有価証券報告書-第27期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/30 16:46
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経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下のとおりであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、年初から続く新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛や個人消費の低迷を受けた経済活動の停滞により、深刻な打撃を受けました。緊急事態宣言解除後は、徐々に経済活動が再開されたものの、年末にかけて再び感染拡大が始まり、年明けには2度目の緊急事態宣言が発出されるなど、経済の見通しは依然として、予断を許さない状況にあります。
当社事業の情報サービスと関連性の高い国内株式市場におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響により、株価は2020年3月に一時16,000円台まで急落しましたが、徐々に回復し、前年の年末終値と比較して3,787円上昇し27,444円17銭で年内の取引を終えました。新型コロナウイルス感染症の収束の兆しが見えない状況が続く中、足元ではワクチン普及加速への期待とともに、同感染症の拡大防止対策を講じつつ、徐々に経済活動の正常化への動きが進むものと想定されます。
当社の持分法適用関連会社のZaif Holdingsの子会社であるZaifは、2019年6月21日に、金融庁より資金決済法に基づく、業務改善命令を受けておりましたが、2020年8月31日に継続的な報告義務が解除されました。引き続き当社グループでは、暗号資産の情報、交換所、同システム、金融仲介機能を網羅し、暗号資産による一気通貫のサービス提供を可能とすることを成長戦略としています。
また、当社は2016年に企業トークン、フィスココイン(略称「FSCC」)を発行しており、FSCCを当社個人向けサービスである「クラブフィスコ」における決済通貨として採用するなど、暗号資産分野において積極的な取り組みを行っております。FSCCを決済通貨として利用促進することで、利用者が様々なメリットを享受できるようなフィスココイン経済圏の形成に取り組んでおります。
なお、当社がネクスグループの株式を売却したことに伴い、第3四半期連結会計期間より、ネクスグループは持分法適用関連会社から除外されています。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,119百万円(前期は5,789百万円の売上高)、売上総利益722百万円は(前期は2,504百万円の売上総利益)となりました。販売費及び一般管理費は、661百万円(前期は3,090百万円の販売費及び一般管理費)となり、営業利益は61百万円(前期は586百万円の営業損失)となりました。また、当社が保有する暗号資産を売却したことに伴い、暗号資産売却益として営業外収益に83百万円を計上したものの、持分法適用関連会社のネクスグループ及びZaif Holdingsに対する持分法による投資損失286百万円を計上したことなどにより経常損失127百万円(前期は984百万円の経常損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益はネクスグループ株式の売却により、ネクスグループを持分法適用関連会社から除外したことに伴う特別利益128百万円を計上した結果、66百万円(前期は666百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は、以下のとおりであります。
① 情報サービス事業
金融・経済情報配信サービス分野におきましては、ポータルサービスおよび法人向けリアルタイムサービスが前期比で15百万円減少したものの、機関投資家向けやアウトソーシングサービスの新規契約による取引増加および個人向けサービスである「クラブフィスコ」が前期比で売上高が27百万円増加し、売上高は423百万円(前期は415百万円の売上高)となりました。
上場企業を対象としたIR支援およびコンサルティングサービス分野におきましては、季節性の高い大企業向け統合報告書やアニュアルレポートについて、そのサービス特性から検収時期および売上計上時期が下期偏重傾向にありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、売上検収時期の延期などの影響を受けました。また、スポンサー型アナリストレポート(企業調査レポート)についても、新型コロナウイルス感染症に伴う契約企業の業績悪化によるIRコスト削減などの影響を受け、解約やサービスの一時中断等が生じております。これらの影響により売上高は608百万円(前期は668百万円の売上高)となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,031百万円(前期は1,082百万円の売上高)と減少しましたが、利益率の高い案件の獲得及び継続的に取り組んでいる費用削減や取引先の見直し等の施策により、セグメント利益は304百万円(前期は194百万円のセグメント利益)と大幅に改善しました。
② 広告代理業
2020年夏に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックに伴い、業務提携先の実業之日本社が手がける、パ ラスポーツマガジンの広告掲載、タイアップ記事掲載など新規広告獲得が進んでおりましたが、大会の延期による企業広告の減少およびクライアント企業の事業活動の自粛等の影響を受けたことにより、広告収入の減少を余儀なくさ れましたが、案件1件当たりの受注金額および、獲得単価アップと費用削減を図りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は65百万円(前期は80百万円の売上高)となり、セグメント利益18百万円(前期は10百万円のセグメント損失)となりました。
③ 暗号資産・ブロックチェーン事業
株式会社フィスコ・コンサルティングにおいて、暗号資産に対する自己勘定投資を行っており、損益の純額を売上に計上しております。ビットコインを中心とした暗号資産の取引価格が、2020年10月から年末にかけ1ビットコイン120万円から1ビットコイン250万円以上に急騰し、2021年2月には1ビットコイン500万円を超えるなど取引相場が活況な状況もあり、その取引相場の状況に応じてトレーディングを行いました。
