訂正有価証券報告書-第23期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度のわが国においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を目的として国・地方自治体・企業・市民がかつてない広範な取り組みを行い、その影響が社会経済全般に大きな影響を与えました。特に2020年4月7日から5月25日まで発令されていた緊急事態宣言の下では社会経済活動の抑制が大掛かりに行われ、わが国経済は、諸政策による下支えはあるものの、消費・生産の急速な減速、雇用情勢の悪化が顕著に現れるものとなりました。5月に緊急事態宣言が解除されてから以降は、産業による程度の差はありながらも経済活動全体としては回復傾向が示されてきました。企業活動・社会活動においては、全体としては活発さを取り戻す動きが底流にありながらも、業種毎・地域毎に回復状況に差があり時期による浮き沈みも見受けられました。特に、飲食業・宿泊業等の集積する大都市においては、雇用環境等への影響が顕著に現れ、居住者の減少など注目される事象も生じました。その後、2021年1月から3月にかけての第2回目の緊急事態宣言下においては、感染症対策に係る知見の蓄積もあり、前回宣言時と比べて社会経済面の制限や混乱は限定的な様子を見せました。そして世界的なワクチン接種の開始とともに、近い将来の事態収束への期待は広く共有されるようになっていますが、収束までの期間に次なる感染の波が到来することへの不安もあり、回復の時期やペースについては不透明な状態にあると感じられています。
当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が主力とする不動産賃貸仲介の業界におきましては、5月の緊急事態宣言解除後の社会経済活動の回復に向けた動きを背景に転居の需要水準が持ち直したものの、秋以降は東京都や愛知県を中心とした都市部における転居需要の低下が見受けられるなど、社会経済の動向による需要水準の変動が地域別・時期別に特徴的に現れるようになりました。一方、事業の運営スタイルについては、「不動産テック」と呼ばれるIT技術を活用して部屋探しのお客様のニーズを満たすことの重要性がかねてより増しつつありましたが、今般の社会情勢下では対面接客ではなくオンライン上でサービスを受けることが利用者にとって選択肢の一つとして浸透しており、そのニーズに対応するためのIT技術の導入範囲・活用における習熟の度合が企業の競争力に影響を与え得るものと考えられています。また、企業間の競争という観点では、地域別・時期別の変動を吸収するための事業規模を備えていることや、広域にわたる集客・コスト削減など規模の経済の活用余地を備えていることが重要性をもつ環境になっているといえます。
このような事業環境の下で、当社グループは、従業員・お客様・お取引先様の新型コロナウイルス感染予防を重視しながら事業運営を継続いたしました。各店舗・オフィスにおける飛沫防止設備の導入や消毒薬の常備、ソーシャル・ディスタンスの確保、マスク着用の徹底等の直接的な衛生管理をはじめとして、テレワーク・時差出勤・時短勤務などの労務環境面の工夫も全社的に行いました。また、オンラインサービスへのニーズにお応えするため、お客様が来店しなくても部屋探しのできるハウスコム「オンライン部屋探し」を4月にご提案いたしました。「オンライン部屋探し」は、オンライン接客、オンライン内見、IT重説、契約書類・鍵の郵送やりとりにより、対面接触しないでも部屋探しをすることのできるサービスであり、お客様ニーズの充足と運営の効率性の双方に好影響を与えるものとなっています。
また、「オンライン部屋探し」以外にも、お客様の利便性向上と事業者の生産性向上をもたらすIT技術の活用を更に進めることができました。業務効率化を目的としたRPAについては、社内プロジェクトにてテーマを選定して継続的に導入が進んでおります。契約事務のIT化においては、賃貸借の更新契約の電子化は昨年度より取り入れられており既に7,000件以上の締結実績があり、また、電子申込・電子契約手続きをスタートして将来的に新規賃貸借契約締結の電子化が許可されたときにはいち早く対応できる体制を整えました。IT重説については、次世代のIT重説の実施方法に関する知見を蓄積するため、国土交通省の「賃貸取引における重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係る社会実験」に参加登録しております。このように、当社グループはDX(デジタルトランスフォーメーション)時代に適合すべくIT技術活用の取り組みを進めていますが、同時に、リアルとデジタルをまたがる消費者のリアルな反応に関する知見とノウハウの蓄積にも注力しています。一例としては、オンライン上のやりとりによって店舗に来訪する前に入居決定への動機を高め、来店後の成約率を高めるノウハウの構築が挙げられ、全社的に導入・運用が進められています。
