有価証券報告書-第33期(平成30年8月1日-令和1年7月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を当事業年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調が続いておりましたが、米中通商問題の動向が世界経済に与える影響や海外経済の動向と政策に関する不確実性等、予断を許さない状況が続いております。外食業界におきましては、人件費・原材料・輸送費の高騰等を背景に経営環境は引き続き厳しい環境にあります。天候不順や自然災害など一過性要因を除いても、業界全体感としてやや力強さに欠ける状況が続いております。
当社におきましては、人件費等のコスト高を背景とした28年ぶりの価格改定を2017年10月に実施したこと等から客数が減少し店舗の収益力が低下するという結果となりました。また、出店時の売上高計画に対して未達で推移する店舗が多く発生するとともに、既存店の近隣に追加出店した店舗での自社競合が発生し、既存店売上高が前年を下回り推移しました。
このような状況の中、当社では、さらなる新規出店よりも既存店の売上強化が最重要課題であると認識し、既に出店予定である店舗を除き、新たな出店を取りやめることとし、既存店の売上を強化するため顧客価値の向上と人財基盤の強化を重点課題として取り組むとともに、アメーバ経営の導入を行い収益基盤の強化に取り組んで参りました。また、引き続き国産食材にこだわった商品開発を行う一方で、メニューの改編を年2回から3回に変更するとともに、メガハイボールや国産えびを使用した串焼きメニューの商品化、「特別晩餐会」などの期間限定キャンペーンを実施いたしました。
なお、当事業年度は関東圏及び東海圏を中心に23店舗の新規出店を行う一方で、29店舗の退店を行ったことにより、当事業年度末日における「鳥貴族」の店舗数は659店舗(前事業年度末比6店舗純減)となりました。当社の直営店につきましては、当事業年度は15店舗の新規出店を行い、24店舗の退店を行ったこと等により、当事業年度末日においては413店舗(同10店舗純減)となりました。
以上の結果、当事業年度は、既存店売上高は前年比94.8%と厳しい状況が続いておりますが、前事業年度に出店した店舗の売上が通年で寄与したこと等により、売上高は35,847,691千円(前事業年度比5.5%増)となり、売上総利益は25,128,514千円(同6.1%増)となりました。販売費及び一般管理費は23,938,010千円(同8.9%増)となり、売上高が低調に推移したことが影響し、営業利益は1,190,503千円(同29.2%減)、経常利益は1,145,178千円(同29.0%減)となりました。また、財務基盤の強化のため、不採算店舗を整理し鳥貴族の店舗網の再構築を行って参りました。当事業年度における業績不振店20店舗の撤退、及び、16店舗の業績不振店の撤退を新たに決議したこと等により減損損失を1,416,295千円計上し、286,112千円の当期純損失となりました。
なお、当社は飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
財政状態の状況は以下の通りであります。
総資産は、前事業年度末に比べ1,661,788千円減少し17,127,539千円となりました。流動資産は、主に現金及び預金が279,613千円減少したことに対し、未収入金が320,150千円増加したこと等により、前事業年度末と比べて27,947千円増加し5,736,177千円となりました。固定資産は、主に退店店舗及び退店予定店舗を中心とした不採算店舗の資産に関する減損損失を計上し、建物(純額)が1,178,157千円、リース資産(純額)が554,689千円、差入保証金が129,988千円減少したこと等により、前事業年度末と比べて1,689,736千円減少し11,391,362千円となりました。
負債合計は、前事業年度末に比べ1,282,610千円減少し10,603,916千円となりました。流動負債は、主に未払法人税等が423,844千円、1年内返済予定の長期借入金が193,389千円減少したこと等により、前事業年度末と比べ561,208千円減少し6,931,880千円となりました。固定負債は、長期リース債務が466,917千円、長期借入金が216,203千円減少したこと等により、前事業年度末と比べて721,401千円減少し3,672,035千円となりました。
純資産につきましては、前事業年度末に比べ379,177千円減少し6,523,623千円となりました。これは利益剰余金が、当期純損失の計上により減少したことに加え、配当金の支払いにより減少したこと等によるものであり、自己資本比率は38.1%(前事業年度末は36.7%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比較し303,402千円減少し、4,190,744千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度3,306,540千円の収入に対し、2,171,569千円の収入となりました。これは主に、減価償却費1,526,756千円、減損損失1,416,295千円を計上した一方、法人税等の支払額698,150千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度3,460,791千円の支出に対し、1,331,066千円の支出となりました。