有価証券報告書-第39期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/25 12:48
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1 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかな回復基調で推移したものの、先行きにつきましては、消費税率引き上げの影響、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景とした世界経済の減速懸念の高まりなど不透明感が一層強まる状況となりました。
介護サービス業界におきましては、引き続き超高齢化社会への移行に伴い、介護サービスの利用者数は増加し、需要は更に高まっております。
その一方で、様々な業種にて人材不足が叫ばれている中、介護サービス業界におきましても、海外の人材も含め、人材確保に取り組むことは急務となっており、有資格者の確保はとりわけ困難な状況となっております。それらを改善するために、業界では、介護事業に従事することが社会において魅力があり、生きがいを持てる環境造りが求められております。
このような状況のもと当社グループにおきましては、収益面では、既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努めました。また、デイサービス1施設及びケアプランセンター4施設を新規開設しており、積極的な施設展開を図ってまいりました。費用面では、介護職員に係る人件費の増加により売上原価が増加するとともに、税務調査による消費税等の追加計上や業務拡大に伴う管理部門の強化等により販売費及び一般管理費が増加しました。また2020年3月以降は新型コロナウイルス感染症の流行によりデイサービス事業で、ご利用を控える利用者が増えるなどの影響が発生いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は15,132百万円(前連結会計年度比6.1%増)となり、営業利益は549百万円(同11.1%増)、経常利益は257百万円(同18.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は209百万円(同1178.1%増)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
(デイサービス事業)
当セグメントにおきましては、既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めてまいりました。その結果、売上高は3,630百万円(前連結会計年度比5.6%増)、セグメント利益は387百万円(同12.1%増)となりました。
(施設サービス事業)
当セグメントにおきましては、新規及び既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し、入居率の向上に努めました。その結果、売上高は10,517百万円(同6.1%増)、セグメント利益は1,339百万円(同9.2%増)となりました。
(在宅サービス事業)
当セグメントにおきましては、利益率の改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力してまいりました。その結果、売上高は913百万円(前年同四半期比8.5%増)、セグメント損失は68百万円(前年同四半期はセグメント損失97百万円)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて135百万円減少して18,181百万円となりました。その内訳は、流動資産の増加285百万円、固定資産の減少420百万円によるものであります。負債につきましては、前連結会計年度末に比べて322百万円減少して16,913百万円となりました。その内訳は、流動負債の増加341百万円、固定負債の減少664百万円によるものであります。また、純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて187百万円増加して1,268百万円となりました。その内訳は、利益剰余金の増加186百万円によるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて58百万円増加して870百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は749百万円(前連結会計年度比15.5%減)となりました。その主な内訳は、収入要因として増収増益となったことによる税金等調整前当期純利益344百万円、減価償却費641百万円、支出要因としては売上債権の増加額230百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は95百万円(同76.3%減)となりました。その主な内訳は、支出要因として有形固定資産の取得による支出275百万円、預り保証金の返還による支出89百万円、収入要因としては前連結会計年度、減損損失を計上した施設の事業所閉鎖に伴う、有形固定資産の売却による収入206百万円、預かり保証金の受け入れによる収入110百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は594百万円(同11.4%増)となりました。その主な内訳は、支出要因として短期借入金の返済による支出1,805百万円、主に、施設建設に係る長期借入金の返済による支出982百万円、リース債務の返済による支出179百万円、収入要因として短期借入れによる収入2,045百万円、主に、施設建設に係る長期借入れによる収入350百万円であります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループは生産を行っていないため、該当事項はありません。
②受注実績
当社グループは受注を行っていないため、該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループは一般顧客を対象とした介護サービス事業ですので、特定の販売先等はありません。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
デイサービス事業(百万円)3,6305.6%
施設サービス事業(百万円)10,5176.1%
在宅サービス事業(百万円)9138.5%
報告セグメント計(百万円)15,0626.2%
その他事業(百万円)701.5%
合計(百万円)15,1326.1%

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 デイサービス事業において、新規に1施設を開設しております。
4 在宅サービス事業において、新規にケアプランセンター4施設を開設しております。
2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績の分析
a 当連結会計年度につきましては、新規開設したデイサービスの利用者獲得及び有料老人ホームの入居率向上に注力したことから、売上高は15,132百万円(前連結会計年度比6.1%増)となりました。
b 売上原価につきましては、主に、有料老人ホームの入居者の増加に伴う介護職員の増員、消耗品や広告宣伝費の増加、サービスの充実に伴い人件費の上昇、入居促進のための入居紹介業者への手数料が増加いたしました。その結果、13,250百万円(前連結会計年度比5.3%増)となりました。
c 販売費及び一般管理費につきましては、事業規模の拡大に伴う管理費用の増大や内部監査体制の強化及び美化・サービスについての社員教育に係る費用の増加、税務調査による消費税等の不足税額等の追加計上等により、1,332百万円(同13.2%増)となりました。
