有価証券報告書-第25期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/28 16:35
【資料】
PDFをみる
【項目】
121項目
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善等により、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、米中の貿易摩擦の動向の不確実性等により、景気は先行き不透明な状況にあります。
情報サービス業界では、企業収益の回復を背景に、クラウドやビッグデータ、IoT、AI、ブロックチェーン等の技術を活用した設備投資やIT投資は堅調に推移しております。
仮想通貨交換業業界では、事件・事故、行政処分等により、業界の様々な問題が浮き彫りになりましたが、結果として世界に先駆けて健全な業界及び市場を創出するための足掛かりを作ることとなりました(一般社団法人日本仮想通貨交換業協会「年頭所感」 https://jvcea.or.jp/news/main-info/20190101-001/)。
第四次産業革命と呼ばれるロボット工学、人工知能、ブロックチェーン、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、モノのインターネット、3Dプリンターなどの多岐にわたる分野においての技術革新によって近い将来、新たな経済圏が誕生することが予想されており、その中でモノのインターネット、IoTと呼ばれる技術活用に当社グループは注目しています。2019年にサービスが始まる次世代移動通信方式である第5世代通信システムとIoT技術により、あらゆる「モノ」はより本格的にインターネットとつながっていきます。例えば「スマート家電」。今まで「モノ」であった家電がインターネットとつながることにより、スマホひとつで家中の家電を操作することができるようになりました。「自動運転」もIoTの一種です。インターネットとつながることにより、各車の走行状況のデータが蓄積され、AIによって分析・解析することで自動運転が実現されます。医療では遠隔診療、さらには農業、工場など、既に様々な分野に導入されています。「スマートシティ」と呼ばれる街のIoT化では、駐車場の空き情報を管理するシステム、ゴミ箱の蓄積状況を管理するシステム、トイレの空き状況がわかるIoTトイレなど、多数の導入実績を持ちます。米国アトランタではIoT端末が市内主要箇所に設置されている街灯に据え付けられていて、今後は交通量や歩行者状況に合わせた瞬時の信号自動調整が予定されています。このような新たな経済圏においては、「お金」だけが今のままでありつづけることはあろうはずがありません。まず第一に、今までのように金融機関を通じた法定通貨の受け渡しでは、手数料が高く、また24時間対応が不可能です。さらには国境の壁が存在し、国をまたがる通貨の受け渡しは、より手数料が高く、より受け渡しに時間を要し、IoT技術を活用した、より効率的な経済活動が実現できるとは言えません。2月7日の参院予算委員会で安倍晋三首相は、仮想通貨を暗号資産への呼称変更を明確にし、仮想通貨・ブロックチェーン関連技術の質問に答え、同領域には「大きな可能性があると認識している」と発言しています。国境に縛られることなく、新しい経済圏が最も効率的に発展することができる「お金」の存在が必要不可欠です。そしてこの新しい「お金」の役割は、暗号資産(仮想通貨)が担うことになると当社グループは考えています。
このような状況のもと、引き続き当社グループ全体では、ビットコインを中心とした暗号資産(仮想通貨)の情報、交換所、同システム、金融仲介機能を網羅し、IoTと産業分野への融合なども含めて、暗号資産(仮想通貨)による一気通貫のサービス提供を可能とすることを成長戦略とし、先行投資を行っております。
2018年1月に株式会社フィスコ仮想通貨取引所(以下、「FCCE」といいます。)と、当社連結子会社の株式会社イーフロンティア(以下、「イーフロンティア」といいます。)が行う、暗号資産(仮想通貨)向けのAIトレーディングシステム開発にあたり、業務提携契約を締結いたしました。また、イーフロンティアでは、開発中のソフトの実証試験をかねて、ビットコインに対する投資を開始し、一定の成果を上げることに成功いたしました。
