訂正有価証券報告書-第26期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦の悪化や中東情勢の混乱や海外経済の減速懸念、不安定な政治動向や地政学リスクが与える影響などから、製造業を中心に輸出と生産面で弱めの動きが続いています。一方で、非製造業を中心に設備投資が堅調に拡大を続けており、加えて、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移し、公共投資も拡大に転じつつあり、内需は緩やかに拡大を続けています。
当社の事業である情報サービスと関連性の高い国内株式市場におきましては、日経平均株価は年初19,000円台まで落ち込む場面もありましたが、前年の年末終値と比較して3,641円上昇し23,656円62銭で年内の取引を終えました。一方、外国為替市場におきましても、年初に一時、対米ドルで105円を上回る展開となりましたが、その後は107円~109円で円安方向に推移しました。
仮想通貨交換業業界では、2019年6月に現行の資金決済法の改正案と仮想通貨デリバティブやSTO等に関する金融商品取引法の改正が公布されました。また、日本市場は一昨年初頭の事件より低迷が続いておりますが、昨年も世界を見ればブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)の熱量は高まり続けており、今後の一層の発展を疑う余地はないと思料しております(一般社団法人日本仮想通貨交換業協会「年頭所感」https://jvcea.or.jp/news/main-info/20200101-001/)。国内においても、2019年以降IT大手企業が続々と仮想通貨交換業業界に参入しており、海外大手取引所も日本支社を開設するなど、国内において新たに仮想通貨交換業の登録を目指す動きが見られます。
このような状況のもと、引き続き当社グループでは、ビットコインを中心とした暗号資産(仮想通貨)の情報、交換所、同システム、金融仲介機能を網羅し、IoTと産業分野への融合なども含めて、暗号資産(仮想通貨)による一気通貫のサービス提供を可能とすることを成長戦略とし、先行投資を行っております。
2018年10月に、当社の持分法適用関連会社である株式会社フィスコ仮想通貨取引所(以下「FCCE」といいます。)がテックビューロ株式会社と、「Zaif」事業を譲り受ける内容の事業譲渡契約を締結し、同年11月22日に事業譲渡が実行されました。利用者の事業譲渡に対する承認手続き(引継ぎ手続き)は、2019年4月22日13時をもって終了しております。なお、FCCEは同年6月21日に、金融庁より資金決済法に基づく業務改善命令を受けております。今回の業務改善命令によるお客様のサービスご利用への影響は一切ありません。ただし、当社グループとしてはFCCEに対し、お客様が安心して利用することができ、社会的に有用な仮想通貨交換業者として、今後とも持続的に成長できるようサポートを行うととともに、FCCEとしては「Zaif Exchange」で停止している一部サービスの早期再開を目指し、更なる組織的、システム的な安全性を確保し、圧倒的に使いやすい暗号資産(仮想通貨)サービスの提供に努めてまいります。
また、当社は、2019年7月に早期の自己資本の充実と、財務基盤の安定化及び復配に向けての配当原資の確保を図るため、連結子会社であった株式会社フィスコダイヤモンドエージェンシー及び株式会社フィスコIRを吸収合併し、2018年9月に当社発行の第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の買入消却の対価として、当社が保有する株式会社ネクスグループ(以下「ネクスグループ」といいます。)株式を投資事業有限責任組合デジタルアセットファンド及び株式会社実業之日本社(以下「実業之日本社」といいます。)へ譲渡いたしました。これに伴い、ネクスグループは当第3四半期連結会計期間から当社の連結子会社から持分法適用関連会社に変更されております。加えて、当社は、ネクスグループを割当先とする第三者割当による普通株式の発行(現物出資(デット・エクイティ・スワップ))を行ったことにより、当社単体において、2018年12月期に比べ有利子負債の大幅な圧縮(2018年12月期2,450百万円、2019年12月期261百万円)及び自己資本比率の大幅な改善(2018年12月期5.9%、2019年12月期80.3%)を実現いたしました。
今回の再編を機に、当社の主力事業である情報サービス事業の安定的な収益の確保、暗号資産(仮想通貨)にかかるサービス提供に特化し、各社の営業リソースの集約と顧客ネットワークを集中的に活用することで成長に向けての新たな戦略展開を行い、管理部門等の統合によるオペレーションの合理化、費用削減ならびに意思決定の迅速化を図り、効率的な経営を行い、事業の成長を推し進めております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、ネクスグループが連結から除外されたことなどが影響し、売上高は5,789百万円(前期比48.2%減)となりました。売上原価は、3,284百万円(前期比48.9%減)となり、販売費及び一般管理費は、3,090百万円(前期比46.8%減)となりました。営業損失は586百万円(前期は1,074百万円の営業損失)となりました。
また、新たに持分法適用関連会社となったネクスグループ及び株式会社フィスコデジタルアセットグループに対する持分法による投資損失361百万円などの計上により経常損失984百万円(前期は2,644百万円の経常損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、ネクスグループの株式の売却益などにより特別利益397百万円を計上した一方、ネクスグループが株式会社カイカ株式の売却などにより特別損失503百万円を計上し、非支配株主に帰属する当期純損失487百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失666百万円(前期は2,255百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は、以下のとおりであります。
