訂正有価証券報告書-第60期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績等の分析
ⅰ 連結経営成績の概況
(当第4四半期及び当連結会計年度)
(単位:十億円)
(注1)「全社/消去」調整後の数値を記載しているため、各セグメントの金額合計と一致していません。
(注2)調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)±その他の営業収益・費用
(注3)当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」という。)を適用しており、これに伴い経営指標をEBITDA(注4)からIFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。なお、IFRS第16号の適用に当たっては、適用による累計的影響を適用開始日に認識する方法を採用しており、前連結会計年度の調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン欄には、調整後EBITDAが経営指標として採用される前のEBITDA及びEBITDAマージンの数値を記載しています。
(注4)EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費±その他の営業収益・費用
(注5)調整後EBITDAマージン:調整後EBITDA/売上収益
(注6)調整後EPS:調整後当期利益(注7)/(期末発行済株式総数-期末自己株式数)
(注7)調整後当期利益:親会社の所有者に帰属する当期利益±調整項目(注8)(非支配持分帰属分を除く)±調整項目の一部に係る税金相当額
(注8)調整項目:企業結合に伴い生じた無形資産の償却額±非経常的な損益(注9)
(注9)非経常的な損益:子会社株式売却損益、事業統合関連費用、固定資産売却損益/除却損等、恒常的な収益力を表すために当社が非経常的であり、利益指標において調整すべきであると判断した損益
(注10)四半期においては、「当期」を「四半期」、「期末」を「四半期末」に読み替えて計算
(注11)外貨売上収益×(当期採用平均為替レート-前期採用平均為替レート)
(注12)HRテクノロジー事業については、月次の平均為替レートを適用
(注13)第4四半期については、連結会計年度と第3四半期累計の為替影響額の差額
(連結経営成績の概況)
当第4四半期は、新型コロナウイルス感染症の影響を一部受けたものの、その影響は主に2020年3月以降に発現したこと及びそれ以前の安定した業績を背景に、当第4四半期及び当連結会計年度における当社業績に及ぼす影響は限定的でした。
当第4四半期における売上収益は5,897億円(前年同期比1.6%増)となりました。HRテクノロジー事業は引き続き増収となりましたが、メディア&ソリューション事業及び人材派遣事業は減収となりました。なお、売上収益に対する為替影響額は80億円のマイナス寄与となり、その影響を控除した売上収益は前年同期比3.0%増となりました。当連結会計年度における売上収益は23,994億円(前連結会計年度比3.8%増)となり、売上収益に対する為替影響額483億円のマイナス寄与を控除した売上収益は前連結会計年度比5.9%増となりました。これは主に、HRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業が増収となり、特にHRテクノロジー事業の売上成長が寄与したことによるものです。
当第4四半期における営業損失は62億円(前年同期は営業利益309億円)となりました。これは主に、メディア&ソリューション事業の海外販促分野及び人材派遣事業の豪州におけるのれん及び無形資産の減損損失310億円を計上したことによるものです。この影響を控除した当第4四半期における営業利益は247億円(前年同期比19.9%減)となりました。当連結会計年度における営業利益は2,060億円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。これは主に、当連結会計年度にのれん及び無形資産の減損損失を計上したことによるものです。この影響を控除した当連結会計年度の営業利益は、2,374億円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。
当第4四半期における税引前四半期損失は35億円(前年同期は税引前四半期利益382億円)となりました。これは主に、のれん及び無形資産の減損損失計上によるものです。この結果、当連結会計年度における税引前利益は2,261億円(前連結会計年度比5.7%減)となりました。
当第4四半期における四半期利益は135億円(前年同期比52.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は133億円(前年同期比52.7%減)となりました。当連結会計年度における当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益はそれぞれ1,812億円(前連結会計年度比3.3%増)、1,798億円(前連結会計年度比3.2%増)となりました。
当第4四半期における調整後EBITDAは552億円(前年同期比4.1%増)となりました。これは、メディア&ソリューション事業及び人材派遣事業が増益となったことによるものです。当連結会計年度における調整後EBITDAは3,251億円(前連結会計年度比10.9%増)となりました。これは主に、HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業が増益となったことによるものです。
当第4四半期における調整後EPSは17.38円(前年同期比4.2%増)、当連結会計年度は121.03円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。当第4四半期における配当算定基準とする四半期利益(注2)は249億円(前年同期比3.8%増)、当連結会計年度における配当算定基準とする当期利益(注2)は1,845億円(前連結会計年度比13.7%増)となりました。
当連結会計年度末時点において、資産合計は19,989億円、負債合計は10,031億円、資本合計は9,957億円となり、現金及び現金同等物の金額は4,212億円、ネットキャッシュ(注4)の金額は2,845億円です。
当第4四半期におけるのれんの減損損失の結果、当連結会計年度末におけるのれんの帳簿価額は3,831億円となりました。セグメント別の詳細は、ii セグメント業績の概況 各セグメントに帰属する地域別のれん金額を参照ください。
(注1)当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第16号を適用し、会計方針を変更しています。IFRS第16号の適用により、原則として全てのリース契約について、借手はリース期間にわたり原資産を使用する権利及びリース料を支払う義務を、それぞれ使用権資産及びリース負債として認識します。旧基準であるIAS第17号ではオペレーティング・リースに係るリース料を賃借料として費用計上していましたが、IFRS第16号では使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用を費用計上します。結果として、IFRS第16号の適用に伴い、賃借料が減少する一方で使用権資産の減価償却費が増加し、EBITDAは増加します。そのため当社では、これまでの経営指標との比較可能性を考慮して、当連結会計年度より経営指標をEBITDAから、IFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。
(注2)親会社の所有者に帰属する当期(四半期)利益±非経常的な損益等(注3)
(注3)非経常的な損益:子会社株式売却損益、事業統合関連費用、固定資産売却損益/除却損等、恒常的な収益力を表すために、当社が非経常的であり、利益指標において調整すべきであると判断した損益
(注4)ネットキャッシュ = 現金及び現金同等物 - 有利子負債(注5)
(注5)有利子負債には、社債及び借入金を含み、リース負債を含みません。
(重要な会計方針、見積り及び仮定)
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。
連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しています。重要な見積り及び仮定については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、会計上の見積り及び仮定」に記載しています。また、見積り及び仮定は、過去の実績や、合理的だと考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいています。しかし、これらの見積り及び仮定には不確実性が存在するため、翌期以降の連結財務諸表において認識する金額と異なる場合があります。
(主な経営施策)
・新型コロナウイルス感染症の拡大に対する当社グループの取り組み
当社は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、従業員とその家族、個人ユーザー、企業クライアント、外部協力パートナー等、当社のステークホルダーの安全確保、感染拡大防止を最優先に考えながら、事業活動に取り組んでいます。日本国内においては、2020年4月7日の日本政府による緊急事態宣言を受け、対象地域において原則全社員在宅勤務、出張全面禁止等、政府の方針や行動計画に基づき、迅速に対応方針を決定・実施し、対象地域拡大にも対応しています。グローバル各拠点においても、各国・地域の規制等に基づき、従業員の在宅勤務や労働環境の安全性の確保を行っています。