これは主に、新規出店、既存店の改装や機器の入替え等に伴う有形固定資産の取得による支出1,186,534千円及び退店店舗における資産除去債務の履行による支出111,816千円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動におけるキャッシュ・フローは、前事業年度87,355千円の支出に対し、1,143,904千円の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,109,592千円及びリース債務の返済による支出640,829千円に対し、長期借入れによる収入700,000千円を計上したこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社は、焼鳥のタレを自社工場で生産しておりますが、金額的重要性が乏しいことから、記載を省略しております。
(b)仕入実績
当事業年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社の事業区分は「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(c)受注実績
当社は、一般消費者へ直接販売する飲食事業を行っておりますので、記載しておりません。
(d)販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社の事業区分は「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度は、新規出店店舗を含む全店での売上高は前年を上回り推移したものの、既存店の来店客数が前年同期を下回り、当事業年度における既存店売上高(前年同期比)は94.8%(客数95.8%、客単価98.9%)となりました。特に上期において厳しく推移し、上期既存店売上高(前年同期比)92.1%(客数92.6%、客単価99.5%)となりました。一方、下期においては、白姫海老の串焼き・メガハイボールの商品化、期間限定の「特別晩餐会」の実施等により、やや回復傾向がみられ、下期既存店売上高(前年同期比)97.2%(客数99.3%、客単価98.0%)となりました。また、下期において、アメーバ経営の運用を開始し、全部門の意識が組織横断的に統一され共通した指標による管理を行うことで採算意識がより一層高まり、売上原価及び人件費コントロールがさらに効果的に進めることができた一方で、上述のとおり既存店売上高が低調に推移したことが大きく影響し減益となりました。
2020年7月期の見通しにつきましては、競合他社との競争激化、人件費コストの高騰及び人員確保リスク等、経営環境は引き続き予断を許さない状況が続くものと考えております。当事業年度の経営成績等の状況を踏まえ、当社では既存店の売上強化が最重要課題であると認識し、既存店の売上を強化するため顧客価値の向上を重点課題として取り組んでまいります。
具体的には、飲食事業での重要な指標であるQSC(Q:クオリティ、S:サービス、C:クレンリネス)を改善するためのプログラムである「鳥貴族QSC改善プロセス」の徹底によりお客様の満足度の向上に引き続き取り組んでまいります。また、アメーバ経営のより一層の浸透を図ることで引き続き経営効率の改善のためコスト管理に取り組むとともに、よりお客様から近い店舗スタッフからの提案等を積極的に吸い上げ、顧客価値の向上を図り、併せて、従業員の労働意欲の向上につなげることにより、既存店売上高の回復と利益率の改善に努めてまいります。
③資本の財源及び資金の流動性
(a)資金需要
当社の資金需要は主に大きく分けて運転資金需要、設備資金需要があります。運転資金需要は商品仕入のほか、販売費及び一般管理費の営業費用であります。営業費用の主なものは、人件費、店舗賃借料及び店舗運営に係る費用(水道光熱費・修繕費)であります。設備資金需要につきましては、飲食事業における新規出店や既存店舗改装費用等であり店舗設備に係る設備投資であります。
(b)財政政策
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債の調達を実施しております。このうち、運転資金及び既存店舗の設備資金については内部資金を活用し、新規に出店する店舗設備等の設備資金については変動金利の長期借入金及びリース契約により調達しております。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本としており、長期借入金及びリース等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存有利子負債の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断していくこととしております。
当事業年度末において、複数の金融機関との間で合計1,000,000千円のコミットメントライン契約を締結し、資金需要に備えております(借入未実行残高1,000,000千円)。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,821,672千円であり、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は4,190,744千円となっております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を当事業年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調が続いておりましたが、米中通商問題の動向が世界経済に与える影響や海外経済の動向と政策に関する不確実性等、予断を許さない状況が続いております。外食業界におきましては、人件費・原材料・輸送費の高騰等を背景に経営環境は引き続き厳しい環境にあります。天候不順や自然災害など一過性要因を除いても、業界全体感としてやや力強さに欠ける状況が続いております。
