有価証券報告書-第33期(平成26年3月1日-平成27年2月28日)

【提出】
2015/05/28 15:30
【資料】
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【項目】
97項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。見積り特有の不確実性が存在するため、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
当社グループの財政状態及び経営成績にとって重要であり、かつ、相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針について、以下のとおり説明いたします。
① 収益の認識
請負業務の売上高につきましては、請負作業が終了し納品・検収を受けた時点で収益を認識しております。
派遣業務の売上高につきましては、毎月末に当月1日から月末までの技術者の取引先企業での役務提供に対応して収益を認識しております。
その他事業において、商品等の受け渡しのみで完了する売上高につきましては、出荷をした時点で収益を認識しております。
なお、受注制作のソフトウエアにつきましては、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる契約については進行基準(案件の進捗率の見積りは原価比例法)により収益を認識しております。
② 貸倒引当金(債権の回収可能性)
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率等により、また、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。取引先の財政状態が悪化しその支払能力が低下した場合には、引当金を計上する必要が生じ、損益に影響を及ぼす可能性があります。
③ 繰延税金資産
当社グループは、企業会計上の収益または費用と、課税所得計算上の益金または損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税所得計算上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき貸借対照表上に繰延税金資産を計上しております。当社グループの将来的な業績予想を検討して十分回収可能性があると考えておりますが、状況によっては繰延税金資産の全額または一部を取崩す必要が生じる可能性があります。
④ 役員退職慰労引当金
当社グループは、役員及び執行役員の退職慰労金の支出に備えて、役員退職慰労金内規に基づき役員及び執行役員の在任期間に対応する役員退職慰労引当金を計上しております。
⑤ 賞与引当金
当社グループは、従業員に対して支給する賞与の支出に充てるため、支給見込額のうち当連結会計年度負担分を計上しております。
⑥ 受注損失引当金
当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計期間末における受注のうち発生する原価の見積額が受注額を超過する可能性が高いものについて、損失見込額を計上しております。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産合計額は3,557百万円(前連結会計年度末比389百万円増)、負債合計額は1,038百万円(同305百万円増)、純資産合計額は2,518百万円(同84百万円増)となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は2,984百万円となり、前連結会計年度末に比べ279百万円増加となりました。これは主に、現金及び預金1,783百万円(前連結会計年度末比306百万円増)、受取手形及び売掛金874百万円(同2百万円減)、仕掛品153百万円(同33百万円減)によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は572百万円となり、前連結会計年度末に比べ109百万円増加となりました。これは、有形固定資産168百万円(前連結会計年度末比33百万円増)、無形固定資産37百万円(同15百万円減)、投資その他の資産366百万円(同91百万円増)によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は860百万円となり、前連結会計年度末に比べ289百万円増加となりました。これは主に、未払金198百万円(前連結会計年度末比84百万円増)、未払消費税等222百万円(同169百万円増)によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は178百万円となり、前連結会計年度末に比べ15百万円増加となりました。これは、役員退職慰労引当金178百万円(前連結会計年度末比15百万円増)によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は2,518百万円となり、前連結会計年度末に比べ84百万円増加となりました。これは主に、利益剰余金2,186百万円(前連結会計年度末比83百万円増)によるものであります。
(3) 経営成績の分析
(売上高)
組込み系の開発案件はもとより、業務系、WEB系のシステム及びソフトウエア開発、インターネットを活用した各種サービスの開発に関しましても堅調に受注いたしました。その結果、当連結会計年度における売上高は6,920百万円(前年同期比4.5%増)となりました。
(売上総利益)
売上高の増加、グループ間の情報共有徹底による効率的なアサインを実施したこと等により、労務費等の製造原価の増加を吸収いたしました。その結果、当連結会計年度における売上総利益は1,444百万円(同7.1%増)となりました。
(営業利益)
増床を目的とした本社移転に伴う費用や、積極的な採用による新卒エンジニアの人件費及びその教育にかかる費用等により、販売費及び一般管理費が増加いたしました。一方で、システム部門との連携を深めることにより継続的にコスト削減を推し進めてまいりました。その結果、当連結会計年度における営業利益は551百万円(同6.4%増)となりました。
(経常利益)
有価証券利息及び団体保険の配当金等により、営業外収益が11百万円となりました。また、固定資産除却損及び自己株式取得費用等の営業外費用が発生し、営業外費用は2百万円となりました。その結果、当連結会計年度における経常利益は560百万円(同8.5%増)となりました。
(当期純利益)
厚生年金基金脱退に伴う費用38百万を含む特別損失や法人税等を計上いたしました。その結果、当連結会計年度における当期純利益は333百万円(同10.3%増)となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
現在の主力取引先であるキヤノン株式会社を中心とするキヤノングループ並びにソニー株式会社を中心とするソニーグループとの取引については、非常に良好な関係にあります。しかし、両社グループに対する売上高は、当社グループ売上高全体の75.2%を占めており、両社との取引状況及び関係等が悪化した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループではこれらの状況を踏まえ、事業における基本戦略として、組込みソフト開発に注力した活動を行う一方、昨今の市場環境等を鑑みまして、業務系及びWeb系のソフトウエア開発にも注力してまいります。
組込みソフトの分野では、要求される技術レベルが高いため、価格競争になる可能性が低く、競争力を維持できる状態での事業展開が可能と考えております。業務系及びWeb系の分野では、SEの質を高めるための教育を実施し、技術スキルのみでなく、提案力、コミュニケーション能力、営業力の向上を図ってまいります。また、そのスピードを上げるためのM&Aも積極的に実施してまいります。
これらの基本戦略を基に、競争力をベースとした事業展開を継続してまいります。
(5) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」の項をご参照ください。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
財務面につきまして、利益の増加によるキャッシュ・フローの増加と、それによる資本充実を念頭に経営を行っております。当社グループ経営陣は更なる流動比率の向上と、流動資産中の現預金の増加を目指しており、より余力のある、安定した経営を行っていく次第です。その施策としては、プロジェクト単位での予実管理の徹底、各種教育プログラムによる技術力の向上、社内啓発によるコンプライアンス意識の向上、蓄積されたノウハウの再利用による作業効率化を実施することにより、更なる収益性を担保してまいります。
IT業界に置きましては、顧客ニーズの多様化や市場のグローバル化等により同業他社との競争は更に厳しくなると予想されます。当社グループでは、競争力のある人材の育成を進めるとともに、活発な新規顧客獲得の営業活動を進めることにより、売上高の増加及び利益率の向上を図ってまいります。また、昨今の市場動向やニーズ等を鑑みまして、業務系及びWeb系のソフトウエア開発にも注力してまいります。
当社グループは「技術で社会に貢献する」を経営方針とし、株主・顧客・従業員等、すべてのステークホルダーの期待と信頼に応えるべく、経営資源の最適な配置と効率的な投入により企業価値の最大化に注力してまいります。