新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、求職活動及び採用活動のオンライン化に対する需要は、各国で拡大しています。このような状況を受け、HRテクノロジー事業においては、求職者が素早く仕事を見つけられるようプラットフォームを改良し、迅速かつ効果的に大規模な採用を必要とする企業クライアントの支援を加速させています。具体的には、オンライン就職イベント、大規模採用に適した求人募集と候補者の適性審査サービス、並びに、エッセンシャルワーカーの採用を求める企業や公的機関を支援するための人材紹介等、フレキシブル且つ拡張性のあるソリューションを提供しています。また、特定のエッセンシャルワーカーを採用する企業や公的機関に対して、上記のサービスを無料や特別価格で提供しています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により企業の事業環境が大きく変化していく中、中小企業クライアントの業務負荷削減や生産性向上を目的として展開しているSaaSソリューション「Air ビジネスツールズ」が果たす役割は大きいと認識し、引き続き注力していきます。特に29種(注1)の決済手段が1台で利用可能な非接触決済サービス「Airペイ」は、社会的距離を保つことが求められる社会のニーズに応えることができると考えています。今後も個人ユーザーや企業クライアントのニーズに合わせたソリューション提供を推進していきます。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、オンライン教育サービスへの需要も高まっています。メディア&ソリューション事業においては小、中、高等学校の臨時休校を受けて、オンライン学習サービスの「スタディサプリ」及び「スタディサプリ for TEACHERS」を自治体・学校に無償提供(注2)し、320校以上で92,000人以上の生徒が利用しました。
他にも各事業において、多様なステークホルダーの皆様に対する様々な支援・取り組みを行っています。詳細は以下のホームページに掲載しています。
https://recruit-holdings.co.jp/newsroom/covid19.html
今後も新型コロナウイルス感染症の拡大がもたらす社会の様々な変化を的確に捉え、テクノロジーを活用したマッチング事業の更なる磨きこみにより、世界的な変革期における社会を支援するサービスを提供していきます。
(注1)2020年3月末時点
(注2)2020年3月3日から4月30日に実施
・メディア&ソリューション事業の組織再編
当社連結子会社である㈱リクルート(メディア&ソリューションSBU統括会社)は2021年4月を目途に㈱リクルート傘下の完全子会社である主要な中核事業会社・機能会社7社を中心に㈱リクルートに統合します。メディア&ソリューション事業は、2012年に領域別マーケットにおける意思決定スピードを上げ、競争優位性を築き、多様な人材の能力を獲得・活用することを目的に、事業会社と機能会社に分社をしました。
2012年以来7年の間にこれらの目的は概ね実現できたと総括する一方、「“事業の競争優位性”と“社会的な価値”のバランスをとること」、「多様な人材の能力を十分に生かすための場の提供」、「多様なノウハウを共有・展開すること」の重要性と難しさに直面しました。当社グループの基本理念「私たちは新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す」の実現に立ち返り、これまでに各社が培った多様な人材と事業運営ノウハウを一社に集約し、全社の価値と成長に繋げることに注力可能な組織とすることが最適であると判断しました。
今後は、ガバナンス・マネジメントの強化を進めながら、各領域のマーケットで必要な商品を素早く開発する力、それを素早く提供する力、そしてそれらを支える人材育成の強化を図り、新しい価値を創造し、将来を担う事業の育成・強化に取り組んでいきます。
本件の詳細については以下をご参照ください。
:2020年1月6日付「当社連結子会社である㈱リクルート(メディア&ソリューション事業)の組織再編に関するお知らせ」
https://recruit-holdings.co.jp/ir/ir_news/20200106_01.html
ⅱ セグメント業績の概況
HRテクノロジー事業
HRテクノロジー事業は、Indeed、Glassdoor及びその他の関連する事業で構成されています。Indeed及びGlassdoor共に、求人情報の検索をはじめ、履歴書の開示、企業情報やそのレビュー等、求職活動を支援する一連の機能を提供するオンラインプラットフォームです。企業クライアントに対しては、Indeed及びGlassdoorはそれぞれ、求人広告の掲載や採用のための企業ブランディング等を通して採用活動を支援します。Indeedは、クリック型や成功報酬型課金の求人広告、並びにIndeedにオンライン登録された多数の履歴書を含む採用候補者の募集と適性を審査する機能等、多岐に亘る採用ソリューションを通して効率的な採用活動を支援します。
当第4四半期における売上収益は1,063億円(前年同期比18.1%増)となり、米ドルベース売上(注1)の前年同期比は、19.4%増となりました。売上収益の増加は主に、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による影響が発現する前の2020年2月までの概ね堅調な経済環境及び逼迫した労働市場を背景に、有料求人広告利用が増加したことによるものです。また、IndeedとGlassdoorにおいて、採用候補者の適性審査機能や企業ブランディング等の採用ソリューション事業(注2)への注力も寄与しました。この結果、当連結会計年度における売上収益は4,249億円(前連結会計年度比30.0%増)となり、米ドルベース売上(注1)の前連結会計年度比は32.7%増となりました。
当第4四半期のセグメント利益(セグメント調整後EBITDA)は83億円(前年同期比20.7%減)となりました。当第4四半期のセグメント利益マージンは7.9%となり、前第4四半期の11.8%から減少しました。これは主に、新規の個人ユーザー及び企業クライアントの獲得に向けたマーケティング活動への投資を継続したことによるものです。これらの費用の伸び率は売上収益の伸び率を上回りました。また、今後の売上成長を促進するため、個人ユーザーと企業クライアント双方へのサービス拡充を図るプロダクトの強化等に引き続き重点的に投資を行っており、このような投資のタイミングは四半期毎に変動します。当連結会計年度のセグメント利益は712億円(前連結会計年度比50.2%増)となり、セグメント利益マージンは16.8%となり、前連結会計年度14.5%から増加しました。これは、当連結会計年度の費用の増加率が売上収益の増加スピードより低かったことによるものです。
当事業セグメントの業績は以下のとおりです。
(単位:十億円)
(注1)当事業セグメントの現地決算数値であり、当社連結決算数値に含まれる数値とは異なります。
(注2)IndeedとGlassdoorが提供する機能は各国によって異なります。
(注3)前第4四半期及び前連結会計年度はEBITDA及びEBITDAマージン、当第4四半期及び当連結会計年度は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
メディア&ソリューション事業
当事業セグメントは、販促領域及び人材領域の2つの事業領域にて構成されています。
販促領域は各分野で当事業セグメントが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディアへの広告を通じて企業クライアントの集客を支援しています。代表的なオンラインプラットフォームとして、住宅の売買や賃貸等に関する「SUUMO」、結婚に関する「ゼクシィ」、主に国内旅行に関する「じゃらん」、飲食店に関する「HotPepperグルメ」、ヘアサロン等美容サロンに関する「HotPepper Beauty」等があります。更に、「Air ビジネスツールズ」等を中心としたSaaSソリューションを展開し、主に中小企業クライアントの予約・顧客・販売管理、決済、従業員管理、その他の事業運営等をクラウドを活用してサポートしています。また、販促領域は各分野で当事業セグメントが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディアからの情報を通して、個人ユーザーに日常生活におけるより多くの選択肢を提供しています。
直近では、日本政府によるキャッシュレス・消費者還元事業が追い風となり、決済サービスである「Airペイ」のアカウント数(注)が特に増加しており、2020年3月末時点では約14.9万、前年同期比167%増となりました。また、「Airペイ」を利用する企業クライアントによる「Air ビジネスツールズ」の他ソリューションとの併用が増加しています。2020年3月末時点の「Airペイ」アカウント数(注)約14.9万のうち、他ソリューションを併用しているアカウント数は約10.2万となりました。今後も「Airペイ」アカウント数(注)の伸長が、「Air ビジネスツールズ」の総アカウント数の増加に寄与していくと考えています。
人材領域は当事業セグメントが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディアを通じて、企業クライアントの採用活動及び個人ユーザーの求職活動を支援するサービスを提供しています。具体的には、「リクナビ」、「リクナビNEXT」、「タウンワーク」等、様々な雇用形態に合わせた求人広告サイトや「リクルートエージェント」等の人材紹介事業を中心とした事業を運営しています。
当第4四半期における売上収益は1,928億円(前年同期比0.4%減)となりました。販促領域は、主に住宅分野、旅行分野、美容分野等が増収となり、前年同期比7.5%の増収でした。一方、人材領域は国内人材募集分野が減収となり、前年同期比8.6%の減収となりました。
販促領域では新型コロナウイルス感染症の影響発現が主に2020年3月以降だったため、業績に与える影響は限定的でした。しかし、外出自粛要請等により旅行分野及び飲食分野では、売上収益への影響がありました。特に旅行分野では、主に2019年4月の価格改定に伴い当第1四半期以降、前年同期比20%程度の増収率が続いたものの、当第4四半期は宿泊者数減少及び宿泊単価の下落が続き、増収率は12.7%に減少しました。
人材領域では、前年同期比8.6%の減収となりました。これは主に、製造業を含む一部業界における経営環境の不透明感が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて多くの業界に拡大し、企業クライアントが採用活動に慎重になったことによるものです。
当連結会計年度の売上収益は7,559億円(前連結会計年度比4.8%増)となりました。これは主に、販促領域が増収となったことによるものです。
当第4四半期におけるセグメント利益(セグメント調整後EBITDA)は342億円(前年同期比6.1%増)となりました。販促領域では、各分野にて戦略的なマーケティング投資を実施した結果、減益となりました。人材領域では、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みてコスト管理に取り組み、マーケティング投資を抑制した結果、増益となりました。セグメント利益マージンは17.8%となりました。当連結会計年度のセグメント利益は1,829億円(前連結会計年度比6.1%増)、セグメント利益マージンは24.2%となりました。販促領域では増収に伴う増益となり、人材領域ではコスト管理及びマーケティング投資の抑制により、増益となりました。
