンリーワンのダントツCRO”として、顧客から第一に選ばれる存在を目指し、迅速かつ高品質なサービス提供体制の強化に取り組んでおります。
(b) CRO事業
CRO事業は、細胞・実験動物等を用いる非臨床試験(または前臨床試験)を受託する非臨床事業と、臨床試験を受託する臨床事業から構成されます。当社の非臨床事業は、業界では国内最大手であり、NHPを用いた数多くの試験実績から世界的に第2グループの一角と認識されています。2026年3月期の非臨床事業は、減収・減益となったものの、中長期的な観点からは順調に推移したと認識しており、当社がこれまで実施してきた以下の取組みが成果を表してきております。
・CROとして世界で唯一構築できている「自社グループ内におけるNHP繁殖・供給体制」が新たな創薬モダリティの研究開発の本格化等により重要性を増しています。加えて海外でのNHPの入手困難な環境が当社にプラスに働き受注に繋がっています。また、2023年3月期より本格的に国内でのNHP繁殖体制を強化し、輸入リスクの軽減と品質向上を目指しております。2026年3月期には計画通り繁殖施設を増築し、既に稼働しています。これらの取組みは、特に欧米顧客から高い評価を受けております。
・生体試料中の医薬品等開発候補品(被験物質)やバイオマーカーの濃度分析をバイオアナリシスと呼びます。当社は新たな創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な最新鋭装置を多数導入し、被験物質測定系やバイオマーカー評価系を早い時期から構築してきたことが、上記「自社グループ内におけるNHP繁殖・供給体制」構築と相乗効果を発揮し、バイオアナリシスの受注増に繋がっております。成長余地の高い領域と認識しており、2027年3月期も新たに4台のLC-MS/MSを導入予定で、海外からの受注増に対応できる体制を強化しております。
・これらの取組みを高く評価いただいた複数の製薬企業とプリファード契約(予め選定したCROに優先的に委託する契約)を締結し、受注増に繋がっております。2026年3月期は新たに国内大手製薬企業1社とプリファード契約を締結しており、これにより合計4社の国内製薬企業とプリファード契約を実現しております。また、2024年11月に安全性研究所に海外顧客専任チーム(Global Study Team: GST)を新たに組成するなど、欧米からの受託を目指す営業活動を強化したことが奏功し、2026年3月期はグローバルメガファーマ1社からプリファードベンダー認定を取得しています。
・国内大手製薬企業との創薬段階における包括的研究受託契約も顧客数が順調に推移しており、複数の企業から創薬初期段階からの開発研究を受注しております。
・2022年12月から鹿児島本社で建設を進めてきた新社屋研究棟(地上8階建・2棟)は2024年9月から本格運用を開始しました。ここには、動物試験を補完する形で利用が進んでいくと予測されるMPS(Microphysiological Systems: 生体模倣システム)専用実験室を設置し、2025年4月に国内CROとして初めてとなる受託サービスを開始し、当第2四半期に2試験の受託契約に結びついております。国内・海外の製薬企業からの関心は高く、複数の問い合わせが継続しております。
・2026年2月には、戦略的取組みの成果が出てきた欧米顧客からの受注取り込みを更に強化するため、欧米顧客からの要望の高いEU規格の大型飼育ケージに特化したNHP実験施設「EU実験棟」の新設を発表しました。地上4階建て総額約100億円の投資となり、当社の長年のNHP試験の経験から得たノウハウを豊富に取り入れ、新型MRI(3テスラ)やCT装置なども備えた、世界最高水準の施設になると自負しており、2027年11月の完成を目指して準備を進めてまいります。
・実験終了から最終報告書草案提出までの期間短縮を企図して、AIを用いた最終報告書自動作成に取り組んでおります。2026年3月期はPoCを実施し満足いく結果が得られています。2026年5月より本実装へ向けた開発に着手し、2027年3月までには本仕組みを実装し新たな時間価値を顧客に提供する予定です。
上記取組みの結果、2026年3月期の非臨床事業の受注高は、35,728百万円と過去最高となり、前年度比3,620百万円(11.3%)の増加となりました。受注増加の主要因は、戦略的に取組みを強化している欧米顧客からの受注増加であり、欧米顧客からの受注高は前年度比35.2%増の13,225百万円と大きく伸長しています。海外受注高は前年度比25.7%増の15,505百万円、総受注高に占める海外受注高比率は43.4%(前年度は38.4%)となりました。年度末(2026年3月末)の受注残高は前年度末比6,526百万円(19.0%)増の40,920百万円と過去最高水準となっています。