7月には当社連結子会社である株式会社ネクスグループ(以下、「ネクスグループ」といいます。)の本社(岩手県花巻市)において暗号資産(仮想通貨)のマイニング事業を開始することを決議しました。暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)とは、ネットワーク上に存在する取引データの固まり(ブロック)の整合性を確保するための承認作業のことで、最も早く承認できた者に対して、報酬として対象とする暗号資産(仮想通貨)が支払われます。
9月には、FCCEにおいて、同社が運営する暗号資産(仮想通貨)交換所のシステムを見直し、従来テックビューロ株式会社(以下、「テックビューロ」といいます。)が運営していた暗号資産(仮想通貨)交換所・販売所「Zaif」のOEM(ホワイトラベル)システム(旧システム)からの分離・独立を完了し、株式会社カイカ(以下、「カイカ」といいます。)の100%子会社である株式会社CCCT(以下、「CCCT」といいます。)から提供を受ける暗号資産(仮想通貨)交換所システム(以下、「新システム」といいます。)での運営を開始しました。
また、10月には、FCCEはテックビューロと、「Zaif」事業を譲受ける内容の事業譲渡契約を締結し、11月22日に事業譲渡が実行されました。利用者の事業譲渡に対する承認手続き(引継ぎ手続き)は、引き続き続行し、12月26日時点の残高基準の承諾割合は、約98%です。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、株式会社ネクス・ソリューションズ(以下、「ネクス・ソリューションズ」といいます。)が連結から除外されたことなどにより11,455百万円(前期比21.7%減)となりました。売上原価においても、ネクス・ソリューションズが連結から除外されたことが主因で、6,428百万円(前期比22.9%減)となり、販売費及び一般管理費は、費用圧縮により464百万円減少し、5,814百万円(前期比7.4%減)となりました。営業損失は、売上高の減少が主因で788百万円(前期は7百万円の営業利益)となりました。
また、持分法による投資損失1,029百万円、仮想通貨売却損201百万円、仮想通貨評価損382百万円などの計上により経常損失2,476百万円(前期は59百万円の経常損失)となりました。持分法による投資損失計上の主因は、FCCEにおいて、「Zaif」事業の譲受にあたりハッキング対応費用として利用者の補償のために事前に準備し保持していた暗号資産(仮想通貨)(ビットコイン2,723.4枚、ビットコインキャッシュ40,360枚)について、事業譲渡の効力発生日である2018年11月22日に取得価格と事業譲渡の効力発生日の時価との差額を実現損失として計上したことなどによります。
これらにより親会社株主に帰属する当期純損益は、親会社株主に帰属する当期純損失2,152百万円(前期は636百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「情報サービス事業」、「コンサルティング事業」、「インターネット旅行事業」、「ICT・IOT・デバイス事業」、「フィンテックシステム開発事業」、「広告代理業」、「ブランドリテールプラットフォーム事業」、「仮想通貨・ブロックチェーン事業」及び「その他」の9区分から、「情報サービス事業」、「インターネット旅行事業」、「IoT関連事業」、「広告代理業」、「ブランドリテールプラットフォーム事業」、「仮想通貨・ブロックチェーン事業」及び「その他」の7区分に変更しております。
① 情報サービス事業
個人向けサービスは、サービスの刷新のための見直しによるリサーチレポーターやソーシャルレポーターのレポートの販売本数減少が主因で「クラブフィスコ」及び「フィスコAI」並びに「マーケット マスターズ」のサービスによる売上高が26百万円(前期比78.8%減)となりました。
ポータルサービスは、「YAHOO!JAPAN ファイナンス」における当社のページビュー数が引き続き前期比でほぼ横ばいとなり、売上高は43百万円(前期比5.4%減)となりました。
企業IR支援サービス分野におきましては、株式会社フィスコIR(以下、「フィスコIR」といいます。)において、内製化が可能となり支援が不要となった顧客の契約解消数が新規顧客の獲得数を上回っていることなどが原因で、売上高は832百万円(前期比15.8%減)となりました。
法人向けリアルタイムサービスにおいては、金融情報専用端末における金融機関等の解約が主因で、売上高は121百万円(前期比14.3%減)となりました。アウトソーシングサービスにおいては、複数社の契約更新の見送り等により、売上高は222百万円(前期比5.7%減)となりました。
