有価証券報告書-第16期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、前年度に続いて一部地域に地政学的なリスクに対する懸念が残るものの、総じて緩やかな回復基調で推移しました。米国・欧州においては、企業業績が堅調であり、雇用情勢の改善が継続し、個人消費も底堅く推移しました。新興国においても輸出主導の景気改善が継続しております。一方、日本経済においても、好調な世界経済を背景として、設備投資や雇用・所得環境の改善が進むなど、景気は引き続き緩やかな回復基調を辿っております。
当社の属する半導体業界では、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTや人工知能(AI)、ビックデータ関連のビジネスが急速に拡大しており、サーバやストレージ、データセンター等のインフラ向けチップに強い需要があり、メモリーや車載機器向けの需要についても旺盛な状況にあります。
当社の事業領域であるAI/ビジュアル・コンピューティング分野においては、GPUの用途がクラウドにおける人工知能処理向けに拡がり、自動運転や人工知能デバイス等に注目が集まる状況が継続しております。また、IoT/AIの発達により、スマートフォンやエッジデバイスへのAIアクセレータの搭載が始まり、エッジ側における大量のデータ処理能力向上が求められる状況にあります。さらに、AIが半導体をはじめとする製造現場に変革をもたらすことが予見されており、この分野への注目が集まっております。
このような環境下において、当社は、前事業年度に続いてLSI事業を収益化するための取り組みとAI分野のビジネスを推進し、業績の伸長に努めてまいりました。既存のIPライセンス事業においては、顧客製品の更新需要に応じたライセンス成約と一部のランニングロイヤリティ収入が強含みで推移しました。LSI事業では、アミューズメント市場向けに開発した画像処理半導体「RS1」の量産出荷を開始しました。プロフェッショナルサービス事業においては、車載機器メーカーからのAI関連のソフトウエアや受託開発案件の売上が順調な伸びを見せております。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より委託を受けております「省電力AIエンジンと異種エンジン統合クラウドによる人工知能プラットフォーム」の開発に関し、開発加速のための追加委託を受注することができました。
業務資本提携先である株式会社UKCホールディングスとの取り組みにつきましては、LSI事業におけるチャネルパートナーとして協業するとともに、プロフェッショナルサービス分野においてもAI関連の取引が増加しております。
この結果、当事業年度の売上高は、IPライセンス、ランニングロイヤリティ収入、プロフェッショナルサービスにおけるAI関連の受託開発売上に加え、「RS1」の量産出荷開始による売上を計上したことにより、973百万円(前年同期比40.3%増)となりました。利益面では、売上高の増加と販管費の圧縮が奏功し営業利益は69百万円(前年同期営業損失263百万円)となりました。なお、保有する外貨建資産が近時の為替相場の急激な変動による円高の影響により、営業外費用に為替差損6百万円を計上したため、経常利益は66百万円(前年同期経常損失262百万円)となりました。また、販売代理店契約の解約に伴う清算金51百万円を特別利益として計上したため、当期純利益は、109百万円(前年同期当期純損失365百万円)となりました。
当社は、単一セグメントでありますが、事業の傾向を示すため、事業別の業績を以下に示します。
事業別売上高
IPコアライセンス事業
IPコアライセンス事業では、新規ライセンス、既存顧客からのランニングロイヤリティ収入などを計上したことにより、売上高は326百万円となりました。
LSI製品事業
LSI製品事業では、「RS1」の量産出荷開始による売上を計上し、売上高は150百万円となりました。
その他の事業
その他の事業では、プロフェッショナルサービスのAI関連受託開発売上が順調に進捗するとともに、NEDOの受託開発売上を計上したことにより、497百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ435百万円増加し1,504百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、205百万円の収入(前年同期は74百万円の支出)となりました。主な要因は、税引前当期純利益117百万円、仕入債務の増加額107百万円などによる増加要因と、売上債権の増加額93百万円などによる減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、141百万円の収入(前年同期は410百万円の収入)となりました。主な要因は、有価証券の償還による収入300百万円および定期預金の払戻による収入111百万円などによる増加要因と固定資産の取得による支出269百万円などによる減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、97百万円の収入(前年同期は35百万円の収入)となりました。主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入97百万円による増加要因であります。
なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。
| 平成27年3月期 | 平成28年3月期 | 平成29年3月期 | 平成30年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 96.6 | 88.9 | 93.6 | 88.2 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 276.1 | 238.0 | 392.9 | 834.8 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