また、コロナ収束後を見据えて、将来に向けての投資を積極的に推進いたしました。当連結会計年度においては5店舗の新規出店を行い、2021年3月末においては直営店189店舗、フランチャイズ1店舗の合計190店舗体制となりました。新規出店のうち1店舗は2月にオープンした「OUCHI.com新宿」であり、外国籍のお客様をメインターゲットにした新スタイルの店舗になっています。そして事業領域拡張の一環として、当社グループとして初となる不動産売買専門の拠点を10月に設けるとともに、家主様向けの新サービス「ハウスコムスマートシステム」を7月に上市して継続的にサービス内容を追加してきました。また、大阪を中心に不動産賃貸仲介店舗を23店舗保有する株式会社宅都の株式を2021年3月1日付で100%取得し子会社化しました。株式会社宅都を取得することで、当社直営店189店舗及び株式会社宅都直営店23店舗の合計212店舗の体制を当社グループとして構築し、2019年4月26日に公表した中期経営計画の目標値である「2022年3月末の直営店舗数208店舗」を前倒しで実現することができました。システム投資の重要性の高まるDX時代においては投下資金を回収するための事業規模の確保が重要性を増すことが予想されますが、店舗網拡充の加速はその下支えになると考えております。なお、株式会社宅都は連結子会社であり当連結会計年度末の連結貸借対照表にはその影響が反映されておりますが、連結損益計算書への反映は2022年3月期の第1四半期から開始することを予定しており、当連結会計年度の連結損益計算書にはその業績は反映されておりません。
これらの結果、当社グループの経営成績は、営業収益12,299百万円(前期比5.5%減、715百万円減)、営業利益351百万円(前期比65.4%減、665百万円減)、経常利益576百万円(前期比51.3%減、606百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益312百万円(前期比53.6%減、361百万円減)となりました。
セグメント毎の業績は、次のとおりです。また、セグメント区分による各事業の内容は(注1)(注2)に記載しております。
① 不動産関連事業(注1)
不動産関連事業は、営業収益は10,757百万円(前期比7.8%減)、セグメント利益は1,962百万円(前期比17.0%減)となりました。これらの業績は、新型コロナウイルス感染症拡大による社会経済情勢の影響を受けて不動産賃貸仲介件数が前期比4,577件減少の72,279件(前期比6.0%減)となったことにより、仲介手数料をはじめ周辺商品販売など営業収益全般が低調となったことが主たる要因であります。この間において広告宣伝費をはじめとした費用面の見直しや会議・研修等のオンライン化によるコスト低減効果があるものの、営業収益の減額を補うことはできず、利益においても減額となりました。なお、仲介件数の動向については、時期別の内訳として4月~6月の3か月間の仲介件数は14,182件(前年同期比19.0%減、3,321件減少)、7月~9月は17,906件(前年同期比0.3%減、55件減少)、10月~12月は15,208件(前年同期比8.6%減、1,433件減少)、1月~3月は24,983件(前年同期比0.9%増、232件増加)でした。これは、緊急事態宣言に伴う影響を大きく受けた後、転居需要の回復が始まりながらも、10月~12月においては地域による動向差が顕著に表れて当社の事業展開の中心である東京圏及び中京圏を中心に地域市場全体の転居需要が低下した影響を受けたこと、引っ越しシーズンである1月から3月の繁忙期においては諸施策の効果もあり前年を超過したことが反映されたものであります。
② 施工関連事業(注2)
施工関連事業は、営業収益は1,542百万円(前期比14.9%増)、セグメント利益は78百万円(前期比53.0%減)となりました。これらの業績は、ハウスコム株式会社内のリフォーム事業の営業収益が社会情勢の影響下で前期に比べ103百万円減少した985百万円(前期比9.5%減)となったこと、2019年7月に子会社化したエスケイビル建材株式会社の業績(営業収益557百万円)が当連結会計年度においては連結対象として一年間分(前期は4か月分)が取り込まれたことによるものであります。
(注1)「不動産関連事業」は、不動産仲介、広告・損害保険・各種サービス等に関する事業です。
(注2)「施工関連事業」はリフォーム、請負建築工事等であり、ハウスコム株式会社内のリフォーム事業及び100%子会社のエスケイビル建材株式会社の事業により構成されています。
当社グループの当連結会計年度における経営成績は、以下の通りです。
(参考)ハウスコム株式会社単体における経営成績は、以下のとおりです。
(注) 完成業務高は、仲介関連サービスに含めております。