プラットフォームサービスでは、プラットフォームで管理している各種情報の提供による売上及びプラットフォームでの広告による売上は堅調に推移したものの、一部サービスの見直しにより売上高は29百万円(前期比9.1%減)を計上しております。
この結果、情報サービス事業の売上高は1,245百万円(前期比18.8%減)となり、セグメント損失は173百万円(前期は450百万円のセグメント利益)となりました。
② インターネット旅行事業
イー・旅ネット・ドット・コム株式会社(以下、「イー旅ネット」といいます。)及びその子会社では、旅行商材が氾濫する中、多様化・高度化する消費者ニーズに対応できるサービスとして、お客様から満足度の高いコメントを多数いただいております。
訪日旅行者数は予想をはるかに上回る勢いで、2018年度末には前年比14%増の3,200万人となる予測で、宿泊施設の不足が予想されております。このような中、グループ内の実業之日本社の協力を得て、インバウンド向けコンテンツの中から、需要の多い英語のスキー専用サイトを新設し、国内のスキー場204コースを掲載いたしました。また、パラリンピック選手派遣や数々の障がい者国際大会を専門に取り扱う株式会社グロリアツアーズ(以下、「グロリアツアーズ」といいます。)においては、障がい者スポーツのマーケットにさらに力を入れています。株式会社ウェブトラベル(以下、「ウェブトラベル」といいます。)のコンシェルジュ事業とともに一般の旅行会社では対応が難しい特徴のあるマーケット基盤を構築しています。
2018年2月より進めてまいりましたセゾンUCカードとの業務提携は、単なる広告契約ではなく、カードそのものの機能として位置付けた『トラベルコンシェルジュ』に関する業務提携となっており、ウェブトラベルのコンシェルジュサービスが一層の社会的信用を得ることに繋がり、以降の見積依頼数や受注率の向上に貢献しております。
売上高は、定番のヨーロッパ方面の復活とハネムーンを中心とした海外旅行事業売上が2,215百万円、国内旅行事業売上が170百万円となりました。お客様からの見積もり依頼件数は若干の回復傾向を受け、「ウェブトラベル」サイトで前期比102%、「イー旅ネット」サイトを含めた見積もり依頼件数も前期比100%となりましたが、受注率の改善を図った結果、受注件数は前期比116%、売上総利益率は前期同様14%を維持しており、トータルの取扱人員も7,438名(前期比112%)となりました。
これらの結果、インターネット旅行事業の売上高は2,361百万円(前期比8.3%増)、セグメント利益は38百万円(前期比143.3%増)となりました。
③ IoT関連事業
株式会社ネクス(以下、「ネクス」といいます。)では、引き続き、OBDⅡ型自動車テレマティクスデータ収集ユニット「GX410NC/GX420NC」を使用した、送迎車用のOBDⅡソリューション「ドライブケア」、「バスのり」、配達車用のOBDⅡソリューション「Drive Live」、データ収集・転送用ゲートウェイ「Device Gate」などのソリューションの提供に注力してまいりました。
また、最近の動向では、2018年8月、2019年度米国防権限法(NDAA2019)の成立により、華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION)、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信(Hytera)の計5社への締め付けが大幅に強化され、米政府機関との取引からの排除が呼びかけられており、同2019年度米国防権限法(NDAA2019)に関わる製品であるかに関する多数の問い合わせを受けている状況です。
ネクスでは、現在販売中の全ての製品において、今回成立した2019年度米国防権限法(NDAA2019)に関わる上記5社への製造委託や上記5社からの部品の採用は行っておらず、安心してお使いいただける旨ご案内させていただくとともに、引き続き本禁止事項に抵触することがないよう、管理の強化をしております。
今後の動向につきましては引き続き注視しながら、製造委託先の継続的な管理・監督とともに、信頼できる新規製造委託先の開拓を進め、国内メーカーとして市場のニーズに対応した製品群のさらなる拡充に取り組み、国内外の市場に向けて今後普及が見込まれるLPWA※1や次世代通信規格5Gなど、モバイルコンピューティングや高付加価値通信デバイスとソフトウェアの融合により自動車テレマティクスソリューションやその他の様々なソリューションの提供を行ってまいります。