(注)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
③生産、受注及び販売の状況
a.仕入実績
当事業年度の仕入実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。
| 事業部門の名称 | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |
| 仕入実績(千円) | 前年同期比(%) | |
| IPコアライセンス事業 | - | - |
| LSI製品事業 | 91,363 | 11,420.5 |
| その他の事業 | - | - |
| 合計 | 91,363 | 11,420.5 |
(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注状況
当事業年度の受注状況を事業部門別に示すと次のとおりであります。
| 事業部門の名称 | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |||
| 受注高 (千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年同期比 (%) | |
| IPコアライセンス事業 | - | - | - | - |
| LSI製品事業 | 153,750 | 14,041.1 | 3,378 | - |
| その他の事業 | 334,202 | 43.1 | 172,329 | 51.4 |
| 合計 | 487,952 | 62.9 | 175,707 | 52.4 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.IPコアライセンス事業には、受注という概念が馴染まないため記載しておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。
| 事業部門の名称 | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |
| 販売実績(千円) | 前年同期比(%) | |
| IPコアライセンス事業 | 326,322 | 128.6 |
| LSI製品事業 | 150,371 | 13,732.6 |
| その他の事業 | 497,136 | 113.1 |
| 合計 | 973,830 | 140.3 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 株式会社UKCホールディングス | - | - | 318,631 | 32.7 |
| 株式会社バンダイナムコエンターテインメント | 250,000 | 36.0 | - | - |
| 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 154,887 | 22.3 | 242,201 | 24.9 |
| シャープ株式会社 | 139,995 | 20.2 | 136,409 | 14.0 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当事業年度の株式会社バンダイナムコエンターテインメントについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。当社はこの財務諸表の作成にあたって、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積りおよび判断を行っております。当社経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績は、IPライセンス、ランニングロイヤリティ収入、プロフェッショナルサービスにおけるAI関連の受託開発売上に加え、「RS1」の量産出荷開始による売上を計上したことにより、973百万円(前年同期比40.3%増)となりました。利益面では売上高の増加と販管費の圧縮が奏功し営業利益は69百万円(前年同期営業損失263百万円)となりました。なお、保有する外貨建資産が近時の為替相場の急激な変動による円高の影響により、営業外費用に為替差損6百万円を計上したため、経常利益は66百万円(前年同期経常損失262百万円)となりました。また、販売代理店契約の解約に伴う清算金51百万円を特別利益として計上したため、当期純利益は、109百万円(前年同期当期純損失365百万円)となりました。
③経営戦略の現状と見通し
今後の世界経済は、先進国が牽引する景気回復が続くものと見込まれますが、米国の通商政策が世界経済に与える影響も懸念されており、先行きに不透明感のある展開も予想されます。
当社の属する半導体業界では、旺盛な需要が続くメモリーに逼迫感が強まるとともに、運転支援システムの本格的な普及を目前にして車載用半導体の需要が増大するものと見込まれます。
このような環境下において当社は、当事業年度より量産出荷を開始した「RS1」の販売数量拡大に注力することによりSoC/モジュールビジネスを収益の確固たる柱に据えるための施策を展開してまいります。
また、AI分野のビジネスとして、「ZIA」シリーズの製品ポートフォリオ拡充を図り、IPライセンスに留まらず、顧客ニーズに応じた柔軟なソリューションを提供できるFPGAモジュールの販売についてもパートナーと協業しながら推進し、カメラ、事務機器、産業機器、自動車向け等への提案を進めてまいります。
さらに、NEDOより受託しております「省電力AIエンジン受託開発」につきましても引き続き注力してまいります。