ハウスコム株式会社単体における当事業年度の業績は、営業収益11,354百万円(前期比6.4%減)、営業利益505百万円(前期比60.0%減)、経常利益709百万円(前期比50.4%減)、当期純利益430百万円(前期比53.6%減)となりました。営業収益においては、上述のように、仲介件数の減少が主たる要因となり、不動産賃貸仲介収入が306百万円減少(前期比5.7%減)、周辺商品販売の減少とリフォーム事業の低下により仲介関連サービス収入が470百万円減少(前期比9.2%減)、その他事業が5百万円の増加(前期比0.4%増)となりました。また、費用においては、店舗数増加による家賃等の増加、リフォーム事業低下に伴う工事原価の減少、歩合給等の業績連動性のある人件費の減少、子会社取得等に伴う諸費用等の影響があり、営業費用全体においては11百万円減少(前期比0.1%減)となりました。それらの結果、ハウスコム株式会社単体の営業利益は759百万円減少(前期比60.0%減)の505百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
該当事項はありません。
② 受注実績
該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.主な相手先別については、前連結会計年度及び当連結会計年度における相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、9,812百万円(前連結会計年度末は9,802百万円)となり、前連結会計年度末と比べ9百万円増加しました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、4,976百万円(前連結会計年度末は6,717百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1,740百万円減少しました。これは現金及び預金が1,769百万円減少したことが主たる要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、4,835百万円(前連結会計年度末は3,085百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1,750百万円増加しました。これは業務処理システムのリプレイスを行ったことにより、ソフトウエア等の無形固定資産が1,371百万円増加したことが主たる要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,528百万円(前連結会計年度末は2,655百万円)となり、前連結会計年度末と比べ127百万円減少しました。これは未払消費税等が164百万円減少したことが主たる要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、771百万円(前連結会計年度末は687百万円)となり、前連結会計年度末と比べ84百万円増加しました。これは資産除去債務が50百万円増加したことが主たる要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、6,512百万円(前連結会計年度末は6,459百万円)となり、前連結会計年度末と比べ52百万円増加しました。これは自己株式が19百万円減少したことが要因であります。
当社グループの当連結会計年度末における財政状態は、以下のとおりです。
当社グループの財政状態は、これまでの事業活動の結果として資金と資本の蓄積が進み、借入金等の有利子負債がなく高い水準の自己資本比率(66.1%)であり、安全性の高い状況にあると認識しています。企業環境と事業戦略により重視すべき基準が変わり得るため単独の指標による評価は行っておりませんが、現時点では、成長投資向け資金・株主還元用原資が確保されているとともに、不確実性に対応することのできる財務内容だと評価しております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、4,170百万円(前連結会計年度末5,940百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1,769百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、252百万円(前連結会計年度に獲得した資金686百万円)となり、前連結会計年度に対して433百万円収入が減少しました。主な収入増加の要因は、税金等調整前当期純利益533百万円、非資金取引である減価償却費168百万円であります。一方で主な収入減少の要因は法人税等の支払額319百万円、並びに営業債務の減少額193百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,737百万円(前連結会計年度に獲得した資金234百万円)となり、前連結会計年度に対して1,971百万円支出が増加しました。主な支出増加の要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支払額795百万円、並びに無形固定資産の取得による支払額740百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、284百万円(前連結会計年度に使用した資金301百万円)となり、前連結会計年度に対して17百万円支出が減少しました。主な支出増加の要因は、配当金の支払額278百万円であります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、重要な設備計画(資本的支出)を予定しておりません。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