株式会社ケア・ダイナミクス(以下、「ケア・ダイナミクス」といいます。)では、介護事業者支援サービスとして様々な介護ロボットの販売代理を行い、マンガを使った法人案内リーフレット、広告作成サービスなどの提供を行っております。また、前述した介護送迎車用のOBDⅡソリューション「ドライブケア」の導入先施設での見学会を継続開催し、無料トライアルを行っております。
この他、介護施設の電気代削減を支援するための電力会社見直し及び、切り替えサポートサービスのほか、節水システム紹介サービスも行っております。
新たに、法人向けネットワーク構築サポートサービスならびに、パラマウントベッド株式会社と販売店契約を締結し、同社が提供する睡眠管理システムの販売も開始いたしました。
イーフロンティアは、AI思考ルーチンを搭載したソフト「AI将棋、AI囲碁、AI麻雀」などの開発・販売実績があり、保有するAI技術を駆使して暗号資産(仮想通貨)のトレーディングシステムの開発を進めております。FCCEとも業務提携を行い、共同でAI技術の実証試験を進めるとともに、同取引所から膨大な過去の取引情報の提供、デリバティブシステム及び高頻度取引システム※2のユーザーの立場としてのノウハウの提供を受けて、さらにユーザビリティが高いシステム開発を目指します。
さらに、昨年6月に米国大手メーカーのOWC社(Other World Computing,Inc)と日本国内総代理店契約を締結しており、日本国内向けにThunderbolt3※3製品やeGPU※4などのコンピュータ周辺機器の販売及び付帯サービスの拡大を図ってまいります。
※1「LPWA」とは、
Low Power Wide Areaの略で、低消費電力で広い領域(キロメートル単位)を対象にできる無線通信技術をいいます。
※2「デリバティブシステム」「高頻度取引システム」とは、
国内外の複数の暗号資産(仮想通貨)交換所を網羅し、その動向をチェック、分析することで自動的に利益を獲得することを目指すシステムです。リスクを相当に抑えながら、利益の獲得チャンスを持つことも可能なシステムとなります。
※3「Thunderbolt3」とは、
高速汎用データ伝送技術の規格の一つをいいます。
※4「eGPU」とは、
コンピューターにおける外付けの画像処理装置をいいます。
なお、セグメント変更により、「ICT・IoT・デバイス事業」「フィンテックシステム開発事業」を合わせて「IoT関連事業」としております。また、ネクス・ソリューションズが連結の範囲から除外となったことから、売上、売上原価、販売費及び一般管理費が対前期比で大幅に減少いたしました。
この結果、IoT関連事業の売上高は、949百万円(前期比75.3%減)となり、セグメント利益68百万円(前期は366百万円のセグメント損失)を計上いたしました。
④ 広告代理業
広告代理業の売上高は、第1四半期連結累計期間より株式会社シヤンテイの主力商品であった企業ロゴ入り業務用ユニフォーム制作受託が終了したことが主因で102百万円(前期比24.9%減)と減少いたしました。セグメント損益は、費用圧縮等によりセグメント損失3百万円(前期は34百万円のセグメント損失)となりました。
⑤ ブランドリテールプラットフォーム事業
株式会社チチカカ(以下、「チチカカ」といいます。)では、引き続き、不採算店舗の閉店や人員体制の見直しなどによる構造改革を進めております。
また、営業施策では、広瀬アリスさん×チチカカ、2018年コラボ取り組み第二弾として、広瀬アリスさんの海外協力活動の経験談が生の声で聞ける日本青年会議所愛知ブロック協議会主催「愛知ブロック大会田原大会」に出店いたしました。今大会は、青年に海外協力に関心を持っていただき、「自分も行動したい」と思えるようなきっかけづくりをひとつの趣旨として開催いたしました。チチカカは、すぐできる国際協力のかたちとしてコラボレーションTシャツやトートバッグを販売し、1枚購入につき500円を広瀬アリスさんが応援する社会貢献団体へ寄付いたします。商品の購入が未来の幸せに繋がっています。
翌期にむけては、顧客基盤の拡大のため、SNSや自社アプリによる顧客接点の拡大等を引き続き推し進めます。さらに、社員教育の観点ではマニュアル・教育体系の拡充に取り組み、収益の安定化に取り組んでまいります。
この結果、ブランドリテールプラットフォーム事業の売上高は6,449百万円(前期比8.8%増)、セグメント損失は455百万円(前期は14百万円のセグメント損失)となりました。
⑥ 仮想通貨・ブロックチェーン事業