なお、当第4四半期に海外事業に関連するのれん及び無形資産の減損損失を181億円計上しました。主な対象は、海外販促分野の「Treatwell」を運営するHotspring Ventures Limitedに関する145億円ののれんであり、これまでの長期的な投資を要する規模拡大戦略から投資額をコントロールし、安定的な事業運営を目指す戦略への変更に伴う今後の事業計画の見直しにより、将来キャッシュフローの見積もりを減少させたことによるものです。「Treatwell」の戦略変更は、当事業セグメントにおいて、「Air ビジネスツールズ」を中心としたSaaSソリューションの拡大に向けた成長投資を加速させることを最優先に、既存事業への投資の優先順位を明確にしたことによるものです。
(注)登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。
当事業セグメントの業績及び関連データ等は以下のとおりです。
(単位:十億円)
(注1)前第2四半期及び当第1四半期に当分野に属する子会社を譲渡しており、その影響を控除した際の前年同期比は9.9%減、前連結会計年度比は0.9%減(注2)
(注2)前年実績から、譲渡した子会社の前年実績の数値を除いて算出
(注3)前第4四半期及び前連結会計年度はEBITDA及びEBITDAマージン、当第4四半期及び当連結会計年度は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
(注4)当第4四半期及び当連結会計年度における販促及び人材領域に含まれる子会社の一部のセグメント利益はIFRS第16号の適用影響を調整しておらず、当該調整金額は全社/消去に含めていますが、その影響は軽微です。
(注1)キャンセル前予約受付ベース、各連結会計年度期首からの累計数値
(注2)登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。
(注3)従来は「スタディサプリ」有料会員数のうち、高校生向けサービスのみを開示していましたが、2019年3月期より、「スタディサプリ」の有料会員数の合計を開示しています。なお、有料会員数とは、小学生、中学生及び高校生向け講座並びに「スタディサプリEnglish」の有料会員数の合算値です。
人材派遣事業
人材派遣事業は、複数の業界にて人材派遣事業やそれに係るサービスを提供しており、国内派遣及び海外派遣の2つの事業領域で構成されています。国内、海外ともにマーケット特性に応じて組織をユニット単位に区分し、権限移譲により、各ユニットがマーケットに最適な戦略を実行することによって、利益の最大化を目指すユニット経営を推進しています。
当第4四半期における売上収益は2,977億円(前年同期比2.1%減)となりました。国内派遣領域においては、新型コロナウイルス感染症による影響が限定的であり、人手不足が継続する環境を受けて増収となりました。海外派遣領域においては、為替影響が売上収益に対して68億円のマイナス寄与となったことや、欧州を中心に継続していた不透明な経済環境が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、経済見通しがグローバルで悪化したことにより減収となりました。為替によるマイナス影響を控除した場合の売上収益は前年同期比で0.1%増となりました。この結果、当連結会計年度の売上収益は12,481億円(前連結会計年度比3.3%減)となり、為替によるマイナス影響を控除した場合の売上収益は前連結会計年度比0.2%減となりました。
当第4四半期におけるセグメント利益(セグメント調整後EBITDA)は162億円(前年同期比18.5%増)となりました。当第4四半期におけるセグメント利益マージンは5.4%となり、前年同期の4.5%から増加しました。国内派遣領域においては、主に増収による増益となり、セグメント利益マージンは7.1%(前年同期は5.0%)となりました。海外派遣領域においては、減収に伴う減益となり、セグメント利益マージンは3.9%(前年同期は4.1%)となりました。この結果、当連結会計年度のセグメント利益は812億円(前連結会計年度比2.0%減)となり、当連結会計年度のセグメント利益マージンは6.5%(前連結会計年度は6.4%)となりました。当連結会計年度のセグメント利益マージンは、国内派遣領域においては8.3%(前連結会計年度は7.9%)となりました。海外派遣領域においては、5.0%(前連結会計年度は5.3%)となりました。
なお、当第4四半期において、当事業セグメントでは、128億円ののれん及び無形資産の減損損失を計上しました。主な内訳は、豪州のChandler Macleod Group Limitedに関連する78億円ののれんの減損損失及びドイツのUSG People Germany GmbHに関連する38億円の無形資産の減損損失です。これは、対象各社の展開国における不透明な経済環境の影響等により、当連結会計年度の業績が計画を下回ったことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響が期末日以降相当程度続くと仮定した上で、今後の事業計画を保守的に見直した結果、将来キャッシュフローの見積もりを減少させたことによるものです。
海外派遣領域をはじめ当事業セグメントでは、不透明な経済環境の中、引き続きユニット経営の強化による生産性改善を通してセグメント利益マージンのコントロールに注力します。
当事業セグメントの業績は以下のとおりです。
(単位:十億円)
(注1)為替影響額を控除した際の海外派遣領域の当第4四半期及び当連結会計年度の売上収益は前年同期比5.7%減、前連結会計年度比3.8%減
(注2)前連結会計年度及び前第4四半期はEBITDA及びEBITDAマージン、当連結会計年度及び当第4四半期は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
当連結会計年度の地域別売上収益(注)は以下のとおりです。
(単位:十億円)
(注) 北米、欧州、豪州については子会社各社の売上の単純合算値
各セグメントに帰属する地域別のれん金額
当連結会計年度末の各セグメントに帰属するのれんの帳簿価額は以下のとおりです。
(単位:十億円)
ⅲ 資本の財源及び資金の流動性
(財務方針)
当社は、借入による資金調達を有効に活用しつつ、格付を意識した財務の健全性を維持することを財務方針としています。
自己資本の水準は、成長投資の機会等に対して機動的に対応できる財務基盤を整えること及び事業活動や資産のリスクと比較して十分であることを基本方針としています。当連結会計年度末時点において、親会社の所有者に帰属する持分は9,884億円、親会社所有者帰属持分比率は49.4%です。
資本効率については、ROE15%の水準を目安に設定し、株主資本コストを上回る資本効率の実現に取り組んでいます。個別の投資案件の実行是非を判断する際は、資本コストを上回るハードルレートを適用しています。
株主還元については、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針とし、業績と将来必要となる自己資本の水準を総合的に勘案した利益還元を行うこととしています。連結配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から非経常的な損益等の影響を控除した上で30%程度を目安としています。なお、自己株式の取得については、市場環境及び財務状況の見通し等を踏まえ、実施の是非について検討します。
(資金使途)
運転資金、法人税の支払い、各事業セグメントにおけるM&A及び資産取得等による外部資源の獲得や設備投資、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得等に資金を充当しています。
また、当連結会計年度の各事業セグメントにおける設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1.設備投資等の概要」をご参照ください。
(資金調達)
運転資金及び投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を充当することを基本としていますが、資金需要及び金利動向等の調達環境並びに既存の有利子負債の返済及び償還時期等を考慮の上、調達規模及び調達手段を適宜判断して外部資金調達を実施する場合があります。外部資金調達を行う運転資金のうち、原則として、短期の運転資金については、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー又はその組み合わせ、中長期の運転資金については、金融機関からの借入、社債又はその組み合わせにより調達することとしています。なお、当社は、機動的な資金調達を可能とするため、2,000億円(当連結会計年度末における未使用枠2,000億円)を上限とする社債の発行登録を行っています。
また、当社は、流動性を確保し、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関4社と当座貸越契約を締結しています。なお、当連結会計年度末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。加えて、当社は2020年4月30日に総額3,999億円のコミットメントライン契約を締結しました。2020年6月30日時点で、当該コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。これらにより、当社は事業環境の激しい変化の際にも十分な流動性を確保することを図っています。
(有利子負債)
当連結会計年度末の社債及び借入金の帳簿価額・期日別残高は以下のとおりであり、期日別残高は利息支払額を含んだ割引前のキャッシュ・フローを記載しています。
(格付)
当社は、格付機関である㈱格付投資情報センター(以下、「R&I」という。)、ムーディーズ・ジャパン㈱(以下、「ムーディーズ」という。)及びS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(以下、「S&P」という。)から長期格付を取得しています。当連結会計年度末における格付の状況は、以下のとおりです。