当社におきましては、人件費等のコスト高を背景とした28年ぶりの価格改定を2017年10月に実施したこと等から客数が減少し店舗の収益力が低下するという結果となりました。また、出店時の売上高計画に対して未達で推移する店舗が多く発生するとともに、既存店の近隣に追加出店した店舗での自社競合が発生し、既存店売上高が前年を下回り推移しました。
このような状況の中、当社では、さらなる新規出店よりも既存店の売上強化が最重要課題であると認識し、既に出店予定である店舗を除き、新たな出店を取りやめることとし、既存店の売上を強化するため顧客価値の向上と人財基盤の強化を重点課題として取り組むとともに、アメーバ経営の導入を行い収益基盤の強化に取り組んで参りました。また、引き続き国産食材にこだわった商品開発を行う一方で、メニューの改編を年2回から3回に変更するとともに、メガハイボールや国産えびを使用した串焼きメニューの商品化、「特別晩餐会」などの期間限定キャンペーンを実施いたしました。
なお、当事業年度は関東圏及び東海圏を中心に23店舗の新規出店を行う一方で、29店舗の退店を行ったことにより、当事業年度末日における「鳥貴族」の店舗数は659店舗(前事業年度末比6店舗純減)となりました。当社の直営店につきましては、当事業年度は15店舗の新規出店を行い、24店舗の退店を行ったこと等により、当事業年度末日においては413店舗(同10店舗純減)となりました。
以上の結果、当事業年度は、既存店売上高は前年比94.8%と厳しい状況が続いておりますが、前事業年度に出店した店舗の売上が通年で寄与したこと等により、売上高は35,847,691千円(前事業年度比5.5%増)となり、売上総利益は25,128,514千円(同6.1%増)となりました。販売費及び一般管理費は23,938,010千円(同8.9%増)となり、売上高が低調に推移したことが影響し、営業利益は1,190,503千円(同29.2%減)、経常利益は1,145,178千円(同29.0%減)となりました。また、財務基盤の強化のため、不採算店舗を整理し鳥貴族の店舗網の再構築を行って参りました。当事業年度における業績不振店20店舗の撤退、及び、16店舗の業績不振店の撤退を新たに決議したこと等により減損損失を1,416,295千円計上し、286,112千円の当期純損失となりました。
なお、当社は飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
財政状態の状況は以下の通りであります。
総資産は、前事業年度末に比べ1,661,788千円減少し17,127,539千円となりました。流動資産は、主に現金及び預金が279,613千円減少したことに対し、未収入金が320,150千円増加したこと等により、前事業年度末と比べて27,947千円増加し5,736,177千円となりました。固定資産は、主に退店店舗及び退店予定店舗を中心とした不採算店舗の資産に関する減損損失を計上し、建物(純額)が1,178,157千円、リース資産(純額)が554,689千円、差入保証金が129,988千円減少したこと等により、前事業年度末と比べて1,689,736千円減少し11,391,362千円となりました。
負債合計は、前事業年度末に比べ1,282,610千円減少し10,603,916千円となりました。流動負債は、主に未払法人税等が423,844千円、1年内返済予定の長期借入金が193,389千円減少したこと等により、前事業年度末と比べ561,208千円減少し6,931,880千円となりました。固定負債は、長期リース債務が466,917千円、長期借入金が216,203千円減少したこと等により、前事業年度末と比べて721,401千円減少し3,672,035千円となりました。
純資産につきましては、前事業年度末に比べ379,177千円減少し6,523,623千円となりました。これは利益剰余金が、当期純損失の計上により減少したことに加え、配当金の支払いにより減少したこと等によるものであり、自己資本比率は38.1%(前事業年度末は36.7%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比較し303,402千円減少し、4,190,744千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度3,306,540千円の収入に対し、2,171,569千円の収入となりました。これは主に、減価償却費1,526,756千円、減損損失1,416,295千円を計上した一方、法人税等の支払額698,150千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度3,460,791千円の支出に対し、1,331,066千円の支出となりました。これは主に、新規出店、既存店の改装や機器の入替え等に伴う有形固定資産の取得による支出1,186,534千円及び退店店舗における資産除去債務の履行による支出111,816千円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動におけるキャッシュ・フローは、前事業年度87,355千円の支出に対し、1,143,904千円の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,109,592千円及びリース債務の返済による支出640,829千円に対し、長期借入れによる収入700,000千円を計上したこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社は、焼鳥のタレを自社工場で生産しておりますが、金額的重要性が乏しいことから、記載を省略しております。