(注) 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。なお、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報) (新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度のわが国においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を目的として国・地方自治体・企業・市民がかつてない広範な取り組みを行い、その影響が社会経済全般に大きな影響を与えました。特に2020年4月7日から5月25日まで発令されていた緊急事態宣言の下では社会経済活動の抑制が大掛かりに行われ、わが国経済は、諸政策による下支えはあるものの、消費・生産の急速な減速、雇用情勢の悪化が顕著に現れるものとなりました。5月に緊急事態宣言が解除されてから以降は、産業による程度の差はありながらも経済活動全体としては回復傾向が示されてきました。企業活動・社会活動においては、全体としては活発さを取り戻す動きが底流にありながらも、業種毎・地域毎に回復状況に差があり時期による浮き沈みも見受けられました。特に、飲食業・宿泊業等の集積する大都市においては、雇用環境等への影響が顕著に現れ、居住者の減少など注目される事象も生じました。その後、2021年1月から3月にかけての第2回目の緊急事態宣言下においては、感染症対策に係る知見の蓄積もあり、前回宣言時と比べて社会経済面の制限や混乱は限定的な様子を見せました。そして世界的なワクチン接種の開始とともに、近い将来の事態収束への期待は広く共有されるようになっていますが、収束までの期間に次なる感染の波が到来することへの不安もあり、回復の時期やペースについては不透明な状態にあると感じられています。
当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が主力とする不動産賃貸仲介の業界におきましては、5月の緊急事態宣言解除後の社会経済活動の回復に向けた動きを背景に転居の需要水準が持ち直したものの、秋以降は東京都や愛知県を中心とした都市部における転居需要の低下が見受けられるなど、社会経済の動向による需要水準の変動が地域別・時期別に特徴的に現れるようになりました。一方、事業の運営スタイルについては、「不動産テック」と呼ばれるIT技術を活用して部屋探しのお客様のニーズを満たすことの重要性がかねてより増しつつありましたが、今般の社会情勢下では対面接客ではなくオンライン上でサービスを受けることが利用者にとって選択肢の一つとして浸透しており、そのニーズに対応するためのIT技術の導入範囲・活用における習熟の度合が企業の競争力に影響を与え得るものと考えられています。また、企業間の競争という観点では、地域別・時期別の変動を吸収するための事業規模を備えていることや、広域にわたる集客・コスト削減など規模の経済の活用余地を備えていることが重要性をもつ環境になっているといえます。
このような事業環境の下で、当社グループは、従業員・お客様・お取引先様の新型コロナウイルス感染予防を重視しながら事業運営を継続いたしました。各店舗・オフィスにおける飛沫防止設備の導入や消毒薬の常備、ソーシャル・ディスタンスの確保、マスク着用の徹底等の直接的な衛生管理をはじめとして、テレワーク・時差出勤・時短勤務などの労務環境面の工夫も全社的に行いました。また、オンラインサービスへのニーズにお応えするため、お客様が来店しなくても部屋探しのできるハウスコム「オンライン部屋探し」を4月にご提案いたしました。「オンライン部屋探し」は、オンライン接客、オンライン内見、IT重説、契約書類・鍵の郵送やりとりにより、対面接触しないでも部屋探しをすることのできるサービスであり、お客様ニーズの充足と運営の効率性の双方に好影響を与えるものとなっています。
また、「オンライン部屋探し」以外にも、お客様の利便性向上と事業者の生産性向上をもたらすIT技術の活用を更に進めることができました。業務効率化を目的としたRPAについては、社内プロジェクトにてテーマを選定して継続的に導入が進んでおります。契約事務のIT化においては、賃貸借の更新契約の電子化は昨年度より取り入れられており既に7,000件以上の締結実績があり、また、電子申込・電子契約手続きをスタートして将来的に新規賃貸借契約締結の電子化が許可されたときにはいち早く対応できる体制を整えました。IT重説については、次世代のIT重説の実施方法に関する知見を蓄積するため、国土交通省の「賃貸取引における重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係る社会実験」に参加登録しております。このように、当社グループはDX(デジタルトランスフォーメーション)時代に適合すべくIT技術活用の取り組みを進めていますが、同時に、リアルとデジタルをまたがる消費者のリアルな反応に関する知見とノウハウの蓄積にも注力しています。一例としては、オンライン上のやりとりによって店舗に来訪する前に入居決定への動機を高め、来店後の成約率を高めるノウハウの構築が挙げられ、全社的に導入・運用が進められています。