臨床事業は、米国に本拠を置くグローバル臨床CROのPPD,Inc.(以下、PPD社)との合弁会社である(株)新日本科学PPD(以下、新日本科学PPD)において、主に国際共同治験(Global Study)の受託事業を展開しており、2025年4月に設立10年を迎えました。PPD社は、2021年12月に世界的大手医療機器企業のThermo Fisher Scientific Inc.グループの傘下に加わることにより、受注シナジーを高めることを目指しております。新日本科学PPDは、PPD社が受託した国際共同治験における日本エリアの実施を主力事業としており、グローバル企業でありながら、当社がこれまで長年培ってきた経営・教育ノウハウを取り入れ、安定した定着率の高い職場環境を整えることで、ハイレベルな受注残高を背景に、設立以来高い成長率を実現してきております。新日本科学PPDの2025年度の業績は、売上高が前年度比6.0%減の20,593百万円、営業利益が同14.1%減の9,120百万円となりました。営業利益の減益は、前年度よりも為替が円高に推移したことや、前年度の受注が少なかった影響で新規開始試験からの売上が低調だったこと、主要顧客からの受注形態変更の影響などが要因ですが、営業利益率は44.3%と依然40%を上回る高い水準となっています。また、2025年度の受注は前年度を大きく上回っております。新日本科学PPDからの2026年3月期の「持分法による投資利益」は、2,769百万円(前期:3,272百万円)となっております。
CRO事業の2026年3月期の売上高は、2026年3月期中の売上計上を見込んでいた複数の大型試験の完了が次年度にずれたことから31,277百万円と前年度比317百万円(1.0%)の減収となりました。同事業の営業利益は6,909百万円と前年度に比べ348百万円(4.8%)減益、売上高営業利益率は22.1%になっております。
(c) トランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)
トランスレーショナルリサーチ事業(TR:Translational Research、以下、TR事業)とは、自社研究開発のほか、国内外の大学、バイオベンチャー、研究機関などにおいて基礎研究から生まれる有望なシーズや新技術を発掘し、付加価値を高めて事業化又は株式上場、あるいはM&Aにつなげる研究開発型の事業です。
1997年以来、TR事業の主軸として探求してきた当社独自開発の経鼻製剤投与基盤技術(SMART:Simple MucoAdhesive Release Technology、以下、SMART)は、担体組成をベースとした、粉体製剤技術と投与デバイス(医療機器)を組み合わせたプラットフォーム技術です。鼻粘膜での薬物滞留を向上させることで薬剤の速やかで高い吸収を可能にしており、加えて注射に比べて投与が簡易であり、製剤の室温保存も可能という強みがあります。
経鼻製剤投与の事業化は、Satsuma社が2025年4月30日(米国時間)にFDAから経鼻片頭痛薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)の販売承認を取得しております。Satsuma社は承認取得後、販売パートナー候補企業とのパートナリング契約交渉を継続しています。STS101の臨床試験結果は、2025年6月に米国頭痛学会(American Headache Society: AHS)においてポスター発表され、2025年11月に雑誌Headache: The Journal of Head and Face Painに掲載されました。
新日本科学本体のTR事業本部には、製剤・デバイスなど基盤技術を創出研究する部署と、パーキンソン病治療薬の臨床治験や経鼻粘膜ワクチンのPOC取得を管理する部署があります。パーキンソン病のオフ症状治療のための点鼻レボドパ経鼻薬(開発コード:TR-012001)及び改良開発品(TRN501)の開発は、当社連結子会社の(株)SNLD(以下、SNLD社)で進めています。SNLD社では、国内においてパーキンソン病患者(12例)を対象に実施した探索的臨床第2相試験の成績を、2025年4月に米国神経学会(American Academy of Neurology: AAN)年次総会にて発表し、5月の日本神経学会総会、7月の日本パーキンソン病・運動障害疾患学会、10月のMDS国際パーキンソン病・運動障害疾患学会では、第1相試験の成績を含めて複数の演題を発表しました。TRN501は、2024年8月に臨床第1相試験における日本人健康成人への投薬を完了し、データ解析と総括報告書の作成を進め、今後学会にて結果発表の予定です。各国の薬事制度・市場調査を綿密に行い、今後の開発方針を慎重に見極めつつ、次の臨床治験計画を立案中です。経鼻粘膜ワクチン開発はAMED/SCARDAから委託研究開発費を得て、研究開発を進めてきましたが、この度実施されたAMEDの中間評価で、当社が開発した粉体経鼻投与法を用いることで、鼻腔中に分泌型 IgA 産生が誘導され、鼻粘膜におけるインフルエンザウイルス感染成立を防ぐ効果を示すことをカニクイザルで示すことができたことから、「非臨床 POC (Proof of Concept)の取得を達成」したと判断され、中間評価で最高評価となる「評価A」の評価を得て、AMEDから委託研究開発費の追加も含めた研究開発支援の延長(2029年3月31日まで)が決定されました。今後、開発試験期間内での第1相臨床試験の終了を目指してまいります。