第3四半期連結会計期間より、ネクスグループが連結子会社から持分法適用関連会社に変更されたことに伴い、当社グループが営む事業セグメントに重要な変更が生じていることから、「情報サービス事業」、「広告代理業」、「仮想通貨・ブロックチェーン事業」及び「その他」となります。なお、「インターネット旅行事業」、「IoT関連事業」、「ブランドリテールプラットフォーム事業」につきましては、第2四半期連結累計期間までの業績となります。
① 情報サービス事業
個人向けサービスは、レポートの販売本数減少等やコンテンツの見直しによるサービスの再開が遅れていることが主因で「クラブフィスコ」及び「フィスコAI」のサービスによる売上高が1百万円(前期比95.7%減)となりました。
ポータルサービスは、「YAHOO!JAPAN ファイナンス」もクラブフィスコ同様、コンテンツの見直しを行ったことで、当社のページビューも前期比で減少しており、売上高は34百万円(前期比21.1%減)となりました。昨年より「クラブフィスコ」及び「フィスコAI」のコンテンツの全面的な見直しを行っておりましたが、2019年12月にサービスを再開しております。
法人向けリアルタイムサービスにおいては、第1四半期連結会計期間にて金融情報専用端末における金融機関の解約があり前年同期比で若干減少したものの、その後堅調に推移し、売上高は114百万円(前期比6.8%減)となりました。
アウトソーシングサービスにおいては、新規契約による取引増加などにより昨年を上回る水準で推移し、売上高は229百万円(前期比3.2%増)となりました。
プラットフォームサービスでは、プラットフォームで管理している各種情報の提供による売上及びプラットフォームでの広告による売上が減少し、売上高は17百万円(前期比27.0%減)を計上しております。
企業IR支援サービス分野におきましては、スポンサー型アナリストレポート(以下、「企業調査レポート」といいます。)サービスの受注が堅調に推移しているものの、一部のクライアント企業におけるIR予算圧縮などが原因で、売上高は668百万円(前期比19.7%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,082百万円(前期比15.5%減)と減少しましたが、利益率の高い案件の獲得及び継続的に取り組んでいる費用削減や取引先の見直し等の施策により、セグメント利益は194百万円(前期は173百万円のセグメント損失)と大幅に改善しました。また、2021年12月期までに、企業IR支援サービス分野におけるクライアントネットワーク数1,000社の目標に対し、現在約600社のクライアントネットワーク数となっており、企業調査レポート、大企業向け統合レポートやアニュアルレポートの受注や、翻訳業務のニーズの取り込み等、企業のIRに関する課題をワンストップで解決できる体制構築と事業拡大を目指します。
② インターネット旅行事業
インターネット旅行事業のイー・旅ネット・ドット・コム株式会社(以下「イー・旅ネット・ドット・コム」といいます。)及びその子会社では、新たな旅行サービスが乱立するなか、インターネットによるオーダーメイド旅行の見積りサービスに特化し、年々多様化している消費者ニーズに対応すべく、見積り依頼のチャット対応やAIコンシェルジュ対応などユーザビリティの向上を図るとともに見積り依頼の獲得に向けた業務提携も強化しました。株式会社ウェブトラベル(以下「ウェブトラベル」といいます。)においては、トラベルコンシェルジュ事業を柱に、さらに魅力あるサービスにすべく取り組んだコンシェルジュのレベルアップ、スピードアップ、サポート体制の強化などにより、受注率のアップやリピーター獲得に効果が出て、コンシェルジュが旅行以外の特技を活かせる場として始めましたクラウドソーシング事業も堅調に推移しました。
株式会社グロリアツアーズ(以下「グロリアツアーズ」といいます。)においては、2020年の東京パラリンピックの開催に向け国内外の大会の渡航手配、大会運営補助等の需要が増えました。また、パラスポーツ選手・人材をキャスティングするサービスやパラアスリートによる講演会・体験会など企画運営サービスを開始しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,141百万円(前期比51.8%減)、セグメント利益は12百万円(前期比68.0%減)を計上いたしました。
③ IoT関連事業
株式会社ネクス(以下「ネクス」といいます。)は、培ってきた自動車テレマティクスをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースに「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、IoT×新技術を活用した新たなサービスの提供に注力しています。既存製品につきましては、2018年8月に2019年度米国防権限法(NDAA2019)の成立により、華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION)、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信(Hytera)の計5社への締め付けが大幅に強化され、2019年8月に米政府機関による上記5社からの調達を禁ずる措置が発効されました。ネクスでは、現在販売中の全ての製品において、今回成立した2019年度米国防権限法(NDAA2019)に関わる上記5社への製造委託や上記5社からの部品の採用を行っておらず、上記5社の製品からの切替需要が増加しました。