株式会社ヴァルカン・クリプト・カレンシー・フィナンシャル・プロダクツ、ネクスグループ、チチカカ、イーフロンティアにおいて、暗号資産(仮想通貨)に対する自己勘定投資を行っており、損益の純額を売上に計上しております。チチカカにつきましては、第1四半期連結累計期間においては暗号資産(仮想通貨)の売買を事業目的としていなかったため売上に計上しておりませんでしたが、第2四半期連結累計期間からは事業目的に暗号資産(仮想通貨)売買を設定し売上に計上しております。
イーフロンティア、チチカカにおいては、イーフロンティアが開発している暗号資産(仮想通貨)向けのAIトレーディングシステムをトレーディングのベースとして運用を進めております。2017年とは異なり下落局面が目立つ暗号資産(仮想通貨)市場ですが、暗号資産(仮想通貨)価格が大きく下落した際は、リスクコントロールの一環として適宜損切りを行っており、資金効率を常に意識したトレーディングを展開しております。
この結果、年間を通して暗号資産(仮想通貨)の価格が下落傾向にあったこと等が主因で仮想通貨・ブロックチェーン事業の売上高は309百万円(前期比65.7%減)、セグメント利益は294百万円(前期比64.9%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比して2,461百万円減少し、1,134百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は1,818百万円の増加(前連結会計年度は328百万円の減少)となりました。これは主に、仮想通貨の減少額1,885百万円があった事によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は1,536百万円の減少(前連結会計年度は3,915百万円の増加)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入2,103百万円があった一方で、投資有価証券の取得による支出577百万円、仮想通貨の取得による支出3,112百万円があった事によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は540百万円の減少(前連結会計年度は2,209百万円の減少)となりました。これは主に、新株予約権付社債の発行による収入1,200百万円があった一方で、短期借入金の返済による支出686百万円、長期借入金の返済による支出1,332百万円があった事によるものです。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
IoT関連事業625,9839.5
ブランドリテール
プラットフォーム事業
408,904-
合計1,034,88715.7

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(千円)
前年同期比(%)受注残高
(千円)
前年同期比(%)
情報サービス事業542,20177.07,9588.6
IoT関連事業703,1979.5146,79310.6
広告代理業107,66357.8124.7
合計1,353,17859.5154,87953.2

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
情報サービス事業1,245,97281.2
インターネット旅行事業2,361,242108.3
IoT関連事業949,94724.7
広告代理業102,97275.1
ブランドリテール
プラットフォーム事業
6,449,983108.8
仮想通貨・
ブロックチェーン事業
309,18534.3
報告セグメント計11,419,30378.6
その他35,94035.8
合計11,455,24478.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)仕入実績
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
IoT関連事業6,32042.2
ブランドリテール
プラットフォーム事業
2,407,68997.7
合計2,413,83697.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。
(繰延税金資産)