Gemseki事業では、「創薬シーズの最適な活用を支援することで、人類に貢献する」ことをミッションに、創薬シーズ・技術に関するライセンス仲介事業をグローバルに展開しています。2025年6月に米国ボストンで開催された「BIO International Convention」、同年11月にウィーンで開催された「BIO-Europe」、ならびに2026年1月に米国サンフランシスコで開催された「J.P. Morgan Healthcare Conference」および「Biotech Showcase」を中心とする「JPM Week」に参加し、創薬ベンチャー、研究機関、製薬企業との面談を実施しました。これらの主要国際イベントを通じて、有望な創薬シーズ・技術を有する新規顧客の探索と契約獲得を推進するとともに、既存顧客が保有する創薬シーズ・技術の紹介活動を行いました。あわせて、ビジネス基盤となる創薬エコシステムを構成するグローバルな関係者とのビジネスネットワークを拡大しました。投資事業を展開している連結子会社の(株)Gemsekiインベストメントでは、2020年より運用を開始したGemseki投資事業有限責任組合から既存投資先1社への追加投資を行い、当ファンドからのポートフォリオ投資を完了しました。2024年に組成したGemseki2号投資事業有限責任組合を通じて投資活動を継続しており、当期は日本および北米のスタートアップ計6社に対して投資を実行しました。医薬品・医療機器の創出・育成に必要な支援をワンストップで提供するとともに、グループ間連携による付加価値の最大化を目指しております。
当社は1999年以来、米国ワシントン州の拠点を中心にCRO事業およびTR事業を展開し、日米のアカデミア、投資家、プロフェッショナル企業などと強固なネットワークを構築してきました。創薬エコシステムの発展に取り組むべく、米国での事業を通じた経験およびネットワークを最大限に活用し、SNBL Global Gateway (SGG)事業を展開しております。SGG事業では、米国市場進出を目指す日本のバイオテック企業(創薬スタートアップ、大学発ベンチャー等)および、日本市場進出や日本企業との連携を目指す米国スタートアップ企業を対象に、日米双方の市場進出を包括的に支援しています。現地拠点の設立支援、市場分析、戦略立案、薬事/知財戦略策定、資金調達やパートナー企業とのマッチング、事業計画の策定/実行支援を一貫して提供しています。2026年3月期は、国内上場企業、バイオテック、ベンチャーキャピタルに対して支援を提供し、なかでも米国進出検討の初期段階にある日本のバイオテック企業に対して米国市場分析サービスおよび米国進出形態のアドバイザリーを重点的に提供してきました。また、複数の企業がビジネスインキュベーション施設でオフィスを開設しております。米国スタートアップの日本進出支援としては、シアトル発の「自己採血デバイス」を手掛けるスタートアップ企業Tasso, Inc.とともに、2025年3月に合弁会社の(株)新日本科学Tassoを設立し、8月に厚生労働省から管理医療機器として認証を取得、12月から販売を開始しました。2026年3月にはH.U.グループ傘下の企業と販売店契約を締結しております。さらに、日米のベンチャー企業およびその活動を支える関係者を結びつけ、新たなビジネスチャンスの創出と、世界的なバイオテクノロジー・創薬エコシステムの発展に取り組んでいます。本事業は、グローバル投資分野において豊富な実績を持つSBIグループと共同で推進し、ビジネスインキュベーション施設の運営に加え、ファンド運営にも注力しています。2024年11月には、米国シリコンバレーに本社を置く世界最大手のイノベーション・プラットフォーム・プロバイダーであるPlug and Play社が当社とSBIグループとの共同ファンドに参画し、当期は当該ファンドを通じた北米スタートアップへの投資も実行いたしました。
こうした中、TR事業の2026年3月期の売上高は、108百万円(前年度:54百万円)となりました。営業損失は、Satsuma社の経鼻片頭痛治療薬「Atzumi™」の事業化に向けた経費2,781百万円が計上(前年度:2,369百万円)されたこともあり、営業損失が4,028百万円(前年度:営業損失3,680百万円)となりました。
(d) メディポリス事業
当社は、鹿児島県指宿市の高台に103万坪(340万㎡)の広大な敷地「メディポリス指宿」を保有しており、この自然資本を活用したメディポリス事業を社会的利益創出事業として、発電事業とホスピタリティ事業を展開しています。社会的利益創出事業は、「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」と掲げた理念を体現するものであり、経済的利益のみならず、社会や環境課題といった視点の社会的利益を一体的に創出しています。具体的には、再生可能エネルギーを活用した発電事業、人々のWellbeing(ウェルビーイング)、つまり全人的な健康の実現をメインコンセプトとしたホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)を行っております。
発電事業では、2015年2月より約1,500kW級のバイナリー型地熱発電所を運営しております。地熱発電は、CO₂排出量がほぼゼロであり、天候や昼夜に左右されず安定的な発電が可能なベースロード電源です。当社発電所は年間約1,000万kWhを発電し、FIT制度を活用した安定的な売電収入を計上しております。また、2025年4月には、ホテルの泉源からの余剰蒸気を活用した温泉発電所が稼働を開始しました。年間発電量は約400万kWh(一般家庭約1,000世帯分)を見込んでおり、2026年3月期において業績に大きく寄与しております。同発電もFIT制度に基づき安定的な売電収入を計上しております。これらを合わせた想定年間発電量は、当社の年間消費電力量の約半分に相当します。