株式会社ケア・ダイナミクス(以下「ケア・ダイナミクス」といいます。)では、介護事業者向けASPシステムの提供を行い、既に400以上の介護施設にシステムの導入実績がありますが、介護ロボットの導入支援や介護ICTの提供などのサービスを開始して「総合介護事業支援企業」へと進化いたしました。介護事業者支援サービスとして様々な介護ロボットの販売代理を行い、マンガを使った法人案内リーフレット、広告作成サービスなどの提供も行っております。また、前述した介護送迎車用のOBDⅡソリューション「ドライブケア」の導入先施設での見学会を継続開催し、無料トライアルを行っております。また、介護施設の電気代削減を支援するための電力会社見直し及び、切り替えサポートサービスのほか、節水システム紹介サービス、ネットワーク構築サポートサービスならびに睡眠管理システムの販売も行っております。
株式会社イーフロンティア(以下「イーフロンティア」といいます。)は、グラフィックデザイン制作用ソフトウェアを中心にクリエイター向けのソフトウェアを各種販売しております。また、クリエイター向けに多くの周辺機器を開発するOWC社(Other World Computing, Inc.)と日本国内総代理店契約を締結しており、日本国内向けにThunderbolt3*1製品やeGPU*2などのコンピュータ周辺機器の販売及び付帯サービスを行っております。2018年末に株式会社スクウェア・エニックスの運営する大手オンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」の「ドマ式麻雀」ゲームの基幹エンジンとして「AI麻雀」プログラムの提供を行うなど、引き続き顧客獲得の拡大を目指しております。
*1「Thunderbolt3」とは、インテルとアップルが共同開発した高速汎用データ伝送技術で、USB Type-Cを使用するもの。
*2「eGPU」とは、ノートパソコンなどでも利用できる、外付けのGPUユニットのこと。
農業ICT事業(NCXX FARM)につきましては、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進しております。「6次産業化事業」では、5色のミニトマトの栽培に加え、昨年より販売を開始したスーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の専用のサイト(https://farm.ncxx.co.jp/services/goldenberry/)を設け、青果に加えて加工品の「GOLDEN BERRYアイス」の販売を開始、好評をいただいております。「フランチャイズ事業」では、野菜の生長に必要な要素と健康管理に必要な要素を複合的に組み合わせて環境管理を自動的に行う「環境管理予測システム NCXX FARM」を導入し、制御の効果について引き続き検証を行っております。また、ミニトマトに比べて総収穫量こそ少ないものの、収量が安定していて利益率も高い「GOLDEN BERRY(食用ほおずき)」用のフランチャイズ事業も商品化して販売を開始しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、511百万円(前期比47.3%減)となり、セグメント利益31百万円(前期比54.8%減)を計上いたしました。
④ 広告代理業
オリンピックイヤーを前に業務提携先の実業之日本社が手がける、パラスポーツマガジンの広告掲載、タイアップ記事掲載など新規広告獲得が進んでいます。引き続き重点強化分野として取り組みを継続しており、案件の獲得と1件当たりの受注金額及びサービス組み合わせ等による獲得単価アップや大型化を図りましたが、小規模なスポット需要が多く、継続性のある案件の維持と確保が課題となっております。
この結果、当連結会計年度の売上高は80百万円(前期比25.7%減)となり、セグメント損失10百万円(前期は3百万円のセグメント損失)となりました。
⑤ ブランドリテールプラットフォーム事業
株式会社チチカカ(以下「チチカカ」といいます。)では、前期に引き続き、不採算店舗の閉店や人員体制の見直しなどによる構造改革を進めております。また、NCXX International Limitedにおいて2018年12月に香港にオープンしましたチチカカのFC店舗2店舗は、地元顧客層基盤を形成しながら堅調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は2,977百万円(前期比53.9%減)、セグメント損失は319百万円(前期は455百万円のセグメント損失)となりました。
⑥ 仮想通貨・ブロックチェーン事業
株式会社ヴァルカン・クリプト・カレンシー・フィナンシャル・プロダクツにおいて、暗号資産(仮想通貨)に対する自己勘定投資を行っており、損益の純額を売上に計上しております。2019年1月にはビットコインの価格が40万円台だったものが一時1ビットコイン120万円まで上昇し、その後下落基調で推移したこともあり積極的なトレーディングを控えておりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は10百万円(前期比53.2%減)、セグメント損失は1百万円(前期は7百万円のセグメント利益)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、ネクスグループが連結子会社から持分法関連会社に変更されたことにより、前連結会計年度末に比して1,024百万円減少し、109百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は576百万円の減少(前連結会計年度は1,818百万円の増加)となりました。これは主に、関係会社株式売却益394百万円があった事によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は1,405百万円の増加(前連結会計年度は1,536百万円の減少)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入1,074百万円、短期及び長期の貸付金742百万円の回収があった一方で、長期貸付金の支出465百万円があった事によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は712百万円の減少(前連結会計年度は540百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額が151百万円減少し、長期借入金の返済による支出522百万円があった事によるものです。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