・R&I:AA-
・ムーディーズ:A3
・S&P:A
(キャッシュマネジメント)
当社は、グループ全体の資金効率を最大化するため、法制度上許容され、かつ経済合理性が認められることを前提として、主にキャッシュマネジメントシステムを通じたグループファイナンスにより、グループ内での資金貸借の実施を外部借入よりも優先しています。
当社は、当社及び財務統括子会社に全ての通貨のキャッシュマネジメントを集約することで、当社グループが保有する現金及び現金同等物の機動性を確保しています。
当社グループは、経済危機等の環境変化や成長投資機会へ機動的かつ柔軟に対応できる十分な資金を有しています。当連結会計年度末時点において、現金及び現金同等物の金額は4,212億円、ネットキャッシュ(注1)の金額は2,845億円です。
(注1)ネットキャッシュ = 現金及び現金同等物 - 有利子負債(注2)
(注2)有利子負債には、社債及び借入金を含み、リース負債を含みません。
(資金運用)
資金運用は、投機目的で行わず、元本が保証され、安全かつ確実で効率の高い金融商品のみで行うこととしています。
(連結財政状態の概況)
(単位:十億円)
資産
流動資産は前連結会計年度末比209億円(2.6%)増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が増加したことによるものです。
非流動資産は前連結会計年度末比2,289億円(24.4%)増加しました。これは主に、IFRS第16号の適用に伴い使用権資産が増加したことによるものです。
負債
流動負債は前連結会計年度末比141億円(2.8%)増加しました。これは主に、IFRS第16号の適用に伴いリース負債が増加した一方、未払法人所得税が減少したことによるものです。
非流動負債は前連結会計年度末比2,123億円(76.1%)増加しました。これは主に、IFRS第16号の適用に伴いリース負債が増加したことによるものです。
資本
資本は前連結会計年度末比234億円(2.4%)増加しました。これは主に、自己株式の取得により資本が減少したことや、為替レートの変動等によりその他の資本の構成要素が減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益を計上したこと等により利益剰余金が増加したことによるものです。
当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、営業活動による収入が投資活動及び財務活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末比183億円増加し、4,212億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
法人所得税の支払額を計上した一方、主に、税引前利益を計上したこと及びその中に含まれる減価償却費及び償却費等の非資金項目を調整したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
主に、無形資産の取得による支出を計上したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
主に、自己株式の取得による支出及び配当金の支払額を計上したことによるものです。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループが提供するサービスの性質上、生産実績及び受注実績の記載に馴染まないため、省略しています。
② 販売実績
(1) 経営成績等の分析に記載のとおりです。
(1) 経営成績等の分析
ⅰ 連結経営成績の概況
(当第4四半期及び当連結会計年度)
(単位:十億円)
前第4四半期 | 当第4四半期 | 増減 | 増減率 (%) | 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |||
連結経営成績 | ||||||||||
売上収益(注1) | 580.3 | 589.7 | 9.4 | 1.6 | 2,310.7 | 2,399.4 | 88.7 | 3.8 | ||
HRテクノロジー | 90.0 | 106.3 | 16.3 | 18.1 | 326.9 | 424.9 | 97.9 | 30.0 | ||
メディア& ソリューション | 193.7 | 192.8 | △0.8 | △0.4 | 721.4 | 755.9 | 34.4 | 4.8 | ||
人材派遣 | 304.1 | 297.7 | △6.4 | △2.1 | 1,290.2 | 1,248.1 | △42.1 | △3.3 | ||
営業利益 | 30.9 | △6.2 | △37.1 | - | 223.0 | 206.0 | △17.0 | △7.7 | ||
税引前利益 | 38.2 | △3.5 | △41.8 | - | 239.8 | 226.1 | △13.6 | △5.7 | ||
当期利益 | 28.4 | 13.5 | △14.8 | △52.2 | 175.3 | 181.2 | 5.8 | 3.3 | ||
親会社の所有者に 帰属する当期利益 | 28.2 | 13.3 | △14.8 | △52.7 | 174.2 | 179.8 | 5.6 | 3.2 | ||
経営指標 | ||||||||||
調整後EBITDA (注1、2、3) | 53.1 | 55.2 | 2.1 | 4.1 | 293.2 | 325.1 | 31.9 | 10.9 | ||
HRテクノロジー | 10.5 | 8.3 | △2.1 | △20.7 | 47.4 | 71.2 | 23.8 | 50.2 | ||
メディア& ソリューション | 32.2 | 34.2 | 1.9 | 6.1 | 172.4 | 182.9 | 10.4 | 6.1 | ||
人材派遣 | 13.6 | 16.2 | 2.5 | 18.5 | 82.9 | 81.2 | △1.6 | △2.0 | ||
調整後EPS(単位:円) (注6) | 16.67 | 17.38 | 0.70 | 4.2 | 107.10 | 121.03 | 13.93 | 13.0 | ||
調整後EBITDAマージン (単位:%)(注3、5) | 9.2 | 9.4 | 0.2 | - | 12.7 | 13.6 | 0.9 | - | ||
HRテクノロジー | 11.8 | 7.9 | △3.9 | - | 14.5 | 16.8 | 2.3 | - | ||
メディア& ソリューション | 16.7 | 17.8 | 1.1 | - | 23.9 | 24.2 | 0.3 | - | ||
人材派遣 | 4.5 | 5.4 | 0.9 | - | 6.4 | 6.5 | 0.1 | - | ||
期中平均為替レート (単位:円) | ||||||||||
米ドル | - | - | - | - | 110.92 | 108.70 | △2.22 | △2.0 | ||
ユーロ | - | - | - | - | 128.44 | 120.81 | △7.63 | △5.9 | ||
豪ドル | - | - | - | - | 80.96 | 74.11 | △6.85 | △8.5 | ||
売上収益に対する 為替影響額(注11、12、13) | ||||||||||
連結 | △6.7 | △8.0 | - | - | △12.4 | △48.3 | - | - | ||
人材派遣:海外 | △7.8 | △6.8 | - | - | △12.7 | △38.9 | - | - |
(注1)「全社/消去」調整後の数値を記載しているため、各セグメントの金額合計と一致していません。
(注2)調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)±その他の営業収益・費用
(注3)当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」という。)を適用しており、これに伴い経営指標をEBITDA(注4)からIFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。なお、IFRS第16号の適用に当たっては、適用による累計的影響を適用開始日に認識する方法を採用しており、前連結会計年度の調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン欄には、調整後EBITDAが経営指標として採用される前のEBITDA及びEBITDAマージンの数値を記載しています。
(注4)EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費±その他の営業収益・費用
(注5)調整後EBITDAマージン:調整後EBITDA/売上収益
(注6)調整後EPS:調整後当期利益(注7)/(期末発行済株式総数-期末自己株式数)
(注7)調整後当期利益:親会社の所有者に帰属する当期利益±調整項目(注8)(非支配持分帰属分を除く)±調整項目の一部に係る税金相当額
(注8)調整項目:企業結合に伴い生じた無形資産の償却額±非経常的な損益(注9)
(注9)非経常的な損益:子会社株式売却損益、事業統合関連費用、固定資産売却損益/除却損等、恒常的な収益力を表すために当社が非経常的であり、利益指標において調整すべきであると判断した損益
(注10)四半期においては、「当期」を「四半期」、「期末」を「四半期末」に読み替えて計算
(注11)外貨売上収益×(当期採用平均為替レート-前期採用平均為替レート)
(注12)HRテクノロジー事業については、月次の平均為替レートを適用
(注13)第4四半期については、連結会計年度と第3四半期累計の為替影響額の差額
(連結経営成績の概況)
当第4四半期は、新型コロナウイルス感染症の影響を一部受けたものの、その影響は主に2020年3月以降に発現したこと及びそれ以前の安定した業績を背景に、当第4四半期及び当連結会計年度における当社業績に及ぼす影響は限定的でした。
当第4四半期における売上収益は5,897億円(前年同期比1.6%増)となりました。HRテクノロジー事業は引き続き増収となりましたが、メディア&ソリューション事業及び人材派遣事業は減収となりました。なお、売上収益に対する為替影響額は80億円のマイナス寄与となり、その影響を控除した売上収益は前年同期比3.0%増となりました。当連結会計年度における売上収益は23,994億円(前連結会計年度比3.8%増)となり、売上収益に対する為替影響額483億円のマイナス寄与を控除した売上収益は前連結会計年度比5.9%増となりました。これは主に、HRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業が増収となり、特にHRテクノロジー事業の売上成長が寄与したことによるものです。