ホスピタリティ事業は、お客様のニーズに合わせる形でヒーリングリゾートホテル「別邸 天降る丘」と、医療機関メディポリス国際陽子線治療センターの患者専用宿泊施設「ホテルフリージア」および研修専用の「指宿ベイヒルズ」の3つの施設を運営しております。「別邸 天降る丘」は、一般客のほか、当社を訪れる国内外のパートナーの滞在先としても活用されています。滞在者の満足度は高く、信頼関係の構築につながることで、当社事業の業績にも寄与しています。2025年6月、「別邸 天降る丘」は、世界的に知られるホテル評価機関であるTravel+Leisure Luxury Awards Asia Pacific 2025において、「日本のベストホテルスパ部門」で第8位に選ばれております。2025年12月にはさらに滞在者の満足度を高めるため新たにライブキッチンを取り入れたフレンチレストラン「Lueur(リュール)」の営業を開始しました。メディポリス国際陽子線治療センターは、2011年1月に治療を開始して以来、7,800件を超えるがん患者さんの陽子線治療の実績を積み重ねており、大手生命保険会社からは社会貢献団体として表彰を受けております。
メディポリス事業の2026年3月期の売上高は、温泉発電の寄与もあり804百万円と前年度(564百万円)に比べ239百万円(42.4%)の増加となりました。営業損益は、65百万円の営業損失(前年度:営業損失422百万円)となりました。
(e) 米国不動産事業
当社は、米国子会社SNBL USA, LTD.が保有する約6万坪の敷地内に建設した多目的産業用ビルSTC: Seaway Technology Center(17,282㎡)を賃貸する米国不動産事業の営業を2025年から開始しています。米国不動産事業の2026年3月期の売上高は、テナントからの収入により184百万円と前年度(45百万円)に比べ138百万円(301.0%)の増加となりました。営業損失は、減価償却費等が計上されたこともあり、1百万円(前年度:営業損失60百万円)となりました。
(f) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ12,639百万円(13.7%)増加し、105,055百万円となりました。流動資産は、「現金及び預金」が6,504百万円(54.1%)増加したことや「棚卸資産」が2,496百万円(19.8%)増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ10,048百万円(30.5%)増加して42,988百万円となりました。
固定資産は、「有形固定資産」が1,369百万円(3.9%)増加したことや「投資有価証券」が1,610百万円(8.2%)増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ2,590百万円(4.4%)増加して62,066百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ9,235百万円(17.6%)増加し、61,566百万円となりました。流動負債は、「短期借入金」が7,892百万円(67.0%)増加したことや受注拡大に伴い「前受金」が3,764百万円(34.4%)増加したことに対し、「未払法人税等」が1,251百万円(56.4%)減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ10,069百万円(34.4%)増加して39,325百万円となりました。固定負債は、「長期借入金」が1,150百万円(5.2%)減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ833百万円(3.6%)減少して22,240百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ3,403百万円(8.5%)増加し、43,489百万円となりました。これは主に「親会社株主に帰属する当期純利益」を4,566百万円計上し、配当金の支払を2,081百万円行ったことにより、「利益剰余金」が2,485百万円(12.4%)増加したこと、また「その他有価証券評価差額金」が1,879百万円(31.2%)増加したことに対し、「為替換算調整勘定」が1,306百万円(70.0%)減少したことなどによるものであります。
(g) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、医薬品開発に係わるGLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化していく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化していく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する欧米等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応していくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(h) 戦略的現状と見通し
CRO事業は、中長期的な視点で国内外の顧客からの要望に対して、確実に応えられる体制構築に取り組んでおります。抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療、再生医療などの新規創薬モダリティ分野の研究支援では、最新装置の導入及び評価系の構築などの投資へも積極的に取り組んでおり、他施設では実施困難な案件も受託できております。