ネクスグループを連結の範囲から除外したことに伴い、重要性の観点から生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。
(2)受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。
(繰延税金資産)
企業会計上の収益・費用と、課税所得計算上の益金又は損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき貸借対照表への繰延税金資産計上の要否を検討しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積りが減少した場合は、繰延税金資産が減少され、税金費用が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、債権に対し貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、過去の貸倒損失の実績及び回収可能性に疑義がある債権の個別評価に基づいて計上しております。入手可能な情報に基づき貸倒引当金は十分であると考えておりますが、将来、債権先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
(有価証券)
当社グループは、時価を把握することが極めて困難と認められる投資有価証券を保有しております。これらの投資有価証券につきましては、実質価額が著しく低下し、かつ回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
ⅰ.資産の増減
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比して8,484百万円減少し、2,203百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比して3,784百万円減少いたしました。これは現金及び預金が1,030百万円減少したこと、受取手形及び売掛金が607百万円減少したこと、商品及び製品が1,146百万円減少したこと、仕掛品が270百万円減少したこと、前渡金が300百万円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比して4,699百万円減少いたしました。これは、有形固定資産が758百万円減少したこと、投資有価証券が2,373百万円減少したことなどが主たる要因であります。
ⅱ.負債の増減
負債につきましては、前連結会計年度末における負債総額が7,705百万円だったのに対し、当連結会計年度末は6,289百万円減少し1,416百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が584百万円減少したこと、短期借入金が401百万円減少したこと、1年内返済予定を含む長期借入金が1,983百万円減少したこと、前受金が374百万円減少したこと、未払金が199百万円減少したこと、転換社債型新株予約権付社債が1,200百万円減少したこと、資産除去債務が377百万円減少したこと、長期未払金が122百万円減少したこと、繰延税金負債が827百万円減少したことなどが主たる要因であります。
ⅲ.純資産の増減
純資産につきましては、前連結会計年度末に比して2,195百万円減少し786百万円となりました。これは、資本金が469百万円減少したこと、利益剰余金が1,006百万円増加したこと、非支配株主持分が2,727百万円減少したことなどが主たる要因であります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、売上高は5,789百万円(前期比48.2%減)となりました。売上原価は、3,284百万円(前期比48.9%減)となり、販売費及び一般管理費は、3,090百万円(前期比46.8%減)となりました。
営業損失は、586百万円(前期は1,074百万円の営業損失)となりました。
また、経常損失は、984百万円(前期は2,644百万円の経常損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損失は、666百万円(前期は2,255百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
詳細は、「業績等の概要」に記載のとおりであります。
(4)流動性及び資金の源泉
①キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要」に記載しております。
②資金需要及び財務政策
当社グループでは、運転資金、設備投資及び投融資資金の資金需要があり、自己資金、借入、社債の発行、及び保有株式の売却といった資金調達方法の中から、諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦の悪化や中東情勢の混乱や海外経済の減速懸念、不安定な政治動向や地政学リスクが与える影響などから、製造業を中心に輸出と生産面で弱めの動きが続いています。一方で、非製造業を中心に設備投資が堅調に拡大を続けており、加えて、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移し、公共投資も拡大に転じつつあり、内需は緩やかに拡大を続けています。