(b)仕入実績
当事業年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2018年8月1日 至 2019年7月31日) | 前年同期比(%) |
飲食事業(千円) | 10,524,040 | 103.8 |
合計(千円) | 10,524,040 | 103.8 |
(注)1.当社の事業区分は「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(c)受注実績
当社は、一般消費者へ直接販売する飲食事業を行っておりますので、記載しておりません。
(d)販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2018年8月1日 至 2019年7月31日) | 前年同期比(%) |
飲食事業(千円) | 35,847,691 | 105.5 |
合計(千円) | 35,847,691 | 105.5 |
(注)1.当社の事業区分は「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度は、新規出店店舗を含む全店での売上高は前年を上回り推移したものの、既存店の来店客数が前年同期を下回り、当事業年度における既存店売上高(前年同期比)は94.8%(客数95.8%、客単価98.9%)となりました。特に上期において厳しく推移し、上期既存店売上高(前年同期比)92.1%(客数92.6%、客単価99.5%)となりました。一方、下期においては、白姫海老の串焼き・メガハイボールの商品化、期間限定の「特別晩餐会」の実施等により、やや回復傾向がみられ、下期既存店売上高(前年同期比)97.2%(客数99.3%、客単価98.0%)となりました。また、下期において、アメーバ経営の運用を開始し、全部門の意識が組織横断的に統一され共通した指標による管理を行うことで採算意識がより一層高まり、売上原価及び人件費コントロールがさらに効果的に進めることができた一方で、上述のとおり既存店売上高が低調に推移したことが大きく影響し減益となりました。
2020年7月期の見通しにつきましては、競合他社との競争激化、人件費コストの高騰及び人員確保リスク等、経営環境は引き続き予断を許さない状況が続くものと考えております。当事業年度の経営成績等の状況を踏まえ、当社では既存店の売上強化が最重要課題であると認識し、既存店の売上を強化するため顧客価値の向上を重点課題として取り組んでまいります。
具体的には、飲食事業での重要な指標であるQSC(Q:クオリティ、S:サービス、C:クレンリネス)を改善するためのプログラムである「鳥貴族QSC改善プロセス」の徹底によりお客様の満足度の向上に引き続き取り組んでまいります。また、アメーバ経営のより一層の浸透を図ることで引き続き経営効率の改善のためコスト管理に取り組むとともに、よりお客様から近い店舗スタッフからの提案等を積極的に吸い上げ、顧客価値の向上を図り、併せて、従業員の労働意欲の向上につなげることにより、既存店売上高の回復と利益率の改善に努めてまいります。
③資本の財源及び資金の流動性
(a)資金需要
当社の資金需要は主に大きく分けて運転資金需要、設備資金需要があります。運転資金需要は商品仕入のほか、販売費及び一般管理費の営業費用であります。営業費用の主なものは、人件費、店舗賃借料及び店舗運営に係る費用(水道光熱費・修繕費)であります。設備資金需要につきましては、飲食事業における新規出店や既存店舗改装費用等であり店舗設備に係る設備投資であります。
(b)財政政策
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債の調達を実施しております。このうち、運転資金及び既存店舗の設備資金については内部資金を活用し、新規に出店する店舗設備等の設備資金については変動金利の長期借入金及びリース契約により調達しております。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本としており、長期借入金及びリース等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存有利子負債の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断していくこととしております。
当事業年度末において、複数の金融機関との間で合計1,000,000千円のコミットメントライン契約を締結し、資金需要に備えております(借入未実行残高1,000,000千円)。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,821,672千円であり、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は4,190,744千円となっております。