この結果、当連結会計年度の売上高はトレーディングも含め22百万円(前期は10百万円)、セグメント利益は20百万円(前期は1百万円のセグメント損失)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比して517百万円増加し、2,720百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比して124百万円増加いたしました。これは現金及び預金が41百万円増加したこと、売掛金が106百万円増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比して393百万円増加いたしました。これは、無形固定資産が92百万円増加したこと、投資有価証券が297百万円増加したことなどが主たる要因であります。
(負債)
負債につきましては、前連結会計年度末に比して6百万円増加し1,422百万円となりました。これは、短期借入金が59百万円減少したこと、1年内返済予定の長期借入金が13百万円減少したこと、前受金が26百万円減少したこと、持分法適用に伴う負債が151百万円増加したことなどが主たる要因であります。
(純資産)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比して511百万円増加し1,297百万円となりました。これは、利益剰余金が423百万円増加したこと、自己株式が279百万円減少したこと、その他有価証券評価差額金が179百万円減少したことなどが主たる要因であります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比して41百万円増加し、151百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は41百万円の減少(前連結会計年度は576百万円の減少)となりました。これは主に、前受金が26百万円減少したこと、未払金が11百万円減少したことおよび未払費用が2百万円減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は172百万円の増加(前連結会計年度は1,405百万円の増加)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入141百万円、暗号資産の売却による収入83百万円、長期貸付金の回収87百万円があった一方で、有形および無形固定資産の取得による支出132百万円があった事によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は89百万円の減少(前連結会計年度は712百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額が59百万円減少、長期借入金の借入による収入が39百万円、及び長期借入金の返済による支出が46百万円あった事によるものです
(4)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
重要性の観点から生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。
②受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
情報サービス事業1,031,68895.7
広告代理業65,44183.4
暗号資産・
ブロックチェーン事業
22,353209.4
報告セグメント計1,119,48319.4
その他420.5
合計1,119,52519.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度において、ネクスグループを連結の範囲から除外したことに伴い、当連結会計年度より以下の事業について報告セグメントを廃止しております。
・インターネット旅行事業
・IOT関連事業
・ブランドリテールプラットフォーム事業
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等は、売上高は1,119百万円(前期は5,789百万円の売上高)となりました。売上原価は、396百万円(前期は3,284百万円の売上原価)となり、販売費及び一般管理費は、661百万円(前期は3,090百万円の販売費及び一般管理費)となりました。
営業利益は、61百万円(前期は586百万円の営業損失)となりました。
また、経常損失は、127百万円(前期は984百万円の経常損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、66百万円(前期は666百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
詳細は、「経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況 」に記載のとおりであります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性にかかる情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フローの状況 」に記載しております。
当社グループでは、運転資金、設備投資及び投融資資金の資金需要があり、自己資金、借入、社債の発行、及び保有株式の売却といった資金調達方法の中から、諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。また、新型コロナウィルス感染症による影響等の不確実性については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (17) 新型コロナウイルス感染症による影響について」に記載しております。
(繰延税金資産)
企業会計上の収益・費用と、課税所得計算上の益金又は損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき貸借対照表への繰延税金資産計上の要否を検討しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積りが減少した場合は、繰延税金資産が減少され、税金費用が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、債権に対し貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、過去の貸倒損失の実績及び回収可能性に疑義がある債権の個別評価に基づいて計上しております。入手可能な情報に基づき貸倒引当金は十分であると考えておりますが、将来、債権先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
(有価証券)
当社グループは、時価を把握することが極めて困難と認められる投資有価証券を保有しております。これらの投資有価証券につきましては、実質価額が著しく低下し、かつ回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。