当社の事業である情報サービスと関連性の高い国内株式市場におきましては、日経平均株価は年初19,000円台まで落ち込む場面もありましたが、前年の年末終値と比較して3,641円上昇し23,656円62銭で年内の取引を終えました。一方、外国為替市場におきましても、年初に一時、対米ドルで105円を上回る展開となりましたが、その後は107円~109円で円安方向に推移しました。
仮想通貨交換業業界では、2019年6月に現行の資金決済法の改正案と仮想通貨デリバティブやSTO等に関する金融商品取引法の改正が公布されました。また、日本市場は一昨年初頭の事件より低迷が続いておりますが、昨年も世界を見ればブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)の熱量は高まり続けており、今後の一層の発展を疑う余地はないと思料しております(一般社団法人日本仮想通貨交換業協会「年頭所感」https://jvcea.or.jp/news/main-info/20200101-001/)。国内においても、2019年以降IT大手企業が続々と仮想通貨交換業業界に参入しており、海外大手取引所も日本支社を開設するなど、国内において新たに仮想通貨交換業の登録を目指す動きが見られます。
このような状況のもと、引き続き当社グループでは、ビットコインを中心とした暗号資産(仮想通貨)の情報、交換所、同システム、金融仲介機能を網羅し、IoTと産業分野への融合なども含めて、暗号資産(仮想通貨)による一気通貫のサービス提供を可能とすることを成長戦略とし、先行投資を行っております。
2018年10月に、当社の持分法適用関連会社である株式会社フィスコ仮想通貨取引所(以下「FCCE」といいます。)がテックビューロ株式会社と、「Zaif」事業を譲り受ける内容の事業譲渡契約を締結し、同年11月22日に事業譲渡が実行されました。利用者の事業譲渡に対する承認手続き(引継ぎ手続き)は、2019年4月22日13時をもって終了しております。なお、FCCEは同年6月21日に、金融庁より資金決済法に基づく業務改善命令を受けております。今回の業務改善命令によるお客様のサービスご利用への影響は一切ありません。ただし、当社グループとしてはFCCEに対し、お客様が安心して利用することができ、社会的に有用な仮想通貨交換業者として、今後とも持続的に成長できるようサポートを行うととともに、FCCEとしては「Zaif Exchange」で停止している一部サービスの早期再開を目指し、更なる組織的、システム的な安全性を確保し、圧倒的に使いやすい暗号資産(仮想通貨)サービスの提供に努めてまいります。
また、当社は、2019年7月に早期の自己資本の充実と、財務基盤の安定化及び復配に向けての配当原資の確保を図るため、連結子会社であった株式会社フィスコダイヤモンドエージェンシー及び株式会社フィスコIRを吸収合併し、2018年9月に当社発行の第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の買入消却の対価として、当社が保有する株式会社ネクスグループ(以下「ネクスグループ」といいます。)株式を投資事業有限責任組合デジタルアセットファンド及び株式会社実業之日本社(以下「実業之日本社」といいます。)へ譲渡いたしました。これに伴い、ネクスグループは当第3四半期連結会計期間から当社の連結子会社から持分法適用関連会社に変更されております。加えて、当社は、ネクスグループを割当先とする第三者割当による普通株式の発行(現物出資(デット・エクイティ・スワップ))を行ったことにより、当社単体において、2018年12月期に比べ有利子負債の大幅な圧縮(2018年12月期2,450百万円、2019年12月期261百万円)及び自己資本比率の大幅な改善(2018年12月期5.9%、2019年12月期80.3%)を実現いたしました。
今回の再編を機に、当社の主力事業である情報サービス事業の安定的な収益の確保、暗号資産(仮想通貨)にかかるサービス提供に特化し、各社の営業リソースの集約と顧客ネットワークを集中的に活用することで成長に向けての新たな戦略展開を行い、管理部門等の統合によるオペレーションの合理化、費用削減ならびに意思決定の迅速化を図り、効率的な経営を行い、事業の成長を推し進めております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、ネクスグループが連結から除外されたことなどが影響し、売上高は5,789百万円(前期比48.2%減)となりました。売上原価は、3,284百万円(前期比48.9%減)となり、販売費及び一般管理費は、3,090百万円(前期比46.8%減)となりました。営業損失は586百万円(前期は1,074百万円の営業損失)となりました。
また、新たに持分法適用関連会社となったネクスグループ及び株式会社フィスコデジタルアセットグループに対する持分法による投資損失361百万円などの計上により経常損失984百万円(前期は2,644百万円の経常損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、ネクスグループの株式の売却益などにより特別利益397百万円を計上した一方、ネクスグループが株式会社カイカ株式の売却などにより特別損失503百万円を計上し、非支配株主に帰属する当期純損失487百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失666百万円(前期は2,255百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は、以下のとおりであります。