当第4四半期における営業損失は62億円(前年同期は営業利益309億円)となりました。これは主に、メディア&ソリューション事業の海外販促分野及び人材派遣事業の豪州におけるのれん及び無形資産の減損損失310億円を計上したことによるものです。この影響を控除した当第4四半期における営業利益は247億円(前年同期比19.9%減)となりました。当連結会計年度における営業利益は2,060億円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。これは主に、当連結会計年度にのれん及び無形資産の減損損失を計上したことによるものです。この影響を控除した当連結会計年度の営業利益は、2,374億円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。
当第4四半期における税引前四半期損失は35億円(前年同期は税引前四半期利益382億円)となりました。これは主に、のれん及び無形資産の減損損失計上によるものです。この結果、当連結会計年度における税引前利益は2,261億円(前連結会計年度比5.7%減)となりました。
当第4四半期における四半期利益は135億円(前年同期比52.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は133億円(前年同期比52.7%減)となりました。当連結会計年度における当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益はそれぞれ1,812億円(前連結会計年度比3.3%増)、1,798億円(前連結会計年度比3.2%増)となりました。
当第4四半期における調整後EBITDAは552億円(前年同期比4.1%増)となりました。これは、メディア&ソリューション事業及び人材派遣事業が増益となったことによるものです。当連結会計年度における調整後EBITDAは3,251億円(前連結会計年度比10.9%増)となりました。これは主に、HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業が増益となったことによるものです。
当第4四半期における調整後EPSは17.38円(前年同期比4.2%増)、当連結会計年度は121.03円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。当第4四半期における配当算定基準とする四半期利益(注2)は249億円(前年同期比3.8%増)、当連結会計年度における配当算定基準とする当期利益(注2)は1,845億円(前連結会計年度比13.7%増)となりました。
当連結会計年度末時点において、資産合計は19,989億円、負債合計は10,031億円、資本合計は9,957億円となり、現金及び現金同等物の金額は4,212億円、ネットキャッシュ(注4)の金額は2,845億円です。
当第4四半期におけるのれんの減損損失の結果、当連結会計年度末におけるのれんの帳簿価額は3,831億円となりました。セグメント別の詳細は、ii セグメント業績の概況 各セグメントに帰属する地域別のれん金額を参照ください。
(注1)当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第16号を適用し、会計方針を変更しています。IFRS第16号の適用により、原則として全てのリース契約について、借手はリース期間にわたり原資産を使用する権利及びリース料を支払う義務を、それぞれ使用権資産及びリース負債として認識します。旧基準であるIAS第17号ではオペレーティング・リースに係るリース料を賃借料として費用計上していましたが、IFRS第16号では使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用を費用計上します。結果として、IFRS第16号の適用に伴い、賃借料が減少する一方で使用権資産の減価償却費が増加し、EBITDAは増加します。そのため当社では、これまでの経営指標との比較可能性を考慮して、当連結会計年度より経営指標をEBITDAから、IFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。
(注2)親会社の所有者に帰属する当期(四半期)利益±非経常的な損益等(注3)
(注3)非経常的な損益:子会社株式売却損益、事業統合関連費用、固定資産売却損益/除却損等、恒常的な収益力を表すために、当社が非経常的であり、利益指標において調整すべきであると判断した損益
(注4)ネットキャッシュ = 現金及び現金同等物 - 有利子負債(注5)
(注5)有利子負債には、社債及び借入金を含み、リース負債を含みません。
(重要な会計方針、見積り及び仮定)
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。
連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しています。重要な見積り及び仮定については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、会計上の見積り及び仮定」に記載しています。また、見積り及び仮定は、過去の実績や、合理的だと考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいています。しかし、これらの見積り及び仮定には不確実性が存在するため、翌期以降の連結財務諸表において認識する金額と異なる場合があります。
(主な経営施策)
・新型コロナウイルス感染症の拡大に対する当社グループの取り組み
当社は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、従業員とその家族、個人ユーザー、企業クライアント、外部協力パートナー等、当社のステークホルダーの安全確保、感染拡大防止を最優先に考えながら、事業活動に取り組んでいます。日本国内においては、2020年4月7日の日本政府による緊急事態宣言を受け、対象地域において原則全社員在宅勤務、出張全面禁止等、政府の方針や行動計画に基づき、迅速に対応方針を決定・実施し、対象地域拡大にも対応しています。グローバル各拠点においても、各国・地域の規制等に基づき、従業員の在宅勤務や労働環境の安全性の確保を行っています。
新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、求職活動及び採用活動のオンライン化に対する需要は、各国で拡大しています。このような状況を受け、HRテクノロジー事業においては、求職者が素早く仕事を見つけられるようプラットフォームを改良し、迅速かつ効果的に大規模な採用を必要とする企業クライアントの支援を加速させています。具体的には、オンライン就職イベント、大規模採用に適した求人募集と候補者の適性審査サービス、並びに、エッセンシャルワーカーの採用を求める企業や公的機関を支援するための人材紹介等、フレキシブル且つ拡張性のあるソリューションを提供しています。また、特定のエッセンシャルワーカーを採用する企業や公的機関に対して、上記のサービスを無料や特別価格で提供しています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により企業の事業環境が大きく変化していく中、中小企業クライアントの業務負荷削減や生産性向上を目的として展開しているSaaSソリューション「Air ビジネスツールズ」が果たす役割は大きいと認識し、引き続き注力していきます。特に29種(注1)の決済手段が1台で利用可能な非接触決済サービス「Airペイ」は、社会的距離を保つことが求められる社会のニーズに応えることができると考えています。今後も個人ユーザーや企業クライアントのニーズに合わせたソリューション提供を推進していきます。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、オンライン教育サービスへの需要も高まっています。メディア&ソリューション事業においては小、中、高等学校の臨時休校を受けて、オンライン学習サービスの「スタディサプリ」及び「スタディサプリ for TEACHERS」を自治体・学校に無償提供(注2)し、320校以上で92,000人以上の生徒が利用しました。
他にも各事業において、多様なステークホルダーの皆様に対する様々な支援・取り組みを行っています。詳細は以下のホームページに掲載しています。
https://recruit-holdings.co.jp/newsroom/covid19.html
今後も新型コロナウイルス感染症の拡大がもたらす社会の様々な変化を的確に捉え、テクノロジーを活用したマッチング事業の更なる磨きこみにより、世界的な変革期における社会を支援するサービスを提供していきます。
(注1)2020年3月末時点
(注2)2020年3月3日から4月30日に実施
・メディア&ソリューション事業の組織再編
当社連結子会社である㈱リクルート(メディア&ソリューションSBU統括会社)は2021年4月を目途に㈱リクルート傘下の完全子会社である主要な中核事業会社・機能会社7社を中心に㈱リクルートに統合します。メディア&ソリューション事業は、2012年に領域別マーケットにおける意思決定スピードを上げ、競争優位性を築き、多様な人材の能力を獲得・活用することを目的に、事業会社と機能会社に分社をしました。
2012年以来7年の間にこれらの目的は概ね実現できたと総括する一方、「“事業の競争優位性”と“社会的な価値”のバランスをとること」、「多様な人材の能力を十分に生かすための場の提供」、「多様なノウハウを共有・展開すること」の重要性と難しさに直面しました。当社グループの基本理念「私たちは新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す」の実現に立ち返り、これまでに各社が培った多様な人材と事業運営ノウハウを一社に集約し、全社の価値と成長に繋げることに注力可能な組織とすることが最適であると判断しました。
今後は、ガバナンス・マネジメントの強化を進めながら、各領域のマーケットで必要な商品を素早く開発する力、それを素早く提供する力、そしてそれらを支える人材育成の強化を図り、新しい価値を創造し、将来を担う事業の育成・強化に取り組んでいきます。
本件の詳細については以下をご参照ください。