企業会計上の収益・費用と、課税所得計算上の益金又は損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき貸借対照表への繰延税金資産計上の要否を検討しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積りが減少した場合は、繰延税金資産が減少され、税金費用が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、債権に対し貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、過去の貸倒損失の実績及び回収可能性に疑義がある債権の個別評価に基づいて計上しております。入手可能な情報に基づき貸倒引当金は十分であると考えておりますが、将来、債権先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
(有価証券)
当社グループは、時価を把握することが極めて困難と認められる投資有価証券を保有しております。これらの投資有価証券につきましては、実質価額が著しく低下し、かつ回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
ⅰ.資産の増減
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比して6,055百万円減少し、10,673百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比して6,686百万円減少いたしました。これは現金及び預金が2,455百万円減少したこと、仮想通貨が2,295百万円減少したこと、預け金が966百万円減少したこと、前渡金が669百万円減少したこと、貸付仮想通貨が305百万円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比して631百万円増加いたしました。これは、投資有価証券が198百万円増加したこと、長期貸付金が417百万円増加したことなどが主たる要因であります。
ⅱ.負債の増減
負債につきましては、前連結会計年度末における負債総額が10,482百万円だったのに対し、当連結会計年度末は2,792百万円減少し7,690百万円となりました。これは、長期借入金が724百万円減少したこと、FCCEが連結から除外されたため預り金が2,225百万円減少したことなどが主たる要因であります。
ⅲ.純資産の増減
純資産につきましては、前連結会計年度末に比して3,263百万円減少し2,983百万円となりました。これは、利益剰余金が2,201百万円減少したこと、非支配株主持分が876百万円減少したことなどが主たる要因であります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、11,455百万円(前期比21.7%減)となりました。売上原価は、6,428百万円(前期比22.9%減)となり、販売費及び一般管理費は、5,814百万円(前期比7.4%減)となりました。
営業損失は、売上高の減少が主因で788百万円(前期は7百万円の営業利益)となりました。
また、経常損失は、2,476百万円(前期は59百万円の経常損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、親会社株主に帰属する当期純損失2,152百万円(前期は636百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
詳細は、「業績等の概要」に記載のとおりであります。
(4)流動性及び資金の源泉
①キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要」に記載しております。
②資金需要及び財務政策
当社グループでは、運転資金、設備投資及び投融資資金の資金需要があり、自己資金、借入、社債の発行、及び保有株式の売却といった資金調達方法の中から、諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。
(5)経営戦略の現状と見通し
① 情報サービス事業
当社におきましては、引き続きプラットフォームサービスの収益の向上、多角化を図り、無料スマートフォンアプリ「FISCO(FISCOアプリ)」及びPCブラウザ版「FISCO(FISCOウェブ)」に注力してまいります。また、投資教育においてはシーエー・モバイル社との事業提携に加え、個人投資家向けコンテンツ販売サイト「クラブフィスコ」にて、フィスコソーシャルレポーターをはじめとした著名な個人投資家の方の投資手法をまとめたコンテンツの拡販を推進いたします。また、仮想通貨およびGDPR分野の情報配信にも注力し、収益の向上に努めてまいります。