第3四半期連結会計期間より、ネクスグループが連結子会社から持分法適用関連会社に変更されたことに伴い、当社グループが営む事業セグメントに重要な変更が生じていることから、「情報サービス事業」、「広告代理業」、「仮想通貨・ブロックチェーン事業」及び「その他」となります。なお、「インターネット旅行事業」、「IoT関連事業」、「ブランドリテールプラットフォーム事業」につきましては、第2四半期連結累計期間までの業績となります。
① 情報サービス事業
個人向けサービスは、レポートの販売本数減少等やコンテンツの見直しによるサービスの再開が遅れていることが主因で「クラブフィスコ」及び「フィスコAI」のサービスによる売上高が1百万円(前期比95.7%減)となりました。
ポータルサービスは、「YAHOO!JAPAN ファイナンス」もクラブフィスコ同様、コンテンツの見直しを行ったことで、当社のページビューも前期比で減少しており、売上高は34百万円(前期比21.1%減)となりました。昨年より「クラブフィスコ」及び「フィスコAI」のコンテンツの全面的な見直しを行っておりましたが、2019年12月にサービスを再開しております。
法人向けリアルタイムサービスにおいては、第1四半期連結会計期間にて金融情報専用端末における金融機関の解約があり前年同期比で若干減少したものの、その後堅調に推移し、売上高は114百万円(前期比6.8%減)となりました。
アウトソーシングサービスにおいては、新規契約による取引増加などにより昨年を上回る水準で推移し、売上高は229百万円(前期比3.2%増)となりました。
プラットフォームサービスでは、プラットフォームで管理している各種情報の提供による売上及びプラットフォームでの広告による売上が減少し、売上高は17百万円(前期比27.0%減)を計上しております。
企業IR支援サービス分野におきましては、スポンサー型アナリストレポート(以下、「企業調査レポート」といいます。)サービスの受注が堅調に推移しているものの、一部のクライアント企業におけるIR予算圧縮などが原因で、売上高は668百万円(前期比19.7%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,082百万円(前期比15.5%減)と減少しましたが、利益率の高い案件の獲得及び継続的に取り組んでいる費用削減や取引先の見直し等の施策により、セグメント利益は194百万円(前期は173百万円のセグメント損失)と大幅に改善しました。また、2021年12月期までに、企業IR支援サービス分野におけるクライアントネットワーク数1,000社の目標に対し、現在約600社のクライアントネットワーク数となっており、企業調査レポート、大企業向け統合レポートやアニュアルレポートの受注や、翻訳業務のニーズの取り込み等、企業のIRに関する課題をワンストップで解決できる体制構築と事業拡大を目指します。
② インターネット旅行事業
インターネット旅行事業のイー・旅ネット・ドット・コム株式会社(以下「イー・旅ネット・ドット・コム」といいます。)及びその子会社では、新たな旅行サービスが乱立するなか、インターネットによるオーダーメイド旅行の見積りサービスに特化し、年々多様化している消費者ニーズに対応すべく、見積り依頼のチャット対応やAIコンシェルジュ対応などユーザビリティの向上を図るとともに見積り依頼の獲得に向けた業務提携も強化しました。株式会社ウェブトラベル(以下「ウェブトラベル」といいます。)においては、トラベルコンシェルジュ事業を柱に、さらに魅力あるサービスにすべく取り組んだコンシェルジュのレベルアップ、スピードアップ、サポート体制の強化などにより、受注率のアップやリピーター獲得に効果が出て、コンシェルジュが旅行以外の特技を活かせる場として始めましたクラウドソーシング事業も堅調に推移しました。
株式会社グロリアツアーズ(以下「グロリアツアーズ」といいます。)においては、2020年の東京パラリンピックの開催に向け国内外の大会の渡航手配、大会運営補助等の需要が増えました。また、パラスポーツ選手・人材をキャスティングするサービスやパラアスリートによる講演会・体験会など企画運営サービスを開始しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,141百万円(前期比51.8%減)、セグメント利益は12百万円(前期比68.0%減)を計上いたしました。
③ IoT関連事業
株式会社ネクス(以下「ネクス」といいます。)は、培ってきた自動車テレマティクスをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースに「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、IoT×新技術を活用した新たなサービスの提供に注力しています。既存製品につきましては、2018年8月に2019年度米国防権限法(NDAA2019)の成立により、華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION)、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信(Hytera)の計5社への締め付けが大幅に強化され、2019年8月に米政府機関による上記5社からの調達を禁ずる措置が発効されました。ネクスでは、現在販売中の全ての製品において、今回成立した2019年度米国防権限法(NDAA2019)に関わる上記5社への製造委託や上記5社からの部品の採用を行っておらず、上記5社の製品からの切替需要が増加しました。
株式会社ケア・ダイナミクス(以下「ケア・ダイナミクス」といいます。)では、介護事業者向けASPシステムの提供を行い、既に400以上の介護施設にシステムの導入実績がありますが、介護ロボットの導入支援や介護ICTの提供などのサービスを開始して「総合介護事業支援企業」へと進化いたしました。介護事業者支援サービスとして様々な介護ロボットの販売代理を行い、マンガを使った法人案内リーフレット、広告作成サービスなどの提供も行っております。また、前述した介護送迎車用のOBDⅡソリューション「ドライブケア」の導入先施設での見学会を継続開催し、無料トライアルを行っております。また、介護施設の電気代削減を支援するための電力会社見直し及び、切り替えサポートサービスのほか、節水システム紹介サービス、ネットワーク構築サポートサービスならびに睡眠管理システムの販売も行っております。