:2020年1月6日付「当社連結子会社である㈱リクルート(メディア&ソリューション事業)の組織再編に関するお知らせ」
https://recruit-holdings.co.jp/ir/ir_news/20200106_01.html
ⅱ セグメント業績の概況
HRテクノロジー事業
HRテクノロジー事業は、Indeed、Glassdoor及びその他の関連する事業で構成されています。Indeed及びGlassdoor共に、求人情報の検索をはじめ、履歴書の開示、企業情報やそのレビュー等、求職活動を支援する一連の機能を提供するオンラインプラットフォームです。企業クライアントに対しては、Indeed及びGlassdoorはそれぞれ、求人広告の掲載や採用のための企業ブランディング等を通して採用活動を支援します。Indeedは、クリック型や成功報酬型課金の求人広告、並びにIndeedにオンライン登録された多数の履歴書を含む採用候補者の募集と適性を審査する機能等、多岐に亘る採用ソリューションを通して効率的な採用活動を支援します。
当第4四半期における売上収益は1,063億円(前年同期比18.1%増)となり、米ドルベース売上(注1)の前年同期比は、19.4%増となりました。売上収益の増加は主に、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による影響が発現する前の2020年2月までの概ね堅調な経済環境及び逼迫した労働市場を背景に、有料求人広告利用が増加したことによるものです。また、IndeedとGlassdoorにおいて、採用候補者の適性審査機能や企業ブランディング等の採用ソリューション事業(注2)への注力も寄与しました。この結果、当連結会計年度における売上収益は4,249億円(前連結会計年度比30.0%増)となり、米ドルベース売上(注1)の前連結会計年度比は32.7%増となりました。
当第4四半期のセグメント利益(セグメント調整後EBITDA)は83億円(前年同期比20.7%減)となりました。当第4四半期のセグメント利益マージンは7.9%となり、前第4四半期の11.8%から減少しました。これは主に、新規の個人ユーザー及び企業クライアントの獲得に向けたマーケティング活動への投資を継続したことによるものです。これらの費用の伸び率は売上収益の伸び率を上回りました。また、今後の売上成長を促進するため、個人ユーザーと企業クライアント双方へのサービス拡充を図るプロダクトの強化等に引き続き重点的に投資を行っており、このような投資のタイミングは四半期毎に変動します。当連結会計年度のセグメント利益は712億円(前連結会計年度比50.2%増)となり、セグメント利益マージンは16.8%となり、前連結会計年度14.5%から増加しました。これは、当連結会計年度の費用の増加率が売上収益の増加スピードより低かったことによるものです。
当事業セグメントの業績は以下のとおりです。
(単位:十億円)
前第4四半期 | 当第4四半期 | 増減 | 増減率(%) | 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減 | 増減率(%) | |
売上収益 | 90.0 | 106.3 | 16.3 | 18.1 | 326.9 | 424.9 | 97.9 | 30.0 |
セグメント利益(セグメント調整後EBITDA) (注3) | 10.5 | 8.3 | △2.1 | △20.7 | 47.4 | 71.2 | 23.8 | 50.2 |
セグメント利益マージン (セグメント調整後 EBITDAマージン) (単位:%)(注3) | 11.8 | 7.9 | △3.9 | - | 14.5 | 16.8 | 2.3 | - |
参考:米ドルベース売上(注1) (単位:百万米ドル) | 816 | 974 | 158 | 19.4 | 2,944 | 3,907 | 962 | 32.7 |
(注1)当事業セグメントの現地決算数値であり、当社連結決算数値に含まれる数値とは異なります。
(注2)IndeedとGlassdoorが提供する機能は各国によって異なります。
(注3)前第4四半期及び前連結会計年度はEBITDA及びEBITDAマージン、当第4四半期及び当連結会計年度は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
メディア&ソリューション事業
当事業セグメントは、販促領域及び人材領域の2つの事業領域にて構成されています。
販促領域は各分野で当事業セグメントが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディアへの広告を通じて企業クライアントの集客を支援しています。代表的なオンラインプラットフォームとして、住宅の売買や賃貸等に関する「SUUMO」、結婚に関する「ゼクシィ」、主に国内旅行に関する「じゃらん」、飲食店に関する「HotPepperグルメ」、ヘアサロン等美容サロンに関する「HotPepper Beauty」等があります。更に、「Air ビジネスツールズ」等を中心としたSaaSソリューションを展開し、主に中小企業クライアントの予約・顧客・販売管理、決済、従業員管理、その他の事業運営等をクラウドを活用してサポートしています。また、販促領域は各分野で当事業セグメントが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディアからの情報を通して、個人ユーザーに日常生活におけるより多くの選択肢を提供しています。
直近では、日本政府によるキャッシュレス・消費者還元事業が追い風となり、決済サービスである「Airペイ」のアカウント数(注)が特に増加しており、2020年3月末時点では約14.9万、前年同期比167%増となりました。また、「Airペイ」を利用する企業クライアントによる「Air ビジネスツールズ」の他ソリューションとの併用が増加しています。2020年3月末時点の「Airペイ」アカウント数(注)約14.9万のうち、他ソリューションを併用しているアカウント数は約10.2万となりました。今後も「Airペイ」アカウント数(注)の伸長が、「Air ビジネスツールズ」の総アカウント数の増加に寄与していくと考えています。
人材領域は当事業セグメントが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディアを通じて、企業クライアントの採用活動及び個人ユーザーの求職活動を支援するサービスを提供しています。具体的には、「リクナビ」、「リクナビNEXT」、「タウンワーク」等、様々な雇用形態に合わせた求人広告サイトや「リクルートエージェント」等の人材紹介事業を中心とした事業を運営しています。
当第4四半期における売上収益は1,928億円(前年同期比0.4%減)となりました。販促領域は、主に住宅分野、旅行分野、美容分野等が増収となり、前年同期比7.5%の増収でした。一方、人材領域は国内人材募集分野が減収となり、前年同期比8.6%の減収となりました。
販促領域では新型コロナウイルス感染症の影響発現が主に2020年3月以降だったため、業績に与える影響は限定的でした。しかし、外出自粛要請等により旅行分野及び飲食分野では、売上収益への影響がありました。特に旅行分野では、主に2019年4月の価格改定に伴い当第1四半期以降、前年同期比20%程度の増収率が続いたものの、当第4四半期は宿泊者数減少及び宿泊単価の下落が続き、増収率は12.7%に減少しました。
人材領域では、前年同期比8.6%の減収となりました。これは主に、製造業を含む一部業界における経営環境の不透明感が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて多くの業界に拡大し、企業クライアントが採用活動に慎重になったことによるものです。
当連結会計年度の売上収益は7,559億円(前連結会計年度比4.8%増)となりました。これは主に、販促領域が増収となったことによるものです。
当第4四半期におけるセグメント利益(セグメント調整後EBITDA)は342億円(前年同期比6.1%増)となりました。販促領域では、各分野にて戦略的なマーケティング投資を実施した結果、減益となりました。人材領域では、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みてコスト管理に取り組み、マーケティング投資を抑制した結果、増益となりました。セグメント利益マージンは17.8%となりました。当連結会計年度のセグメント利益は1,829億円(前連結会計年度比6.1%増)、セグメント利益マージンは24.2%となりました。販促領域では増収に伴う増益となり、人材領域ではコスト管理及びマーケティング投資の抑制により、増益となりました。
なお、当第4四半期に海外事業に関連するのれん及び無形資産の減損損失を181億円計上しました。主な対象は、海外販促分野の「Treatwell」を運営するHotspring Ventures Limitedに関する145億円ののれんであり、これまでの長期的な投資を要する規模拡大戦略から投資額をコントロールし、安定的な事業運営を目指す戦略への変更に伴う今後の事業計画の見直しにより、将来キャッシュフローの見積もりを減少させたことによるものです。「Treatwell」の戦略変更は、当事業セグメントにおいて、「Air ビジネスツールズ」を中心としたSaaSソリューションの拡大に向けた成長投資を加速させることを最優先に、既存事業への投資の優先順位を明確にしたことによるものです。
(注)登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。
当事業セグメントの業績及び関連データ等は以下のとおりです。
(単位:十億円)
前第4四半期 | 当第4四半期 | 増減 | 増減率(%) | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率(%) | |||
売上収益(合計) | 193.7 | 192.8 | △0.8 | △0.4 | 721.4 | 755.9 | 34.4 | 4.8 | ||
販促領域 | 105.2 | 113.0 | 7.8 | 7.5 | 400.4 | 438.5 | 38.1 | 9.5 | ||
住宅分野 | 28.1 | 30.6 | 2.5 | 9.0 | 104.1 | 113.3 | 9.2 | 8.9 | ||
結婚分野 | 13.0 | 12.2 | △0.8 | △6.2 | 54.9 | 52.0 | △2.9 | △5.3 | ||