また、コロナ収束後を見据えて、将来に向けての投資を積極的に推進いたしました。当連結会計年度においては5店舗の新規出店を行い、2021年3月末においては直営店189店舗、フランチャイズ1店舗の合計190店舗体制となりました。新規出店のうち1店舗は2月にオープンした「OUCHI.com新宿」であり、外国籍のお客様をメインターゲットにした新スタイルの店舗になっています。そして事業領域拡張の一環として、当社グループとして初となる不動産売買専門の拠点を10月に設けるとともに、家主様向けの新サービス「ハウスコムスマートシステム」を7月に上市して継続的にサービス内容を追加してきました。また、大阪を中心に不動産賃貸仲介店舗を23店舗保有する株式会社宅都の株式を2021年3月1日付で100%取得し子会社化しました。株式会社宅都を取得することで、当社直営店189店舗及び株式会社宅都直営店23店舗の合計212店舗の体制を当社グループとして構築し、2019年4月26日に公表した中期経営計画の目標値である「2022年3月末の直営店舗数208店舗」を前倒しで実現することができました。システム投資の重要性の高まるDX時代においては投下資金を回収するための事業規模の確保が重要性を増すことが予想されますが、店舗網拡充の加速はその下支えになると考えております。なお、株式会社宅都は連結子会社であり当連結会計年度末の連結貸借対照表にはその影響が反映されておりますが、連結損益計算書への反映は2022年3月期の第1四半期から開始することを予定しており、当連結会計年度の連結損益計算書にはその業績は反映されておりません。
これらの結果、当社グループの経営成績は、営業収益12,299百万円(前期比5.5%減、715百万円減)、営業利益351百万円(前期比65.4%減、665百万円減)、経常利益576百万円(前期比51.3%減、606百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益312百万円(前期比53.6%減、361百万円減)となりました。
セグメント毎の業績は、次のとおりです。また、セグメント区分による各事業の内容は(注1)(注2)に記載しております。
① 不動産関連事業(注1)
不動産関連事業は、営業収益は10,757百万円(前期比7.8%減)、セグメント利益は1,962百万円(前期比17.0%減)となりました。これらの業績は、新型コロナウイルス感染症拡大による社会経済情勢の影響を受けて不動産賃貸仲介件数が前期比4,577件減少の72,279件(前期比6.0%減)となったことにより、仲介手数料をはじめ周辺商品販売など営業収益全般が低調となったことが主たる要因であります。この間において広告宣伝費をはじめとした費用面の見直しや会議・研修等のオンライン化によるコスト低減効果があるものの、営業収益の減額を補うことはできず、利益においても減額となりました。なお、仲介件数の動向については、時期別の内訳として4月~6月の3か月間の仲介件数は14,182件(前年同期比19.0%減、3,321件減少)、7月~9月は17,906件(前年同期比0.3%減、55件減少)、10月~12月は15,208件(前年同期比8.6%減、1,433件減少)、1月~3月は24,983件(前年同期比0.9%増、232件増加)でした。これは、緊急事態宣言に伴う影響を大きく受けた後、転居需要の回復が始まりながらも、10月~12月においては地域による動向差が顕著に表れて当社の事業展開の中心である東京圏及び中京圏を中心に地域市場全体の転居需要が低下した影響を受けたこと、引っ越しシーズンである1月から3月の繁忙期においては諸施策の効果もあり前年を超過したことが反映されたものであります。
② 施工関連事業(注2)
施工関連事業は、営業収益は1,542百万円(前期比14.9%増)、セグメント利益は78百万円(前期比53.0%減)となりました。これらの業績は、ハウスコム株式会社内のリフォーム事業の営業収益が社会情勢の影響下で前期に比べ103百万円減少した985百万円(前期比9.5%減)となったこと、2019年7月に子会社化したエスケイビル建材株式会社の業績(営業収益557百万円)が当連結会計年度においては連結対象として一年間分(前期は4か月分)が取り込まれたことによるものであります。
(注1)「不動産関連事業」は、不動産仲介、広告・損害保険・各種サービス等に関する事業です。
(注2)「施工関連事業」はリフォーム、請負建築工事等であり、ハウスコム株式会社内のリフォーム事業及び100%子会社のエスケイビル建材株式会社の事業により構成されています。
当社グループの当連結会計年度における経営成績は、以下の通りです。
| (単位:千円) |
| 2020年3月期 | 2021年3月期 | 増減額 | (増減率) | |
| 営業収益 | ||||
| 不動産関連事業 | 11,672,597 | 10,757,032 | △915,564 | (△7.8%) |