フィスコIRでは、「企業調査レポート」業務を中核とした、「YAHOO!JAPAN ファイナンス」や「Bloomberg」へのIR情報の提供など潜在投資家に対するプッシュ型IR支援サービスの需要が見込まれ、堅調に事業拡大する見通しです。加えて、パーセプションスタディ(投資家向け意識調査)に基づく投資家の声を企業にフィードバック、またそれに基づくコンサルティングサービスを新商品として開発する事で引き続き上場企業の顧客拡大を目指してまいります。また、統合レポート、アニュアル・レポート業務におきましては、現場に携わる人材および組織力の強化やブランドの強化を図ることに加え、GDPR対策の一環として、個人情報対応をいかに企業価値向上に結びつけていくべきか、助言等のサービスを行うことでシェア拡大に努めてまいります。
② インターネット旅行事業
イー旅ネットグループでは、新たなトラベルコンシェルジュの採用にあたり、国内のみならず海外在住者の採用にも力を入れ、eラーニング等の在宅でも行える研修の拡充を図るとともに、「こだわりの旅」の提案により、ホスピタリティ精神あふれる質の高いオーダーメイド旅行サービスの提供に引き続き努めてまいります。また、円安を背景に増加する訪日外国人をターゲットとしたインバウンド業務につきましては、有力な提携先と積極的に協業を行うことで収益機会の獲得に積極的に取り組むとともに、アジア圏だけでなくヨーロッパマーケットをも視野に入れ、市場の開拓を進めてまいります。特に目立った傾向としては、今期夏季の猛暑の影響で旅行需要が低下した反動と、来期ゴールデンウイークが大型連休となり需要が一気に伸びたことから、ヨーロッパ及びオセアニアを中心に海外旅行売上が20%増の傾向となっております。
一方、グロリアツアーズでは2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて障がい者スポーツのさらなるマーケット開拓に注力し、ウェブトラベルのコンシェルジュ事業とともに、一般の旅行会社では対応が難しい特徴のあるマーケット基盤を構築してまいります。
③ IoT関連事業
IoTデバイスを取り扱うネクスでは、引き続き自動車テレマティクス製品であるGX410NCを利用したソフトウェア開発を積極的に行ってまいります。また、今後普及が見込まれるLPWA※や次世代通信規格5GなどモバイルコンピューティングとAIや画像解析など高付加価値な機能を実装した新たなエッジデバイス製品の開発に取り組み、国内メーカーとして市場のニーズに対応した安心してお使いいただける製品群のさらなる拡充を図ってまいります。
また、直近の動向では、2018年8月、2019年度米国防権限法(NDAA2019)の成立により、華為技術(Huawei)や中興通訊 (ZTE)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION)、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信 (Hytera)の計5社への締め付けが大幅に強化され、米政府機関との取引からの排除が呼びかけられております。ネクスでは、現在販売中の全ての製品において、今回成立した2019年度米国防権限法(NDAA2019)に関わる上記5社への製造委託や上記5社からの部品の採用は行っておらず、安心してお使いいただける旨ご案内させていただいており、Huawei、ZTE製品が使用されているものから需要が振り替わる商談が増加しております。
ケア・ダイナミクスでは、引き続き介護事業者向けASPシステムの販売拡大に加え、400以上のサービス導入先のネットワークを活かし、CYBERDYNE株式会社のロボットスーツHAL®、見守りシステム等の介護ロボットの導入支援、空調コストの削減サービス、簡易太陽光パネルを利用した非常用電源供給サービスなど、介護事業者をサポートする様々なサービスラインナップを拡充させ、高齢者と介護施設の様々なニーズに対応してまいります。
農業ICT事業は、2016年に圃場の規模を総面積1,640坪まで拡大してから4期目の定植を迎えます。岩手県の大学と産学連携により今後3年間を目処に新たな農業ICTの研究を行ってまいります。農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」では、岩手県の地場の産直やスーパーだけでなく、全国展開するスーパーマーケット向けの出荷も開始し、さらなる販路の拡大を目指してまいります。「フランチャイズ事業」では、農家向けの収穫や経営数値を把握できる「記録・管理アプリ」の追加開発と、野菜の生長に必要な要素と、健康管理に必要な要素を、複合的に組み合わせて環境管理を自動的に行う「環境管理予測システム」の開発を進め、販売に繋げてまいります。