旅行分野 | 14.9 | 16.8 | 1.8 | 12.7 | 61.6 | 73.4 | 11.7 | 19.1 | ||
飲食分野 | 10.0 | 9.8 | △0.2 | △2.1 | 38.8 | 39.2 | 0.3 | 0.9 | ||
美容分野 | 18.7 | 21.1 | 2.4 | 13.3 | 72.0 | 81.6 | 9.5 | 13.3 | ||
その他 | 20.3 | 22.3 | 1.9 | 9.7 | 68.7 | 78.9 | 10.1 | 14.7 | ||
人材領域 | 86.6 | 79.1 | △7.4 | △8.6 | 316.8 | 314.1 | △2.6 | △0.9 | ||
国内人材募集分野 (注1) | 78.2 | 70.0 | △8.1 | △10.5 | 283.9 | 277.8 | △6.1 | △2.2 | ||
その他 | 8.3 | 9.1 | 0.7 | 8.9 | 32.8 | 36.2 | 3.4 | 10.4 | ||
全社/消去(メディア&ソリューション事業) | 1.9 | 0.6 | △1.2 | △65.8 | 4.1 | 3.1 | △0.9 | △23.4 | ||
セグメント利益(セグメント調整後EBITDA) (合計) | 32.2 | 34.2 | 1.9 | 6.1 | 172.4 | 182.9 | 10.4 | 6.1 | ||
販促領域 | 18.8 | 18.6 | △0.2 | △1.4 | 109.8 | 115.9 | 6.1 | 5.6 | ||
人材領域 | 17.9 | 18.8 | 0.8 | 5.0 | 79.2 | 83.4 | 4.2 | 5.3 | ||
全社/消去(メディア&ソリューション事業) | △4.5 | △3.1 | 1.3 | - | △16.6 | △16.5 | 0.0 | - | ||
セグメント利益 マージン(セグメント調整後EBITDAマージン)(単位:%)(合計)(注3) | 16.7 | 17.8 | 1.1 | - | 23.9 | 24.2 | 0.3 | - | ||
販促領域(注3、4) | 18.0 | 16.5 | △1.5 | - | 27.4 | 26.4 | △1.0 | - | ||
人材領域(注3、4) | 20.7 | 23.7 | 3.1 | - | 25.0 | 26.6 | 1.6 | - |
(注1)前第2四半期及び当第1四半期に当分野に属する子会社を譲渡しており、その影響を控除した際の前年同期比は9.9%減、前連結会計年度比は0.9%減(注2)
(注2)前年実績から、譲渡した子会社の前年実績の数値を除いて算出
(注3)前第4四半期及び前連結会計年度はEBITDA及びEBITDAマージン、当第4四半期及び当連結会計年度は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
(注4)当第4四半期及び当連結会計年度における販促及び人材領域に含まれる子会社の一部のセグメント利益はIFRS第16号の適用影響を調整しておらず、当該調整金額は全社/消去に含めていますが、その影響は軽微です。
2019年 3月期 | 2020年 3月期 | |||||||||
(単位) | Q1末 | Q2末 | Q3末 | Q4末 | Q1末 | Q2末 | Q3末 | Q4末 | ||
事業データ | ||||||||||
「HotPepperグルメ」 ネット予約人数累計(注1) | 万人 | 1,905 | 3,718 | 6,577 | 8,850 | 2,181 | 4,240 | 7,295 | 9,289 | |
「HotPepper Beauty」 ネット予約件数累計(注1) | 万件 | 2,272 | 4,719 | 7,163 | 9,699 | 2,782 | 5,727 | 8,615 | 11,454 | |
「Airレジ」登録アカウント数 (注2) | 万 | 34.9 | 36.4 | 38.1 | 40.2 | 42.2 | 44.9 | 46.9 | 48.8 | |
「スタディサプリ」有料会員数 (注3) | 万人 | 55.9 | 58.6 | 59.8 | 61.4 | 74.1 | 75.9 | 76.4 | 79.9 |
(注1)キャンセル前予約受付ベース、各連結会計年度期首からの累計数値
(注2)登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。
(注3)従来は「スタディサプリ」有料会員数のうち、高校生向けサービスのみを開示していましたが、2019年3月期より、「スタディサプリ」の有料会員数の合計を開示しています。なお、有料会員数とは、小学生、中学生及び高校生向け講座並びに「スタディサプリEnglish」の有料会員数の合算値です。
人材派遣事業
人材派遣事業は、複数の業界にて人材派遣事業やそれに係るサービスを提供しており、国内派遣及び海外派遣の2つの事業領域で構成されています。国内、海外ともにマーケット特性に応じて組織をユニット単位に区分し、権限移譲により、各ユニットがマーケットに最適な戦略を実行することによって、利益の最大化を目指すユニット経営を推進しています。
当第4四半期における売上収益は2,977億円(前年同期比2.1%減)となりました。国内派遣領域においては、新型コロナウイルス感染症による影響が限定的であり、人手不足が継続する環境を受けて増収となりました。海外派遣領域においては、為替影響が売上収益に対して68億円のマイナス寄与となったことや、欧州を中心に継続していた不透明な経済環境が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、経済見通しがグローバルで悪化したことにより減収となりました。為替によるマイナス影響を控除した場合の売上収益は前年同期比で0.1%増となりました。この結果、当連結会計年度の売上収益は12,481億円(前連結会計年度比3.3%減)となり、為替によるマイナス影響を控除した場合の売上収益は前連結会計年度比0.2%減となりました。
当第4四半期におけるセグメント利益(セグメント調整後EBITDA)は162億円(前年同期比18.5%増)となりました。当第4四半期におけるセグメント利益マージンは5.4%となり、前年同期の4.5%から増加しました。国内派遣領域においては、主に増収による増益となり、セグメント利益マージンは7.1%(前年同期は5.0%)となりました。海外派遣領域においては、減収に伴う減益となり、セグメント利益マージンは3.9%(前年同期は4.1%)となりました。この結果、当連結会計年度のセグメント利益は812億円(前連結会計年度比2.0%減)となり、当連結会計年度のセグメント利益マージンは6.5%(前連結会計年度は6.4%)となりました。当連結会計年度のセグメント利益マージンは、国内派遣領域においては8.3%(前連結会計年度は7.9%)となりました。海外派遣領域においては、5.0%(前連結会計年度は5.3%)となりました。
なお、当第4四半期において、当事業セグメントでは、128億円ののれん及び無形資産の減損損失を計上しました。主な内訳は、豪州のChandler Macleod Group Limitedに関連する78億円ののれんの減損損失及びドイツのUSG People Germany GmbHに関連する38億円の無形資産の減損損失です。これは、対象各社の展開国における不透明な経済環境の影響等により、当連結会計年度の業績が計画を下回ったことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響が期末日以降相当程度続くと仮定した上で、今後の事業計画を保守的に見直した結果、将来キャッシュフローの見積もりを減少させたことによるものです。
海外派遣領域をはじめ当事業セグメントでは、不透明な経済環境の中、引き続きユニット経営の強化による生産性改善を通してセグメント利益マージンのコントロールに注力します。
当事業セグメントの業績は以下のとおりです。
(単位:十億円)
前第4四半期 | 当第4四半期 | 増減 | 増減率(%) | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率(%) | ||
売上収益(合計) | 304.1 | 297.7 | △6.4 | △2.1 | 1,290.2 | 1,248.1 | △42.1 | △3.3 | |
国内派遣領域 | 133.4 | 143.6 | 10.2 | 7.7 | 542.5 | 567.8 | 25.2 | 4.7 | |
海外派遣領域 | 170.7 | 154.0 | △16.6 | △9.8 | 747.7 | 680.3 | △67.3 | △9.0 | |
セグメント利益(セグメント調整後EBITDA) (合計)(注1) | 13.6 | 16.2 | 2.5 | 18.5 | 82.9 | 81.2 | △1.6 | △2.0 | |
国内派遣領域(注2) | 6.6 | 10.2 | 3.5 | 53.7 | 43.0 | 47.1 | 4.1 | 9.5 | |
海外派遣領域(注2) | 7.0 | 5.9 | △1.0 | △15.0 | 39.8 | 34.1 | △5.7 | △14.5 | |
セグメント利益マージン (セグメント調整後EBITDAマージン)(単位:%)(合計)(注2) | 4.5 | 5.4 | 0.9 | - | 6.4 | 6.5 | 0.1 | - | |
国内派遣領域(注2) | 5.0 | 7.1 | 2.1 | - | 7.9 | 8.3 | 0.4 | - | |
海外派遣領域(注2) | 4.1 | 3.9 | △0.2 | - | 5.3 | 5.0 | △0.3 | - |
(注1)為替影響額を控除した際の海外派遣領域の当第4四半期及び当連結会計年度の売上収益は前年同期比5.7%減、前連結会計年度比3.8%減
(注2)前連結会計年度及び前第4四半期はEBITDA及びEBITDAマージン、当連結会計年度及び当第4四半期は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
当連結会計年度の地域別売上収益(注)は以下のとおりです。
(単位:十億円)
日本 | 北米 | 欧州 | 豪州 | |
売上収益 | 567.8 | 188.3 | 347.4 | 144.7 |
(注) 北米、欧州、豪州については子会社各社の売上の単純合算値
各セグメントに帰属する地域別のれん金額
当連結会計年度末の各セグメントに帰属するのれんの帳簿価額は以下のとおりです。
(単位:十億円)
のれん | ||
HRテクノロジー | 196.4 | |