旺盛な欧米顧客からの需要を受け、受注取り込みを更に強化するため、欧米顧客からの要望の高い欧米規格の大型飼育ケージに特化したNHP実験施設「EU実験棟」建設に着工しました。また、更なる顧客満足度の向上のために実験終了から最終報告書草案提出までの期間短縮を企図して、AIを用いた最終報告書の自動作成に取り組んでおります。TR事業は、当社独自の経鼻投与基盤技術(SMART)を用いた既存薬剤の投与経路変更による医薬品開発や事業化準備を継続します。米国でFDAより経鼻片頭痛治療薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)の販売承認を取得したSatsuma社に対し、米国においてはSatsuma社において製造販売が可能な状態を主体的に整えて早期導入を進めるとともに、米国以外においてはパートナリング活動を並行して行ってまいります。パーキンソン病のオフ症状治療のための点鼻レボドパ経鼻薬(開発コード:TR-012001)および更なる利便性向上を企図した、TR-012001の改良開発品(TRN501)の開発は、当社連結子会社のSNLD社で進めています。経鼻粘膜免疫作用を期待したワクチンの研究開発については、経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを主体として「そもそも感染を起こさせないこと(遮断免疫)」を狙った画期的な経鼻粘膜ワクチンの研究活動を推進しております。また、Gemseki事業部において、創薬シーズ・技術に関するライセンス仲介事業をグローバルベースで積極的に展開すると共に、子会社Gemsekiインベストメント社において投資事業を推進してまいります。
メディポリス事業では、従来の地熱発電所に加えて、2025年4月からは既存の泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所を稼働しております。ホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)は、一般客のほか、当社を訪れる国内外の顧客の滞在先としても活用されております。サービスの質のさらなる向上に加え、より強固なブランディングを通して集客力の強化を行ってまいります。
(i) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向や製薬企業のコスト意識の高まりから製薬業界の経営環境は大きく変化することが考えられ、経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
CRO事業においては、戦略的に取り組んできた欧米顧客からの引き合いが活発化しています。確立していた実験用NHPのサプライチェーンが功を奏し、新しいタイプの医薬品開発で需要が高まっているNHP試験を他社よりもリードタイムを短く、確実に実施できる点が、差別化のポイントとなっています。さらに、サービスを受けた顧客からは、品質の高さと柔軟性についても高い評価を受けています。今後もサプライチェーンマネジメントの強化施策を実施してまいります。その一環として、カンボジアの当社グループ施設の繁殖体制強化とともに、日本国内での繁殖育成の取組みも強化しております。今後も効率的かつ効果的に各種試験を適切なタイミングで行えるオンリーワンの事業価値を継続して提供してまいります。新たな取組みとしては、新しい安全性評価のアプローチであるNAMs(New Approach Methodologies)のひとつとして近年、注目を集めているMPS(Microphysiological System、生体模倣システム:生体組織や臓器の機能や構造を模倣したシステム)を、国内CROとして受託開始しており、新技術についても製薬企業のニーズをしっかり把握してまいります。
TR事業では、SMARTを用いた医薬品がFDAから販売承認を得たことから、Satsuma社の事業は米国および米国以外でも商業化に向けた準備や交渉を進め、価値最大化を図ってまいります。同時に、SMARTを活用して開発中のパーキンソン病の治療薬やインフルエンザの予防ワクチンの開発については、その事業化の可能性を見極めながら開発に取り組んでまいります。
2024年7月には、当社が米国ワシントン州に保有する施設を活用しバイオベンチャーのインキュベーション事業を行うSNBL Global Gateway (SGG)を開設しています。米国を拠点に日本と米国のバイオベンチャーを研究開発と資金の両面で支援することで、長期的には現在当社の主力であるCRO事業への貢献だけでなく、将来SGG事業を当社の収益の柱の一つとなるよう、成長させたいと考えています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) 資金需要
当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
(b) 資金の源泉
営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物等の残高は18,371百万円となっております。
(c) 有利子負債
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は41,391百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。

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