| 施工関連事業 | 1,343,296 | 1,542,866 | 199,569 | (14.9%) |
| 合計 | 13,015,893 | 12,299,898 | △715,995 | (△5.5%) |
| 営業利益 | ||||
| 不動産関連事業 | 2,364,438 | 1,962,536 | △401,901 | (△17.0%) |
| 施工関連事業 | 166,567 | 78,261 | △88,306 | (△53.0%) |
| 調整額 | △1,513,827 | △1,688,925 | △175,098 | - |
| 合計 | 1,017,178 | 351,872 | △665,306 | (△65.4%) |
| 経常利益 | 1,183,076 | 576,363 | △606,712 | (△51.3%) |
| 当期純利益 | 673,621 | 312,256 | △361,365 | (△53.6%) |
(参考)ハウスコム株式会社単体における経営成績は、以下のとおりです。
| (単位:千円) |
| 2020年3月期 | 2021年3月期 | 増減額 | (増減率) | |
| 営業収益 | ||||
| 不動産賃貸仲介収入 | 5,415,205 | 5,108,812 | △306,393 | (△5.7%) |
| 仲介関連サービス収入 | 5,117,945 | 4,647,280 | △470,665 | (△9.2%) |
| その他の収入 | 1,592,738 | 1,598,698 | 5,959 | (0.4%) |
| 合計 | 12,125,890 | 11,354,791 | △771,099 | (△6.4%) |
| 営業費用 | 10,860,033 | 10,848,900 | △11,132 | (△0.1%) |
| 営業利益 | 1,265,857 | 505,890 | △759,966 | (△60.0%) |
| 経常利益 | 1,429,879 | 709,260 | △720,618 | (△50.4%) |
| 当期純利益 | 927,806 | 430,477 | △497,328 | (△53.6%) |
(注) 完成業務高は、仲介関連サービスに含めております。
ハウスコム株式会社単体における当事業年度の業績は、営業収益11,354百万円(前期比6.4%減)、営業利益505百万円(前期比60.0%減)、経常利益709百万円(前期比50.4%減)、当期純利益430百万円(前期比53.6%減)となりました。営業収益においては、上述のように、仲介件数の減少が主たる要因となり、不動産賃貸仲介収入が306百万円減少(前期比5.7%減)、周辺商品販売の減少とリフォーム事業の低下により仲介関連サービス収入が470百万円減少(前期比9.2%減)、その他事業が5百万円の増加(前期比0.4%増)となりました。また、費用においては、店舗数増加による家賃等の増加、リフォーム事業低下に伴う工事原価の減少、歩合給等の業績連動性のある人件費の減少、子会社取得等に伴う諸費用等の影響があり、営業費用全体においては11百万円減少(前期比0.1%減)となりました。それらの結果、ハウスコム株式会社単体の営業利益は759百万円減少(前期比60.0%減)の505百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
該当事項はありません。
② 受注実績
該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
| 不動産関連事業 | 10,757,032 | 92.2 |
| 施工関連事業 | 1,542,866 | 114.9 |
| 合計 | 12,299,898 | 94.5 |
(注)1.主な相手先別については、前連結会計年度及び当連結会計年度における相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、9,812百万円(前連結会計年度末は9,802百万円)となり、前連結会計年度末と比べ9百万円増加しました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、4,976百万円(前連結会計年度末は6,717百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1,740百万円減少しました。これは現金及び預金が1,769百万円減少したことが主たる要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、4,835百万円(前連結会計年度末は3,085百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1,750百万円増加しました。これは業務処理システムのリプレイスを行ったことにより、ソフトウエア等の無形固定資産が1,371百万円増加したことが主たる要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,528百万円(前連結会計年度末は2,655百万円)となり、前連結会計年度末と比べ127百万円減少しました。これは未払消費税等が164百万円減少したことが主たる要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、771百万円(前連結会計年度末は687百万円)となり、前連結会計年度末と比べ84百万円増加しました。これは資産除去債務が50百万円増加したことが主たる要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、6,512百万円(前連結会計年度末は6,459百万円)となり、前連結会計年度末と比べ52百万円増加しました。これは自己株式が19百万円減少したことが要因であります。