株式会社イーフロンティア(以下「イーフロンティア」といいます。)は、グラフィックデザイン制作用ソフトウェアを中心にクリエイター向けのソフトウェアを各種販売しております。また、クリエイター向けに多くの周辺機器を開発するOWC社(Other World Computing, Inc.)と日本国内総代理店契約を締結しており、日本国内向けにThunderbolt3*1製品やeGPU*2などのコンピュータ周辺機器の販売及び付帯サービスを行っております。2018年末に株式会社スクウェア・エニックスの運営する大手オンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」の「ドマ式麻雀」ゲームの基幹エンジンとして「AI麻雀」プログラムの提供を行うなど、引き続き顧客獲得の拡大を目指しております。
*1「Thunderbolt3」とは、インテルとアップルが共同開発した高速汎用データ伝送技術で、USB Type-Cを使用するもの。
*2「eGPU」とは、ノートパソコンなどでも利用できる、外付けのGPUユニットのこと。
農業ICT事業(NCXX FARM)につきましては、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進しております。「6次産業化事業」では、5色のミニトマトの栽培に加え、昨年より販売を開始したスーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の専用のサイト(https://farm.ncxx.co.jp/services/goldenberry/)を設け、青果に加えて加工品の「GOLDEN BERRYアイス」の販売を開始、好評をいただいております。「フランチャイズ事業」では、野菜の生長に必要な要素と健康管理に必要な要素を複合的に組み合わせて環境管理を自動的に行う「環境管理予測システム NCXX FARM」を導入し、制御の効果について引き続き検証を行っております。また、ミニトマトに比べて総収穫量こそ少ないものの、収量が安定していて利益率も高い「GOLDEN BERRY(食用ほおずき)」用のフランチャイズ事業も商品化して販売を開始しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、511百万円(前期比47.3%減)となり、セグメント利益31百万円(前期比54.8%減)を計上いたしました。
④ 広告代理業
オリンピックイヤーを前に業務提携先の実業之日本社が手がける、パラスポーツマガジンの広告掲載、タイアップ記事掲載など新規広告獲得が進んでいます。引き続き重点強化分野として取り組みを継続しており、案件の獲得と1件当たりの受注金額及びサービス組み合わせ等による獲得単価アップや大型化を図りましたが、小規模なスポット需要が多く、継続性のある案件の維持と確保が課題となっております。
この結果、当連結会計年度の売上高は80百万円(前期比25.7%減)となり、セグメント損失10百万円(前期は3百万円のセグメント損失)となりました。
⑤ ブランドリテールプラットフォーム事業
株式会社チチカカ(以下「チチカカ」といいます。)では、前期に引き続き、不採算店舗の閉店や人員体制の見直しなどによる構造改革を進めております。また、NCXX International Limitedにおいて2018年12月に香港にオープンしましたチチカカのFC店舗2店舗は、地元顧客層基盤を形成しながら堅調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は2,977百万円(前期比53.9%減)、セグメント損失は319百万円(前期は455百万円のセグメント損失)となりました。
⑥ 仮想通貨・ブロックチェーン事業
株式会社ヴァルカン・クリプト・カレンシー・フィナンシャル・プロダクツにおいて、暗号資産(仮想通貨)に対する自己勘定投資を行っており、損益の純額を売上に計上しております。2019年1月にはビットコインの価格が40万円台だったものが一時1ビットコイン120万円まで上昇し、その後下落基調で推移したこともあり積極的なトレーディングを控えておりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は10百万円(前期比53.2%減)、セグメント損失は1百万円(前期は7百万円のセグメント利益)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、ネクスグループが連結子会社から持分法関連会社に変更されたことにより、前連結会計年度末に比して1,024百万円減少し、109百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は576百万円の減少(前連結会計年度は1,818百万円の増加)となりました。これは主に、関係会社株式売却益394百万円があった事によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は1,405百万円の増加(前連結会計年度は1,536百万円の減少)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入1,074百万円、短期及び長期の貸付金742百万円の回収があった一方で、長期貸付金の支出465百万円があった事によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は712百万円の減少(前連結会計年度は540百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額が151百万円減少し、長期借入金の返済による支出522百万円があった事によるものです。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