d 営業利益につきましては、有料老人ホームの入居者獲得及びデイサービスの利用者獲得に注力したことにより、営業利益549百万円(同11.1%増)となりました。
e 営業外収益につきましては、56百万円(同39.4%増)となりました。これは主に、受取賃貸料によるものであります。
営業外費用につきましては、349百万円(同10.0%増)となりました。これは主に、銀行借入及びリース取引に伴う支払利息によるものであります。
f 特別利益につきましては、124百万円(前連結会計年度は-百万円)となりました。これは、建物及び構築物、土地等の固定資産売却益によるものであります。
g 特別損失につきましては、37百万円(前連結会計年度比62.1%減)となりました。これは、建物及び構築物、土地等の減損損失によるものであります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(デイサービス事業)
当セグメントにおきましては、熊本県熊本市に「西原デイサービスセンター」を新規開設いたしました。また、新規及び既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めてまいりました。その結果、売上高は3,630百万円(前連結会計年度比5.6%増)、セグメント利益は387百万円(同12.1%増)となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の流行により2020年3月下旬から、ご利用を控える利用者が増えるなどの影響が発生いたしました。
(施設サービス事業)
当セグメントにおきましては、既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し、入居率の向上に努めました。その結果、売上高は10,517百万円(同6.1%増)、セグメント利益は1,339百万円(同9.2%増)となりました。なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の流行による影響は見受けられません。
(在宅サービス事業)
当セグメントにおきましては、福岡県北九州市、山口県下関市、熊本県熊本市、千葉県鎌ヶ谷市に各1施設新規開設いたしました。また、利益率の改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力してまいりました。その結果、売上高は913百万円(同8.5%増)、セグメント損失は68百万円(前連結会計年度はセグメント損失97百万円)となりました。なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の流行による影響は見受けられません。
当社グループは、わが国の介護保険を取り巻く環境を踏まえ、継続的な売上成長と、スケールメリットを追求することが必要と認識しております。これらを実現するためには、収益性、投資効率等の観点から、売上高伸長率、売上高経常利益率並びにROE(自己資本利益率)を主要な経営指標として位置づけとしております。当連結会計年度における売上高伸長率は6.1%(前連結会計年度は2.9%)であり、売上高経常利益率は1.7%(前連結会計年度は1.5%)であり、ROE(自己資本利益率)は17.9%(前連結会計年度は1.5%)でした。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
②財政状態の分析
a 流動資産
当連結会計年度における流動資産は、3,640百万円(前連結会計年度比8.5%増)となり、前連結会計年度に比べ285百万円増加しました。この主な要因は、現金及び預金が58百万円、売掛金が230百万円増加したことによるものであります。
b 固定資産
当連結会計年度における固定資産は、14,540百万円(同2.8%減)となり、前連結会計年度に比べ420百万円減少しました。この主な要因は、有料老人ホーム及びデイサービス施設の建物及び構築物が137百万円減少、リース資産が246百万円減少したことによるものであります。
c 流動負債
当連結会計年度における流動負債は、5,568百万円(同6.5%増)となり、前連結会計年度に比べ341百万円増加しました。この主な要因は、短期借入金が240百万円、未払法人税等が99百万円増加したことによるものであります。
d 固定負債
当連結会計年度における固定負債は、11,345百万円(同5.5%減)となり、前連結会計年度に比べ664百万円減少しました。この主な要因は、長期借入金が605百万円、リース債務が187百万円減少し、退職給付に係る負債が44百万円増加したことによるものであります。
e 純資産
当連結会計年度における純資産は、1,268百万円(同17.3%増)となり、前連結会計年度に比べ187百万円増加しました。この主な要因は、利益剰余金が186百万円増加したことによるものであります。
これらの結果、当連結会計年度における総資産は18,181百万円(同0.7%減)となり、前連結会計年度に比べ135百万円減少しました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、第2 事業の状況の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
当社グループの業容拡大についてはデイサービスセンターと有料老人ホームの新規開設に負う部分が大きく、今後も事業拡大のため積極的に事業所開設を行う考えでありますが、開設に係る用地取得資金、建設資金及び建物の賃借契約にかかる敷金・建設協力金等につきましては、獲得した営業活動によるキャッシュ・フローや銀行借入を含めた収支のバランスを勘案しながら最善の資金調達手段を検討していく考えであります。なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の流行により、資金調達等に対する影響は見受けられません。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、連結財務諸表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りは、過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した仮定や基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、第5 経理の状況の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、以下に掲げる会計方針は連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えておりますので、特に記述いたします。
・固定資産の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、原則として、事業所を単位としてグルーピングを行い、減損処理の要否を検討しております。減損損失の認識に当たり使用する割引前将来キャッシュ・フローの算定に当たっては、利用者数や従業員数の増減など、さまざまな仮定をおいて見積りを行っております。
また、当連結会計年度末の見積りに当たっては、新型コロナウイルス感染症の影響を加味して見積りを行っております。具体的には、内閣官房から発出されている同感染症に関する情報や政府・自治体の取り組みなどを参考にした上で、2020年3月から利用者数の減少が認められるデイサービス事業について、2020年4月以降、利用者数が一定割合減少し、その後徐々に回復するものの、新型コロナウイルス感染症の収束により利用者数が感染拡大前の水準まで回復するには、翌連結会計年度末までの期間を要するものと仮定して見積りを行っております。ただし、これらの見積りには不確実性があり、新型コロナウイルス感染症の状況が変化した場合には損失額が増減する可能性があります。
なお、当連結会計年度においては、減損損失を37百万円計上しております。