※「LPWA」とは、
Low Power Wide Areaの略で、低消費電力で広い領域(キロメートル単位)を対象にできる無線通信技術をいいます。
④ 広告代理業
広告代理業につきまして国内企業はテレビを除く3媒体(新聞・雑誌・ラジオ)の広告量下落が2018年も続いており、従来のマス媒体からネット媒体へのメディアシフトは加速しております。その中で私どもは媒体の種類に関わらず求められるクリエイティブ力を強化するため制作案件を重視してまいりました。その結果ウェブサイトリニューアルや運営、バナー広告、ネット動画制作等、新たに獲得しております。しかし小規模なスポット需要が多く、継続性をもつ案件の確保が今後の課題となっております。一方ネット広告における技術トレンド等や媒体特性のノウハウ蓄積も進んでおり、提案力の強化や制作プロセス改善による収益性の向上につなぐ所存です。
また昨年より取り組みを開始したパラスポーツ情報誌への広告需要開発は編集タイアップや企業広告・商品広告の獲得だけではなく、雑誌の情報リソースを活用した、広告主が独自に配布・活用できるパラスポーツ情報の小冊子制作、パラスポーツイベントなど手法開発を進め営業を開始したところです。広告主の関心も高まってきており、東京パラリンピックを起点に拡がるパラスポーツ市場に対して継続的にコミュニケーション面での企画開発及び営業を強化してまいります。
⑤ ブランドリテールプラットフォーム事業
チチカカでは、引き続き不採算店舗の閉店や人員体制の見直しを行います。また、顧客基盤の拡大のため、SNSや自社アプリによる顧客接点の拡大等を引き続き推し進めます。さらに、社員教育の観点ではマニュアル・教育体系の拡充に取り組み、収益の安定化に取り組んでまいります。
2018年10月に株式会社バーサタイル(以下、「バーサタイル」といいます。)の会社分割(新設分割)により新設された株式会社ネクスプレミアムグループ(以下、「ネクスプレミアムグループ」といいます。)は、ファッション業界向けのIoT関連サービスの開発と普及に向けた取り組みを行うと共に、服飾品の販売、輸入販売を行っている「CoSTUME NATIONAL」のトレードマーク(商標権)のライセンス事業、それを足がかりとしたアジアでの事業展開も視野に入れ、本事業を新たな収益基盤の一つとなるように拡大、安定化を図ってまいります。
また、ネクスプレミアムグループと同様にバーサタイルの会社分割(新設分割)により新設された株式会社ネクスファームホールディングスは、子会社であるワインの小売事業の本格稼働を目指すとともに新たな収益基盤の一つとなるように拡大、安定化を図ってまいります。
⑥ 仮想通貨・ブロックチェーン事業
当社の持分法適用関連会社であるFCCEでは、2018年11月に「Zaif」事業を譲り受けたことにより、1つの仮想通貨交換業の登録で、2つの交換所を運営するという特殊な状況にありますが、2019年中には2つの交換所を統合する予定です。
また、「Zaif」は、将来のトークンエコノミー時代を見据え、他の交換所にない暗号資産(CounterPartyトークン、Zaifトークン、COMSAなど)の取り扱いやユニークなサービス(AirFX、信用取引、コイン積立など)を提供してきたことで、国内交換所の大手一角となる口座数を有し、ビットコイン取扱高では上位を誇っております。
かつての運営会社であるテックビューロ株式会社が業務改善命令を受けたことなどに伴い、いくつかのサービスを停止している状況ですが、今後は、口座開設時における顧客確認手続き(KYC)徹底のためのカスタマーサポートの強化、AML/CFT対応の強化など業務の改善に注力し、2019年2月現在で利用いただけていないサービスの再開に向けて努めてまいります。
この他、引き続き、暗号資産(仮想通貨)プラットフォームの構築、暗号資産(仮想通貨)交換所システムの機能拡充を図り、業務委託先の株式会社カイカ及び同社の子会社が開発した高度なセキュリティ機能を実装した暗号資産(仮想通貨)交換所システムの構築に注力してまいります。
暗号資産(仮想通貨)の運用につきましては、引き続きAI技術を利用した暗号資産(仮想通貨)のトレーディングシステムの開発を継続し、高度化を進めると同時に、同システムを利用し、暗号資産(仮想通貨)市場の動向をふまえ資金効率を意識した運用を行ってまいります。