当社グループの当連結会計年度末における財政状態は、以下のとおりです。
| (単位:千円) |
| 2020年3月末 | 2021年3月末 | 増減額 | |
| 流動資産 | 6,717,391 | 4,976,568 | △1,740,822 |
| 有形固定資産 | 443,612 | 482,849 | 39,236 |
| 無形固定資産 | 575,406 | 1,946,540 | 1,371,134 |
| 投資その他の資産 | 2,066,226 | 2,406,473 | 340,246 |
| 資産合計 | 9,802,637 | 9,812,431 | 9,794 |
| 2020年3月末 | 2021年3月末 | 増減額 | |
| 流動負債 | 2,655,515 | 2,528,251 | △127,264 |
| 固定負債 | 687,348 | 771,621 | 84,272 |
| 純資産 | 6,459,773 | 6,512,559 | 52,786 |
| 2020年3月末 | 2021年3月末 | |
| 自己資本比率 | 65.6% | 66.1% |
当社グループの財政状態は、これまでの事業活動の結果として資金と資本の蓄積が進み、借入金等の有利子負債がなく高い水準の自己資本比率(66.1%)であり、安全性の高い状況にあると認識しています。企業環境と事業戦略により重視すべき基準が変わり得るため単独の指標による評価は行っておりませんが、現時点では、成長投資向け資金・株主還元用原資が確保されているとともに、不確実性に対応することのできる財務内容だと評価しております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、4,170百万円(前連結会計年度末5,940百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1,769百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、252百万円(前連結会計年度に獲得した資金686百万円)となり、前連結会計年度に対して433百万円収入が減少しました。主な収入増加の要因は、税金等調整前当期純利益533百万円、非資金取引である減価償却費168百万円であります。一方で主な収入減少の要因は法人税等の支払額319百万円、並びに営業債務の減少額193百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,737百万円(前連結会計年度に獲得した資金234百万円)となり、前連結会計年度に対して1,971百万円支出が増加しました。主な支出増加の要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支払額795百万円、並びに無形固定資産の取得による支払額740百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、284百万円(前連結会計年度に使用した資金301百万円)となり、前連結会計年度に対して17百万円支出が減少しました。主な支出増加の要因は、配当金の支払額278百万円であります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、重要な設備計画(資本的支出)を予定しておりません。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
| 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 65.6 | 66.1 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 93.5 | 101.3 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
(注) 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。なお、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報) (新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載しております。