ネクスグループを連結の範囲から除外したことに伴い、重要性の観点から生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。
(2)受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
情報サービス事業 | 1,078,540 | 86.6 |
インターネット旅行事業 | 1,138,304 | 48.2 |
IoT関連事業 | 502,014 | 52.8 |
広告代理業 | 78,438 | 76.2 |
ブランドリテール プラットフォーム事業 | 2,973,702 | 46.1 |
仮想通貨・ ブロックチェーン事業 | 10,674 | 3.5 |
報告セグメント計 | 5,781,674 | 50.6 |
その他 | 7,729 | 21.5 |
合計 | 5,789,403 | 50.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。
(繰延税金資産)
企業会計上の収益・費用と、課税所得計算上の益金又は損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき貸借対照表への繰延税金資産計上の要否を検討しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積りが減少した場合は、繰延税金資産が減少され、税金費用が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、債権に対し貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、過去の貸倒損失の実績及び回収可能性に疑義がある債権の個別評価に基づいて計上しております。入手可能な情報に基づき貸倒引当金は十分であると考えておりますが、将来、債権先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
(有価証券)
当社グループは、時価を把握することが極めて困難と認められる投資有価証券を保有しております。これらの投資有価証券につきましては、実質価額が著しく低下し、かつ回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
ⅰ.資産の増減
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比して8,484百万円減少し、2,203百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比して3,784百万円減少いたしました。これは現金及び預金が1,030百万円減少したこと、受取手形及び売掛金が607百万円減少したこと、商品及び製品が1,146百万円減少したこと、仕掛品が270百万円減少したこと、前渡金が300百万円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比して4,699百万円減少いたしました。これは、有形固定資産が758百万円減少したこと、投資有価証券が2,373百万円減少したことなどが主たる要因であります。
ⅱ.負債の増減
負債につきましては、前連結会計年度末における負債総額が7,705百万円だったのに対し、当連結会計年度末は6,289百万円減少し1,416百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が584百万円減少したこと、短期借入金が401百万円減少したこと、1年内返済予定を含む長期借入金が1,983百万円減少したこと、前受金が374百万円減少したこと、未払金が199百万円減少したこと、転換社債型新株予約権付社債が1,200百万円減少したこと、資産除去債務が377百万円減少したこと、長期未払金が122百万円減少したこと、繰延税金負債が827百万円減少したことなどが主たる要因であります。
ⅲ.純資産の増減
純資産につきましては、前連結会計年度末に比して2,195百万円減少し786百万円となりました。これは、資本金が469百万円減少したこと、利益剰余金が1,006百万円増加したこと、非支配株主持分が2,727百万円減少したことなどが主たる要因であります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、売上高は5,789百万円(前期比48.2%減)となりました。売上原価は、3,284百万円(前期比48.9%減)となり、販売費及び一般管理費は、3,090百万円(前期比46.8%減)となりました。
営業損失は、586百万円(前期は1,074百万円の営業損失)となりました。
また、経常損失は、984百万円(前期は2,644百万円の経常損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損失は、666百万円(前期は2,255百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
詳細は、「業績等の概要」に記載のとおりであります。
(4)流動性及び資金の源泉
①キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要」に記載しております。
②資金需要及び財務政策
当社グループでは、運転資金、設備投資及び投融資資金の資金需要があり、自己資金、借入、社債の発行、及び保有株式の売却といった資金調達方法の中から、諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。