メディア&ソリューション | 1.8 | |
日本 | - | |
海外 | 1.8 | |
人材派遣 | 184.8 | |
日本 | 27.7 | |
北米 | 13.9 | |
欧州 | 137.6 | |
豪州 | 5.5 | |
合計 | 383.1 |
ⅲ 資本の財源及び資金の流動性
(財務方針)
当社は、借入による資金調達を有効に活用しつつ、格付を意識した財務の健全性を維持することを財務方針としています。
自己資本の水準は、成長投資の機会等に対して機動的に対応できる財務基盤を整えること及び事業活動や資産のリスクと比較して十分であることを基本方針としています。当連結会計年度末時点において、親会社の所有者に帰属する持分は9,884億円、親会社所有者帰属持分比率は49.4%です。
資本効率については、ROE15%の水準を目安に設定し、株主資本コストを上回る資本効率の実現に取り組んでいます。個別の投資案件の実行是非を判断する際は、資本コストを上回るハードルレートを適用しています。
株主還元については、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針とし、業績と将来必要となる自己資本の水準を総合的に勘案した利益還元を行うこととしています。連結配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から非経常的な損益等の影響を控除した上で30%程度を目安としています。なお、自己株式の取得については、市場環境及び財務状況の見通し等を踏まえ、実施の是非について検討します。
(資金使途)
運転資金、法人税の支払い、各事業セグメントにおけるM&A及び資産取得等による外部資源の獲得や設備投資、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得等に資金を充当しています。
また、当連結会計年度の各事業セグメントにおける設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1.設備投資等の概要」をご参照ください。
(資金調達)
運転資金及び投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を充当することを基本としていますが、資金需要及び金利動向等の調達環境並びに既存の有利子負債の返済及び償還時期等を考慮の上、調達規模及び調達手段を適宜判断して外部資金調達を実施する場合があります。外部資金調達を行う運転資金のうち、原則として、短期の運転資金については、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー又はその組み合わせ、中長期の運転資金については、金融機関からの借入、社債又はその組み合わせにより調達することとしています。なお、当社は、機動的な資金調達を可能とするため、2,000億円(当連結会計年度末における未使用枠2,000億円)を上限とする社債の発行登録を行っています。
また、当社は、流動性を確保し、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関4社と当座貸越契約を締結しています。なお、当連結会計年度末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。加えて、当社は2020年4月30日に総額3,999億円のコミットメントライン契約を締結しました。2020年6月30日時点で、当該コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。これらにより、当社は事業環境の激しい変化の際にも十分な流動性を確保することを図っています。
(有利子負債)
当連結会計年度末の社債及び借入金の帳簿価額・期日別残高は以下のとおりであり、期日別残高は利息支払額を含んだ割引前のキャッシュ・フローを記載しています。
(単位:百万円) | ||||
帳簿価額 | 期日別残高 | |||
1年内 | 1年超5年内 | 5年超 | ||
社債 | 49,927 | 71 | 50,159 | - |
借入金 | 86,772 | 25,820 | 62,671 | 1,295 |
合計 | 136,699 | 25,891 | 112,830 | 1,295 |
(格付)
当社は、格付機関である㈱格付投資情報センター(以下、「R&I」という。)、ムーディーズ・ジャパン㈱(以下、「ムーディーズ」という。)及びS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(以下、「S&P」という。)から長期格付を取得しています。当連結会計年度末における格付の状況は、以下のとおりです。
・R&I:AA-
・ムーディーズ:A3
・S&P:A
(キャッシュマネジメント)
当社は、グループ全体の資金効率を最大化するため、法制度上許容され、かつ経済合理性が認められることを前提として、主にキャッシュマネジメントシステムを通じたグループファイナンスにより、グループ内での資金貸借の実施を外部借入よりも優先しています。
当社は、当社及び財務統括子会社に全ての通貨のキャッシュマネジメントを集約することで、当社グループが保有する現金及び現金同等物の機動性を確保しています。
当社グループは、経済危機等の環境変化や成長投資機会へ機動的かつ柔軟に対応できる十分な資金を有しています。当連結会計年度末時点において、現金及び現金同等物の金額は4,212億円、ネットキャッシュ(注1)の金額は2,845億円です。
(注1)ネットキャッシュ = 現金及び現金同等物 - 有利子負債(注2)
(注2)有利子負債には、社債及び借入金を含み、リース負債を含みません。
(資金運用)
資金運用は、投機目的で行わず、元本が保証され、安全かつ確実で効率の高い金融商品のみで行うこととしています。
(連結財政状態の概況)
(単位:十億円)
前連結会計年度 (2019年3月31日) | 当連結会計年度 (2020年3月31日) | 増減 | 増減率 (%) | ||
資産合計 | 1,748.9 | 1,998.9 | 249.9 | 14.3 | |
流動資産合計 | 809.0 | 829.9 | 20.9 | 2.6 | |
非流動資産合計 | 939.9 | 1,168.9 | 228.9 | 24.4 | |
負債合計 | 776.7 | 1,003.1 | 226.4 | 29.2 | |
流動負債合計 | 497.5 | 511.7 | 14.1 | 2.8 | |
非流動負債合計 | 279.1 | 491.4 | 212.3 | 76.1 | |
資本合計 | 972.2 | 995.7 | 23.4 | 2.4 | |
親会社の所有者に帰属する持分合計 | 965.7 | 988.4 | 22.6 | 2.3 | |
非支配持分 | 6.4 | 7.2 | 0.8 | 12.6 | |
資産
流動資産は前連結会計年度末比209億円(2.6%)増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が増加したことによるものです。
非流動資産は前連結会計年度末比2,289億円(24.4%)増加しました。これは主に、IFRS第16号の適用に伴い使用権資産が増加したことによるものです。
負債
流動負債は前連結会計年度末比141億円(2.8%)増加しました。これは主に、IFRS第16号の適用に伴いリース負債が増加した一方、未払法人所得税が減少したことによるものです。
非流動負債は前連結会計年度末比2,123億円(76.1%)増加しました。これは主に、IFRS第16号の適用に伴いリース負債が増加したことによるものです。
資本
資本は前連結会計年度末比234億円(2.4%)増加しました。これは主に、自己株式の取得により資本が減少したことや、為替レートの変動等によりその他の資本の構成要素が減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益を計上したこと等により利益剰余金が増加したことによるものです。
(連結キャッシュ・フローの概況) | |||
(単位:十億円) |
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 276.9 | 303.3 | 26.3 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △204.6 | △88.9 | 115.6 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △68.5 | △192.7 | △124.1 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 9.2 | △3.2 | △12.5 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 13.0 | 18.3 | 5.2 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 389.8 | 402.9 | 13.0 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 402.9 | 421.2 | 18.3 |
当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、営業活動による収入が投資活動及び財務活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末比183億円増加し、4,212億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
法人所得税の支払額を計上した一方、主に、税引前利益を計上したこと及びその中に含まれる減価償却費及び償却費等の非資金項目を調整したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
主に、無形資産の取得による支出を計上したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
主に、自己株式の取得による支出及び配当金の支払額を計上したことによるものです。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループが提供するサービスの性質上、生産実績及び受注実績の記載に馴染まないため、省略しています。
② 販売実績
(1) 経営成績等の分析に記載のとおりです。